(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113322
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20220728BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20220728BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20220728BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20220728BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
H02K5/22
G01B7/30 H
H02K11/33
H02K11/215
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009475
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【テーマコード(参考)】
2F063
5H605
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063GA52
5H605AA08
5H605BB05
5H605EB10
5H605EC07
5H605EC13
5H605EC14
5H605EC15
5H605GG06
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE33
5H607GG08
5H607HH01
5H607HH09
5H607JJ05
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB06
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回路基板及びバスバーホルダ関連の組立工程を簡素化する。
【解決手段】モータ部20と、バスバー150と、バスバーホルダ140と、回路基板70と、前記モータ部、前記バスバー、前記バスバーホルダ、および前記回路基板を収容するケース10と、蓋部材80と、を備える。前記ケースは、ステータ23を径方向外側から囲む内側面と、前記内側面の軸方向一方側に位置し、軸方向一方側を向く支持面12と、を有する。前記蓋部材は、前記開口部を覆う板状の蓋本体と、前記から軸方向他方側に延びる垂下部83と、を有する。前記回路基板および前記バスバーホルダは、軸方向において、前記垂下部の下端面と前記支持面との間に挟まれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータを径方向外側から囲むステータを有するモータ部と、
前記ステータに電気的に接続されるバスバーと、
前記モータ部の軸方向一方側に配置され、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、
前記バスバーホルダの軸方向一方側において前記中心軸線と直交する平面に沿って配置され、前記バスバーと電気的に接続される回路基板と、
軸方向一方側に開口する開口部を有し、前記モータ部、前記バスバー、前記バスバーホルダ、および前記回路基板を収容するケースと、
前記開口部を覆い前記ケースに固定される蓋部材と、を備え、
前記ケースは、
前記ステータを径方向外側から囲む内側面と、
前記内側面の軸方向一方側に位置し、軸方向一方側を向く支持面と、を有し、
前記蓋部材は、
前記開口部を覆う板状の蓋本体と、
前記蓋本体から軸方向他方側に延びる垂下部と、を有し、
前記回路基板および前記バスバーホルダは、軸方向において、前記垂下部の下端面と前記支持面との間に挟まれる、
電動アクチュエータ。
【請求項2】
頭部、前記頭部から軸方向他方側に延びるネジ部、および前記ネジ部の先端に位置する位置決めピン部を有する位置決めネジを備え、
前記回路基板には、軸方向に貫通する固定孔が設けられ、
前記バスバーホルダには、軸方向に貫通するネジ孔が設けられ、
前記支持面には、軸方向一方側に開口する位置決め穴が設けられ、
前記位置決めネジは、軸方向一方側から、前記固定孔を通して前記ネジ孔に締結され、前記位置決めピン部において前記位置決め穴に挿入される、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記バスバーホルダは、
樹脂材料から構成されるホルダ本体と、
前記ネジ孔が設けられ前記ホルダ本体に埋め込まれるナット部材と、を有し、
前記バスバーホルダは、前記ナット部材の軸方向一方側の端面で前記回路基板に接触し、前記ナット部材の軸方向他方側の端面で前記支持面に接触する、
請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記回路基板および前記バスバーホルダには、軸方向から見て互いに重なる位置決め孔が設けられ、
前記支持面には、軸方向一方側に突出し前記回路基板および前記バスバーホルダの前記位置決め孔に挿入される位置決めピン部が設けられる、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記回路基板および前記支持面には、それぞれ位置決め孔が設けられ、
前記バスバーホルダには、
軸方向一方側に突出し前記回路基板の前記位置決め孔に挿入される第1位置決めピン部と、
軸方向他方側に突出し前記支持面の前記位置決め孔に挿入される第2位置決めピン部と、が設けられる、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記回路基板、前記バスバーホルダ、および前記支持面には、軸方向から見て互いに重なる位置決め孔が設けられ、
