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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113273
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/10 20060101AFI20220728BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220728BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220728BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220728BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220728BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220728BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H05B33/10
H05B33/14 A
H05B33/22 D
H05B33/12 B
H01L27/32
H05B33/22 A
H05B33/22 C
G09F9/30 365
G09F9/00 338
C23C14/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009379
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 逸
(72)【発明者】
【氏名】西村 眞澄
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107DD50
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD89
3K107DD90
3K107FF15
3K107GG04
4K029AA11
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BD01
4K029CA01
4K029DB06
4K029DB12
4K029DB14
4K029DB23
5C094AA42
5C094BA27
5C094CA19
5C094CA24
5C094DA13
5C094FA01
5C094FA02
5C094FA03
5C094FB01
5C094GB10
5G435AA17
5G435BB05
5G435CC09
5G435CC12
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】表示素子の性能劣化を抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】本実施形態の表示装置は、基材と、前記基材の上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記下部電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、発光層を有し、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、前記有機層を覆う上部電極と、を備え、前記発光層は、第1底面と、第1端面と、前記第1端面に交差する第2端面と、を有し、第1方向に沿った断面視における前記第1端面と前記第1底面とのなす角度は、前記第1方向に交差する第2方向に沿った断面視における前記第2端面と前記第1底面とのなす角度より大きい。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に配置された第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、
前記第1絶縁層の上に配置され、前記下部電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、
発光層を有し、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、
前記有機層を覆う上部電極と、を備え、
前記発光層は、第1底面と、第1端面と、前記第1端面に交差する第2端面と、を有し、
第1方向に沿った断面視における前記第1端面と前記第1底面とのなす角度は、前記第1方向に交差する第2方向に沿った断面視における前記第2端面と前記第1底面とのなす角度より大きい、表示装置。
【請求項2】
前記有機層は、さらに、前記下部電極と前記発光層との間に位置する第1キャリア調整層と、前記発光層と前記上部電極との間に位置する第2キャリア調整層と、を有し、
前記第1端面及び前記第2端面は、前記第1キャリア調整層の上に位置し、前記第2キャリア調整層に接し、
前記第2キャリア調整層は、前記発光層及び前記第1キャリア調整層を覆っている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1キャリア調整層は、第2底面と、第3端面と、を有し、
