IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-燃料電池システム 図1
  • 特開-燃料電池システム 図2
  • 特開-燃料電池システム 図3
  • 特開-燃料電池システム 図4
  • 特開-燃料電池システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113189
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220728BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20220728BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220728BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20220728BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20220728BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20220728BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20220728BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20220728BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20220728BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20220728BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04303
H01M8/04 J
H01M8/04 N
H01M8/0432
H01M8/04302
H01M8/04664
H01M8/0612
C01B3/38
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009244
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薮谷 元彦
【テーマコード(参考)】
4G140
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
4G140AB01
4G140EA03
4G140EA06
4G140EB03
4G140EB32
4G140EB42
4G140EB43
4G140EC02
4G140EC03
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC07
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA34
5H127BA37
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB19
5H127BB37
5H127DA01
5H127DA11
5H127DB76
5H127DB80
5H127DB87
5H127DB90
5H127DC83
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE29
(57)【要約】
【課題】コストアップを抑えた簡易な構成で改質水を適切に供給可能とする。
【解決手段】燃料電池システムは、原燃料ガスを改質して改質ガスを生成する改質器と、改質器の改質に用いられる改質水を貯留する水タンクと、水タンク内の改質水を改質器に供給するための供給管に吐出する水ポンプと、供給管を流通する改質水の流量を検出する流量センサと、ダイヤフラム式の電磁弁として構成され、水ポンプと流量センサとの間および水タンクに接続されて開弁により水タンクに改質水を排出する排水弁と、排水弁を閉弁し流量センサの検出流量に基づくフィードバック制御により水ポンプを駆動して改質水を供給する給水制御と、システム停止時に排水弁を開弁し供給管内の改質水を排出させる排水制御とを実行可能な制御装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を含む改質ガスと酸素を含む酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
原燃料ガスを改質して前記改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器の改質に用いられる改質水を貯留する水タンクと、
前記水タンク内の改質水を前記改質器に供給するための供給管に吐出する水ポンプと、
前記供給管を流通する改質水の流量を検出する流量センサと、
ダイヤフラム式の電磁弁として構成され、前記水ポンプと前記流量センサとの間および前記水タンクに接続されて開弁により前記水タンクに改質水を排出する排水弁と、
前記排水弁を閉弁し前記流量センサの検出流量に基づくフィードバック制御により前記水ポンプを駆動して改質水を供給する給水制御と、システム停止時に前記排水弁を開弁し前記供給管内の改質水を排出させる排水制御とを実行可能な制御装置と、
を備える燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記供給管における前記流量センサの下流側にオリフィスが設けられている
燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記排水弁と前記水ポンプと前記流量センサとを接続するY字継手またはT字継手を備える
燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記排水弁は、前記水ポンプと前記流量センサとに接続されるようにY字またはT字の流路がボディ内部に設けられている
燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、システム起動時に、前記排水弁を開弁して前記水ポンプを駆動した後に、前記供給管内の水位が前記改質器の改質に必要な所定水位となるように前記給水制御を実行する
燃料電池システム。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、
前記燃焼部の温度に相関する温度を検出する温度センサと、
を備え、
前記制御装置は、システム起動時に、前記所定水位となるまで前記給水制御を実行した後に前記燃焼部でオフガスを燃焼させている状態で前記温度センサにより検出された温度が所定温度以上となった場合に、前記流量センサの検出精度の不良と判定する
燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記制御装置は、システム停止時に、前記排水制御を実行した後に前記排水弁を閉弁して前記水ポンプを排水確認用に所定時間駆動させ、該駆動に伴って前記流量センサにより流量ありが検出された場合に、前記排水制御における排水不良と判定する
燃料電池システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記流量センサは、前記水タンクの近傍に配置されている
燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃料電池システムとしては、燃焼部と、改質器と、水タンクと、水タンク内の水を供給管に吐出して改質器に供給する水ポンプとを備えるものが提案されている。例えば、特許文献1には、水タンク内の水を加熱するための加熱部と、供給管に開閉弁を介して接続された排水管とをさらに備え、システム起動時には、開閉弁を開いて供給管内の水を排水管から排水し、加熱部により水タンク内の水を加熱してから供給管に給水することで、細菌が繁殖した水が改質器に供給されるのを抑制している。また、特許文献2には、供給管内の水位を検出する水位センサをさらに備え、燃焼部の着火前に、水位センサからの検出信号に基づいて供給管内の水位を改質器の入口直前の所定水位に調整することで、改質水不足による改質部のコーキング(燃料の炭化現象)や、改質水過多による触媒の活性低下(性能低下)を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-9752号公報
【特許文献2】特開2012-133915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、起動時に供給管内の水を排水するため、システム停止中に供給管内で繁殖した細菌が供給管の内面に付着している場合があり、その場合には細菌の影響を排除することが困難である。また、電源遮断された状態のシステム停止中に外気温が低下した場合に、供給管内の水が凍結すると供給管が破損して改質水を供給不能となるおそれがある。また、特許文献2のシステムでは、改質器の入口付近に水位センサを設けるため、高温雰囲気に耐えられる水位センサを用いる必要があり、コストアップを招いてしまう。
【0005】
本発明は、コストアップを抑えた簡易な構成で改質水を適切に供給可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の燃料電池システムは、
水素を含む改質ガスと酸素を含む酸化剤ガスとに基づいて発電する燃料電池を備える燃料電池システムであって、
原燃料ガスを改質して前記改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器の改質に用いられる改質水を貯留する水タンクと、
前記水タンク内の改質水を前記改質器に供給するための供給管に吐出する水ポンプと、
前記供給管を流通する改質水の流量を検出する流量センサと、
ダイヤフラム式の電磁弁として構成され、前記水ポンプと前記流量センサとの間および前記水タンクに接続されて開弁により前記水タンクに改質水を排出する排水弁と、
前記排水弁を閉弁し前記流量センサの検出流量に基づくフィードバック制御により前記水ポンプを駆動して改質水を供給する給水制御と、システム停止時に前記排水弁を開弁し前記供給管内の改質水を排出させる排水制御とを実行可能な制御装置と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の燃料電池システムでは、供給管を流通する改質水の流量を検出する流量センサと、ダイヤフラム式の電磁弁として構成され水ポンプと流量センサとの間および水タンクに接続された排水弁とを備える。これにより、水ポンプの吐出により生じる改質水の脈動を、閉状態の排水弁のダイヤフラムで吸収することができるから、脈動による流量変動によって流量センサの検出上限を超えるのを抑えて流量センサの検出精度が低下するのを抑制することができる。このため、流量センサの検出流量に基づくフィードバック制御により水ポンプを駆動することで、高精度の流量保証がなされた高価な水ポンプを用いなくても、比較的安価な水ポンプを用いて改質水を適切に供給することができる。また、改質器の近傍に供給管の水位を検知する水位センサを設置不要としてコストダウンを図ることができる。また、システム停止時に排水制御を行うことで、供給管内に改質水が残存することにより、次のシステム起動時に細菌が繁殖した改質水が供給されたり、凍結によって供給管が破損したりするのを防止することができる。したがって、コストアップを抑えた簡易な構成で改質水を適切に供給可能とすることができる。
