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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113211
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】音響再生システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20220728BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H04R1/00 318Z
H04R1/10 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009274
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】718005009
【氏名又は名称】横田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】横田 哲平
【テーマコード(参考)】
5D005
5D017
【Fターム(参考)】
5D005BA02
5D005BA13
5D005BD01
5D005BD13
5D017AC16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装着性が良く、より良い音質、音場感、多機能性を可能にする音響再生システムを提供する。
【解決手段】王冠の様に頭に被るリング1a、1bの円周上の2点よりスピーカ3L、3Rを耳に接触しない様に保持し、頭部だけでスピーカや保持機構を含む全体を支持する。左スピーカ3Lは、支柱4Lを介して結合部5Lで結合される。結合部5Lは、ネジで締め付けることで任意の角度で固定出来る。右スピーカ3Rも同様の構造である。これにより首の動きに関係なく耳とスピーカの位置関係は固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に接触すると共に該頭部の周囲をほぼ円状に囲むリングと、左右各々の耳の近傍に配置されるスピーカと、該スピーカを前記リングの外側でかつ該耳には接触しない位置にスピーカを保持する保持機構とから成り、前記頭部のリングのみで前記スピーカ及び該保持機構を含む全体を支持するようにしたことを特徴とする音響再生システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音響再生システムにおいて、さらに前記リングの円周上で任意の角度で前記リングと結合するU字バンドを設けたことを特徴とする音響再生システム。
【請求項3】
請求項2に記載の音響再生システムにおいて、前記スピーカは後面解放の構造とすることを特徴とする音響再生システム。
【請求項4】
請求項3に記載の音響再生システムにおいて、前記スピーカの前後の振動板から出る音の加算が打ち消し合う領域にマイクロホンを配置することを特徴とする音響再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば肩載せスピーカの様な耳を塞がない方式の音響再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代は、ホームシアタと呼ばれる映像音響再生システムにとっては液晶の飛躍的な進歩で昔では考えられない大画面が手ごろな価格で手に入る時代である。そのため映像については大画面高精細がすでに実現されている。一方で音に関しても映画館の様な大音量は技術的にも価格的にも可能ではあるが、別の理由、つまり周りへ拡散する音の迷惑(騒音)から防音室の様な部屋がない一般家庭においては今だにホームシアタを実現することが出来ない状況にある。
【0003】
そこで1人だけなら大音量を体感出来る肩載せスピーカが各種発売されている。肩に載せるタイプが一般的であるが、重さの制約もあるため大きな音は出ても低音の再生が不足しているので、映画館の様な凄い臨場感は実現出来ない。特に映画館で再生される周波数50Hz、40Hzなどの低音は小口径のスピーカを使った肩載せスピーカでは再生出来ないため、低音の代わりに振動などの別の手段で低音感を疑似的に補っているのが現状である。
【0004】
