(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113324
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】物品存否確認装置、物品存否確認システム及び物品存否確認方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/24 20060101AFI20220728BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
G08B21/24
G08B25/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009479
(22)【出願日】2021-01-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】下條 博利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】中川 賢人
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA21
5C086CA06
5C086CA21
5C086CA25
5C086DA20
5C086FA17
5C087AA10
5C087BB20
5C087DD15
5C087FF01
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】物品の存否を検知する際の検知モードの切り替えを簡便にする。
【解決手段】携帯端末10は、近距離無線通信部18によって、無線タグ20と通信を行い、制御部11によって、近距離無線通信部18による無線タグ20との通信の結果に応じて、当該無線タグ20が取り付けられた物品Gの存否を検知し、所定の条件に応じて、物品Gの存否を検知する際の検知モードを切り替える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の無線タグと通信を行う通信手段と、
前記通信手段による前記無線タグとの通信の結果に応じて、当該無線タグが取り付けられた物品の存否を検知する検知手段と、
所定の条件に応じて、前記検知手段により前記物品の存否を検知する際の検知モードを切り替える検知モード切替手段と、
を備えることを特徴とする物品存否確認装置。
【請求項2】
前記検知モード切替手段は、前記検知モードの切り替えによって、前記物品の存否を検知可能な検知範囲と、前記物品の存否の検知に係る応答時間と、前記物品の存否の検知状況を報知する際の報知条件と、のうちの少なくともいずれかを変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の物品存否確認装置。
【請求項3】
前記検知モード切替手段は、予め登録された所定数の前記無線タグのうちの前記通信手段により通信接続がなされている無線タグの割合に応じて、前記検知モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の物品存否確認装置。
【請求項4】
前記検知モード切替手段は、自装置の位置情報及び加速度情報に基づいて、前記検知モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の物品存否確認装置。
【請求項5】
前記検知モード切替手段は、更にユーザー操作に基づいて、前記検知モードを切り替える、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の物品存否確認装置。
【請求項6】
予め設定された鉄道工事のスケジュールと進捗とに基づいて、前記検知モードの切替タイミングを通知する通知手段を備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の物品存否確認装置。
【請求項7】
前記物品の存否の検知状況を報知する報知手段を備え、
前記報知手段は、
前記検知モードに応じて設定される報知条件に応じて、前記物品の存否の検知状況を報知する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の物品存否確認装置。
【請求項8】
物品に取り付けられて用いられる無線タグと、
請求項1~7のいずれか一項に記載の物品存否確認装置と、
を備えることを特徴とする物品存否確認システム。
【請求項9】
所定の無線タグと通信可能な物品存否確認装置による物品存否確認方法であって、
前記無線タグとの通信の結果に応じて、当該無線タグが取り付けられた物品の存否を検知する検知ステップと、
所定の条件に応じて、前記検知ステップにより前記物品の存否を検知する際の検知モードを切り替える検知モード切替ステップと、
を含むことを特徴とする物品存否確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品存否確認装置、物品存否確認システム及び物品存否確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、忘れ物を防止することを目的として、携帯品リストの状況情報に対応するビーコンIDを取得できなかった場合には、取得できなかったビーコンIDに対応付けられた所持品が分かる態様で報知することにより、いつもは携行している携帯品がないことを報知できる携帯情報端末が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている携帯情報端末では、携帯品リストの状況情報に対応するビーコンIDの取得の有無に基づいて、上述のいつもは携行している携帯品がないことを報知する機能に加えて、例えば、携行する予定の携帯品の数を確認する機能や、置き忘れた携帯品がないかどうかを確認する機能を持たせることが可能であるが、これらの機能を利用する場合、ユーザーの操作を介して所望の機能に対応したモードに切り替えなければならないため、手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、物品の存否を検知する際の検知モードの切り替えを簡便にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の物品存否確認装置は、
所定の無線タグと通信を行う通信手段と、
前記通信手段による前記無線タグとの通信の結果に応じて、当該無線タグが取り付けられた物品の存否を検知する検知手段と、
所定の条件に応じて、前記検知手段により前記物品の存否を検知する際の検知モードを切り替える検知モード切替手段と、
を備えることを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、所定の条件に応じて、検知モードを切り替えることにより、ユーザーが検知モードを切り替える手間を省くことができるので、当該検知モードの切り替えを簡便にすることができる。
【0008】
