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  • 特開-コードホルダー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113216
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】コードホルダー
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/416 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A01D34/416 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009285
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】504350832
【氏名又は名称】株式会社斎藤撚糸
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 克爾
(72)【発明者】
【氏名】舩山 俊克
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 憲資
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 伸一郎
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA02
2B083CA12
2B083CA22
2B083CA23
2B083CB06
(57)【要約】
【課題】コードの長さを調節する機構を備えており、コードの巻回部を内蔵する構成に比して、軽量で操作性のよいコードホルダーを提供する。
【解決手段】
刈払機の操作棹の先端部に取り付けて使用するコードホルダーであり、コードホルダーは、支持部と、支持部に取り付けられるコードとを有しており、支持部は、回転によって揚力を発生させる形状であり、支持部には、コードの基端部を固定する第1固定部と、前記コードの中ほどを固定する第2固定部とを有しており、前記コードの基端部を第1固定部に固定し、前記コードの中ほどを第2固定部に固定した状態と、前記コードの基端部を、第1固定部又は第2固定部の一方に固定し、第1固定部又は第2固定部の他方に固定しない状態との2つの状態にコードを付け替え可能に構成したコードホルダーである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払機の操作棹の先端部に取り付けて使用するコードホルダーであり、
コードホルダーは、支持部を有しており、
支持部は、回転によって揚力を発生させる形状であり、
支持部には、コードの基端部を固定する第1固定部と、前記コードの中ほどを固定する第2固定部とを有しており、
前記コードの基端部を第1固定部に固定し、前記コードの中ほどを第2固定部に固定した状態と、前記コードの基端部を、第1固定部又は第2固定部の一方に固定し、第1固定部又は第2固定部の他方に固定しない状態との2つの状態にコードを付け替え可能に構成したコードホルダー。
【請求項2】
第2固定部は、支持部に設けられた環状の部材又はコードを嵌める凹溝である請求項1に記載のコードホルダー。
【請求項3】
支持部が揚力により浮き上がる方向を上と規定したとき、環状の部材又はコードを嵌める凹溝は支持部の上面に設けられ請求項2に記載のコードホルダー。
【請求項4】
コードの基端部には掛止部が設けられており、
コードが先端側に引っ張られた際には第1固定部又は第2固定部に掛止部が掛止し、
コードが基端側に引っ張られた際には第1固定部又は第2固定部からコードが外れる請求項1ないし3のいずれかに記載のコードホルダー。
【請求項5】
第1固定部及び第2固定部は、コードが曲がった状態でコードを固定する位置に設けられる請求項1ないし4のいずれかに記載のコードホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈り払い機の操作棹の先端に取り付けて使用するコードホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
雑草を刈る際に、以下の特許文献1に示すように、コード型の刈払機が使用されることがある。コード型の刈払い機では、操作棹の先端部に取り付けられた厚みのある円盤状のコードホルダーに内蔵される巻回部にコードを巻回しておく。コードが消耗した際には、ロック機構を解除して、巻回部に巻回されていたコードを巻き出す。
【0003】
また、特許文献2に示すように、金属製の円盤の円周部に刃を設けたチップソーに、空気の流入孔を有する複数の突部を設けたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3003945号公報
【特許文献2】特開平9‐233930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来のコードホルダーは、コードが消耗した際に、巻回部に巻回されたコードを繰り出すことによって、コードの切れ味を簡単に維持することができる。しかしながら、従来のコードホルダーは、ロック機構を作動させるためのバネ、コードを巻回するための巻回部、コードを保護するためのケースなどを備えており、重量が大きくなりやすいという問題があった。
【0006】
コードホルダーは、操作棹の先端に取り付けられる。草刈りは、操作棹を左右に振りながら行う。操作棹の先端に重量物があると、操作棹を操作する際にユーザーが疲労しやすくなる。
【0007】
