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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113106
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】食器洗浄機の水位検知装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20220727BHJP
   A47L 15/46 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A47L15/42 D
A47L15/46 Z
A47L15/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172978
(22)【出願日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】P 2021008351
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BD05
3B082DB02
3B082DC02
(57)【要約】
【課題】異物によるフロートの上下方向の移動不良を抑制でき、ひいては、水位の検知精度の低下を抑制できる食器洗浄機の水位検知装置を提供する。
【解決手段】水位検知装置10は、タンク20と、タンク20の側壁27の下部又は底壁26に穿設された流入口21と、側壁27における流入口21よりも上方に穿設された流出口22と、検知室20A内に設けられたフロートガイド23と、フロートガイド23を貫通穴33に挿通させた状態で検知室20A内に設けられ、上限位置以下で上下方向に移動するフロート30と、フロート30の上下方向の位置を検知する水位センサ11と、を有する。流出口22は、流出口22の下端22Dが上限位置にあるフロート30の下面30D1以下となる位置であって、かつ、流出口22の上端22Uが洗浄運転中におけるフロート30の下面30D2以上となる位置に配設される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容され、前記被洗浄物を洗浄する洗浄水を貯水可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽内において前記被洗浄物を前記洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する洗浄手段と、
前記洗浄槽から外部に延びる排水管と、前記洗浄槽から前記排水管に前記洗浄水を圧送するポンプと、を有し、前記洗浄槽内の前記洗浄水を排出する排水手段と、
を備えた食器洗浄機に備えられ、
前記排水管の途中に配置されて前記洗浄槽内の前記洗浄水の水位を検知する食器洗浄機の水位検知装置であって、
底壁と、前記底壁に上から対向する上壁と、筒状をなして前記底壁と前記上壁とに接続する側壁と、を有し、内部に検知室が区画されたタンクと、
前記側壁の下部又は前記底壁に穿設され、前記排水管における前記ポンプ側と接続された流入口と、
前記側壁における前記流入口よりも上方に穿設され、前記排水管における前記ポンプとは反対側と接続された流出口と、
前記検知室内で上下方向に延びるように設けられたフロートガイドと、
上下方向に貫通する貫通穴を有し、前記フロートガイドを前記貫通穴に挿通させた状態で前記検知室内に設けられたフロートであって、前記洗浄水よりも比重が小さく、前記検知室内の前記洗浄水の増減に応じて前記フロートガイドに案内されて上限位置以下で上下方向に移動する前記フロートと、
前記フロートガイドに設けられ、前記フロートの上下方向の位置を検知する水位センサと、を有し、
前記流出口は、前記流出口の下端が前記上限位置にある前記フロートの下面以下となる位置であって、かつ、前記流出口の上端が前記洗浄運転中における前記フロートの前記下面以上となる位置に配設されていることを特徴とする食器洗浄機の水位検知装置。
【請求項2】
前記洗浄運転中に前記フロートの位置が前記上限位置から下がるように構成され、
前記流出口は、前記流出口の前記上端が前記上限位置にある前記フロートにおける上面と前記下面との中間点以下となる位置であって、かつ、前記流出口の前記下端が前記洗浄運転中における前記フロートの前記上面以上となる位置に配設されている請求項1記載の食器洗浄機の水位検知装置。
【請求項3】
前記上壁には、前記検知室内に流入した前記洗浄水を前記検知室外に排出可能な予備排水口が穿設されている請求項1又は2記載の食器洗浄機の水位検知装置。
【請求項4】
前記予備排水口から前記検知室外に延びる予備排水経路の一部が縮径されている請求項3記載の食器洗浄機の水位検知装置。
【請求項5】
前記流入口は、前記洗浄水が前記流入口から前記検知室内に流入する第1向きが前記フロートガイドの軸心の周方向の一方に向かう方向となるように前記側壁に穿設され、
前記流出口は、前記洗浄水が前記検知室内から前記流出口に流出する第2向きが前記周方向の前記一方に向かう方向となるように前記側壁に穿設されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機の水位検知装置。
【請求項6】
前記フロートは、前記軸心を中心とする環状に形成され、
前記フロートの前記下面及び外周面の少なくとも一方には、複数の羽根が凸設されている請求項5記載の食器洗浄機の水位検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機の水位検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の水位検知装置の一例が開示されている。この水位検知装置は、洗浄槽、洗浄手段及び排水手段を備えた食器洗浄機に備えられている。
【0003】
洗浄槽には、被洗浄物が収容される。洗浄槽は、被洗浄物を洗浄する洗浄水を貯水可能である。洗浄手段は、ポンプ、固定洗浄ノズル及び回転洗浄ノズルを有している。洗浄手段は、洗浄槽内において被洗浄物を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する。
【0004】
排水手段は、排水管と、洗浄手段と共用されるポンプと、を有している。排水管は、洗浄槽から外部に延びている。ポンプは、洗浄運転のときとは逆向きに回転して洗浄槽から排水管に洗浄水を圧送する。これにより、排水手段は、洗浄槽内の洗浄水を排出する。
【0005】
水位検知装置は、排水管の途中に配置されて洗浄槽内の洗浄水の水位を検知する。具体的には、水位検知装置は、補助水槽、取付板、フロートガイド、フロート及び水位センサを有している。
