(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011335
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】組立構造体
(51)【国際特許分類】
F16B 5/07 20060101AFI20220107BHJP
A47G 5/00 20060101ALI20220107BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20220107BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
F16B5/07 C
A47G5/00 G
F16B5/10 M
E04B2/74 561H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112395
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】519198454
【氏名又は名称】株式会社Techno-idea
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】田窪 政博
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA07
3J001GA02
3J001GA06
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA04
3J001HA08
3J001HA09
3J001JD09
3J001JD15
3J001JD35
3J001KA19
3J001KA21
3J001KA26
3J001KB03
(57)【要約】
【課題】本発明は、接着剤を使わずに異素材のパーツを強固に組み立てることができると共に、組み立てが容易な組立構造体の提供を目的とした。
【解決手段】本発明の組立構造体10は、硬質材料Aで構成され、凸部24を備える第一パーツ20と、硬質材料Bで構成され、凹部32を備える第二パーツ30とを有し、第一パーツ20及び第二パーツ30のうち少なくとも一方には、スリット部40が設けられており、凸部24を32凹部に嵌め込む際に、パーツ12のスリット部40近傍が弾性変形して凹部32に凸部24を嵌め込み可能であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質材料で構成される複数のパーツを有し、
前記パーツには、
硬質材料Aで構成され、凸部を備える第一パーツと、
前記硬質材料Aとは異なる前記硬質材料である硬質材料Bで構成され、前記凸部を嵌め込み可能な凹部を備える第二パーツと、が含まれるものであり、
前記凹部に前記凸部を嵌め込むことで、前記第一パーツと前記第二パーツとを結合可能であり、
前記第一パーツ及び前記第二パーツのうち少なくとも一方には、前記パーツの切り込みとして形成されたスリット部が設けられており、
前記スリット部は、前記凸部の縁部近傍あるいは前記凹部の縁部近傍に設けられ、
前記凸部を前記凹部に嵌め込む際に、前記パーツの前記スリット部近傍が弾性変形して前記凹部に前記凸部を嵌め込み可能であることを特徴とする組立構造体。
【請求項2】
前記硬質材料Bは、所定の厚みを備える板材とされており、
前記第二パーツに設けられた前記凹部は、前記板材の厚み方向に貫通するように設けられている、請求項1に記載の組立構造体。
【請求項3】
前記硬質材料A及び前記硬質材料Bは、所定の厚みを備える板材とされており、
前記硬質材料Aの厚みよりも、前記硬質材料Bの厚みのほうが大きい、請求項1又は2に記載の組立構造体。
【請求項4】
前記第一パーツは、仕切りとして機能する大きさとされ、複数の前記凸部を備えるものであり、
前記第二パーツは、前記第一パーツを自立するように支える支持部材を構成する、請求項1~3のいずれかに記載の組立構造体。
【請求項5】
前記第一パーツを自立させた状態において、
前記第二パーツが前記第一パーツを下方から支持し、前記第二パーツが設置面をなす、請求項4に記載の組立構造体。
【請求項6】
前記第一パーツを自立させた状態において、
前記第二パーツが前記第一パーツの側方を支持する、請求項4に記載の組立構造体。
【請求項7】
前記第一パーツを構成する前記硬質材料Aは、透光性を有するアクリル板とされ、