特許文献2のように揚力を発生させて疲労感を軽減するアイデアが知られている。しかしながら、特許文献2の発明は、いわゆるチップソーに関するものである。特許文献2には、コードが損耗した際に、コードの長さを調節する仕組みについては、記載されていない。
【0008】
本発明は、コードの長さを調節する機構を備えており、コードの巻回部を内蔵するコードホルダーに比して、軽量で操作性のよいコードホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
刈り払い機の操作棹の先端部に取り付けて使用するコードホルダーであり、コードホルダーは、支持部を有しており、支持部は、回転によって揚力を発生させる形状であり、支持部には、コードの基端部を固定する第1固定部と、前記コードの中ほどを固定する第2固定部とを有しており、前記コードの基端部を第1固定部に固定し、前記コードの中ほどを第2固定部に固定した状態と、前記コードの基端部を、第1固定部又は第2固定部の一方に固定し、第1固定部又は第2固定部の他方に固定しない状態との2つの状態にコードを付け替え可能に構成したコードホルダーにより、上記の課題を解決する。
【0010】
上記のコードホルダーにおいて、第2固定部は、支持部に設けられた環状の部材又はコードを嵌める凹溝とすることが好ましい。第2固定部を環状の部材又はコードを嵌める凹溝とすれば、コードを第2固定部に固定した際に、コードが支持部から突出する部分において、コードが大きく曲がらないようにすることができる。これにより、比較的に曲げが無い状態でコードを側方に突出させて、雑草を刈りやすい位置にコードを配置させることができる。
【0011】
上記のコードホルダーにおいて、支持部が揚力により浮き上がる方向を上と規定したとき、環状の部材又はコードを嵌める凹溝はコードホルダーの上面に設けられる構成とすることが好ましい。コードホルダーが刈払機の駆動力により回転すると、支持部の底面に沿って気流が発生する。この気流により、揚力が得られる。環状の部材等を上面に設けることによって、揚力に乱れが生じにくくすることができる。
【0012】
上記のコードホルダーにおいて、コードの基端部には掛止部が設けられており、コードが先端側に引っ張られた際には第1固定部又は第2固定部に掛止部が掛止し、コードが基端側に引っ張られた際には第1固定部又は第2固定部からコードが外れるようにすることが好ましい。この構成よれば、コードの長さを簡単に調整することが可能である。コードの先端側に向かって遠心力が作用し、掛止部によって抜け止めが図られているため、刈払機の運転中にコードは脱落しない。
【0013】
上記のコードホルダーにおいて、第1固定部及び第2固定部は、コードが曲がった状態でコードを固定する位置に設けられることが好ましい。このような構成にすることにより、コードがその基端側に意図せず移動して、支持部から脱落することを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、コードの長さを調節する機構を備えており、コードの巻回部を内蔵するコードホルダーに比して、軽量で操作性のよいコードホルダーを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係るコードホルダーを刈払機の操作棹の先端に取り付けた状態を示す側面図である。
図2図1に示したコードホルダーの上面側を示す斜視図である。
図3図1に示したコードホルダーの底面側を示す斜視図である。
図4図1に示したコードホルダーの側面図である。
図5】コードが損耗した場合において、コードをつけなおして、コードの長さを長くした状態を示す斜視図である。
図6図1に示したコードホルダーに固定されているコードのみを示した斜視図である。
図7】コードを嵌める凹溝の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のコードホルダーの一実施形態について説明する。以下に示す各実施形態と使用例は、本発明の一例に過ぎず、本発明の技術的範囲は例示した実施形態に限定されるものではない。
【0017】
本実施形態のコードホルダー1は、図1に示したように、刈払機の操作棹8の先端部に取り付けて使用するものである。コードホルダー1は、図2ないし図5に示したように、支持部11を有している。支持部11にはコード2が固定される。支持部11は、回転によって揚力を発生させる形状である。支持部11には、コード2の基端部を固定する第1固定部12と、前記コード2の中ほどを固定する第2固定部13とを有している。なお、本明細書において、中ほどという場合、コードの端を除いた領域をいい、コードの中央のみを意味するものではない。
【0018】
支持部11は、金属製の板材を曲げた形状を有する。支持部11の中央部は、操作棹8の先端部を取り付けるのに適した平坦な形状であり、中央部には、操作棹8の先端部に対する取付部として、貫通孔が設けられている。支持部11の外縁部には、複数枚の揚力発生部14が設けられている。揚力発生部14は、上方に向かって突出する円弧状の凸部を有する形状である。揚力発生部14は、支持部11が回転する方向に向かって下り勾配となる形状をしている。図2に支持部が回転する方向を矢印で示す。操作棹8から供給される動力により、揚力発生部14を回転させると、揚力発生部14の底面に沿って気流が発生し、操作棹8の先端部が浮き上がる方向、すなわち図1において矢印で示した方向に揚力が発生する。これにより、操作棹の先端部の重量が軽減され、操作棹の操作性が向上する。本明細書では、支持部11が揚力により浮き上がる方向を上とする。
【0019】
支持部11は、コードを巻回する巻回部を備えておらず、軽量である。それに加えて、支持部11を回転させると、上記のように揚力が作用するため、操作性は良好である。
【0020】