前記垂下部の下端面には、軸方向他方側に突出し前記回路基板、前記バスバーホルダ、および前記支持面の前記位置決め孔に挿入される位置決めピン部が設けられる、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記ロータのマグネットの磁界を検出する磁気センサを備え、
前記バスバーホルダは、前記磁気センサを保持する磁気センサ保持部を有する、
請求項1~6の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記モータ部の軸方向他方側で前記ロータに接続されて前記ロータの動力を減速する減速機構を備え、
前記ケースは、前記減速機構を収容する、
請求項1~7の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動アクチュエータは、ケース内に、ロータおよびステータを有するモータ部、回路基板、バスバー等の複数の部品が収容されていることが知られている。例えば、特許文献1には、ケース内に、モータ部を構成するロータおよびステータ、回路基板、バスバー等の複数の部品が個別に組み込まれた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成においては、ケースに対し、ステータ、回路基板、バスバー等の部品をそれぞれ組み込む必要がある。このため、各部品をケースに組み付ける手間が掛かるとともに、各部品をケースに固定するための構造も必要であり、構造の複雑化、部品点数の増加にも繋がるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、回路基板およびバスバーホルダをケースに対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータを径方向外側から囲むステータを有するモータ部と、前記ステータに電気的に接続されるバスバーと、前記モータ部の軸方向一方側に配置され、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、前記バスバーホルダの軸方向一方側において前記中心軸線と直交する平面に沿って配置され、前記バスバーと電気的に接続される回路基板と、軸方向一方側に開口する開口部を有し、前記モータ部、前記バスバー、前記バスバーホルダ、および前記回路基板を収容するケースと、前記開口部を覆い前記ケースに固定される蓋部材と、を備え、前記ケースは、前記ステータを径方向外側から囲む内側面と、前記内側面の軸方向一方側に位置し、軸方向一方側を向く支持面と、を有し、前記蓋部材は、前記開口部を覆う板状の蓋本体と、前記蓋本体から軸方向他方側に延びる垂下部と、を有し、前記回路基板および前記バスバーホルダは、軸方向において、前記垂下部の下端面と前記支持面との間に挟まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、回路基板およびバスバーホルダをケースに対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の第1変形例の電動アクチュエータにおける、ケースに対する回路基板およびバスバーホルダの固定構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の第2変形例の電動アクチュエータにおける、ケースに対する回路基板およびバスバーホルダの固定構造を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の第3変形例の電動アクチュエータにおける、ケースに対する回路基板およびバスバーホルダの固定構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、例えば、車両に搭載される電動アクチュエータである。
図1に示すように、電動アクチュエータ1は、ケース10と、仕切部材15と、蓋部材80と、中心軸J1を中心として回転するモータシャフト21を有するモータ部20と、第1ベアリング53と、第2ベアリング51と、第3ベアリング52と、減速機構30と、出力シャフト41と、磁気センサ63と、回路基板70と、バスバーホルダ140と、バスバー150と、を備える。
【0013】
ケース10は、仕切部材15、モータ部20、モータシャフト21、減速機構30、出力シャフト41、磁気センサ63、回路基板70、バスバーホルダ140、およびバスバー150を収容している。ケース10は、上側に開口する開口部を有している。
【0014】
ケース10は、中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース10は、基板収容部13aと、ケース筒部13bと、出力部収容部13cと、ベアリング保持部13dとを有する。基板収容部13aは、回路基板70およびバスバーホルダ140を収容する部分である。基板収容部13aは、上側に開口する。つまり、ケース10は、軸方向一方側に開口する開口部10aを有する。基板収容部13aは、ケース10の上側部分の径方向内側に構成される。基板収容部13aの底面は、回路基板70およびバスバーホルダ140を支持して固定する支持面12である。支持面12は、上側に向いている。
【0015】
ケース筒部13bは、モータ部20の径方向外側を囲む。出力部収容部13cは、後述する出力部46を収容する部分である。ベアリング保持部13dは、第2ベアリング51を保持する。ベアリング保持部13dは、中心軸J1を中心としてケース10の下端部から上側に延びている。
【0016】