前記第二パーツを構成する前記硬質材料Bは、木質繊維を含む合成樹脂の板材とされている、請求項4~6のいずれかに記載の組立構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質材料で構成された複数のパーツをそれぞれ嵌め合わせることで組み立てられる組立構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質材料(硬質板)として、例えば、アクリル樹脂で構成されたアクリル板などが存在する。このようなアクリル板は、透明性が非常に高く安価なため、例えば、商品陳列ケースなど、多くの製品に利用されている。
【0003】
また、このようなアクリル樹脂で構成された複数のパーツを組み立てられる組立構造体が、下記特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、昨今ではアクリル板の需要が高くなり、アクリル板の価格が上昇しつつある。そのため、複数のパーツを組み立てて得られる組立構造体において、アクリル板を使用せざるを得ない部分はアクリル板を用い、アクリル板以外で代用可能なパーツはアクリル板よりも安価な他の素材が用いられることが望ましい。
【0006】
しかしながら、同じ材料のパーツを組み立てる場合には接着剤を用いて結合することが可能となる場合もあるが、異質材のパーツを組み立てようとする場合、素材によっては接着剤を用いて接着が困難となる、あるいは接着剤で結合することができない場合がある。
【0007】
そこで本発明は、接着剤を使わずに異素材のパーツを強固に組み立てることができると共に、組み立てが容易な組立構造体の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述の課題を解決すべく提供される本発明の組立構造体は、硬質材料で構成される複数のパーツを有し、前記パーツには、硬質材料Aで構成され、凸部を備える第一パーツと、前記硬質材料Aとは異なる前記硬質材料である硬質材料Bで構成され、前記凸部を嵌め込み可能な凹部を備える第二パーツと、が含まれるものであり、前記凹部に前記凸部を嵌め込むことで、前記第一パーツと前記第二パーツとを結合可能であり、前記第一パーツ及び前記第二パーツのうち少なくとも一方には、前記パーツの切り込みとして形成されたスリット部が設けられており、前記スリット部は、前記凸部の縁部近傍あるいは前記凹部の縁部近傍に設けられ、前記凸部を前記凹部に嵌め込む際に、前記パーツの前記スリット部近傍が弾性変形して前記凹部に前記凸部を嵌め込み可能であることを特徴とする。
【0009】
本発明の組立構造体によれば、接着剤によらず異素材のパーツを強固に結合させることができる。その結果、第一パーツや第二パーツの素材の選択の幅が広がり、汎用性や利便性を高めることができる。また、本発明の組立構造体では、凹部に凸部を嵌め込む動作で、容易に第一パーツと第二パーツとを組み立てることができる。
【0010】
(2)本発明の組立構造体は、前記硬質材料Bは、所定の厚みを備える板材とされており、前記第二パーツに設けられた前記凹部は、前記板材の厚み方向に貫通するように設けられているものであるとよい。
【0011】
上述の構成によれば、板材をカットすることにより凹部が設けられた第二パーツを製造することができ、容易な加工で安価に第二パーツを製造することができる。
【0012】
(3)本発明の組立構造体は、前記硬質材料A及び前記硬質材料Bは、所定の厚みを備える板材とされており、前記硬質材料Aの厚みよりも、前記硬質材料Bの厚みのほうが大きいものであるとよい。
【0013】
上述の構成によれば、板材をカットする等の容易な加工により、凹部や凸部を形成して第一パーツや第二パーツを製造することができる。言い方を換えれば、厚みがある板材であっても凹部(例えば貫通孔)を容易に形成することができるため、厚みのある板材を第一パーツや第二パーツの材料として選択することができる。これにより、厚みのある板材を第二パーツの材料として選択して、凹部(貫通孔など)の深さを大きく取ることができる。その結果、凸部を嵌め込む深さを大きくして、安定して第一パーツと第二パーツとを結合させることができる。
【0014】
また、本発明の組立構造体によれば、第一パーツと第二パーツとを分離させて、嵩張らずコンパクトに保管することができる。
【0015】
(4)本発明の組立構造体は、前記第一パーツは、仕切りとして機能する大きさとされ、複数の前記凸部を備えるものであり、前記第二パーツは、前記第一パーツを自立するように支える支持部材を構成するものとすることができる。
【0016】
上述の構成によれば、組立構造体を人と人との間を隔てる仕切り(パーティション)として用いることができる。また、本発明の組立構造体によれば、仕切りが必要なときに第一パーツと第二パーツとを容易に組み立てることができることに加え、使用しないときには第一パーツと第二パーツとを分離させて嵩張らずにコンパクトに保管することができる。
【0017】
