(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113327
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】カーテン開閉装置
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A01G9/24 D
A01G9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009485
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】319012646
【氏名又は名称】有限会社吉武製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】吉武 正人
(72)【発明者】
【氏名】松井 和雄
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029NA12
2B029NA13
2B029NA30
2B029RA06
2B029RB12
2B029RB17
2B029RB18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】中央部と開閉距離が異なる隅部のカーテンを備える温室で、共通の駆動機構により全てのカーテンの同時開閉が可能なカーテン開閉装置を提供する。
【解決手段】温室の天井部に配置され、長手方向に沿って往復動する移動管部7と、該移動管部7に固定した複数の長カーテン取付部8dと、該長カーテン取付部と平行し、間隔をおいて所定位置に固定した複数の横架部、該長カーテン取付部8dと該横架部4d、4eに取り付けた長カーテン5とから成り、該移動管部7と共に該長カーテン取付部8dを移動して該長カーテン5の開閉を行う。温室の隅部では、該移動管部7の先端に伸縮自在の補助管部10を連結し、補助管部10は筒体20と、筒体20内に出し入れ可能な挿脱桿30とを有し、挿脱桿30の先端に短カーテン取付部33を固定し、該横架部4d、4eとの間に短カーテン6を取り付け、該移動管部7を移動し該長カーテン5と該短カーテン6を開閉する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室の天井部に配置され、駆動機構により所定移動距離を長手方向に沿って往復動する移動管部と、前記長手方向に直交する方向を向き前記所定移動距離の間隔をおいて平行に前記移動管部に固定した複数の長カーテン取付部と、該長カーテン取付部と平行し、前記所定移動距離の間隔をおいて前記移動管部と離隔して所定位置に固定して配置した複数の横架部と、前記長カーテン取付部及び前記横架部に両端辺を取り付けた長カーテンとを有し、前記駆動機構により前記移動管部と共に前記長カーテン取付部を移動することで、前記長カーテンの開閉を行うカーテン開閉装置であって、
前記長カーテンよりも短い短カーテンを前記温室の隅部で開閉するために、前記移動管部の先端に伸縮可能な補助管部を連結し、該補助管部の筒体内に挿脱可能な挿脱桿を設け、該挿脱桿の先端に前記短カーテンを取り付ける短カーテン取付部を配置し、前記移動管部の移動と共に前記補助管部を介して前記短カーテンの開閉を行うことを特徴とするカーテン開閉装置。
【請求項2】
前記長カーテンの開放に伴って、前記移動管部の移動により前記補助管部の筒体内に前記挿脱桿を挿脱しながら前記短カーテンの開閉を行うことを特徴とする請求項1に記載のカーテン開閉装置。
【請求項3】
前記長カーテン取付部が移動し、前記温室の隅部に前記挿脱桿が当接すると、前記筒体から外側に突出していた前記挿脱桿は前記筒体内への挿入を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテン開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば温室、ハウス等で使用するカーテン開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビニールハウス等の温室において、保温、遮光等のために天井部側にカーテンが設置されており、分割した複数のカーテンを温室の長手方向に向けて同時に開閉操作を行うことで、温室内の気温等を調整している。
【0003】
このように分割した複数のカーテンは、一端を温室の短手方向と平行する固定カーテン端部材に、他端を長尺のラック部材に設けた移動カーテン端部材に取り付けて、このラック部材を長手方向に移動させることで、複数のカーテンの同時開閉を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、温室の隅部において、温室の隅部ではカーテンが半端な寸法のことがあり、固定カーテン端部材と移動カーテン端部材との距離が、他の中央部に位置する固定カーテン端部材と移動カーテン端部材間の距離と一致するとは限らない。例えば、中央部の固定カーテン端部材と移動カーテン端部材間の距離が4mであり、隅部の固定カーテン端部材と移動カーテン端部材間との距離が2mの場合には、カーテンの開閉のためにラック部材が4m移動すると、ラック部材の先端は温室の隅部から2m分、外側に突出してしまうことになる。
