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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113316
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20220728BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009460
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】391009372
【氏名又は名称】ミドリ安全株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉那覇 正平
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AC02
3B011AC03
(57)【要約】
【課題】吸気能力の低下を抑えつつ、送風ファンを保護することができる衣服を提供する。
【解決手段】上衣部10の所定位置に設けられ、吸込口103から吸い込んだ外気を上衣部10の内部に送り込む送風ファン100が着脱自在に装着される取付孔17と、上衣部10の外側に設けられ、取付孔17の周縁領域のうち、少なくとも取付孔17の中心Oを挟んで対向する一対の縁部領域18,18を覆い、外力によって変形可能な保護部材40と、を備えている。取付孔17は、保護部材40によって覆われた領域よりも、保護部材40によって覆われない領域の方が広い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴衣に形成され、吸込口から吸い込んだ外気を前記胴衣の内部に送り込む送風装置が着脱自在に装着される取付孔と、
前記胴衣の外側に設けられ、前記取付孔の周縁領域のうち、少なくとも前記取付孔の中心を挟んで対向する一対の縁部領域を覆い、外力によって変形可能な保護部材と、を備え、
前記取付孔は、前記保護部材によって覆われた領域よりも、前記保護部材によって覆われない領域の方が広い
ことを特徴とする衣服。
【請求項2】
請求項1に記載された衣服において、
前記保護部材は、前記取付孔の中心よりも上側の位置で前記胴衣に固定される固定部と、前記取付孔の中心よりも下側の位置で前記胴衣に着脱自在に係合される係合部と、を有する
ことを特徴とする衣服。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された衣服において、
前記保護部材は、前記取付孔の中心を覆う
ことを特徴とする衣服。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された衣服において、
前記保護部材は、身丈方向に延びて前記一対の縁部領域をそれぞれ覆う一対の第1保護部と、前記一対の第1保護部の間に架け渡されて前記取付孔の中心を覆う第2保護部と、を有する
ことを特徴とする衣服。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された衣服において、
前記保護部材は、複数の素材が重ねられた層構造を有する布材によって形成されている
ことを特徴とする衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者が着る衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、胴衣の内部に送風するための送風ファン(送風装置)を装着可能な衣服が知られている。この衣服では、胴衣の外側に露出した送風ファンを保護するため、送風ファンの周縁部を保護する樹脂製のリング状カバーを取り付けたり、ステンレス製のカバーで吸気面を覆ったりする衣服が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。さらに、送風ファンの吸込口に防塵フィルターを貼り付ける衣服も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-33671号公報
【特許文献2】特許第6715891号公報
