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特開2022-113306マスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールド
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  • 特開-マスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールド 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113306
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】マスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールド
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A41D13/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009438
(22)【出願日】2021-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-20
(71)【出願人】
【識別番号】521036067
【氏名又は名称】鈴木 邦章
(74)【代理人】
【識別番号】100122242
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 多香子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木邦章
(57)【要約】
【課題】マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体をもみあげから退避させるように装着することができ、安価に使用することができるマスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールドを提供する。
【解決手段】耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部2と、耳係止部2に設けられ、マスクまたはマウスシールド5の鼻孔や口を覆う覆い部6に設けられた紐状体7を耳の下方に導いて保持する紐保持部3とを有することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部と、
前記耳係止部に設けられ、マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部と
を有することを特徴とするマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項2】
前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に係止する鉤状体であることを特徴とする請求項1に記載のマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項3】
前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に収容する溝であることを特徴とする請求項1に記載のマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項4】
前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に引っ掛ける突起であることを特徴とする請求項1に記載のマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項5】
耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部と、
前記耳係止部に設けられ、マスクの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有し、
前記紐状体と前記紐保持部とが固定されていることを特徴とするマスク。
【請求項6】
前記覆い部の鼻に当接する位置に、前記覆い部がずり落ちるのを防止する滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部と、
前記耳係止部に設けられ、マウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有し、
前記紐状体と前記紐保持部とが固定されていることを特徴とするマウスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールドに関し、特に、マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体をもみあげから退避させるように装着することができるマスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
主に空気中の飛沫による感染予防を目的として用いられる一般的なマスクは、鼻孔や口を覆う覆い部と、この鼻孔や口を覆う覆い部の両側にそれぞれ取り付けられた耳掛け紐を備えている。この種のマスクは、美容室ではヘアーカット、シャンプー、カラーリング、ストレートパーマその他の施術をする場合、感染症、例えば新型コロナウイルスの感染予防のために、顧客がマスクをつけたまま施術をすると、特にもみあげ付近の耳掛け紐が邪魔になり、ヘアーカットやセットがやりづらく時間がかかり、さらには不正確になる可能性があった。また、ストレートパーマやカラーリングをする場合、特にもみあげ付近の耳掛け紐に薬剤が付着して耳掛け紐が汚れることがあり、さらには付着した薬剤が肌に触れて肌に悪影響を及ぼすおそれがあった。また、耳掛け紐を用いて装着するマウスシールドでも、同様の問題があった。
【0003】