【0006】
補助水槽の内部には、検知室が区画されている。補助水槽の最下部は、ホースを介して排水管の途中に接続されている。取付板は、補助水槽に蓋をするように設けられている。フロートガイドは、取付板から上向きに凸設され、かつその内部に複数のガイド穴が上下方向に並ぶように設けられている。
【0007】
フロートは、その上面から上向きに凸設された軸部がフロートガイドの各ガイド穴に挿入された状態で検知室内に設けられている。フロートは、洗浄水よりも比重が小さく、検知室内の洗浄水の増減に応じてフロートガイドの各ガイド穴に案内されて上限位置以下で上下方向に移動する。水位センサは、フロートガイドに保持されたリードスイッチであり、フロートの上下方向の位置を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-14585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来の食器洗浄機の水位検知装置では、検知室内に流入する洗浄水に微細で軽量な異物が混入している場合がある。具体的には、異物は、洗浄運転時に洗浄槽内の洗浄水に混入し、排水時に残菜フィルタに捕捉されなかった食品や茶葉のカス等である。
【0010】
そして、洗浄槽内の洗浄水を排出するときに、異物を含んだ洗浄水が検知室内で満水状態となってフロートが上限位置まで上昇すると、異物が検知室内の上方で浮遊して、補助水槽の内壁面、フロートの軸部及びフロートガイドの各ガイド穴等に付着し易い。その結果、この水位検知装置では、異物によるフロートの上下方向の移動不良が発生し易くなり、ひいては、水位の検知精度の低下を抑制し難くなるおそれがある。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、異物によるフロートの上下方向の移動不良を抑制でき、ひいては、水位の検知精度の低下を抑制できる食器洗浄機の水位検知装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の食器洗浄機の水位検知装置は、被洗浄物が収容され、前記被洗浄物を洗浄する洗浄水を貯水可能な洗浄槽と、
前記洗浄槽内において前記被洗浄物を前記洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する洗浄手段と、
前記洗浄槽から外部に延びる排水管と、前記洗浄槽から前記排水管に前記洗浄水を圧送するポンプと、を有し、前記洗浄槽内の前記洗浄水を排出する排水手段と、
を備えた食器洗浄機に備えられ、
前記排水管の途中に配置されて前記洗浄槽内の前記洗浄水の水位を検知する食器洗浄機の水位検知装置であって、
底壁と、前記底壁に上から対向する上壁と、筒状をなして前記底壁と前記上壁とに接続する側壁と、を有し、内部に検知室が区画されたタンクと、
前記側壁の下部又は前記底壁に穿設され、前記排水管における前記ポンプ側と接続された流入口と、
前記側壁における前記流入口よりも上方に穿設され、前記排水管における前記ポンプとは反対側と接続された流出口と、
前記検知室内で上下方向に延びるように設けられたフロートガイドと、
上下方向に貫通する貫通穴を有し、前記フロートガイドを前記貫通穴に挿通させた状態で前記検知室内に設けられたフロートであって、前記洗浄水よりも比重が小さく、前記検知室内の前記洗浄水の増減に応じて前記フロートガイドに案内されて上限位置以下で上下方向に移動する前記フロートと、
前記フロートガイドに設けられ、前記フロートの上下方向の位置を検知する水位センサと、を有し、
前記流出口は、前記流出口の下端が前記上限位置にある前記フロートの下面以下となる位置であって、かつ、前記流出口の上端が前記洗浄運転中における前記フロートの前記下面以上となる位置に配設されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の食器洗浄機の水位検知装置(以下、単に「水位検知装置」という。)では、流出口の下端が上限位置にあるフロートの下面以下となる位置にある構成により、洗浄槽内の洗浄水を排出するときに、異物を含んだ洗浄水が検知室内で満水状態となってフロートが上限位置まで上昇しても、フロートが流出口を完全に閉塞してしまうことがない。これにより、検知室内の上方で浮遊している異物を速やかに検知室外に排出できる。このため、異物がタンクの内壁面、フロートの貫通穴及びフロートガイドに付着し難い。
【0014】
また、洗浄運転中、洗浄槽に貯水された洗浄水が洗浄手段によって洗浄のために使用されているため、一時的に洗浄槽内の洗浄水の水位が下がる。
【0015】
ここで、洗浄手段及び排水手段の構成と、それらの使用条件とによって、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がる場合と、下がらない場合とがある。
【0016】
第1の具体例としては、洗浄のために正転作動する一方、排水のために逆転作動する1つのポンプを排水手段と洗浄手段とで共用しつつ、ポンプの正転作動時の吐出圧が排水管にも作用する構成が挙げられる。この構成において、排水管に作用する吐出圧の大きさ、ポンプと水位検知装置との高低差等の使用条件により、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がる場合と、下がらない場合とがある。
【0017】
第2の具体例としては、洗浄のために正転作動する一方、排水のために逆転作動する1つのポンプを排水手段と洗浄手段とで共用しつつ、弁体がポンプの正転作動時に吐出圧に押されて排水管の入り口を閉じる構成が挙げられる。この構成において、吐出圧がゼロから上昇する途中で弁体の挙動が不安定になって排水管の入り口を確実に閉じていない状態で排水管の洗浄水がポンプ側に移動することにより、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がる場合がある。また、この構成において、吐出圧がゼロから上昇して弁体が即座に排水管の入り口を閉じることにより、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がらない場合もある。
【0018】
第3の具体例としては、排水手段のポンプとは別に洗浄手段がポンプを有し、洗浄手段のポンプの作動時であって排水手段のポンプの停止時に、排水管の洗浄水が排水手段のポンプ側に移動可能である構成が挙げられる。この構成では、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がる。
【0019】