【0006】
そこで、温室の隅部にはカーテンを設けないことも考えられるが、この部分にカーテンを設けずに中央部のカーテンを閉止するようにすると、温室の隅部と中央部とに温度差が生じて、温室内の作物が平均して育成できなくなるという問題が生ずる。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、中央部のカーテンと、開閉距離が異なる隅部のカーテンが含まれる温室であっても、共通の駆動機構により全てのカーテンの同時の開閉が可能なカーテン開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るカーテン開閉装置は、温室の天井部に配置され、駆動機構により所定移動距離を長手方向に沿って往復動する移動管部と、前記長手方向に直交する方向を向き前記所定移動距離の間隔をおいて平行に前記移動管部に固定した複数の長カーテン取付部と、該長カーテン取付部と平行し、前記所定移動距離の間隔をおいて前記移動管部と離隔して所定位置に固定して配置した複数の横架部と、前記長カーテン取付部及び前記横架部に両端辺を取り付けた長カーテンとを有し、前記駆動機構により前記移動管部と共に前記長カーテン取付部を移動することで、前記長カーテンの開閉を行うカーテン開閉装置であって、前記長カーテンよりも短い短カーテンを前記温室の隅部で開閉するために、前記移動管部の先端に伸縮可能な補助管部を連結し、該補助管部の筒体内に挿脱可能な挿脱桿を設け、該挿脱桿の先端に前記短カーテンを取り付ける短カーテン取付部を配置し、前記移動管部の移動と共に前記補助管部を介して前記短カーテンの開閉を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るカーテン開閉装置によれば、温室の中央部分に等間隔で配置した長カーテンと、温室の隅部近傍に設け、中央部分の長カーテンよりも長さの短い短カーテンとを備えた温室であっても、共通の駆動機構により全てのカーテンを同時に、安定して開閉させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】カーテン開閉装置を設置した温室の斜視図である。
【
図5】移動管部に対する補助管部の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はカーテン開閉装置を設置したビニールハウス等の温室Hの斜視図であり、温室Hの天井部には、カーテンを開閉するための矩形状の枠体1が水平状に構設され、枠体1は地面から立設する複数本の支柱2によって支持されている。枠体1は温室Hの長手方向の両側に設けた2本の太梁の縦架部3a、3bと、枠体1はこれらの縦架部3a、3bの上には例えば6本の横架部4a~4fが架け渡されて固定されている。これらの横架部4a~4fにより枠体1は5個の区画に区分され、それぞれの区画内に長カーテン5、短カーテン6が、矢印に示すように開閉自在に取り付けられている。なお、枠体1の両側の横架部4a、4fは太梁とされている。
【0012】
横架部4a~4eは長手方向に距離A、例えば4mの間隔をおいて配置され、横架部4e、4f間の距離Bは、距離Aの約半分の2mとされている。これにより、温室Hは距離Aの区画が4個、距離Bの区画が1個とされている。
【0013】
温室Hの天井部の長手方向の中央には、長さがA×3の例えば角筒から成る移動管部7が、横架部4により例えば吊設して取り付けられている。この移動管部7の例えば下面に沿った一部には、駆動機構の回転歯車と噛合する図示しないラック部が設けられている。温室Hの例えば端部に設けられたモータ等の駆動機構の駆動により、移動管部7は温室Hの長手方向に沿って、距離Aの範囲を正逆転する回転歯車がラック部を介して往復動するようにされている。
【0014】
移動管部7の例えば上面には、距離Aの間隔をおいて4個の棒状の長カーテン取付部8a~8dが固定され、移動管部7と共に長手方向に移動するようにされている。これらの長カーテン取付部8a~8dは横架部4a~4fと平行方向に設けられ、その短手方向の長さは略一致しており、移動に際しては両端部は縦架部3a、3b上を摺動するようにされている。
【0015】
横架部4a~4dと、隣接する長カーテン取付部8a~8dとの間のそれぞれには、拡げると長さがAとなる4枚の長カーテン5が取り付けられている。この長カーテン5は例えば合成樹脂製シートから成り、温室H内の保温、遮光のために必要に応じて開閉される。長カーテン取付部8a~8dの両端部は縦架部3a、3b上に位置しているので、長カーテン5が取り付けられても、長カーテン取付部8a~8dはその荷重で垂れ下がることはない。
【0016】
温室Hの隅部にある横架部4eと4f間の距離Bは、前述したように2mである。この短い距離Bにおいては、長カーテン5と同様の拡げると長さがBとなる短カーテン6が使用されている。