ここで、好ましくは、前記検知モード切替手段は、前記検知モードの切り替えによって、前記物品の存否を検知可能な検知範囲と、前記物品の存否の検知に係る応答時間と、前記物品の存否の検知状況を報知する際の報知条件と、のうちの少なくともいずれかを変更するように構成するとよい。
この構成によれば、検知モードの切り替えによって、各モードに適した検知態様で物品の存否の検知を行うことができるとともに、当該各モードに適した報知条件の下で物品の存否の検知状況を報知することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記検知モード切替手段は、予め登録された所定数の前記無線タグのうちの前記通信手段により通信接続がなされている無線タグの割合に応じて、前記検知モードを切り替えるように構成するとよい。
この構成によれば、予め登録された所定数の前記無線タグのうちの前記通信手段により通信接続がなされている無線タグの割合に応じて、そのときの状況を判断したうえで検知モードを切り替えることができるので、当該検知モードを適切に切り替えることができるようになる。
【0010】
また、好ましくは、前記検知モード切替手段は、自装置の位置情報及び加速度情報に基づいて、前記検知モードを切り替えるように構成するとよい。
この構成によれば、予め登録された所定数の前記無線タグのうちの前記通信手段により通信接続がなされている無線タグの割合に加え、自装置の位置情報及び加速度情報を考慮することによって、そのときの状況をより適切に判断することができるので、検知モードの切り替えをより適切に行うことができる。
【0011】
また、好ましくは、前記検知モード切替手段は、更にユーザー操作に基づいて、前記検知モードを切り替えるように構成するとよい。
この構成によれば、検知モードを手動でも切り替えることができるので、物品存否確認装置の使い勝手を向上させることができる。
【0012】
また、好ましくは、予め設定された鉄道工事のスケジュールと進捗とに基づいて、前記検知モードの切替タイミングを通知する通知手段を備えるように構成するとよい。
この構成によれば、予め設定された鉄道工事のスケジュールと進捗とに基づいて、前記検知モードの切替タイミングを通知することで、上述の手動による検知モードの切り替え操作をサポートすることができる。
【0013】
また、好ましくは、前記物品の存否の検知状況を報知する報知手段を備え、
前記報知手段は、
前記検知モードに応じて設定される報知条件に応じて、前記物品の存否の検知状況を報知するように構成するとよい。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明の物品存否確認システムは、
物品に取り付けられて用いられる無線タグと、
上述の構成を有した物品存否確認装置と、
を備えることを特徴としている。
【0015】
この物品存否確認システムによれば、所定の条件に応じて、物品存否確認装置において、検知モードを切り替えることにより、ユーザーが検知モードを切り替える手間を省くことができるので、当該検知モードの切り替えを簡便にすることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するため、本発明の物品存否確認方法は、
所定の無線タグと通信可能な物品存否確認装置による物品存否確認方法であって、
前記無線タグとの通信の結果に応じて、当該無線タグが取り付けられた物品の存否を検知する検知ステップと、
所定の条件に応じて、前記検知ステップにより前記物品の存否を検知する際の検知モードを切り替える検知モード切替ステップと、
を含むことを特徴としている。
【0017】
この物品存否確認方法によれば、所定の条件に応じて、物品存否確認装置において、検知モードを切り替えることにより、ユーザーが検知モードを切り替える手間を省くことができるので、当該検知モードの切り替えを簡便にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物品の存否を検知する際の検知モードの切り替えを簡便にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の物品存否確認システムの概略構成図である。
【
図2】携帯端末の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は置き忘れ防止アプリを起動した直後に携帯端末の表示部に表示される監視対象物品設定画面の一例であり、(b)は検電器、投光器、発電機のそれぞれが鉄道工事における監視対象として指定された際に携帯端末の表示部に表示される監視対象物品設定画面の一例である。
【
図4】検知モード制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】(a)は検電器に取り付けられている無線タグだけが携帯端末により検知されている際に携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例であり、(b)は員数確認モードの設定がなされた直後に携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例である。
【
図7】(a)は員数確認モードにおける員数確認が完了した直後に携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例であり、(b)は同図(a)に示した監視リスト表示画面上にアラート画面が重畳表示された状態を示す図である。
【
図8】員数確認モードにおいて監視対象の物品の員数を確認した際のイメージ図である。
【
図9】(a)は作業中モードの設定がなされた直後に携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例であり、(b)は作業中モードの設定がなされている状態において検電器の置き忘れが発生したときに携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例である。
【
図10】(a)は
図9(b)に示した監視リスト表示画面上にアラート画面が重畳表示された状態を示す図であり、(b)は
図9(b)に示した監視リスト表示画面のマップボタンの操作がなされた際に携帯端末の表示部に表示されるマップ表示画面の一例である。
【
図11】(a)及び(b)は作業中モードにおいて監視対象の物品の置き忘れの有無を確認した際のイメージ図である。
【
図12】(a)は跡確認モードの設定がなされた直後に携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例であり、(b)は跡確認モードの設定がなされている状態において投光器に取り付けられている無線タグが検知されたときに携帯端末の表示部に表示される監視リスト表示画面の一例である。
【
図13】(a)及び(b)は跡確認モードにおいて監視対象の物品の置き忘れの有無を確認した際のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0021】