(5)本発明の組立構造体は、前記第一パーツを自立させた状態において、前記第二パーツが前記第一パーツを下方から支持し、前記第二パーツが設置面をなすものとすることができる。
【0018】
(6)本発明の組立構造体は、前記第一パーツを自立させた状態において、前記第二パーツが前記第一パーツの側方を支持するものとすることができる。
【0019】
(7)本発明の組立構造体は、前記第一パーツを構成する前記硬質材料Aは、透光性を有するアクリル板とされ、前記第二パーツを構成する前記硬質材料Bは、木質繊維を含む合成樹脂の板材とされているものであるとよい。
【0020】
上述の構成によれば、コストを抑制して仕切りとして機能する組立構造体を提供することができる。具体的に説明すると、木質繊維を含む合成樹脂の板材(例えばMDF)は、アクリル板と比較して安価であり、さらに加工がしやすい。そのため、仕切り板となる第一パーツは人が圧迫感などを感じないように透明アクリル板(透光性を有するアクリル板)を用いつつ、支持部材となる第二パーツにMDF等を用いることで(異素材とすることで)、コストを抑制することができる。
【0021】
また、支持部材となる第二パーツにMDFを用いることで、第二パーツを厚みがあるものとする場合であっても、加工を容易に行い得る。これにより、第二パーツの厚みを大きくして、凹部の深さを出すことができる。その結果、第二パーツの凹部に凸部を嵌め込み、第一パーツを鉛直の姿勢で下方から支持する場合など、第一パーツを安定して支持することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、接着剤を使わずに異素材のパーツを強固に組み立てることができると共に、組み立てが容易な組立構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る組立構造体を示す斜視図である。(a)は分離状態、(b)は結合状態を示している。
【
図2】
図1の組立構造体の第一パーツを示す平面図である。
【
図3】
図1の組立構造体の凸部を示す平面図である。
【
図4】
図1の組立構造体の第二パーツを示している。(a)は平面図、(b)は
図4(a)のC-C’線断面図である。
【
図5】
図1の組立構造体のスリット部を示す拡大図である。(a)は第一スリット部、(b)は第二スリット部を示している。
【
図6】
図1の組立構造体を組み立てる際の凸部及び凹部を示す図である。
【
図7】本発明の第二実施形態に係る組立構造体を示す斜視図である。
【
図8】(a)は
図8の組立構造体の第一パーツの平面図、(b)は
図8の組立構造体の第二パーツを示す平面図である。
【
図10】本発明の組立構造体のスリット部の一例を示す図である。
【
図11】本発明の組立構造体のスリット部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の組立構造体の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る組立構造体10を示す図である。
図1に示すとおり、組立構造体10は、硬質材料の板材により構成される複数種類のパーツ12を備えている。より具体的には、組立構造体10は、パーツ12として、第一パーツ20と、第二パーツ30とを備えている。なお、
図1に示すとおり、本実施形態の組立構造体10は、ひとつの第一パーツ20に対して、複数(本実施形態では三つ)の第二パーツ30を備えている。
【0026】
組立構造体10は、例えばテーブルやカウンターの仕切り(パーティション)として用いられる。第一パーツ20は仕切り板として機能するものであり、第二パーツ30は第一パーツ20を下方から支持する支持部材を構成している。そのため、組立構造体10は、第一パーツ20と第二パーツ30とが組み立てられた状態(結合状態)において、第二パーツ30をテーブルなどの設置対象場所に接地させて、第二パーツ30に嵌め込まれた第一パーツ20を自立させることができる。これにより、組立構造体10は、テーブルやカウンターに複数人数が着席している場合に、隣接して着席している人と人とを隔てる仕切りとして用いることができる。
【0027】
第一パーツ20は、透光性を有するアクリル板(硬質材料A)により構成されている。また、第二パーツ30は、MDF(硬質材料B)により構成されている。すなわち、組立構造体10では、第一パーツ20と第二パーツ30とが、異素材により構成されている。このように、組立構造体10では、透光性を有するアクリル板(透明アクリル板)を用いて仕切り板として機能する第一パーツ20を構成し、支持部材として機能する第二パーツ30をMDF(medium density fiberboard)により構成している。
【0028】