【特許文献3】実用新案登録第3223858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の衣服では、送風ファンを保護するカバーが樹脂やステンレス等によって形成されている。そのため、衣服の着用時にカバーが周囲の物品(例えば、家屋の内装や什器等)にぶつかったとき、カバー自身や周囲の物品が傷つくおそれがあった。また、送風ファンの吸込口に貼り付けられた防塵フィルターは、吸込口の全面を覆ってしまうため、送風ファンの吸気能力が低下するという問題が生じていた。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、吸気能力の低下を抑えつつ、送風ファンを保護することができる衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、胴衣に形成され、吸込口から吸い込んだ外気を前記胴衣の内部に送り込む送風装置が着脱自在に装着される取付孔と、前記胴衣の外側に設けられ、前記取付孔の周縁領域のうち、少なくとも前記取付孔の中心を挟んで対向する一対の縁部領域を覆い、外力によって変形可能な保護部材と、を備えている。そして、前記取付孔は、前記保護部材によって覆われた領域よりも、前記保護部材によって覆われない領域の方が広い。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明では、吸気能力の低下を抑えつつ、送風ファンを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の衣服を示す正面図である。
図2】実施例1の衣服を示す背面図である。
図3】実施例1のファン取付口を表面から見たときの要部拡大平面図である。
図4】実施例1のファン取付口を表面から見たときの要部拡大斜視図である。
図5】実施例1のファン取付口を裏面から見たときの要部拡大平面図である。
図6】実施例1の保護部材の断面図を模式的に示す説明図である。
図7】実施例1の衣服に送風ファンを装着するときの状態を示す説明図である。
図8A】(a)は第1変形例の保護部材を示し、(b)は第2変形例の保護部材を示し、(c)は第3変形例の保護部材を示す。
図8B】(d)は第4変形例の保護部材を示し、(e)は第5変形例の保護部材を示し、(f)は第6変形例の保護部材を示す。
図9】第7変形例の保護部材を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の衣服を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
実施例1の衣服1は、上衣部10の内部に外気を送り込む電動の送風ファン(送風装置)を装着可能であり、図1及び図2に示すように、上衣部10と、下衣部20と、上衣部10と下衣部20の間に配された帯状のベルト部30と、を備えている。衣服1は、上衣部10と下衣部20とが繋がったツナギ服である。衣服1は、綿や化繊等で織られた布や不織布等からなる生地によって形成されている。なお、衣服1を形成する生地は、伸縮性や通気性、難燃性等の任意の性質を有していてもよい。
【0011】
上衣部10は、着用者の胴体を覆う胴衣11と、着用者の腕を覆う一対の袖12,12と、襟13と、を有している。ここで、上衣部10は、任意の形状に裁断された生地を縫合して形成されている。
【0012】
胴衣11は、左前身頃11aと、右前身頃11bと、ヨーク11cと、後身頃11dと、を有している。左前身頃11a及び右前身頃11bは、着用者の身幅方向中央に設けられた図示しない係止部材(例えば、スライドファスナー)によって開閉自在に係止される。なお、係止部材は、上衣部10からベルト部30を介して下衣部20の股上部21まで連続している。係止部材は、左前身頃11aとベルト部30と股上部21に連続して縫着された前立て14によって覆われている。
【0013】
左前身頃11a及び右前身頃11bには、いずれも胸ポケット15aが設けられている。各胸ポケット15aは、生地に切り込みを入れ、その内側に袋布を縫い付けた、いわゆる切りポケットであり、開口部がフラップ15bで覆われている。また、左前身頃11aの襟元には、通信用コード等を挿通するためのコード孔15cが形成されている。コード孔15cは、切り口の両側をそれぞれ玉縁布で処理すると共に、玉縁布同士が重なって開口を覆っている。左前身頃11aの内側には、送風ファンに給電するためのバッテリーを収納する内ポケット15dと、上衣部10内に配策する通信用コード等のハーネスを適宜固定する留め具15eと、が設けられている。さらに、左前身頃11aには、内ポケット15dに収納したバッテリーに外部からアクセスするための開口部15fが形成されている。
【0014】