蓋部材80は、ケース10の開口部10aを覆い、ケース10に固定されている。蓋部材80は、開口部10aを覆う板状の蓋本体81と、蓋本体81から軸方向他方側に延びる垂下部83と、を有している。垂下部83は、軸方向に延びる円筒状に設けられている。蓋部材80は、垂下部83の径方向内側に、下側に開口する凹部16aを有する容器状の部材である。蓋部材80とケース10とは、蓋部材80を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。蓋部材80は、ベアリング保持部16bを有する。ベアリング保持部16bは、第1ベアリング53を保持する。ベアリング保持部16bは、中心軸J1を中心として下側に延びている。
【0017】
モータ部20の中心軸は、中心軸J1である。
図1に示すように、モータ部20は、ロータ22と、ステータ23と、を有する。ロータ22は、モータシャフト21と、ロータコア22aと、マグネット40と、を有する。
【0018】
モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、貫通穴25と、を備えている。第1軸部21aは、軸方向に延びモータシャフト21の上側に位置する。第2軸部21bは、軸方向に延びモータシャフト21の下側に位置する。第2軸部21bの直径は、第1軸部21aの直径よりも大きい。より詳細には、第2軸部21bの外径は、第1軸部21aの外径よりも大きい。第2軸部21bは、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。貫通穴25は、中心軸J1を中心として延びている。従って、第1軸部21aは、中心軸J1を中心として延びる円筒状である。第2軸部21bは、下側に軸方向の窪み部26を有する。窪み部26は、偏心軸J2を中心として延びている。従って、第2軸部21bは、偏心軸J2を中心として延びる円筒状である。窪み部26の上側は、貫通穴25の下側とつながっている。モータシャフト21は、第2軸部21bが第3ベアリング52によって、偏心軸J2回りに回転可能に支持される。
【0019】
出力シャフト41は、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。出力シャフト41は、軸部41aと連結部42とを有する。軸部41aは上側に位置し、連結部42は下側に位置する。軸部41aは、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。軸部41aの上側は、モータシャフト21の貫通穴25に通されている。軸部41aの上側端部は、モータシャフト21の上側に突出している。モータシャフト21の上側に突出する軸部41aの上側端部は、第1ベアリング53によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の上側端部は、第1ベアリング53を介して蓋部材80に支持される。
【0020】
連結部42の下側端部は、モータシャフト21の下側に突出している。モータシャフト21の下側に突出する連結部42の下側端部は、第2ベアリング51によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の下側端部は、第2ベアリング51を介してケース10に支持される。出力シャフト41は、軸方向の端部が第1ベアリング53および第2ベアリング51によって中心軸J1回りに回転可能に支持される。従って、貫通穴25に出力シャフト41の軸部41aが通されたモータシャフト21は、軸部41aによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。
【0021】
第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、それぞれ内輪と内輪の径方向外側に位置する外輪とを有する転がり軸受である。本実施形態において第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、例えば、内輪と外輪とが複数のボールを介して連結されるボールベアリングである。
【0022】
連結部42の上側は、モータシャフト21の窪み部26に挿入されている。連結部42の上側がモータシャフト21の窪み部26に挿入されていることにより、出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ1の軸方向の長さを短くして小型化できる。
【0023】
連結部42は、中心軸J1を中心として延びる円筒状の筒部44を有する。筒部44の内径には、連結凹部45が設けられている。連結凹部45は、出力シャフト41の下側の端部から上側に窪む。連結凹部45は、軸方向に沿って視て、中心軸J1を中心とする略円形状である。連結凹部45の内周面には、周方向に沿って複数のスプライン溝が設けられる。連結凹部45には、電動アクチュエータ1の駆動力が出力される他の部材が挿入されて連結される。他の部材は、例えば、車両におけるマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ1は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動させ、車両のギアを切り換える。
【0024】
