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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113190
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】飛行体及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/14 20060101AFI20220728BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220728BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220728BHJP
   H01Q 3/30 20060101ALI20220728BHJP
   H01Q 21/08 20060101ALI20220728BHJP
   H01Q 1/28 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H04B7/14
B64C27/08
B64C39/02
H01Q3/30
H01Q21/08
H01Q1/28
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009246
(22)【出願日】2021-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、情報通信分野における研究開発委託事業(戦略的情報通信研究開発推進事業)、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】520503175
【氏名又は名称】WaveArrays株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】賀谷 信幸
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
5K072
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA07
5J021DB03
5J021FA05
5J021FA32
5J021GA02
5J021HA08
5J046AA04
5J046AB02
5J046KA01
5K072AA19
5K072AA29
5K072BB13
5K072BB27
5K072CC31
5K072DD13
5K072GG01
5K072GG14
5K072GG22
5K072GG31
5K072GG44
(57)【要約】
【課題】直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体及び通信システムを提供する。
【解決手段】本発明の飛行体1は、1以上のリニアアレイアンテナ(アンテナ4)と、コントローラ2と、を備え、コントローラ2は、送信アンテナT1が送信した情報を少なくとも1以上のアンテナ4が情報を受信する処理と、少なくとも1以上のアンテナ4がこの情報を受信アンテナR1に送信する処理と、を含む中継処理を実行可能である。飛行体1を含む本発明の通信システムCにおいて、送信アンテナT1と受信アンテナR1とは、互いに異なる。また、本発明の飛行体1において、情報を受信するアンテナ4と情報を送信するアンテナ4とは、互いに異なることが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のリニアアレイアンテナと、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
少なくとも1以上の前記リニアアレイアンテナが情報を受信する処理と、
少なくとも1以上の前記リニアアレイアンテナが前記情報を外部に送信する処理と、
を実行可能である、飛行体。
【請求項2】
前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナと前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナとが互いに異なる、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記受信する処理は、前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記情報の送信元への向きに制御する処理を含む、請求項1又は2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記送信する処理は、前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記情報の送信先への向きに制御する処理を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項5】
マルチコプターである、請求項1から4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記情報を送信可能な1以上の送信アンテナと、
前記送信アンテナからの前記情報を受信可能であり、受信した前記情報を外部に送信可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載の飛行体と、
前記飛行体から送信された前記情報を受信可能な1以上の受信アンテナと、
を含んで構成され、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとが互いに異なる、通信システム。
【請求項7】
前記送信アンテナの数が2以上であり、
前記受信する処理は、
前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナのうち1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから、1の前記送信アンテナへの向きに制御する処理と、
前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナのうち前記1以上の前記リニアアレイアンテナと異なる1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記1の送信アンテナと異なる前記送信アンテナへの向きに制御する処理と、
を含む、請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記受信アンテナの数が2以上であり、
前記送信する処理は、
前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナのうち1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから、1の前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、
前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナのうち前記1以上の前記リニアアレイアンテナと異なる1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記1の受信アンテナと異なる前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、
を含む、請求項6又は7に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波を用いた通信では、送信アンテナが送信する情報を中継装置が受信し、中継装置が受信アンテナに情報を送信する中継が行われる場合がある。中継を行うことにより、送信アンテナが送信した情報を受信アンテナが直接受信できない場合であっても、受信アンテナは、中継装置を介して送信アンテナが送信した情報を受信し得る。中継装置を用いて互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継する場合、中継装置は、より広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信可能であることが好ましい。
【0003】
アンテナを指向させることにより、より離れた位置にある送信アンテナからの情報を受信し得る。アンテナを指向させることに関し、パラボラアンテナ及び平面フェイズドアレイアンテナ等によって例示される直線状に指向させて用いるアンテナが知られている。直線状に指向させて用いるアンテナを用いることにより、直線状の範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信し得る。
【0004】
直線状の範囲より広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信する工夫の例として、非特許文献1は、多数のアンテナ素子を有するポール8本を用いて構成したフェイズドアレイアンテナを開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】賀谷 信幸(Nobuyuki Kaya)、人工衛星のためのアクティブフェイズドアレイアンテナを用いた新しい受信地上アンテナ(NEW RECEIVING GROUND ANTENNA USING ACTIVE PHASED ARRAY ANTENNA FOR SATELLITES)、「第67回国際宇宙会議(IAC 2016)予稿集」(In proceedings of "67th International Astronautical Congress(IAC 2016)")、2016年、p.3159-3162.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1によれば、多数のアンテナ素子を有するポール8本を用いて受信地上アンテナを構成するため、直線状の範囲より広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。これにより、いずれのタイミングにおいても、広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。
【0007】
