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  • 特開-索道設備の電力供給装置 図1
  • 特開-索道設備の電力供給装置 図2
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  • 特開-索道設備の電力供給装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113310
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】索道設備の電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220728BHJP
   B61B 12/02 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
B61B12/02 C
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009445
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 元幸
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】索道設備の停留場において搬器に電力を供給する場合に、電力供給側から搬器側へ安定して電力を供給することのできる索道設備の電力供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】索道設備の停留場11、12において搬器18の移動径路に沿って延設された給電レール23と、搬器18に備え給電レール23に接触する集電子24と、を備え、給電レール23には直流電流が通電され、搬器18の移動径路において集電子24と給電レール23が当接して搬器18に給電するようにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
索道設備の停留場において搬器の移動径路に沿って延設された給電レールと、前記搬器に備え前記給電レールに接触する集電子と、を備え、前記給電レールには直流電流が通電され、前記搬器の移動径路において前記集電子と前記給電レールが当接して前記搬器に給電することを特徴とする索道設備における電力供給装置。
【請求項2】
前記搬器の握索機に前記集電子を備えたことを特徴とする請求項1に記載の索道設備における電力供給装置。
【請求項3】
前記給電レールと前記集電子とは、少なくとも5箇所で接触することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の索道設備における電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、索道設備の停留場において、搬器に電力を供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
索道設備は、空中に張架した索条に搬器を懸垂し、人員や物資を運ぶ輸送設備であり、多くは山岳傾斜地における人員の移動手段や、スキー場におけるスキーヤーやスノーボーダーの移動手段として利用されている。また、索道設備は、鉄道等のように地上にレール等を敷設する必要がなく線路に要する用地が少なくてすむために、特に海外においては都市部の公共交通機関として運用されるようになってきている。
【0003】
このように、都市部等においてゴンドラリフトやロープウェイのように閉鎖型搬器を運用する索道設備を、日常的な交通機関として運用するにあたっては、乗客の快適性を向上するために各搬器には空調装置や照明装置、映像ディスプレイ、放送装置等の電気設備を備えることが望まれる。しかしながら従来周知のように、索道設備においては線路中を移動する搬器へ電力を供給することが困難なことから、一般的には小型の蓄電池を搬器に備え、これを運行終了後に停留場において充電して使用しており、空調装置等の消費電力が大きな機器を搬器に備えることは困難であった。
【0004】
このように運行終了後に充電を行うには、多数の搬器を運用するゴンドラリフト等においては多数の充電器が必要となり費用が嵩むことから、索道設備の運行中に停留場内で搬器が移動しながら蓄電池の充電を行うことが従来提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術は、搬器外面に取付けられ蓄電池に接続された充電用コネクタと、索道の途中に配置された停留所内に設けられ、搬器が停留所内を移動する間に充電用コネクタと接触する電気供給子と、電気供給子に接続された電源供給装置とを備え、搬器が停留場内を移動していても蓄電池の充電を行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-31063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記の従来技術においては、搬器の下端部付近で停留場の電気供給子から搬器側へ電気が供給れるようにしており、搬器が前後に揺れると電気供給子が離れ、電気の供給が安定しないといった問題があった。本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、電力供給側から搬器側へ安定して電力を供給することのできる索道設備の電力供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、索道設備の停留場において搬器の移動径路に沿って延設された給電レールと、前記搬器に備え前記給電レールに接触する集電子と、を備え、前記給電レールには直流電流が通電され、前記搬器の移動径路において前記集電子と前記給電レールが当接して前記搬器に給電することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の索道設備の電力供給装置において、前記搬器の握索機に前記集電子を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の索道設備の電力供給装置において、前記給電レールと前記集電子とは、少なくとも5箇所で接触することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、集電子へは直流電流が供給されるので、直流で充電を行う蓄電池へは交流電流を直流電流へ変換する変換器等の機器を必要とせず、構成する装置が安価になるとともに搬器の重量も軽量になる。また、搬器の握索機に集電子を備え、この集電子に給電を行うようにしたことにより、搬器の揺れに関係なく安定して給電が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】自動循環式索道の模式図