連結部42が上側に窪む連結凹部45を有することにより、連結部42が下側に突出した軸状である場合と比較して出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ1の軸方向の長さを短くして小型化できる。第1ベアリング53がケース10に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース10に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、中心軸J1に対する出力シャフト41の同軸度を向上させることができる。第1ベアリング53がケース10に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース10に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、第1ベアリング53および第2ベアリング51を保持する別途設ける必要がなくなり、コスト減および電動アクチュエータ1の小型化に寄与できる。
【0025】
ロータコア22aは、モータシャフト21の外周面に固定される。より詳細には、ロータコア22aは、第1軸部21aの外周面に固定される。マグネット40は、ロータコア22aの径方向外側に固定される。マグネット40は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0026】
ステータ23は、ロータ22の径方向外側に位置する。ステータ23は、ステータコア23aと、複数のコイル23bと、インシュレータ29と、を有する。ステータコア23aは、ロータ22の径方向外側を囲む円環状である。ステータコア23aのコア外周面24aは、ケース筒部13bの内側面14に固定される。換言すると、ケース10の内側面14は、ステータ23を径方向外側から囲む。
複数のコイル23bは、インシュレータ29を介して、ステータコア23aのティースに装着される。
【0027】
仕切部材15は、モータ部20の軸方向他方側に配置されている。仕切部材15は、ステータ23と減速機構30との軸方向の間に配置される。仕切部材15は、円環板状である。仕切部材15は、ステータコア23aを下側から支持する。仕切部材15の外周部は、ケース10の段部11に軸方向一方側から接する。段部11は、内側面14の軸方向他方側に位置する。段部11は、軸方向一方側を向く。
【0028】
バスバーホルダ140は、ロータ22の上側に配置されている。バスバーホルダ140は、モータ部20の軸方向一方側に配置されている。バスバーホルダ140は、円環板状である。バスバーホルダ140は、ホルダ本体148と、ナット部材143を有する。ホルダ本体148は、絶縁性を有した樹脂材料から構成される。バスバーホルダ140のホルダ本体148は、後述する筒状部141よりも径方向外側に拡がるフランジ部140fを有している。バスバーホルダ140のフランジ部140fは、ケース10の支持面12に軸方向一方側から接する。支持面12は、内側面14の軸方向一方側に位置する。支持面12は、軸方向一方側を向く。
【0029】
ナット部材143は、軸方向に延びる円筒状である。ナット部材143には、軸方向に貫通するネジ孔143aが設けられている。ナット部材143は、軸方向に沿う姿勢でホルダ本体148のフランジ部140fに埋め込まれる。つまり、バスバーホルダ140には、軸方向に貫通するネジ孔143aが設けられている。ナット部材143は、バスバーホルダ140の上側に突出する。ナット部材143の軸方向一方側の端面143fは、回路基板70の下側に接する。ナット部材143の軸方向他方側の端面143gは、支持面12に接触する。これにより、バスバーホルダ140は、軸方向において、回路基板70と支持面12との間に挟まれる。
【0030】
支持面12には、ナット部材143のネジ孔143aと軸方向で連通する位置に、位置決め穴12aが設けられている。位置決め穴12aは、支持面12において軸方向一方側に開口している。
【0031】
バスバーホルダ140は、下側に延びる筒状部141を有する。筒状部141は、ステータ23のインシュレータ29より径方向外側に位置する。筒状部141は、ステータ23のインシュレータ29を囲む。筒状部141は、ステータ23のコア外周面24aより径方向内側に位置する。筒状部141の下側の端部は、ステータ23の上側に接する。筒状部141の下側の端部がステータ23の上側に接することで、ステータ23は、軸方向において、バスバーホルダ140と仕切部材15との間に挟まれる。
【0032】
ホルダ本体148は、磁気センサ63と、導電線64と、複数のバスバー150と、を保持する。本実施形態においてホルダ本体148と磁気センサ63と導電線64とナット部材143と複数のバスバー150とは、樹脂成形されて一体化した成形体である。より詳細には、バスバーホルダ140は、磁気センサ63と導電線64とナット部材143とバスバー150とをインサート部材とするインサート成形によって作られている。
【0033】
磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出可能である。磁気センサ63は、例えば、ホール素子である。磁気センサ63は、バスバーホルダ140の磁気センサ保持部145に保持される。磁気センサ保持部145は、バスバーホルダ140の下面に設けられる。磁気センサ保持部145は、バスバーホルダ140の下面から軸方向一方側に窪んでいる。磁気センサ63は、磁気センサ保持部145に挿入されることで、バスバーホルダ140に固定されている。磁気センサ63は、マグネットの上側に隙間を介して対向して配置されている。磁気センサ63は、周方向に間隔をあけて三つ配置されている。磁気センサ63同士の周方向の間隔は、磁極の周方向の間隔と同一である。磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出することでマグネット40の回転位置を検出してモータシャフト21の回転を検出する。
【0034】
