IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113243
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/42 20060101AFI20220728BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H05K3/42 610A
H05K1/02 C
H05K3/42 620
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009329
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴秀
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB12
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD01
5E317CD15
5E317CD18
5E317CD25
5E317CD27
5E317CD32
5E317GG01
5E338AA02
5E338BB02
5E338BB13
5E338BB22
5E338BB25
5E338CC01
5E338CC04
5E338EE31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スルーホール密度の偏りをなくし、均一なめっき厚を有するプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】両面銅貼積層板3に複数の第1貫通孔4-1と複数の第2貫通孔4-2とを全て等間隔で形成し、複数の第1貫通孔及び複数の第2貫通孔の内壁にスルーホール導体5-3を形成し、複数の第1貫通孔に第1充填材を6-1充填し、複数の第2貫通孔に第2充填材6-2を充填し、研磨により銅箔とスルーホール導体と第1充填材と第2充填材とを面一にし、両面銅貼積層板の表面と複数の第1貫通孔及び複数の第2貫通孔の表面に第3めっき膜及び第4めっき膜を形成し、第3めっき膜及び第4めっき膜から第1導体回路及び第2導体回路を形成することを含むプリント配線板の製造方法であって、第1面及び第2面から露出する第2貫通孔の内壁に形成されたスルーホール導体の少なくとも一方が、第1導体回路及び第2導体回路と電気接続されない。
【選択図】図1F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板の前記第1面上に積層されている第1銅箔と、前記第2面上に積層されている第2銅箔で形成されている両面銅貼積層板を準備することと、
前記両面銅貼積層板に複数の第1貫通孔と複数の第2貫通孔とを全て等間隔で形成することと、
前記複数の第1貫通孔の内壁及び前記複数の第2貫通孔の内壁にスルーホール導体を形成することと、
前記第1銅箔上に第1めっき膜を形成することと、
前記第2銅箔上に第2めっき膜を形成することと、
前記複数の第1貫通孔に第1充填材を充填することと、
前記複数の第2貫通孔に第2充填材を充填することと、
前記第1面から露出する前記第1めっき膜と前記スルーホール導体の一部と前記第1充填材の一部と前記第2充填材の一部を除去することで、前記第1面側に前記第1銅箔と前記スルーホール導体と前記第1充填材と前記第2充填材で形成される第1平面を形成することと、
前記第2面から露出する前記第2めっき膜と前記スルーホール導体の一部と前記第1充填材の一部と前記第2充填材の一部を除去することで、前記第2面側に前記第2銅箔と前記スルーホール導体と前記第1充填材と前記第2充填材で形成される第2平面を形成することと、
前記第1面から露出する前記第1銅箔上と前記スルーホール導体上と前記第1充填材上と前記第2充填材上に第3めっき膜を形成することと、
前記第2面から露出する前記第2銅箔上と前記スルーホール導体上と前記第1充填材上と前記第2充填材上に第4めっき膜を形成することと、
前記第3めっき膜から第1導体回路を形成することと、
前記第4めっき膜から第2導体回路を形成することと、
を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記第1面及び前記第2面から露出する前記第2貫通孔の内壁に形成されたスルーホール導体の少なくとも一方が、前記第1導体回路および前記第2導体回路と電気接続されない。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記スルーホール導体を形成することと前記第1めっき膜を形成することと前記第2めっき膜を形成することは同時に行われ、前記第3めっき膜を形成することと前記第4めっき膜を形成することは同時に行われる。
【請求項3】
請求項1または2のプリント配線板の製造方法であって、前記第1めっき膜と前記スルーホール導体の一部と前記第1充填材の一部と前記第2充填材の一部を除去することと、前記第2めっき膜と前記スルーホール導体の一部と前記第1充填材の一部と前記第2充填材の一部を除去することは、研磨により行われる。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項のプリント配線板の製造方法であって、前記第3めっき膜から前記第1導体回路を形成すること及び前記第4めっき膜から前記第2導体回路を形成することは、サブトラクティブ工法またはセミアディティブ工法により行う。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項のプリント配線板の製造方法であって、前記第1貫通孔の内壁に形成された前記スルーホール導体は、前記第1導体回路及び前記第2導体回路と電気接続される。