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特開2022-113241送風流路の施工状態評価方法、及び、建物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113241
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】送風流路の施工状態評価方法、及び、建物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/044 20060101AFI20220728BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20220728BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20220728BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
F24F3/044
F24F11/49
F24F11/64
F24F5/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009326
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004673
【氏名又は名称】パナソニックホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】梅本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 耕一
(72)【発明者】
【氏名】吉本 忠司
【テーマコード(参考)】
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L053BB00
3L260AB07
3L260AB15
3L260BA37
3L260BA54
3L260CB55
3L260CB57
3L260CB65
3L260DA15
3L260EA07
3L260FA07
3L260FC06
(57)【要約】
【課題】 閉空間が建材で閉じられる前に、ダクトの施工状態を評価することが可能な方法を提供する。
【解決手段】 建物を製造する過程で、建物内を延びるダクトを含む送風流路の施工状態を評価するための方法である。送風流路は、入口と、出口とを有し、かつ、第1のファンから供給される空気を入口から出口に搬送することが予定されており、かつ、ダクトの少なくとも一部が建材で囲まれた閉空間内を通るように設置されるものである。方法は、閉空間が建材で閉じられる前に、第1のファンよりも風量が小さい第2のファンを用いて、送風流路の入口に予め定められた風量で空気を供給する工程S1と、送風流路の入口又は出口での風量を測定する工程S2と、測定された風量と、風量に対する予め定められた閾値とに基づいてダクトの施工状態を評価する工程S4とを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物を製造する過程で、前記建物内を延びるダクトを含む送風流路の施工状態を評価するための方法であって、
前記送風流路は、入口と、出口とを有し、かつ、第1のファンから供給される空気を前記入口から前記出口に搬送することが予定されており、かつ、前記ダクトの少なくとも一部が建材で囲まれた閉空間内を通るように設置されるものであり、
前記方法は、前記閉空間が前記建材で閉じられる前に、
前記第1のファンよりも風量が小さい第2のファンを用いて、前記送風流路の前記入口に予め定められた風量で空気を供給する工程と、
前記送風流路の前記入口又は前記出口での風量を測定する工程と、
測定された前記風量と、前記風量に対する予め定められた閾値とに基づいて、前記ダクトの施工状態を評価する工程とを実行する、
送風流路の施工状態評価方法。
【請求項2】
前記評価する工程は、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値以上である場合に、前記ダクトの施工状態が良好であると評価する、請求項1に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項3】
前記入口又は前記出口での風量が前記閾値以上である場合に、前記閉空間を前記建材で閉じる工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項4】
前記評価する工程は、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値未満である場合に、前記ダクトの施工状態が良好でないと評価する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項5】
前記入口又は前記出口での風量が前記閾値未満である場合に、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値以上になるように、前記ダクトの施工状態を改修する工程をさらに含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項6】
前記評価する工程に先立ち、前記閾値を決定する工程をさらに含み、