ところで、建造物及び地形等によって例示される遮蔽物は、電波を遮蔽し得る。アンテナを飛行体に搭載することにより、アンテナが受信する情報を含む電波を遮蔽物が遮蔽することを防ぎ得る。しかし、非特許文献1の受信地上アンテナは、地上に設置する比較的大型のアンテナである。飛行体が生成可能な揚力等によって、飛行体に搭載するアンテナの重量は、制限され得る。また、飛行体にアンテナを搭載する場合、アンテナの形状に関する課題もある。飛行体に求められる空気力学的な特性等により、飛行体に搭載するアンテナの形状は、制限され得る。したがって、飛行体にアンテナを搭載する場合における重量及び/又は形状に関する制限を満たした上で、非特許文献1の受信地上アンテナを飛行体に搭載することは、容易ではない。
【0008】
中継においては、情報の送信に関する課題もある。より広い範囲にある受信アンテナに情報を送信可能であれば、中継装置は、互いにより離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継し得る。非特許文献1は、広い範囲にある受信アンテナに情報を送信する点においても、さらなる改良の余地がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体及び通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少なくとも1以上のリニアアレイアンテナが情報を受信する処理と、少なくとも1以上のリニアアレイアンテナがこの情報を外部に送信する処理を実行可能とすることで、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、1以上のリニアアレイアンテナと、コントローラと、を備え、前記コントローラは、少なくとも1以上の前記リニアアレイアンテナが情報を受信する処理と、少なくとも1以上の前記リニアアレイアンテナが前記情報を外部に送信する処理と、を実行可能である、飛行体を提供する。
【0012】
パラボラアンテナ及び平面フェイズドアレイアンテナ等によって例示される直線状に指向させて用いるアンテナがある。直線状に指向させて用いるアンテナを用いることにより、直線状の範囲にある送信元から送信された情報を受信し得る。一方、リニアアレイアンテナは、リニアアレイアンテナの長手方向を中心軸とする円錐状の範囲に指向させて用いることができる。ここでいう円錐状の範囲とは、円錐の側面及び側面周辺を含み、円錐の底面及び内部を含まない範囲のことである。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、リニアアレイアンテナが情報を受信する処理を行うため、直線状の範囲より広い円錐状の範囲にある送信元から送信された情報を受信し得る。また、第1の特徴に係る発明によれば、リニアアレイアンテナが情報を送信する処理を行うため、直線状の範囲より広い円錐状の範囲にある送信先に情報を送信し得る。
【0014】
飛行体が生成可能な揚力等によって、飛行体に搭載するアンテナの重量は、制限され得る。第1の特徴に係る発明によれば、飛行体は、1以上のリニアアレイアンテナとコントローラとを備えれば足りるため、飛行体にアンテナを搭載する場合における重量に関する制限を満たし得る。
【0015】
飛行体に求められる空気力学的な特性等により、飛行体に搭載するアンテナの形状は、制限され得る。第1の特徴に係る発明によれば、1以上のリニアアレイアンテナとコントローラとを備えれば足りるため、飛行体にアンテナを搭載する場合における形状に関する制限を満たし得る。
【0016】
建造物及び地形等によって例示される遮蔽物は、電波を遮蔽し得る。第1の特徴に係る発明によれば、リニアアレイアンテナを備える飛行体であるため、リニアアレイアンテナが送信及び/又は受信する情報を含む電波が遮蔽物によって遮られることを防ぎ得る。したがって、第1の特徴に係る発明によれば、リニアアレイアンテナは、遮蔽物によって電波が遮られる場合より広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。第1の特徴に係る発明によれば、リニアアレイアンテナは、遮蔽物によって電波が遮られる場合より広い範囲にある受信アンテナに情報を送信し得る。
【0017】
第1の特徴に係る発明によれば、広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信し得ることと、広い範囲にある受信アンテナに情報を送信し得ることとを両立し得る。したがって、第1の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の情報を中継し得る。
【0018】
したがって、第1の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体を提供できる。
【0019】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナと前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナとが互いに異なる、飛行体を提供する。
【0020】
同じアンテナを用いて情報の受信と情報の送信とを同時に行う場合、受信する情報と送信する情報とがアンテナにおいて混ざり合って受信及び/又は送信に悪影響を及ぼす可能性がある。受信に悪影響が及ぼされることにより、離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信できない可能性があり得る。送信に悪影響が及ぼされることにより、離れた位置にある受信アンテナに情報を送信できない可能性があり得る。
【0021】
第2の特徴に係る発明によれば、情報を受信するリニアアレイアンテナと情報を送信するリニアアレイアンテナとが互いに異なるため、受信と送信とを同時に行う場合に受信する情報と送信する情報とがリニアアレイアンテナにおいて混ざり合うことを防ぎ得る。これにより、離れた位置にある送信アンテナから送信された情報を受信することと、離れた位置にある受信アンテナに情報を送信することとを同時に達成し得る。したがって、第2の特徴に係る発明によれば、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継し得る。
【0022】
したがって、第2の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体を提供できる。
【0023】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明であって、前記受信する処理は、前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記情報の送信元への向きに制御する処理を含む、飛行体を提供する。
【0024】
第3の特徴に係る発明によれば、情報を受信するリニアアレイアンテナが指向する向きを、リニアアレイアンテナから情報の送信元への向きに制御するため、より離れた位置にある送信元から送信された情報を受信し得る。
【0025】
したがって、第3の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体を提供できる。
【0026】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明であって、前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記情報の送信先への向きに制御する処理を含む、飛行体を提供する。
【0027】
第4の特徴に係る発明によれば、情報を送信するリニアアレイアンテナが指向する向きを、リニアアレイアンテナから情報の送信先への向きに制御するため、より離れた位置にある送信先に情報を送信し得る。
【0028】
したがって、第4の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体を提供できる。
【0029】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴から第4の特徴のいずれかに係る発明であって、マルチコプターである飛行体を提供する。
【0030】
指向性を有する電波を用いて送信された情報を受信する場合、該電波を好適に受信可能な所定の位置に飛行体があることが好ましい。該電波を好適に受信可能な所定の位置に飛行体があることにより、飛行体は、より離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。しかし、飛行体が水平方向への移動手段を持たない気球である場合、飛行体は、所定の位置に移動することが難しい。
【0031】
3以上のローター(回転翼)を有する回転翼機であるマルチコプターは、ローターの回転速度の増減によって上昇及び/又は下降を行える。また、マルチコプターは、各ローターの回転数に差をつけることで、その機体を傾けられる。これにより、マルチコプターは、前進、後進、及び/又は旋回等を行える。第5の特徴に係る発明によれば、飛行体がマルチコプターであるため、飛行体は、上昇、下降、前進、後進、及び/又は旋回等を行うことによって所定の位置に移動し得る。
【0032】
飛行体が固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機である場合、飛行中の固定翼機が固定翼及び/又は可変翼から揚力を得るためには、固定翼機が移動し続ける必要がある。固定翼機が移動することにより、固定翼機の位置が所定の位置と異なる位置になり得る。マルチコプターは、空中の同じ位置で静止するホバリングを、固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機より容易に行える。第5の特徴に係る発明によれば、飛行体がマルチコプターであるため、飛行体は、所定の位置に静止し得る。これにより、飛行体は、より離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。
【0033】
飛行体が気球である場合、気球の位置は、風の影響によって変化し得る。気球の位置が変化することにより、気球の位置が所定の位置と異なる位置になり得る。第5の特徴に係る発明によれば、飛行体がマルチコプターであるため、風の影響を打ち消すように飛行状態を制御し得る。これにより、飛行体は、所定の位置に静止し得る。所定の位置に静止することにより、飛行体は、より離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。
【0034】