<物品存否確認システムの構成>
まず、
図1を参照して、本実施形態の構成を説明する。実施形態としては、鉄道工事のほか、道路工事や建設工事、土木工事、これらの工事以外にも物品の棚卸といった事務作業などが想定される。以下では、鉄道工事で使用する物品の存否の確認を例示して説明する。
【0022】
ここで、鉄道工事にあっては、例えば、作業区域である線路内に工具等の物品を置き忘れると、列車と衝突する可能性があり大変危険である。一方で、鉄道工事は夜間に行われるため視認性が低く、また作業時間は最終電車の運行後から始発電車が運行されるまでの間に限られており、鉄道工事で使用する物品の存否の確認に時間をかけることができないことから、当該物品の紛失が生じ易い状況にある。したがって、鉄道工事にあっては、効率的に且つ正確に物品の存否を確認することが望まれる。
【0023】
図1は、本実施形態の物品存否確認システム100の概略構成図である。
図1に示すように、物品存否確認システム100は、物品存否確認装置としての携帯端末10と、鉄道工事で使用される物品(例えば、投光器、検電器、発電機、一輪車などの工具)Gに取り付けられて用いられる無線タグ20と、を備えて構成される。なお、無線タグ20の個数は、特に限定されない。
【0024】
<携帯端末10の構成>
携帯端末10は、無線タグ20との通信の結果に応じて、無線タグ20が取り付けられた物品Gの存否を検知する装置である。携帯端末10は、例えば、スマートフォンや、タブレットPC(Personal Computer)等である。
【0025】
図2は、携帯端末10の機能構成を示すブロック図である。携帯端末10は、
図2に示すように、制御部11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15、計時部16、センサ部17、近距離無線通信部18等を備える。
【0026】
制御部(検知手段、検知モード切替手段、報知手段)11は、記憶部12に記憶されている各種のプログラムを実行して所定の演算や各部の制御を行うCPU(Central Processing Unit)とプログラム実行時の作業領域となるメモリとを備えている(いずれも図示省略)。制御部11は、記憶部12に記憶されているプログラムとの協働により、各種の処理を実行する。
【0027】
記憶部12は、不揮発性の半導体メモリ等により構成される。記憶部12には、制御部11で実行されるシステムプログラムやアプリケーションプログラム(例えば、置き忘れ防止アプリ等)、これらのプログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0028】
操作部13は、各種機能キーを備え、ユーザーによる各キーの押下入力を受け付けてその操作情報を制御部11に出力する。また、操作部13は、表示部14の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネル等を有し、手指やタッチペン等で押下された位置を検出し、その位置情報を操作情報として制御部11に出力する。
【0029】
表示部14は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、制御部11からの表示制御信号に従って、画面上に各種表示を行う。
【0030】
通信部15は、無線により通信ネットワークに接続し、通信ネットワークに接続された外部機器との通信を行う。
【0031】
計時部16は、RTC(Real Time Clock)等により構成され、現在日時を取得して制御部11に出力する。
【0032】
センサ部17は、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ等の携帯端末10の動きを検出可能なモーションセンサや、携帯端末10の位置情報を取得可能なGPS受信機などを備え、測定結果を制御部11に出力する。
【0033】
センサ部17により逐次検出された携帯端末10の動き情報や同じくセンサ部17により逐次測位された携帯端末10の存する位置情報は、制御部11に出力された後、記憶部12に記憶される。
【0034】
近距離無線通信部18は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)の通信方式により、無線タグ20と近距離無線通信を行い、無線タグ20から発信されたビーコン情報を受信する。
近距離無線通信部(通信手段)18によりビーコン情報が受信された場合、当該ビーコン情報を受信した日時にセンサ部17により測位された携帯端末10の位置情報と、当該ビーコン情報に含まれているビーコンIDとが対応付けられて記憶部12に記憶される。
【0035】
<無線タグ20の構成>
無線タグ20は、BLEの通信方式により、予め設定されたビーコンIDを含むビーコン情報を所定時間ごとに発信する。無線タグ20は、例えば、ボタン型電池により駆動可能な小型の機器であり、鉄道工事で使用される物品(工具等)Gに取り付けて使用されるものである。ビーコンIDは、無線タグ20を識別するための識別情報である。したがって、本実施形態では、無線タグ20が発信するビーコンIDによって、当該無線タグ20が取り付けられた物品(工具等)Gを識別可能となっている。
【0036】
なお、本実施形態の物品存否確認システム100では、例えば、50個の無線タグ20それぞれと携帯端末10との間で、予めペアリングと呼ばれる通信設定処理を行うことで、互いのデバイス情報や認証鍵のデータが無線信号により交換された状態となっている。更に、上記の無線タグ20それぞれに対して物品名(例えば、検電器、接地器、投光器、発電機、一輪車など)を紐付ける登録処理を予め行っている。これにより、その後、通信設定処理を毎回行わなくとも、例えば、携帯端末10と無線タグ20とが電波が届かない範囲に離れればBluetooth規格による通信接続が解除される一方で、電波が届く範囲に近づけば自動的にBluetooth規格による通信接続がなされ、当該無線タグ20が発信するビーコンIDによって、当該無線タグ20が取り付けられた物品(工具等)Gを識別可能となっている。
【0037】
≪物品存否確認システム100の動作≫
次に、物品存否確認システム100の動作について、
図3~
図13を用いて説明する。
【0038】
<監視対象物品設定処理>
まず、鉄道工事で使用する予定の物品を監視対象として設定する監視対象物品設定処理について、
図3を用いて説明する。
【0039】
鉄道工事で使用する予定の物品(例えば、検電器、投光器、発電機)をユーザーの手元に準備した状態で携帯端末10より置き忘れ防止アプリを起動させると、表示部14に監視対象物品設定画面が表示される。
【0040】
図3(a)は、置き忘れ防止アプリを起動した直後に携帯端末10の表示部14に表示される監視対象物品設定画面31の一例である。
図3(a)に示すように、監視対象物品設定画面31の上段には、「登録数」、「登録済 検知数」、「登録済 未検知数」、「監視数」、及び、「接続数」の各情報が表示されるようになっている。