前記閾値を決定する工程は、前記第2のファンの静圧と風量との関係を示す第1曲線と、前記送風流路の圧力損失と風量との関係を示す第2曲線との交点での風量に基づいて、前記閾値を決定する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項7】
建物を製造する過程で、前記建物内を延びるダクトを含む送風流路の施工状態を評価するための方法であって、
前記送風流路は、入口と、出口とを有し、かつ、第1のファンから供給される空気を前記入口から前記出口に搬送することが予定されており、かつ、前記ダクトの少なくとも一部が建材で囲まれた閉空間内を通るように設置されるものであり、
前記方法は、前記閉空間が前記建材で閉じられる前に、
定風量の第2のファンを用いて、前記送風流路の前記入口に予め定められた風量で空気を供給する工程と、
前記第2のファンの回転数を測定する工程と、
測定された前記回転数と、前記回転数に対する予め定められた閾値とに基づいて、前記ダクトの施工状態を評価する工程とを実行する、
送風流路の施工状態評価方法。
【請求項8】
前記評価する工程は、前記測定された回転数が前記閾値未満である場合に、前記ダクトの施工状態が良好であると評価する、請求項7に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項9】
前記評価する工程は、前記測定された回転数が前記閾値以上である場合に、前記ダクトの施工状態が良好でないと評価する、請求項7又は8に記載の送風流路の施工状態評価方法。
【請求項10】
建物内を延びるダクトを含む送風流路を備えた建物と製造方法であって、
請求項1ないし9のいずれかに記載された送風流路の施工状態評価方法を含む、建物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風流路の施工状態評価方法、及び、建物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ダクトを含む送風流路を備えた建物が記載されている。この送風流路には、空気を供給するためのファンが接続されており、その少なくとも一部が、天井材や床材等の建材に囲まれた閉空間内を通るように設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-083097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建物内にダクトを取り回す施工時においては、ダクトに想定外の曲げや潰れ等が生じることがある。これらの曲げや潰れ等は、ダクトの圧力損失を大きくし、必要な風量の確保が困難となる。そして、このような施工状態の不具合が、閉空間が建材で閉じられた後に発見された場合には、建材を一旦取り外して、ダクトの施工状態を改修する必要が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、閉空間が建材で閉じられる前に、ダクトの施工状態を評価することが可能な方法を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物を製造する過程で、前記建物内を延びるダクトを含む送風流路の施工状態を評価するための方法であって、前記送風流路は、入口と、出口とを有し、かつ、第1のファンから供給される空気を前記入口から前記出口に搬送することが予定されており、かつ、前記ダクトの少なくとも一部が建材で囲まれた閉空間内を通るように設置されるものであり、前記方法は、前記閉空間が前記建材で閉じられる前に、前記第1のファンよりも風量が小さい第2のファンを用いて、前記送風流路の前記入口に予め定められた風量で空気を供給する工程と、前記送風流路の前記入口又は前記出口での風量を測定する工程と、測定された前記風量と、前記風量に対する予め定められた閾値とに基づいて、前記ダクトの施工状態を評価する工程とを実行することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記評価する工程は、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値以上である場合に、前記ダクトの施工状態が良好であると評価してもよい。
【0008】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値以上である場合に、前記閉空間を前記建材で閉じる工程をさらに含んでもよい。
【0009】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記評価する工程は、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値未満である場合に、前記ダクトの施工状態が良好でないと評価してもよい。
【0010】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値未満である場合に、前記入口又は前記出口での風量が前記閾値以上になるように、前記ダクトの施工状態を改修する工程をさらに含んでもよい。
【0011】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記評価する工程に先立ち、前記閾値を決定する工程をさらに含み、前記閾値を決定する工程は、前記第2のファンの静圧と風量との関係を示す第1曲線と、前記送風流路の圧力損失と風量との関係を示す第2曲線との交点での風量に基づいて、前記閾値を決定してもよい。