【0017】
この短カーテン6に対応するため、
図2に示すように、移動管部7の先端には伸縮可能な補助管部10が連結されている。補助管部10は、移動管部7の先端に連結する筒体20と、この筒体20に対して挿脱可能とされる棒状の挿脱桿30とから構成されている。なお、筒体20、挿脱桿30の長さはそれぞれほぼ距離Bと等しくされている。筒体20の一端は嵌合端21として移動管部7の先端に嵌合して結合され、他端は開口端22とされている。
【0018】
挿脱桿30は開口端22を介して筒体20内に挿脱され、他端は筒体20から外側に突出している。挿脱桿30の先端には鋼線ワイヤ等から成る線状体31が取り付けられ、この線状体31は筒体20を介して移動管部7内に挿通され、移動管部7内において、嵌合端21の内径よりも大きい板状の係止端32に結合されている。
【0019】
なお、挿脱桿30の一端は筒体20の開口端22に密に嵌合して摺動可能とされており、係止端32は移動管部7内で移動可能ではあるが、嵌合端21に係止するため、嵌合端21を通過して筒体20側に移動することはない。
【0020】
挿脱桿30の横架部4f側の先端には、短カーテン取付部33が固定されており、横架部4eと短カーテン取付部33との間に、短カーテン6が取り付けられている。
【0021】
図3は長カーテン5、短カーテン6を開放して温室H内に太陽光を取り入れた状態のカーテン開閉装置の平面図であり、
図4は長カーテン5、短カーテン6を閉止した状態の平面図である。
図3から
図4に至る長カーテン5、短カーテン6の閉止は、駆動機構による移動管部7の長手方向に沿った距離Aの移動によりなされる。
【0022】
図5に示す(イ)~(ホ)は移動管部7の移動に伴う補助管部10の作用説明図である。(イ)は長カーテン5、短カーテン6を開放している状態を示し、移動管部7に固定した各長カーテン取付部8a~8dは、それぞれ横架部4a~4dに近接しており、長カーテン取付部8a~8dと横架部4a~4d間には4枚の長カーテン5がそれぞれ縮尺して取り付けられている。また、短カーテン取付部33と横架部4eとの間には、短カーテン6が縮尺して取り付けられている。
【0023】
長カーテン5、短カーテン6の閉止のために駆動機構を駆動すると、移動管部7は長手方向に沿って移動つまり前進を開始する。(ロ)に示すように移動管部7の移動に伴い補助管部10も共に前進し、長カーテン5、短カーテン6の閉止が始まる。
【0024】
(ハ)に示すように、移動管部7が距離Bだけ前進すると、挿脱桿30の先端は筒体20の開口端22に密に嵌合しているので、挿脱桿30は筒体20と共に前進する。挿脱桿30の先端に固定した短カーテン取付部33が横架部4fに到達すると、短カーテン6は全閉される。なお、(ハ)において、挿脱桿30、短カーテン取付部33が当接する個所は、横架部4fとは限らず、温室Hの隅部に設けた壁状部材であってもよい。
【0025】
挿脱桿30の端末が横架部4に到達したこの(ハ)に示す過程後においては、その後に移動管部7が移動を続けても、挿脱桿30は筒体20内に挿入されるので、補助管部10の飛び出しによって温室Hが損傷されることはない。
【0026】
移動管部7は更に移動が続けられ、挿脱桿30を筒体20内に挿入しながら、(ニ)の状態を経て(ホ)の状態に至って停止する。移動管部7の(イ)~(ホ)に至る距離は、所定移動距離Aに相当し、(ホ)において全ての長カーテン5は全閉となる。なお、(ハ)において、挿脱桿30の端末が横架部4fに到達した以後の(ニ)、(ホ)に示す過程においては、係止端32は筒体20から離間している。
【0027】
長カーテン5、短カーテン6を閉止した状態から開放をするには、移動管部7は後進を始め、
図5(ホ)~(イ)の順序で駆動がなされると、長カーテン5、短カーテン6は(イ)の状態で全開となる。このとき、(ハ)~(イ)の過程においては、線状体31は挿脱桿30を筒体20内に引き戻す役割を果たしている。なお、線状体31の代りに、挿脱桿30を外側に付勢する圧縮コイルばねを筒体20内に配置しもよい。
【0028】
このように、本発明に係るカーテン開閉装置によれば、等間隔で配置した長カーテン5と、温室の隅部近傍に配置され、長さの短い短カーテン6とを設けた温室Hであっても、共通の駆動機構により、長カーテン5、短カーテン6から成る全てのカーテンを同時に、開閉させることができる。
【0029】
なお実施例では、移動管部7を前進して長カーテン5、短カーテン6を閉止し、後進によって開放するようにしたが、長カーテン5、短カーテン6の取付位置を変えて、移動管部7の前進では開放、後進では閉止とすることもできる。
【0030】
また、実施例では温室Hの長手方向の一隅部側にのみに補助管部10を設けているが、温室Hの長手方向の両側の隅部に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 枠体
3 縦架部
4 横架部
5 長カーテン
6 短カーテン
7 移動管部
8 長カーテン取付部
10 補助管部
20 筒体
30 挿脱桿
31 線状体
32 係止端
33 短カーテン取付部