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  • 特開-エフィナコナゾール外用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113148
(43)【公開日】2022-08-03
(54)【発明の名称】エフィナコナゾール外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20220727BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 31/02 20060101ALI20220727BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220727BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220727BHJP
【FI】
A61K31/454
A61P31/10
A61P31/02
A61P17/00 101
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008074
(22)【出願日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2021008871
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500152142
【氏名又は名称】日東メディック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100165892
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 啓司
(72)【発明者】
【氏名】多田 貴広
(72)【発明者】
【氏名】桑原 強志
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB31
4C076CC20
4C076CC32
4C076DD37
4C076DD37S
4C076DD43
4C076DD43A
4C076DD45
4C076DD45A
4C076DD45S
4C076DD46
4C076DD46A
4C076DD47
4C076DD47A
4C076FF11
4C076FF34
4C076FF36
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC60
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA06
4C086NA11
4C086ZA90
4C086ZB35
(57)【要約】
【課題】
安全かつ安定なエフィナコナゾールを有効成分として含有する液状外用組成物を提供する。
【解決手段】
エフィナコナゾールを有効成分し、さらに乳酸セチル及び乳酸、より好ましくはさらにトリアセチンや抗酸化剤を含む液状外用組成物を提供する。本発明によって、安全かつ安定な液状外用組成物が提供される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エフィナコナゾールを有効成分とする液状外用組成物であって、乳酸および乳酸セチルを含む組成物。
【請求項2】
乳酸と乳酸セチルの含有量が合わせて約4~5重量%である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
更に、トリアセチンを含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
トリアセチンの含有量が約4~5重量%である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
更に、抗酸化剤を含む請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
抗酸化剤が芳香族系の抗酸化剤である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
芳香族系の抗酸化剤がヒドロキシ安息香酸誘導体である請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
ヒドロキシ安息香酸誘導体が没食子酸プロピルである請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
エフィナコナゾールを約10重量%、乳酸と乳酸セチルを合わせて約4~5重量%およびトリアセチンを約4~5重量%を含有し、さらに抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエンまたは没食子酸プロピルを含有する請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
爪疾患の治療のための請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エフィナコナゾールを有効成分として含有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