【0012】
本発明は、建物を製造する過程で、前記建物内を延びるダクトを含む送風流路の施工状態を評価するための方法であって、前記送風流路は、入口と、出口とを有し、かつ、第1のファンから供給される空気を前記入口から前記出口に搬送することが予定されており、かつ、前記ダクトの少なくとも一部が建材で囲まれた閉空間内を通るように設置されるものであり、前記方法は、前記閉空間が前記建材で閉じられる前に、定風量の第2のファンを用いて、前記送風流路の前記入口に予め定められた風量で空気を供給する工程と、前記第2のファンの回転数を測定する工程と、測定された前記回転数と、前記回転数に対する予め定められた閾値とに基づいて、前記ダクトの施工状態を評価する工程とを実行することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記評価する工程は、前記測定された回転数が前記閾値未満である場合に、前記ダクトの施工状態が良好であると評価してもよい。
【0014】
本発明に係る前記送風流路の施工状態評価方法において、前記評価する工程は、前記測定された回転数が前記閾値以上である場合に、前記ダクトの施工状態が良好でないと評価してもよい。
【0015】
本発明は、建物内を延びるダクトを含む送風流路を備えた建物と製造方法であって、上記の送風流路の施工状態評価方法を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の送風流路の施工状態評価方法は、上記の工程を採用することにより、閉空間が建材で閉じられる前に、ダクトの施工状態を評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】建物の一例を示す概念図である。
図2】送風流路の施工状態評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3】送風流路の施工状態評価方法の一例を説明するための概念図である。
図4】第1曲線及び第2曲線の一例を示すグラフである。
図5】本発明の他の実施形態の送風流路の施工状態評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】(a)は、第2曲線の一例を示すグラフ、(b)は、第2のファンの静圧と回転数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態が図面に基づき説明される。図面は、発明の内容の理解を助けるために、誇張表現や、実際の構造の寸法比とは異なる表現が含まれることが理解されなければならない。また、各実施形態を通して、同一又は共通する要素については同一の符号が付されており、重複する説明が省略される。さらに、実施形態及び図面に表された具体的な構成は、本発明の内容理解のためのものであって、本発明は、図示されている具体的な構成に限定されるものではない。
【0019】
本実施形態の送風流路の施工状態評価方法(以下、単に「評価方法」ということがある。)では、建物を製造する過程で、建物内を延びるダクトを含む送風流路の施工状態が評価される。図1は、建物2の一例を示す概念図である。
【0020】
[建物]
本実施形態の建物2は、住宅である場合が例示されているが、ビル等であってもよい。本実施形態の建物2は、床下空間3と、床上空間4とを含んで構成されている。
【0021】
[床下空間]
床下空間3は、基礎5と地面と1階の床6(床材6a)とで囲まれた空間である。基礎5には、外気A1を取り入れるための開口部7が設けられている。外気A1は、開口部7から取り入れられた後に、1年を通じて温度変化の少ない地中の熱と、地面を介して熱交換される。これにより、床下空間3には、外気に比べて、夏期は比較的涼しく、冬期は比較的暖かい空気(以下、単に「床下空気」ということがある。)を蓄えることができる。
【0022】
[床上空間]
床上空間4は、床下空間3の上方に設けられた空間である。本実施形態の床上空間4は、居室10と、小屋裏8とを含んで構成されている。
【0023】
[居室]
本実施形態の居室10は、建物2の1階に設けられているが、2階以上にも設けられてもよい。居室10は、例えば、外壁11、間仕切り壁12及び扉13などで区切られている。本実施形態の居室10は、第1居室10A及び第2居室10Bを含んでいるが、いずれか一方のみでもよいし、他の居室がさらに設けられてもよい。
【0024】
[小屋裏]
小屋裏8は、天井14と屋根15とで囲まれた空間である。天井14(天井形成材14a)は、例えば、梁に支持された野縁(図示省略)に固定される。
【0025】
[送風流路]
本実施形態では、建物2内を延びるダクト16を含む送風流路17が設置されている。本実施形態の送風流路17は、建物2内を換気及び空調するための空調ユニット18に接続されているが、このような態様に限定されない。
【0026】
本実施形態の送風流路17は、入口17iと、出口17oとを有している。送風流路17には、入口17i及び出口17oに取り付けられる末端換気口(ベントキャップ)や、エルボ等が設けられてもよい。本実施形態のダクト16は、可撓性を有するフレキシブルダクトである場合が例示されるが、空気を搬送可能なものであれば、特に限定されない。
【0027】
