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▶ 中西 義和の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113176
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】炭酸ガス含有飲料の調製法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A23L2/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009222
(22)【出願日】2021-01-24
(71)【出願人】
【識別番号】320014868
【氏名又は名称】中西 義和
(72)【発明者】
【氏名】中西 良博
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC14
4B117LK01
4B117LK08
4B117LP11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】経済的に、且つ、少量で調製可能な炭酸ガス含有飲料の調製法及びそれにより得られる炭酸ガス含有飲料を提供する。
【解決手段】炭酸ガス含有飲料は、飲料が充填密封された耐圧性の容器A中で、有機酸類、炭酸塩類及び飲料の一部を混合することによって発生する炭酸ガスを飲料に溶解せしめることにより得られる。容器A中で炭酸ガスを発生させる方法として、有機酸類と炭酸塩類の混合物を充填した容器Bを、飲料を充填した容器Aに挿入して密封した後、容器Aを傾斜させ、飲料の一部を容器Bに加えることにより、炭酸ガスを発生させる、該炭酸ガス含有飲料の調製法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が充填密封された耐圧性の容器A中で、有機酸類、炭酸塩類及び飲料の一部を混合することによって発生する炭酸ガスを飲料に溶解せしめることにより得られる炭酸ガス含有飲料の調製法。
【請求項2】
容器A中で炭酸ガスを発生させる方法として、有機酸類と炭酸塩類の混合物を充填した容器Bを、飲料を充填した容器Aに挿入して密封した後、容器Aを傾斜させ、飲料の一部を容器Bに加えることにより、炭酸ガスを発生させることを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス含有飲料の調製法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の調製法により得られる炭酸ガス含有飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス含有飲料の調製法及び炭酸ガス含有飲料に関し、詳しくは、飲料が充填密封された容器中で有機酸類、炭酸塩類及び飲料の一部を混合することによって発生する炭酸ガスを飲料に溶解せしめることによる炭酸ガス含有飲料の調製法とそれにより得られる炭酸ガス含有飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸水を中心とする炭酸飲料の市場は、近年増加傾向にある。この背景として、炭酸ガスの清涼感や酒類等を割って飲むことにより味覚の向上感があること、又、飲食後、胃腸内で発生する炭酸ガスが胃腸内の血管を刺激し胃腸粘膜を活発にして便秘の解消や老廃物の排出等にも効果があると言われている。(腸内の環境改善)
【0003】
これらのことから、従来の炭酸飲料に加えて新規な炭酸飲料のニーズが発生しつつある。例えば、ブランデー、ウイスキー等の洋酒類、日本酒類、焼酎類や各種ジュース類等の炭酸飲料のニーズが次第に増加しつつある。
【0004】
従来、炭酸飲料の製造は大量仕様の為、少量にて調製するのは殆んど不可
能に近かったが、近年、小規模な炭酸水調製器が考案上市されている。しかしながら、これでも調製消費するには未だ調製量が多く、更には経済的にも
コスト高になるという課題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大量仕様の製造機を必要とすることもなく、又、コスト高であ
る市販の小規模な炭酸水調製器を使用することもなく、より経済的に少量調
製が可能な炭酸ガス含有飲料の調製法及びそれにより得られる炭酸ガス含
有飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことに
飲料が充填密封された耐圧性の容器中で、有機酸類、炭酸塩類及び飲料の一
部を混合することによって発生する炭酸ガスを飲料に溶解せしめることに
より炭酸ガス含有飲料が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明
を完成するに至った。この調製法により、少量で、しかも経済的に炭酸ガス
含有飲料が得られることは、それまで全く知られていなかった。
【0007】
即ち、請求項1に係る本発明は、飲料が充填密封された耐圧性の容器A中
で有機酸類と炭酸類及び飲料の一部を混合することに一部を混合することによって発生する炭酸ガスを溶解せしめることにより得られる炭酸ガス含有飲料の調製法を提供するものである。
【0008】
次に、請求項2に係る本発明は、容器A中で炭酸ガスを発生させる方法として、有機酸類と炭酸塩類の混合物を充填した容器Bを飲料を充填した容器
Aに挿入して密封した後、容器Aを傾斜させ、飲料の一部を容器Bに加えることにより、炭酸ガスを発生させることを特徴とする請求項1記載の炭酸ガス含有飲料の調製法を提供するものである。
【0009】