飛行体が固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機である場合、飛行体の形状は、飛行体が飛行するために十分な揚力を固定翼及び/又は可変翼から得ることができる形状であることが求められ得る。第5の特徴に係る発明によれば、飛行体がマルチコプターであり、固定翼及び/又は可変翼を必要としないため、固定翼及び/又は可変翼から得る揚力に関する形状の制限を受けることを防ぎ得る。したがって、第5の特徴に係る発明によれば、飛行体にアンテナを搭載する場合における形状に関する制限をよりいっそう満たし得る。
【0035】
したがって、第5の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体を提供できる。
【0036】
第6の特徴に係る発明は、前記情報を送信可能な送信アンテナと、前記送信アンテナからの前記情報を受信可能であり、受信した前記情報を外部に送信可能である、第1の特徴から5の特徴のいずれかに係る飛行体と、前記飛行体から送信された前記情報を受信可能な受信アンテナと、を含んで構成され、前記送信アンテナと前記受信アンテナとが互いに異なる、通信システムを提供する。
【0037】
第6の特徴に係る発明によれば、円錐状の範囲にある送信アンテナからの情報を受信し得る。円錐状の範囲は、直線状の範囲より広い。したがって、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信し得る。また、第6の特徴に係る発明によれば、円錐状の範囲にある受信アンテナに情報を送信し得る。したがって、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある受信アンテナに情報を送信し得る。また、第6の特徴に係る発明によれば、受信及び/又は送信する情報を含む電波が遮蔽物によって遮られることを防ぎ得る。したがって、第6の特徴に係る発明によれば、互いに異なる送信アンテナと受信アンテナとのそれぞれが互いに離れた位置にあっても、送信アンテナと受信アンテナとの間の情報を中継し得る。
【0038】
したがって、第6の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な通信システムを提供できる。
【0039】
第7の特徴に係る発明は、第6の特徴に係る発明であって、前記送信アンテナの数が2以上であり、前記受信する処理は、前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナのうち1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから、1の前記送信アンテナへの向きに制御する処理と、前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナのうち前記1以上の前記リニアアレイアンテナと異なる1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記1の送信アンテナと異なる前記送信アンテナへの向きに制御する処理と、を含む、通信システムを提供する。
【0040】
第7の特徴に係る発明によれば、情報を受信するリニアアレイアンテナを複数の送信アンテナそれぞれに応じた複数のグループに分けることができる。そして、これらグループそれぞれに含まれるリニアアレイアンテナが指向する向きそれぞれを複数の送信アンテナそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御し得る。これにより、送信アンテナの数が2以上であっても、情報を受信するリニアアレイアンテナのうち少なくとも一部のリニアアレイアンテナが指向する向きを、リニアアレイアンテナから情報の送信元への向きに制御し、より離れた位置にある送信アンテナから送信された情報を受信し得る。
【0041】
したがって、第7の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な通信システムを提供できる。
【0042】
第8の特徴に係る発明は、第6又は第7の特徴に係る発明であって、前記受信アンテナの数が2以上であり、前記送信する処理は、前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナのうち1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから、1の前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナのうち前記1以上の前記リニアアレイアンテナと異なる1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記1の受信アンテナと異なる前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、を含む、通信システムを提供する。
【0043】
第8の特徴に係る発明によれば、情報を送信するリニアアレイアンテナを複数の受信アンテナそれぞれに応じた複数のグループに分けることができる。そして、これらグループそれぞれに含まれるリニアアレイアンテナが指向する向きそれぞれを複数の受信アンテナそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御し得る。これにより、受信アンテナの数が2以上であっても、情報を送信するリニアアレイアンテナのうち少なくとも一部のリニアアレイアンテナが指向する向きを、リニアアレイアンテナから情報の送信先への向きに制御し、より離れた位置にある受信アンテナに情報を送信し得る。
【0044】
したがって、第8の特徴に係る発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な通信システムを提供できる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な飛行体及び通信システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の実施形態における飛行体1を斜め上方からみたときの概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態におけるアンテナ4の概略図である。
図3図3は、コントローラ2で実行される中継処理の好ましい手順の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、アンテナ4を指向させて情報を受信する処理を示す概念図である。
図5図5は、アンテナ4を指向させて情報を送信する処理を示す概念図である。
図6図6は、複数の送信アンテナTから情報を受信する処理を示す概念図である。
図7図7は、複数の受信アンテナRに情報を送信する処理を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明を実施するための好適な形態の一例について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0048】
<通信システムC>
図1は、本発明の実施形態における飛行体1を斜め上方からみたときの概略図である。図2は、本発明の実施形態におけるアンテナ4の概略図である。以下、図1及び図2を参照して本発明の実施形態における通信システムCの好ましい構成の一例を説明する。
【0049】
通信システムCは、情報を送信可能な1以上の送信アンテナと、送信アンテナからの情報を受信可能であり、受信した情報を外部に送信可能である飛行体1と、飛行体1から送信された情報を受信可能である1以上の受信アンテナと、を含んで構成される。送信アンテナと受信アンテナとは、互いに異なることが好ましい。送信アンテナと受信アンテナとが互いに異なることにより、飛行体1は、送信アンテナが送信した情報を中継して、受信アンテナに送信できる。
【0050】
〔飛行体1〕
飛行体1は、コントローラ2と、送信機3と、1以上のアンテナ4と、飛行構造5と、電源部6と、を備えるよう構成される。必須の態様ではないが、飛行体1は、飛行体1が備える各部材等の2以上を所定の位置関係で支持可能な支持構造7を備えることが好ましい。支持構造7を備えることにより、飛行体1が含む各部材等が所定の位置関係を保つよう、該部材等それぞれを支持できる。
【0051】
飛行体1は、飛行可能であれば特に限定されない。飛行体1は、例えば、ヘリコプター、気球、飛行船、及び/又は固定翼機等でよい。ヘリコプターである飛行体1は、特に限定されず、主たる揚力を生むローター(回転翼とも称する。)の数が1であるシングルローター式ヘリコプター、2の回転翼を有するツインローター式ヘリコプター、及び/又は3以上の回転翼を有するマルチコプターでよい。固定翼機である飛行体1は、固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機でよい。
【0052】
建造物及び地形等によって例示される遮蔽物は、電波を遮蔽し得る。飛行体1がアンテナ4を備える飛行体であり、飛行可能であるため、アンテナ4が送信及び/又は受信する情報を含む電波が遮蔽物によって遮られることを防ぎ得る。したがって、アンテナ4は、遮蔽物によって電波が遮られる場合より広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。これにより、アンテナ4は、遮蔽物によって電波が遮られる場合より広い範囲にある受信アンテナに情報を送信し得る。
【0053】
本実施形態の飛行体1によれば、広い範囲にある送信アンテナが送信した情報を受信し得ることと、広い範囲にある受信アンテナに情報を送信し得ることとを両立し得る。したがって、本実施形態の飛行体1によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナ4を用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の情報を中継し得る。
【0054】
飛行体1は、無人航空機等によって例示される無人の飛行体でもよく、有人の飛行体でもよい。なかでも、飛行体1は、無人の飛行体であることが好ましい。飛行体1が無人の飛行体であることにより、飛行体1は、座席、風防、及び与圧構造等によって例示される操縦士等を収容するための構造等を必要としない。したがって、飛行体1の構造を有人の飛行体より簡易な構造にし得る。これにより、飛行体1の保守性及び/又は費用対効果等を改善し得る。また、飛行体1が無人の飛行体であることにより、操縦士等の疲労を考慮することなく、飛行体1を長時間飛行させ得る。これにより、中継処理をより長時間行い得る。
【0055】