前記第1方向に沿った断面視において、前記第3端面と前記第2底面とのなす角度は、前記第1端面と前記第1底面とのなす角度より小さい、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、複数の副画素を備え、
異なる表示色の副画素は、前記第1方向に並び、
同一の表示色の副画素は、前記第2方向に並んでいる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
下部電極と、
前記下部電極の上に配置された有機層と、
前記有機層の上に配置された上部電極と、を備えた表示装置の製造方法であって、
前記有機層を形成する工程は、第1キャリア調整層を形成する工程と、発光層を形成する工程と、を有し、
前記第1キャリア調整層を形成する工程では、前記下部電極を形成済みの処理対象基板に対して第1蒸着源を相対的に第1方向に移動しながら第1材料を蒸着し、
前記発光層を形成する工程では、前記第1キャリア調整層を形成済みの前記処理対象基板に対して第2蒸着源を相対的に、前記第1方向と交差する第2方向に移動しながら、第2材料を蒸着する、表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記有機層を形成する工程は、さらに、第2キャリア調整層を形成する工程を有し、
前記第2キャリア調整層を形成する工程では、前記発光層を形成済みの前記処理対象基板に対して第3蒸着源を相対的に、前記第1方向に移動しながら、第3材料を蒸着する、請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1方向は、異なる表示色の副画素が並ぶ方向であり、
前記第2方向は、同一の表示色の副画素が並ぶ方向である、請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。表示素子は、画素電極と共通電極との間に有機層を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。このような有機層は、例えば真空蒸着法によって形成される。
【0003】
例えば、マスク蒸着の場合、各画素に対応した開口を有するファインマスクが適用される。しかしながら、ファインマスクの加工精度、開口形状の変形等に起因して、蒸着によって形成される薄膜の形成精度が低下するおそれがある。例えば、複数の機能層を積層した有機層を形成する場合、有機層の端面が所望の位置に形成されず、表示素子の性能劣化を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2019/026511号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、表示素子の性能劣化を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、
基材と、前記基材の上に配置された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に配置された下部電極と、前記第1絶縁層の上に配置され、前記下部電極に重畳する開口部を有する第2絶縁層と、発光層を有し、前記開口部に配置され、前記下部電極を覆う有機層と、前記有機層を覆う上部電極と、を備え、前記発光層は、第1底面と、第1端面と、前記第1端面に交差する第2端面と、を有し、第1方向に沿った断面視における前記第1端面と前記第1底面とのなす角度は、前記第1方向に交差する第2方向に沿った断面視における前記第2端面と前記第1底面とのなす角度より大きい。
【0007】
一実施形態に係る表示装置の製造方法は、
下部電極と、前記下部電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置された上部電極と、を備えた表示装置の製造方法であって、前記有機層を形成する工程は、第1キャリア調整層を形成する工程と、発光層を形成する工程と、を有し、前記第1キャリア調整層を形成する工程では、前記下部電極を形成済みの処理対象基板に対して第1蒸着源を相対的に第1方向に移動しながら第1材料を蒸着し、前記発光層を形成する工程では、前記第1キャリア調整層を形成済みの前記処理対象基板に対して第2蒸着源を相対的に、前記第1方向と交差する第2方向に移動しながら、第2材料を蒸着する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。
図2図2は、表示素子20の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
図4図4は、放射角を制御する一手法を説明するための図である。
図5図5は、放射角を制御する他の手法を説明するための図である。
図6図6は、放射角を制御する他の手法を説明するための図である。
図7A図7Aは、方向DR1に沿った層LYの断面形状を示している。
図7B図7Bは、方向DR2に沿った層LYの断面形状を示している。