本実施形態の送風流路17の入口17iには、空気を供給可能な第1のファン21が接続されている。これにより、送風流路17は、第1のファン21から供給される空気が、入口17iから出口17oに搬送される。本明細書において、「ファン」は、空気を圧送するための機械である。したがって、ファンは、空気を圧送可能なものであれば、特に限定されない。
【0028】
本実施形態の送風流路17は、第1送風流路17A、第2送風流路17B及び第3送風流路17Cを含んで構成されている。なお、送風流路17は、例えば、居室10の個数等に応じて、第1送風流路17A~第3送風流路17Cの何れか1つが設けられてもよいし、他の送風流路(図示省略)がさらに設けられてもよい。
【0029】
本実施形態の送風流路17は、ダクト16の少なくとも一部が、建材23で囲まれた閉空間24内を通るように設置されている。本実施形態の閉空間24とは、その内部が、外部から見えにくくされている空間であり、建材23で完全に閉じられた空間に限定されない。
【0030】
本実施形態の第1送風流路17Aは、そのダクト16の少なくとも一部が、床6と基礎5とで囲まれる床下空間3(閉空間24)内を通るように設置されている。第2送風流路17B及び第3送風流路17Cは、それらのダクト16の少なくとも一部が、天井14と屋根15とで囲まれる小屋裏8(閉空間24)内を通るように設置されている。なお、これらの第1送風流路17A~第3送風流路17Cは、それらのダクト16の少なくとも一部が、例えば、1階の天井と2階の床の間の階間(図示省略)や、間仕切り壁12等で閉じられる空間(図示省略)を含む閉空間内を通るように設置されてもよい。
【0031】
本実施形態の送風流路17(第1送風流路17A~第3送風流路17C)には、曲がり等の局部25が設けられている。このような局部25は、ダクト16を屈曲させる(撓ませる)ことによって形成されてもよいし、図示しないエルボ等にダクト16が接続されることによって形成されてもよい。
【0032】
[第1送風流路]
本実施形態の第1送風流路17Aは、建物2内の換気に用いられる外気(床下空気)A1を、空調ユニット18に搬送するためのものである。第1送風流路17Aの入口17iは、床下空間3に配されている。この入口17iには、第1のファン21によって、外気(床下空気)A1が供給される。一方、第1送風流路17Aの出口17oは、空調ユニット18に接続されている。これにより、第1送風流路17Aは、外気(床下空気)A1を、入口17iから出口17oに搬送して、空調ユニット18に供給することができる。
【0033】
[第2送風流路]
本実施形態の第2送風流路17Bは、空調ユニット18で生成される換気・空調空気A2を、第1居室10Aに搬送するためのものである。第2送風流路17Bの入口17iは、空調ユニット18に接続されている。この入口17iには、第1のファン21によって、換気・空調空気A2が供給される。一方、第2送風流路17Bの出口17oは、第1居室10Aに接続されている。これにより、第2送風流路17Bは、換気・空調空気A2を、入口17iから出口17oに搬送して、第1居室10Aに供給することができる。
【0034】
[第3送風流路]
本実施形態の第3送風流路17Cは、空調ユニット18で生成される換気・空調空気A2を、第2居室10Bに搬送するためのものである。第3送風流路17Cの入口17iは、空調ユニット18に接続されている。この入口17iには、第1のファン21によって、換気・空調空気A2が供給される。一方、第3送風流路17Cの出口17oは、第2居室10Bに接続されている。これにより、第3送風流路17Cは、換気・空調空気A2を、入口17iから出口17oに搬送して、第2居室10Bに供給することができる。
【0035】
[空調ユニット]
空調ユニット18は、換気・空調空気A2を生成するためのものである。本実施形態の空調ユニット18は、チャンバー26と、チャンバー26の内部に設けられた室内空調機27とを含んで構成されている。
【0036】
[チャンバー]
本実施形態のチャンバー26は、その内部に空間(スペース)を有する箱状に形成されている。空間を区画する壁部には、断熱材(図示省略)が配されていてもよい。
【0037】
本実施形態のチャンバー26は、外気(床下空気)A1が供給されるように、第1送風流路17Aの出口17oが接続されている。さらに、チャンバー26には、居室10の少なくとも一部の空気(リターン)A3を取り込むための空気導入口28が設けられている。
【0038】
[室内空調機]
本実施形態の室内空調機27は、一般的な家庭用のセパレート型エアコンである場合が例示される。室内空調機27は、建物2の外部に設置される室外機(図示省略)とセットとして構成されている。本実施形態の室内空調機27は、吸込口27aと吹出口27bとを有している。
【0039】
吸込口27aは、チャンバー26の空気導入口28と、第1送風流路17Aの出口17oとに隣接して設けられている。これにより、吸込口27aには、居室10の空気(リターン空気)A3と、外気(床下空気)A1とが供給されうる。
【0040】
吹出口27bからは、これらの混合気(居室10の空気A3及び外気A1)を熱交換した換気・空調空気A2が吐出される。吹出口27bの下流側には、第2送風流路17Bの入口17i、及び、第3送風流路17Cの入口17iが設けられている。これにより、空調ユニット18は、第2送風流路17B及び第3送風流路17Cを介して、換気・空調空気A2を居室10(本例では、第1居室10A及び第2居室10B)に供給することができる。