飛行体1は、マルチコプターであることが好ましい。3以上のローターを有する回転翼機であるマルチコプターは、ローターの回転速度の増減によって上昇及び/又は下降を行える。また、マルチコプターは、各ローターの回転数に差をつけることで、その機体を傾けられる。これにより、マルチコプターは、前進、後進、及び/又は旋回等を行える。これにより、飛行体1は、上昇、下降、前進、後進、及び/又は旋回等を行うことによって所定の位置に移動し得る。
【0056】
飛行体1が気球である場合、気球の位置は、風の影響によって変化し得る。気球の位置が変化することにより、気球の位置が所定の位置と異なる位置になり得る。飛行体1がマルチコプターであれば、風の影響を打ち消すように飛行状態を制御し得る。これにより、マルチコプターである飛行体1は、所定の位置に静止し得る。所定の位置に静止することにより、飛行体1は、より離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。
【0057】
飛行体1が固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機である場合、飛行中の固定翼機が固定翼及び/又は可変翼から揚力を得るためには、固定翼機が移動し続ける必要がある。固定翼機が移動することにより、固定翼機の位置が所定の位置と異なる位置になり得る。マルチコプターは、空中の同じ位置で静止するホバリングを、固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機より容易に行える。飛行体1がマルチコプターであれば、飛行体1は、所定の位置に静止し得る。これにより、飛行体1は、より離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信し得る。
【0058】
飛行体1が固定翼及び/又は可変翼を用いて揚力を得る固定翼機である場合、飛行体1の形状は、飛行体1が飛行するために十分な揚力を固定翼及び/又は可変翼から得ることができる形状であることが求められ得る。飛行体1がマルチコプターであれば、固定翼及び/又は可変翼を必要としないため、固定翼及び/又は可変翼から得る揚力に関する形状の制限を受けることを防ぎ得る。したがって、飛行体1がマルチコプターであることにより、飛行体1にアンテナ4を搭載する場合における形状に関する制限をよりいっそう満たし得る。
【0059】
[コントローラ2]
コントローラ2は、送信機3及び1以上のアンテナ4を制御する。また、コントローラ2は、少なくとも1以上のアンテナ4が情報を受信する処理と、少なくとも1以上のアンテナ4が情報を外部に送信する処理と、を少なくとも含む中継処理を実行する。コントローラ2が行う中継処理については、後に図3を用いてより詳細に説明する。飛行体1がコントローラ2を備えることにより、飛行体1は、中継処理を実行し、情報を中継できる。
【0060】
コントローラ2は、特に限定されない。コントローラ2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える従来技術のマイクロコンピュータでよい。
【0061】
コントローラ2は、アンテナ4が受信した情報を取得可能に構成される。これにより、アンテナ4が情報を受信する処理を実行できる。コントローラ2は、送信機3及びアンテナ4を制御して情報を送信可能に構成される。これにより、送信機3を介してアンテナ4が情報を送信する処理を実行できる。
【0062】
必須の態様ではないが、コントローラ2は、アンテナ4が指向する向きを制御可能に構成されることが好ましい。これにより、コントローラ2は、情報の送信元及び/又は送信先に合わせてアンテナ4が指向する向きを制御し得る。
【0063】
コントローラ2は、飛行体1及び/又は通信システムCを利用する利用者から各種の指令を受信可能であることが好ましい。各種の指令は、例えば、飛行体1の飛行状態を制御する指令、及び/又はアンテナ4が指向する向きを変更する指令等が挙げられる。コントローラ2が利用者から各種の指令を受信可能であることにより、利用者の指令に応じて飛行体1を制御し得る。
【0064】
コントローラ2は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用してコントローラ2を動作させ得る。
【0065】
[送信機3]
送信機3は、アンテナ4に情報を送信させるアナログ信号を提供可能な送信機である。送信機3は、コントローラ2と1以上のアンテナ4と接続されている。送信機3は、コントローラ2による制御に応じてアナログ信号を1以上のアンテナ4に提供可能に構成される。送信機3は、特に限定されず、従来技術の送信機でよい。送信機3は、例えば、アナログ信号を発振する発振器及びアナログ信号を変調する変調器等を備えた送信機でよい。レーダ装置1が送信機3を備えることにより、アナログ信号を介して1以上のアンテナ4に情報を送信させることができる。
【0066】
送信機3は、コントローラ2と一体に構成されていてもよく、別体に構成されていてもよい。送信機3がコントローラ2と一体に構成されていることにより、コントローラ2と送信機3とを接続する配線等を含まない簡易な構成にし得る。送信機3がコントローラ2と別体に構成されていることにより、コントローラ2及び/又は送信機3を一体に構成される場合より簡易な構成にし得る。以下では、送信機3は、コントローラ2と別体に構成された送信機3であるものとして説明する。
【0067】
送信機3は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用して送信機3を動作させ得る。
【0068】
[アンテナ4]
アンテナ4は、送信アンテナからの情報を受信可能であり、送信機3から提供されるアナログ信号に応じて受信アンテナに情報を送信可能であるリニアアレイアンテナである。1以上のアンテナ4のそれぞれは、アンテナ本体41と、複数のアンテナ素子42と、1以上の移相機43と、合成器44と、コンバータ45と、を含んで構成される。1以上のアンテナ4のそれぞれは、コントローラ2と送信機3と接続されている。1以上のアンテナ4のそれぞれは、コントローラ2によって制御可能に構成されている。1以上のアンテナ4のそれぞれは、受信した情報をコントローラ2に提供可能に構成されている。
【0069】
飛行体1が1以上のアンテナ4を備えることにより、送信アンテナからの情報を受信し、受信アンテナに情報を送信する中継処理を実行できる。中継処理については、後に図3を用いてより詳細に説明する。
【0070】
飛行体1が生成可能な揚力等によって、飛行体1に搭載するアンテナの重量は、制限され得る。本実施形態の飛行体1は、1以上のアンテナ4及びコントローラ2等を備えれば足りるため、飛行体1にアンテナ4を搭載する場合における重量に関する制限を満たし得る。
【0071】
飛行体1に求められる空気力学的な特性等により、飛行体1に搭載するアンテナ4の形状は、制限され得る。本実施形態の飛行体1は、1以上のアンテナ4及びコントローラ2等を備えれば足りるため、飛行体1にアンテナ4を搭載する場合における形状に関する制限を満たし得る。
【0072】
パラボラアンテナ及び平面フェイズドアレイアンテナ等によって例示される直線状に指向させて用いるアンテナがある。直線状に指向させて用いるアンテナを用いることにより、直線状の範囲にある送信元から送信された情報を受信し得る。一方、リニアアレイアンテナは、リニアアレイアンテナの長手方向を中心軸とする円錐状の範囲に指向させて用いることができる。ここでいう円錐状の範囲とは、円錐の側面及び側面周辺を含み、円錐の底面及び内部を含まない範囲のことである。
【0073】
アンテナ4がリニアアレイアンテナであるため、直線状の範囲より広い円錐状の範囲にある送信元から送信された情報を受信し得る。また、直線状の範囲より広い円錐状の範囲にある送信先に情報を送信し得る。
【0074】
必須の態様ではないが、飛行体1は、2以上のアンテナ4を備えることが好ましい。飛行体1が2以上のアンテナ4を備えることにより、情報を受信するアンテナ4と異なるアンテナ4を用いて情報を送信し得る。
【0075】
同じアンテナ4を用いて情報の受信と情報の送信とを同時に行う場合、受信する情報と送信する情報とがアンテナ4において混ざり合って受信及び/又は送信に悪影響を及ぼす可能性がある。受信に悪影響が及ぼされることにより、離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信できない可能性があり得る。送信に悪影響が及ぼされることにより、離れた位置にある受信アンテナに情報を送信できない可能性があり得る。
【0076】
情報を受信するアンテナ4と異なるアンテナ4を用いて情報を送信することにより、受信と送信とを同時に行う場合に受信する情報と送信する情報とがアンテナ4において混ざり合うことを防ぎ得る。これにより、離れた位置にある送信アンテナから送信された情報を受信することと、離れた位置にある受信アンテナに情報を送信することとを同時に達成し得る。したがって、飛行体1が2以上のアンテナ4を備え、情報を受信するアンテナ4と異なるアンテナ4を用いて情報を送信することにより、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継し得る。
【0077】
飛行体1が2以上のアンテナ4を備えることにより、2以上の送信アンテナがある場合に、2以上の送信アンテナのそれぞれから情報を好適に受信する処理を行い得る。2以上の送信アンテナのそれぞれから情報を好適に受信する処理については、後に図6を用いてより詳細に説明する。
【0078】
飛行体1が2以上のアンテナ4を備えることにより、2以上の受信アンテナがある場合に、2以上の受信アンテナのそれぞれに情報を好適に送信する処理を行い得る。2以上の受信アンテナのそれぞれに情報を好適に送信する処理については、後に図7を用いてより詳細に説明する。
【0079】
アンテナ4は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用してアンテナ4を動作させ得る。
【0080】
必須の態様ではないが、1以上のアンテナ4それぞれが含む移相機43の数は、アンテナ素子42の数より1少ない数、アンテナ素子42の数と同じ数、及びアンテナ素子42の数より大きい数のいずれかであることが好ましい。移相機43の数がこれらの数のいずれかであることにより、複数のアンテナ素子42それぞれについて位相を制御し、アンテナ4が指向する向きを制御し得る。以下では、1以上のアンテナ4それぞれが含むアンテナ素子42の数と移相機43の数とは、いずれも所定の数「n」であるものとして説明する。