このような問題を解決するため、覆い部にシリコーン系粘着剤を含む粘着部を設け、この粘着部を用いて覆い部を顔に貼り付けることにより、耳掛け紐を用いずに装着することができるマスクが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3228844号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のマスクによると、粘着部を用いて覆い部を顔に貼り付けるため、皮膚が荒れたり、アレルギーにより赤くなりかぶれたりするおそれがあるという問題があった。また、汗や皮脂、乳液やファンデーションで顔に貼りつきにくかったり、途中で脱落してしまったりするという問題があった。さらに、一度使用すると粘着部の粘着力が低下するため、何度も使用することができず、コストがかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体をもみあげから退避させるように装着することができ、安価に使用することができるマスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によるマスクまたはマウスシールドの装着具は、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部と、前記耳係止部に設けられ、マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有することを特徴とする。
【0008】
上述のマスクまたはマウスシールドの装着具は、前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に係止する鉤状体であることが好ましい。
【0009】
また、上述のマスクまたはマウスシールドの装着具は、前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に収容する溝であることも好ましい。
【0010】
また、上述のマスクまたはマウスシールドの装着具は、前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に引っ掛ける突起であることも好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明によるマスクは、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部と、前記耳係止部に設けられ、マスクの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有し、前記紐状体と前記紐保持部とが固定されていることを特徴とする。
【0012】
上述のマスクは、前記覆い部の鼻に当接する位置に、前記覆い部がずり落ちるのを防止する滑り止め部が設けられていることが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明によるマウスシールドは、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部と、前記耳係止部に設けられ、マウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有し、前記紐状体と前記紐保持部とが固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るマスクまたはマウスシールドの装着具、マスク、およびマウスシールドによれば、マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体をもみあげから退避させるように装着することができ、安価に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るマスクまたはマウスシールドの装着具を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図であり、(C)は斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るマスクまたはマウスシールドの装着具をマスクに取り付けた様子を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るマスクまたはマウスシールドの装着具を用いてマスクを装着した状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るマスクまたはマウスシールドの装着具の他の態様を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図であり、(C)は斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るマスクまたはマウスシールドの装着具の他の態様を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は側面図であり、(C)は斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るマスクまたはマウスシールドの装着具をマウスシールドに取り付けた様子を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るマスクを示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るマスクの他の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明に係るマスクまたはマウスシールドの装着具1は、図1~3を参照して、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部2と、耳係止部2に設けられ、マスク51またはマウスシールド52(5)の鼻孔や口を覆う覆い部6に設けられた紐状体7を耳の下方に導いて保持する紐保持部3とを有する。
【0018】
耳係止部2は、フック状形状を有しており、円弧状のアール部21とアール部21の一端からから延出する延出部22とを有する。耳係止部2は、アール部21の内側の一部または全部が耳の付け根の上部に当接するとともに、延出部22が耳の裏側の付け根に沿うようにして、耳に係止される。延出部22は、直線形状であってもよいし、緩やかに弧を描く曲線形状であってもよいし、直線形状と曲線形状の組み合わせであってもよい。
