(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113250
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/065 20060101AFI20220728BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H01L25/08 Y
H01L25/08 E
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009339
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 崇浩
【テーマコード(参考)】
4M109
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA03
4M109CA21
4M109EB12
4M109EE06
(57)【要約】
【課題】高い信頼性を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、配線基板と、配線基板の上方に設けられ、第1の半導体チップを含むチップ積層体と、配線基板と第1の半導体チップとの間に設けられた第2の半導体チップと、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの間に設けられ、第2の半導体チップに接する第1の接着層と、チップ積層体を覆う第1の部分と、配線基板と第1の半導体チップとの間を延在する第2の部分と、を含む絶縁封止層と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の上方に設けられ、第1の半導体チップを含むチップ積層体と、
前記配線基板と前記第1の半導体チップとの間に設けられた第2の半導体チップと、
前記第1の半導体チップと前記第2の半導体チップとの間に設けられ、前記第2の半導体チップに接する第1の接着層と、
前記チップ積層体を覆う第1の部分と、前記配線基板と前記第1の半導体チップとの間を延在する第2の部分と、を含む絶縁封止層と、
を具備する、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の接着層は、前記第2の半導体チップを覆う、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線基板と前記第2の半導体チップとを接続するボンディングワイヤをさらに具備し、
前記第1の接着層は、前記ボンディングワイヤを覆う、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の半導体チップと前記配線基板との間に設けられ、前記第1の接着層と離間する第2の接着層をさらに具備し、
前記第2の部分は、前記第1の接着層と前記第2の接着層との間を延在する、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の接着層は、前記第1の半導体チップの表面の端部に重畳する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の接着層は、前記絶縁封止層と熱膨張係数が異なる、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の接着層は、ダイアタッチフィルムを含む、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1の接着層は、前記第2の接着層の材料と異なる材料を含む、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2の接着層は、ダイアタッチフィルムを含む、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の半導体チップと前記第1の接着層との間に設けられた第3の接着層をさらに具備する、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第3の接着層は、ダイアタッチフィルムを含む、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記絶縁封止層は、酸化シリコンを含む、請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の半導体チップは、メモリチップであり、
前記第2の半導体チップは、メモリコントローラチップである、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリ等の半導体装置は、配線基板上に積層された複数の半導体チップを具備する。複数の半導体チップは、ボンディングワイヤにより配線基板に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-168586号公報