これらのとき、流出口の上端が洗浄運転中におけるフロートの下面以上となる位置にある構成により、異物が洗浄運転中に流出口の上端よりも上方で滞留し難く、タンクの内壁面、フロートの貫通穴及びフロートガイドに付着し難い。
【0020】
したがって、本発明の食器洗浄機の水位検知装置では、異物によるフロートの上下方向の移動不良を抑制でき、ひいては、水位の検知精度の低下を抑制できる。
【0021】
洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がるように構成されていることが望ましい。そして、流出口は、流出口の上端が上限位置にあるフロートにおける上面と下面との中間点以下となる位置であって、かつ、流出口の下端が洗浄運転中におけるフロートの上面以上となる位置に配設されていることが望ましい。
【0022】
この場合、流出口の上端が上限位置にあるフロートにおける上面と下面との中間点以下となる位置に配設されている構成により、洗浄槽内の洗浄水を排出するときに、異物を含んだ洗浄水が検知室内で満水状態となってフロートが上限位置まで上昇しても、フロートによって閉塞される流出口の範囲を小さくできる。これにより、検知室内の上方で浮遊している異物を一層速やかに検知室外に排出できる。このため、異物がタンクの内壁面、フロートの貫通穴及びフロートガイドに一層付着し難い。また、流出口の下端が洗浄運転中におけるフロートの上面以上となる位置に配設されている構成により、洗浄運転中に一時的に洗浄槽内の洗浄水の水位が下がり、それに伴ってフロートの位置も下がるときに、異物が流出口の下端よりも上方で滞留し難く、タンクの内壁面、フロートの貫通穴及びフロートガイドに付着し難い。これらの結果、この水位検知装置では、異物によるフロートの上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0023】
上壁には、検知室内に流入した洗浄水を検知室外に排出可能な予備排水口が穿設されていることが望ましい。
【0024】
この場合、排水管によって多量の洗浄水が排出されて検知室が満水状態となり、異物を含む洗浄水が上限位置まで上昇したフロートよりも上方まで侵入してしまっても、速やかに予備排水口から異物を含む洗浄水を排出できる。このため、この水位検知装置では、異物がタンクの内壁面、フロート及びフロートガイドに付着することを一層抑制でき、異物によるフロートの上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0025】
予備排水口から検知室外に延びる予備排水経路の一部が縮径されていることが望ましい。
【0026】
この場合、検知室が満水状態になったときに、一部が縮径された予備排水経路よりも流出口から優先的に洗浄水を排出できる。また、予備排水経路における縮径されていない他部は、満水状態が回避された際、予備排水経路内に流入した洗浄水を管内に留めることなく、速やかに検知室内に戻すことができる。その結果、この水位検知装置では、洗浄水に含まれた異物が予備排水経路内に残ることを抑制できる。
【0027】
流入口は、洗浄水が流入口から検知室内に流入する第1向きがフロートガイドの軸心の周方向の一方に向かう方向となるように側壁に穿設されていることが望ましい。また、流出口は、洗浄水が検知室内から流出口に流出する第2向きが周方向の一方に向かう方向となるように側壁に穿設されていることが望ましい。
【0028】
この場合、第1向きで流入する洗浄水についてフロートガイドの軸心周りに旋回させ易く、また、旋回しながら流出口に到達した洗浄水について第2向きで流出させることでその旋回流を促進し易い。その結果、この水位検知装置では、タンクの内壁面に異物が付着することを抑制でき、異物によるフロートの上下方向の移動不良を一層抑制できる。また、旋回流によって比較的重い異物も流出口から排出可能となるので、検知室内の底壁側を含む広い範囲を綺麗に保つことができる。その結果、この水位検知装置では、異物によるフロートの上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0029】
フロートは、軸心を中心とする環状に形成されていることが望ましい。そして、フロートの下面及び外周面の少なくとも一方には、複数の羽根が凸設されていることが望ましい。
【0030】
この場合、旋回流が複数の羽根に当たりながら流れてフロートを回転させることで、フロート及びフロートガイドへの異物の付着を抑制できる。その結果、この水位検知装置では、異物によるフロートの上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の食器洗浄機の水位検知装置によれば、異物によるフロートの上下方向の移動不良を抑制でき、ひいては、水位の検知精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例の水位検知装置が適用された食器洗浄機の模式断面図である。
図2図2は、実施例の水位検知装置の斜視図である。
図3図3は、実施例の水位検知装置に係り、タンク本体の斜視図である。
図4図4は、実施例の水位検知装置の分解斜視図であって、タンク本体を除いた図である。
図5図5は、実施例の水位検知装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0034】
(実施例)
図1に示すように、実施例の水位検知装置10は、本発明の食器洗浄機の水位検知装置の具体的態様の一例である。水位検知装置10は、食器洗浄機1に備えられている。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0035】
本実施例では、システムキッチンを利用するユーザが筐体9と対向する側、すなわち図1の紙面左側を筐体9の前方と規定し、その反対側である図1の紙面右側を筐体9の後方と規定する。また、ユーザが筐体9に対向する状態で左に来る側、すなわち図1の奥側を筐体9の左方と規定し、右に来る側、すなわち図1の紙面手前側を筐体9の右方と規定する。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1に対応させて表示する。
【0036】
<筐体、洗浄槽及び蓋体>
食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7及び蓋体8を備えている。
【0037】
筐体9は略箱状体である。筐体9の上は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hは、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0038】