【0041】
このように、本実施形態の建物2は、送風流路17(第1送風流路17A~第3送風流路17C)により、外気(床下空気)A1を空調ユニット18に供給しつつ、換気・空調空気A2を居室10に供給することができる。したがって、建物2は、居室10を、換気及び空調することができる。このような換気及び空調を効率よく行うには、送風流路17(第1送風流路17A~第3送風流路17C)において、換気及び空調に必要な風量が確保されているのが重要である。
【0042】
[建物の製造方法]
次に、本実施形態の建物2の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある。)が説明される。本実施形態の製造方法では、後述の評価方法を含んでいる点を除き、従来の製造方法と同様の手順に基づいて、建物2が製造される。
【0043】
本実施形態の製造方法では、先ず、基礎5、柱や梁などの架構体(図示省略)、及び、外壁11等の施工が行われた後に、ダクト16を含む送風流路17(本例では、第1送風流路17A~第3送風流路17C)を取り回す施工が行われる。その後、本実施形態の製造方法では、ダクト16が通る閉空間24(本例では、床下空間3及び小屋裏8等)が、建材23(本例では、天井形成材14aや床材6a等)で閉じられ、空調ユニット18等が設置される。
【0044】
ところで、建物2内にダクト16を取り回す施工時においては、ダクト16に想定外の曲げや潰れ等が生じることがある。これらの曲げや潰れ等は、ダクト16の圧力損失を大きくし、換気及び空調に必要な風量の確保が困難となる。このような施工状態の不具合が、建材23(本例では、天井形成材14aや床材6a等)で、閉空間24(本例では、床下空間3及び小屋裏8等)が閉じられた後に発見された場合には、建材23を一旦取り外して、ダクト16の施工状態を改修する必要が生じる。
【0045】
[送風流路の施工状態評価方法(第1実施形態)]
本実施形態では、建物2を製造する過程で、建物2内を延びるダクト16を含む送風流路17の施工状態が評価される。本実施形態の評価方法は、閉空間24(本例では、床下空間3及び小屋裏8等)が、建材23(本例では、天井形成材14aや床材6a等)で閉じられる前に実行される。
【0046】
本実施形態では、第1送風流路17A~第3送風流路17Cの施工状態が評価されるが、施工状態(ダクト16の取り回し)に応じて、それらの一部のみが評価されてもよい。また、評価方法の実施には、コンピュータ等が用いられてもよい。図2は、送風流路の施工状態評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。図3は、送風流路の施工状態評価方法の一例を説明するための概念図である。図3では、第1送風流路17Aの施工状態の評価方法の一例が、簡略化して示されている。
【0047】
[空気を供給]
本実施形態の評価方法では、先ず、図3に示されるように、第1のファン21(図1に示す)よりも風量が小さい第2のファン22を用いて、送風流路17の入口17iに予め定められた風量で空気A4が供給される(工程S1)。第2のファン22は、第1のファン21よりも風量が小さければ、特に限定されない。第2のファン22は、第1のファン21よりも消費電力(風量)が小さいため、例えば、仮設された電力供給装置(電源や蓄電池等)29からの電力供給で運転することができる。これにより、本実施形態の評価方法では、例えば、第1のファン21の設置工事や、第1のファン21の運転に必要な電気工事が実施される前に、送風流路17の入口17iに、空気A4を供給することができる。したがって、本実施形態の評価方法は、ダクト16の施工状態を早期に評価することが可能となる。
【0048】
本実施形態の工程S1では、先ず、送風流路17の入口17iに、第2のファン22が設置される。入口17iと第2のファン22との間には、それらの間の隙間を防ぐためのアダプター31が設けられてもよい。本実施形態の第2のファン22には、仮設された電力供給装置(電源や蓄電池等)29から電力が供給される。次に、本実施形態の工程S1では、第2のファン22の運転が開始され、送風流路17の入口17iに予め定められた風量で、空気A4が供給される。
【0049】
風量は、次の工程S2において、送風流路17の出口17oで測定可能な風量であれば、特に限定されない。本実施形態の風量は、第2のファン22の仕様に基づいて、適宜設定される。
【0050】
図1に示されるように、本実施形態の送風流路17は、建物2が製造された後において、第1のファン21から供給される空気(本例では、外気A1又は換気・空調空気A2)が、入口17iから出口17oに搬送されることが予定されている。したがって、工程S1では、図3に示されるように、送風流路17の入口17iに、第2のファン22から空気A4が供給されることにより、第1のファン21で空気が搬送される状態を、第1のファン21が設置される前に擬似的に実施することができる。
【0051】
[風量を測定]