導電線64は、一端が磁気センサ63と電気的に接続されている。導電線64は、磁気センサ63から延びる端子であってもよいし、一端側が磁気センサ63に接続されたバスバーであってもよい。導電線64は、バスバーホルダ140の内部からバスバーホルダ140を貫通し、他端側がはんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70に電気的に接続されている。
【0035】
バスバー150は、一端がステータ23に電気的に接続される。バスバー150は、他端が回路基板70に電気的に接続される。
【0036】
回路基板70は、バスバーホルダ140の軸方向一方側に配置されている。回路基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。回路基板70は、ケース10に収容される。より詳細には、回路基板70は、基板収容部13a内に収容される。回路基板70は、モータ部20と電気的に接続される基板である。回路基板70は、例えば、モータ部20に供給される電流を制御する。すなわち、回路基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。回路基板70は、バスバー150を介してモータ部20と電気的に接続されている。
【0037】
回路基板70には、軸方向に貫通する固定孔70aが設けられている。回路基板70は、位置決めネジ144によってバスバーホルダ140に固定される。バスバーホルダ140と回路基板70とは、軸方向に見て位置決め穴12aと重なる位置で上側から位置決めネジ144により接続される。位置決めネジ144は、例えば、4つ設けられている。位置決めネジ144は、頭部144aと、頭部144aから軸方向他方側に延びるネジ部144bと、ネジ部144bの先端に位置する位置決めピン部144cと、を一体に有している。位置決めネジ144は、軸方向一方側から、固定孔70aを通してネジ孔143aに締結される。ネジ止めされた回路基板70は、バスバーホルダ140の上側に隙間をあけて配置される。回路基板70とバスバーホルダ140との隙間の寸法は、ナット部材143がバスバーホルダ140の上側に突出する寸法である。
【0038】
また、位置決めネジ144の位置決めピン部144cは、ナット部材143の軸方向他方側の端面143gよりも軸方向他方側に突出し、位置決め穴12aに挿入される。これにより、回路基板70およびバスバーホルダ140は、周方向辺移動が規制される。
【0039】
位置決めネジ144によって締結された回路基板70およびバスバーホルダ140は、軸方向において、垂下部83の下端面と支持面12との間に挟まれる。これにより、回路基板70およびバスバーホルダ140が軸方向において固定される。
【0040】
減速機構30は、モータ部20の軸方向他方側でロータ22に接続される。減速機構30は、ロータ22の動力を減速する。減速機構30は、モータシャフト21における第2軸部21bの径方向外側と、出力シャフト41における連結部42の径方向外側とに配置される。減速機構30は、モータ部20の下側に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、出力部46と、複数の突出部43と、を有する。
【0041】
外歯ギア31は、第2軸部21bの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられている。外歯ギア31の歯車部は、外歯ギア31の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0042】
外歯ギア31は、モータシャフト21に連結されている。より詳細には、外歯ギア31は、モータシャフト21の第2軸部21bに第3ベアリング52を介して連結されている。これにより、モータシャフト21は、減速機構30に連結されている。外歯ギア31は、第3ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。第2軸部21bは、第3ベアリング52の内輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング52は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0043】
本実施形態において外歯ギア31は、複数の穴部31aを有する。本実施形態において穴部31aは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。複数の穴部31aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部31aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31aは、軸方向に見て円形状である。穴部31aは、内径が突出部43の外径よりも大きい。なお、穴部31aは、底部を有する穴であってもよい。
【0044】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側に位置し、外歯ギア31を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア32は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア32の径方向外縁部は、ケース筒部13bの内周面に設けられた径方向内側に窪む段差部13eに配置されて固定される。これにより、減速機構30は、ケース10に保持される。内歯ギア32は、外歯ギア31と噛み合っている。内歯ギア32の径方向内側面には、歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、内歯ギア32の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。本実施形態において内歯ギア32の歯車部は、周方向の一部のみにおいて外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。