MDFは、アクリル板と比較して安価であり、さらに加工がしやすい。そのため、本実施形態の組立構造体10は、仕切り板となる第一パーツ20は人が圧迫感などを感じないように透明アクリル板を用いつつ、支持部材となる第二パーツ30にMDFを用いることで(異素材とすることで)、製造コストを抑制することができる。
【0029】
なお、本実施形態の組立構造体10では、第一パーツ20を無色のアクリル板により構成した例を示したが、本発明の組立構造体は本実施形態に限定されない。例えば、本発明の組立構造体の第一パーツや第二パーツは、透明アクリル板やMDFに加え、ポリカーボネート板、ABS板、PET板、金属、カーボン、木などのような硬質素材を用いることもできる。また、本実施形態の第一パーツ20は、無色の(透明な)アクリル板を用いた例を示したが、本発明の組立構造体は本実施形態に限定されず、第一パーツは有色のアクリル板であってもよい。
【0030】
組立構造体10は、第一パーツ20と第二パーツ30とが接着剤を用いずに結合されており、第一パーツ20と第二パーツ30とが結合及び分離可能とされている。そのため、組立構造体10によれば、仕切りが必要なときに第一パーツ20と第二パーツ30とを容易に組み立てることができることに加え、使用しないときには第一パーツ20と第二パーツ30とを分離させて嵩張らずにコンパクトに保管することができる。
【0031】
以下、第一パーツ20及び第二パーツ30の詳細についてそれぞれ説明する。
【0032】
図1に示すとおり、第一パーツ20は、仕切りとして機能し得る大きさを有している。
図2に示すとおり、第一パーツ20には、凸部24が設けられている。また、
図3に示すとおり、第一パーツ20には、スリット部40が設けられている。なお、
図2では図示を省略するが、スリット部40は、第一パーツ20に設けられた複数の凸部24に対して、それぞれ一対設けられている。
【0033】
本実施形態の第一パーツ20は、厚みD1(本実施形態では2mm)のアクリル板とされている。第一パーツ20は、アクリル板をレーザー加工などの加工により、凸部24やスリット部40が形成され、平面視において、ひとつの角部が切り落とされたような略正方形の形状とされている。
【0034】
なお、本発明の組立構造体において、第一パーツの厚みは2mmに限定されず、第一パーツの大きさや形状により、自重で曲がるなどを抑制可能な厚みが選択されることが望ましい。例えば、本発明の組立構造体において、第一パーツの厚みを2mm~5mmとすれば、自重で曲がるなどを抑制して自立可能な強度を得られるため好ましい。
【0035】
図2に示すとおり、凸部24は、第一パーツ20の外縁21に設けられている。上述のとおり、本実施形態の組立構造体10では、複数の凸部24が設けられている。また、本実施形態の組立構造体10では、第一パーツ20の四方を形成する辺のうち、隣接する二つの辺(L字を構成する二つの辺)に、それぞれ複数の凸部24が設けられている。また、
図2に示すとおり、第一パーツ20の二つの辺にそれぞれ設けられた複数の凸部24は、所定の間隔で配置されている。凸部24が外側に突出する長さ(突出距離L2)は、第二パーツ30の厚みD2よりも小さくなっている。
【0036】
図5(a)に示すとおり、凸部24の先端25側の角部は丸みを帯びた形状となっており、凸部24の根元部28の幅寸法に対して、先端25側の幅寸法が僅かに(距離K1分)大きくなっている。すなわち、凸部24の先端25側の丸み部分は、外側に膨らむようになっている。このように、凸部24は、幅方向の両側が僅かに膨らむように緩やかに湾曲する形状を有している(
図3参照)。ここで、凸部24の幅寸法が最大となる部分の幅寸法を最大幅寸法L1とすると、凸部24の最大幅寸法L1は、凹部32の開口の長手方向の最小寸法(開口最小寸法L5)よりも僅かに大きくなっている。本実施形態では、凹部32の開口最小寸法L5をXとした場合、凸部24の最大幅寸法L1をXの1%~3%の範囲内で大きくしている。
【0037】
スリット部40は、パーツ12の少なくとも一部を弾性変形させて、凸部24を凹部32に嵌め込み可能とするために設けられている。スリット部40は、レーザー加工によってパーツ12の厚み方向に貫通するように(パーツ12の表裏を貫通するように)形成された切り込みとして設けられている。なお、本実施形態の組立構造体10では、第一パーツ20及び第二パーツ30の双方にスリット部40が設けられている。
【0038】
以下の説明では、第一パーツ20に設けられたスリット部40を「第一スリット部42」と記載し、第二パーツ30に設けられたスリット部40を「第二スリット部44」と記載して説明する場合がある。なお、
図5(a)及び
図5(b)に示すとおり、第一スリット部42及び第二スリット部44は、いずれも平面視において波状の切り込みとして設けられている。