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項のプリント配線板の製造方法であって、前記第1貫通孔の内壁に形成された前記スルーホール導体は、前記両面銅貼積層板の表裏で導通が取られている。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項のプリント配線板の製造方法であって、前記第2貫通孔の内壁に形成された前記スルーホール導体は、前記両面銅貼積層板の表裏で導通が取られていない。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項のプリント配線板の製造方法であって、前記第1充填材がエポキシ樹脂である。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項のプリント配線板の製造方法であって、前記第2充填材がエポキシ樹脂、磁性体、無機フィラーから選ばれる少なくとも一つである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔を有するプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多孔スルーホールを有するプリント配線板において、スルーホール配置の高密度化が求められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-72454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3(a)~(d)は、それぞれ、従来の多孔スルーホールを有するプリント配線板の製造方法を示す図である。まず、絶縁基板51とその両表面に形成された銅箔52とからなる両面銅貼積層板53にドリルで貫通孔54を形成し、露出する絶縁基板51上に筒状のスルーホール導体55と、銅箔52上にめっき膜59とを形成する(図3(a))。次に、スルーホール導体55内に充填樹脂56を充填し、充填樹脂56をスルーホール導体55及びめっき膜59と面一になるように研磨する(図3(b))。次に、充填樹脂56とスルーホール導体55とめっき膜59とが面一となる両表面に、めっき膜57を形成する(図3(c))。さらに、めっき膜57に対し、例えばサブトラクティブ工法を適用して、導体回路58を形成している(図3(d))。
【0005】
上述したプリント配線板の製造方法で製造したプリント配線板においては、スルーホール配置の密度に偏りがあると、めっき形成時に、スルーホール密度が高い箇所ではスルーホール導体55及びめっき膜59のめっき厚が減少し、スルーホール密度が低い箇所ではスルーホール導体55及びめっき膜59のめっき厚が厚くなる。そのため、貫通孔54内壁のスルーホール導体55及び絶縁基板51表面のめっき膜59のめっき厚にバラつきが生じる問題がある。その場合、めっき厚のバラつきにより、サブトラクティブ法での配線形成の工程能力が低下したり、配線形成そのものの障壁となったりしている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、スルーホール密度の偏りをなくすことにより、めっき厚のバラつきがなく、均一なめっき厚を有するプリント配線板の製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を有利に解決する本発明に係るプリント配線板の製造方法は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板の前記第1面上に積層されている第1銅箔と、前記第2面上に積層されている第2銅箔で形成されている両面銅貼積層板を準備することと、前記両面銅貼積層板に複数の第1貫通孔と複数の第2貫通孔とを全て等間隔で形成することと、前記複数の第1貫通孔の内壁及び前記複数の第2貫通孔の内壁にスルーホール導体を形成することと、前記第1銅箔上に第1めっき膜を形成することと、前記第2銅箔上に第2めっき膜を形成することと、前記複数の第1貫通孔に第1充填材を充填することと、前記複数の第2貫通孔に第2充填材を充填することと、前記第1面から露出する前記第1めっき膜と前記スルーホール導体の一部と前記第1充填材の一部と前記第2充填材の一部を除去することで、前記第1面側に前記第1銅箔と前記スルーホール導体と前記第1充填材と前記第2充填材で形成される第1平面を形成することと、前記第2面から露出する前記第2めっき膜と前記スルーホール導体の一部と前記第1充填材の一部と前記第2充填材の一部を除去することで、前記第2面側に前記第2銅箔と前記スルーホール導体と前記第1充填材と前記第2充填材で形成される第2平面を形成することと、前記第1面から露出する前記第1銅箔上と前記スルーホール導体上と前記第1充填材上と前記第2充填材上に第3めっき膜を形成することと、前記第2面から露出する前記第2銅箔上と前記スルーホール導体上と前記第1充填材上と前記第2充填材上に第4めっき膜を形成することと、前記第3めっき膜から第1導体回路を形成することと、前記第4めっき膜から第2導体回路を形成することと、を含むプリント配線板の製造方法であって、前記第1面及び前記第2面から露出する前記第2貫通孔の内壁に形成されたスルーホール導体の少なくとも一方が、前記第1導体回路及び前記第2導体回路と電気接続されないことを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の第1貫通孔と複数の第2貫通孔とを全て等間隔で形成することにより、スルーホール密度の偏りをなくすことができ、めっき厚のバラつきがなく、均一なめっき厚を有するプリント配線板を製造することができる。