【0045】
出力部46は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力部46は、外歯ギア31の下側に位置する。出力部46は、出力シャフト41の外周面に固定される。より詳細には、出力部46は、出力シャフト41の連結部42の外周面に固定される。
【0046】
複数の突出部43は、出力部46に、例えば、溶接により固定されている。複数の突出部43は、出力部46から上側に突出する。すなわち、複数の突出部43は、出力部46から外歯ギア31に向かって突出する。突出部43は、円柱状である。複数の突出部43は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部43は、中心軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。突出部43の数は、例えば、8つである。
【0047】
複数の突出部43は、複数の穴部31aにそれぞれ挿入される。突出部43の外周面は、穴部31aの内周面と内接する。これにより、複数の突出部43は、穴部31aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0048】
本実施形態において穴部31aおよび突出部43は、径方向に沿って視て、第3ベアリング52および第2軸部21bと重なる。言い換えれば、穴部31aと突出部43と第3ベアリング52と第2軸部21bとのそれぞれは、軸方向において互いに同じ位置に位置する部分を有する。
【0049】
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部である第2軸部21bは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第3ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31aの内周面と突出部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0050】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31aと突出部43とを介して、出力部46に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0051】
出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rは、R=-(N2-N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力シャフト41の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア32の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア32の歯数N2が60の場合、減速比Rは、-1/60となる。
【0052】
このように、本実施形態の電動アクチュエータ1によれば、回路基板70およびバスバーホルダ140が、軸方向において、垂下部83の下端面と支持面12との間に挟まれる。これにより、ケース10に蓋部材80を取り付ければ、回路基板70およびバスバーホルダ140をケース10に対して軸方向で固定できる。したがって、回路基板70およびバスバーホルダ140をケース10に対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる。
【0053】
本実施形態によれば、位置決めネジ144の位置決めピン部144cを位置決め穴12aに挿入することによって、回路基板70、バスバーホルダ140、およびケース10を周方向において互いに位置決めできる。また、位置決めネジ144によって、回路基板70とバスバーホルダ140とを互いに固定して、サブアッセンブリを構成することができる。このため、電動アクチュエータ1の組立工程における部品のハンドリング性が高まる。
【0054】
本実施形態によれば、ホルダ本体148に埋め込まれるナット部材143によって、回路基板70とホルダ本体148との間に隙間を設けることができる。これにより、回路基板70の軸方向他方側の面に、部品を実装し易い。また、締結圧力に起因するホルダ本体148のクリープを抑制できる。
【0055】
本実施形態によれば、バスバーホルダ140は、磁気センサ保持部145を有するので、磁気センサ63の組付を、容易かつ高精度で行うことができる。
【0056】
本実施形態によれば、減速機構30を有する電動アクチュエータ1において、回路基板70およびバスバーホルダ140をケース10に対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる。
【0057】
(第1変形例)
図2は、上述の実施形態の変形例の電動アクチュエータにおける、ケースに対する回路基板およびバスバーホルダの固定構造を示す断面図である。本変形例の電動アクチュエータ1Bは、上述の電動アクチュエータ1と比較して回路基板170およびバスバーホルダ190のケース110に対する固定構造が主に異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図2に示す様に、本変形例における電動アクチュエータ1Bは、ケース110と、蓋部材180と、モータ部20と、回路基板170と、バスバーホルダ190と、を主に備える。ケース110は、軸方向一方側に開口する基板収容部113a(開口部110a)を有する。基板収容部113aは、ケース110の上側部分の径方向内側に構成される。基板収容部113aの底面は、回路基板170およびバスバーホルダ190を支持して固定する支持面112である。支持面112は、上側に向いている。