【0039】
図3に示すとおり、第一スリット部42は、凸部24の幅方向両側にそれぞれ設けられている。また、
図5(a)に示すとおり、第一スリット部42は、凸部24の厚み面のうち、先端面27と凸部24の根元部28との間の厚み面を凸部24の側方面26とすると、側方面26に沿うように、かつ側方面26の近傍に設けられている。
【0040】
ここで、スリット部40が設けられる位置について、凸部24の幅方向の縁部(側方面26側の縁部)や凹部32の縁部(凹部32の開口端33)に近すぎると、スリット部40とパーツ12の厚み面との間(以下、「撓み部」と称する場合がある)が薄くなりすぎて亀裂を生じやすくなる。一方、スリット部40が厚み面から遠すぎると、撓み部を弾性変形させ難くなる。そのため、スリット部40と縁部(第一パーツ20の側方面26側の縁部や第二パーツ30の開口端33の縁部)との離間距離L3や離間距離L6は、0.5mm~3.0mm程度であることが好ましい。
【0041】
また、スリット部40の切り込み幅(隙間幅)は、大き過ぎると隙間幅方向に大きな圧力がかかった場合に撓み部が大きく変形してしまい、亀裂を生じやすくなる。このため、スリット部40の隙間幅は、略均一として0.3mm~0.7mm(好ましくは、0.4~0.6mm)程度の範囲内であることが望ましい。
【0042】
図5(a)に示すとおり、第一スリット部42は、凸部24の両側方において、凸部24の側方面26の縁部に近づくように波形状に湾曲するよう形成されている。本実施形態では、第一スリット部42と凸部24の縁部との間の距離(離間距離L3)は、1mm程度とされている。また、
図5(b)に示すとおり、第二スリット部44は、凹部32の短辺となる縁部(開口端33)の近傍に設けられている。第二スリット部44は、凹部32の開口端33から離間距離L6の位置に形成されている。
【0043】
次に、第二パーツ30について説明する。上述のとおり、本実施形態の組立構造体10では、ひとつの第一パーツ20に対して複数の(本実施形態では三つの)第二パーツ30を備えている。本実施形態の組立構造体10では、複数の第二パーツ30は、全て同じ構成(材質、大きさ、形状)とされている。なお、本発明の組立構造体が備える第二パーツの数は本実施形態に限定されない。具体的には、本発明の組立構造体は、後述する第二実施形態に係る組立構造体のように、ひとつの第一パーツに対して二つの第二パーツを備えるものであってもよいし、ひとつの第一パーツに対して四つ以上の第二パーツを備えていてもよい。また、ひとつの第一パーツに対してひとつの第二パーツを備えるものであってもよい。
【0044】
図4(a)に示すとおり、第二パーツ30は、平面視において略矩形(略長方形)の外形を有している。
図4(a)に示すとおり、第二パーツ30には、凹部32やスリット部40(第二スリット部44)が設けられている。
【0045】
本実施形態の第二パーツ30は、厚みD2(本実施形態では5mm)のMDFとされている。第二パーツ30は、MDFをレーザー加工により穴開けやカットが行われ、凹部32や第二スリット部44が形成されている。なお、本発明の組立構造体において、第二パーツの厚みは5mmに限定されず、第一パーツの大きさや凸部の突出長さ(突出距離)に応じて、厚みが選択されることが望ましい。
【0046】
ここで、組立構造体10では、支持部材となる第二パーツ30にMDFを用いることで、厚みがあるMDFであっても加工を容易に行い得る。これにより、第二パーツ30の厚みD2を大きくして、凹部32の深さを大きくすることができる。その結果、第二パーツ30の凹部32に凸部24を嵌め込み、第一パーツ20を鉛直の姿勢で下方から支持する場合において、第一パーツ20を安定して支持することができる。
【0047】
図4(a)に示すとおり、第二パーツ30には、複数の(本実施形態では三つの)凹部32が設けられており、それぞれの凹部32の近傍には第二スリット部44が設けられている。
【0048】
図4(b)に示すとおり、凹部32は、第二パーツ30の厚み方向に貫通する(第二パーツ30の表裏を貫通する)貫通孔とされており、凸部24を嵌め込み可能とされている。凹部32は、平面視において第一パーツ20の厚みD1分の開口幅とされた直線状の開口とされている。なお、以下の説明では、凹部32の長手方向を単に「開口長さ方向Y1」と、凹部32の短手方向を単に「開口幅方向Y2」と記載して説明する場合がある。
【0049】
図4(a)に示すとおり、本実施形態の第二パーツ30では、三つの凹部32のうち、二つの凹部32が第二パーツ30の長手方向に沿って直列的に配置されるとともに、残りひとつの凹部32が他の二つの凹部32の間に横たわるように配置されている。すなわち、本実施形態では、複数の凹部32のうち、少なくとも1の凹部32の長手方向に対して、他の凹部32の長手方向が交差するように設けられている。また、