【特許文献2】特許第3399453号
【特許文献3】特開2019-161007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態において解決しようとする課題の一つは、高い信頼性を有する半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
半導体装置は、配線基板と、配線基板の上方に設けられ、第1の半導体チップを含むチップ積層体と、配線基板と第1の半導体チップとの間に設けられた第2の半導体チップと、第1の半導体チップと第2の半導体チップとの間に設けられ、第2の半導体チップに接する第1の接着層と、チップ積層体を覆う第1の部分と、配線基板と第1の半導体チップとの間を延在する第2の部分と、を含む絶縁封止層と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】半導体装置の第1の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図3】接着層の第1の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図4】接着層の第1の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図5】接着層の第1の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図6】接着層の第1の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図7】接着層の第1の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図8】接着層の第2の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図9】接着層の第2の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図10】接着層の第2の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図11】接着層の第2の形成方法の例を説明するための断面模式図である。
【
図12】半導体装置の第2の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図13】半導体装置の一部を含む平面模式図である。
【
図14】半導体装置の第3の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図15】半導体装置の一部を含む平面模式図である。
【
図16】半導体装置の第4の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図17】半導体装置の一部を含む平面模式図である。
【
図18】半導体装置の第5の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図19】半導体装置の一部を含む平面模式図である。
【
図20】半導体装置の第6の構造例を説明するための断面模式図である。
【
図21】半導体装置の一部を含む平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
本明細書において「接続する」とは、特に指定する場合を除き、物理的に接続することだけでなく、電気的に接続することも含む。
【0009】
(半導体装置の第1の構造例)
図1は、半導体装置の第1の構造例を説明するための断面模式図である。
図1は、X軸と、X軸に垂直なY軸と、X軸およびY軸に垂直なZ軸と、を示す。なお、X軸は、例えば配線基板1の表面1bに平行な方向であり、Y軸は表面1bに平行であって且つX軸に垂直な方向であり、Z軸は、表面1bに垂直な方向である。
図1は、X-Z断面を示す。
【0010】
半導体装置100は、配線基板1と、チップ積層体2と、半導体チップ3と、接着層41と、接着層42と、接着層43と、接着層44と、絶縁封止層5と、導電性シールド層6と、を具備する。
【0011】
配線基板1は、表面1aに設けられた複数の外部接続端子11と、表面1aの反対側の表面1bに設けられた複数のボンディングパッド12と、複数のボンディングパッド13と、を有する。配線基板1の例は、プリント配線板(PWB)を含む。
【0012】
外部接続端子11は、例えば金、銅、はんだ等を用いて形成される。外部接続端子11は、例えば、錫-銀系、錫-銀-銅系の鉛フリーはんだを用いて形成されてもよい。また、複数の金属材料の積層を用いて外部接続端子11を形成してもよい。なお、
図1では、導電性ボールを用いて外部接続端子11を形成しているが、バンプを用いて外部接続端子11を形成してもよい。
【0013】