ここで、「登録数」とは、予めペアリングを行うとともに物品名を紐付ける登録処理を行った無線タグ20の数を示すものである。
「登録済 検知数」とは、上記登録数の無線タグ20のうち、今現在、携帯端末10により検知、すなわち携帯端末10との間でBluetooth規格による通信接続がなされている無線タグ20の数を示すものである。
「登録済 未検知数」とは、上記登録数の無線タグ20のうち、今現在、携帯端末10により未検知、すなわち携帯端末10との間でBluetooth規格による通信接続がなされていない無線タグ20の数を示すものである。
「監視数」とは、監視対象として設定された無線タグ20の数を示すものである。
「接続数」とは、上記の監視対象として設定された無線タグ20のうち、今現在、携帯端末10により検知されている無線タグ20の数を示すものである。
【0041】
監視対象物品設定画面31の中段の登録リスト表示領域31Aには、上述した50個の無線タグ20それぞれと紐付けられて登録された物品Gの名称一覧が表示されるようになっている。
また、一覧表示された各名称の左方には、「未検知」、「検知」、「接続済み」のいずれかの状態が各状態に対応する記号(例えば、未検知の場合は“-”、検知の場合は“○”、接続済みの場合は“●”)で表示されるようになっている。
また、一覧表示された名称のうち「検知」の状態にある名称(例えば、検電器、投光器、発電機)の右方には、接続ボタン311が設けられている。接続ボタン311は、当該接続ボタン311に対応付けられている名称の物品Gを監視対象として設定するためのボタンである。なお、この接続ボタン311の操作がなされると、該当する接続ボタン311が後述する削除ボタン321(
図3(b)参照)に切り替わるようになっている。
【0042】
監視対象物品設定画面31の下段には、全接続ボタン312、全削除ボタン313、マップボタン314が設けられている。
全接続ボタン312は、上記の登録リスト表示領域31Aに表示されている接続ボタン311を一括で操作するためのボタンである。つまり、
図3(a)の例では、全接続ボタン312を操作することで、検電器、投光器、発電機のそれぞれに対応付けられている接続ボタン311を一括で操作したこととなる。
全削除ボタン313は、後述する削除ボタン321(
図3(b)参照)を一括で操作するためのボタンである。
マップボタン314は、例えば、携帯端末10の位置情報や、「検知」又は「接続済み」のいずれかの状態にある物品Gの位置情報をマップ表示した画面を表示部14に表示するためのボタンである。
【0043】
監視対象物品設定画面31の最上部のタイトルバーには、切替ボタン315が設けられている。
切替ボタン315は、表示部14に表示される画面を後述する監視リスト表示画面に切り替えるためのボタンである。なお、表示部14に監視リスト表示画面が表示されている状態で切替ボタン315の操作がなされると、監視対象物品設定画面に切り替わるようになっている。
【0044】
図3(b)は、検電器、投光器、発電機のそれぞれが鉄道工事における監視対象として設定された際に携帯端末10の表示部14に表示される監視対象物品設定画面32の一例である。
図3(b)に示すように、監視対象物品設定画面32の上段では、検電器、投光器、発電機のそれぞれが鉄道工事における監視対象として設定されたことによって、「監視数」の情報が“3”と表示されている。また、このとき、検電器、投光器、発電機のそれぞれに取り付けられている無線タグ20が携帯端末10との間でBluetooth規格による通信接続がなされているため、「接続数」の情報が“3”と表示されている。
【0045】
また、監視対象物品設定画面32の中段の登録リスト表示領域31Aでは、検電器、投光器、発電機それぞれの左方に「接続済み」の状態を示す記号“●”が表示されるとともに、右方には、削除ボタン321が設けられている。削除ボタン321は、当該削除ボタン321に対応付けられている名称の物品Gを監視対象から除外するためのボタンである。なお、この削除ボタン321の操作がなされると、該当する削除ボタン321が接続ボタン311(
図3(a)参照)に切り替わるようになっている。
【0046】
<検知モード制御処理>
次に、検知モード制御処理について、
図4~
図13を用いて説明する。検知モード制御処理は、表示部14の表示が監視リスト表示画面に切り替えられたことを契機として実行される処理である。
なお、以下では、監視対象物品設定画面32(
図3(b)参照)が表示部14に表示されている際に切替ボタン315の操作がなされ、表示部14の表示が監視リスト表示画面に切り替えられた場合を例に挙げて説明を行う。つまり、上述の監視対象物品設定処理において、検電器、投光器、発電機の3つの物品Gが監視対象として設定された状態で表示部14の表示が監視リスト表示画面に切り替えられた場合を例に挙げて説明を行う。
【0047】
図4は、検知モード制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、検知モード制御処理が開始されると、まず、携帯端末10の制御部11は、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が6割以上であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0048】
ステップS1において、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が6割以上ではないと判定された場合(ステップS1;NO)、制御部11は、処理をステップS4へ進める。例えば、検電器、投光器、発電機の3つの物品Gのうち検電器に取り付けられている無線タグ20だけが携帯端末10により検知されている場合、無線タグ20の検知割合は3割3分であるので6割以上ではないと判定されることとなる。
【0049】
図6(a)は、検電器、投光器、発電機の3つの物品Gのうち検電器に取り付けられている無線タグ20だけが携帯端末10により検知されている際に、携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面41の一例である。
図6(a)に示すように、監視リスト表示画面41の上段には、検知モードを切り替え中である旨(例えば、<モード切替中>の文字情報)が表示されるようになっている。
また、監視リスト表示画面41の中段の監視リスト表示領域41Aには、監視対象として設定された物品Gの名称一覧(例えば、検電器、投光器、発電機)が表示されるようになっている。
また、一覧表示された各名称の左方には、「未検知」、「検知」のいずれかの状態が各状態に対応する記号(例えば、未検知の場合は“-”、検知の場合は“〇”)で表示されるとともに、右方には、削除ボタン321が設けられている。
【0050】