洗浄槽7は、筐体9内に収容されている。図1に示す洗浄槽7の位置を収容位置とする。略箱状体である洗浄槽7の側面と、筐体9の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。図示は省略するが、洗浄槽7は、そのスライドレール機構によって、筐体9に対してスライド可能となっている。
【0039】
洗浄槽7は、開口7Hを有している。開口7Hは、洗浄槽7の上部を開放している。洗浄槽7の前部の上端には、取っ手7Gが設けられている。
【0040】
ユーザが取っ手7Gを把持し、手動操作で洗浄槽7を収容位置から筐体9の前方にスライドさせることにより、図示は省略するが、洗浄槽7が筐体9の筐体開口9Hから前方に引き出された状態となる。また、引き出された状態の洗浄槽7をユーザが手動操作で筐体9の後方にスライドさせることにより、洗浄槽7が収容位置に復帰する。
【0041】
蓋体8は、筐体9内の上部に配置されており、洗浄槽7の開口7Hを閉塞及び開放可能である。蓋体8は、図示しない連動機構によって、洗浄槽7のスライドに連動して、図1に示す位置と、図示は省略するが図1に示す位置から上昇して洗浄槽7のスライドを許容する位置との間で上下動するようになっている。
【0042】
洗浄槽7は、収容位置にある状態で、筐体開口9Hを閉塞するとともに、開口7Hが蓋体8によって閉塞される。
【0043】
図示は省略するが、洗浄槽7は、筐体9から引き出された状態で、筐体9内に残る蓋体8によって、筐体9の外部に露出する開口7Hが開放される。これにより、ユーザは、開口7Hを介して、食器類TW1を洗浄槽7に収容したり、食器類TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0044】
食器類TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器類TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0045】
洗浄槽7内の底部には、食器類TW1を洗浄する洗浄水を貯水可能な貯水部71が設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご70が配置されている。食器かご70には、食器類TW1が載置される。
【0046】
洗浄槽7には、排気通路79が設けられている。排気通路79の一端は、洗浄槽7の前面側の内壁面に開口している。排気通路79の他端は、洗浄槽7の前面における取っ手7Gよりも下方に開口している。洗浄槽7内の空気は、排気通路79を通過して機外に、すなわち筐体9の前方に排出される。
【0047】
<給水管、給水電磁弁、排水管、ノズル及びポンプ>
食器洗浄機1は、給水管P1、給水電磁弁69、排水管P2、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。
【0048】
ノズル61及びポンプ62は、本発明の「洗浄手段」の一例である。排水管P2及びポンプ62は、本発明の「排水手段」の一例である。つまり、ポンプ62は、洗浄手段と排水手段とを兼ねている。
【0049】
給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2は、筐体9内に設けられている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7への水の供給と停止とを切り替える。
【0050】
排水管P2は、洗浄槽7の貯水部71の下部から延びて筐体9の後壁を通過し、食器洗浄機1の外部に延びている。排水管P2は、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水を食器洗浄機1の外部に排出する。
【0051】
ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部71の下部に組み付けられている。ノズル61及びポンプ62は、洗浄槽7内において食器類TW1を洗浄水によって洗浄する洗浄運転を実行する。
【0052】
より詳しくは、ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射可能である。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器類TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご70を洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0053】
ポンプ62は、正転作動することにより、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水をノズル61に供給して洗浄槽7内に噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部71に貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。
【0054】
一方、ポンプ62が逆転作動することにより、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水を排水管P2に圧送し、排水管P2によってその洗浄水が食器洗浄機1の外部に排出される。
【0055】
この際、洗浄水に含まれた異物は、貯水部71に設けられた残菜フィルタ67によって殆どが捕捉される。ただし、食品や茶葉のカス等の微細で軽量な異物は、残菜フィルタ67に捕捉されずに排水管P2に圧送され得る。
【0056】
<ヒータ、温度センサ及び乾燥ファン>
食器洗浄機1は、ヒータ63、温度センサ63S及び乾燥ファン68をさらに備えている。
【0057】
ヒータ63は、貯水部71の底部に配置されている。乾燥ファン68は、洗浄槽7の後壁に組み付けられている。温度センサ63Sは、貯水部71の底部におけるヒータ63に対して下方の位置に設けられている。
【0058】
ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。
【0059】
温度センサ63Sは、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検知する。
【0060】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで食器類TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、排気通路79を経由して食器洗浄機1の外部に排気される。