図4(a)に示すとおり、それぞれの凹部32は、第二パーツ30の外縁31から所定のスペースRを空けた内側に形成されている。言い方を換えれば、第二パーツ30の外縁31の近傍には、それぞれスペースRが形成されている。
【0050】
凹部32の開口幅方向Y2の寸法(開口隙間寸法L4)は、第一パーツ20の厚みD1と略一致する大きさとなっている。これに対して、上述のとおり第一パーツ20の凸部24の最大幅寸法L1は、凹部32の開口長さ方向Y1の長さが最も小さくなる部分の長さ(開口最小寸法L5)よりも大きい(L1>L5)。
【0051】
さらに詳細に説明すると、
図5(b)に示すとおり、凹部32は、開口長さ方向Y1の両側の縁部(開口端33)が開口の内側に向けて僅かに(距離K2分)膨出するような形状とされている。そのため、凹部32は、開口の長さ方向において最も小さくなる部分(内側に膨出する部分)の寸法(開口最小寸法L5)が、凸部24の幅方向で最も大きくなる部分の寸法(最大幅寸法L1)よりも僅かに大きくなっている。
【0052】
すなわち、組立構造体10では、第一パーツ20と第二パーツ30とを組み立てる場合に、差し込み部を構成する凸部24の幅が、受口を構成する凹部32の寸法よりも大きい。組立構造体10では、スリット部40を設けることで凸部24や凹部32を弾性変形させて、このような受口よりも大きい差し込み部を嵌め込み可能としている。
【0053】
<第一パーツと第二パーツとの組み立て>
次いで、第一パーツ20と第二パーツ30との組み立てについて説明する。
【0054】
図6(a)に示すとおり、第一パーツ20と第二パーツ30とを組み立てて組立構造体10を仕切りとして機能可能な状態(結合状態)とする場合、第一パーツ20の凸部24と第二パーツ30の凹部32を嵌合させる。具体的には、
図6(a)及び
図6(b)に示すとおり、第一パーツ20に対して第二パーツ30を直角方向の姿勢として、凹部32に凸部24を挿入して嵌め込む。
【0055】
そして、このように凸部24を凹部32に挿入させると、凸部24は、第一スリット部42の隙間によって弾性変形が許容され、幅方向に僅かに縮小するように撓む。また、凹部32は、第二スリット部44の隙間により、開口長さ方向Y1に僅かに拡大するように撓む。これにより、凸部24の側方面26と凹部32の短辺側の厚み面とが互いに押圧され、凸部24を凹部32にぴったりと嵌め込むことができる。
【0056】
このように、組立構造体10では、パーツ12を硬質材料で構成されつつ、スリット部40によって凸部24や凹部32などを弾性変形させて第一パーツ20と第二パーツ30とを嵌め込むことができる。また、凸部24と凹部32とをぴったりと嵌め合わせ、抜け難くすることができるようになる。
【0057】
なお、本実施形態の組立構造体10では、少なくとも二つの第二パーツ30を第一パーツ20の一つの辺に対して装着させることができる(
図1(b)参照)。より具体的には、第一パーツ20の一つの辺において離間するように二つの第二パーツ30を装着させる。これにより、二つの第二パーツ30の表裏をなす面のうち一方の面が第一パーツ20に対して略直交する状態で第一パーツ20に装着され、第二パーツ30が第一パーツ20を自立させるための接地面となり(支持部材となり)、第一パーツ20を自立させることができる。
【0058】
また、上述のとおり、本実施形態の組立構造体10では、スリット部40が波形状に湾曲した形状とされている。そのため、パーツ12を撓ませる部分(撓み部)において、応力が1箇所に集中することを回避して応力を分散し、割れ難くすることができる。
【0059】
さらに、スリット部40は、凸部24の先端面27や凹部32の開口端33などの縁部に達しないように設けられている(
図5参照)。すなわち、スリット部40の切り込み端は、パーツ12の縁部から外れた位置となっている。これにより、スリット部40に応力が作用した場合に、パーツ12に亀裂が生じることを抑制することができる。
【0060】
さらに、本実施形態の組立構造体10では、凸部24の両側と、凹部32の両側とに、スリット部40が設けられている(
図3及び
図5参照)。そのため、凸部24の左右両側をしっかりと弾性変形させて、凹部32に凸部24を嵌合させることができる。
【0061】
上述のとおり、第二パーツ30には、外縁31近傍にスペースRが形成されている。ここで、