図8A図8Aは、方向DR1に沿った層LYの他の断面形状を示している。
図8B図8Bは、方向DR2に沿った層LYの他の断面形状を示している。
図9図9は、表示素子20の一例を示す平面図である。
図10図10は、図9に示したA-B線に沿った表示素子20の一例を示す断面図である。
図11図11は、図9に示したC-D線に沿った表示素子20の一例を示す断面図である。
図12図12は、図11に示した表示素子20の製造方法を説明するための図である。
図13図13は、図11に示した表示素子20の製造方法を説明するための図である。
図14図14は、表示素子20の他の例を示す平面図である。
図15図15は、図14に示したA-B線に沿った表示素子20Eの一例を示す断面図である。
図16図16は、図14に示したC-D線に沿った表示素子20の一例を示す断面図である。
図17図17は、図16に示した複数の表示素子20の製造方法を説明するための図である。
図18図18は、図16に示した複数の表示素子20の製造方法を説明するための図である。
図19図19は、図16に示した複数の表示素子20の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸、及び、Z軸を記載する。X軸に沿った方向をX方向または第1方向と称し、Y軸に沿った方向をY方向または第2方向と称し、Z軸に沿った方向をZ方向または第3方向と称する。X軸及びY軸によって規定される面をX-Y平面と称し、Y軸及びZ軸によって規定される面をY-Z平面と称し、X軸及びZ軸によって規定される面をX-Z平面と称する。X-Y平面を見ることを平面視という。
【0011】
本実施形態に係る表示装置DSPは、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パソコン、携帯端末、携帯電話等に搭載される。なお、以下に説明する表示素子は照明装置の発光素子として適用することができ、表示装置DSPは照明装置等の他の電子機器に転用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る表示装置DSPの一構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の基材10の上に、画像を表示する表示部DAを備えている。基材10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0013】
表示部DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えている。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2、及び、青色の副画素SP3を備えている。なお、画素PXは、上記の3色の副画素の他に、白色などの他の色の副画素を加えた4個以上の副画素を備えていてもよい。
【0014】
画素PXに含まれる1つの副画素SPの一構成例について簡単に説明する。
すなわち、副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動制御される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチ素子である。
【0015】
画素スイッチ2について、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極は信号線SLに接続され、ドレイン電極はキャパシタ4を構成する一方の電極及び駆動トランジスタ3のゲート電極に接続されている。駆動トランジスタ3について、ソース電極はキャパシタ4を構成する他方の電極及び電源線PLに接続され、ドレイン電極は表示素子20のアノードに接続されている。表示素子20のカソードは、給電線FLに接続されている。なお、画素回路1の構成は、図示した例に限らない。
【0016】
表示素子20は、発光素子である有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP2は緑波長に対応した光を出射する表示素子を備え、副画素SP3は青波長に対応した光を出射する表示素子を備えている。画素PXが表示色の異なる複数の副画素SP1、SP2、SP3を備えることで、多色表示を実現できる。
【0017】
但し、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が同一色の光を出射するように構成されてもよい。これにより、単色表示を実現できる。
【0018】
また、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が白色の光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向するカラーフィルタが配置されてもよい。例えば、副画素SP1は表示素子20に対向する赤カラーフィルタを備え、副画素SP2は表示素子20に対向する緑カラーフィルタを備え、副画素SP3は表示素子20に対向する青カラーフィルタを備える。これにより、多色表示を実現できる。
【0019】