【0061】
<水位検知装置>
水位検知装置10は、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知するフロート式センサである。水位検知装置10は、洗浄槽7の後壁の下部に組み付けられて、排水管P2の途中に配置されている。
【0062】
排水管P2における水位検知装置10に対してポンプ62側を第1排水管P21とする。排水管P2における水位検知装置10に対してポンプ62とは反対側を第2排水管P22とする。
【0063】
なお、図1では、図を見易くするため、水位検知装置10の位置について、実際よりも洗浄槽7の後壁から離して図示しており、予備排水経路P3についても実際よりも前後方向に長く図示している。
【0064】
図2図5に示すように、水位検知装置10は、タンク20、流入口21、流出口22、フロートガイド23、フロート30及び水位センサ11を有している。
【0065】
タンク20は、図2図3及び図5に示すタンク本体25と、図2図4及び図5に示す上蓋29及びキャップ29Cとを有している。上蓋29は、本発明の「上壁」の一例である。
【0066】
本実施例では、タンク本体25、上蓋29及びキャップ29Cはそれぞれ、熱可塑性樹脂の射出成形等によって製造される樹脂成形品である。
【0067】
図3に示すように、タンク本体25は、底壁26及び側壁27を一体に有している。底壁26は、上下方向から見て、4つの角が丸められた略正方形の平板である。側壁27は、タンク前壁27A、タンク後壁27B、タンク左壁27L及びタンク右壁27Rを有して四角筒状をなしている。側壁27は、上下方向に延びており、その下端が底壁26に接続している。
【0068】
底壁26の上面の中央には、台座24が形成されている。台座24は、上下方向に延びる軸心X23を中心として上向きに円筒状に突出している。台座24の内部は、区画壁24Wによって閉塞されている。
【0069】
底壁26の上面における台座24の周囲には、下限ストッパ26Sが形成されている。下限ストッパ26Sは、台座24の外周面から軸心X23の径外方向に突出する複数のリブである。
【0070】
図3及び図5に示すように、タンク右壁27Rの下部かつ後部には、丸穴形状の流入口21が穿設されている。図5では、タンク右壁27Rが紙面手前側に位置しているため、流入口21を二点鎖線で図示している。図3に示すように、流入口21は、タンク右壁27Rから右向きに円筒状に突出している。図1及び図2に示すように、流入口21は、排水管P2におけるポンプ62側の第1排水管P21と接続されている。
【0071】
図5に示すように、タンク左壁27Lにおける流入口21よりも上方かつ後部には、丸穴形状の流出口22が穿設されている。図3に示すように、流出口22は、タンク左壁27Lから左向きに円筒状に突出している。図1及び図2に示すように、流出口22は、排水管P2におけるポンプ62とは反対側の第2排水管P22と接続されている。
【0072】
図3に示すように、第1排水管P21を圧送される洗浄水が流入口21から検知室20A内に流入する向きを第1向きDR1とする。洗浄水が検知室20A内から流出口22に流出する向きを第2向きDR2とする。
【0073】
流入口21は、第1向きDR1がフロートガイド23の軸心X23の周方向の一方に向かう方向R1となるようにタンク右壁27Rに穿設されている。
【0074】
流出口22は、第2向きDR2が周方向の一方に向かう方向R1となるようにタンク左壁27Lに穿設されている。本実施例では、第1向きDR1と第2向きDR2とは、同じ左向きである。
【0075】
流入口21及び流出口22のこの構成により、検知室20A内に第1向きDR1で流入する洗浄水についてフロートガイド23の軸心X23周りに旋回させ易く、また、旋回しながら流出口22に到達した洗浄水について第2向きDR2で流出させることでその旋回流を促進し易い。
【0076】
図4に示すように、上蓋29は、上下方向から見て、4つの角が丸められた略正方形の平板である。上蓋29の下面には、四角環状の嵌合リブ29Rが下向きに突出するように形成されている。
【0077】
上蓋29の下面の中央には、フロートガイド23が形成されている。フロートガイド23は、軸心X23を中心として下向きに円筒状に突出している。図5に示すように、フロートガイド23の内部は、区画壁23Wによって閉塞されている。フロートガイド23における区画壁23Wよりも上方の内部空間は、センサ収容部23Sとされている。
【0078】
図4及び図5に示すように、上蓋29の下面におけるフロートガイド23の周囲には、上限ストッパ29Sが形成されている。上限ストッパ29Sは、フロートガイド23の外周面の根元から軸心X23の径外方向に突出する複数のリブである。
【0079】
上蓋29の前部には、左右方向に長く延びる矩形穴形状の予備排水口28が穿設されている。予備排水口28は、嵌合リブ29Rにおける前方で左右方向に延びる部分に後方から隣接する位置で上向きに突出している。
【0080】
予備排水口28の上部分には、接続部28Cが一体に形成されている。接続部28Cは、予備排水口28に連通し、前向きに円筒状に突出している。
【0081】
キャップ29Cは、センサ収容部23Sを上から閉塞する状態でネジ29Bによって上蓋29に締結されている。
【0082】
上蓋29は、嵌合リブ29Rを側壁27の上端縁に嵌合させて底壁26に上から対向する状態で、図示しないシーラント又は弾性シールリング等の封止部材を介して側壁27に接続している。
【0083】
図5に示すように、タンク20の内部には、検知室20Aが区画されている。検知室20Aは、底壁26、側壁27及び上蓋29に囲まれた空間である。フロートガイド23は、検知室20A内で上下方向に延び、その下端が台座24に嵌入して保持されている。
【0084】
タンク20は、タンク前壁27Aから前向きに凸設された固定凸部20Dと、上蓋29から上向きに凸設された固定片20Eとを有している。洗浄槽7の後壁には、接続凹部7Fと、接続凹部7Fよりも下方に位置する固定凹部7Dと、接続凹部7Fよりも上方に位置する締結部7Eとが形成されている。
【0085】
タンク20は、接続部28Cが接続凹部7Fに嵌入し、固定凸部20Dが固定凹部7Dに嵌入し、固定片20Eがネジ20Bによって締結部7Eに締結されることにより、洗浄槽7の後壁に組み付けられている。
【0086】
洗浄槽7の後壁には、連通孔7Cが前後方向に貫設されている。連通孔7Cは、接続凹部7Fに嵌入した接続部28Cの下端と洗浄槽7内とを連通させている。接続部28C及び連通孔7Cは、予備排水口28から検知室20A外に延びる予備排水経路P3を構成している。予備排水経路P3の一部である連通孔7Cは、接続部28Cに対して縮径されている。