【0009】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記供給管における前記流量センサの下流側にオリフィスが設けられているものとしてもよい。こうすれば、水ポンプにより供給管に吐出された改質水が流量センサを勢いよく流通するのを抑えて排水弁に向かわせることができるから、排水弁のダイヤフラムによる脈動吸収効果を高めて、流量センサの検出精度が低下するのをさらに抑制することができる。
【0010】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記排水弁と前記水ポンプと前記流量センサとを接続するY字継手またはT字継手を備えるものとしてもよい。こうすれば、排水制御を行う際に、供給管内(流量センサ側)の改質水を排出しやすくすることができる。あるいは、本発明の燃料電池システムにおいて、前記排水弁は、前記水ポンプと前記流量センサとに接続されるようにY字またはT字の流路がボディ内部に設けられているものとしてもよい。こうすれば、継手や配管を削減して、コストを低減することができる。
【0011】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、システム起動時に、前記排水弁を開弁して前記水ポンプを駆動した後に、前記供給管内の水位が前記改質器の改質に必要な所定水位となるように前記給水制御を実行するものとしてもよい。排水弁を開弁して水ポンプを駆動することで、排水弁から改質水を排出しながらエアを抜くことができる。このため、システム起動時に、排水弁内などに残存しているエアを適切に除去して、改質に必要な所定水位まで改質水を精度よく供給することができる。
【0012】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池からのオフガスを燃焼させる燃焼部と、前記燃焼部の温度に相関する温度を検出する温度センサと、を備え、前記制御装置は、システム起動時に、前記所定水位となるまで前記給水制御を実行した後に前記燃焼部でオフガスを燃焼させている状態で前記温度センサにより検出された温度が所定温度以上となった場合に、前記流量センサの検出精度の不良と判定するものとしてもよい。所定水位となるまで給水制御を行ったにも拘わらず燃焼部が所定温度以上となった場合、流量センサの検出精度の不良によりフィードバック制御における供給流量が不足して所定水位まで給水されていなかった可能性が高いと考えられる。このため、流量センサの検出精度の不良を速やかに把握して、例えばシステム起動を停止するなどの適切な対処が可能となる。
【0013】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記制御装置は、システム停止時に、前記排水制御を実行した後に前記排水弁を閉弁して前記水ポンプを排水確認用に所定時間駆動させ、該駆動に伴って前記流量センサにより流量ありが検出された場合に、前記排水制御における排水不良と判定するものとしてもよい。こうすれば、排水弁の故障や作動不良を速やかに把握して、適切な対処が可能となる。
【0014】
本発明の燃料電池システムにおいて、前記流量センサは、前記水タンクの近傍に配置されているものとしてもよい。こうすれば、改質器近傍の高温雰囲気の影響を抑えることができるから、流量センサが高温雰囲気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することができる。なお、水タンクの近傍に配置されているとは、流量センサが、改質器近傍の高温雰囲気の影響を受けないように、改質器よりも水ポンプに近い位置に配置されているものなどであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。
図2】改質水供給装置40の構成図である。
図3】起動時水位調整制御の一例を示すフローチャートである。
図4】起動時着火制御の一例を示すフローチャートである。
図5】作動停止時排水制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0017】
図1は、燃料電池システム10の構成の概略を示す構成図である。本実施形態の燃料電池システム10は、図1に示すように、アノードガス(燃料ガス)中の水素とカソードガス(酸化剤ガス)中の酸素との電気化学反応により発電する燃料電池スタック21を含む発電モジュール20と、発電モジュール20にアノードガスの原料となる原燃料ガス(例えば天然ガスやLPガス)を供給する原燃料ガス供給装置30と、発電モジュール20に原燃料ガスからアノードガスへの水蒸気改質に必要な改質水を供給する改質水供給装置40と、発電モジュール20(燃料電池スタック21)にカソードガスとしてのエアを供給するエア供給装置50と、発電モジュール20で発生した排熱を回収するための排熱回収装置60と、燃料電池スタック21の出力端子に接続されると共にリレーを介して電力系統2から負荷4への電力ライン3に接続されるパワーコンディショナ70と、を備える。これらは、筐体12に収容されている。筐体12には、吸気口12aと排気口12bとが形成されており、吸気口12aの近傍には、外気を取り込んで筐体12の内部を換気するための換気ファン14が設置されている。