また、ステップS1において、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が6割以上であると判定された場合(ステップS1;YES)、制御部11は、記憶部12に記憶されている携帯端末10の動き情報と位置情報とに基づいて、携帯端末10が鉄道工事の作業区域の外にあり、且つ、直近所定時間(例えば、1分間)の間における携帯端末10の平均加速度が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、上記の鉄道工事の作業区域については、検知モード制御処理が開始される前に、当該作業区域に係る位置情報が予め記憶部12に登録されているものとする。また、上記の閾値は、携帯端末10を所持しているユーザー(例えば、責任者等)が立ち止まっているか移動中であるかを判別可能な数値であればよく、特に限定されない。
【0051】
ステップS2において、携帯端末10が鉄道工事の作業区域の外にあり、且つ、直近所定時間の間における携帯端末10の平均加速度が閾値未満であると判定されなかった場合(ステップS2;NO)、制御部11は、処理をステップS4へ進める。
一方、ステップS2において、携帯端末10が鉄道工事の作業区域の外にあり、且つ、直近所定時間の間における携帯端末10の平均加速度が閾値未満であると判定された場合(ステップS2;YES)、制御部11は、検知モードを員数確認モードに設定する(ステップS3)。
【0052】
ここで、員数確認モードとは、鉄道工事の作業前及び作業後に作業区域(例えば、線路内等)の外側(例えば、立ち入り箇所等)において当該鉄道工事で使用する全ての物品Gの員数を確認する際に用いられるモードである。すなわち、鉄道工事の作業前において物品Gが全て揃っているか、また作業後において物品Gの紛失がなく全て揃っているか、の確認をするモードである。
図5のモード設定テーブルに示すように、員数確認モードの設定がなされた場合、制御部11によって、近距離無線通信部18による無線タグ20の検知距離が5m、無線タグ20の未検知判定時間(応答時間)が15秒、報知条件が“無線タグ20(監視対象の無線タグ20)をすべて検知”に設定される。なお、上記の検知距離及び未検知判定時間は、各モードにおいて適宜変更してもよい。例えば、員数確認モードでは、員数確認を行う環境に応じて上記の検知距離及び未検知判定時間を適宜変更してもよく、当該検知距離及び当該未検知判定時間は特に限定されない。
【0053】
図6(b)は、員数確認モードの設定がなされた直後に携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面42の一例である。
図6(b)に示すように、監視リスト表示画面42の上段には、員数確認モードの設定がなされている旨(例えば、<員数確認モード>の文字情報)が表示されるとともに、「監視数」、「カウント済み」及び「未カウント」の各情報が表示されるようになっている。
ここで、「カウント済み」とは、監視対象として設定された無線タグ20のうち、携帯端末10との間でBluetooth規格による通信接続がなされている無線タグ20の数を示すものである。
「未カウント」とは、監視対象として設定された無線タグ20のうち、携帯端末10との間でBluetooth規格による通信接続がなされていない無線タグ20の数を示すものである。
【0054】
監視リスト表示画面42の中段の監視リスト表示領域42Aには、監視対象として設定された物品Gの名称一覧(例えば、検電器、投光器、発電機)が表示されるようになっている。
また、一覧表示された各名称の左方には、「未カウント」、「カウント済み」のいずれかの状態が各状態に対応する記号(例えば、未カウントの場合は“△”、カウント済みの場合は“▲”)で表示されるとともに、右方には、削除ボタン321が設けられている。
【0055】
図7(a)は、員数確認モードにおける員数確認が完了した直後に携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面43の一例である。
例えば、
図8に示すように、鉄道工事の対象となる線路内(作業区域内)への立ち入り箇所(作業区域外)において監視対象として設定された検電器、投光器、発電機の各物品Gが集められた後、携帯端末10により当該物品Gに取り付けられている無線タグ20が検知されると、
図7(a)に示すように、監視リスト表示画面43の上段では、「カウント済み」の情報が“3”と表示され、「未カウント」の情報が“0”と表示される。
また、監視リスト表示画面43の中段の監視リスト表示領域43Aでは、検電器、投光器、発電機の各名称の左方に「カウント済み」の状態を示す記号“▲”がそれぞれ表示される。
【0056】
続けて、
図7(b)は、
図7(a)に示した監視リスト表示画面43上にアラート画面AL1が重畳表示された状態を示す図である。
監視対象として設定された検電器、投光器、発電機の各物品Gに取り付けられている無線タグ20が携帯端末10によって検知される、すなわち員数確認モードにおける報知条件(
図5参照)を満たすと、監視リスト表示画面43(
図7(a)参照)が表示部14に表示された後、
図7(b)に示すように、この監視リスト表示画面43上にアラート画面AL1が表示されるようになっている。このアラート画面AL1では、監視対象の無線タグ20がすべて検知された旨(例えば、“監視対象の物品がすべて揃いました”の文字情報)が表示される。
【0057】
検知モード制御処理の説明に戻り、制御部11は、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が10割であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0058】
ステップS4において、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が10割ではないと判定された場合(ステップS4;NO)、制御部11は、処理をステップS7へ進める。
一方、ステップS4において、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が10割であると判定された場合(ステップ4;YES)、制御部11は、記憶部12に記憶されている携帯端末10の動き情報と位置情報とに基づいて、携帯端末10が鉄道工事の作業区域内にあり、且つ、直近所定時間(例えば、1分間)の間における携帯端末10の平均加速度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0059】
ステップS5において、携帯端末10が鉄道工事の作業区域内にあり、且つ、直近所定時間の間における携帯端末10の平均加速度が閾値以上であると判定されなかった場合(ステップS5;NO)、制御部11は、処理をステップS7へ進める。
一方、ステップS5において、携帯端末10が鉄道工事の作業区域内にあり、且つ、直近所定時間の間における携帯端末10の平均加速度が閾値以上であると判定された場合(ステップS5;YES)、制御部11は、検知モードを作業中モードに設定する(ステップS6)。