次に、本実施形態の評価方法では、送風流路17の入口17i又は出口17oでの風量が測定される(工程S2)。本実施形態の工程S2では、送風流路17の入口17iから出口17oに搬送された空気A4について、出口17oでの風量が測定される。風量は、従来の方法に基づいて、適宜測定されうる。本実施形態の工程S2では、公知の風量計32が用いられる。本実施形態の風量計32には、ベーン式風量計(例えば、株式会社テストー製の「testo417」)が採用されている。このような風量計32は、例えば、ダクト16の内径が小さく、かつ、測定位置での風速が速い場合に、風量を精度良く測定しうる。なお、風量計32は、ベーン式風量計に限定されるわけではなく、例えば、熱線式風量計が用いられてもよい。このような熱線式風量計は、例えば、ダクト16の内径が大きく、かつ、測定位置での風速が遅い場合に、風量を精度良く測定しうる。また、風量計32と出口17oとの間には、それらの間の隙間を防ぐためのアダプター33が設けられてもよい。
【0052】
工程S2では、送風流路17の出口17oでの風量を測定する態様に限定されるわけではなく、送風流路17の入口17iでの風量が測定されてもよい。送風流路17は、入口17iと出口17oとの間が密閉されているため、入口17iでの風量と、出口17oでの風量とは等しくなる。したがって、工程S2では、入口17iでの風量が測定されることにより、出口17oでの風量を測定した場合と同一の測定結果が得られる。
【0053】
送風流路17の入口17iでの風量が測定される場合には、工程S1での空気A4の供給、及び、工程S2での風量の測定を、入口17iにおいて実施することができる。これにより、評価方法では、例えば、入口17iで空気A4を供給するためのオペレータと、出口17oで風量を測定するためのオペレータとをそれぞれ配置する必要がないため、ダクトの施工状態を容易に評価することが可能となる。
【0054】
送風流路17の入口17iでの風量が測定される場合には、第2のファン22と入口17iとの間に風量計32が配置されてもよいし、第2のファン22の吸込口に、風量計32が配置されてもよい。風量の測定結果は、例えば、コンピュータ(図示省略)などに記録される。
【0055】
[風量に対する閾値を決定]
次に、本実施形態の評価方法では、風量に対する予め定められた閾値が決定される(工程S3)。本実施形態の工程S3は、後述の施工状態を評価する工程S4に先立って実行される。なお、工程S3は、施工状態を評価する工程S4が実行される前であれば、適宜実行(例えば、工程S1及び工程S2の前に実行)されてもよい。
【0056】
本実施形態の工程S3では、先ず、第2のファン22の静圧と風量との関係を示す第1曲線と、送風流路17の圧力損失と風量との関係を示す第2曲線とが取得される。図4は、第1曲線C1及び第2曲線C2の一例を示すグラフである。
【0057】
第1曲線C1は、例えば、第2のファン22(図3に示す)のメーカー等が公表している「風量-静圧特性」が用いられる。このような第1曲線C1では、第2のファン22が設置される装置(ダクトなど)の圧力損失(静圧)に対して、第2のファン22で供給される風量が特定されうる。
【0058】
第2曲線C2は、例えば、図3に示した送風流路17の設計因子(例えば、ダクト16の内径、ダクト16の摩擦係数、局部25の圧力損失係数等)に基づいて、公知の方法にしたがって適宜求められる。本実施形態では、例えば、送風流路17の設計因子に基づいて、例えば、ダクトの圧力損失計算の詳細法(A式)の変数が代入されることにより、第2曲線が取得されうる。なお、詳細法(A式)の詳細は、例えば、文献(国土交通省住宅局等著、「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル」、工学図書、2003年11月、p.248-249)に記載のとおりである。
【0059】
本実施形態の評価方法が実行される時点において、送風流路17に、例えば、外部端末換気口(図示省略)や、室内端末換気口(図示省略)が設けられていない場合には、詳細法(A式)のうち、これらに関する変数への代入は省略されうる。これにより、本実施形態の評価方法では、第2曲線C2が容易に取得されうる。
【0060】
このような第2曲線C2は、送風流路17が設計因子のとおりに設置された(すなわち、ダクト16の施工状態に不具合がない)場合において、送風流路17に供給された空気の風量に対して、送風流路17に発生する圧力損失が特定されうる。第2曲線C2は、風量が大きくなるほど、圧力損失が大きくなることを示している。
【0061】
次に、本実施形態の工程S3では、第1曲線C1と、第2曲線C2との交点Pでの風量Wに基づいて、第2のファン22の風量に対する閾値が決定される。交点Pでの風量Wは、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がない送風流路17の入口17iに、第2のファン22から空気A4が供給された場合に、出口17oから吐出されると予測された風量を示している。したがって、工程S2において測定された入口17i又は出口17oでの風量が、交点Pでの風量W未満である場合には、ダクト16の施工状態に不具合がある可能性が高いと判断しうる。このような交点Pでの風量Wに基づいて、第2のファン22の風量に対する閾値が設定されることにより、ダクト16の施工状態を適切に評価することが可能となる。
【0062】
閾値には、交点Pでの風量Wがそのまま採用されてもよい。なお、閾値は、例えば、第2のファン22の風量の誤差や、入口17i又は出口17oでの風量の測定誤差等の影響を考慮して、適宜決定(すなわち、交点Pでの風量Wよりも小さい値や、交点Pでの風量Wよりも大きな値に決定)されてもよい。閾値は、例えば、コンピュータなどに記録される。