【0018】
発電モジュール20は、燃料電池スタック21や、気化器22、2つの改質器23を含み、これらは、本実施形態の燃料電池ケースとしてのモジュールケース29に収容されている。本実施形態では、発電モジュール20は、2つの燃料電池スタック21を有し、2つの燃料電池スタック21は、間隔をおいて互いに対向するようにモジュールケース29内に配置されたマニホールド24上に設置される。
【0019】
各燃料電池スタック21は、酸化ジルコニウム等の電解質と当該電解質を挟持するアノード電極およびカソード電極とをそれぞれ有すると共に図1中、左右方向(水平方向)に配列された複数の固体酸化物形の単セルを有する。各単セルのアノード電極内には、図示しないアノードガス通路が単セルの配列方向と直交する方向すなわち上下方向に延在するように形成されている。また、各単セルのカソード電極の周囲には、カソードガスを流通させる図示しないカソードガス通路が単セルの配列方向に直交する方向すなわち上下方向に延在するように形成されている。各単セルのアノードガス通路は、マニホールド24に接続され、各単セルのカソードガス通路は、モジュールケース29内のエア通路に接続される。更に、2つの燃料電池スタック21の間(近傍)には、両者との距離が同一となるように温度センサ94が設置されている。温度センサ94は、各燃料電池スタック21の温度に相関する温度T4を検出する。
【0020】
発電モジュール20の気化器22および改質器23は、モジュールケース29内の2つの燃料電池スタック21の上方に両者と間隔をおいて配設される。本実施形態では、一方の燃料電池スタック21の上方に気化器22および一方の改質器23が配置され、他方の燃料電池スタック21の上方に他方の改質器23が配置される。更に、一方の燃料電池スタック21と気化器22および一方の改質器23との間、並びに他方の燃料電池スタック21と他方の改質器23との間には、燃料電池スタック21の作動や、気化器22および改質器23での反応に必要な熱を発生させる燃焼部25が画成されている。各燃焼部25には、着火ヒータ26が設置されている。
【0021】
気化器22は、燃焼部25からの熱により原燃料ガス供給装置30からの原燃料ガスと改質水供給装置40からの改質水とを加熱し、原燃料ガスを予熱すると共に改質水を蒸発させて水蒸気を生成すると共に生成した水蒸気を改質器23へ供給する。気化器22により予熱された原燃料ガスは、水蒸気と混合され、その混合ガスは、当該気化器22から改質器23に流入する。また、改質器23には、当該改質器23に流入する混合ガスの温度T1を検出する温度センサ91が設置されている。
【0022】
改質器23は、その内部に充填された例えばRu系またはNi系の改質触媒を有し、燃焼部25からの熱の存在下で、改質触媒による気化器22からの混合ガスの反応(水蒸気改質反応)によって水素ガスと一酸化炭素とを生成する。更に、改質器23は、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気との反応(一酸化炭素シフト反応)によって水素ガスと二酸化炭素とを生成する。これにより、改質器23によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の原燃料ガス等を含むアノードガスが生成されることになる。改質器23により生成されたアノードガスは、配管やマニホールド24を介して各単セルのアノードガス通路へ流入し、アノード電極に供給される。
【0023】
また、燃料電池スタック21の各単セルのカソード電極には、モジュールケース29内に形成されたエア通路を介してカソードガスとしてのエアが供給される。各単セルのカソード電極では、酸化物イオン(O2 -)が生成され、当該酸化物イオンが電解質を透過してアノード電極で水素や一酸化炭素と反応することにより電気エネルギが得られる。各単セルにおいて電気化学反応(発電)に使用されなかったアノードガス(以下、「アノードオフガス」という)およびカソードガス(以下、「カソードオフガス」という)は、各単セルのアノードガス通路やカソードガス通路から上方の燃焼部25へと流出する。
【0024】
各単セルから燃焼部25に流入したアノードオフガスは、水素や一酸化炭素等の燃料成分を含む可燃性ガスであり、各単セルから燃焼部25に流入した酸素を含むカソードオフガスと混合される。以下、アノードオフガスとカソードオフガスとの混合ガスを「オフガス」という。そして、着火ヒータ26により点火させられて燃焼部25でオフガス(アノードオフガス)が着火すると、当該オフガスの燃焼により、燃料電池スタック21の作動や、気化器22での原燃料ガスの予熱や水蒸気の生成、改質器23での水蒸気改質反応等に必要な熱が発生することになる。また、燃焼部25では、未燃燃料や水蒸気を含む燃焼排ガスが生成され、当該燃焼排ガスは、燃焼触媒27を介して熱交換器62へ供給される。燃焼触媒27は、燃焼排ガス中の未燃燃料を再燃焼させるための酸化触媒である。更に、燃焼触媒27が設けられたガス通路には、燃焼触媒27を暖機するための触媒ヒータ28や、燃焼排ガスの温度T8を検出する温度センサ98が設置されている。
【0025】