また肩に配置されたスピーカと耳との関係は首が動くことによって相対的な位置関係が変わるため、左右の音量差や音の定位が崩れてしまう問題があった。そのため正確な音場再生が出来なくなる。さらにインナータイプのイヤホンに使われているノイズキャンセリング等の機能を付加することは、耳とスピーカの位置が変わるため一般的な肩載せスピーカの形状ではかなり困難になる。
【0005】
ホームシアターにおける映画やコンサート、スポーツの鑑賞だけでなく、周りに迷惑をかけないで大きな音で聞ける肩載せスピーカは電子楽器の練習にも使用することが出来る。但し肩にスピーカが載るためチェロやバイオリンなどの電子楽器には使用が出来ない。また低音がメインのドラム系電子楽器等も低音が不足するため最適とは言えない。
【0006】
また、肩にスピーカを載せない形態としてはヘルメットに付けたスピーカやHMD(ヘッドマウントディスプレー)に付けたスピーカがすでにある。音を聞くという意味では役目は同じあるが、ヘルメットのスピーカは左右2個使用することはなく、又帯域を狭くして聞き易くするため低音域までの再生は必要としないので本発明が意図する音質、定位、ノイズキャンセルの改善とは全く異なるモノである。
【0007】
また、HMD用のスピーカについては、HMDは重いディスプレイをメインで保持するため頭部と鼻を使って装着しておりスピーカもその同じ方法で保持される構造になっており、スピーカと耳とはぴったりと接触し重いディスプレイを保持するため一体となって顔(鼻と耳介)と頭を使い体の動きに対してズレない様にしている。これは一般的な大型ヘッドホンと基本的には同じで構造で耳に圧着するので装着感が良いとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-136964
【特許文献2】特開2018-119241
【特許文献3】特開2018-129054
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1には代表的な肩載せタイプのスピーカシステムが示されているが、使用するスピーカが3cm程の小口径であり耳介までの距離も14cm程度あるため低音の再生は不足する課題がありその補償のために様々な工夫が必要となる。又耳とスピーカの位置関係は固定されてないので首が動くと音の定位が変化したり左右の音量差が生じる課題がある。
【0010】
上記の特許文献2では安全を優先したしっかりしたヘルメットが使われているため、重くて通気性も良くないので装着感が悪くなる課題がある。また左右どちらかに1つのスピーカが付く構造が示されているが、用途は明らかに作業の指示や連絡のためであり、スピーカの音質も低音のでない携帯電話程度である。
【0011】
特許文献3に関しては、用途は似ていて音質、定位等が重要であるがスピーカ保持に関して頭部だけでなく顔(鼻や耳)を利用している。HMDはディスプレーが大きく重いため顔を使わず頭部だけで保持することは困難である。また鼻を密着しないと外光がディスプレーに影響するため頭部だけの保持は困難である。このためかなり複雑な構造となりかつ装着感も悪くコストも高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、頭部に接触すると共に頭部の周囲をほぼ円状に囲むリングと、左右各々の耳の近傍に配置されるスピーカと、スピーカをリングの外側でかつ耳には接触しない位置にスピーカを保持する保持機構とから成り、前記頭部のリングのみで前記スピーカ及び該保持機構を含む全体を支持するようにしたことを特徴とする音響再生システムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リングを用い、スピーカを耳の近傍でかつ非接触となるように配置したことにより、シンプルな構造で装着感は良く、ホームシアタで一番迷惑になるサブウーファの重低音もリスナーには充分に聴こえるが、周囲への拡散がないので映画館並みの大音量を家で再生しても周囲への迷惑がかからない。もちろん首が動いても耳とスピーカは一緒に動くので音場の定位感のズレや左右の音量差などが発生しなくなる。
【0014】
また、本発明によれば、最小限の保持機構のため軽量に出来、スピーカも耳に非接触に配置するためヘルメットタイプやHMDタイプより装着感が格段に良くなる。そのため映画、コンサート、スポーツの鑑賞だけでなく、電子楽器のバスドラム等の低音を含め楽器でも大音量で練習が出来る。また一般的な肩載せスピーカでは出来なかったバイオリン、チェロ等の楽器でさえも肩には何もないので演奏することが可能になる。フロアスピーカから2m離れた距離で聴く音圧と同等の音圧が僅か1/40000程度の消費電力で提供できる。一般的な肩載せスピーカの場合は1/200程度の消費電力なのでその差は200倍にもなる。電池で使う製品だと連続再生時間で大きな差別化が出来る。世界で何十憶台と利用される音響製品の消費電力が下がれば、温暖化対策にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による音響再生システムの一実施形態における大きさを変えることが可能なリングとスピーカの配置を説明するための図である。