【0087】
予備排水口28は、検知室20A内に流入した洗浄水を予備排水経路P3を経由して検知室20A外に、より詳しくは洗浄槽7内に排出可能である。また、予備排水口28は、検知室20A内の空気を検知室20A外に排気するエア抜き口を兼ねている。
【0088】
フロート30は、軸心X23を中心として上下方向に貫通する貫通穴33を有する円環状に形成されている。フロート30の外周面は、軸心X23を中心とする円筒面である。
【0089】
図4に示すように、フロート30の下面30Dには、複数の羽根35が下向きに凸設されている。各羽根35は、軸心X23の径方向にリブ状に延びている。
【0090】
図5に示すように、フロート30の上面30Uにも、複数の羽根35が上向きに凸設されている。上面30Uの各羽根35は、下面30Dの各羽根35に対して突出する向きが逆であるだけで、その他の構成は同じである。
【0091】
フロート30は、例えば、樹脂、ゴム、軟質材料等からなる独立気泡の発泡体、ブロー成形による中空形状の樹脂成形品、「最中の皮」のような2つの部材を接続してなる中空形状の樹脂成形品等であることにより、洗浄水よりも比重が小さい。図示は省略するが、フロート30の内部には、永久磁石が内蔵されている。
【0092】
フロート30は、フロートガイド23を貫通穴33に挿通させた状態で検知室20A内に設けられている。フロート30は、検知室20A内の洗浄水の増減に応じてフロートガイド23に案内されて、上限位置以下、かつ下限位置以上で上下方向に移動する。
【0093】
図5に二点鎖線で示すように、フロート30の上限位置は、フロート30の上面30Uが上限ストッパ29Sに当接する位置である。図示は省略するが、フロート30の下限位置は、フロート30の下面30Dが下限ストッパ26Sに当接する位置である。
【0094】
水位センサ11は、基板上に配置された周知のリードスイッチであり、フロートガイド23のセンサ収容部23Sに収容されている。水位センサ11の信号配線は、キャップ29Cに形成された配線導出穴から外部に引き出され、後述する制御部C1に接続されている。
【0095】
水位センサ11は、フロート30に内蔵された永久磁石の接近及び離間に応じて内部接点が断接することで、フロート30の上下方向の位置を検知する。本実施例では、水位センサ11は、フロート30が図5に二点鎖線で示す上限位置にあるか否かを検知可能な位置に配置されている。
【0096】
フロート30は、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水が洗浄運転を実行するために必要な水量になった場合に、上限位置に到達する。また、フロート30は、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水を排水管P2によって排出する場合において、圧送されて検知室20Aに流入する洗浄水が多量である場合に、上限位置に到達する。
【0097】
洗浄運転中において、ノズル61から噴射される洗浄水の水量に応じて、洗浄槽7内の洗浄水の水位が一時的に低下し、検知室20A内の洗浄水も一時的に減少する。ここで、本実施例では、洗浄のために正転作動する一方、排水のために逆転作動する1つのポンプ62を排水手段と洗浄手段とで共用しつつ、ポンプ62の正転作動時の吐出圧が第1排水管P21にも作用する。また、第1排水管P21に作用する吐出圧の大きさ、ポンプ62と水位検知装置10との高低差等の使用条件により、洗浄運転中にフロート30の位置が上限位置から下がる。このため、フロート30は、洗浄運転中において、一時的に図5に二点鎖線で示す上限位置から図5に実線で示す位置に下降する。
【0098】
<流出口の配置>
流出口22は、流出口22の下端22Dが上限位置にあるフロート30の下面30D1以下となる位置であって、かつ、流出口22の上端22Uが洗浄運転中、すなわちノズル61から洗浄水を噴射している最中、におけるフロート30の下面30D2以上となる位置に配設されている。
【0099】
より好ましくは、流出口22は、流出口22の上端22Uが上限位置にあるフロート30における上面30U1と下面30D1との中間点30C1以下となる位置であって、かつ、流出口22の下端22Dが洗浄運転中におけるフロート30の上面30U2以上となる位置に配設されている。
【0100】
<制御部及び入出力部>
図1に示すように、食器洗浄機1は、制御部C1及び入出力部40をさらに備えている。制御部C1は、洗浄槽7の前面側における取っ手7Gによりも下方に配置されている。入出力部40は、洗浄槽7の前面側の上端部に配置されている。
【0101】
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されたメモリと、制御対象との間で信号の送受信を行うインターフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。メモリは、食器洗浄機1を動作させるためのプログラム及び設定情報等を記憶している。
【0102】
制御部C1は、ポンプ62、ヒータ63及び乾燥ファン68等を制御して作動させるとともに、温度センサ63Sや、水位検知装置10の水位センサ11から検知信号を受信する。また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサや、洗浄槽7が収容位置でロックされたか否かを検知するロックセンサから検知信号を受信する。
【0103】
入出力部40は、ユーザが入力操作を行うための図示しない複数のボタン等を有している。また、入出力部40は、ランプや、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な表示素子等を有している。入出力部40は、ユーザの入力操作を制御部C1に伝達するとともに、制御部C1から伝達された情報を表示する。
【0104】
洗浄槽7が収容位置にある状態では、入出力部40の全体がシステムキッチンの天板CT1によって隠蔽されている。このため、ユーザは、入出力部40を操作及び視認できないようになっている。
【0105】
その一方、図示は省略するが、洗浄槽7が収容位置から引き出されることにより、入出力部40の全体がシステムキッチンの天板CT1よりも前方に移動する。このため、ユーザは、入出力部40を操作及び視認できるようになる。
【0106】
<洗浄運転>
上記構成である食器洗浄機1では、以下の手順で、洗浄運転が実行される。すなわち、洗浄槽7が収容位置から引き出された状態で、ユーザが入出力部40を操作して洗浄運転の開始を指示した後に、洗浄槽7を収容位置まで押し込む。