後身頃11dには、図2に示すように、一対のプリーツ16a,16aが形成されている。さらに、後身頃11dの下部には、送風ファンを取り付けるための一対の取付孔17,17が形成されている。一対の取付孔17,17は、胴衣11の身幅方向の中央部を挟んで左右対称となる位置に設けられている。各取付孔17は、後身頃11dを貫通する円形の貫通孔である。なお、各取付孔17の周縁は、玉縁布17aによってくるまれ、ほつれ止めがなされている(図3図5参照)。また、後身頃11dの内側には、各取付孔17の周縁部を補強する補強板(不図示)と、バッテリーと送風ファンとを接続するハーネスを後身頃11dに固定する一対の留め具16b,16bと、が設けられている。
【0015】
そして、後身頃11d(胴衣11)の外側には、一対の取付孔17,17にそれぞれ重なる一対の保護部材40,40が設けられている。
【0016】
下衣部20は、股上部21と、一対の筒状部22と、を有する長ズボンである。股上部21は、着用者のウエスト部と臀部下端との間の部位を覆う。股上部21の前側は、身幅方向中央から左右に分割されており、上衣部10からつながる係止部材(例えば、スライドファスナー)によって開閉自在に係止される。さらに、股上部21の前側には、左右それぞれにポケット21aが設けられている。各筒状部22は、着用者の臀部下端よりも下方の大腿部及び下腿部を覆う。
【0017】
ベルト部30は、着用者のウエスト部の全周を囲む帯状のゴムを内蔵し、伸縮可能になっている。ベルト部30の前側は、身幅方向中央から左右に分割されており、上衣部10からつながる係止部材(例えば、スライドファスナー)によって開閉自在に係止される。なお、ベルト部30は、上部が上衣部10に縫合され、下部が下衣部20に縫合されて、上衣部10と下衣部20との縫合位置を、外側から覆っている。
【0018】
保護部材40は、後身頃11dに設けられて外部からの衝撃を吸収し、各取付孔17に装着された送風ファンを保護する。実施例1の保護部材40は、図3図5に示すように、身丈方向に延びる一対の第1保護部41,41と、身幅方向に延びて一対の第1保護部41,41の間に架け渡された第2保護部42と、を有している。各第1保護部41及び第2保護部42は、いずれも、端部が玉縁布43によってくるまれて、ほつれ止めがなされた帯形状を呈している。
【0019】
一対の第1保護部41,41は、取付孔17の中心Oを挟んで身幅方向に並び、左右対称となっている。各第1保護部41の上端部には、取付孔17の中心Oよりも上側に位置し、後身頃11dに第1保護部41を縫い付け固定する固定部41aを有している。また、各第1保護部41の下端部には、取付孔17の中心Oよりも下側に位置し、後身頃11dに設けられた被係合部材41c(図7参照)に着脱自在に係合される係合部41bを有している。ここで、係合部41bは、例えば雄型面ファスナーによって形成され、被係合部材41cは、雌型面ファスナーによって形成されている。なお、係合部41b及び被係合部材41cは、実施例1では面ファスナーとしているが、例えばスナップボタンや、ボタンとボタン穴、ホックとループ等によって構成してもよい。
【0020】
一対の第1保護部41,41は、取付孔17の周縁部に設定された周縁領域の一部に重複し、取付孔17の周縁領域のうちの一対の縁部領域18,18を覆う。ここで、「周縁領域」とは、取付孔17の開口周縁から、取付孔17の径方向外側の所定範囲の領域であり、例えば玉縁布17aによってくるまれた領域である。また、「縁部領域」は、周縁領域のうち、取付孔17の中心Oを挟んで身幅方向に対向すると共に、取付孔17の中心Oから上下方向の所定範囲の領域である。縁部領域18は、図3において一点鎖線で囲んで示す。なお、縁部領域18は、周縁領域の中でも、取付孔17に装着された送風ファンが周囲の物品(例えば、家屋の内装や什器等)に最も接触しやすい領域である。
【0021】
第2保護部42は、一対の第1保護部41,41の間に架け渡され、両端が一対の第1保護部41,41の身丈方向の中央部にそれぞれ縫い付け固定される。そして、第2保護部42は、取付孔17に重複し、取付孔17の中心Oを覆う。ここで、第2保護部42の幅は、一対の第1保護部41,41の幅と、ほぼ同じ大きさに設定されている。
【0022】
そして、保護部材40の各第1保護部41及び第2保護部42は、いずれも外力によって変形可能な素材(布材)によって形成され、図6に示すように、第1布材51と、第2布材52と、第3布材53とが厚さ方向に重ねられた層構造を有している。また、第1布材51は、メッシュ素材やジャージ素材によって形成されている。また、第2布材52は、第1布材51及び第3布材53よりも厚みを有する立体編みされたメッシュ素材(立体メッシュ材)やスポンジ素材によって形成されている。そして、第3布材53は、第1布材51よりも通気性の高いメッシュ素材やジャージ素材によって形成されている。保護部材40は、後身頃11dに取り付けられた際、第1布材51が後身頃11dに対向し、第3布材53が外側に臨む。
【0023】