原燃料ガス供給装置30は、原燃料ガスを供給する原燃料供給源1と気化器22とを接続する原燃料ガス供給管31と、当該原燃料ガス供給管31に組み込まれた開閉弁(2連弁)32,33、オリフィス34、ガスポンプ35および脱硫器36とを有する。原燃料ガスは、ガスポンプ35を作動させることで、原燃料供給源1から脱硫器36を介して気化器22へと圧送(供給)される。脱硫器36は、例えば常温脱硫式の脱硫器として構成される。また、原燃料ガス供給管31の開閉弁33とオリフィス34との間には、原燃料ガス供給管31内の圧力を検出する圧力センサ37や、原燃料ガス供給管31を流れる原燃料ガスの単位時間当りの流量(ガス流量Qg)を検出するガス流量センサ38が設置されている。
【0026】
図2は、改質水供給装置40の構成図である。改質水供給装置40は、改質水を貯留する改質水タンク42と、改質水タンク42から改質水を汲み上げて吐出する改質水ポンプ43と、改質水ポンプ43から吐出された改質水を発電モジュール20(気化器22,改質器23)に供給するための改質水供給管41と、改質水タンク42に接続された排水弁45と、改質水供給管41を流通する改質水の流量を検出する改質水流量センサ47と、改質水流量センサ47の出口側(下流側,発電モジュール20側)に設けられ流量を制限するオリフィス48とを有する。排水弁45は、改質水ポンプ43と改質水流量センサ47との間に接続されている。また、改質水供給装置40は、改質水ポンプ43と排水弁45と改質水流量センサ47とを接続するY字継手44を有する。即ち、排水弁45は、Y字継手44を介して改質水ポンプ43と改質水流量センサ47とに接続されている。
【0027】
排水弁45は、ゴムなどの弾性材料によって形成されたダイヤフラム膜を有するダイヤフラム式の電磁弁として構成され、開弁により改質水供給管41(Y字継手44)内の改質水を改質水タンク42に排出する。また、Y字継手44は、主管44aと、主管44aに対してY字状(二股)に斜めに分岐した分岐管44b,44cとを有し、主管44aが排水弁45に接続され、分岐管44bが改質水ポンプ43に接続されると共に分岐管44cが改質水流量センサ47の入口側に接続されている。Y字継手44は、例えば樹脂やフレキシブルチューブなど可撓性を有する材料で形成されている。あるいは、改質水ポンプ43と改質水流量センサ47とに接続されるように、排水弁45(電磁弁)のボディ内部にY字の流路またはT字の流路を構成してもよい。
【0028】
改質水供給装置40は、排水弁45が閉弁した状態で、改質水ポンプ43により改質水タンク42から汲み上げて吐出した改質水をY字継手44から排水弁45および改質水流量センサ47(オリフィス48)を経て改質水供給管41から気化器22へ圧送(供給)する供給流路を形成する。また、改質水供給装置40は、排水弁45が開弁した状態で、改質水供給管41(Y字継手44)内の改質水を改質水タンク42に排出可能であり、その状態で改質水ポンプ43を駆動することで改質水タンク42から汲み上げた改質水をY字継手44から排水弁45を経て改質水タンク42に排出する循環流路を形成する。
【0029】
エア供給装置50は、モジュールケース29内に形成されたエア通路に接続されるエア供給管51と、エア供給管51の入口に設けられたエアフィルタ52と、エア供給管51に組み込まれたエアポンプ53とを有する。エアポンプ53を作動させることで、カソードガスとしてのエアは、エアフィルタ52を介してエア供給管51に吸引され、モジュールケース29内のエア通路を経て各燃料電池スタック21へと圧送(供給)される。
【0030】
排熱回収装置60は、湯水を貯留する貯湯タンク63と、発電モジュール20の燃焼部25で生成された燃焼排ガスと湯水とを熱交換する熱交換器62と、貯湯タンク63と熱交換器62とを接続する循環配管61と、循環配管61に組み込まれた循環ポンプ64とを有する。貯湯タンク63内に貯留されている湯水は、循環ポンプ64を作動させることで、熱交換器62へと導入され、熱交換器62で燃焼排ガスとの熱交換によって昇温させられた後、貯湯タンク63へと返送される。熱交換器62で湯水との熱交換によって燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮し、これにより凝縮水が得られる。
【0031】
また、排熱回収装置60の熱交換器62は、凝縮水排出管66を介して改質水タンク42と接続されており、燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮することにより得られた凝縮水は、当該凝縮水排出管66を介して改質水タンク42内へと導入される。更に、熱交換器62の燃焼排ガスの通路は、燃焼排ガス排出管67に接続されている。これにより、発電モジュール20の燃焼部25から排出されて熱交換器62で水分が除去された排ガスは、燃焼排ガス排出管67を介して大気中に排出される。
【0032】
パワーコンディショナ70は、燃料電池スタック21から出力された直流電圧を所定電圧(例えば、DC250V~300V)に変換するDC/DCコンバータや、変換された直流電圧を電力系統2と連系可能な交流電圧(例えば、AC200V)に変換するインバータを有する。燃料電池スタック21の出力端子には、当該燃料電池スタック21から出力される電流Iを検出する図示しない電流センサが設けられ、燃料電池スタック21の出力端子間には、燃料電池スタック21の端子間電圧を検出する図示しない電圧センサが設けられている。パワーコンディショナ70は、システムに要求される要求発電電力に応じた電流が燃料電池スタック21から出力されるようDC/DCコンバータやインバータが備えるスイッチング素子をスイッチング制御する。
【0033】
