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  • 特開-ファン装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113249
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】ファン装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/52 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
F04D29/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009337
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 祐司
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC01
3H130AC19
3H130BA63G
3H130BA66A
3H130BA66H
3H130BA68A
3H130BA68H
3H130CA21
3H130CB01
3H130CB06
3H130DD01X
3H130DF01X
3H130EA02A
3H130EA06C
3H130EA06H
3H130EA07A
3H130EA07H
3H130EB01A
3H130EB02A
(57)【要約】
【課題】大きな風量を達成する手段の一つとして、ファンの回転数を上げるために必要となる大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を配置する領域を確保すると共に、空気の流れを阻害することなく大きな風量を得ることができるファン装置を提供すること。
【解決手段】実施形態のファン装置は、ハウジングと、インペラと、モータとを備える。前記ハウジングは、風洞部を備える。前記インペラは、前記風洞部に収容される。前記モータは、前記風洞部に収容され、前記インペラを回転する。前記モータは、前記モータを駆動制御するための第1の回路基板を有する。前記モータに所定の電力を供給するための電力制御回路を形成した第2の回路基板を収容する電力制御回路収容部が前記風洞部の外部に配設される。前記電力制御回路収容部は、前記ハウジングと一体成形品で形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風洞部を備えたハウジングと、
前記風洞部に収容されたインペラと、
前記風洞部に収容され、前記インペラを回転するためのモータと、を備え、
前記モータは、前記モータを駆動制御するための第1の回路基板を有し、
前記モータに所定の電力を供給するための電力制御回路を形成した第2の回路基板を収容する電力制御回路収容部が前記風洞部の外部に配設され、
前記電力制御回路収容部は、前記ハウジングと一体成形品で形成されている、
ファン装置。
【請求項2】
前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とは、フレキシブル基板で電気的に接続され、
前記フレキシブル基板は、前記電力制御回路収容部と前記風洞部との境を形成する風洞部の一部に形成された隙間を通っている、
請求項1に記載のファン装置。
【請求項3】
前記電力制御回路収容部の前記隙間が設けられる側とは反対側の外面には、貫通孔が設けられる、
請求項2に記載のファン装置。
【請求項4】
前記第2の回路基板は、前記隙間と前記貫通孔との間の空気の流れに沿った方向に板面が略平行になるように配置される、
請求項3に記載のファン装置。
【請求項5】
前記第1の回路基板の外径は、前記インペラのハブの外径よりも小径に形成されている、
請求項1~4のいずれか一つに記載のファン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置や電子機器への送風や冷却としてファン装置が用いられている。ファン装置には、風量特性の優れた、大きな風量が要求される場合がある。また、ファン装置が取り付けられる空間に制約を受ける場合があり、その場合、ファン装置の外形寸法が制約を受ける。
【0003】
大きな風量を達成する手段の一つとして、ファンの回転数を上げることが考えられるが、ファンの回転数を上げるためには、大きな電力の供給が必要になり、大きな電力を供給するための電子部品や制御回路は大型化しやすい。したがって、電子部品や制御回路を配置する領域を確保するため、それらを実装する回路基板も大きくする必要がある。しかし、限られた外形寸法の中で、回路基板を大きくすると、空気の流れを阻害して風量特性の低下を招き、好ましくない。