図6(c)に示すとおり、残りの第二パーツ30を、他の第二パーツ30に対して接地させつつ略直交する姿勢として、第一パーツ20に装着する。このようにすることで、第二パーツ30を、自立する第一パーツ20の補強部材として機能させることができる。また、補強部材として機能させる第二パーツ30を他の第二パーツ30のスペースRに接地させることができる。すなわち、補強部材として機能する第二パーツ30を他の第二パーツ30に乗るように配置させることができる。これにより、組立構造体10の下方の隅部がグラつくことを抑制して、安定して設置することができる。
【0062】
なお、本実施形態では複数の第二パーツ30のうち一つの第二パーツ30を補強部材として機能させる例を示したが、複数の第二パーツ30の全てを第一パーツ20の脚部として機能するように、第一パーツ20の一つの辺に対して全ての第二パーツ30を取付けてもよい。
【0063】
<第二実施形態>
続いて、本発明の第二実施形態に係る組立構造体50について説明する。
図7に示すとおり、組立構造体50は、一つの第一パーツ52に対して二つの第二パーツ54を備えている。
【0064】
図8(a)に示すとおり、第一パーツ52は、平面視において略矩形(略長方形)の形状を有している。第一パーツ52には、外縁の略全域(二つの長辺及び二つの短辺)に複数の凸部24が設けられている。また、図示を省略するが、各凸部24には、幅方向両側にそれぞれ第一スリット部42が設けられている。
【0065】
なお、第一パーツ52の凸部24や第一スリット部42は、第一実施形態の組立構造体10の凸部24や第一スリット部42と同様とされている。そのため、以下の組立構造体50の説明では、凸部24及び第一スリット部42の説明において、第一実施形態において付した符号と同じ符号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
【0066】
図8(b)に示すとおり、第二パーツ54は、平面視において略矩形(略長方形)の形状を備えている。第二パーツ54には、直列的に配置された複数の凹部32が設けられている。また、図示を省略するが、各凹部32の近傍には、第二スリット部44が設けられている。
【0067】
なお、第二パーツ54の凹部32や第二スリット部44は、第一実施形態の組立構造体10の凹部32や第二スリット部44と同様とされている。そのため、以下の組立構造体50の説明では、凹部32及び第二スリット部44の説明において、第一実施形態において付した符号と同じ符号を用いて説明し、詳細な説明を省略する。
【0068】
図7に示すとおり、本実施の組立構造体50では、第一パーツ52の両側方に第二パーツ54が装着される。このようにすることで、第二パーツ54が第一パーツ52を両側方から支持して自立させる脚部として機能する。
【0069】
なお、第一パーツ52の四方を形成する4つの辺(二つの長辺と二つの短辺)には、それぞれ複数の凸部24が設けられるとともに、第二パーツ54には複数の凹部32が設けられている。そのため、ユーザの好みに応じた高さとなるよう、第一パーツ52と第二パーツ54とを結合する位置を調整することができる。
【0070】
例えば、
図9(a)に示すように、組立構造体50を自立させた状態において、第一パーツ52が下方寄りとなるように(設置対象場所と第一パーツ52との隙間が少なくなるように)、第一パーツ52と第二パーツ54とを組み立てることができる。
【0071】
また、例えば、
図9(b)に示すように、組立構造体50を自立させた状態において、第一パーツ52が上方寄りとなるように(設置対象場所と第一パーツ52との隙間Sが大きくなるように)、第一パーツ52と第二パーツ54とを組み立てることができる。このようにすれば、例えば組立構造体50を、対面して着席する人と人との仕切りとして機能させようとする場合、下方に形成された隙間Sから、書類などの受け渡しを行うことができる。
【0072】
また、上述のとおり、本実施形態の組立構造体50では、第一パーツ52の短辺及び長辺に対し、それぞれ複数の凸部24が設けられている。そのため、
図7に示すように第一パーツ52を横向きにして(第一パーツ52の長辺を下方側として)使用可能であることに加え、第一パーツ52を縦向きにして(第一パーツ52の短辺を下方側として)使用することができる。そのため、組立構造体50は、使用する場所(設置場所)や用途に応じて、縦向きあるいは横向きで使用することができる。
【0073】
さらに、本実施形態の組立構造体50の第一パーツ52は、透明のアクリル板により構成されている。これにより、組立構造体50を対面して着席する人と人とを隔てる仕切りとして用いる場合に、相手を視認可能としつつ仕切りとして機能させることができる。
【0074】
以上、本発明の第一実施形態に係る組立構造体10、及び第二実施形態に係る組立構造体50について説明したが、本発明の組立構造体は上述の実施形態に限定されない。