支持部11は、刃を有しておらず、コード2を固定して支持する。コード2は、図2に示したように、コード2の基端部を第1固定部12に固定し、前記コードの中ほどを第2固定部13に固定した状態と、図5に示したように、前記コード2の基端部を、第1固定部12又は第2固定部13の一方に固定し、第1固定部12又は第2固定部13の他方に固定しない状態との2つの状態にコードを付け替え可能に構成されている。図2及び図5に示した例では、第1固定部12は支持部11に設けられた貫通孔から構成されており、第2固定部13は支持部11の上面に設けられた環状の部材から構成される。図5に示した例では、コード2の基端部を第2固定部13に固定している。図示は省略するが、コード2の基端部を第1固定部12に固定するようにしてもよい。
【0021】
第1固定部12は、コード2の直径に比して内径が大きく構成された貫通孔であり、貫通孔にコード2を挿し通すことができる。図6に示したように、コード2の基端部には、貫通孔の内径に比して、直径が大きく構成された掛止部21が設けられている。コード2の先端部には、掛止部が設けられていない。第1固定部12又は第2固定部13に、コード2を固定する際には、コード2の先端部から第1固定部12又は第2固定部13に挿入する。コード2の基端部に設けられた掛止部21が第1固定部12又は第2固定部13に接触して、コードが抜けないようになっている。なお、図3の例では、支持部11の裏面から貫通孔12にコード2を挿通している。このため、支持部11の裏面の貫通孔12の縁部に係止部21が掛止する。この構成では、支持部11の上面にコード2の大半の部分が露出し、支持部11の下面にはコード2はほとんど露出しない。コードによる気流の乱れが生じにくくなっている。
【0022】
図2に示したようにコード2が十分に長い場合は、コード2の基端部を第1固定部12に固定し、前記コードの中ほどを第2固定部13に固定する。これにより、コード2が支持部11から突出する長さが、過剰に長くならないようにする。コード2が損耗し、長さが短くなった場合には、図5に示したように、前記コード2の基端部を、第1固定部12又は第2固定部13の一方に固定し、第1固定部12又は第2固定部13の他方に固定しない状態とする。このようにすることにより、巻回部を使用しない簡素な構成で、コード2を繰り出して、短くなったコード2でも草刈りが可能となっている。
【0023】
コード2は、コードの基端部に設けられた掛止部21が第1固定部12又は第2固定部13に掛止するようにした構成である。コード2が先端側に引っ張られた際には第1固定部12又は第2固定部13に掛止部21が掛止する。コード2が基端側に引っ張られた際には第1固定部12又は第2固定部13からコード2が外れる。この構成では、支持部11が回転している際には、遠心力がコードの先端側に向けて作用するので、刈払機を作動させている際に、コードが意図せず脱落することはない。一方で、刈払機を停止させている際には、上記の遠心力は作用していないので、コード2を基端側に引っ張ることにより、簡単にコード2を取り外すことができる。コード2の取付はコード2の先端部を第1固定部12又は第2固定部13に挿してコードを引くだけでよい。このようにコードの着脱が簡単であるため、コードの長さを調節したり、コードを新しいものに交換したりすることが容易である。
【0024】
図2に示したように、第2固定部13は、環状の部材で構成される。この構成では、コード2が支持部11の側方に曲がらずに延びた状態にしやすい。このようにすれば、コード2の突出方向が乱れることにより生じ得る問題を解消することができる。第2固定部13は、支持部11の上面に設けられている。支持部11の下面には気流が発生する。第2固定部13は、支持部11の下面には設けられず、上面に設けられているので、第2固定部13が気流に乱れを生じさせることがない。これによって、設計した通りの揚力が得られやすくなる。
【0025】
図2に示したように、第1固定部12及び第2固定部13は、コード2を挿通した状態で、コード2が曲がった状態となる位置に設けられている。コード2は、弾性変形により曲げられた状態にあり、曲げ応力を取り除くと、曲げられた状態から直線状に戻ろうとする剛直性を有する素材で構成されている。このため図2に示したように、コード2が直線状に戻ろうとする力によって、コード2は第2固定部の縁に圧接し、摩擦が生じる。これによって、コード2が基端側に変位して、第1固定部12又は第2固定部から、意図せずに、脱落することが防止される。
【0026】
コードは、草を刈ることができるものであればよい。その素材は、特に限定されず、例えば、ナイロン、金属製のワイヤーなどが挙げられる。
【0027】
上記の例では、第1固定部は貫通孔であり、第2固定部は環状の部材の例を挙げた。第1固定部又は第2固定部は、この例に限定されず、コードを挿通して基端部を固定することができる形状であればよい。第1固定部又は第2固定部としては、貫通孔、環状の部材、又はコードを嵌める凹溝などが挙げられる。図7にコード12を嵌める凹溝15の一例を示す。図7の例では、凹溝を形成することができる厚みを有する部材に凹溝15が形成されている。凹溝15の上端には、弾性変形することにより、コード12を受け入れて、コード12の脱落を防止する突起が設けられている。
【0028】
支持部の構成、又は素材は、上記の例に限定されない。例えば、プラスチック製の円盤に、揚力を発生させるための凹凸を設けるなど、その他の構成とすることができる。また、支持部に設けられる取付部の構成は、貫通孔に限定されるものではなく、操作棹の先端部に支持部を取り付けることができる構成であればよい。
【符号の説明】
【0029】
8 操作棹
1 コードホルダー
11 支持部
2 コード
12 第1固定部
13 第2固定部
15 凹溝
21 掛止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7