【0059】
本変形例における電動アクチュエータ1Bにおいて、蓋部材180は、ケース110の開口部110aを覆い、ケース110に固定されている。蓋部材180は、開口部110aを覆う板状の蓋本体181と、蓋本体181から軸方向他方側に延びる垂下部183と、を有している。蓋部材180とケース110とは、蓋部材180を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。
【0060】
本変形例における電動アクチュエータ1Bにおいて、バスバーホルダ190は、ホルダ本体198と、カラー部材193を有する。ホルダ本体198は、絶縁性を有した樹脂材料から構成される。バスバーホルダ190のホルダ本体198は、径方向外側に拡がるフランジ部190fを有している。バスバーホルダ190のフランジ部190fは、ケース110の支持面112に軸方向一方側から接する。支持面112は、軸方向一方側を向く。カラー部材193には、軸方向に貫通する位置決め孔193aが設けられている。カラー部材193は、軸方向に沿う姿勢でホルダ本体198のフランジ部190fに埋め込まれる。カラー部材193の軸方向一方側の端面193fは、回路基板170の下側に接する。カラー部材193の軸方向他方側の端面193gは、支持面112に接触する。
【0061】
本変形例における電動アクチュエータ1Bにおいて、回路基板170には、軸方向に貫通する位置決め孔170aが設けられている。位置決め孔170aは、軸方向から見て位置決め孔193aと互いに重なるように設けられている。
支持面112には、軸方向一方側に突出する位置決めピン部112aが設けられている。位置決めピン部112aは、回路基板70およびバスバーホルダ140の位置決め孔170a、193aに挿入される。
【0062】
本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、回路基板170およびバスバーホルダ190が、軸方向において、垂下部183の下端面と支持面112との間に挟まれることで、回路基板170およびバスバーホルダ190をケース110に対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる。
【0063】
本変形例によれば、位置決めピン部112aを、回路基板170およびバスバーホルダ190の位置決め孔170a、193aに挿入することで、回路基板170、バスバーホルダ190、およびケース110を周方向において互いに位置決めできる。
【0064】
(第2変形例)
図3は、上述の実施形態の変形例の電動アクチュエータにおける、ケースに対する回路基板およびバスバーホルダの固定構造を示す断面図である。本変形例の電動アクチュエータ1Cは、上述の電動アクチュエータ1と比較して回路基板270およびバスバーホルダ290のケース210に対する固定構造が主に異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図3に示す様に、本変形例における電動アクチュエータ1Cは、ケース210と、蓋部材280と、モータ部20と、回路基板270と、バスバーホルダ290と、を主に備える。ケース210は、軸方向一方側に開口する基板収容部213a(開口部210a)を有する。基板収容部213aの底面は、回路基板270およびバスバーホルダ290を支持して固定する支持面212である。支持面212は、上側に向いている。支持面212には、位置決め孔212aが設けられている。位置決め孔212aは、軸方向一方側に開口している。
【0066】
本変形例における電動アクチュエータ1Cにおいて、蓋部材280は、ケース210の開口部210aを覆い、ケース210に固定されている。蓋部材280は、開口部210aを覆う板状の蓋本体281と、蓋本体281から軸方向他方側に延びる垂下部283と、を有している。蓋部材280とケース210とは、蓋部材280を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。
【0067】
本変形例における電動アクチュエータ1Cにおいて、回路基板270には、軸方向に貫通する位置決め孔270aが設けられている。
【0068】
本変形例における電動アクチュエータ1Cにおいて、バスバーホルダ290は、ホルダ本体298と、第1位置決めピン部290aと、第2位置決めピン部290bと、を有する。ホルダ本体298は、絶縁性を有した樹脂材料から構成される。バスバーホルダ290のホルダ本体298は、径方向外側に拡がるフランジ部290fを有している。バスバーホルダ290のフランジ部290fは、ケース210の支持面212に軸方向一方側から接する。第1位置決めピン部290aは、フランジ部290fから軸方向一方側に突出している。第1位置決めピン部290aの軸方向他方側(ホルダ本体298)側には、径方向外側に拡径した拡径部290cが設けられている。拡径部290cと第1位置決めピン部290aとの間には、軸方向一方側を向く段差面292が設けられている。第1位置決めピン部290aは、回路基板270の位置決め孔270aに挿入される。第1位置決めピン部290aを位置決め孔270aに挿入した状態で、段差面292は、回路基板270の下側に接する。第2位置決めピン部290bは、フランジ部290fから軸方向他方側に突出している。第2位置決めピン部290bは、支持面212の位置決め孔212aに挿入される。