更に、請求項3に係る本発明は請求項1又は2記載の調製法により得られ
る炭酸ガス含有飲料を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、飲料が充填密封された耐圧性の容器中で有機酸類、炭酸
塩類及び飲料の一部を混合することによって発生する炭酸ガスを飲料に溶解せしめることにより、炭酸ガス含有飲料の調製法及びそれにより得られる炭酸ガス含有飲料が提供される。しかも本発明によれば、大量仕様の製造機を必要とすることもなく、又、コスト高である市販の炭酸水製造器を使用するといった課題点もなく、より経済的に少量の炭酸ガス含有飲料の調製が可能であり、よって食品工業分野において有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
先ず、請求項1に係る本発明について詳細に説明する。本発明の炭酸ガス含
有飲料とは、次の飲料類に炭酸ガスを溶解せしめたものが挙げられる。即ち、
水、茶類、コーヒー類、果汁類、機能性飲料、スポーツ飲料、アルコール飲
料、牛乳、スープ、豆乳及び栄養ドリンク類等が挙げられる。
【0012】
本発明で使用される耐圧性の容器とは、従来の炭酸飲料等の容器が一例に
挙げられる。耐圧性のない容器を使用すると発生する炭酸ガスの圧力により
容器が破損することが予想される為、好ましくない。尚、市販の炭酸飲料を
炭酸ガスの含有度により分類すると、強炭酸、中炭酸及び弱炭酸に一般分類
されるが、使用される容器の20℃における耐圧性はそれぞれ400kPa
、200kPa及び100kPa付近である。本発明の炭酸ガス含有飲料は
中~弱炭酸であり、20℃における耐圧性は200kPaで十分である。 ペットボトルの他、ガラス瓶、磁器容器及びステンレス容器等が使用される
が、密封できるものであれば形状は特に制限されない。次に、耐圧性容器A
に挿入する容器Bが使用されるが、容器Aに挿入でき傾斜した際、容器Bに飲料を加えられるものであれば形状は特に制限されない。通常、一方が密封された筒状の容器が好適に使用される。
【0013】
本発明で使用される有機酸類としては、常温で固体の食品用有機酸類が挙
げられる。即ち、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸及
び酒石酸の群から選ばれる一種類又は二種類以上を混合して使用される。又
、本発明で使用される食品用炭酸塩類としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸マグネシウム及びソーダ灰の群から選ばれる一種類又は二種
類以上を混合して使用される。
【0014】
本発明で使用される有機酸類と炭酸塩類との混合割合は、次の如くであ
る。有機酸類:炭酸塩類=10~70:90~30
有機酸類と炭酸塩類との混合物の使用重量は、飲料1Lに対し、10~
40gが好適に使用される。
【0015】
次に、請求項2に係る本発明について詳細に説明する。本発明で使用する
耐圧性容器A中で炭酸ガスを発生させる方法は次の如くである。即ち、上記
有機酸類と炭酸塩類の混合物を充填した容器Bを飲料が充填された容器A
に静かに挿入する。この際、容器B中に飲料が混入しないよう注意して行う
。次いで、容器Aを密封した後、容器Aを傾斜させて有機酸類と炭酸塩類の
混合物の2倍量以上の飲料を容器Bに静かに加える。この際、発泡により混
合物が容器B外に出ないよう、容器Bの形状、容量等を調整する必要がある。
混合物が飲料中に混入すると、アルカリ臭味やえぐ味等の異味異臭が発現
し、炭酸ガス含有飲料の風味を損なう為、好ましくない。
混合物に飲料の一部を加えた後、常温~冷蔵の条件下で3時間以上保管す
ることにより、炭酸ガス含有飲料が調製される。次いで、静かに容器Aを開
封し、容器Bを取り出してから飲用に供される。
【0016】
更に、請求項3に係る本発明は、請求項1又は2記載の調製法により得ら
る炭酸ガス含有飲料に関するものである。
【実施例0017】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらによってなんら制限されるものではない。
【0018】
実施例1~2
(1)炭酸ガス含有飲料の調製
表1に示す有機酸類と炭酸塩類との混合物に飲料(水)の一部を加えるこ
とにより、炭酸ガス含有飲料450gを調製した。即ち、容器A(市販炭酸水500mL容ペットボトル、内口径21mm、高さ20cm)に水を450mL充填する。一方、容器Bにはプラスチック製で、一方が密封された円筒容器(口の外径20mm、口の内径19mm、高さ18cm)を用い、表1に示す量の有機酸類と炭酸塩類の混合物を充填し、容器Aに挿入し密封する。次いで、容器Aを傾斜して充填水を容器Bに徐々に加える。次いで、容器を冷蔵条件で5時間保管することにより炭酸ガス含有飲料が調製される。最後に、容器Aを開封し、容器Bを静かに取り出してから、飲用に供される。
【0019】
(2)炭酸ガス含有飲料の評価
上記(1)で得られた炭酸ガス含有飲料の炭酸ガス食感の評価について以
下のようにして行った。評価は次の3段階で評価し、良好とやや良好であれ
ば炭酸ガス含有飲料として好適に用いることができる。結果を表1に示す。
(炭酸ガス食感の評価)
・口中でシュワシュワ感を感じる : 良好
・口中でシュワシュワ感をやや感じる : やや良好
・口中でシュワシュワ感を感じない : 不良
【0020】
【表1】
【0021】
比較例1~2
実施例1においてクエン酸を使用しないこと、又、実施例2において炭酸
ナトリウムを使用しないこと以外は実施例と同様にして、それぞれ炭酸ガス
含有飲料を調製し、実施例と同様にして炭酸ガス食感を評価した。結果を表
2に示す。


【0022】
【表2】