さらに、保護部材40は、第1保護部41が固定部41aで後身頃11dに固定されているため、後身頃11dの外側に垂れ下がり、取付孔17に被さる。このとき、取付孔17の縁部領域18や、中心O等に保護部材40が重複するが、取付孔17は、保護部材40によって覆われる領域よりも、保護部材40によって覆われない領域の方が広くなっている。つまり、図5に示すように、保護部材40と取付孔17とが重複する領域の面積よりも、取付孔17が開放している面積の方が広い。なお、各第1保護部41が垂れ下がった状態で係合部41bが被係合部材41cに係合することで、保護部材40の下端部が後身頃11dに固定される。
【0024】
以下、実施例1の衣服1の作用を説明する。
【0025】
実施例1の衣服1は、取付孔17に送風ファン100を装着して着用する。送風ファン100を装着するには、図7に示すように、まず、保護部材40の一対の第1保護部41,41の下端部に設けられた係合部41bを、後身頃11dに設けられた被係合部材41cから剥がし、保護部材40の下端部をめくり上げる。これにより、取付孔17が開放される。
【0026】
続いて、衣服1の外側から、吸込口103を衣服1の外側に向けた状態で、送風ファン100のファン本体部101を取付孔17に差し込み、ファン本体部101の周縁に形成されたフランジ部102を取付孔17の周縁部に設定された周縁領域に押し当てる。そして、衣服1の内側で、衣服1の内部に差し込まれたファン本体部101に図示しない固定リングを取り付け、固定リングとフランジ部102とで周縁領域を挟み込み、送風ファン100を後身頃11dに固定する。このとき、吸込口103の中央部は、取付孔17の中心Oに一致する。
【0027】
送風ファン100を装着したら、保護部材40の下端部を下げる。これにより、保護部材40が後身頃11dから垂れ下がり、送風ファン100の吸込口103に被さる。そして、一対の第1保護部41,41に設けられた係合部41bを、被係合部材41cに押し当てて係合する。
【0028】
ここで、保護部材40の一対の第1保護部41,41は、それぞれ取付孔17の周縁領域のうちの一対の縁部領域18,18を覆う。そのため、取付孔17に取り付けられた送風ファン100のフランジ部102は、縁部領域18に重なる部分が第1保護部41によって覆われる。すなわち、フランジ部102の縁部領域18に重なった部分は、第1保護部41によって外力から保護される。
【0029】
また、保護部材40の第2保護部42は、一対の第1保護部41,41の間に架け渡され、取付孔17の中心Oを覆う。そのため、送風ファン100の吸込口103は、中心部を通って身幅方向に延びる領域が第2保護部42によって覆われる。これにより、吸込口103の中心部は、第2保護部42によって外力から保護される。
【0030】
これにより、衣服1の着用時に送風ファン100が周囲の物品(例えば、家屋の内装や什器等)に接触しても、保護部材40が変形して衝撃が吸収され、送風ファン100のフランジ部102のうち、少なくとも縁部領域18に重なった部分は保護される。そのため、送風ファン100が取付孔17から外れたり、破損したりすることが防止できる。また、保護部材40は、外力によって変形可能である。このため、保護部材40が周囲の物品に接触した際、保護部材40が変形し、周囲の物品や保護部材40自身を傷つけることはない。
【0031】
さらに、取付孔17は、保護部材40によって覆われる領域よりも、保護部材40によって覆われない領域の方が広くなる。そのため、送風ファン100の吸込口103は、保護部材40によって覆われる領域よりも、保護部材40によって覆われない領域の方が広くなる。このため、吸込口103は、保護部材40によって覆われない領域を十分に確保でき、送風ファン100の吸気能力の低下を抑制することができる。
【0032】
この結果、吸気能力の低下を抑えつつ、送風ファン100を保護することができる。
【0033】
また、保護部材40は、取付孔17の中心Oよりも上側の位置で後身頃11dに固定される固定部41aと、取付孔17の中心Oよりも下側の位置で後身頃11dに着脱自在に係合される係合部41bと、を有している。これにより、保護部材40が周囲の物品に接触しても、保護部材40が外れにくく、送風ファン100を保護することができる。また、保護部材40は、固定部41aで後身頃11dに固定されているため、衣服1から脱落することはない。しかも、第1保護部41が取付孔17の中心Oよりも上側で固定されているので、係合部41bが被係合部材41cから外れた状態であっても、保護部材40が捲れず、送風ファン100を覆うことができる。
【0034】