【0063】
[ダクトの施工状態を評価]
次に、本実施形態の評価方法では、測定された風量と、風量に対する予め定められた閾値(例えば、図4の交点Pでの風量W)とに基づいて、ダクト16の施工状態が評価される(工程S4)。本実施形態の工程S4では、測定された入口17i又は出口17oでの風量が、閾値以上であるか否かが判断される。
【0064】
工程S4において、入口17i又は出口17oでの風量が閾値以上である場合(工程S4において、「Yes」)、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がない可能性が高い。この場合、工程S4では、ダクト16の施工状態が良好であると評価される。
【0065】
一方、工程S4において、入口17i又は出口17oでの風量が閾値未満である場合(工程S4において、「No」)、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がある可能性が高い。この場合、工程S4では、ダクト16の施工状態が良好でないと評価される。
【0066】
このように、本実施形態の評価方法は、閉空間24が建材23(図1に示す)で閉じられる前に、ダクト16の施工状態の良否を簡易に評価することができる。したがって、本実施形態の評価方法は、例えば、ダクト16の施工状態が良好でない場合に、その施工状態を改修するために、閉空間24を閉じた建材23を一旦取り外す必要がないため、建物2の製造コストの増大を抑制することができる。
【0067】
本実施形態の評価方法は、送風流路17の入口17iから出口17oに搬送することが予定されている第1のファン21(図1に示す)よりも、風量の小さい第2のファン22(図3に示す)が用いられる。このため、本実施形態の評価方法は、第1のファン21が設置される前に、ダクト16の施工状態が早期に評価されうる。さらに、本実施形態の評価方法は、例えば、第1のファン21の設置に必要な電気工事を必要としない。このため、本実施形態の評価方法は、ダクト16の施工状態を早期に評価することができる。
【0068】
[閉空間を閉じる]
本実施形態の評価方法(製造方法)では、入口17i又は出口17oでの風量が閾値以上である場合に(工程S4で「Yes」)、図1に示されるように、閉空間24が建材23で閉じられる(工程S5)。これにより、本実施形態の評価方法(製造方法)では、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がない状態で、閉空間24が建材23で閉じられるため、換気及び空調を効率よく行うことが可能な建物2を、確実に製造することができる。
【0069】
[ダクトの施工状態を改修]
本実施形態の評価方法(製造方法)では、入口17i又は出口17oでの風量が閾値未満である場合に(工程S4で「No」)、入口17i又は出口17oでの風量が閾値以上になるように、ダクト16の施工状態が改修される(工程S6)。本実施形態の工程S6では、ダクト16の施工状態の不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)が特定され、その不具合が補修される。本実施形態では、建材23を取り外すことなく、ダクト16の施工状態を迅速に改修することができるため、建物2の製造コストの増大が抑制されうる。
【0070】
本実施形態の評価方法では、ダクト16の施工状態が改修された後に(工程S6の実行された後に)、工程S1~工程S4が再度実施されるのが望ましい。これにより、本実施形態の評価方法(製造方法)では、入口17i又は出口17oでの風量が閾値以上になるまで、ダクト16の施工状態が確実に改修されるため、換気及び空調を効率よく行うことが可能な建物2を、確実に製造することができる。なお、送風流路17の設計因子に変更がない場合には、風量に対する閾値も変更されないため、閾値を決定する工程S3が省略されてもよい。
【0071】
[送風流路の施工状態評価方法(第2実施形態)]
本実施形態の評価方法では、閾値を決定する工程S3が実施されたが、このような態様に限定されない。例えば、建物2に設置される送風流路17の設計因子と、以前に製造された他の建物(図示省略)に設置された送風流路17の設計因子とが共通する場合には、他の建物の製造時に取得された閾値が用いられてもよい。これにより、この実施形態の評価方法では、閾値を決定する工程S3が省略されるため、ダクト16の施工状態を、より迅速に評価することが可能となる。
【0072】
[送風流路の施工状態評価方法(第3実施形態)]
これまでの実施形態では、送風流路17の入口17i又は出口17oでの風量を測定して、測定された風量と、風量に対する閾値とに基づいて、ダクトの施工状態が評価されたが、このような態様に限定されない。図5は、本発明の他の実施形態の送風流路の施工状態評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0073】
[空気を供給]
この実施形態の評価方法では、先ず、定風量の第2のファン22を用いて、送風流路17の入口17iに予め定められた風量で空気が供給される(工程S7)。定風量の第2のファン22は、一定の風量となるように、回転数が制御されるものである。したがって、第2のファン22は、送風流路17に発生する圧力損失が大きくなるほど、その回転数が大きくなる。なお、第2のファン22の風量は、特に限定されるわけではなく、第2のファン22の仕様に基づいて、適宜設定される。また、第2のファン22の設置等は、これまでの実施形態と同様の手順に基づいて実施されうる。