また、本発明によれば、第2貫通孔に充填する充填材を適宜選択することにより、プリント配線板の剛性の調整、基板反りの緩和、電気信号ノイズの抑制、誘電率等の調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1B】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1C】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1D】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1E】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1F】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1G】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1H】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1I】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図1J】本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における一工程を説明するための図である。
図2a】第3めっき膜及び第4めっき膜から第1導体回路及び第2導体回路を形成するセミアディティブ工法を説明するための図である。
図2b】第3めっき膜及び第4めっき膜から第1導体回路及び第2導体回路を形成するセミアディティブ工法を説明するための図である。
図2c】第3めっき膜及び第4めっき膜から第1導体回路及び第2導体回路を形成するセミアディティブ工法を説明するための図である。
図2d】第3めっき膜及び第4めっき膜から第1導体回路及び第2導体回路を形成するセミアディティブ工法を説明するための図である。
図3】(a)~(d)は、それぞれ、従来のプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A図1Jは、それぞれ、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。なお、図1A図1Jに示す例において、各部材の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実施の寸法とは異なる寸法で記載している。以下、図1A図1Jを参照して、本発明のプリント配線板の製造方法の一実施形態を説明する。図1H図1Jについては、それぞれ、サブトラクティブ工法に従って第1導体回路及び第2導体回路を形成する一実施形態の工程を示す図である。
【0011】
まず、図1Aに示すように、第1面1-1と、第1面1-1と反対側の第2面1-2を有する絶縁基板1と、絶縁基板1の第1面1-1上に積層されている第1銅箔2-1と、第2面1-2上に積層されている第2銅箔2-2で形成されている両面銅貼積層板3を準備する。次に、図1Bに示すように、両面銅貼積層板3に複数の第1貫通孔4-1を形成する。同様に、両面銅貼積層板3に複数の第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)を形成する。図1Cに示すように、複数の第1貫通孔4-1と、複数の第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)とをすべて等間隔(ピッチP1)で形成する。さらに、図1Dに示すように、第1銅箔2-1上に第1めっき膜5-1と、第2銅箔2-2上に第2めっき膜5-2と、第1貫通孔4-1の内壁及び第2貫通孔4-2の内壁に筒状のスルーホール導体5-3を形成する。このように、本発明のプリント配線板の製造方法は、第1貫通孔4-1と第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)とを形成する点に技術的特徴を有する。第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)は、スルーホール密度の偏りをなくすことにより、めっき厚を均一にする役割を有する。なお、複数の第1貫通孔4-1と複数の第2貫通孔4-2とが形成されている間隔(ピッチ)は、両面銅貼積層板3の大きさとの関係で適宜設定することができるが、300μm以上であることが好ましい。
【0012】
ここで、両面銅貼積層板3としては、市販の両面銅貼積層板(CCL)を用いることができる。第1貫通孔4-1及び第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の形成は、両面銅貼積層板3に、従来から知られている方法、例えば、ドリル加工やレーザ(CO、UV-YAG、エキシマなど)加工を施すことで行うことができる。また、第1貫通孔4-1及び第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の形成後、第1貫通孔4-1の内壁及び第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の内壁にスルーホール導体5-3を形成する前に、絶縁基板1の第1銅箔2-1の表面、第2銅箔2-2の表面、第1貫通孔4-1の内壁、第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の内壁に貫通孔形成時に発生した残渣を除去することが好ましい。残渣の除去は、例えば、過マンガン酸+水酸化ナトリウムを用いるデスミア処理やCFを用いたプラズマを用いるデスミア処理等により行うことができる。ここで、第1めっき膜5-1、第2めっき膜5-2、第1貫通孔4-1及び第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)のスルーホール導体5-3は、無電解銅めっきとその後の電解銅めっきにより形成される。