パワーコンディショナ70から分岐した電力ラインには電源基板72が接続されている。電源基板72は、燃料電池スタック21からの直流電圧や電力系統2からの交流電圧を補機類の作動に適した直流電圧に変換して当該補機類に供給するものである。実施形態では、補機類としては、換気ファン14や開閉弁32,33、ガスポンプ35、改質水ポンプ43、排水弁45、エアポンプ53、循環ポンプ64などを挙げることができる。
【0034】
制御装置80は、CPU81を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU81の他に処理プログラムを記憶するROM82と、データを一時的に記憶するRAM83と、計時を行うタイマ84と、図示しない不揮発性メモリと、図示しない入出力ポートと、を備える。制御装置80には、圧力センサ37やガス流量センサ38、改質水流量センサ47、温度センサ91,94,98などからの各種検出信号が入力ポートを介して入力されている。また、制御装置80からは、換気ファン14のファンモータや開閉弁32,33のソレノイド、ガスポンプ35のポンプモータ、改質水ポンプ43のポンプモータ、排水弁45のソレノイド、エアポンプ53のポンプモータ、循環ポンプ64のポンプモータ、パワーコンディショナ70のDC/DCコンバータやインバータ、電源基板72、着火ヒータ26、触媒ヒータ28などへの各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。
【0035】
次に、こうして構成された燃料電池システム10の動作について説明する。まず、燃料電池システム10を起動する際の動作として、給水制御を行うことにより改質水供給管41内の改質水の水位を調整する起動時水位調整制御と、燃焼部25内の着火を行う起動時着火制御とを説明する。
【0036】
まず、起動時水位調整制御を説明する。図3は、起動時水位調整制御の一例を示すフローチャートであり、システム起動が指示された場合に制御装置80のCPU81により実行される。起動時水位調整制御では、制御装置80のCPU81は、まず、改質水ポンプ43を所定回転で駆動するように運転を開始して(S100)、改質水流量センサ47からの検出信号に基づいて検出流量あり即ち改質水の流通があると判定するのを待つ(S110)。なお、運転開始時は、排水弁45が閉弁されているため、上述したように改質水の供給流路が形成されている。CPU81は、S110で検出流量あり(出力あり)と判定すると、所定時間(例えば数秒から十秒程度)にわたり開弁するように排水弁45を制御する(S120)。なお、排水弁45は、所定時間開弁した後に、閉弁される。上述したように、排水弁45の開弁中は、改質水ポンプ43により改質水タンク42から汲み上げた改質水をY字継手44から排水弁45を経て改質水タンク42に排出する循環流路が形成されるから、Y字継手44や排水弁45内などのエア抜きを伴って排水を行うことができる。また、所定時間開弁した後は、排水弁45を閉弁して改質水の供給流路を形成するため、改質水は改質水供給管41に流れる。
【0037】
次に、CPU81は、改質水流量センサ47の検出流量ありと判定するのを待つ(S130)。CPU81は、検出流量ありと判定すると、改質水流量センサ47の検出流量が目標流量となるように改質水ポンプ43を駆動するフィードバック制御を行って(S140)、検出流量の累積値に基づいて規定流量の改質水が改質水ポンプ43から吐出(供給)されるのを待つ(S150)。なお、規定流量は、改質器23(気化器22)への改質水の供給に必要な流量として予め定められた流量である。S140,S150の処理により、改質水供給管41内の水位が、改質に必要な所定水位に調整される。CPU81は、S150で規定流量の改質水が吐出されたと判定すると、改質水ポンプ43の運転を停止して(S160)、起動時水位調整制御を終了する。起動時水位調整制御を終了すると、起動時着火制御に移行する。
【0038】
図4は、起動時着火制御の一例を示すフローチャートである。起動時着火制御では、CPU81は、まず、エアポンプ53の運転を開始し(S200)、ガスポンプ35の運転を開始すると共に(S210)、改質水ポンプ43の運転を開始する(S220)。なお、各ポンプは、それぞれの所定回転で駆動するように運転が開始される。そして、燃焼部25に燃料(原燃料ガス)とエアとの混合ガスが供給された状態でCPU81は、着火ヒータ26をオンして混合ガスに着火し(S230)、タイマ84による時間の計測を開始して(S240)、所定の待ち時間が経過するのを待つ(S250)。
【0039】
S250で待ち時間が経過すると、CPU81は、温度センサ91により検出された温度T1が、規定温度Tref1以下であるか否か(S260)、規定温度Tref2以上であるか否か(S270)、をそれぞれ判定する。規定温度Tref1は、高温異常を判定するための温度であり、規定温度Tref2は、規定温度Tref1よりも低い温度であって着火(燃焼)の有無を判定するための温度である。CPU81は、S260,S270で、温度T1が規定温度Tref1以下で且つ規定温度Tref2以上であると判定すると、着火が正常に行われたと判定して(S280)、起動時着火制御を終了する。なお、図示は省略するが、起動時着火制御を正常終了すると暖機運転制御に移行し、暖機運転制御を正常終了すると発電制御に移行する。
【0040】