【0081】
図1には、飛行体1が備えるアンテナ4として、第1アンテナ4aと、第2アンテナ4bと、第3アンテナ4cと、第4アンテナ4dとが示されている。これらのアンテナ4それぞれは、コントローラ2、送信機3、及び後述する電源部6と接続されている。
【0082】
(情報について)
アンテナ4が送信及び/又は受信する情報は、特に限定されない。情報は、音声、画像、動画、文字、記号、及びコンピュータが利用するデータ等によって例示される各種の情報の1以上を含む情報でよい。情報がこれら各種の情報の1以上を含む情報であることにより、アンテナ4は、各種の情報を中継できる。
【0083】
情報は、電波を用いて送信及び/又は受信することが可能な情報であることが好ましい。情報が電波を用いて送信及び/又は受信することが可能な情報であることにより、アンテナ4は、電波を送信及び/又は受信することによって情報を送信及び/又は受信できる。以下、情報は、電波を用いて送信及び/又は受信することが可能な情報であるものとして説明する。
【0084】
情報は、中継対象となる情報であることを示す情報を含むことが好ましい。これにより、コントローラ2は、中継対象となる情報と中継対象とならない情報とを判別し、中継対象となる情報のみを中継し得る。
【0085】
(アンテナ本体41)
アンテナ本体41は、複数のアンテナ素子42等のアンテナ4が含む各種の構成要素を支持可能に構成される。これにより、リニアアレイアンテナを構成するように複数のアンテナ素子42それぞれを配置できる。
【0086】
(アンテナ素子42)
アンテナ素子42は、情報を受信及び/又は送信することが可能なアンテナ素子である。アンテナ素子42は、受信した情報を含むアナログ信号を移相器43に提供できる。アンテナ素子42は、移相器43が提供するアナログ信号に基づいて情報を送信できる。
【0087】
アンテナ素子42は、アンテナ4の長手方向に沿って、リニアアレイアンテナを構成するようアンテナ本体41に配置される。リニアアレイアンテナは、リニアアレイアンテナの長手方向を中心軸とする円錐状の範囲に指向させて用いることができる。ここでいう円錐状の範囲とは、円錐の側面及び側面周辺を含み、円錐の底面及び内部を含まない範囲のことである。
【0088】
アンテナ素子42がリニアアレイアンテナを構成するよう配置されることにより、直線状の範囲より広い円錐状の範囲にある送信元から送信された情報を受信し得る。また、アンテナ素子42がリニアアレイアンテナを構成するよう配置されることにより、直線状の範囲より広い円錐状の範囲にある送信先に情報を送信し得る。
【0089】
アンテナ素子42は、特に限定されず、情報を送信可能であり、かつ、情報を受信可能である従来技術のアンテナを用いて構成されたアンテナ素子でよい。情報が電波を用いて送信及び/又は受信する情報である場合、アンテナ素子42は、電波を送信及び受信可能なアンテナを含んで構成されることが好ましい。これにより、電波を用いて送信及び/又は受信する情報をアンテナ素子42において送信及び/又は受信できる。
【0090】
情報が電波を用いて送信及び/又は受信する情報である場合、アンテナ素子42は、実質的に無指向性のアンテナ素子であることが好ましい。ここでいう「実質的に無指向性」は、アンテナ素子42の利得がアンテナ素子42からみた方位によらず略同じであることを示す。ここでいう利得Gは、アンテナ素子42からみた方位におけるアンテナ素子42の電界強度を等方性アンテナの場合の電界強度で割った比のことである。
【0091】
実質的に無指向性のアンテナ素子42における利得Gの上限は、1.7以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.3以下であることがさらに好ましい。利得Gの上限を上述のとおり定めることにより、いずれの向きにある送信アンテナから送信された情報であっても好適に受信し得る。また、利得Gの上限を上述のとおり定めることにより、いずれの向きにある受信アンテナへも情報を好適に送信し得る。
【0092】
情報が電波を用いて送信及び/又は受信する情報である場合、複数のアンテナ素子42のそれぞれは、所定の配置間隔s[m]で配されていることが好ましい。これにより、隣接する2つのアンテナ素子42が送信する電波の位相それぞれに所定の位相差αを与えることで、アンテナ4が指向する向きを制御し得る。
【0093】
図2には、アンテナ4が含むアンテナ素子42として、第1アンテナ素子42aと、第2アンテナ素子42bと、第3アンテナ素子42cと、第4アンテナ素子42dとが示されている。これらのアンテナ素子42それぞれは、後述する移相器43それぞれと接続されている。これらのアンテナ素子42それぞれは、アンテナ4の長手方向に沿って配置され、リニアアレイアンテナを構成している。
【0094】
(移相機43)
移相機43は、アンテナ素子42から提供されるアナログ信号に関する位相を制御し、後述する合成器44に提供する移相機である。また、移相機43は、後述する合成器44によって分配されたアナログ信号の位相を制御し、アンテナ素子42に提供する移相機でもある。移相機43は、コントローラ2によって制御可能に構成される。移相機43は、特に限定されず、従来技術の移相器でよい。移相機43により、アンテナ素子42が受信及び/又は送信する情報に関する位相を制御し、アンテナ4を円錐状の向きに指向するよう制御し得る。
【0095】
移相器43は、特に限定されず、アナログ信号の位相を制御可能な従来技術の移相器を含む移相器でよい。移相器43がアナログ信号の位相を制御可能な移相器を含むことにより、移相器43は、アンテナ素子42から提供されるアナログ信号に関する位相を制御し、合成器44に提供できる。また、移相器43がアナログ信号の位相を制御可能な移相器を含むことにより、合成器44によって分配されたアナログ信号の位相を制御し、アンテナ素子42に提供できる。
【0096】
図2には、アンテナ4が含む移相機43として、第1移相機43aと、第2移相機43bと、第3移相機43cと、第4移相器43dとが示されている。これらの移相機43それぞれは、アンテナ素子42それぞれと接続されている。また、これらの移相器43それぞれは、コントローラ2及び分配器44と接続されている。
【0097】
移相機43は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用して移相機43を動作させ得る。
【0098】
(合成器44)
合成器44は、移相器43から提供される位相を制御されたアナログ信号を合成し、合成されたアナログ信号を後述するコンバータ45に提供可能な合成器である。複数の移相機43それぞれを介して提供されたアナログ信号それぞれが微弱である場合、コンバータ45によって該アナログ信号をデジタル信号に変換できない場合があり得る。合成器44を含むことにより、アナログ信号それぞれが微弱である場合であっても、これらのアナログ信号を合成して得られたより強いアナログ信号をコンバータ45に提供し得る。したがって、コンバータ45は、より強いアナログ信号をデジタル信号に変換し得る。
【0099】
合成器44は、送信機3から提供されるアナログ信号を分配し、分配されたアナログ信号のそれぞれを複数の移相機43それぞれに提供可能な分配器でもある。分配器でもある合成器44により、送信機3が複数のアナログ信号を同時に生成することができない送信機であっても、複数の移相機43それぞれにアナログ信号を提供できる。
【0100】
以下、分配器として用いることも可能な合成器を、その用途によらず単に「合成器」と称する。合成器44は、特に限定されず、例えば、抵抗合成器、ウィルキンソン合成器、及びハイブリッド合成器等によって例示される従来技術の合成器でよい。合成器44は、2以上の合成器の組合せを含む合成器でもよい。
【0101】
(コンバータ45)
コンバータ45は、合成器44から提供されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換して得られたデジタル信号をコントローラ2に提供する。これにより、コントローラ2において実行される中継処理に適したデジタル信号の態様で、情報をコントローラ2に提供できる。コンバータ45は、特に限定されず、従来技術のアナログ信号をデジタル信号に変換可能なコンバータでよい。
【0102】
コンバータ45は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用してコンバータ45を動作させ得る。
【0103】
(増幅器)
必須の態様ではないが、アンテナ4は、1以上の増幅器(図示せず)を含むことが好ましい。増幅器は、アナログ信号を増幅可能な増幅器である。一般に、増幅されたアナログ信号は、増幅されないアナログ信号より解析が容易である。したがって、増幅器を含むことにより、アナログ信号の解析をより容易に行い得る。また、増幅器を含むことにより、増幅されたより強いアナログ信号に基づいて情報を送信できる。増幅器は、特に限定されず、従来技術の増幅器でよい。
【0104】
増幅器は、移相器43のそれぞれが合成器44に提供するアナログ信号をそれぞれ増幅可能であることが好ましい。これにより、受信した情報を含むアナログ信号をより強くできる。したがって、コンバータ45においてアナログ信号をデジタル信号に変換することがより容易になる。
【0105】
増幅器は、合成器44が提供するアナログ信号を増幅可能であることが好ましい。これにより、合成器44における分配でアナログ信号の強度が低下した場合に、アナログを増幅して移相器43に提供し得る。そして、より強いアナログ信号に基づく情報を送信できる。
【0106】
増幅器が、合成器44が提供するアナログ信号を増幅可能である場合、1以上のリニアアレイアンテナ4それぞれが含む増幅器の数は、n以上であることが好ましい。これにより、合成器44が提供するアナログ信号それぞれを増幅し、nの移相機43に提供し得る。
【0107】
増幅器は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用して増幅器を動作させ得る。
【0108】
(周波数変換器)
必須の態様ではないが、リニアアレイアンテナ4は、1以上の周波数変換器(図示せず)を含むことが好ましい。周波数変換器は、アンテナ素子42に提供されるアナログ信号の周波数を変換可能であり、アンテナ素子42から提供される反射波Rの周波数を変換可能である周波数変換器である。
【0109】