【0075】
例えば、上述の実施形態では、第一パーツ及び第二パーツの双方にスリット部を設けた例を示したが、本発明の組立構造体は、第一パーツ及び第二パーツのうち一方にスリット部を設けたものであってもよい。
【0076】
また、上述の実施形態では、波形の切り込み線とされたスリット部を一例として挙げて説明したが、スリット部の形状は上述の実施形態に限定されない。例えば、スリット部の形状は、
図10や
図11に示す各スリット部60のような形状であってもよい。
【0077】
例えば、
図10(a)に示すスリット部60Aのように、スリット部はジグザグを描くように屈曲しているものであってもよい。また、
図10(b)に示すスリット部60Bのように、スリット部は、凸部24の先端側近傍の1箇所において、凸部24の縁部に近づくように湾曲するものであってもよい。さらに、
図10(c)に示すスリット部60Cのように、スリット部は、凸部24の突出方向に沿って直線状に延びているものであってもよい。
【0078】
さらに、
図10(d)に示すスリット部60Dのように、スリット部は、凸部24の幅方向両側のうち一方から先端25側近傍を通り、幅方向両側のうちの他方に到達するように、凸部の外縁に沿うような一本の湾曲線をなすものであってもよい。なお、
図10(d)に示すスリット部60Dでは、凸部24の幅方向の中央部で、凸部の縁部から離れるように湾曲している。これにより、凸部24は幅方向に撓み易くなり、かつ、弾力性が高くなる。その結果、凸部24を凹部32に嵌合し易くなり、かつ、抜け難くなる。
【0079】
さらに、
図10(e)に示すスリット部60Eのように、スリット部は円弧状に湾曲するものであってもよい。
【0080】
さらに、
図10(f)に示すスリット部60Fのように、スリット部は、隙間幅が大きく、三日月形状になっているものであってもよい。また、
図10(g)に示すスリット部60Gのように、スリット部は、隙間幅が大きく、楕円形状になっているものであってもよい。このようにした場合、スリット部の内側は比較的大きな空洞となる。そのため、凸部24は、その幅方向に撓み易くなり、かつ、弾力性が高くなる。その結果、凸部24を凹部32に嵌合し易くなり、かつ、抜け難くなる。
【0081】
さらに、
図10(h)に示すスリット部60Hのように、スリット部は、凸部24の先端25側の縁部に達するような切り込みとして設けられたものであってもよい。また、
図10(i)に示すスリット部60Iのように、スリット部は、凸部24の先端25側の縁部に達するような円弧形状の切り込みとして設けられたものであってもよい。
【0082】
さらに、図示を省略するが、スリット部は、凸部24の幅方向の一方にのみ設けたものであってもよい。
【0083】
また、本実施形態では、凸部24の側方面26や凹部32の内壁面が湾曲するものとした例を示したが、凹部32や凸部24の厚み面は、湾曲する部分がなく略平坦面とされたものであってもよい。
【0084】
また、第二パーツに設けられるスリット部(第二スリット部)は、
図11(a)に示すスリット部60Jのスリット部のように直線状のものであってもよいし、
図11(b)に示すスリット部60Kのように円弧状のものであってもよい。
【0085】
なお、第一パーツのスリット部や第二パーツのスリット部は、設けられる位置や隙間幅、あるいはパーツを構成する硬質素材の固さに応じて、適宜選択することができる。
【0086】
また、第一実施形態の組立構造体10は、隣接して着席する人と人との間を隔てる仕切り(パーティション)として用いられるものとし、第二実施形態の組立構造体50は、対面して着席する人と人とを隔てる仕切りとして用いられるものとした例を示したが、本発明の組立構造体の用途は、上述の実施形態に限定されない。
【0087】
例えば、本発明の組立構造体は、組立ブロックや、パズルなどの知育玩具、適正検査器具、試作分野、立体マネキン、建築模型、家具、物の仕切りとして用いられるパーティション、ケースをパーツ単位で供給する流通システム、継手、介護用品など多種多様の分野で利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の組立構造体は、人と人との間を仕切るパーティションを含め、多種多様の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 組立構造体
12 パーツ
20 第一パーツ(パーツ)
24 凸部
30 第二パーツ(パーツ)
32 凹部
33 開口端(縁部)
40 スリット部
42 第一スリット部(スリット部)
44 第二スリット部(スリット部)
50 組立構造体
52 第一パーツ(パーツ)
54 第二パーツ(パーツ)
60 スリット部