【0060】
ここで、作業中モードとは、鉄道工事の作業区域(例えば、線路内等)において当該鉄道工事で使用する物品Gの置き忘れの有無を確認する際に用いられるモードである。
図5のモード設定テーブルに示すように、作業中モードの設定がなされた場合、制御部11によって、近距離無線通信部18による無線タグ20の検知距離が15m、無線タグ20の未検知判定時間(応答時間)が5秒、報知条件が“無線タグ20(監視対象の無線タグ20)を1つでもロスト”に設定される。
【0061】
図9(a)は、作業中モードの設定がなされた直後に携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面44の一例である。
図9(a)に示すように、監視リスト表示画面44の上段には、作業中モードの設定がなされている旨(例えば、<作業中モード>の文字情報)が表示されるとともに、「監視数」、「接続数」及び「ロスト数」の各情報が表示されるようになっている。
ここで、「ロスト数」とは、携帯端末10と無線タグ20とが電波が届かない範囲に離れることによって携帯端末10との間でのBluetooth規格による通信接続が切断された無線タグ20の数を示すものである。
【0062】
監視リスト表示画面44の中段の監視リスト表示領域44Aには、監視対象として設定された物品Gの名称一覧(例えば、検電器、投光器、発電機)が表示されるようになっている。
また、一覧表示された各名称の左方には、「ロスト」、「接続済み」のいずれかの状態が各状態に対応する記号(例えば、ロストの場合は“×”、接続済みの場合は“●”)で表示されるとともに、右方には、削除ボタン321が設けられている。
【0063】
図9(b)は、作業中モードの設定がなされている状態において検電器の置き忘れが発生したときに携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面45の一例である。
例えば、
図11(a)に示すように、鉄道工事の対象となる線路内(作業区域内)の或る作業箇所において、監視対象として設定された検電器、投光器、発電機の各物品Gを使用して作業を行った後、
図11(b)に示すように、別の作業箇所へ移動する際に、投光器と発電機は、携帯端末10と共に移動されたが、検電器はそれまでの作業箇所に置いたままとなり、検電器の置き忘れが発生すると、
図9(b)に示すように、監視リスト表示画面45の上段では、「接続数」の情報が“2”と表示されるとともに、「ロスト数」の情報が“1”と表示される。
また、監視リスト表示画面45の中段の監視リスト表示領域45Aでは、検電器の名称の左方に「ロスト」の状態を示す記号“×”が表示されるとともに、右方には、当該検電器のロスト時のキロ程(例えば、“74k800m”)が表示される。ここで、検電器のロスト時のキロ程は、記憶部12に最後に記憶された、当該検電器に取り付けられた無線タグ20の位置情報と、通信部15を介して外部サーバから取得される鉄道GIS(Geographic Information System)情報と、に基づいて導出することが可能となっている。
【0064】
続けて、
図10(a)は、
図9(b)に示した監視リスト表示画面45上にアラート画面AL2が重畳表示された状態を示す図である。
監視対象として設定された検電器の置き忘れ、すなわち当該検電器に取り付けられた無線タグ20のロストが発生すると、監視リスト表示画面45(
図9(b)参照)が表示部14に表示された後、
図10(a)に示すように、この監視リスト表示画面45上にアラート画面AL2が表示されるようになっている。このアラート画面AL2では、監視対象の無線タグ20が1つでもロストした旨(例えば、“検電器ロスト”の文字情報)が表示される。
【0065】
続けて、
図10(b)は、
図9(b)に示した監視リスト表示画面45のマップボタンの操作がなされた際に携帯端末10の表示部14に表示されるマップ表示画面46の一例である。
図10(b)に示すように、マップ表示画面46の上段には、監視リスト表示画面45と同様に、作業中モードの設定がなされている旨(例えば、<作業中モード>の文字情報)が表示されるとともに、「監視数」、「接続数」及び「ロスト数」の各情報が表示されるようになっている。
また、マップ表示画面46の中段のマップ表示領域46Aには、置き忘れた検電器(#00001)のキロ程(例えば、“74k800m”)や携帯端末(自端末)10の位置情報等を示したマップが表示されるようになっている。
また、マップ表示画面46の下段には、戻るボタン461が設けられている。この戻るボタン461の操作がなされると、上記の監視リスト表示画面45(
図9(b)参照)に遷移するようになっている。
【0066】
検知モード制御処理の説明に戻り、制御部11は、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が1割以下であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0067】
ステップS7において、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が1割以下ではないと判定された場合(ステップS7;NO)、制御部11は、処理をステップS10へ進める。
一方、ステップS7において、監視対象として設定された物品Gに取り付けられている無線タグ20の検知割合が1割以下であると判定された場合(ステップ7;YES)、制御部11は、記憶部12に記憶されている携帯端末10の動き情報と位置情報とに基づいて、携帯端末10が鉄道工事の作業区域内にあり、且つ、直近所定時間(例えば、1分間)の間における携帯端末10の平均加速度が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0068】
ステップS8において、携帯端末10が鉄道工事の作業区域内にあり、且つ、直近所定時間の間における携帯端末10の平均加速度が閾値以上であると判定されなかった場合(ステップS8;NO)、制御部11は、処理をステップS10へ進める。
一方、ステップS8において、携帯端末10が鉄道工事の作業区域内にあり、且つ、直近所定時間の間における携帯端末10の平均加速度が閾値以上であると判定された場合(ステップS8;YES)、制御部11は、検知モードを跡確認モードに設定する(ステップS9)。
【0069】
ここで、跡確認モードとは、鉄道工事の作業区域(例えば、線路内等)における作業がすべて完了し、物品Gの作業区域外への搬出がなされた後、責任者等が作業区域を見回って、物品Gは全て作業区域外に搬出されている筈であるが、監視対象の物品Gを作業区域に置き忘れていないかどうかを確認する際に用いられるモードである。