あるいは、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が紫外光を出射するように構成された場合、表示素子20に対向する光変換層が配置されることで、多色表示を実現できる。
【0020】
図2は、表示素子20の構成の一例を示す図である。
表示素子20は、下部電極(第1電極)E1と、有機層ORと、上部電極(第2電極)E2と、を備えている。有機層ORは、キャリア調整層(第1キャリア調整層)CA1と、発光層ELと、キャリア調整層(第2キャリア調整層)CA2と、を有している。キャリア調整層CA1は下部電極E1と発光層ELとの間に位置し、キャリア調整層CA2は発光層ELと上部電極E2との間に位置している。キャリア調整層CA1及びCA2は、複数の機能層を含んでいる。
ここでは、下部電極E1がアノードに相当し、上部電極E2がカソードに相当する場合を例に説明する。
【0021】
キャリア調整層CA1は、機能層として、ホール注入層F11、ホール輸送層F12、キャリア発生層F13、電子ブロック層F14などを含んでいる。ホール注入層F11は下部電極E1の上に配置され、ホール輸送層F12はホール注入層F11の上に配置され、キャリア発生層F13はホール輸送層F12の上に配置され、電子ブロック層F14はキャリア発生層F13の上に配置され、発光層ELは電子ブロック層F14の上に配置されている。
【0022】
キャリア調整層CA2は、機能層として、ホールブロック層F21、電子輸送層F22、電子注入層F23などを含んでいる。ホールブロック層F21は発光層ELの上に配置され、電子輸送層F22はホールブロック層F21の上に配置され、電子注入層F23は電子輸送層F22の上に配置され、上部電極E2は電子注入層F23の上に配置されている。
【0023】
なお、キャリア調整層CA1及びCA2は、上記した機能層の他に、必要に応じて他の機能層を含んでいてもよいし、キャリア調整層CA1及びCA2において、上記した機能層の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0024】
図3は、図1に示した画素PXの一例を示す平面図である。
1個の画素PXを構成する副画素SP1、SP2、SP3は、それぞれ第2方向Yに延びた略長方形状に形成され、第1方向Xに並んでいる。各副画素の外形は、表示素子20における発光領域EAの外形に相当するが、簡略化して示したものであり、必ずしも実際の形状を反映したものとは限らない。ここでは、発光領域EAが、第1方向Xに延びた短辺と、第2方向Yに延びた長辺とを有する長方形状に形成されている場合を想定している。
【0025】
後に詳述する絶縁層12は、平面視において、第1方向X及び第2方向Yにそれぞれ延びた格子状に形成され、副画素SP1、SP2、SP3の各々、あるいは、各副画素の表示素子20を囲んでいる。このような絶縁層12は、リブ、隔壁、バンクなどと称される場合がある。発光領域EAは、絶縁層12の開口部OPに形成され、下部電極E1と上部電極E2との間に有機層ORが介在する領域に相当する。
【0026】
一例として、副画素SP1、SP2、SP3の各々の表示素子20が互いに異なる色の光を出射するように構成されている場合、第1方向Xは互いに異なる表示色の副画素が並ぶ方向に相当し、第2方向Yは同一の表示色の副画素が並ぶ方向に相当する。あるいは、同一の表示色の副画素が第1方向X及び第2方向Yとは異なる斜め方向に並ぶ場合もあり得る。
【0027】
図2に示した有機層ORの各層は、蒸着法によって形成される。このとき、蒸着源から放射される材料の放射角は、例えば、以下の手法によって制御することができる。
【0028】
図4は、放射角を制御する一手法を説明するための図である。
処理対象基板SUBは、点線で示すように、蒸着源VSと対向するように配置される。蒸着源VSは、材料を収容する坩堝50と、坩堝50に接続されたノズル51と、を備えている。坩堝50は、加熱機構によって加熱される。坩堝50を加熱することで発生する材料の蒸気は、放射角θで放射される。
【0029】
図4には、ノズル51の形状によって放射角(あるいは蒸気の指向性)θを制御する一手法を示している。ここでは、図の左側に示したノズルを第1ノズル51と称し、図の右側に示したノズルを第2ノズル51と称する。第1ノズル51の形状は、第2ノズル51の形状とは異なる。
【0030】
すなわち、第1ノズル51は、第2ノズル51と比較して、太く、且つ、短い。第1ノズル51から放射される材料の蒸気の放射角θ1は、第2ノズル51から放射される材料の蒸気の放射角θ2より大きい(θ1>θ2)。つまり、第1ノズル51から放射される蒸気は広がりやすい(指向性が小さい)。一方で、第2ノズル51から放射される蒸気は広がりにくい(指向性が高い。)
図5は、放射角を制御する他の手法を説明するための図である。
図5に示す例でも、第1ノズル51の形状は、第2ノズル51の形状とな異なる。ここでは、第1ノズル51の開口径D1は、第2ノズル51の開口径D2より小さい(D1<D2)。このような例においても、第1ノズル51から放射される材料の蒸気は広がりやすく、第2ノズル51から放射される材料の蒸気は広がりにくい。