【0074】
[第2ファンの回転数を測定]
次に、この実施形態の評価方法では、第2のファン22の回転数が測定される(工程S8)。第2のファン22の回転数は、適宜測定されうる。この実施形態の工程S8では、例えば、第2のファン22を制御する制御装置(図示省略)で測定される回転数の読み込みや、公知の回転計(例えば、株式会社テストー製の「testo460」)を用いた測定によって、第2のファン22の回転数が測定されうる。風量の測定結果は、例えば、コンピュータ(図示省略)などに記録される。
【0075】
[回転数に対する閾値を測定]
次に、この実施形態の評価方法では、回転数に対する予め定められた閾値が決定される(工程S9)。この実施形態の工程S9は、後述の施工状態を評価する工程S10に先立って実行される。なお、工程S9は、施工状態を評価する工程S10が実行される前であれば、適宜実行(例えば、工程S7及び工程S8の前に実行)されてもよい。
【0076】
この実施形態の工程S9では、先ず、これまでの実施形態の手順に基づいて、送風流路17の圧力損失と風量との関係を示す第2曲線とが取得される。図6(a)は、第2曲線C2の一例を示すグラフである。
【0077】
次に、この実施形態の工程S9では、図6(a)に示されるように、第2曲線C2において、風量(第2のファン22の定風量)Xの空気が、送風流路17に供給されたときの圧力損失が求められる。この圧力損失は、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がない送風流路17の入口17iに、第2のファン22から定風量Xの空気A4が供給された場合における第2のファン22の静圧Yを示している。
【0078】
次に、この実施形態の工程S9では、第2のファン22の静圧と回転数との関係が取得される。第2のファン22の静圧と回転数との関係は、例えば、第2のファン22のメーカー等が公表している技術資料等から取得される。図6(b)は、第2のファン22の静圧と回転数との関係を示すグラフである。
【0079】
次に、この実施形態の工程S9では、図6(b)に示されるように、第2のファン22の静圧と回転数との関係(曲線C3)に基づいて、静圧Yでの第2のファン22の回転数Zが特定される。そして、工程S9では、回転数Zに基づいて、第2のファン22の回転数に対する閾値が決定される。
【0080】
静圧Yでの第2のファン22の回転数Zは、ダクト16の施工状態に不具合がない送風流路17の入口17iに、第2のファン22から定風量Xの空気A4が供給された場合における第2のファン22の回転数を示している。したがって、工程S8で測定された第2のファン22の回転数が、回転数Z以上である場合には、送風流路17での圧力損失によって第2のファン22の回転数が大きくなっており、ダクト16の施工状態に不具合がある可能性が高いと判断しうる。このような回転数Zに基づいて、第2のファン22の回転数に対する閾値が設定されることにより、ダクト16の施工状態を適切に評価することが可能となる。
【0081】
閾値には、静圧Yでの回転数Zがそのまま採用されてもよい。なお、閾値は、例えば、第2のファン22の定風量の誤差や、回転数の測定誤差等の影響を考慮して、適宜決定(すなわち、回転数Zよりも小さい値や、回転数Zよりも大きな値に決定)されてもよい。閾値は、例えば、コンピュータなどに記録される。
【0082】
[ダクトの施工状態を評価]
次に、この実施形態の評価方法では、測定された回転数と、回転数に対する予め定められた閾値とに基づいて、ダクト16の施工状態が評価される(工程S10)。この実施形態の工程S10では、測定された回転数が、閾値以上であるか否かが判断される。
【0083】
工程S10において、測定された回転数が閾値未満である場合(工程S10において、「Yes」)、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がない可能性が高い。この場合、工程S10では、ダクト16の施工状態が良好であると評価される。
【0084】
一方、工程S10において、測定された回転数が閾値以上である場合(工程S10において、「No」)、ダクト16の施工状態に不具合(例えば、想定外の曲げや潰れ等)がある可能性が高い。この場合、工程S10では、ダクト16の施工状態が良好でないと評価される。
【0085】
このように、この実施形態の評価方法は、これまでの実施形態の評価方法と同様に、閉空間24が建材23(図1に示す)で閉じられる前に、ダクト16の施工状態の良否を簡易に評価することができる。したがって、この実施形態の評価方法は、例えば、ダクト16の施工状態が良好でない場合に、その施工状態を改修するために、閉空間24を閉じた建材23を一旦取り外す必要がないため、建物2の製造コストの増大を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0087】
S1 送風流路の入口に空気を供給する工程
S2 送風流路の入口又は出口での風量を測定する工程
S4 ダクトの施工状態を評価する工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6