一般に、周波数がより高い電気信号を処理するほど、該信号を処理する部材の構成がより複雑になり、費用対効果等がより低下する。周波数変換器を含むことにより、送信機3、移相機43、合成器44、及び/又は、増幅器等が処理するアナログ信号の周波数を送信する情報を含む電波の周波数より低い周波数を処理するよう構成し得る。したがって、これらの構成要素の構成をより簡単にし、飛行体1の費用対効果等を改善し得る。
【0110】
周波数変換器の数は、n以上であることが好ましい。周波数変換器の数がn以上であることにより、nのアンテナ素子42が受信した情報に基づくアナログ信号の周波数それぞれを変換し得る。これにより、合成器44及びコンバータ45をアナログ信号の周波数より低い周波数を処理するよう構成し得る。また、増幅器及び/又は移相機43をアナログ信号の周波数より低い周波数を処理するよう構成し得る。周波数変換器の数がn以上であることにより、合成器44によって分配されたアナログ信号の周波数をそれぞれ変換し得る。これにより、送信機3及び合成器44を送信する情報を含む電波の周波数より低い周波数を処理するよう構成し得る。また、周波数変換器の数がn以上であることにより、移相機43、及び/又は、増幅器を送信する情報を含む電波の周波数より低い周波数を処理するよう構成し得る。
【0111】
周波数変換器は、特に限定されず、従来技術の周波数変換器でよい。周波数変換器は、例えば、所定の周期的な信号LOとアナログ信号とを合成することでアナログ信号の周波数を変換するミキサでよい。所定の周期的な信号LOとアナログ信号とを合成することにより、アナログ信号の周波数を、所定の周期的な信号LOの周波数とアナログ信号の周波数との和及び/又は差の周波数に変換できる。周波数変換器は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用して周波数変換器を動作させ得る。
【0112】
[飛行構造5]
図1に戻る。飛行構造5は、飛行体1に揚力及び/又は浮力を与え、飛行可能とする構造である。飛行構造5は、特に限定されない。飛行構造5は、コントローラ2による制御に応じて飛行体1の飛行状態を制御可能に構成される。
【0113】
飛行体1が気球である場合、飛行構造5は、空気より軽い気体を収容可能な気球部を含むことが好ましい。気球部を含むことにより、空気より軽い気体がもたらす浮力によって飛行体1を飛行させ得る。飛行体1が固定翼機である場合、飛行構造5は、飛行体1を移動させることが可能な推進部と飛行体1に移動に応じて揚力を発生可能な固定翼及び/又は可変翼とを含むことが好ましい。これにより、飛行体1を移動させ、この移動に応じて揚力を発生させ得る。この揚力により、飛行体1を飛行させ得る。
【0114】
飛行体1が1以上の回転翼を用いて揚力を得るヘリコプター等である場合、飛行構造5は、1以上の駆動部51と駆動部51によって回転する1以上の回転翼52とを含むことが好ましい。これにより、駆動部51を用いて回転翼52を回転させ、揚力を得ることができる。この揚力により、飛行体1を飛行させ得る。
【0115】
飛行体1が3以上の回転翼を用いて揚力を得るマルチコプターである場合、飛行構造5の数が3以上であり、3以上の飛行構造5のそれぞれは、駆動部51と駆動部51によって回転する回転翼52とを含むことが好ましい。これにより、回転翼52を回転させ、揚力を得ることができる。この揚力により、飛行体1を飛行させ得る。3以上の飛行構造5のそれぞれが回転翼52を有することにより、回転翼52の回転速度の増減によって上昇及び/又は下降を行える。また、マルチコプターは、各回転翼52の回転数に差をつけることで、その機体を傾けられる。これにより、マルチコプターは、前進、後進、及び/又は旋回等を行える。したがって、飛行体1は、上昇、下降、前進、後進、及び/又は旋回等を行うことによって所定の位置に移動し得る。
【0116】
3以上の飛行構造5のそれぞれが駆動部51と回転翼52とを含むことにより、駆動部51は、動力を分配する動力分配装置等を介さずに回転翼52を直接回転させ得る。これにより、飛行構造5を簡易な構成にし得る。また、駆動部51が動力分配装置等を介さず回転翼52を回転させることにより、動力分配装置等の制御を行わない比較的簡易な制御によって、飛行構造5を用いた飛行状態を制御し得る。
【0117】
以下、飛行体1がマルチコプターであり、飛行構造5の数が3以上であり、3以上の飛行構造5のそれぞれが駆動部51と駆動部51によって回転する回転翼52とを含むものとして説明する。
【0118】
飛行構造5は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用して飛行構造5を動作させ得る。
【0119】
図1には、飛行体1が備える飛行構造5として、第1飛行構造5a、第2飛行構造5b、第3飛行構造5c、及び第4飛行構造5dが示されている。これらの飛行構造5それぞれは、コントローラ2及び後述する電源部6と接続されている。
【0120】
(駆動部51)
駆動部51(図1の符号51a、51b、51c、及び51d)は、コントローラ2によって制御可能であり、回転翼52を回転させることが可能な駆動部51であれば、特に限定されない。駆動部51は、電気を用いて回転翼52を回転させるモータを含むことが好ましい。駆動部51がモータを含むことにより、コントローラ2は、電気を介した比較的容易な制御によって駆動部51を制御し得る。そして、回転翼52の回転数等を制御し得る。これにより、コントローラ2は、飛行体1の飛行状態を容易に制御し得る。駆動部51がモータを含む場合、駆動部51は、電源部6が供給する電力を利用可能であることが好ましい。これにより、電源部6が供給する電力を利用して回転翼52を回転させ得る。
【0121】
(回転翼52)
回転翼52(図1の符号52a、52b、52c、及び52d)は、駆動部51によって回転させられることが可能であり、回転によって揚力を発生可能な回転翼であれば、特に限定されない。回転翼52は、例えば、回転方向に対する回転翼の傾きを変化させることが可能な可変ピッチの回転翼でよい。回転翼52が可変ピッチの回転翼であることにより、回転速度に応じて回転翼の傾きを変化させ、揚力を効率的に得られる。回転翼52は、例えば、回転方向に対する回転翼の傾きが一定である固定ピッチの回転翼でよい。回転翼52が固定ピッチの回転翼であることにより、回転翼52を可変ピッチの回転翼より簡易な構造にし得る。これにより、飛行体1の保守性及び/又は費用対効果等を改善し得る。
【0122】
[電源部6]
電源部6は、コントローラ2、送信機3、アンテナ4、及び飛行構造5等の飛行体1が備える各部材等の1以上に電力を供給可能な電源部である。電源部6は、特に限定されず、従来技術の電源部でよい。電源部6は、例えば、一次電池(例えば、乾電池、湿電池等)、二次電池、太陽電池、燃料電池、原子力電池、全固体電池、発電機(例えば、内燃機関及び/又は外燃機関を用いる発電機、マイクロ波発電機等)及びこれらの1以上を含む電源部でよい。
【0123】
中でも、電源部6は、一次電池、二次電池、及び全固体電池等によって例示される電池を含むことが好ましい。電池は、発電機等より簡易な構造を有する。したがって、電源部6が電池を含むことにより、電源部6の構成を簡易な構造にし得る。これにより、飛行体1の保守性及び/又は費用対効果等を改善し得る。
【0124】
[支持構造7]
支持構造7は、飛行体1が備える各部材等の2以上を所定の位置関係で支持可能な構造であれば、特に限定されない。支持構造7は、例えば、アンテナ4及び飛行構造5を所定の位置関係で支持可能な構造である。
【0125】
図1には、飛行体1が備える支持構造7として、コントローラ2、送信機3、第1アンテナ4a、第2アンテナ4b、第3アンテナ4c、第4アンテナ4d、第1飛行構造5a、第2飛行構造5b、第3飛行構造5c、第4飛行構造5d、及び電源部6のそれぞれを所定の位置関係で支持する支持構造が示されている。支持構造7を備えることにより、これらが所定の位置関係を保つよう、これらのそれぞれを支持できる。
【0126】
〔送信アンテナ〕
通信システムCが含む送信アンテナ(図4の符号T1等)は、情報を送信可能に構成されたアンテナである。送信アンテナは、特に限定されず、従来技術のアンテナでよい。送信アンテナは、例えば、ダイポールアンテナ、八木アンテナ、単線給電アンテナ、ループアンテナ、アレイアンテナ、接地アンテナ、非接地型垂直アンテナ、ビームアンテナ、水平偏波全方向性アンテナ、板状アンテナ、平面アンテナ、ホーンアンテナ、パラボラアンテナ、球面アンテナ、レンズアンテナ、進行波アンテナ、及びこれらの1以上を含むアンテナ等でよい。
【0127】
送信アンテナは、地上に設置されたアンテナでもよく、建造物に設置されたアンテナでもよく、利用者が携帯する携帯機器が備えるアンテナでもよく、車両等の移動体が備えるアンテナでもよく、気球、飛行船、ヘリコプター及び固定翼機等によって例示される各種の飛行体が備えるアンテナでもよく、人工衛星が備えるアンテナでもよい。また、送信アンテナは、中継処理を行う飛行体1と異なる飛行体1が備えるアンテナ4でもよい。
【0128】
〔受信アンテナ〕
通信システムCが含む受信アンテナ(図4の符号R1等)は、情報を受信可能に構成されたアンテナである。受信アンテナは、特に限定されず、送信アンテナと同様の従来技術のアンテナでよい。受信アンテナと送信アンテナとは、互いに異なることが好ましい。これにより、飛行体1は、送信アンテナが送信した情報を、受信アンテナに中継し得る。
【0129】
受信アンテナは、地上に設置されたアンテナでもよく、建造物に設置されたアンテナでもよく、利用者が携帯する携帯機器が備えるアンテナでもよく、車両等の移動体が備えるアンテナでもよく、気球、飛行船、ヘリコプター及び固定翼機等によって例示される各種の飛行体が備えるアンテナでもよく、人工衛星が備えるアンテナでもよい。また、受信アンテナは、中継処理を行う飛行体1と異なる飛行体1が備えるアンテナ4でもよい。
【0130】
〔フローチャート〕
図3は、コントローラ2で実行される中継処理の好ましい手順の一例を示すフローチャートである。以下、図3を用いてコントローラ2が行う中継処理の好ましい手順の一例を説明する。
【0131】
[ステップS1:飛行体の飛行状態を制御]
コントローラ2は、飛行構造5の制御を介して、電波を好適に受信可能な所定の位置に飛行体1があるよう飛行体1の飛行状態を制御する(ステップS1)。コントローラ2は、処理をステップS2に移す。所定の位置に飛行体1があるよう飛行体1の飛行状態を制御することにより、電波を好適に受信し得る。
【0132】
必須の態様ではないが、コントローラ2は、ステップS2で実行される送信元に合わせて指向する向きを制御する処理を実行することが好ましい。