真菌(いわゆるカビの仲間)によって皮膚に起こる疾患を皮膚真菌症といい、白癬は白癬菌が原因で生じる皮膚真菌症のひとつである。白癬菌はケラチンを栄養とするため、通常はケラチンの豊富な表皮の角質層や爪、毛包内角質や毛に感染し病変を生じる。白癬は罹患部位によって病名が異なり、足白癬(いわゆる水虫)、爪白癬(いわゆる爪水虫)、体部白癬、股部白癬、手白癬(いわゆる手の水虫)などと呼ばれる。
最も一般的な爪の疾患の1つである爪真菌症(爪白癬)は、爪甲、爪床、またはその両方への真菌感染によって引き起こされる。現在、爪真菌症は、爪障害全体のおよそ50%を占めている。爪真菌症症例の約60~80%は、紅色白癬菌(Trichophyton rubrum)、毛瘡白癬菌(Trichophyton mentagrophytes)および鼠径表皮菌(Epidermophyton floccosum)などの皮膚糸状菌が原因で生じる爪の真菌性疾患であり、手指爪より足指爪にはるかに多く見られる。残りの症例の多くは非皮膚糸状菌(例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)、スコプラリオプシス属(Scopulariopsis)およびフザリウム属(Fusarium))によって引き起こされる。
【0003】
爪白癬治療薬としては、内服薬と、爪に塗布する外用剤が知られている。爪白癬を適応症とした外用剤としては、日本国内では2014年に外用液剤が初めて承認、販売され、市場が拡大している。本外用液剤はクレナフィン(登録商標)爪外用液10%(商品名)で、エフィナコナゾール10重量%を有効成分とし、添加物としてデカメチルシクロペンタシロキサン、アジピン酸ジイソプロピル、乳酸アルキル(C12-C15)、ジブチルヒドロキシトルエン、無水クエン酸、エデト酸ナトリウム水和物、エタノールを含有する製剤である。エフィナコナゾールは、爪の構成成分であるケラチンとの親和性が低く、爪透過性が高いため、爪用外用剤として有効性が高いと言われている。
【0004】
爪に適用した外用剤に含まれる薬効成分を爪床の病巣部に効率よく到達させるためには、製剤処方の設計が極めて重要である。抗真菌活性物質の爪透過性は、抗真菌活性物質自体の特性に加え、各処方成分の特性、及び、その配合比率によって大きく変動する。処方成分は、薬効や塗布後の質感や臭気等にも影響を与えるため、製剤処方は、それらのバランスを考慮して設計されなければならない。より安全かつ安定で、爪浸透性が良好な外用組成物の開発が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、より安全かつ安定なエフィナコナゾールを有効成分として含有する液状外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、この様な状況に鑑みて鋭意研究したところ、乳酸と乳酸セチルを合わせて添加剤として使用することで、所望の目的を達成すること見出した。すなわち、本発明は、エフィナコナゾールを有効成分として含有し、乳酸および乳酸セチルを含む、安全かつ安定な液状外用組成物に関する。
【0007】
前記添加剤にさらにトリアセチンや抗酸化剤を加えてもよい。トリアセチンや抗酸化剤を加えることでより本発明の所望の効果を達成可能である。
【発明の効果】
【0008】
後述の実施例の結果から明らかな通り、本発明の処方によって、安定なエフィナコナゾールを活性成分とする新しい外用組成物を得ることができた。本発明の処方は、従来知られているエフィナコナゾール外用液と比べ、安全性が高いことが知られている添加物を用いるものであり、従来の製品より安全性が高い。本願の液状外用組成物は、爪外用液として爪真菌症などの爪疾患の治療に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ヒト爪モデルによる透過性試験の結果を示す図。本願発明の検体6は、対照品と同等の良好な爪透過性を示した。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および特許請求の範囲においては、数値が「約」の用語を伴う場合、その値の±10%以内の範囲を含むことを意図する。例えば、「約20」は、「18~22」を含むものとする。数値の範囲は、両端点の間の全ての数値および両端点の数値を含む。範囲に関する「約」は、その範囲の両端点に適用される。従って、例えば、「約20~30」は、「18~33」を含むものとする。
【0011】
本明細書および特許請求の範囲において、各成分の含有量は、特に断りがなければ本願の液状外用剤組成物全量を100重量%としたときの、各成分の含有量を重量%(w/w%)で示す。
【0012】
本発明に用いることのできるエフィナコナゾールは、フリー体のエフィナコナゾールであっても、薬学的に許容されるエフィナコナゾールの塩であってもよい。エフィナコナゾール(一般名)は、化学名(2R,3R)-2-(2,4-ジフルオロフェニル)-3-(4-メチレンピペリジン-1-イル)-1-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)ブタン-2-オールにて示される化合物である。フリー体のエフィナコナゾールは白色~微黄色の結晶、結晶性の粉末又は塊であり、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、無水酢酸又はジエチルエーテルに溶けやすく、水にほとんど溶けない。薬学的に許容される塩は特に限定されず、無機塩であっても有機塩であってもよい。エフィナコナゾールの無機塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられ、有機酸塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。入手のしやすさの観点から、フリー体のエフィナコナゾールを用いることが好ましい。