図5のモード設定テーブルに示すように、跡確認モードの設定がなされた場合、制御部11によって、近距離無線通信部18による無線タグ20の検知距離が15m、無線タグ20の未検知判定時間(応答時間)が5秒、報知条件が“無線タグ20(監視対象の無線タグ20)を1つでも検知”に設定される。なお、上記の検知距離及び未検知判定時間は、各モードにおいて適宜変更してもよい。例えば、跡確認モードでは、跡確認を行う環境に応じて上記の検知距離及び未検知判定時間を適宜変更してもよく、当該検知距離及び当該未検知判定時間は特に限定されない。
【0070】
図12(a)は、跡確認モードの設定がなされた直後に携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面47の一例である。
図12(a)に示すように、監視リスト表示画面47の上段には、跡確認モードの設定がなされている旨(例えば、<跡確認モード>の文字情報)が表示されるとともに、「監視数」及び「検知数」の各情報が表示されるようになっている。
また、監視リスト表示画面47の中段の監視リスト表示領域47Aには、携帯端末10によって検知された無線タグ20が取り付けられている物品Gの名称一覧が表示されるようになっている。
【0071】
続けて、
図12(b)は、跡確認モードの設定がなされている状態において投光器に取り付けられている無線タグ20が検知されたときに携帯端末10の表示部14に表示される監視リスト表示画面48の一例である。
例えば、鉄道工事の作業区域(例えば、線路内等)における作業がすべて完了した後、
図13(a)に示すように、責任者等が携帯端末10を所持し作業区域を見回った際、
図13(b)に示すように、携帯端末10によって投光器に取り付けられている無線タグ20が検知されると、
図12(b)に示すように、監視リスト表示画面48の上段では、「検知数」の情報が“1”と表示される。
また、監視リスト表示画面48の中段の監視リスト表示領域48Aでは、携帯端末10によって検知された無線タグ20が取り付けられている物品Gの名称(例えば、投光器)が表示されるとともに、当該名称の左方に「検知」の状態を示す記号“〇”が表示される。更に、この監視リスト表示画面48上にアラート画面AL3が表示されるようになっている。このアラート画面AL3では、監視対象の無線タグ20が1つでも検知された旨(例えば、“投光器検知”の文字情報)が表示される。
【0072】
検知モード制御処理の説明に戻り、制御部11は、監視数が“0”の状態で切替ボタン315の操作がなされたか否かを判定する(ステップS10)。
【0073】
ステップS10において、監視数が“0”の状態で切替ボタン315の操作がなされたと判定された場合(ステップS10;YES)、制御部11は、検知モード制御処理を終了する。
一方、ステップS10において、監視数が“0”の状態で切替ボタン315の操作がなされていないと判定された場合(ステップS10;NO)、制御部11は、処理をステップS1に戻し、それ以降の処理を繰り返し行う。
【0074】
以上のように、本実施形態の携帯端末10は、近距離無線通信部18によって、無線タグ20と通信を行い、制御部11によって、近距離無線通信部18による無線タグ20との通信の結果に応じて、当該無線タグ20が取り付けられた物品Gの存否を検知し、所定の条件に応じて、物品Gの存否を検知する際の検知モードを切り替えたこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、所定の条件に応じて、検知モードを切り替えることにより、ユーザーが検知モードを切り替える手間を省くことができるので、当該検知モードの切り替えを簡便にすることができる。
この結果、鉄道工事にあっては、作業時間は最終電車の運行後から始発電車が運行されるまでの間に限られており、鉄道工事で使用する物品Gの存否の確認に時間をかけることができないことから、本実施形態のように、例えば、作業前であれば員数確認モード、作業中であれば作業中モード、作業後であれば跡確認モード或いは員数確認モードといったように、作業状況に応じて検知モードを適宜切り替えることで、各作業状況に適した態様で物品Gの存否の確認を効率的に且つ正確に行うことができるようになる。
【0075】
また、本実施形態の携帯端末10は、検知モードの切り替えによって、物品Gの存否を検知可能な検知距離(検知範囲)と、物品Gの存否の検知に係る未検知判定時間(応答時間)と、物品Gの存否の検知状況を報知する際の報知条件と、のうちの少なくともいずれかを変更したこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、検知モードの切り替えによって、各モードに適した検知態様で物品Gの存否の検知を行うことができるとともに、当該各モードに適した報知条件の下で物品Gの存否の検知状況を報知することができる。
【0076】
また、本実施形態の携帯端末10は、監視対象として予め設定された所定数の無線タグ20のうちの近距離無線通信部18により通信接続がなされている無線タグ20の割合に応じて、検知モードを切り替えたこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、監視対象として予め設定された所定数の無線タグ20のうちの近距離無線通信部18により通信接続がなされている無線タグ20の割合に応じて、そのときの状況を判断したうえで検知モードを切り替えることができるので、当該検知モードを適切に切り替えることができるようになる。
【0077】
また、本実施形態の携帯端末10は、携帯端末10の位置情報及び加速度情報に基づいて、検知モードを切り替えたこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、監視対象として予め設定された所定数の無線タグ20のうちの近距離無線通信部18により通信接続がなされている無線タグ20の割合に加え、携帯端末10の位置情報及び加速度情報を考慮することによって、そのときの状況をより適切に判断することができるので、検知モードの切り替えをより適切に行うことができる。
【0078】
また、本実施形態の携帯端末10は、検知モードが員数確認モードに切り替えられている場合、監視対象として予め設定された物品Gすべての存在が検知されたことを報知条件として、当該物品Gすべての存在が検知された旨を報知したこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、員数確認モードでは、監視対象として予め設定された物品Gすべての存在が検知されたことを報知条件として、当該物品Gすべての存在が検知された旨を報知することで、員数確認を簡便且つ円滑に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態の携帯端末10は、検知モードが作業中モードに切り替えられている場合、監視対象として予め設定された物品Gのうちどれか1つでも置き忘れが検知されたことを報知条件として、当該置き忘れが検知された旨を報知したこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、作業中モードでは、監視対象として予め設定された物品Gのうちどれか1つでも置き忘れ(不存在)が検知されたことを報知条件として、当該置き忘れが検知された旨を報知することで、鉄道工事の作業中における物品Gの置き忘れの有無の確認を簡便且つ円滑に行うことができる。