【0031】
図6は、放射角を制御する他の手法を説明するための図である。
図6に示す例では、図の左側に示した坩堝を第1坩堝50と称し、図の右側に示した坩堝を第2坩堝50と称する。第1坩堝50の温度分布は、第2坩堝50の温度分とは異なる。例えば、第1坩堝50の底部側の加熱温度をノズル側の加熱温度より高く設定し、第2坩堝50の底部側の加熱温度をノズル側の加熱温度より低く設定する。このように、坩堝の温度分布を調整することでも、蒸気の放射角を制御することができる。図6に示す例では、第1ノズル51から放射される材料の蒸気は広がりやすく、第2ノズル51から放射される材料の蒸気は広がりにくい。
【0032】
有機層ORを構成する各層の蒸着は、蒸着源VSが処理対象基板SUBに対して相対的に移動しながら行う。つまり、固定された処理対象基板SUBに対して蒸着源VSが移動してもよいし、固定された蒸着源VSに対して処理対象基板SUBが移動してもよいし、処理対象基板SUB及び蒸着源VSの双方が移動してもよい。
【0033】
上記したような手法によって形成される層LYの断面形状について説明する。ここでは、蒸着源VSが移動する方向をDR2とし、方向DR2に直交する方向をDR1とする。蒸着源VSが方向DR2に移動しながら、蒸着源VSから放射された材料が処理対象基板SUBに堆積する。これにより、処理対象基板SUBの表面に層LYが形成される。
【0034】
図7Aは、方向DR1に沿った層LYの断面形状を示している。層LYは、底面LBと、端面LS1と、を有している。底面LBと端面LS1とのなす角度を端面LS1の傾斜角θL1と称する。端面LS1は、蒸着源VSが移動する方向DR2に沿った端面に相当する。
図7Bは、方向DR2に沿った層LYの断面形状を示している。層LYは、さらに、端面LS2を有している。底面LBと端面LS2とのなす角度を端面LS2の傾斜角θL2と称する。端面LS2は、蒸着源VSが移動する方向DR2に直交する端面、あるいは、方向DR1に沿った端面に相当する。傾斜角θL2は、傾斜角θL1より小さい(θL2<θL1)。
【0035】
図8Aは、方向DR1に沿った層LYの他の断面形状を示している。ここに示す例では、蒸着源VSは、方向DR1に沿って、間隔を置いて並んだ複数のノズル51を有している。端面LS1は、蒸着源VSが移動する方向DR2に沿った端面に相当する。底面LBと端面LS1とのなす角度を端面LS1の傾斜角θL1と称する。
図8Bは、方向DR2に沿った層LYの他の断面形状を示している。端面LS2は、図8Aに示した蒸着源VSが移動する方向DR2に直交する端面、あるいは、方向DR1に沿った端面に相当する。底面LBと端面LS2とのなす角度を端面LS2の傾斜角θL2と称する。傾斜角θL2は、傾斜角θL1より大きい(θL2>θL1)。
【0036】
図9は、表示素子20の一例を示す平面図である。なお、ここでは、説明に必要な構成のみを図示している。
平面視において、有機層ORを構成する少なくとも1つの層OLYは、点線で示した下部電極E1に重畳している。層OLYは、例えば発光層ELであるが、他の機能層であってもよい。層OLYは、第1方向Xにおいて互いに対向する一対の端面(第1端面)SS1と、第2方向Yにおいて互いに対向する一対の端面(第2端面)SS2と、を有している。端面SS1は第2方向Yに沿って延出し、端面SS2は第1方向Xに沿って延出している。端面SS1及び端面SS2は、互いに交差する。
【0037】
図10は、図9に示したA-B線に沿った表示素子20の一例を示す断面図である。
図1に示した画素回路1は、基材10の上に配置され、絶縁層11によって覆われている。図10では、画素回路1に含まれる駆動トランジスタ3のみを簡略化して図示している。絶縁層(第1絶縁層)11は、表示素子20の下地層に相当する。絶縁層(第2絶縁層)12は、絶縁層11の上に配置されている。絶縁層11及び12は、例えば、有機絶縁層である。
【0038】
下部電極E1は、絶縁層11の上に配置されている。下部電極E1は、副画素毎あるいは表示素子毎に配置された電極であり、駆動トランジスタ3と電気的に接続されている。このような下部電極E1は、画素電極、アノードなどと称される場合がある。
【0039】
下部電極E1は、例えば、銀、アルミニウムなどの金属材料によって形成された金属電極である。なお、下部電極E1は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料によって形成された透明電極であってもよい。また、下部電極E1は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。例えば、下部電極E1は、透明電極、金属電極、及び、透明電極の順に積層された積層体として構成されてもよいし、3層以上の積層体として構成されてもよい。トップエミッションタイプの表示素子20においては、下部電極E1は、反射電極として金属電極を含んでいる。
【0040】
絶縁層12は、開口部OPを有している。開口部OPは、下部電極E1に重畳する領域に形成され、絶縁層12を下部電極E1まで貫通した貫通孔である。下部電極E1の周縁部は絶縁層12によって覆われ、下部電極E1の中央部は開口部OPにおいて絶縁層12から露出している。