また、実施例1の衣服1では、保護部材40が、取付孔17の中心Oを覆う。このため、例えば、送風ファン100の吸込口103が中央部を中心にして衣服1の外側に突出する湾曲形状を呈しており、吸込口103の中央部が周囲の物品に引っ掛かりやすい形状であっても、最も突出した吸込口103の中央部を保護することができ、送風ファン100を適切に保護することができる。
【0035】
さらに、実施例1の衣服1では、保護部材40が身丈方向に延びる一対の第1保護部41,41と、身幅方向に延びて一対の第1保護部41,41の間に架け渡された第2保護部42と、を有している。これにより、保護部材40と吸込口103との重複面積を抑制しつつ、送風ファン100の中でも周囲の物品に引っ掛かりやすい部位を適切に保護することができる。
【0036】
また、実施例1の衣服1では、保護部材40が、複数の素材(第1布材51、第2布材52、第3布材53)が重ねられた層構造を有する布材によって形成されている。そのため、素材の選択自由度が高く、通気性と衝撃吸収性をバランス良く担保することができる保護部材40にすることができる。
【0037】
以上、本発明の衣服1を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0038】
実施例1では、保護部材40が身丈方向に延びる一対の第1保護部41,41と、これらに架け渡された第2保護部42と、を有する例を示したが、これに限らない。例えば、図8A(a)に示す第1変形例の保護部材40Aのように、第2保護部42を複数(図8A(a)では三本)設けてもよい。この場合、身丈方向に一定の間隔をあけて第2保護部42を並べる。そして、最上部に位置する第2保護部42αによって取付孔17の周縁領域の上部を覆い、中央部に位置する第2保護部42βによって取付孔17の中心Oを覆い、最下部に位置する第2保護部42γによって取付孔17の周縁領域の下部を覆う。なお、一対の第1保護部41,41は、いずれも実施例1の保護部材40と同様に、上端部に固定部41aを有し、下端部に係合部41bを有する。この場合、保護部材40Aによって取付孔17の周縁領域のほぼ全域を覆うことができる。
【0039】
また、図8A(b)に示す第2変形例の保護部材40Bのように、身幅方向に延びると共に、取付孔17の中心Oを挟んで身丈方向に対向する一対の第3保護部44,44と、一対の第3保護部44,44の間に架け渡された複数(図8A(b)では三本)の第4保護部45と、を有するものであってもよい。この場合、取付孔17の中心Oよりも上側に位置する一方の第3保護部44αの上縁部が後身頃11dに固定される固定部41aとなる。また、係合部41bは、取付孔17の中心よりも下方に位置する他方の第3保護部44βに設けられている。さらに、三本の第4保護部45は、身幅方向に一定の間隔をあけて並べられ、左右端に位置する二本の第4保護部45α,45βによって、一対の縁部領域18,18をそれぞれ覆う。また、中央に位置する第4保護部45γによって取付孔17の中心Oを覆う。この場合であっても、取付孔17の周縁領域のほぼ全域を保護部材40Bによって覆うことができる。
【0040】
また、図8A(c)に示す第3変形例の保護部材40Cのように、身丈方向に延びる一対の第1保護部41,41の間に一対の第5保護部46,46を架け渡すと共に、一対の第5保護部46,46が取付孔17の中心Oで交差するように配置してもよい。この場合合、第5保護部46,46で取付孔17を覆い過ぎないよう、各第5保護部46を実施例1の第2保護部42よりも細くすることが望ましい。
【0041】
さらに、図8B(d)に示す第4変形例の保護部材40Dのように、身丈方向に延びる一対の第1保護部41,41の間に一対の第6保護部47,47を架け渡すと共に、一対の第6保護部47,47が取付孔17の周縁領域の上部と下部とをそれぞれ覆うようにしてもよい。この場合、保護部材40Dによって取付孔17の周縁領域のほぼ全域が覆うことができる一方、取付孔17の中心Oを開放することができる。これにより、送風ファン100の吸込性能の向上を図ることができる。
【0042】
また、図8B(e)に示す第5変形例の保護部材40Eのように、取付孔17の周縁に沿ったリング形状を呈するものであってもよい。この場合、取付孔17の周縁領域を全周にわたって覆うことができる。また、保護部材40Eは、取付孔17の中心Oよりも上側の周縁部が後身頃11dに縫い付けられ、周縁部に沿った縫い目が固定部41aとなっている。さらに、取付孔17の中心Oよりも下側の複数個所に係合部41bが設けられている。なお、固定部41aとなる縫い目の長さや、係合部41bの数は任意に設定することができる。
【0043】