【0019】
耳係止部2は、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させることができれば、大きさに特に限定はないが、アール部21の内側間の最大幅が0.5~3cmであることが好ましく、1~2cmであることがより好ましい。延出部22の長さは、1~8cmであることが好ましく、2.5~6cmであることがより好ましい。
【0020】
耳係止部2は、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させることができれば、材質に特に限定はないが、合成樹脂、金属、紙、パラフィン蝋を塗布、浸透させる等した耐水紙、木、ゴム、シリコーンゴム、繊維強化プラスチック、金属を合成樹脂で被覆したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に針金を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に合成樹脂を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に金属を合成樹脂で被覆したものを挿通したものなどが好適に用いられる。特に、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シリコーンゴム、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に針金を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に合成樹脂を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に金属を合成樹脂で被覆したものを挿通したものなどが好適に用いられる。
【0021】
紐保持部3は、本実施形態においては、紐状体7を着脱自在に係止する鉤状体であり、鉤状体は、耳係止部2の延出部22に連続して設けられている。より詳細には、鉤状体は、延出部22の下端から上方に向けて折り返すように形成されている。紐保持部3は、マスクまたはマウスシールド55の鼻孔や口を覆う覆い部6に設けられた紐状体7を係止することができれば、大きさに限定はないが、折り返した部分の長さは、0.3~8cmであることが好ましく、0.7~1.5cmであることがより好ましい。なお、本実施形態においては、鉤状体は、延出部22の下端から上方に向けて折り返すように形成したが、延出部22の途中から上方に向けて折り返すように形成してもよい。
【0022】
紐保持部3は、マスクまたはマウスシールド5の鼻孔や口を覆う覆い部6に設けられた紐状体7を係止することができれば、材質に特に限定はないが、合成樹脂、金属、紙、パラフィン蝋を塗布、浸透させる等した耐水紙、木、ゴム、シリコーンゴム、繊維強化プラスチック、金属を合成樹脂で被覆したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に針金を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に合成樹脂を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に金属を合成樹脂で被覆したものを挿通したものなどが好適に用いられる。特に、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シリコーンゴム、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に針金を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に合成樹脂を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に金属を合成樹脂で被覆したものを挿通したものなどが好適に用いられる。また、紐保持部3は、耳係止部2と同一材料により一体的に形成されていることが好ましい。
【0023】
本発明に係るマスクまたはマウスシールドの装着具1を取り付けるマスク51は、紐状体7を耳に掛けて装着するタイプ、または、紐状体7を後頭部および/または襟足近傍で結ぶなど固定して装着するタイプのものであればよく、特に限定することなく用いることができる。マスク51の形状も限定されることはなく、矩形平面形状のマスク、立体形状のマスク、プリーツが設けられたマスクなどを用いることができる。さらに、マスク51の素材も限定されることはなく、ガーゼ他各種布、不織布、ポリウレタン・ポリエステルなどのニット生地、ポリウレタンなどのスポンジなどで作製されたマスクを用いることができる。
【0024】
また、本願発明における紐状体7は、マスク51を耳に掛けて装着する、または後頭部および/または襟足近傍で結ぶなど固定して装着するためのものであれば、特に限定されるものではなく、紐であってもよいし、ポリウレタン・ポリエステルなどのニット生地、ポリウレタンなどのスポンジで形成された覆い部6と一体的に形成され穴を設けることにより形成された耳掛け部であってもよい。紐は、伸縮性があるものであっても、伸縮性がないものであってもよいが、伸縮性があるものであることが好ましい。伸縮性があるものとしては、例えば、平ゴムと丸ゴムが挙げられ、平ゴムは、織ゴムタイプ、編ゴムタイプ、コールゴムタイプがあり、丸ゴムは、主に製紐タイプ、丸編タイプ、横巻タイプがある。紐の素材も特に限定されるものではないが、ナイロンまたはポリエステルが好適に用いられる。
【0025】
マスクまたはマウスシールドの装着具1は、図2,3に示すように、マスクまたはマウスシールド5の鼻孔や口を覆う覆い部6の側部上側に設けられた紐状体71と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体72とを挿通して束ねる環状体4を有することが好ましい。覆い部6の側部上側に設けられた紐状体71を覆い部6の側部下側に設けられた紐状体72と束ねて紐保持部3に保持させることにより、より確実に紐状体7をもみあげを避けて耳の下方へ導くことができる。