【0013】
次に、図1Eに示すように、第1貫通孔4-1の内部に第1充填材6-1を充填する。同様に、第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の内部に第2充填材6-2を充填する。その後、図1F及び図1Gに示すように、研磨により、第1面1-1から露出する第1めっき膜5-1とスルーホール導体5-3の一部と第1充填材6-1の一部と第2充填材6-2の一部を除去することで、第1面1-1側に第1銅箔2-1とスルーホール導体5-3と第1充填材6-1と第2充填材6-2で形成される第1平面10-1を形成する。同様に、研磨により、第2面1-2から露出する第2めっき膜5-2とスルーホール導体5-3の一部と第1充填材6-1の一部と第2充填材6-2の一部を除去することで、第2面1-2側に第2銅箔2-2とスルーホール導体5-3と第1充填材6-1と第2充填材6-2で形成される第2平面10-2を形成する。そして、図1Hに示すように、第1平面10-1に露出する第1銅箔2-1上とスルーホール導体5-3上と第1充填材6-1上と第2充填材6-2上に第3めっき膜7-1と、第2平面10-2に露出する第2銅箔2-2上とスルーホール導体5-3上と第1充填材6-1上と第2充填材6-2上に第4めっき膜7-2とを形成する。
【0014】
ここで、第1充填材6-1は、従来から知られているように、例えば熱硬化型のエポキシ樹脂組成物を用いることができる。また、第1貫通孔4-1への第1充填材6-1の充填は、従来から知られているように、印刷法や真空印刷法などを用いることができる。また、両面銅貼積層板3の第1面1-1及び第2面1-2の研磨方法としては、従来から知られているように、バフ研磨、ベルト研磨、平面研磨などの方法を用いることができ、製品の仕様により研磨方法を使い分ける。
【0015】
第2充填材6-2は、エポキシ樹脂、磁性体、無機フィラーから選ばれる少なくとも一つを用いることができる。第2充填材6-2の種類を適宜選択することによって、プリント配線板の剛性、基板反りの緩和、電気信号ノイズの抑制、誘電率の調整をすることができる。磁性体としては、強磁性体、反磁性体、常磁性体であってもよく、例えば、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライト、非酸化金属磁性を挙げることができる。無機フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、炭酸カルシウム等を挙げることができる。また、第3めっき膜7-1及び第4めっき膜7-2は、無電解銅めっきとその後の電解銅めっきにより形成される。
【0016】
次に、図1Iに示すように、第1貫通孔4-1のスルーホール導体5-3及び第1充填材6-1の表面に形成された第3めっき膜7-1及び第4めっき膜7-2を覆い、かつ、第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)のスルーホール導体5-3及び第2充填材6-2の表面に形成された第3めっき膜7-1及び第4めっき膜7-2の少なくとも一方を露出するようにエッチングレジスト9を形成する。第1貫通孔4-1上に形成されたエッチングレジスト9は、両面銅貼積層板3の第1面1-1の第3めっき膜7-1及び第2面1-2の第4めっき膜7-2の両方を覆うように形成されている。一方、第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)上に形成されたエッチングレジスト9は、両面銅貼積層板3の第1面1-1の第3めっき膜7-1及び第2面1-2の第4めっき膜7-2の両方、又は両面銅貼積層板3の第1面1-1の第3めっき膜7-1及び第2面1-2の第4めっき膜7-2のいずれか一方が露出されるように形成されている。なお、エッチングレジスト9の形成は、従来から知られているように、耐アルカリ、耐酸性等の印刷法や真空印刷法などを用いることができる。
【0017】
次に、図1Jに示すように、エッチングレジスト9を形成した両面銅貼積層板3に対しエッチングを行い、エッチングレジスト9から露出する第3めっき膜7-1、第4めっき膜7-2と第1銅箔2-1、第2銅箔2-2とを除去した後、エッチングレジスト9を除去して、第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2を形成する。エッチング、エッチングレジスト9の除去は、いずれも公知の方法をとることができる。その後、形成した表裏両面のパターン化した第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2上に層間絶縁層を形成し、その上に所定の層数だけ導体層および層間絶縁層を形成することで、ビルドアップ構造を所定の層だけ形成することができる。
【0018】
本発明のプリント配線板の製造方法において、第1貫通孔4-1の内壁に形成されたスルーホール導体5-3は第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2と電気接続されてもよい。また、第1貫通孔4-1の内壁に形成されたスルーホール導体5-3が両面銅貼積層板3の第1面1-1及び第2面1-2の表裏で導通が取られていてもよい。第1貫通孔4-1の内壁に形成されたスルーホール導体5-3が第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2と電気接続されることにより、両面銅貼積層板3の第1面1-1及び第2面1-2の表裏で導通を取ることができ、スルーホール導体5-3を電源用導体及び信号用導体とすることができる。
【0019】