ボンディングパッド12およびボンディングパッド13は、配線基板1の内部配線を介して複数の外部接続端子11に接続される。ボンディングパッド12およびボンディングパッド13は、例えば銅、銀、金、またはニッケル等の金属元素を含有する。例えば、電解めっき法または無電解めっき法等により上記材料を含むめっき膜を形成することによりボンディングパッド12およびボンディングパッド13を形成してもよい。また、導電性ペーストを用いてボンディングパッド12およびボンディングパッド13を形成してもよい。
【0014】
チップ積層体2は、配線基板1の表面1bの上方に設けられる。チップ積層体2は、複数の半導体チップ20を含む。半導体チップ20の例は、メモリチップを含む。複数の半導体チップ20は、配線基板1の表面1bの上に順に積層される。
図1に示すチップ積層体2は、互いに直上に積層された4つの半導体チップ20を含む第1の積層と、上記第1の積層の上に互いに段々に積層された2つの半導体チップ20を含む第2の積層と、上記第2の積層の上に互いに段々に積層された2つの半導体チップ20を含む第3の積層と、を有する。互いに段々に積層された複数の半導体チップ20は、換言すると、互いに部分的に重畳する。なお、半導体チップ20の数および積層構造は、
図1に示す数および積層構造に限定されない。
【0015】
複数の半導体チップ20のそれぞれは、複数の接続パッド21を有する。各接続パッド21は、対応するボンディングワイヤ22を介して各ボンディングパッド12に接続される。ボンディングワイヤ22は、例えば金、銀、銅、アルミニウム等の金属元素を含有する。
【0016】
半導体チップ3は、配線基板1と最下段の半導体チップ20との間に設けられる。半導体チップ3の例は、メモリコントローラチップを含む。半導体チップ3は、配線基板1の表面1bに搭載され、配線基板1を介して半導体チップ20に電気的に接続される。半導体チップ3は、接着層を介して表面1bに設けられていてもよい。半導体チップ20がメモリチップであり、半導体チップ3がメモリコントローラチップである場合、半導体チップ3は、例えば半導体チップ20に対するデータの書き込みおよびデータの読み出し等の動作を制御する。
【0017】
接着層41は、最下段の半導体チップ20と半導体チップ3との間に設けられる。接着層41は、半導体チップ3の上面に接する。接着層41は、例えば最下段の半導体チップ20と半導体チップ3とを接着するために設けられる。
【0018】
接着層42は、最下段の半導体チップ20と半導体チップ3との間であって、表面1bに沿って接着層41の周囲に設けられる。接着層42は、接着層41と離間する。なお、
図1では、便宜のため接着層41および接着層42を同一断面内に図示しているが、これに限定されない。
【0019】
図2は、第1の構造例の半導体装置100の一部を含む平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図2は、半導体チップ3と、接着層41と、接着層42と、接着層43と、を図示する。
【0020】
図2は、半導体チップ20の表面に沿って接着層41の周囲に4つの接着層42を有することを示す。4つの接着層42は、最下段の半導体チップ20の表面の4隅に重畳する。
図2に示すように、接着層42を最下段の半導体チップ20の表面の端部に重畳させることにより、半導体チップ20を安定的に支持することができる。なお、接着層42の数および位置は、
図2に示す数および位置に限定されない。
【0021】
接着層43は、最下段の半導体チップ20と接着層41との間および最下段の半導体チップ20と接着層42との間に設けられる。
図1に示す接着層43は、最下段の半導体チップ20の下面と接着層41および接着層42に接する。接着層43は、接着層41とともに半導体チップ20と半導体チップ3とを接着し、接着層42とともに半導体チップ20と配線基板1とを接着する。接着層43を設けることにより、半導体チップ20と絶縁封止層5との密着性を高めることができる。なお、半導体装置100は、最下段の半導体チップ20と接着層43との間にスペーサを有し、スペーサを介して最下段の半導体チップ20と接着層43とを接着してもよい。
【0022】
接着層44は、複数の半導体チップ20の一つと複数の半導体チップ20の他の一つとの間に設けられる。
図1に示す半導体装置100は、複数の接着層44を具備する。各接着層44は、複数の半導体チップ20の一つと他の一つとを接着する。なお、
図1に示すように、複数のボンディングワイヤ22の一つが複数の接着層44の一つに部分的に埋め込まれる場合、複数の接着層44の一つは、複数の接着層44の他の一つよりも厚いことが好ましい。これにより、例えばボンディングワイヤ22と半導体チップ20との接触を抑制できる。
【0023】
接着層41ないし接着層44の例は、ダイアタッチフィルム(DAF)を含む。
【0024】
絶縁封止層5は、チップ積層体2および半導体チップ3を封止する。絶縁封止層5は、チップ積層体2を覆う樹脂領域51(第1の部分)と、配線基板1と最下段の半導体チップ20との間を延在する樹脂領域52(第2の部分)と、を含む。樹脂領域52は、例えばX-Y平面において、接着層41と接着層42との間を延在し、接着層41を囲む。