【0026】
環状体4の材質や形状は特に限定されるものではないが、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管を好適に用いることができる。環状体4はの大きさは特に限定されるものではないが、紐状体7を挿通させやすく任意の位置に固定可能であることを考慮すると、最大幅が2~4mm、長さが2~6mmであることが好ましい。
【0027】
次に、本実施形態によるマスクまたはマウスシールドの装着具1の使用方法について、説明する。まず、覆い部6の側部上側に設けられた紐状体71と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体72とを環状体4に挿通する。紐状体7を耳に掛けて装着するタイプのマスクのように、覆い部6の側部上側に設けられた紐状体7と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体7とが連続して形成され輪になっている場合は、輪をつぶすようにして二本の紐状体7を束ねて持ち、環状体4に挿通させるとよい。紐状体を後頭部などで結んで装着するタイプのマスクのように、覆い部6の側部上側に設けられた紐状体と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体とが別個に設けられている場合は、それぞれの二本の紐状体を束ねて持ち、環状体4に挿通させるとよい。このような作業を、覆い部6の両側部に設けられた紐状体7について、それぞれ行う。
【0028】
次に、環状体4に挿通された紐状体7を紐保持部3に保持させる。覆い部6の側部上側に設けられた紐状体71と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体72とが連続して形成され輪になっている場合は、環状体4に挿通された紐状体7は輪になっているので、この輪の部分を鉤状体に引っ掛けるようにして係止させる。覆い部6の側部上側に設けられた紐状体と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体とが別個に設けられている場合は、環状体4に挿通された二本の紐状体7を、長さを調節した上で束ねて結んで輪にし、この輪の部分を鉤状体に引っ掛けるようにして係止させる。なお、環状体4を用いない場合は、覆い部6の側部上側に設けられた紐状体7と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体7とが連続して形成され輪になっている場合は、この輪を鉤状体に引っ掛けるようにして係止させる。覆い部6の側部上側に設けられた紐状体7と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体7とが別個に設けられている場合は、二本の紐状体7を、長さを調節した上で束ねて結んで輪にし、この輪を鉤状体に引っ掛けるようにして係止させる。このような作業を、覆い部6の両側部に設けられた紐状体7について、それぞれ行う。
【0029】
次に、マスクまたはマウスシールドの装着具1を耳の裏に持っていき、紐状体7が耳の下方を通るようにし、耳係止部2の延出部22を耳の裏側の付け根に沿わせるようにし、アール部21の内側の一部または全部が耳の付け根の上部に当接させるようにして、耳係止部2を耳の上側の付け根に引っ掛けて係止させる。覆い部6の側部上側に設けられた紐状体71が覆い部6の側部下側に設けられた紐状体72とともに、紐状体7が耳の下方を通るようにして、耳の裏に位置する紐保持部3に保持されているので、紐状体7がもみあげを避けた状態で、マスク51を装着することができる。
【0030】
さらに、環状体4の位置を調整することで、より確実に紐状体7がもみあげを避けた状態で、マスク51を装着することができる。環状体4を覆い部6側に移動させるほど、よりもみあげを避けることができるが、覆い部6が下方にずれやすくなる。もみあげを効果的に避けながら両者のバランスをとって調整することが好ましい。
【0031】
また、本発明によるマスクまたはマウスシールドの装着具1は、使用後に紐状体7から外して洗浄することにより、繰り返し使用可能であるため、安価に使用することができる。
【0032】
次に、マスクまたはマウスシールドの装着具1の第一変形例について、説明する。図4に示すように、本変形例によるマスクまたはマウスシールドの装着具701は、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部702と、耳係止部702に設けられ、マスクまたはマウスシールド5の鼻孔や口を覆う覆い部6に設けられた紐状体7を耳の下方に導いて保持する紐保持部703とを有する。
【0033】
耳係止部702は、フック状形状を有しており、円弧状のアール部7021とアール部7021から延出する延出部7022とを有する。耳係止部702は、アール部7021の内側の一部または全部が耳の付け根の上部に当接するとともに、延出部7022が耳の裏側の付け根に沿うようにして、耳に係止される。延出部7022は、耳の裏の付け根に沿うようにわずかに湾曲している。耳係止部702の大きさ、材質に特に限定はなく、上述の実施形態における耳係止部2と同様とすることができるが、材質としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリプロピレン、シリコーンゴムが好適である。
【0034】
紐保持部703は、紐状体7を着脱自在に収容する溝である。溝は、延出部7022に、延出部7022の延出方向と直行する方向から延出方向下方に向けて、断面L字形状に設けられている。溝の形状はこれに限定されるものではなく、延出部7022の延出方向と直行する方向のみに設けられていてもよいし、延出部7022の延出方向と直行する方向から延出方向下方に向けて斜めに設けてもよいし(断面I字形状)、延出部7022の延出方向と直行する方向から延出方向下方に向けて弧を描くように設けてもよい(断面C字形状)。溝は、延出部7022の延出方向に複数本設けることが好ましく、本変形例では三本設けられている。どの位置の溝に紐状体707を保持させるかにより、覆い部6の顔への密着度合を調整することができる。また、延出部7022の延出方向に沿って縦に延びる縦溝705を、延出部7022の上述の溝の下方に設けることも好ましい。覆い部6の側部上側に設けられた紐状体71と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体72とを束ねた状態で縦溝705に収容し、その紐状体7の端部を溝に引っ掛けることにより、より確実に紐状体7を耳の下方から裏側に導くことができる。