【0133】
[ステップS2:送信元に合わせて指向する向きを制御]
コントローラ2は、情報を受信するアンテナ4が指向する向きを情報の送信元に合わせて制御する(ステップS2)。コントローラ2は、処理をステップS2に移す。ステップS2において実行される処理により、アンテナ4が指向する向きを情報の送信元に合わせることができる。これにより、情報の送信元から送信される情報を好適に受信し得る。
【0134】
必須の態様ではないが、アンテナ4が指向する向きを情報の送信元に合わせる処理は、情報を受信するアンテナ4が指向する向きを、該アンテナ4から情報の送信元である送信アンテナへの向きに制御する処理を含むことが好ましい。これにより、より離れた位置にある送信元から送信された情報を受信し得る。
【0135】
必須の態様ではないが、送信アンテナの数が2以上である場合、アンテナ4が指向する向きを情報の送信元に合わせる処理は、アンテナ4のうち1以上のアンテナ4が指向する向きを、該アンテナ4から、1の送信アンテナへの向きに制御する処理と、情報を受信するアンテナ4のうち該1以上のアンテナ4と異なる1以上のアンテナ4が指向する向きを、該アンテナ4から前述の1の送信アンテナと異なる送信アンテナへの向きに制御する処理とを含むことが好ましい。
【0136】
これにより、情報を受信するアンテナ4を複数の送信アンテナそれぞれに応じた複数のグループに分けることができる。そして、これらグループそれぞれに含まれるアンテナ4が指向する向きそれぞれを複数の送信アンテナそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御し得る。これにより、送信アンテナの数が2以上であっても、情報を受信するアンテナ4のうち少なくとも一部のアンテナ4が指向する向きを、アンテナ4から情報の送信元への向きに制御し、より離れた位置にある送信アンテナから送信された情報を受信し得る。
【0137】
[ステップS3:情報を受信したか否かを判別]
コントローラ2は、情報を受信したか否かを判別する(ステップS3)。情報を受信したならば、コントローラ2は、アンテナ4が受信した情報を取得し、処理をステップS4に移す。情報を受信していないならば、コントローラ2は、処理をステップS5に移す。情報を受信したか否かを判別することにより、情報を受信した場合にアンテナ4が受信した情報を取得し得る。また、情報を受信した場合に情報の送信元に応じて情報を選別する処理を行い得る。
【0138】
必須の態様ではないが、コントローラ2は、ステップS4で実行される送信元に応じて情報を選別する処理を実行することが好ましい。
【0139】
[ステップS4:送信元に応じて情報を選別]
コントローラ2は、送信元に応じて情報を選別する(ステップS4)。コントローラ2は、処理をステップS5に移す。コントローラ2が送信元に応じて情報を選別することにより、互いに異なる方位にある複数の送信アンテナのそれぞれが送信した情報それぞれを受信する場合であっても、送信元に応じて情報を選別して、情報を好適に受信し得る。したがって、互いに異なる方位にある複数の送信アンテナのそれぞれが送信した情報それぞれをより確実に受信し得る。
【0140】
[ステップS5:送信対象となる情報があるか否かを判別]
コントローラ2は、取得した情報のなかに送信対象となる情報があるか否かを判別する(ステップS5)。送信対象となる情報があるならば、コントローラ2は、処理をステップS6に移す。送信対象となる情報がないならば、コントローラ2は、中継処理を終了し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。送信対象となる情報があるか否かを判別することにより、取得した情報のなかに送信対象となる情報がある場合に該情報を送信する処理を実行できる。
【0141】
取得した情報のなかに送信対象となる情報があるか否かを判別する方法は、特に限定されない。取得した情報のなかに送信対象となる情報があるか否かを判別する方法は、例えば、通信システムCの利用者が指定した送信アンテナから受信した情報を送信対象となる情報とする方法でよい。これにより、通信システムCの利用者が指定した送信アンテナから受信した情報を中継し得る。取得した情報のなかに送信対象となる情報があるか否かを判別する方法は、例えば、中継対象となる情報であることを示す情報を含む情報を送信対象となる情報とする方法でよい。これにより、中継対象となる情報を中継し得る。
【0142】
必須の態様ではないが、コントローラ2は、ステップS6で実行される送信先に応じて指向する向きを制御する処理を実行することが好ましい。
【0143】
[ステップS6:送信先に応じて指向する向きを制御]
コントローラ2は、情報を送信するアンテナ4が指向する向きを情報の送信先に合わせて制御する(ステップS6)。コントローラ2は、処理をステップS7に移す。ステップS6において実行される処理により、アンテナ4が指向する向きを情報の送信先に合わせることができる。これにより、情報の送信先へ情報を好適に送信し得る。
【0144】
必須の態様ではないが、アンテナ4が指向する向きを情報の送信先に合わせる処理は、情報を送信するアンテナ4が指向する向きを該アンテナ4から情報の送信先である受信アンテナへの向きに制御する処理を含むことが好ましい。これにより、より離れた位置にある送信先へ情報を送信し得る。
【0145】
必須の態様ではないが、受信アンテナの数が2以上である場合、アンテナ4が指向する向きを情報の送信先に合わせる処理は、アンテナ4のうち1以上のアンテナ4が指向する向きを、該アンテナ4から、1の受信アンテナへの向きに制御する処理と、情報を送信するアンテナ4のうち該1以上のアンテナ4と異なる1以上のアンテナ4が指向する向きを、該アンテナ4から前述の1の受信アンテナと異なる受信アンテナへの向きに制御する処理とを含むことが好ましい。
【0146】
これにより、情報を送信するアンテナ4を複数の受信アンテナそれぞれに応じた複数のグループに分けることができる。そして、これらグループそれぞれに含まれるアンテナ4が指向する向きそれぞれを複数の受信アンテナそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御し得る。これにより、受信アンテナの数が2以上であっても、情報を送信するアンテナ4のうち少なくとも一部のアンテナ4が指向する向きを、アンテナ4から情報の送信先への向きに制御し、より離れた位置にある受信アンテナに情報を送信し得る。
【0147】
[ステップS7:情報を送信]
コントローラ2は、送信対象となる情報を送信するよう送信機3及びアンテナ4を制御する(ステップS7)。コントローラ2は、中継処理を終了し、ステップS1からステップS7の処理を繰り返す。コントローラ2が情報を送信するよう送信機3及びアンテナ4を制御することにより、受信した情報のうち送信対象となる情報を送信先である受信アンテナに送信し得る。これにより、送信アンテナが送信した情報を受信アンテナへ中継し得る。
【0148】
必須の態様ではないが、コントローラ2は、ステップS3において情報を受信したアンテナ4と異なるアンテナ4が情報を送信するよう送信機3及び/又はアンテナ4を制御することが好ましい。
【0149】
同じアンテナ4を用いて情報の受信と情報の送信とを同時に行う場合、受信する情報と送信する情報とがアンテナ4において混ざり合って受信及び/又は送信に悪影響を及ぼす可能性がある。受信に悪影響が及ぼされることにより、離れた位置にある送信アンテナが送信した情報を受信できない可能性があり得る。送信に悪影響が及ぼされることにより、離れた位置にある受信アンテナに情報を送信できない可能性があり得る。
【0150】
ステップS3において情報を受信したアンテナ4と異なるアンテナ4が情報を送信するよう送信機3及び/又はアンテナ4を制御することにより、情報を受信するアンテナ4と情報を送信するアンテナ4とは、互いに異なるアンテナ4となる。これにより、受信と送信とを同時に行う場合に受信する情報と送信する情報とがアンテナ4において混ざり合うことを防ぎ得る。これにより、離れた位置にある送信アンテナから送信された情報を受信することと、離れた位置にある受信アンテナに情報を送信することとを同時に達成し得る。したがって、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継し得る。
【0151】
<使用例>
図4は、アンテナ4を指向させて情報を受信する処理を示す概念図である。図5は、アンテナ4を指向させて情報を送信する処理を示す概念図である。図6は、複数の送信アンテナT(第2送信アンテナT2及び第3送信アンテナT3)から情報を受信する処理を示す概念図である。図7は、複数の受信アンテナR(第2受信アンテナR2及び第3受信アンテナR3)に情報を送信する処理を示す概念図である。以下、必要に応じて図4から図7を用いて、本実施形態における飛行体1の使用例を説明する
【0152】
〔飛行状態を制御〕
飛行体1を利用する利用者は、飛行体1の位置が電波を好適に受信可能な所定の位置となるよう飛行体1の飛行状態を制御する指令を行う。飛行体1は、飛行構造5の制御を介して飛行体1の飛行状態を制御し、飛行体1の位置を所定の位置にする。
【0153】
〔情報を受信〕
第1送信アンテナT1は、情報を含む第1電波W1を送信する(図4)。飛行体1は、第1アンテナ4aが指向する向きを第1アンテナ4aから第1送信アンテナT1へ向かう向きに制御する。第1アンテナ4aが指向する向きは、図4に示す第1円錐状範囲A1にある第1送信アンテナT1から送信された情報を好適に受信可能な向きとなる。第1アンテナ4aは、第1電波W1を受信する。
【0154】
第1アンテナ4aがリニアアレイアンテナであるため、第1円錐状範囲A1にある第1送信アンテナT1からの情報を受信し得る。第1円錐状範囲A1は、円錐状の範囲であるため、直線状の範囲より広い。したがって、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信し得る。
【0155】
〔情報を送信〕
飛行体1は、第1アンテナ4aが指向する向きを第1アンテナ4aから第1受信アンテナR1へ向かう向きに制御する(図5)。第1アンテナ4aが指向する向きは、図5に示す第2円錐状範囲A2にある第1受信アンテナR1へ情報を好適に送信可能な向きとなる。第1アンテナ4aは、第1送信アンテナT1から送信された情報を含む第2電波W2を送信する。第1受信アンテナR1は、第2電波W2を受信する。
【0156】