一方、CPU81は、S260で温度T1が規定温度Tref1以下でなく規定温度Tref1を超える(高温異常)と判定すると、改質水流量センサ47の検出精度不良と判定しシステム異常停止(システム起動を停止)して(S290)、起動時着火制御を終了する。ここで、高温異常と判定される場合、起動時水位調整制御で調整された水位が正常でなく、実際に供給された改質水が不足していた可能性がある。起動時水位調整制御では、改質水流量センサ47の検出流量に基づくフィードバック制御を行うから、改質水の不足は、改質水流量センサ47の検出精度に問題があるためと考えられる。S290では、改質水流量センサ47の検出精度の不良と速やかに判定して、直ちにシステム異常停止することで、改質触媒等の保護を図るのである。なお、S290では、図示しない操作パネルの画面に異常停止の旨や改質水流量センサ47の検出精度不良の旨を示すメッセージを表示したり、操作パネルの異常報知ランプを点灯したりしてもよい。
【0041】
また、CPU81は、S270で温度T1が規定温度Tref2以上でなく規定温度Tref2未満であると判定すると、正常に着火しなかったと判定しガスポンプ35と改質水ポンプ43の運転を一旦停止して再着火の準備を行う(S300)。S300では、エアポンプ53の運転を停止せずに、ガスポンプ35の運転を停止してから一定時間が経過するのを待つことで、着火不良の混合ガスを排出する。次に、CPU81は、再着火回数が許容回数以下であるか否かを判定する(S310)。S310で再着火回数が許容回数以下であると判定すると、S210に戻って処理を実行することで再着火を行う。一方、S310で再着火回数が許容回数以下でなく許容回数を超えると判定すると、着火不良と判定しシステム異常停止して(S320)、起動時着火制御を終了する。
【0042】
次に、発電制御中の燃料電池システム10の運転を通常停止する際の動作として、改質水供給管41内の水抜きを行う排水制御を説明する。図5は、作動停止時排水制御の一例を示すフローチャートであり、システムの運転停止が指示されて通常停止制御を正常終了した場合に制御装置80のCPU81により実行される。なお、通常停止制御は、例えば、原燃料ガスと改質水とが少量供給されると共に燃料電池スタック21を冷却するためのエアが最大量供給されるようにガスポンプ35と改質水ポンプ43とエアポンプ53とを制御することで開始し、燃料電池スタック21がアノード電極が酸化しにくい所定温度まで低下すると原燃料ガスと改質水との供給が停止されるようにガスポンプ35と改質水ポンプ43とを運転停止し、さらに温度が低下して所定の停止温度に到達するとエアの供給が停止されるようにエアポンプ53を運転停止することなどにより行われる。
【0043】
作動停止時排水制御では、CPU81は、まず改質水ポンプ43を運転停止した状態で所定時間にわたり開弁するように排水弁45を制御して排水(水抜き)を行う(S400)。なお、排水弁45は、所定時間開弁した後に、閉弁される。そして、所定時間後に排水弁45を閉弁した状態で、CPU81は、改質水ポンプ43を排水確認用に運転を開始すると共に(S410)、タイマ84による時間の計測を開始して(S420)、確認用運転時間が経過するのを待つ(S430)。なお、確認用運転時間は、Y字継手44を含めて改質水供給管41に改質水が残存していなければ、即ち水抜きが確実に行われていれば、改質水ポンプ43を運転しても改質水流量センサ47まで改質水が到達しない程度の短時間に定められており、例えば2~3秒などの数秒程度の時間である。
【0044】
CPU81は、確認用運転時間が経過したと判定すると、改質水流量センサ47の検出流量なしか否かを判定する(S440)。即ち改質水の流通がないことを確認(判定)するのである。CPU81は、検出流量なしであると判定すると、S400の排水(水抜き)が正常に行われたと判定し(S450)、改質水ポンプ43の運転を停止して(S460)、作動停止時排水制御を終了する。なお、確認用運転時間は短時間であり、少量の改質水がY字継手44内などに残存しても凍結などによる影響が生じるおそれはない。一方、CPU81は、S440で検出流量なしではなく検出流量ありと判定すると、排水不良であると判定してシステム異常停止し(S470)、改質水ポンプ43の運転を停止して(S460)、作動停止時排水制御を終了する。なお、改質水ポンプ43の運転停止はS470のシステム異常停止で行ってもよい。また、排水不良は、排水弁45の作動不良や故障の可能性があるためと考えられるから、S470では、図示しない操作パネルの画面に排水異常の旨や排水弁45の不良の旨を示すメッセージを表示したり、操作パネルの異常報知ランプを点灯したりしてもよい。
【0045】
以上説明した燃料電池システム10では、ダイヤフラム式の電磁弁としての排水弁45が改質水ポンプ43と改質水流量センサ47との間に接続されているため、改質水ポンプ43の吐出により生じる脈動を、閉状態の排水弁45のダイヤフラムで吸収して抑制することができる。このため、脈動による改質水の流量変動があっても、改質水流量センサ47の検出上限を超えるのを抑えて検出精度が低下するのを抑制することができる。また、改質水流量センサ47の検出流量に基づくフィードバック制御により改質水ポンプ43を駆動することで、高精度の流量保証がなされた高価なポンプを用いなくても、比較的安価な改質水ポンプ43を用いて改質水を適切に供給することができる。また、改質水供給管41の所定水位を検知する水位センサを不要として、コストダウンを図ることができる。また、システム停止時に排水弁45を開弁して排水制御を行うことで、改質水供給管41内に改質水が残存しているために、細菌が繁殖した改質水が供給されたり、凍結によって改質水供給管41が破損したりするのを防止することができる。
【0046】
また、改質水流量センサ47の下流側にオリフィス48が設けられているため、吐出された改質水が改質水流量センサ47を勢いよく通過するのを抑えて排水弁45に向かわせるから、排水弁45のダイヤフラムによる脈動吸収効果を高めることができる。