図2図1を正面から見たものでリングとスピーカと耳の位置関係を示している。
図3】本発明による音響再生システムの一実施形態における大きさを変えることが可能なリングとU字バンド、スピーカの配置を説明するための図である。
図4図3を上から見たものでリングやU字バンド、頭部の形状に合わせて長さを可変する構造を表している。
図5図3をリスナーが使用している状態を正面から見た図である。
図6図3のリスナーが使用している状態を左横から見た図である。
図7】本発明による音響再生システムの一実施形態のうちノイズキャンセリングの機能やハンズフリー機能に必要なエコーキャンセル機能を付加する場合の使用するマイクの配置を説明するための図である。
図8】本発明に使用されるスピーカの断面図と付随するマイクの位置関係を示すものである。
図9】本発明による音響再生システムの一実施形態のうちノイズキャンセル機能を追加する場合の一般的な回路システム構成を説明するための図である。
図10】本発明による音響再生システムの一実施形態のうちハンズフリー機能を追加する場合に必要なエコーキャンセル機能の一般的な回路システム構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による音響再生システムの一実施形態を説明する。各図において、Rはリスナーの右側、Lは左側にあることを表している。
【0017】
図1および図2は本発明による音響再生システムの実施形態における リング、 左右スピーカの相互の位置関係と構造を説明する図である。
【0018】
図1に示すように、この実施形態おいてリスナーの頭の形状に合わせて円周の長さを調整できる様にリングは前方の1aと後方の1bの2つに分かれて構成されている。両端部の1aRと1bR、1aLと1bLはマジックテープ(登録商標)等の素材で出来ており、リスナーの頭部の形状に合わせて輪の大きさは調節出来る。
【0019】
図2はリスナーがリングを頭部に装着した時正面から見た図である。図で分かる様にリング1aの左右の端部の外側にはスピーカ3Lが左耳、スピーカ3Rが右耳に接触しない近傍に保持出来る構造とする。左スピーカは4Lの支柱を介して5Lで結合される。結合部5Lは耳との位置関係で結合はしっかり固定する構造とする。例えば5Lはネジで締め付けることで任意の角度で固定することが出来る。右スピーカも同様の構造である。左右のスピーカは使用しない時は頭部側にまで大きく可動できる様な構造に結合部5Lをして更に支柱4Lが回転可能や折りたたみ可能な構造であればよりコンパクトな収納が可能になる。
【0020】
本実施例においては、リングは2つの部品で構成したが、1つの部品とすることもできるし、デザインの自由度や装着感(通気性)の良さを得るために3つ以上の部品で構成してもよい。
【0021】
図3図1にU字バンド2L.2Rを付加した図である。リスナーの頭部の形状によりU字バンドがある方が装着感が良くなる場合がある。U字バンドも2部品から構成されU字バンドを付ける場合はリング1aの両端に結合部6L,6Rを設けU字バンドが自由に可動出来る結合とするが、必要ない時はU字バンドは結合部から取り外すことも可能な構造とする。U字バンドの末端もリングと同様にマジックテープ(登録商標)等の素材で2Lb,2Rbがありバンドの長さが調整できる構造である。
【0022】
図4図3を上から見た図で各パーツの相互の関係を示している。図5はU字バンドを追加した図3をリスナーが頭部に装着した状態を正面から見た図である。図6図5を左側面から見た図である。リングは床に対して必ずしも水平である必要はなく、リスナーの好みによりリングとU字バンドの交差する角度θは自由に変えられる。U字バンドを付加してもスピーカと耳の位置関係は変わらないので実施の形態はリングとスピーカの図1の構成を基本として説明する。
【0023】