【0107】
これにより、制御部C1は、図示しない位置センサによって洗浄槽7が収容位置にあることが検知され、かつ図示しないロックセンサによって洗浄槽7が収容位置でロックされたことが検知されたことを条件として、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に洗浄水を噴射する洗浄運転を実行する。つまり、制御部C1は、洗浄槽7の開口7Hが蓋体8によって閉塞される状態を確認した上で、ポンプ62を作動させて洗浄運転を実行する。
【0108】
制御部C1は、洗浄運転において、洗剤を含む洗浄水を用いた洗浄工程と、清浄な洗浄水を用いたすすぎ工程とを順次実行し、洗浄槽7内の食器類TW1を綺麗に洗浄する。
【0109】
制御部C1は、それらの工程の開始時及び途中において、適宜給水電磁弁69を開弁し、給水管P1を経由して洗浄槽7に水を供給する。この際、制御部C1は、水位センサ11からの検知信号に基づいて、洗浄槽7の貯水部71に貯水された洗浄水が洗浄運転を実行するために必要な水量になったか否かを判断し、到達したときに給水電磁弁69を閉弁する。
【0110】
また、制御部C1は、それらの工程の途中及び終了時において、適宜ポンプ62を逆転作動させ、洗浄槽7の貯水部71から排水管P2に洗浄水を圧送し、排水管P2によって、食器洗浄機1の外部に排出する。この際、制御部C1は、水位センサ11からの検知信号に基づいて、排水管P2を通過して排出される洗浄水の排出状況や排出終了を判断し、ポンプ62の逆転作動を制御する。
【0111】
そして、制御部C1は、洗浄運転の最後に乾燥工程を実行し、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させて洗浄槽7内の食器類TW1を乾燥させた後、洗浄運転を終了する。
【0112】
<作用効果>
実施例の水位検知装置10では、図5に示すように、流出口22の下端22Dが上限位置にあるフロート30の下面30D1以下となる位置にある構成により、洗浄槽7内の洗浄水を排出するときに、異物を含んだ洗浄水が検知室20A内で満水状態となってフロート30が上限位置まで上昇しても、フロート30が流出口22を完全に閉塞してしまうことがない。これにより、検知室20A内の上方で浮遊している異物を速やかに検知室20A外に排出できる。このため、異物がタンク20の内壁面、フロート30の貫通穴33及びフロートガイド23に付着し難い。
【0113】
また、洗浄運転中、洗浄槽7に貯水された洗浄水がノズル61及びポンプ62によって洗浄のために使用されているため、一時的に洗浄槽7内の洗浄水の水位が下がり、それに伴ってフロート30の位置も下がる。このとき、流出口22の上端22Uが洗浄運転中におけるフロート30の下面30D2以上となる位置にある構成により、異物が洗浄運転中に流出口22の上端22Uよりも上方で滞留し難く、タンク20の内壁面、フロート30の貫通穴33及びフロートガイド23に付着し難い。
【0114】
したがって、実施例の水位検知装置10では、異物によるフロート30の上下方向の移動不良を抑制でき、ひいては、水位の検知精度の低下を抑制できる。
【0115】
また、この水位検知装置10では、流出口22の上端22Uが上限位置にあるフロート30における上面30U1と下面30D1との中間点30C1以下となる位置に配設されている構成により、洗浄槽7内の洗浄水を排出するときに、異物を含んだ洗浄水が検知室20A内で満水状態となってフロート30が上限位置まで上昇しても、フロート30によって閉塞される流出口22の範囲を小さくできる。これにより、検知室20A内の上方で浮遊している異物を一層速やかに検知室20A外に排出できる。このため、異物がタンク20の内壁面、フロート30の貫通穴33及びフロートガイド23に一層付着し難い。また、流出口22の下端22Dが洗浄運転中におけるフロート30の上面30U2以上となる位置に配設されている構成により、洗浄運転中に一時的に洗浄槽7内の洗浄水の水位が下がり、それに伴ってフロート30の位置も下がるときに、異物が流出口22の下端22Dよりも上方で滞留し難く、タンク20の内壁面、フロート30の貫通穴33及びフロートガイド23に付着し難い。これらの結果、この水位検知装置10では、異物によるフロート30の上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0116】
さらに、この水位検知装置10では、上蓋29に、検知室20A内に流入した洗浄水を検知室20A外に排出可能な予備排水口28が穿設されている。この構成により、排水管P2によって多量の洗浄水が排出されて検知室20Aが満水状態となり、異物を含む洗浄水が上限位置まで上昇したフロート30よりも上方まで侵入してしまっても、速やかに予備排水口28から異物を含む洗浄水を排出できる。このため、この水位検知装置10では、異物がタンク20の内壁面、フロート30及びフロートガイド23に付着することを一層抑制でき、異物によるフロート30の上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0117】
また、この水位検知装置10では、予備排水口28から検知室20A外に延びる予備排水経路P3の一部、すなわち連通孔7Cが予備排水経路P3の他部、すなわち接続部28Cに対して縮径されている。この構成により、検知室20Aが満水状態になったときに、連通孔7Cが縮径された予備排水経路P3よりも流出口22から優先的に洗浄水を排出できる。また、予備排水経路P3における縮径されていない接続部28Cは、満水状態が回避された際、予備排水経路P3内に流入した洗浄水を管内に留めることなく、速やかに検知室20A内に戻すことができる。その結果、この水位検知装置10では、洗浄水に含まれた異物が予備排水経路P3内に残ることを抑制できる。
【0118】
さらに、この水位検知装置10では、図3に示すように、流入口21は、第1向きDR1がフロートガイド23の軸心X23の周方向の一方に向かう方向R1となるようにタンク右壁27Rの下部かつ後部に穿設されている。また、流出口22は、第2向きDR2が周方向の一方に向かう方向R1となるようにタンク左壁27Lにおける流入口21よりも上方かつ後部に穿設されている。この構成により、第1向きDR1で流入する洗浄水についてフロートガイド23の軸心X23周りに旋回させ易く、また、旋回しながら流出口22に到達した洗浄水について第2向きDR2で流出させることでその旋回流を促進し易い。その結果、この水位検知装置10では、タンク20の内壁面に異物が付着することを抑制でき、異物によるフロート30の上下方向の移動不良を一層抑制できる。また、旋回流によって比較的重い異物も流出口22から排出可能となるので、検知室20A内の底壁側を含む広い範囲を綺麗に保つことができる。その結果、この水位検知装置10では、異物によるフロート30の上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0119】