【0047】
また、排水弁45と改質水ポンプ43と改質水流量センサ47とをY字継手44で接続するため、改質水供給管41内の改質水を排出しやすくすることができる。また、改質水流量センサ47を改質水タンク42(改質水ポンプ43)の近傍に配置することができるから、改質器23(気化器22)の近傍に配置するものに比して、高温雰囲気の影響を抑えることができる。このため、改質水流量センサ47が高温雰囲気の影響を受けて検出精度が低下するのを抑制することができる。
【0048】
また、システム起動時に、まず排水弁45を開弁して改質水ポンプ43を駆動することで改質水を排水弁45から排出しながらエアを適切に抜くことができるから、その後の水位調整制御(給水制御)において所定水位まで改質水を精度よく供給することができる。
【0049】
また、起動時着火制御では、温度T1が規定温度(所定温度)Tref1以上と判定した場合に、改質水流量センサ47の検出精度不良と判定して異常停止するから、検出精度不良を速やかに把握してシステム保護を図ることができる。
【0050】
また、作動停止時排水制御において、排水処理後に排水弁45を閉弁して改質水ポンプ43を排水確認用に駆動させ、改質水流量センサ47の検出流量ありの場合に排水(水抜き)不良と判定して異常停止するから、排水弁45の不良を速やかに把握してシステム保護を図ることができる。
【0051】
上述した実施形態では、Y字継手44を備えたが、これに限られず、T字継手など、排水弁45と改質水ポンプ43と改質水流量センサ47とを接続する三方継手を備えるものであればよい。また、樹脂やフレキシブルチューブなどに限られず、金属材料で形成されていてもよい。あるいは、三方継手に限られず、排水弁45を改質水ポンプ43と改質水流量センサ47との間に接続するものであればよい。
【0052】
実施形態では、作動停止時排水制御において、排水処理後に排水を確認する処理を毎回行うものとしたが、これに限られず、排水を確認する処理を所定回数毎に行ってもよいし所定期間経過毎に行ってもよい。あるいは、排水処理後に排水を確認する処理を行わなくてもよい。なお、排水正常を確認した後に再度排水弁45を所定時間開弁することで、確認用に改質水ポンプ43を駆動した際に吐出された改質水を排出してもよい。
【0053】
実施形態では、起動時着火制御において、温度センサ91により検出された温度T1に基づいて高温異常を判定したが、これに限られず、温度センサ94により検出された温度T4など燃焼部25の温度に相関する温度に基づいて高温異常を判定すればよい。あるいは、高温異常の判定を省略してもよいが、システム保護のため判定するものが好ましい。
【0054】
実施形態では、起動時水位調整制御において、先に排水制御(エア抜き)を行ってから所定水位まで給水制御を行ったが、これに限られず、排水制御を省略して所定水位まで給水制御を行ってもよい。例えば、システム停止時の排水制御において、排水を確認する処理を省略した場合、次のシステム起動時の水位調整制御では排水制御を省略してもよい。
【0055】
実施形態では、改質水流量センサ47の下流に設けられたオリフィス48を備えたが、これに限られず、オリフィス48を備えなくてもよい。
【0056】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、燃料電池スタック21が「燃料電池」に相当し、改質器23が「改質器」に相当し、改質水タンク42が「水タンク」に相当し、改質水供給管41が「供給管」に相当し、改質水ポンプ43が「水ポンプ」に相当し、改質水流量センサ47が「流量センサ」に相当し、排水弁45が「排水弁」に相当し、制御装置80が「制御装置」に相当する。オリフィス48が「オリフィス」に相当する。Y字継手44が「Y字継手」に相当する。燃焼部25が「燃焼部」に相当し、温度センサ91が「温度センサ」に相当する。
【0057】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0058】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、燃料電池システムの製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 原燃料供給源、2 電力系統、3 電力ライン、4 負荷、10 燃料電池システム、12 筐体、12a 吸気口、12b 排気口、14 換気ファン、20 発電モジュール、21 燃料電池スタック、22 気化器、23 改質器、24 マニホールド、25 燃焼部、26 着火ヒータ、27 燃焼触媒、28 触媒ヒータ、29 モジュールケース、30 原燃料ガス供給装置、31 原燃料ガス供給管、32,33 開閉弁、34 オリフィス、35 ガスポンプ、36 脱硫器、37 圧力センサ、38 ガス流量センサ、40 改質水供給装置、41 改質水供給管、42 改質水タンク、43 改質水ポンプ、44 Y字継手、44a 主管、44b,44c 分岐管、45 排水弁、47 改質水流量センサ、48 オリフィス、50 エア供給装置、51 エア供給管、52 エアフィルタ、53 エアポンプ、60 排熱回収装置、61 循環配管、62 熱交換器、63 貯湯タンク、64 循環ポンプ、66 凝縮水排出管、67 燃焼排ガス排出管、70 パワーコンディショナ、72 電源基板、80 制御装置、81 CPU、82 ROM、83 RAM、84 タイマ、91,94,98 温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5