また耳とスピーカの位置関係が常に変わらないことと非常に近いことも肩載せスピーカとは大きく異なる。一般的な肩載せスピーカでは耳とスピーカの距離は14cm程度である。通常TVのスピーカから2m離れて聴く音量と同じ音量で聴く場合を比較すると距離が14/200なら、電力は距離の2乗に反比例なので196/40000,つまり電力では約1/200になる。本発明では距離が1cmと考えて更に距離で1/14なので従って電力では約1/200の節約になる。すなわち、同じ音量で聴くのに僅かな消費電力で済むと言う事である。小さな電力でも同じ音量で聴けるならスピーカの振動板の振幅は小さくなり、小振幅ならスピーカの奥行きが短くなり、スピーカの振動板を駆動する磁石も小さくなり、軽量になり、コストが下がり、かつ歪も小さくなり、それでも性能は上がると言う好循環が生じる。
【0024】
図7は左側スピーカの近傍に4個のマイクを付けた図である。本発明にノイズキャンセル機能やハンズフリー通話機能を付加する場合に外部音の収音のためマイクが必要になるためである。例えば4個のマイク8から11をスピーカ近傍に配置する。図8に示すように、スピーカ3Lはコーン状の振動板14がエッジ7を介してフレームに取り付けられた一般的なダイナミック型スピーカである。フレームの後部の円筒部12Lには振動板14を駆動する磁気回路が収納されている。スピーカフレームの背面には抜き穴15、16、17、18があり、振動板14が磁気回路によって駆動されてピストン運動を行うことにより空気中に音を放射する。
【0025】
振動板14の前方に正相の音が発生すると共にその後方に逆相の音が発生し、抜き穴を介して空間に放射される。この抜き穴は振動板の後に出る音を通過させ振動板の前から出る音と空間で加算させるための穴で、加算の結果はスピーカの円周上にヌルエリア(無音領域)が作られる。その結果、スピーカ12Lの最外周に正相と逆相が加算され打ち消し合う無音領域(破線13)が生じる。13で示す破線は振動板からでる音が消えるヌルエリア(無音領域)を示している。通常はこの状態が起きないようにスピーカは箱に入れて逆相の音を閉じ込めて使うが、本発明では箱を使わず、敢えて無音になる現象を積極的に利用している。
【0026】
すなわち、スピーカの振動板の前後から出る音がお互い打ち消し合う領域ではスピーカ自体から出る音がマイクに入らないので外部ノイズをキャンセルをする時に逆相の信号を入力信号に加える時の処理が簡便になると言うメリットがある。マイクの設置場所はスピーカの振動板の前後から出る音の加算がゼロになる場所(破線13の領域)を選ぶ。但し顔の鼻や耳介や肩の影響もあるので破線13領域だけがキャンセルするのに一番効果のある場所とは限らず、マイクを複数個配置できる場合は理想的な無音領域から多少外れる位置にも配置し、状況に応じて選択的に使用してもよい。キャンセル効果の良いマイク位置が決まれば、首が動いても本発明では耳とスピーカの位置関係が固定されているため、安定してキャンセル制御が出来る利点がある。4個のマイクを使う代わりに1個のマイクでも機械的に位置を移動させる機構を設ければ同じ効果が得られる。
【0027】
図9は本発明に複数マイクを使ったノイズキャンセル機能を付加する一実施の形態ついて説明する。例えば音楽ソースはBluetooth(登録商標)と呼ばれる無線通信技術を使ってアンテナ27を介して受信部28に携帯電話から送信されてくる。むろん音楽ソースは無線に限定されるものではなくCDプレーヤでもカセットプレーヤでも良い。リスナ周辺のノイズを拾うため例えば図7に示すように4個のマイクを無音領域や耳の入口に相当する領域に配置し、マイク切替スイッチ19から1つを選択しマイクアンプ20に供給する。マイクアンプ20で増幅された信号はバンドパスフィルタ21に供給される。バンドパスフィルタ21はキャンセルしたい騒音の周波数成分を分離するためのもので主に80Hz~1KHzの成分を取り出す。混合部22は2つの入力の信号レベルを調整するレベル調整器23、24と加算器25とから構成され、バンドパスフィルタ21の出力信号は位相反転されて混合部22に供給され、レベル調整器23を介して加算器25に加算される。混合部22の出力信号はアンプ26を介してスピーカ3Lに供給される。アンプ26はボリュウム、イコライザーと言ったプリアンプの機能と信号レベルを増幅するパワーアンプ機能を兼ね備えたいわゆるプリメインアンプである。
【0028】