図1に示す樹脂領域52は、半導体チップ3の上面に接する。
【0025】
絶縁封止層5は、酸化シリコン(SiO2)等の無機充填材を含有し、例えば無機充填材を有機樹脂等と混合した封止樹脂を用いてトランスファモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクションモールド法等のモールド法により形成される。
【0026】
導電性シールド層6は、例えば配線基板1の側面の少なくとも一部と絶縁封止層5とを覆う。導電性シールド層6は、絶縁封止層5内の半導体チップ20や配線基板1の配線層から放射される不要電磁波の漏洩を防止する上で、電気抵抗率が低い金属層で形成することが好ましく、例えば銅、銀、ニッケル等からなる金属層が適用される。導電性シールド層6の厚さは、その電気抵抗率に基づいて設定することが好ましい。なお、配線基板1内のビアの一部を露出させて導電性シールド層6と接触させることにより、グランド端子等の外部接続端子に接続された配線に導電性シールド層6を接続してもよい。
【0027】
半導体装置100において、絶縁封止層5に用いられる酸化シリコンは、接着層41ないし接着層44に用いられるダイアタッチフィルムと熱膨張係数が異なる。このため、絶縁封止層5を形成してチップ積層体2および半導体チップ3を封止する封止工程において、絶縁封止層5と接着層41ないし接着層44との間で収縮率の差が生じ、半導体装置100に大きな反りが発生しやすい。この反りは、特に最下段の半導体チップ20に生じやすい。これは、配線基板1と最下段の半導体チップ20との間に半導体チップ3を配置するため、接着層41ないし接着層43の厚さを接着層44の厚さよりも厚くして半導体チップ20と半導体チップ3との接触を抑制するためである。
【0028】
これに対し、本実施形態の半導体装置では、配線基板1とチップ積層体2との間を延在する樹脂領域52を形成することにより、絶縁封止層5と接着層41ないし接着層44との間の収縮率の差を小さくできるため、反りを低減できる。
【0029】
さらに、本実施形態の半導体装置では、半導体チップ3の上面に接着層41を形成することにより、例えば封止工程において、封止樹脂が配線基板1と最下段の半導体チップ20との間に流れ込み、樹脂領域52を形成する際、封止樹脂の流れ込みによる半導体チップ3のずれ等の不良を抑制できる。よって、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0030】
(接着層の第1の形成方法)
本実施形態の半導体装置の製造方法における、接着層41ないし接着層43の形成方法の例について
図3ないし
図7を参照して説明する。
図3ないし
図7は、接着層の第1の形成方法の例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0031】
まず、
図3に示すように、基材101の上に接着膜4を形成し、接着膜4の上に剥離層102を形成する。接着膜4は、例えば例えばロールに巻かれたダイアタッチフィルムを基材101の上に引き出して所望の形状に切断することにより形成される。
【0032】
基材101は、接着膜4と接着可能な材料を用いることが好ましい。基材101の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)等の材料を含む。
【0033】
剥離層102は、例えば接着膜4に接着可能な材料を用いることが好ましい。剥離層102の例は、PET、PI、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の材料を含む。
【0034】
次に、
図4に示すように、接着膜4と剥離層102との積層を切断することにより、接着層40と、接着層41と、接着層42と、を形成する。接着膜4と剥離層102との積層は、例えばYAGレーザ光や紫外線レーザ光等のレーザ光を当該積層に部分的に照射して積層を部分的に除去することにより切断可能である。
【0035】
次に、
図5に示すように、接着層41および接着層42の上の剥離層102が残存したまま接着層40の上の剥離層102を除去する。剥離層102は、例えばイットリウムバナデート(YVO
4)レーザ光等のレーザ光を、除去する剥離層102に照射することにより除去可能である。
【0036】
次に、
図6に示すように、接着層41、接着層42、および剥離層102を、ダイシングテープ103の上に貼り付けられた半導体チップ20に、半導体チップ20の上に形成された接着層43を介して圧着する。半導体チップ20は、半導体ウェハをダイシングすることにより形成される。なお、半導体チップ20のサイズに応じたサイズを有する接着膜4を形成することにより、半導体チップ20と、接着層41、接着層42、および剥離層102と、のアライメントを容易に行うことができる。
【0037】