さらに、本発明のプリント配線板の製造方法において、第1面1-1及び第2面1-2から露出する少なくとも一方の第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の内壁に形成されたスルーホール導体5-3が第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2と電気接続されなくてもよい。また、第2貫通孔4-2の内壁に形成されたスルーホール導体5-3が両面銅貼積層板3の第1面1-1及び第2面1-2の表裏で導通が取られていなくてもよい。
【0020】
以下、第3めっき膜7-1及び第4めっき膜7-2から第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2を形成する際使用する加工方法として、セミアディティブ工法を、図2a~図2dを参照して説明する。図2a~図2dに示す例において、図1A図1Iに示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
図2a~図2dは、それぞれ、セミアディティブ工法に従って第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2を形成する一実施形態の工程を示す図である。まず、図2aに示すように、両面銅貼積層板3(図1Fに対応)の表面上において、第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2を形成しない位置にエッチングレジスト9を形成する。次に、図2bに示すように、エッチングレジスト9の存在しない両面銅貼積層板3の第1充填材6-1の表面およびスルーホール導体5-3の表面、及び少なくとも一方の第2充填材6-2の表面およびスルーホール導体5-3の表面に第3めっき膜7-1及び第4めっき膜7-2を形成する。次に、図2cに示すようにエッチングレジスト9を除去する。最後に、図2dに示すように、両面銅貼積層板3の表面をエッチングして、第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2の部分以外の絶縁基板1上の第1銅箔2-1および第2銅箔2-2を除去して、絶縁基板1を露出させて、最終的な第1導体回路8-1及び第2導体回路8-2を形成する。本例においても、エッチングレジスト9の形成、エッチング、エッチングレジスト9の除去は、いずれも公知の方法をとることができる。なお、セミアディティブ工法は、サブトラクティブ工法と比較して、狭ピッチの導体パターンの形成に向いている。
【0022】
上述した本発明のプリント配線板の製造方法において、第1貫通孔4-1と第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)とは等間隔であり、その間隔(ピッチ)は300μm以上であることが好ましい。第1貫通孔4-1と第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)を等間隔とすることにより、全体のスルーホール密度が均一となり、第1めっき膜5-1、第2めっき膜5-2、スルーホール導体5-3のめっき厚を均一にすることができる。また、第1貫通孔4-1の内壁のスルーホール導体5-3の厚みと第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の内壁のスルーホール導体5-3の厚みは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。さらに、第1貫通孔4-1の孔径と第2貫通孔4-2(ダミー貫通孔)の孔径は、100μm以上300μm以下であることが好ましい。第1貫通孔4-1の内壁のスルーホール導体5-3の厚みを20μm以上とすることにより、電源用導体とすることができる。また、上記スルーホール導体5-3の厚みを10μm程度とすることにより、信号用導体とすることができる。
【0023】
本発明において、スルーホール導体5-3、第1めっき膜5-1、第2めっき膜5-2の形成順序は、特に限定しないが、スルーホール導体5-3を形成することと第1めっき膜5-1を形成することと第2めっき膜5-2を形成することとは同時に行われることが好ましい。同様に、第3めっき膜7-1、第4めっき膜7-2の形成順序は特に限定しないが、第3めっき膜7-1を形成することと第4めっき膜7-2を形成することとは同時に行われることが好ましい。
【0024】
上述した本発明のプリント配線板によれば、複数の第1貫通孔と複数の第2貫通孔とを全て等間隔で形成することにより、スルーホール密度の偏りをなくすことができ、めっき厚のバラつきがなく、均一なめっき厚を有するプリント配線板を製造することが可能となる。また、第2貫通孔に充填する充填材を変化させることにより、プリント配線板の剛性の調整、基板反りの緩和、電気信号ノイズの抑制、誘電率等の調整が可能となる。
【0025】
なお、実施形態のプリント配線板の製造方法においては、第1貫通孔4-1の内壁のスルーホール導体5-3と第2貫通孔4-2の内壁のスルーホール導体5-3の形成を同時に行っているが、これらの形成を別々に分けてスルーホール形成を行った場合でも、本発明と同様の効果を得ることができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0026】
1 絶縁基板
1-1 第1面
1-2 第2面
2-1 第1銅箔
2-2 第2銅箔
3 両面銅貼積層板
4-1 第1貫通孔
4-2 第2貫通孔(ダミー貫通孔)
5-1 第1めっき膜
5-2 第2めっき膜
5-3 スルーホール導体
6-1 第1充填材
6-2 第2充填材
7-1 第3めっき膜
7-2 第4めっき膜
8-1 第1導体回路
8-2 第2導体回路
9 エッチングレジスト
10-1 第1平面
10-2 第2平面
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2a
図2b
図2c
図2d
図3