また、この水位検知装置10では、図4に示すように、フロート30は、軸心X23を中心とする円環状に形成されている。そして、フロート30の下面30D及び上面30Uに複数の羽根35が凸設されている。この構成により、旋回流が複数の羽根35に当たりながら流れてフロート30を回転させることで、フロート30及びフロートガイド23への異物の付着を抑制できる。その結果、この水位検知装置10では、異物によるフロート30の上下方向の移動不良を一層抑制できる。
【0120】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0121】
実施例に係る流入口21と流出口22との位置関係は一例であって、本発明はこの構成には限定されない。例えば、流出口22をタンク前壁27Aの左部に穿設し、第2向きDR2を周方向の一方に向かう方向R1となる前向きとするように変更してもよい。この場合、第2向きDR2は、第1向きDR1に対して直交する。また、流出口22をタンク右壁27Rの前部に穿設し、第2向きDR2を周方向の一方に向かう方向R1となる右向きとするように変更してもよい。この場合、第2向きDR2は、第1向きDR1に対して逆向きとなる。さらに、流出口22をタンク後壁27Bの右部に穿設し、第2向きDR2を周方向の一方に向かう方向R1となる後向きとするように変更してもよい。この場合、第2向きDR2は、第1向きDR1に対して直交する。
【0122】
実施例では、側壁27が四角筒形状であるが本発明はこの構成には限定されず、例えば側壁が円筒形状であってもよい。
【0123】
実施例では、流入口21は、側壁27の下部に穿設されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、流入口は底壁に穿設されていてもよい。
【0124】
実施例では、流入口21が丸穴形状であるが本発明はこの構成には限定されず、例えば、流入口が矩形穴形状や多角形穴形状であってもよい。流出口についても同様である。
【0125】
実施例では、フロートガイド23は、上蓋29から下向きに延びて、底壁26に凸設された台座24によって保持されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、底壁26から台座24を無くし、フロートガイド23の下端が保持されない構成も本発明に含まれる。
【0126】
実施例では、フロート30が円環状であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、フロートは、貫通穴を有していればどのような形状でもよく、四角環状などの多角環状でもよい。
【0127】
実施例では、フロート30の下面30D及び上面30Uに複数の羽根35が凸設されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、複数の羽根がフロートの下面のみに凸設されていてもよいし、フロートの外周面に凸設されていてもよい。
【0128】
本実施例では、洗浄のために正転作動する一方、排水のために逆転作動する1つのポンプ62を排水手段と洗浄手段とで共用しつつ、ポンプ62の正転作動時の吐出圧が第1排水管P21にも作用する。また、第1排水管P21に作用する吐出圧の大きさ、ポンプ62と水位検知装置10との高低差等の使用条件により、洗浄運転中にフロート30の位置が上限位置から下がる。本発明はこのような実施例の構成には限定されない。以下に3つの具体例を挙げる。
【0129】
例えば、本発明は、実施例と同様にポンプの正転作動時の吐出圧が排水管にも作用する構成であるが、排水管に作用する吐出圧の大きさ、ポンプと水位検知装置との高低差等の使用条件により、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がらなくてもよい。
【0130】
また、本発明は、洗浄のために正転作動する一方、排水のために逆転作動する1つのポンプを排水手段と洗浄手段とで共用しつつ、弁体がポンプの正転作動時に吐出圧に押されて排水管の入り口を閉じる構成であってもよい。そして、この構成において、吐出圧がゼロから上昇する途中で弁体の挙動が不安定になって排水管の入り口を確実に閉じていない状態で排水管の洗浄水がポンプ側に移動することにより、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がってもよい。また、この構成において、吐出圧がゼロから上昇して弁体が即座に排水管の入り口を閉じることにより、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がらなくてもよい。
【0131】
さらに、本発明は、排水手段のポンプとは別に洗浄手段がポンプを有し、洗浄手段のポンプの作動時であって排水手段のポンプの停止時に、排水管の洗浄水が排水手段のポンプ側に移動可能である構成であって、洗浄運転中にフロートの位置が上限位置から下がってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は例えば、食器洗浄機又は食器洗浄乾燥機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0133】
1…食器洗浄機
10…水位検知装置
TW1…被洗浄物(食器類)
7…洗浄槽
61、62…洗浄手段(61…ノズル、62…ポンプ)
P2、62…排水手段(P2…排水管、62…ポンプ)
26…底壁
29…上壁(上蓋)
27…側壁
20A…検知室
20…タンク
21…流入口
22…流出口
23…フロートガイド
33…貫通穴
30…フロート
11…水位センサ
22D…流出口の下端
22U…流出口の上端
30D…フロートの下面
30U…フロートの上面
30D1…上限位置にあるフロートの下面
30U1…上限位置にあるフロートの上面
30D2…洗浄運転中におけるフロートの下面
30U2…洗浄運転中におけるフロートの上面
30C1…上限位置にあるフロートにおける上面と下面との中間点
28…予備排水口
P3…予備排水経路
X23…フロートガイドの軸心
R1…フロートガイドの軸心の周方向の一方に向かう方向
DR1…第1向き
DR2…第2向き
35…複数の羽根
図1
図2
図3
図4
図5