【0041】
有機層ORは、キャリア調整層CA1及びCA2と、発光層ELと、を含んでいる。有機層ORは、開口部OPに配置され、下部電極E1を覆っている。キャリア調整層CA1は下部電極E1と発光層ELとの間に位置し、キャリア調整層CA2は発光層ELと上部電極E2との間に位置している。
【0042】
図示したキャリア調整層CA1は、図2に示したホール注入層F11、ホール輸送層F12、キャリア発生層F13、及び、電子ブロック層F14の少なくとも1つに相当する。また、キャリア調整層CA2は、図2に示したホールブロック層F21、電子輸送層F22、電子注入層F23の少なくとも1つに相当する。
【0043】
上部電極E2は、有機層ORを覆っている。上部電極E2は、共通電極、対向電極、カソードなどと称される場合がある。
【0044】
上部電極E2は、例えば、マグネシウム、銀などの金属材料によって形成された半透過性の金属電極である。なお、上部電極E2は、ITOやIZOなどの透明導電材料によって形成された透明電極であってもよい。また、上部電極E2は、透明電極及び金属電極の積層体であってもよい。上部電極E2は、表示部DAに配置された給電線、あるいは、表示部DAの外側に配置された給電線と電気的に接続されている。
【0045】
有機層ORのうち、絶縁層12を介することなく、下部電極E1と上部電極E2との間に位置する部分は、表示素子20の発光領域を形成することができる。一例では、有機層ORの第3方向Zに沿った厚さは、発光層ELにおける発光スペクトルのピーク波長と、下部電極E1と上部電極E2との間の実効的な光路長とが一致するように設定される。これにより、共振効果を得るためのマイクロキャビティ構造が実現される。
【0046】
上部電極E2の上には、図示しないが、光取出効率を改善するための光学調整層や、表示素子20を水分等から保護するための封止層などが設けられる。
【0047】
図10において、発光層ELの端面を含む領域を拡大して示す。ここでは、図9に示した層OLYが図10の発光層ELである場合について説明する。発光層ELの底面(第1底面)B1は、キャリア調整層CA1に接している。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面の断面視において、端面SS1と底面B1とのなす角度θ11(端面SS1の傾斜角θ11)は、鋭角である。
【0048】
端面SS1は、キャリア調整層CA1の上に位置し、キャリア調整層CA2に接している。キャリア調整層CA2は、発光層ELの外側で、キャリア調整層CA1を覆い、絶縁層12に接している。上部電極E2は、キャリア調整層CA2の外側で絶縁層12に接している。
【0049】
図11は、図9に示したC-D線に沿った表示素子20の一例を示す断面図である。
第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面の断面視において、端面SS2と底面B1とのなす角度θ12(端面SS2の傾斜角θ12)は、鋭角である。図10に示した端面SS1の傾斜角θ11は、図11に示す端面SS2の傾斜角θ12より大きい(θ12<θ11)。
【0050】
端面SS2は、キャリア調整層CA1の上に位置し、キャリア調整層CA2に接している。キャリア調整層CA2は、図10及び図11に示すように、端面SS1及びSS2を含む発光層ELの全体を覆っている。また、Y-Z平面においても、キャリア調整層CA2は、発光層ELの外側で、キャリア調整層CA1を覆い、絶縁層12に接している。また、上部電極E2は、キャリア調整層CA2の外側で絶縁層12に接している。
【0051】
次に、上記した断面形状の発光層ELの形成方法について説明する。
【0052】
図12は、図11に示した表示素子20の製造方法を説明するための図である。
まず、処理対象基板SUBを用意する。処理対象基板SUBは、基材10の上に絶縁層11を形成した後に、絶縁層11の上に下部電極E1を形成し、さらに、その後、下部電極E1に重畳する開口部OPを有する絶縁層12を形成することで得られる。
【0053】
そして、処理対象基板SUBは、絶縁層12と蒸着源VSとが互いに対向するように設置される。その後、蒸着法により、有機層ORを構成する各層を形成する。図12では、キャリア調整層CA1の図示を省略している。発光層ELは、ホスト材料と、ゲスト材料である発光材料と、を含む混合層である。
【0054】
なお、ホスト材料の昇華温度と発光材料の昇華温度とが異なる場合、ホスト材料及び発光材料は別々の坩堝に収容され、それぞれ所定の温度に加熱されるが、ここでは簡略化して1つの坩堝50のみを図示している。蒸着源VSが移動する方向は第2方向Yである。図12に示すような蒸着源VSの移動方向と直交する方向の断面においては、例えば、図4乃至図6を参照して説明したような手法により、蒸着源VSから放射される蒸気の放射角度が制御される。これにより、絶縁層12に重畳する位置に傾斜角θ11の端面SS1が形成される。
【0055】
図13は、図11に示した表示素子20の製造方法を説明するための図である。