次に、
図7に示すように、基材101と接着層41および接着層42とを物理的に分離する。このとき、接着層40とともに剥離層102も接着層43から分離される。以上の工程により、半導体チップ20の上に接着層41ないし接着層43を形成できる。上記構造は、Film On Die(FOD)構造とも呼ばれる。剥離層102を接着層43から分離する場合、剥離層102が接着層43に残存しないようにするため、剥離層102は、接着層40に接触する側(上側)の接着力が接着層43に接触する側(下側)よりも高くなるように調整されてもよい。上記接着力を調整する方法としては、例えば、剥離層102の上側の面粗さを下側よりも粗くする方法、剥離層102の上側に密着性を改善するための密着層を形成する方法、剥離層102の下側にフッ素コート等の表面処理を行って密着性を低下させる方法等が挙げられる。
【0038】
上記FOD構造を有する半導体チップ20は、
図1に示すように、接着層41ないし接着層43を介して配線基板1および半導体チップ3と貼り合わされる。その後、1以上の半導体チップ20を積層してチップ積層体2が形成される。さらに、封止工程により封止樹脂が充填されて絶縁封止層5が形成され、導電性シールド層6が形成される。
【0039】
接着層の第1の形成方法の例では、接着層40が剥離層102に覆われているため、例えば基材101と接着層41および接着層42とを分離する際に、半導体チップ20の表面への接着層40の残留(コンタミネーション)を抑制できる。
【0040】
さらに、上記第1の形成方法の例では、レーザ光等の加工手段を用いて剥離層102を部分的に除去することにより、接着層41および接着層42が残存したまま接着層40を除去できるため、短時間で接着層41および接着層42を形成できる。
【0041】
(接着層の第2の形成方法)
本実施形態の半導体装置の製造方法における、接着層41ないし接着層43の形成方法の他の例について
図8ないし
図11を参照して説明する。
図8ないし
図11は、接着層の第2の形成方法の例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。第1の形成方法と同じ部分については、説明を省略し、第1の形成方法の説明を適宜援用できる。
【0042】
まず、
図8に示すように、基材101の上に接着膜4を形成する。接着膜4については第1の形成方法と同じである。
【0043】
次に、
図9に示すように、接着膜4を切断することにより、接着層40と、接着層41と、接着層42と、を形成する。接着膜4は、例えばYAGレーザ光、紫外線レーザ光、炭酸ガスレーザ光(CO
2レーザ光)等のレーザ光を接着膜4に部分的に照射して接着膜4を部分的に除去することにより切断可能である。接着層40は、上記レーザー光の照射等の加工法により、接着層41および接着層42よりも薄く加工される。なお、接着膜4の切断と薄膜化の順番は、特に限定されない。また、薄膜化は、例えば切断時よりもレーザ光の強度を弱めることにより実施可能である。
【0044】
次に、
図10に示すように、接着層41および接着層42を、ダイシングテープ103の上に貼り付けられた半導体チップ20に、半導体チップ20の上に形成された接着層43を介して圧着する。このとき、接着層40は、接着層41および接着層42よりも薄いため、半導体チップ30に圧着されない。半導体チップ20については、第1の形成方法と同じである。
【0045】
次に、
図11に示すように、基材101と接着層41および接着層42とを物理的に分離する。このとき、基材101とともに接着層40も接着層43から分離される。以上の工程により、接着層41ないし接着層43を形成できる。
【0046】
FOD構造を有する半導体チップ20は、
図1に示すように、接着層41ないし接着層43を介して配線基板1および半導体チップ3と貼り合わされる。その後、1以上の半導体チップ20を積層してチップ積層体2が形成される。さらに、封止工程により封止樹脂が充填されて絶縁封止層5が形成され、導電性シールド層6が形成される。
【0047】
接着層の第2の形成方法の例では、接着層40を薄く加工することにより、接着層41および接着層42を厚く形成しても容易に半導体チップ20と配線基板1および半導体チップ3とを貼り合わせることができる。
【0048】
(半導体装置の第2の構造例)
図12は、半導体装置の第2の構造例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0049】
図12に示す半導体装置100は、配線基板1と、チップ積層体2と、ボンディングワイヤ22と、半導体チップ3と、ボンディングワイヤ32と、接着層41と、接着層42と、接着層43と、接着層44と、絶縁封止層5と、導電性シールド層6と、を具備する。なお、配線基板1、チップ積層体2、ボンディングワイヤ22、半導体チップ3、ボンディングワイヤ32、接着層42、接着層43、接着層44、および導電性シールド層6については、半導体装置の第1の構造例と同じであるため、ここでは説明を省略し、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0050】