【0004】
一方、ファン装置を駆動するための制御用の電子部品等をファン装置のケースの外方に配置したファン装置がある(例えば、特許文献1等を参照)。特許文献1の「従来の技術の欄」には、ケースの外周部の一辺あるいは二辺に駆動回路収容部を配置した構成が記載されている。制約を受けるのは主に風洞部の外形寸法であるため、ケースの外方への駆動回路収容部の拡張は許容される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61-140196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の軸流ファンは、ケースの外周部に駆動回路収容部を配置した構成が記載されているが、その具体的な構成は明らかでない。そのため、大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を収容するのに適した構成であるのか、また、空気の流路を阻害することなく大きな風量を得ることに適した構成であるのかが定かでない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大きな風量を達成する手段の一つとして、ファンの回転数を上げるために必要となる大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を配置する領域を確保すると共に、空気の流れを阻害することなく大きな風量を得ることができるファン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るファン装置は、ハウジングと、インペラと、モータとを備える。前記ハウジングは、風洞部を備える。前記インペラは、前記風洞部に収容される。前記モータは、前記風洞部に収容され、前記インペラを回転する。前記モータは、前記モータを駆動制御するための第1の回路基板を有する。前記モータに所定の電力を供給するための電力制御回路を形成した第2の回路基板を収容する電力制御回路収容部が前記風洞部の外部に配設される。前記電力制御回路収容部は、前記ハウジングと一体成形品で形成されている。
【0009】
本発明の一態様に係るファン装置は、大きな風量を達成する手段の一つとして、ファンの回転数を上げるために必要となる大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を配置する領域を確保すると共に、空気の流れを阻害することなく大きな風量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態にかかるファン装置の斜視図である。
図2図2は、図1におけるファン装置の長手方向を図1中のY-Y断面で示した斜視図である。
図3図3は、ファン装置の平面図である。
図4図4は、図3におけるファン装置のY-Y断面図である。
図5図5は、ファン装置のカバーを外した状態における底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係るファン装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
【0012】
図1は、一実施形態にかかるファン装置1の斜視図である。図2は、図1におけるファン装置1の長手方向を図1中のY-Y断面で示した斜視図である。図3は、ファン装置1の平面図である。図4は、図3におけるファン装置1のY-Y断面図である。図5は、ファン装置1のカバー3を外した状態における底面図である。
【0013】
<ファン装置の構造>
図1図5において、本実施形態のファン装置1は、軸流ファンを構成する。ハウジング2は、平面視で、従来の一般的な略正方形ではなく、長方形をしており、側面の一辺が外方に延在している。側面の一辺が外方に延在している内部に、大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を形成した電力制御回路収容部2bが形成されている。風洞を有する従来の一般的な略正方形の部分は風洞部2aである。
【0014】
樹脂製のハウジング2の軸方向の一方端側には、ハウジング2の内部に吸気するための吸気口2cが形成され、他方端にはハウジング2の内部に吸気した空気をハウジング2の外部に吹き出すための排気口2dが形成されている。ハウジング2に形成された4箇所の貫通孔2eは、ファン装置1が他の装置や筐体に取り付けられる際、締結材(例えば、ボルト)が挿通される孔である。
【0015】