これにより、鉄道工事のように夜間に行われ視認性が低下する状況であっても物品Gの存否の確認を効率的に且つ正確に行うことができるので、当該物品Gの紛失を抑制することができる。
この結果、作業区域である線路内への物品Gの置き忘れにより列車と衝突してしまうといった事故を防ぐことができる。
【0080】
また、本実施形態の携帯端末10は、検知モードが跡確認モードに切り替えられている場合、監視対象として予め設定された物品Gのうちどれか1つでも存在が検知されたことを報知条件として、当該存在が検知された旨を報知したこととなる。
したがって、本実施形態の携帯端末10によれば、跡確認モードでは、監視対象として予め設定された物品Gのうちどれか1つでも存在が検知されたことを報知条件として、当該存在が検知された旨を報知することで、跡確認を簡便且つ円滑に行うことができる。
これにより、鉄道工事のように夜間に行われ視認性が低下する状況であっても物品Gの存否の確認を効率的に且つ正確に行うことができるので、当該物品Gの紛失を抑制することができる。
この結果、作業区域である線路内への物品Gの置き忘れにより列車と衝突してしまうといった事故を防ぐことができる。
【0081】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記実施形態では、検知モード制御処理において、監視対象として設定された無線タグ20の検知割合、並びに、携帯端末10の位置情報及び加速度情報に基づいて、検知モードを切り替えるようにしているが、例えば、携帯端末10の位置情報及び加速度情報だけに基づいて、検知モードを切り替えるようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、検知モード制御処理において、監視対象として設定された無線タグ20の検知割合、並びに、携帯端末10の位置情報及び加速度情報に基づいて、検知モードを切り替えるようにしているが、ステップS1、ステップS4、ステップS7における無線タグ20の検知割合は適宜変更可能である。
【0083】
また、上記実施形態では、検知モード制御処理において、ユーザー操作に基づいても検知モードを切り替えることができるようにしてもよい。
かかる場合、予め設定された鉄道工事のスケジュールと進捗とに基づいて、検知モードの切替タイミングを通知することが好ましい。
【0084】
また、上記実施形態では、検知モード制御処理において、予め設定された鉄道工事のスケジュールに基づいて、検知モードを切り替えるようにしてもよい。具体的には、作業前の員数確認の開始時間や、鉄道工事の作業開始時間、跡確認の開始時間、作業後の員数確認の開始時間を予め記憶部12に登録しておき、これらの開示時間になると、対応する検知モードに切り替えるようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態において、員数確認モードでは、監視対象として設定された無線タグ20がすべて検知されたことを契機として、アラート画面AL1が表示部14表示されるようにしたが、例えば、このアラート画面AL1の表示に加えて、監視対象として設定された無線タグ20がすべて検知された旨を音声出力したり、員数確認が完了したことを識別可能なアラート音を出力するようにしてもよい。また、携帯端末10に備えられたバイブレーション機能を用いて員数確認が完了したことを報知するようにしてもよい。
また、作業中モードや跡確認モードにおいても、上述の員数確認モードと同様に、それぞれの報知態様にバリエーションを持たせてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、例えば、携帯端末10と外部サーバ等が連携し、鉄道工事において物品Gの置き忘れが発生した際の作業情報(例えば、作業場所(キロ程)、作業種別、天候、時間帯、作業者名、置き忘れた物品名など)を携帯端末10から外部サーバへ常にフィードバックし、当該外部サーバにて物品Gの置き忘れが発生し易い状況を分析するシステム構成としてもよい。
【0087】
かかるシステム構成においては、外部サーバにて分析された物品Gの置き忘れが発生し易い状況を示す状況情報(例えば、置き忘れが発生し易い天候(雨の日等)、作業場所、作業種別、作業者名、物品名)を、携帯端末10が取得して表示部14に表示させるようにすることで、物品Gの置き忘れに対する注意を喚起することができるとともに、物品Gの置き忘れの実態を把握することができるようにしてもよい。また、実施予定である鉄道工事のスケジュールと上記の状況情報とに基づいて、当該鉄道工事が物品Gの置き忘れが発生し易い状況に該当するか否かを判定し、当該鉄道工事が物品Gの置き忘れが発生し易い状況に該当すると判定された場合、携帯端末10によって、物品Gに取り付けられている無線タグ20より発信される電波の発信強度及び/又は発信頻度を当該状況に適した設定に変更(遠隔操作)できるようにしてもよい。なお、実施予定である鉄道工事が物品Gの置き忘れが発生し易い状況に該当するか否かの判定は、携帯端末10が行ってもよいし、上記の外部サーバが行ってもよい。
また、実施予定である鉄道工事が物品Gの置き忘れが発生し易い状況に該当すると判定された場合、携帯端末10によって、各検知モードにおける物品Gの存否を検知可能な検知範囲と、物品Gの存否の検知に係る応答時間と、物品Gの存否の検知状況を報知する際の報知条件と、のうちの少なくともいずれかを当該状況に適した態様に変更できるようにしてもよい。
さらに、特に物品Gの置き忘れが発生し易い状況に特徴(特性)がある場合、携帯端末10において、当該特徴を踏まえ、実施予定である鉄道工事のスケジュールと、計時部16より取得される時刻情報と、センサ部17より取得される位置情報と、を連動させて、各検知モードのパラメータ(検知範囲、応答時間、報知条件)だけでなく動的に物品Gの存否の検知方法(演算式など)を適切に切り替えるようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、本発明に係る物品存否確認装置、物品存否確認システム及び物品存否確認方法の利用場面として、鉄道工事を例に挙げて説明したが、例えば、道路工事、建設工事、土木工事、これらの工事以外にも物品の棚卸といった事務作業においても本発明に係る物品存否確認装置、物品存否確認システム及び物品存否確認方法を利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 物品存否確認システム
10 携帯端末(物品存否確認装置)
11 制御部(検知手段、検知モード切替手段、報知手段)
12 記憶部
13 操作部
14 表示部
15 通信部
16 計時部
17 センサ部
18 近距離無線通信部(通信手段)
20 無線タグ
G 物品