第1アンテナ4aがリニアアレイアンテナであるため、第2円錐状範囲A2にある第1受信アンテナR1に情報を送信し得る。したがって、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある受信アンテナに情報を送信し得る。
【0157】
第1アンテナ4aは、飛行体1が備えるアンテナである。これにより、受信する情報を含む第1電波W1及び/又は送信する情報を含む第2電波W2が遮蔽物によって遮られることを防ぎ得る。したがって、本実施形態の飛行体1によれば、互いに異なる第1送信アンテナT1と第1受信アンテナR1とのそれぞれが互いに離れた位置にあっても、第1送信アンテナT1と第1受信アンテナR1との間の情報を中継し得る。
【0158】
したがって、本実施形態によれば、直線状に指向させて用いるアンテナより広い範囲にある送信アンテナから送信された情報を受信可能なアンテナを用い、互いに離れた位置にある送信アンテナと受信アンテナとの間の通信を中継することが可能な通信システムCを提供できる。
【0159】
〔複数の送信アンテナから情報を受信〕
第2送信アンテナT2は、情報を含む第3電波W3を送信する。また、人工衛星Sが備える第3送信アンテナT3は、情報を含む第4電波W4を送信する(図6)。
【0160】
飛行体1は、第1アンテナ4aが指向する向きを第1アンテナ4aから第2送信アンテナT2へ向かう向きに制御する。第1アンテナ4aが指向する向きは、図6に示す第3円錐状範囲A3にある第2送信アンテナT2から送信された情報を好適に受信可能な向きとなる。飛行体1は、第3アンテナ4cが指向する向きを第3アンテナ4cから第3送信アンテナT3へ向かう向きに制御する。第3アンテナ4cが指向する向きは、図6に示す第4円錐状範囲A4にある第3送信アンテナT3から送信された情報を好適に受信可能な向きとなる。第1アンテナ4aは、第3電波W3を受信する。第3アンテナ4cは、第4電波W4を受信する。
【0161】
複数のアンテナ4が指向する向きそれぞれを複数の送信アンテナTそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御可能であるため、送信アンテナTの数が2以上であっても、情報を受信するアンテナ4のうち少なくとも一部のアンテナ4が指向する向きを、アンテナ4から情報の送信元への向きに制御し、より離れた位置にある送信アンテナTから送信された情報を受信し得る。
【0162】
また、複数のアンテナ4が指向する向きそれぞれを複数の送信アンテナTそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御可能であるため、複数の送信アンテナTのうち一方が地上にある第2送信アンテナT2であり、他方が周回軌道上にある人工衛星Sが備える第3送信アンテナT3であっても、第2送信アンテナT2及び第3送信アンテナT3が送信した情報をそれぞれ好適に受信し得る(図6)。
【0163】
〔複数の受信アンテナへ情報を送信〕
第3受信アンテナR3は、人工衛星Sが備えるアンテナである。飛行体1は、第3アンテナ4cが指向する向きを第3アンテナ4cから第3受信アンテナR3へ向かう向きに制御する。飛行体1は、第1アンテナ4aが指向する向きを第1アンテナ4aから第2受信アンテナR2へ向かう向きに制御する(図5)。
【0164】
第3アンテナ4cが指向する向きは、図7に示す第5円錐状範囲A5にある第3受信アンテナR3へ情報を好適に送信可能な向きとなる。第1アンテナ4aが指向する向きは、図7に示す第6円錐状範囲A6にある第2受信アンテナR2へ情報を好適に送信可能な向きとなる。
【0165】
第3アンテナ4cは、第2送信アンテナT2から送信された情報を含む第5電波W5を送信する。第3受信アンテナR3は、第5電波W5を受信する。第1アンテナ4aは、第3送信アンテナT3から送信された情報を含む第6電波W6を送信する。第2受信アンテナR2は、第6電波W6を受信する。
【0166】
複数のアンテナ4が指向する向きそれぞれを複数の受信アンテナRそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御可能であるため、受信アンテナRの数が2以上であっても、情報を送信するアンテナ4のうち少なくとも一部のアンテナ4が指向する向きを、アンテナ4から情報の送信先への向きに制御し、より離れた位置にある受信アンテナRへ情報を送信し得る。
【0167】
また、複数のアンテナ4が指向する向きそれぞれを複数の受信アンテナRそれぞれに応じた向きにそれぞれ制御可能であるため、複数の受信アンテナRのうち一方が地上にある第2受信アンテナR2であり、他方が周回軌道上にある人工衛星Sが備える第3受信アンテナR3であっても、第2受信アンテナR2及び第3受信アンテナR3へ情報をそれぞれ好適に送信し得る(図7)。
【0168】
以上、本発明の各種実施形態について説明したが、本発明は上述の各種実施形態に限るものではない。また、上述の各種実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したものに過ぎず、本発明による効果は、上述の各種実施形態に記載されたものに限定されるものではない。また、上述の各種実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態について、その構成の一部を他の実施の形態における構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態について、その構成に他の実施の形態における構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0169】
1 飛行体
2 コントローラ
3 送信機
4 アンテナ
41 アンテナ本体
42 アンテナ素子
43 移相器
44 合成器
45 コンバータ
5 飛行構造
51 駆動部
52 回転翼
6 電源部
7 支持構造
A 円錐状範囲
C 通信システム
R 受信アンテナ
S 人工衛星
T 送信アンテナ
W 電波

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のリニアアレイアンテナと、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
少なくとも1以上の前記リニアアレイアンテナが情報を受信する処理と、
少なくとも1以上の前記リニアアレイアンテナが前記情報を外部に送信する処理と、
を実行可能である、飛行体。
【請求項2】
前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナと前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナとが互いに異なる、請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記受信する処理は、前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記情報の送信元への向きに制御する処理を含む、請求項1又は2に記載の飛行体。
【請求項4】
前記送信する処理は、前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記情報の送信先への向きに制御する処理を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項5】
マルチコプターである、請求項1から4のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項6】
前記リニアアレイアンテナは、前記リニアアレイアンテナが指向する向きを制御可能な1以上の移相器を有し、
前記受信する処理及び/又は前記送信する処理は、前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記1以上の移相器を用いて円錐状の向きに制御する処理を含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項7】
前記情報を送信可能な1以上の送信アンテナと、
前記送信アンテナからの前記情報を受信可能であり、受信した前記情報を外部に送信可能である、請求項1からのいずれか1項に記載の飛行体と、
前記飛行体から送信された前記情報を受信可能な1以上の受信アンテナと、
を含んで構成され、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとが互いに異なる、通信システム。
【請求項8】
前記送信アンテナの数が2以上であり、
前記受信する処理は、
前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナのうち1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから、1の前記送信アンテナへの向きに制御する処理と、
前記情報を受信する前記リニアアレイアンテナのうち前記1以上の前記リニアアレイアンテナと異なる1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記1の送信アンテナと異なる前記送信アンテナへの向きに制御する処理と、
を含む、請求項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記受信アンテナの数が2以上であり、
前記送信する処理は、
前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナのうち1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから、1の前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、
前記情報を送信する前記リニアアレイアンテナのうち前記1以上の前記リニアアレイアンテナと異なる1以上の前記リニアアレイアンテナが指向する向きを、前記リニアアレイアンテナから前記1の受信アンテナと異なる前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、
を含む、請求項又はに記載の通信システム。
【請求項10】
前記リニアアレイアンテナから、1の前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、前記リニアアレイアンテナから前記1の受信アンテナと異なる前記受信アンテナへの向きに制御する処理と、を一体の処理として実行可能である、請求項9に記載の通信システム。