排気口2dには、モータ5を配置するためのモータベース部6が設けられ、円環状のモータベース部6の外周縁とハウジング2の内周面を結合する複数の固定翼6bが形成されている。なお、固定翼6bに代えて略板状のスポークであっても勿論よい。
【0016】
モータベース部6の中央には軸方向に突出する中空円筒状のボス部6aが形成されており、このボス部6aには、金属製(例えば、真鍮)の軸受ホルダ7が嵌着されている。軸受ホルダ7の内側には一対のボールベアリング8が装着され、一対のボールベアリング8にて、ロータ13のシャフト14が回転可能に支持されている。ハウジング2とモータベース部6と固定翼6bは樹脂の射出成型にて一体に形成されている。
【0017】
軸受ホルダ7の外周面にはモータ5のステータ組立体が配置されている。ステータ組立体は、ステータ9と、ステータ9の軸方向の他方端に配設された回路基板21と、から構成されている。ステータ9は、コア片が軸方向に所定枚数積層されてなるステータコア10と、ステータコア10に装着されたインシュレータ11と、インシュレータ11を介してステータコア10に巻回されたコイル12と、から構成されている。
【0018】
ステータコア10に巻回されたコイル12と回路基板21とは、インシュレータ11に配置された端子ピンを介して電気的に接続されている。この回路基板21には、モータ5を制御するための必要最小限の回路パターンや電子部品が実装されており、モータ制御部を構成している。回路基板21の外径は、インペラ18のハブ19の外径よりも小径に形成されており、吸気口2cから吸入した空気を排気口2dに流す際、回路基板21によって空気流が阻害されることを防止している。
【0019】
モータ5のロータ13は、金属製のシャフト14と、シャフト14の一方端に固着された金属製のブッシュ15と、略カップ状のロータヨーク16と、ロータヨーク16の内周面に固着されたリング状のロータマグネット17と、から構成されている。ロータヨーク16の中央に形成された開口の周縁は、ブッシュ15とカシメ固着されている。ロータマグネット17の内周面と、ステータ9の外周面とは、所定のエアーギャップを隔てて対向配置される。
【0020】
ロータヨーク16の外周面には、インペラ18が装着され、ロータ13と一体に回転する。インペラ18は、カップ状のハブ19と、ハブ19の外周面から周方向に配設された複数の羽根20と、から構成されている。ハブ19には、モータ内部の冷却用の貫通孔20aが設けられている。羽根20は全て同じ形状で周方向に均等に配置されている。ハブ19と複数の羽根20は、樹脂の射出成型にて一体に形成されている。別体として形成したインペラ18は、ロータヨーク16の外周面に装着されているが、ロータヨーク16をインサート材として、インペラ18が一体に形成された構成であっても勿論よい。
【0021】
<ハウジング構造、高電力制御回路収容部>
ハウジング2は、軸方向の平面視で、長方形を有し、側面の一辺が外方に延在している。側面の一辺が外方に延在している内部に、大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を形成した電力制御回路収容部2bが形成されている。ハウジング2は、インペラ18とモータ5が配置される内周面が円形の風洞を備える風洞部2aと、電力制御回路収容部2bとになっている。
【0022】
電力制御回路収容部2bの底面は開口となっており、電力制御回路収容部2bの側面の内周面には、複数(3枚)の回路基板(第2の回路基板)22が差し込まれて保持される複数(3対)の回路基板保持部2gが形成されている。この回路基板保持部2gは、軸方向に亘って形成され、回路基板22の側方全長に亘って保持するように形成されているが、一部分を保持するように形成したものであってもよい。
【0023】
電力制御回路収容部2bの底面の開口は樹脂製のカバー3で塞がれる。電力制御回路収容部2bに収容される電力制御回路は、複数(3枚)の回路基板(第2の回路基板)22から構成されており、3枚の回路基板(第2の回路基板)22には、大きな電力を供給するための電力制御回路が形成され、そのための電子部品や制御IC(Integrated Circuit)等が実装され、各回路基板22はフレキシブル基板(FPC)で電気的に接続されている(不図示)。フレキシブル基板には、例えば、フラットケーブルも含まれる。
【0024】