また、図8B(f)に示す第6変形例の保護部材40Fのように、帯状の布材を矩形状に並べて端部を縫い合わせ、隅角部が上下左右に向くように配置したものであってもよい。この場合、保護部材40Fによって、取付孔17の周縁領域を全周にわたって覆うことができる。また、保護部材40Fは、取付孔17の中心Oよりも上側の周縁部が後身頃11dに縫い付けられ、周縁部に沿った縫い目が固定部41aとなっている。さらに、取付孔17の中心Oよりも下側の隅角部に係合部41bが設けられている。
【0044】
また、実施例1では、保護部材40が、一対の第1保護部41,41の間に架け渡され、両端が一対の第1保護部41,41にそれぞれ縫い付け固定された第2保護部42を有する例を示した。しかしながら、これに限らない。例えば、図9に示す第7変形例の保護部材40Gのように、一対の第1保護部41,41の間に架け渡された第2保護部42δのように、両端部42aを一対の第1保護部41,41の間隔よりも身幅方向に延在し、延在した両端部42aをそれぞれ後身頃11dに縫い付け固定してもよい。
【0045】
なお、図9では、後身頃11dに切込み11eを形成し、第2保護部42δの両端部42aを切込み11eに差し込んで衣服1の表から見えないようにしている。しかし、これに限らず、例えば、後身頃11dを複数のパーツで構成し、パーツ同士の縫い目に第2保護部42δの両端部42aを挟み込んで固定してもよい。また、後身頃11dの表側に第2保護部42δの両端部42aを縫い付けてもよい。
【0046】
第2保護部42δの両端部42aを身幅方向に延在して後身頃11dに縫い付けることで、保護部材40Gが周囲の物品等に引っ掛かった際にも、保護部材40Gの過度な捲り上がりを防ぎ、送風ファン100の保護性を高めることができる。また、第2保護部42δは身幅方向に延在した両端部42aが縫い付けられるため、後身頃11dへの固定位置を取付孔17から離れた位置とすることができる。これにより、送風ファンの着脱時に保護部材40Gが邪魔にならず、送風ファンの着脱に支障をきたすことを防止できる。
【0047】
また、実施例1では、保護部材40が固定部41aを有し、後身頃11dから外れない例を示したが、これに限らない。例えば、保護部材40の第1保護部41の上端部及び下端部のそれぞれに、後身頃11dに着脱可能な係合部41b(例えば、雄型面ファスナー)を設け、後身頃11dに二つの被係合部材41c(例えば、雌型面ファスナー)を設けてもよい。この場合、第1保護部41に設けられた二つの係合部41bを、それぞれ被係合部材41cから外すことで、保護部材40を後身頃11dから完全に分離することが可能となる。
【0048】
また、実施例1では、保護部材40によって保護される一対の縁部領域18,18が、取付孔17の中心Oを挟んで身幅方向に対向する例を示したが、これに限らない。一対の縁部領域18,18は、取付孔17の中心Oを挟んで対向すればよいので、例えば、中心Oを挟んで身丈方向に対向する領域であってもよい。
【0049】
さらに、実施例1では、保護部材40が、第1布材51、第2布材52、第3布材53を重ねた層構造を有する布材によって形成される例を示したが、これに限らない。外力によって変形可能であって、外部からの衝撃を吸収することができれば、必ずしも層構造を有していなくてもよい。また、布材でなくてもよく、例えば、筒状の袋体に綿等を詰めたクッション材や、スポンジ等であってもよい。さらに、保護部材40は、二層の層構造や、三層以上の層構造を有するものであってもよい。また、第1保護部41や第2保護部42等の厚みや幅、長さ等も任意に設定することができる。
【0050】
また、実施例1の衣服1は、上衣部10と下衣部20とが繋がったツナギ服である例を示したが、これに限らない。例えば、上衣部10のみの衣服であってもよいし、袖のないベストタイプの衣服であってもよい。
【0051】
また、実施例1の衣服1では、一対の取付孔17,17が後身頃11dに形成された例を示したが、これに限らない。取付孔17は、胴衣11の任意の位置に設けてよいし、形成される数も任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 衣服
10 上衣部
11 胴衣
11d 後身頃
17 取付孔
18 縁部領域
20 下衣部
30 ベルト部
40 保護部材
41 第1保護部
41a 固定部
41b 係合部
41c 被係合部材
42 第2保護部
51 第1布材
52 第2布材
53 第3布材
100 送風ファン
101 ファン本体部
102 フランジ部
103 吸込口
O 中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9