図2】搬器の正面図図
図3】搬器の側面図
図4】握索機の正面図
図5】集電子の側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態においては、索道設備の代表例として自動循環式索道により説明を行う。図1は、自動循環式索道の模式図である。自動循環式索道10は、線路の端部に停留場11及び停留場12を有しており、各停留場11、12には、原動滑車13及び従動滑車14を回転自在に備えている。原動滑車13と従動滑車14には、索条15が無端状に巻き掛けられており、原動滑車13を回転駆動することにより、索条15は両停留場11、12間を循環して移動する。索条15には、線路中で所定の間隔となるように複数の搬器18が懸垂される。
【0013】
搬器18は索条15に着脱自在であって、線路中では索条15に取り付けられて索条15とともに移動し、停留場11、12内では索条15から切り離される。停留場11、12には、平面視U字状の走行レール16及び走行レール17がそれぞれ敷設されており、索条15から切り離された搬器18は、走行レール16、17に沿って次のように移動する。まず、停留場11、12に到着した搬器18は、索条15から切り離されるとともに、走行レール16、17に乗り移り、走行レール16、17に沿って設けられた移送装置により減速させられる。乗客が乗降可能な速度まで搬器18が減速すると、その速度を保って停留場11、12内を出発側へ折返し、この間に乗客の乗降が行われる。出発側へ折り返した搬器18は、索条15の速度と同一速度にまで加速させられた後、索条15に取り付けられるとともに走行レール16、17から離脱して線路中へ出発する。
【0014】
図2は、停留場11、12における搬器18の正面図であり、図3は、停留場11、12における搬器18の側面図である。搬器18の握索機20には、走行レール16、17上を転動する走行ローラー21を備えるとともに、走行ローラー21とは反対側の端部にエンドローラー22を備えている。エンドローラー22の位置には、走行レール16、17の外周と平行してコ字形状のガイドレール19が延設されており、これにより停留場11、12で進行する搬器18の姿勢が一定に保たれる。ガイドレール19の下端部に沿っては、通電された給電レール23が延設されており、一方、握索機20には給電レール23に接触する集電子24を備えている。集電子24には電線ケーブル(図示せず)が接続されており、この電線ケーブルの他端は搬器18内の蓄電池26に接続されている。停留場11、12内においては、給電レール23と集電子24とが接触して搬器18が移動し、この間に搬器18側へ電力が供給され蓄電池26が充電される。
【0015】
図4は、握索機の正面図であり、図5は、集電子の側面図である。集電子24は、ブラケット27と、アーム28と、ブラシ29とを備えている。ブラケット27は、握索機20のエンドローラー22取付部付近に一端部を固着されており、側面視において給電レール23側へ斜め下方に突出している。ブラケット27の端部には、アーム28が垂直方向へ回動可能に枢支されている。アーム28の先端部には、伝導体からなる複数のブラシ29が搬器18の移動する方向へ延伸する形状で取り付けられている。アーム28の中間部とブラケット27の先端部とには、バネ30の端部がそれぞれ連結されており、これによりブラシ29が給電レール23側方向へ回動するようにバネ力が付勢されている。
【0016】
一方、ガイドレール19の下部に沿っては、給電レール23を備えている。給電レール23の上部には、集電子24の各ブラシ29に対応する位置に握索機20の移動する方向に沿って5本の溝32が形成されており、各溝32の底部には伝導体からなる電源レール31が延設されている。各電源レール31には直流電流が通電されており、5本の電源レール31の内、2本の電源レール31は正極となっており、他の2本の電源レール31が負極、残り1本の電源レール31が接地極となっている。以上の構成により、各溝32に各ブラシ29が嵌合し、各ブラシ29と各電源レール31が当接して搬器18側へ給電される。なお、以上の説明では5組のブラシ29と電源レール31との組み合わせで説明をおこなったが、さらに多くの組み合わせで構成することも可能である。
【0017】
以上の構成によれば、搬器18の握索機20に集電子24を備え、この集電子24に給電を行うようにしており、搬器18の揺れに関係なく搬器18へ安定して給電が行われる。また、集電子24へは直流電流が供給されるので、直流で充電を行う蓄電池26へは交流電流を直流電流へ変換する変換器等の機器を必要とせず、構成する装置が安価になると共に搬器18の重量も軽量になる。さらには、電源レール31の電極を複数としたことにより、より多くの電力を搬器18に供給することができる。
【符号の説明】
【0018】
10 自動循環式索道
11 停留場
12 停留場
13 原動滑車
14 従動滑車
15 索条
16 走行レール
17 走行レール
18 搬器
19 ガイドレール
20 握索機
21 走行ローラー
22 エンドローラー
23 給電レール
24 集電子
25 電線ケーブル
26 蓄電池
27 ブラケット
28 アーム
29 ブラシ
30 バネ
31 電源レール
32 溝
図1
図2
図3
図4
図5