円形の風洞を有する風洞部2aの一部、具体的には、電力制御回路収容部2bと風洞部2aとの境となる風洞部2aの内周の一部は、軸方向の長さが部分的に短い凹部2hとなっており、排気口2d側には隙間4aが形成されている。このため、電力制御回路収容部2bの底面の開口にカバー3を装着した際、フレキシブル基板を挿通でき、風洞を流れる空気流に影響を及ぼさない程度の隙間4aが形成される。この隙間4aを通して、電力制御回路収容部2bの回路基板(第2の回路基板)22と、モータ制御部を構成する回路基板(第1の回路基板)21とがフレキシブル基板にて電気的に接続されている(不図示)。このフレキシブル基板は、固定翼6bの形状に倣って(固定翼6bに沿って)、モータ制御部を構成する回路基板21に接続され、隣接する固定翼6bの間に形成された開口(流路F)を塞がないようにしている。
【0025】
電力制御回路収容部2bの底面の開口から回路基板(第2の回路基板)22が挿入され、電力制御回路収容部2bの側面の内周面に形成された回路基板保持部2gに差し込まれ、軸方向に押し込まれることで、回路基板(第2の回路基板)22が電力制御回路収容部2bの内部に収容される。その上で、カバー3が装着される。カバー3と回路基板(第2の回路基板)22との間には隙間4bが形成される。
【0026】
次に、モータ制御部を構成する回路基板(第1の回路基板)21に接続されたフレキシブル基板が回路基板(第2の回路基板)22の接続口に差し込まれ、電気的に接続される。また、回路基板(第2の回路基板)22に接続されたリード線(不図示)は、電力制御回路収容部2bを形成するハウジング2の一部に形成されたノッチ(不図示)から、ハウジング2の外部に引き出される。
【0027】
次に、カバー3が電力制御回路収容部2bの底面の開口に嵌め込まれ、装着される。電力制御回路収容部2bの上面には、複数の貫通孔2f(図では、長方形の長孔)が形成されている。インペラ18が回転すると、ハウジング2の吸気口2cから吸入された空気は風洞内を流れ、排気口2dから外部に吹き出されるが、風洞内を流れる空気流の一部は、フレキシブル基板が挿通された隙間4aから電力制御回路収容部2bの内部に流入し、電力制御回路収容部2bの上面に形成された貫通孔2fからハウジング2の外部に吹き出される。この空気流によって、電力制御回路収容部2bの内部が冷却される結果、発熱した電子部品等を冷却することができる効果を奏する。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0029】
以上のように、実施形態に係るファン装置は、風洞部を備えたハウジングと、風洞部に収容されたインペラと、風洞部に収容され、インペラを回転するためのモータとを備え、モータは、モータを駆動制御するための第1の回路基板を有し、モータに所定の電力を供給するための電力制御回路を形成した第2の回路基板を収容する電力制御回路収容部が風洞部の外部に配設され、電力制御回路収容部は、ハウジングと一体成形品で形成されている。これにより、大きな風量を達成する手段の一つとして、ファンの回転数を上げるために必要となる大きな電力を供給するための電子部品や制御回路を配置する領域を確保すると共に、空気の流れを阻害することなく大きな風量を得ることができる。
【0030】
また、第1の回路基板と第2の回路基板とは、フレキシブル基板で電気的に接続され、フレキシブル基板は、電力制御回路収容部と風洞部との境を形成する風洞部の一部に形成された隙間を通っている。これにより、風洞内の空気の流れを阻害することなく大きな風量を得ることができる。
【0031】
また、電力制御回路収容部の隙間が設けられる側とは反対側の外面には、貫通孔が設けられる。これにより、電力制御回路収容部の内部に空気の流れを生じさせることができ、発熱した電子部品等の冷却を促進させることができる。
【0032】
また、第2の回路基板は、隙間と貫通孔との間の空気の流れに沿った方向に板面が略平行になるように配置される。これにより、第2の回路基板の冷却の効果を高めることができる。
【0033】
また、第1の回路基板の外径は、インペラのハブの外径よりも小径に形成されている。これにより、吸気口から吸入した空気を排気口に流す際、第1の回路基板によって空気流が阻害されることを防止することができる。
【0034】
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 ファン装置,2 ハウジング,2a 風洞部,2b 電力制御回路収容部,2c 吸気口,2d 排気口,2e、2f 貫通孔,2g 回路基板保持部,2h 凹部,3 カバー,4a、4b 隙間,5 モータ,6 モータベース部,6a ボス部,6b 固定翼,7 軸受ホルダ,8 ボールベアリング,9 ステータ,10 ステータコア,11 インシュレータ,12 コイル,13 ロータ,14 シャフト,15 ブッシュ,16 ロータヨーク,17 ロータマグネット,18 インペラ,19 ハブ,20 羽根,20a 貫通孔,21、22 回路基板
図1
図2
図3
図4
図5