蒸着源VSは、蒸気を放射しながら第2方向Yに移動する。これにより、絶縁層12に重畳する位置に傾斜角θ12の端面SS2を有する発光層ELが形成される。図12に示した端面SS1の傾斜角θ11は、図13に示す端面SS2の傾斜角θ12より大きい(θ12<θ11)。但し、図7A及び図7B、あるいは、図8A及び図8Bを参照して説明したように、蒸着の手法によっては、傾斜角θ11が傾斜角θ12より小さい場合もあり得る(θ12>θ11)。
【0056】
異なる表示色の副画素が第1方向Xに隣接する場合、発光色が異なる発光層ELが第1方向Xに隣接し、それぞれの端面SS1が対向する。各発光層ELにおける端面SS1の傾斜角θ11が端面SS2の傾斜角θ12より大きいため、隣接する発光層ELの間隔(対向する端面SS1の間隔)を確保することができる。このため、隣接する副画素間でのキャリアの移動に伴う不所望な発光が抑制され、しかも、所望の色度を得ることができる。
【0057】
また、キャリア調整層CA2は、発光層ELの端面SS1及びSS2に接し、しかも、発光層EL及びキャリア調整層CA1を覆っている。このため、有機層ORの周縁部での不所望な電流リークが抑制される。したがって、表示素子20の性能劣化を抑制することができる。
【0058】
図14は、表示素子20の他の例を示す平面図である。なお、ここでは、説明に必要な構成のみを図示している。
第2方向Yに並んだ複数の表示素子20は、同一色を発光するように構成されている。つまり、第2方向Yは、同一の表示色の副画素が並ぶ方向に相当する。複数の表示素子20のうち、表示素子20Eは、表示部DAの最外周に位置している。
【0059】
複数の表示素子20において、有機層ORを構成する少なくとも1つの層OLYは、点線で示した複数の下部電極E1に重畳する共通層である。層OLYは、例えば発光層ELであるが、他の機能層であってもよい。層OLYは、第2方向Yに沿って延出した端面(第1端面)SS1と、第1方向Xに沿って延出した端面(第2端面)SS2と、を有している。
【0060】
図15は、図14に示したA-B線に沿った表示素子20Eの一例を示す断面図である。なお、X-Z平面における断面形状は、表示素子20Eに限らず、他の表示素子20についても同様である。
【0061】
有機層ORは、発光層ELと、下部電極E1と発光層ELとの間のキャリア調整層CA1と、発光層ELと上部電極E2との間のキャリア調整層CA2と、を含んでいる。キャリア調整層CA1は、図2に示したホール注入層F11、ホール輸送層F12、キャリア発生層F13、及び、電子ブロック層F14の少なくとも1つに相当する。キャリア調整層CA2は、図2に示したホールブロック層F21、電子輸送層F22、電子注入層F23の少なくとも1つに相当する。
【0062】
図15において、キャリア調整層CA1の端面を含む領域、及び、発光層ELの端面を含む領域をそれぞれ拡大して示す。発光層ELの底面(第1底面)B1は、キャリア調整層CA1に接している。X-Z平面の断面視において、端面SS1と底面B1とのなす角度θ11(端面SS1の傾斜角θ11)は、鋭角である。
【0063】
キャリア調整層CA1は、底面(第2底面)B2と、端面(第3端面)SS3と、を有している。底面B2は、絶縁層12に接している。X-Z平面の断面視において、端面SS3と底面B2とのなす角度θ13(端面SS3の傾斜角θ13)は、鋭角である。端面SS3の傾斜角θ13は、端面SS1の傾斜角θ11より小さい(θ13<θ11)。
但し、図7A及び図7B、あるいは、図8A及び図8Bを参照して説明したように、蒸着の手法によっては、傾斜角θ13が傾斜角θ11より大きい場合もあり得る(θ13>θ11)。
【0064】
端面SS1は、キャリア調整層CA1の上に位置し、キャリア調整層CA2に接している。キャリア調整層CA2は、発光層ELの外側で、キャリア調整層CA1に接している。端面SS3は、絶縁層12の上に位置し、上部電極E2に接している。上部電極E2は、キャリア調整層CA1の外側で絶縁層12に接している。
【0065】
図16は、図14に示したC-D線に沿った表示素子20の一例を示す断面図である。
有機層ORを構成するキャリア調整層CA1及びCA2、及び、発光層ELは、最外周の表示素子20Eを含む複数の表示素子20に亘って連続的に形成された共通層である。
【0066】
Y-Z平面の断面視において、図15に示した端面SS1の傾斜角θ11は、図16に示す端面SS2の傾斜角θ12より大きい(θ12<θ11)。
【0067】
端面SS2は、キャリア調整層CA1の上に位置し、キャリア調整層CA2に接している。キャリア調整層CA2は、端面SS1及びSS2を含む発光層ELの全体を覆っている。キャリア調整層CA1の端面SS4は、絶縁層12の上に位置し、上部電極E2に接している。上部電極E2は、キャリア調整層CA1の外側で絶縁層12に接している。
【0068】
次に、上記した断面形状の発光層ELの形成方法について説明する。
【0069】
図17は、図16に示した複数の表示素子20の製造方法を説明するための図である。