【0013】
エフィナコナゾールの含量としては、十分な薬効を得るため、組成物全量に対して0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上であり、さらに好ましくは1重量%以上であり、さらに一層好ましくは2重量%以上であり、特に好ましくは5重量%以上であり、最も好ましくは7重量%以上である。一方、製剤として塗布しやすい粘度を確保する観点から、上限として30重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましく、15重量%以下が特に好ましく、10重量%以下が最も好ましい。エフィコナゾールを10重量%含有する組成物が例示される。
【0014】
本発明の組成物は添加剤として乳酸と乳酸セチルを含むことを特徴とする。乳酸と乳酸セチルの本発明の組成物中の含有量は合わせて0.1重量%~15重量%、好ましくは1重量%~10重量%、特に約4~5重量%、例えば乳酸を約3~4重量%、乳酸セチルを約1重量%とするのが好ましい。
【0015】
本発明の組成物はトリアセチンを含み得る。本発明の組成物中のトリアセチンの含有量は0.1重量%~30重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、例えば約4~5重量%とするのが好ましい。
【0016】
本発明の組成物はさらに抗酸化剤を含み得る。抗酸化剤の例としては、クエン酸水和物、エデト酸ナトリウム、芳香族系の抗酸化剤など(例えばジブチルヒドロキシトルエン(BHT)や没食子酸プロピルなど)が挙げられる。好ましい抗酸化剤は芳香族系の抗酸化剤、より好ましくはヒドロキシ安息香酸誘導体、特に好ましくは没食子酸プロピルが挙げられる。一実施形態において、本発明の組成物は、抗酸化剤を0.01重量%以上2重量%以下、0.1重量%以上1重量%以下の含有量で含むことができる。BHTを約0.1重量%、あるいは没食子酸プロピルを約0.2重量%の含有量で含む組成物が例示される。
【0017】
本発明の組成物は、水を含み得る。本発明の組成物は水を1~10重量%、2~8重量%、例えば約4重量%の含有量で含むことができる。
【0018】
本発明の組成物はアルコールを含み得る。アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコールなどの1価アルコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコールが例示され、1種あるいは2種以上含み得る。好ましくは1価アルコール、特にエタノールが好適に例示される。本発明の組成物中の該アルコールの総含有量は、10~80重量%、好ましくは40~70重量%である。
【0019】
本発明の組成物は非極性溶媒を含み得る。非極性溶媒の例には、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、乳酸ミリスチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、およびシクロメチコンが例示され、1種あるいは2種以上含み得る。好ましくはアジピン酸ジイソプロピルが例示される。本発明の組成物中の非極性溶媒の総含有量は、5~30重量%、好ましくは8~15重量%、例えば約11~12重量%である。
【0020】
本発明の組成物は、3~7の範囲のpH値を有することが好ましい。より好ましいpH値は4~6である。組成物を上記範囲のpH値に調節するためのpH調節剤としては、低pH領域に調節するために使用されるものとして、リン酸二水素カリウム、クエン酸などが挙げられ、高pH領域に調節するため使用されるものとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、L-アルギニン、ジイソプロパノールアミンなどが挙げられる。特に好ましいpH調節剤として、リン酸二水素カリウム、水酸化カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、ジイソプロパノールアミン、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0021】
本発明に係る外用組成物は、上記成分の他に、保存剤(防腐剤)、湿潤剤、安定化剤、紫外線吸収剤等、皮膚用外用剤に一般的に使用される添加剤を含むことができる。
【0022】
上記保存剤の例としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラオキシ安息香酸エステル(パラベン類)、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノールなどが挙げられる。上記保存剤は、一種のみを用いてもよく、複数を併用してもよい。一実施形態において、本発明の組成物中の保存剤の含有量は、0.01~1重量%の範囲とすることが好ましく、0.1~0.5重量%の範囲とすることがより好ましい。