デジタル伝送されてくる音楽ソースは送受信部でデコードされアナログ信号としてLine Out30から出力される。そこでノイズキャンセルのみでなく所望の音楽信号を聴きたい場合は、オーディオ信号を混合部22のレベル調整器24、加算器25を介してアンプ26で増幅しスピーカ3Lに送り出す。上述のように、スピーカ3Lから逆相の音波が放射されるので、スピーカの音波に含まれるノイズと選択されたマイクの位置でのノイズが打ち消し合いノイズをキャンセルすることができる。一方、携帯電話から送られてくる音楽信号等は正相なのでそのままスピーカから出力される。
【0029】
図10は本発明にハンズフリー通話機能を付加する一実施の形態について説明する。現在のヘッドホン製品は無線通信の送受信機を内蔵した製品が多く、音楽ソースはまず携帯電話等のメモリに保存され、それを無線通信を用いてヘッドホンに伝送し、ヘッドホン内の受信機でデコードしてから出力される。そのため音楽を聴いている途中で電話がかかってくる場合は、へッドホン側の操作で送受信部のLine Out 30は音楽ソースから電話の相手からの通話に切り替えられる。この時はスピーカ近傍に配置されたマイクの1つはノイズではなく電話を受けたリスナーの音声通話を拾うことになる。
【0030】
ハンズフリーを行うために必要なエコーキャンセル機能を以下に説明する。例えばスピーカ近傍に付けられたマイク9から音声が拾われマイクアンプ20で増幅され、Mic IN 29に送られRF送信部を介して相手の携帯電話に送られる。相手の音声はLine Out 30から出力され左側スピーカ3Lから出力される。その相手の声をスピーカ近傍のマイク9に拾われてしまい、再び送信相手に送られグルグル回るのがエコーである。これを阻止するために図10に点線で囲んだ構成によりエコーキャンセルを行う。エコーとなる音を減衰させるためにFIRフィルタ32が組まれ、Line Out 30から出てきた信号に、一般的によく知られている適応フィルタ処理をしてマイク信号との差分を検出し、それを誤差信号Er33として制御部CTL31で監視して減衰するようにFIRフィルタの係数を制御する。この時に本発明では、マイク9はスピーカの振動板の前後から出る音が打ち消し合う無音領域に配置されているためスピーカからのエコー信号を拾いにくいので、制御部CTL31の処理が軽くなると言うメリットがある。
【0031】
ハンズフリー機能のエコーキャンセルを行う場合もノイズキャンセル同様、無音領域にある複数のマイクがあることにより効果を上げることが出来る。それ以外にも例えばマイク9は顔の下側つまり唇に一番近い所に位置しておりマイク8、10、11や更に右側にも4個のマイクが配置されていればシステム構成を変えれば音の来る方向などの検出したりマイクに指向性をもたせることもできる。なお、ハンズフリー機能は片側だけでも機能する。また前記したノイズキャンセルに関しても適応フィルタを使ってデジタル処理することも出来る。
【0032】
この様に本発明はシンプルなメカ構造で軽量でコストも安く製品を作ることが出来る。何よりも耳を塞がないのでヘッドホンより遥かに自然な感じで音を聴くことができ耳周辺への圧迫もないので従来のヘッドホンに比べて格段に良い装着感が得られる。また僅かな電力で大迫力の音をユーザに満喫させるだけでなく周りにも迷惑をかけないメリットがある。様々な新しい電子楽器が開発されている中、防音室などを作らなくても初心者が下手な演奏の繰り返しの音や練習の時間帯を気にすることもなく充分な音量での練習ができるので音楽文化の向上にも貢献できる。
【符号の説明】
【0033】
1a、1b:前後に分割されたリング、
1aR、1aL:1aのマジックテープ(登録商標)部分、 1bR、1bL:1bのマジックテープ(登録商標)部分、
2R、2L:左右に分割されたU字バンド 、2Rb、2Lb:U字バンドのマジックテープ(登録商標)部分、
3R、3L:左右のスピーカ、
4R、4L:左右スピーカの支柱、
5R、5L:左右スピーカの結合部分、
6R、6L:左右U字バンドの結合部分、
7:エッジ
8、9、10、11:スピーカ近傍に取り付ける各マイク、
12L、12R:左右スピーカの磁石部分、
13:スピーカの振動板から出る前後の音が加算され無音となる領域
14:コーンスピーカ振動板
15、16、17、18:スピーカフレームの背面の抜き穴
19:マイク切替スイッチ
20:マイクアンプ
21:BPF(バンドパスフィルタ)
22:混合部
23、24:レベル調整器
25:加算部
26:アンプ
27:アンテナ
28:送受信部
29:マイク入力
30:ライン出力
31:制御回路部
32:FIRフィルタ
33:Er誤差信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10