【0069】
本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、回路基板270およびバスバーホルダ290が、軸方向において、垂下部283の下端面と支持面212との間に挟まれることで、回路基板270およびバスバーホルダ290をケース210に対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる。
【0070】
本変形例によれば、第1位置決めピン部290a、第2位置決めピン部290bを、位置決め孔270aに挿入することで、回路基板270、バスバーホルダ290、およびケース210を周方向において互いに位置決めできる。
【0071】
(第3変形例)
図4は、上述の実施形態の変形例の電動アクチュエータにおける、ケースに対する回路基板およびバスバーホルダの固定構造を示す断面図である。本変形例の電動アクチュエータ1Dは、上述の電動アクチュエータ1と比較して回路基板370およびバスバーホルダ390のケース310に対する固定構造が主に異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
図4に示す様に、本変形例における電動アクチュエータ1Dは、ケース310と、蓋部材380と、モータ部20と、回路基板370と、バスバーホルダ390と、を主に備える。ケース310は、軸方向一方側に開口する基板収容部313a(開口部310a)を有する。基板収容部313aの底面は、回路基板370およびバスバーホルダ390を支持して固定する支持面312である。支持面312は、上側に向いている。支持面312には、位置決め孔312aが設けられている。位置決め孔312aは、軸方向一方側に開口している。
【0073】
本変形例における電動アクチュエータ1Dにおいて、蓋部材380は、ケース310の開口部310aを覆い、ケース310に固定されている。蓋部材380は、開口部310aを覆う板状の蓋本体381と、蓋本体381から軸方向他方側に延びる垂下部383と、を有している。蓋部材380とケース310とは、蓋部材380を軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。
【0074】
本変形例における電動アクチュエータ1Dにおいて、バスバーホルダ390は、ホルダ本体398と、カラー部材393を有する。ホルダ本体398は、絶縁性を有した樹脂材料から構成される。バスバーホルダ390のホルダ本体398は、径方向外側に拡がるフランジ部390fを有している。バスバーホルダ390のフランジ部390fは、ケース310の支持面312に軸方向一方側から接する。カラー部材393には、軸方向に貫通する位置決め孔393aが設けられている。カラー部材393は、軸方向に沿う姿勢でホルダ本体398のフランジ部390fに埋め込まれる。カラー部材393の軸方向一方側の端面393fは、回路基板370の下側に接する。カラー部材393の軸方向他方側の端面393gは、支持面312に接触する。
【0075】
本変形例における電動アクチュエータ1Dにおいて、回路基板370には、軸方向に貫通する位置決め孔370aが設けられている。位置決め孔312a、370a、393aは、軸方向から見て互いに重なるように設けられている。
【0076】
垂下部383の下端面には、位置決めピン部383aが設けられている。位置決めピン部383aは、垂下部383の下端面から軸方向他方側に突出している。位置決めピン部383aは、回路基板70、バスバーホルダ140、および支持面12の位置決め孔312a、370a、393aに挿入される。
【0077】
本変形例によれば、上述の実施形態と同様に、回路基板370およびバスバーホルダ390が、軸方向において、垂下部383の下端面と支持面312との間に挟まれることで、回路基板370およびバスバーホルダ390をケース310に対して容易かつ確実に固定し、組み立て工程を簡素化できる。
【0078】
本変形例によれば、位置決めピン部383aを、位置決め孔312a、370a、393aに挿入することで、回路基板370、バスバーホルダ390、ケース310、および蓋部材380を周方向において互いに位置決めできる。
【0079】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0080】
例えば、本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、減速機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0081】
1、1B、1C、1D…電動アクチュエータ、10、110、210、310…ケース、10a、110a、210a、310a…開口部、12、112、212、312…支持面、12a…位置決め穴、14…内側面、20…モータ部、22…ロータ、23…ステータ、30…減速機構、40…マグネット、63…磁気センサ、70、170、270、370…回路基板、70a…固定孔、80、180、280、380…蓋部材、81、181、281、381…蓋本体、83、183、283、383…垂下部、112a…位置決めピン部、140、190、290、390…バスバーホルダ、143…ナット部材、143a…ネジ孔、143f…端面、143g…端面、144…位置決めネジ、144a…頭部、144b…ネジ部、144c…位置決めピン部、145…磁気センサ保持部、148、198、298、398…ホルダ本体、150…バスバー、170a、193a…位置決め孔、212a、270a…位置決め孔、290a…第1位置決めピン部、290b…第2位置決めピン部、312a、370a、393a…位置決め孔、383a…位置決めピン部、J1…中心軸