【0023】
上記湿潤剤の例としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤を用いることができる。一実施形態において、本発明の組成物は湿潤剤を0.001重量%以上95重量%以下、5重量%以上80重量%以下、7重量%以上60重量%以下、10重量%以上40重量%以下、又は10重量%以上15重量%以下の含有量で含むことが好ましい。
【0024】
上記安定化剤の例としては、エデト酸ナトリウム水和物(EDTA)、エデト酸二カリウム、エチレンジアミンコハク酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、無水クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などを用いることができる。一実施形態において、本発明の組成物は、安定化剤を0.0001重量%以上1重量%以下、0.0002重量%以上0.1重量%以下の含有量で含むことが好ましい。
【0025】
本発明の組成物は、各成分を混合溶解して製造することができる。必要に応じて適宜濾過、滅菌などの処理を行ってもよい。
【0026】
本発明によれば、従来よりも少ない添加剤で、より安全かつ安定なエフィナコナゾールを有効成分として含有する液状外用剤、例えばエフィナコナゾール含有爪外用液を提供し得る。
【0027】
以下に実験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明し、本願の効果を明らかにするが、これらは単なる例示であって、これらにより本願の範囲が限定されるものではない。
【実施例0028】
エフィナコナゾールに種々の添加剤を混合して、以下の表1に示すエフィナコナゾール含有溶液を調製した。4mLの各溶液を10mL容のポリエチレン製容器へ投入して蓋を閉めたものを安定性試験に供した。安定性試験は、各試料を60℃、75%RH、遮光条件下に2週間、溶液を投入した容器を正立させて行った。対照品として、クレナフィン(登録商標、科研製薬)を用いた。
【表1】
【0029】
安定性試験開始時と60℃2週間後の各溶液の透過性を分光光度計を用い、以下の条件で測定した。
機種:HITACHI U-3900 Spectrophotometer
測定方法
指定波長:500nm,スリット:2nm,積算時間:2s,セル長:10mm
安定性試験開始時と2週間後の変化量を計算し、小数第2位を四捨五入した。結果を以下に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
エフィナコナゾールにトリアセチン、乳酸セチルおよび乳酸を含み、抗酸化剤としてBHTまたは没食子酸プロピルを含んでいる検体1、2、4、6および8は対照品と同様に透過性の変化は認められず、当該処方により、安全かつ安定な液状外用組成物を得た。
一方、抗酸化剤としてアスコルビン酸が含まれている検体3、5、7および9は吸光度が増加し、透過性が低下した。
【0032】
〔エフィナコナゾールの含有量測定〕
表1に示すエフィナコナゾール含有溶液のうち、安定性試験にて透過性の変化が認められなかった検体1、2、4、6および8をそれぞれ50 mLのガラス遠沈管に充てんしたものを60℃/なりゆき湿度、遮光条件下に2週間正立条件で保管した。対照品として、クレナフィン(登録商標、科研製薬)を用いて同様の保存条件にて保管した。
安定性試験開始時と60℃2週間後のエフィナコナゾールの含量について、高速液体クロマトグラフィー(機種:(株)島津製作所 LC-2030C Plus)を用いて測定した。開始時と2週間後の含量値及び開始時に対する残存率について、小数第2位を四捨五入した結果を以下に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
いずれの検体においても、60℃2週間において含量の変化は認められず、対照品と同等に安定な液状外用組成物を得た。
【0035】
〔ヒト爪モデルによる透過性試験〕
検体6および対照品のヒト爪透過性試験を下記の方法により行った。
ヒトの爪は、白人男性手指爪(人指し指爪、中指爪、薬指爪)、年齢:30~65歳を用いた。ヒト爪をフランツセルに挟み込み、レシーバー側に40%ポリエチレングリコール400含有リン酸緩衝生理食塩液(PEG400含有PBS)を入れ、ドナー側に検体6または対照品を2μL入れた。レシーバー側のPEG400含有PBSを経時的にサンプリングし、透過したエフィナコナゾールの量を高速液体クロマトグラフィー-質量分析計にて測定した。結果を図1に示す。
【0036】
図1に示すように、検体6は、14日後の爪への累積透過量が2.91±1.34μg/cm、定常状態の透過速度が0.32±0.18μg/cm/日であり、Lag time(薬物の爪透過が定常状態に達するまでの時間)は4.40±0.90日を示した。一方、対照品は、14日後の爪への累積透過量が2.81±1.16μg/cmであり、定常状態の透過速度が0.27±0.11μg/cm/日であり、Lag timeは3.31±0.50日を示した。
【0037】
本結果より、検体6は、対照品と同等の良好な爪透過性を示した。
図1