図13は、第2の構造例の半導体装置100の一部を含む平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図13は、半導体チップ3と、接着層41と、接着層42と、を図示する。
【0051】
接着層41は、最下段の半導体チップ20と半導体チップ3との間に設けられる。接着層41は、半導体チップ3の上面に接するとともに、半導体チップ3を覆う。接着層41により半導体チップ3を覆うことにより、例えば封止工程において、封止樹脂が配線基板1と最下段の半導体チップ20との間に流れ込み、樹脂領域52を形成する際、樹脂領域52におけるボイド等の空隙の発生を抑制するとともに、封止樹脂の流れ込みによるボンディングワイヤ32の曲げまたは倒れ等の変形を抑制できる。よって、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0052】
なお、半導体装置の第2の構造例は、半導体装置の他の構造例を適宜組み合わせることができる。
【0053】
(半導体装置の第3の構造例)
図14は、半導体装置の第3の構造例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0054】
図14に示す半導体装置100は、配線基板1と、チップ積層体2と、ボンディングワイヤ22と、半導体チップ3と、ボンディングワイヤ32と、接着層41と、接着層42と、接着層44と、絶縁封止層5と、導電性シールド層6と、を具備する。なお、配線基板1、チップ積層体2、ボンディングワイヤ22、半導体チップ3、ボンディングワイヤ32、接着層41、接着層42、接着層44、および導電性シールド層6については、半導体装置の第2の構造例と同じであるため、ここでは説明を省略し、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0055】
図15は、第3の構造例の半導体装置100の一部を含む平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図15は、半導体チップ3と、接着層41と、接着層42と、を図示する。
【0056】
半導体装置の第3の構造例は、接着層43を有していない。例えば、ボンディングワイヤ32が最下段の半導体チップ20に接着しても問題が生じない場合、接着層43を省略できる。接着層43を省略することにより、例えば、高い信頼性を有する半導体装置を提供できるとともに、半導体装置の製造コストを低減できる。
【0057】
なお、半導体装置の第3の構造例は、半導体装置の他の構造例を適宜組み合わせることができる。
【0058】
(半導体装置の第4の構造例)
図16は、半導体装置の第4の構造例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0059】
図16に示す半導体装置100は、配線基板1と、チップ積層体2と、ボンディングワイヤ22と、半導体チップ3と、ボンディングワイヤ32と、接着層41と、接着層42と、接着層43と、接着層44と、絶縁封止層5と、導電性シールド層6と、を具備する。なお、配線基板1、チップ積層体2、ボンディングワイヤ22、半導体チップ3、ボンディングワイヤ32、接着層42、接着層43、接着層44、および導電性シールド層6については、半導体装置の第1の構造例と同じであるため、ここでは説明を省略し、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0060】
図17は、第4の構造例の半導体装置100の一部を含む平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図17は、半導体チップ3と、接着層41と、接着層42と、を図示する。
【0061】
接着層41は、最下段の半導体チップ20と半導体チップ3との間に設けられる。接着層41は、最下段の半導体チップ20の上面に接するとともに、半導体チップ3およびボンディングワイヤ32を覆う。接着層41により半導体チップ3およびボンディングワイヤ32を覆うことにより、例えば封止工程において、封止樹脂が配線基板1と最下段の半導体チップ20との間に流れ込み、樹脂領域52を形成する際、封止樹脂の流れ込みによるボンディングワイヤ32の曲げや倒れ等の変形を抑制できる。よって、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0062】
なお、半導体装置の第4の構造例は、半導体装置の他の構造例を適宜組み合わせることができる。
【0063】
(半導体装置の第5の構造例)
図18は、半導体装置の第5の構造例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0064】