【0035】
次に、マスクまたはマウスシールドの装着具1の第二変形例について、説明する。図5に示すように、本変形例によるマスクまたはマウスシールドの装着具801は、上述の第一変形例の溝による紐保持部703に替えて、突起による紐保持部803を有している。紐保持部803以外は、第一変形例と同様である。紐保持部803は、紐状体7を着脱自在に引っ掛ける突起である。突起は、延出部8022の表面から装着時に地面と略平行になるように突出する突出部8031と、突出部8031の先端に設けられ、突出部8031の突出方向と直行する全方向に突出した頂部8032とを有し、断面T字形状を有している。突起の形状はこれに限定されるものではなく、突出部8031の突出方向と直行する上方向にのみ突出させて断面L字状としてもよい。また、突出部8031のみで突起を構成してもよいが、上記のように断面T字形状や断面L字状の突起とすることにより、紐状体7が突起から滑り落ちることがない。なお、図示しないが、第一変形例のように、延出部8022の延出方向に沿って縦に延びる縦溝を、突起の下方に設け、覆い部6の側部上側に設けられた紐状体7と覆い部6の側部下側に設けられた紐状体7とを束ねた状態で縦溝に収容できるようにしてもよい。
【0036】
さらに、図示しないが、紐保持部3として、溝や突起を設けることなく、延出部22に紐状体7を結び付けることにより、保持させてもよい。すなわち、耳係止部2の延出部22が紐保持部3として機能する。この場合、耳係止部2は、結び付けた紐状体7が滑り落ちないように、滑りにくい材質のもので形成するか、少なくとも延出部22に表面加工を施すことにより滑りにくくすることが好ましい。
【0037】
さらに、図示しないが、紐保持部は、延出部22の端部に設けられた断面コ字状部材と、コ字状部材の一端にヒンジを介して開閉自在に設けられた蓋部とにより構成し、コ字状部材の内部に紐状体7を収容して蓋部を閉めることにより、紐状体7を保持するようにしてもよい。
【0038】
以上の実施形態においては、マスクまたはマウスシールドの装着具1をマスク51に取り付ける場合について説明したが、図6に示すように、同様にしてマウスシールド52にも用いることができる。本発明に係るマスクまたはマウスシールドの装着具1を取り付けるマウスシールド52は、紐状体7を耳に掛けて装着するタイプ、または、紐状体7を後頭部および/または襟足近傍で結ぶなど固定して装着するタイプのものであればよく、特に限定することなく用いることができる。紐状体7が覆い部62に設けられる位置は、特に限定されるものではなく、図6に示すように、覆い部62の側部下側に輪の状態で設けられていてもよいし、覆い部6の側部下側に二本の紐状体7が設けられていてもよいし、上述のマスク51と同様に覆い部6の側部上側と覆い部6の1部下側に設けられていてもよい。また、紐状体7についても特に限定されるものではなく、上述のマスク51の紐状体7と同様のものであってもよい。
【0039】
マウスシールド52の覆い部62の大きさは、鼻孔や口を覆うことができれば特に限定されるものではない。また、覆い部62の形状も特に限定されるものではないが、鼻孔や口からの飛沫の飛散を防止するフィルム8と、フィルム8の下端部に設けられフィルムを湾曲保持するフィルム保持部9と、フィルム保持部9のあごと対向する位置に設けられ、あごに当接させてフィルム保持部9に保持されたフィルム8を顔面から一定間隔をあけて支持する支持部10とを有するものが好適である。フィルム8の材質は特に限定されるものではないが、フィルム部は、合成樹脂であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどが好適である。
【0040】
マスクまたはマウスシールドの装着具1のマウスシールド52への取付方法は、上述のマスク51の場合と同様である。紐状体7が覆い部62の側部下側に輪の状態で設けられていている場合や、覆い部62の側部下側に二本の紐状体7が設けられている場合も、同様にして取り付けることができる。なお、これらの場合は、環状体4を用いる必要はない。
【0041】
次に、本発明によるマスク111,112(11)について、図7,8を参照して説明する。本実施形態に係るマスク11は、耳の裏側から耳の上側の付け根に係止させる耳係止部902と、耳係止部902に設けられ、マスクの鼻孔や口を覆う覆い部906に設けられた紐状体907を耳の下方に導いて保持する紐保持部903とを有し、紐状体907と紐保持部903とが固定されている。覆い部906および紐状体907については、特に限定されるものではなく、上述の実施形態における覆い部6および紐状体7と同様のものとすることができる。また、耳係止部902についても、上述の実施形態における耳係止部2と同様のものとすることができる。
【0042】
本実施形態においては、紐保持部903は、耳係止部902の延出部9022の下端内側に設けられ、紐状体907を収容する中空部8(図示しない)と、中空部に接着剤を充填し紐状体707を収容した状態で乾燥固化させた接着部(図示しない)とからなる。中空部は、耳係止部902を合成樹脂、金属、紙、パラフィン蝋を塗布、浸透させる等した耐水紙、木、ゴム、シリコーンゴム、繊維強化プラスチック、金属を合成樹脂で被覆したものなどで構成する場合は、耳係止部902の延出部9022の下端内側に溝を切ることにより形成することができる。また、中空部は、耳係止部902をシリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に針金を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に合成樹脂を挿通したもの、シリコーンチューブ・ゴムチューブ・発泡樹脂チューブ・熱収縮チューブなどの柔軟で可撓性のある管に金属を合成樹脂で被覆したものを挿通したものなどで構成する場合は、耳係止部902の延出部9022の下端から管のみをさらに延出させることにより形成することができる。接着剤は、延出部9022と紐状体907とを接着できるものであればよく、公知のものを使用することができる。上記では、接着剤を用いて紐状体を固定したが、熱収縮チューブを用いた場合など、中空部に紐状体907を嵌入させるだけで、十分に固定できれば、接着剤は用いなくてもよい。また、逆に、紐状体の先端に中空部を設け、該中空部に細くした耳係止部の端部を挿入して接着剤などで固定してもよい。