まず、処理対象基板SUBを用意する。そして、処理対象基板SUBは、絶縁層12と蒸着源(第1蒸着源)VSAとが互いに対向するように設置される。
【0070】
その後、蒸着法により、キャリア調整層CA1を形成する。蒸着源VSAは、坩堝50Aと、坩堝50Aに接続されたノズル51Aと、を備えている。坩堝50Aには、機能層を形成するための材料(第1材料)が収容されている。複数の機能層を含むキャリア調整層CA1を形成する場合、各機能層の材料をそれぞれ収容した複数の坩堝を必要とするが、ここでは簡略化のために1つの坩堝50Aのみを図示している。
【0071】
蒸着源VSAは、蒸気を放射しながら第1方向Xに移動する。これにより、放射された材料が蒸着され、絶縁層12に重畳する位置に傾斜角θ13の端面SS3を有するキャリア調整層CA1が形成される。なお、蒸着源VSAの移動方向と直交する方向の断面においては、例えば、図4乃至図6を参照して説明したような手法により、蒸着源VSAから放射される蒸気の放射角度が制御される。
【0072】
図18は、図16に示した複数の表示素子20の製造方法を説明するための図である。
図17に示したキャリア調整層CA1を形成済みの処理対象基板SUBは、キャリア調整層CA1と蒸着源(第2蒸着源)VSBとが互いに対向するように設置される。
【0073】
その後、蒸着法により、発光層ELを形成する。蒸着源VSBは、坩堝50Bと、坩堝50Bに接続されたノズル51Bと、を備えている。坩堝50Bには、発光層ELを形成するための材料(第2材料)が収容されている。上記の通り、発光層ELがホスト材料及び発光材料の混合層であるため、複数の坩堝を必要とするが、ここでは簡略化のために1つの坩堝50Bのみを図示している。
【0074】
例えば、図2に示した副画素のレイアウトにおいて、第2方向Yに並んだ副画素の表示色が同一である場合、発光層ELを形成する際の蒸着源VSBの移動方向は、第2方向Yに設定される。つまり、蒸着源VSBの移動方向(第2方向Y)と、蒸着源VSAの移動方向(第1方向X)とは直交する。
【0075】
なお、第1方向X及び第2方向Yとは異なる斜め方向に並んだ副画素の表示色が同一である場合、発光層ELを形成する際の蒸着源VSBの移動方向は、斜め方向に設定される。いずれにしても、蒸着源VSBの移動方向と、蒸着源VSAの移動方向とは、X-Y平面において互いに交差する。
【0076】
蒸着源VSBは、蒸気を放射しながら第2方向Yに移動する。これにより、放射された材料が蒸着され、キャリア調整層CA1に重畳する位置に傾斜角θ12の端面SS2を有する発光層ELが形成される。なお、蒸着源VSBの移動方向と直交する方向の断面においては、例えば、図4乃至図6を参照して説明したような手法により、蒸着源VSBから放射される蒸気の放射角度が制御される。
【0077】
図19は、図16に示した複数の表示素子20の製造方法を説明するための図である。
図18に示した発光層ELを形成済みの処理対象基板SUBは、発光層ELと蒸着源(第3蒸着源)VSCとが互いに対向するように設置される。
【0078】
その後、蒸着法により、キャリア調整層CA2を形成する。蒸着源VSCは、坩堝50Cと、坩堝50Cに接続されたノズル51Cと、を備えている。坩堝50Cには、機能層を形成するための材料(第3材料)が収容されている。複数の機能層を含むキャリア調整層CA2を形成する場合、各機能層の材料をそれぞれ収容した複数の坩堝を必要とするが、ここでは簡略化のために1つの坩堝50Cのみを図示している。
【0079】
蒸着源VSCは、蒸気を放射しながら第1方向Xに移動する。これにより、放射された材料が蒸着され、発光層ELを覆うキャリア調整層CA2が形成される。キャリア調整層CA2は、傾斜角θ15の端面SS5を有している。なお、蒸着源VSCの移動方向と直交する方向の断面においては、例えば、図4乃至図6を参照して説明したような手法により、蒸着源VSCから放射される蒸気の放射角度が制御される。
【0080】
このような例においても、発光層ELの周縁部、特に端面SS1は、確実にキャリア調整層CA2によって覆われる。したがって、上記したのと同様の効果が得られる。
【0081】
加えて、最外周に位置する表示素子20Eにおける発光層ELの端面SS2も、確実にキャリア調整層CA2によって覆われる。このため、外気や水分から発光層ELを保護することができる。
【0082】
上記した本実施形態によれば、表示素子の性能劣化を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0084】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0085】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0086】
DSP…表示装置 10…基材 11…絶縁層(第1絶縁層)
12…絶縁層(第2絶縁層) OP…開口部
20…表示素子 E1…下部電極 E2…上部電極 OR…有機層
EL…発光層 B1…底面 SS1…端面(第1端面) SS2…端面(第2端面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19