図18に示す半導体装置100は、配線基板1と、チップ積層体2と、ボンディングワイヤ22と、半導体チップ3と、ボンディングワイヤ32と、接着層41と、接着層42と、接着層43と、接着層44と、接着層45と、絶縁封止層5と、導電性シールド層6と、を具備する。なお、配線基板1、チップ積層体2、ボンディングワイヤ22、半導体チップ3、ボンディングワイヤ32、接着層42、接着層43、接着層44、および導電性シールド層6については、半導体装置の第1の構造例と同じであるため、ここでは説明を省略し、第1の構造例の説明を適宜援用できる。
【0065】
図19は、第5の構造例の半導体装置100の一部を含む平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図19は、半導体チップ3と、接着層42と、接着層45と、を図示する。
【0066】
接着層45は、接着層41の代わりに設けられる。接着層45は、最下段の半導体チップ20と半導体チップ3との間に設けられる。接着層45は、半導体チップ3の上面に接する。
図19に示す接着層45は、半導体チップ3を覆っていないが、これに限定されず、半導体チップ3を覆ってもよい。
【0067】
接着層45は、接着層42の材料と異なる材料を含むことが好ましい。接着層45は、接着層42よりも熱膨張係数が小さいことが好ましい。また、接着層45は、例えば接着層42よりも放熱性、ボンディングワイヤ32の埋め込み性、高度加速寿命試験耐性(HAST耐性)、実装信頼性等の特性が優れる材料を用いることが好ましい。接着層45の例は、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の樹脂材料からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む。また、接着層45は、接着層42よりも熱膨張係数が小さいダイアタッチフィルムを用いてもよい。また、接着層45に含まれるフィラー(SiO2等の無機粒子等)の重量比または体積比は、接着層42に含まれるフィラーの重量比または体積比よりも高くてもよい。この場合、接着層45は、接着層42よりも熱膨張係数が小さくなる。
【0068】
接着層45を設けることにより、例えば封止工程において、封止樹脂が配線基板1と最下段の半導体チップ20との間に流れ込み、樹脂領域52を形成する際、封止樹脂の流れ込みによる半導体チップ3のずれ等の不良を抑制できる。よって、高い信頼性を有する半導体装置を提供できる。
【0069】
なお、半導体装置の第5の構造例は、半導体装置の他の構造例を適宜組み合わせることができる。
【0070】
(半導体装置の第6の構造例)
図20は、半導体装置の第6の構造例を説明するための断面模式図であり、X-Z断面を示す。
【0071】
図20に示す半導体装置100は、配線基板1と、チップ積層体2と、ボンディングワイヤ22と、半導体チップ3と、ボンディングワイヤ32と、接着層41と、接着層44と、絶縁封止層5と、導電性シールド層6と、を具備する。なお、配線基板1、チップ積層体2、ボンディングワイヤ22、半導体チップ3、ボンディングワイヤ32、接着層41、接着層44、および導電性シールド層6については、半導体装置の第4の構造例と同じであるため、ここでは説明を省略し、第4の構造例の説明を適宜援用できる。
【0072】
図21は、半導体装置100の一部を含む平面模式図であり、X-Y平面を示す。
図13は、半導体チップ3と、接着層41を図示する。
【0073】
半導体装置の第6の構造例は、接着層42および接着層43を有していない。接着層42および接着層43を省略することにより、例えば、高い信頼性を有する半導体装置を提供できるとともに、半導体装置の製造コストを低減できる。
【0074】
なお、半導体装置の第6の構造例は、半導体装置の他の構造例を適宜組み合わせることができる。
【0075】
半導体装置の第2の構造例ないし第6の構造例において、接着層41ないし接着層43は、上記第1の形成方法または第2の形成方法により形成可能である。
【0076】
半導体装置の第5の構造例において、接着層45は、上記第1の形成方法または第2の形成方法により接着層42を形成した後に、接着層45に適用可能な材料の層を接着層43の上または半導体チップ20の上に形成することにより形成可能である。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…配線基板、1a…表面、1b…表面、2…チップ積層体、3…半導体チップ、4…接着層、5…絶縁封止層、6…導電性シールド層、11…外部接続端子、12…接続パッド、13…ボンディングパッド、20…半導体チップ、21…接続パッド、22…ボンディングワイヤ、30…半導体チップ、32…ボンディングワイヤ、40…接着層、41…接着層、42…接着層、43…接着層、44…接着層、45…接着層、51…樹脂領域、52…樹脂領域、100…半導体装置、101…基材、102…剥離層、103…ダイシングテープ。