【0043】
紐状体907が、覆い部906の側部上側と側部下側とに取り付けられている場合は、図7に示すように、二本の紐状体907をまとめて紐保持部903で保持固定してもよいし、図示しないが、覆い部906の側部上側の紐状体と側部下側の紐状体とを別手段で一本にまとめるなどして、覆い部906の側部上側の紐状体と側部下側の紐状体とから延びる一本の紐状体を紐保持部903で保持固定してもよい。また、紐状体907が、覆い部6の側部上側と側部下側とに取り付けられている場合は、図7に示すように、両方の紐状体907を束ねる環状体4を挿通させた状態で紐状体907を紐保持部903に保持固定させてもよい。環状体4は、上述の環状体4と同様のものを用いることができる。
【0044】
紐保持部903は、これに限定されるものではなく、図示しないが、耳係止部902の延出部9022の下端部と紐状体907の先端部とを加熱融着させた融着部で構成してもよい。また、紐保持部903を延出部9022の下端に設けられた環状の環状部で構成し、環状部に紐状体907を挿通させた状態で覆い部906に取り付けてもよい。
【0045】
また、図7に示すように、覆い部906の鼻に当接する位置に、覆い部6がずり落ちるのを防止する滑り止め部12が設けられていることが好ましい。滑り止め部12の材質は限定されるものではないが、シリコーン、シリコーンゴム、ゴムなどが好適である。滑り止め部の形状も限定されるものではないが、線状、破線状、点状などが好適であり、個数も任意に設けることができる。
【0046】
なお、マスク111,112(11)は、覆い部906、紐状体907、耳係止部902、紐保持部903を洗浄可能な材質で構成すれば、繰り返し使用可能であり、安価に使用することができる。
【0047】
また、図示しないが、紐状体に上述の紐保持部を固定させたマウスシールドとすることもできる。このマウスシールドの覆い部、紐状体、耳係止部、紐保持部は、上述の覆い部62、紐状体7、耳係止部902、紐保持部903と同様である。
【0048】
本発明によるマスクまたはマウスシールドの装着具1、マスク11、およびマウスシールドによれば、マスクまたはマウスシールド5の鼻孔や口を覆う覆い部6に設けられた紐状体7をもみあげから退避させるように装着することができ、美容室で施術する際に、紐状体7がヘアーカットやセットの邪魔になることがなく、紐状体7にストレートパーマやカラーリングの薬剤が付着することも防止することができる。また、美容室以外でも、芸舞妓のように日本髪にした際に、マスクなどを装着するときに用いれば、紐状体7が鬢に干渉することがない。さらに、平常時に使用した場合も、横顔をすっきりと見せることができ、また、紐状体が頬の高い位置に触れている煩わしさや、わずかに視界に入る煩わしさから解放される。また、マスクまたはマウスシールドの装着具1はマスク51やマウスシールド52から外すことにより、繰り返し使用可能であり、安価に使用することができる。耳係止部902を備えたマスクやマウスシールドも、洗浄・消毒可能な材質で構成すれば、繰り返し使用可能であり、安価に使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1: マスクまたはマウスシールドの装着具
2,702,802,902: 耳係止部
3,703,803,903:紐保持部
4:環状体
5: マスクまたはマウスシールド
6:覆い部
7:紐状体

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳の付け根の上部に当接するとともに、耳の裏側の付け根に沿うようにして、耳に係止させる耳係止部と、
前記耳係止部に設けられ、マスクまたはマウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部と
を有することを特徴とするマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項2】
前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に係止する鉤状体であることを特徴とする請求項1に記載のマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項3】
前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に収容する溝であることを特徴とする請求項1に記載のマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項4】
前記保持部が、前記紐状体を着脱自在に引っ掛ける突起であることを特徴とする請求項1に記載のマスクまたはマウスシールドの装着具。
【請求項5】
耳の付け根の上部に当接するとともに、耳の裏側の付け根に沿うようにして、耳に係止させる耳係止部と、
前記耳係止部に設けられ、マスクの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有し、
前記紐状体と前記紐保持部とが固定されていることを特徴とするマスク。
【請求項6】
前記覆い部の鼻に当接する位置に、前記覆い部がずり落ちるのを防止する滑り止め部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
耳の付け根の上部に当接するとともに、耳の裏側の付け根に沿うようにして、耳に係止させる耳係止部と、
前記耳係止部に設けられ、マウスシールドの鼻孔や口を覆う覆い部に設けられた紐状体を耳の下方に導いて保持する紐保持部とを有し、
前記紐状体と前記紐保持部とが固定されていることを特徴とするマウスシールド。