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  • 特開-個数計量装置及び方法 図1
  • 特開-個数計量装置及び方法 図2
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  • 特開-個数計量装置及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113358
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】個数計量装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/42 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
G01G19/42 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009550
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】521037422
【氏名又は名称】株式会社佐竹製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】平井 都志也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】計測対象の個数計量において、質量のばらつきを考慮することで、より少ない計測回数で正確に個数推定を行う。
【解決手段】既知数の物品の総質量を受信して、既知の個数と総質量の組からなる第1計測点を取得する手段と、未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、過去に取得されている個数と総質量の組から算出した単位質量を用いて、未知数の物品を追加した時の総質量に対応する物品の個数を算出して、個数と総質量の組を取得するステップをn(n≧1)回実行して、n点の計測点を取得する手段と、第1計測点とn点の計測点とからなる少なくとも2つの計測点を用いて、個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得する手段と、さらに未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、前記回帰式を用いて、物品の個数を算出する手段と、からなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知数の物品の総質量を受信して、既知の個数と総質量の組からなる第1計測点を取得する手段と、
未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、過去に取得されている個数と総質量の組から算出した単位質量を用いて、未知数の物品を追加した時の総質量に対応する物品の個数を算出して、個数と総質量の組を取得するステップをn(n≧1)回実行して、n点の計測点を取得する手段と、
第1計測点とn点の計測点とからなる少なくとも2つの計測点を用いて、個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得する手段と、
さらに未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、前記回帰式を用いて、物品の個数を算出する手段と、
からなる物品の個数計量装置。
【請求項2】
前記回帰式を取得する手段は、前記少なくとも2つの計測点に原点を加えて、回帰式を取得する、請求項1に記載の物品の個数計量装置。
【請求項3】
前記n点の計測点を取得する手段で用いる前記単位質量は、第1組から算出した単位質量、直前の組から算出した単位質量、過去の複数の組から算出した単位質量の平均単位質量から選択される、
請求項1、2いずれか1項に記載の個数計量装置。
【請求項4】
第2計測以降の計測毎の追加物品の単位質量を算出する手段と、
第1計測で得られた単位質量と前記追加物品の単位質量を用いて、計測毎の単位質量の標準偏差を算出する手段と、
前記標準偏差に基づいて各計測の正確度を判定する手段と、
を備えた請求項1~3いずれか1項に記載の個数計量装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1~4いずれか1項に記載の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
既知数の物品の総質量を受信して、既知の個数と総質量の組からなる第1計測点を取得するステップと、
未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、過去に取得されている個数と総質量の組から算出した単位質量を用いて、未知数の物品を追加した時の総質量に対応する物品の個数を算出して、個数と総質量の組を取得するステップをn(n≧1)回実行して、n点の計測点を取得するステップと、
第1計測点とn点の計測点とからなる少なくとも2つの計測点を用いて、個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得するステップと、
さらに未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、前記回帰式を用いて、物品の個数を算出するステップと、
からなる物品の個数計量方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの計測点に原点を加えて、回帰式を取得する、請求項6に記載の物品の個数計量方法。
【請求項8】
前記単位質量は、第1組から算出した単位質量、直前の組から算出した単位質量、過去の複数の組から算出した平均単位質量から選択される、
請求項6、7いずれか1項に記載の個数計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は電子天秤を用いた物品(例えば、ネジ)の個数計量において、電子天秤から出力される質量を用いて個数を算出する個数計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個数計量装置は、電子天秤を用いて予め決められた個数の物品の質量を計測することで、物品の単体の質量を算出し、未知数の多数の物品の総質量から除算することで個数を計測する機能を有している。図4に個数計量装置の基本構成を示す。天秤に物品を複数個載せ、質量を計測し、質量受信部を経由して演算処理部に送り込まれる。演算処理部では、あらかじめ決められた個数で質量を除算し、物品の単体の質量を算出し単体質量として記憶部に登録する。引き続き個数計測したい全ての物品を天秤に載せ質量を計測し、質量受信部を経由して演算処理部に送り込まれる。演算処理部では、計測された質量を、事前に計測した単体質量で除算することで個数を算出し表示部に表示する。
【0003】
上述の個数計量装置においては、単体質量を計測することで物品の単体の質量を算出するが、物品の質量のばらつきが大きい場合、正確に個数をカウントすることができない場合がある。全数量を小分けして計測することでばらつきによる誤カウントを低減させることができるが(例えば、200の数量について、10回に分けてカウントする)、計量回数の増加は個数計量の効率性を損ねることになる。一方、1回の計測でより多くの数量をカウントしようとすれば、物品の質量のばらつき(標準偏差に基づいて設定される)を物品の数量で乗算した値の絶対値が、物品単体の質量より大きくなる場合に、個数計量の正確性を欠くという問題をはらんでいる。
【0004】
個数計測において、物品の質量のばらつきを考慮することについては、幾つかの提案が行われており(特許文献1~8)、その多くは、単体質量の計測を複数回実施することをベースとしている。典型的な手法では、複数回取得された単位質量の平均である平均単位質量を当該物品の単位質量とみなして個数を計測する。また、基本質量の計測を複数回行うことで、物品の質量のばらつきが算出でき、個数計量の際にばらつきを考慮することが可能となる。
【0005】
例えば、特許文献2には、計測毎の仮平均質量から平均質量を算出すること、仮平均質量のばらつきと平均質量から試料質量の変動係数を算出することが記載されている。特許文献7には、サンプルの単位質量を複数回計測して、サンプルの平均単位質量と標準偏差を求め、統計演算処理に基づいてサンプルの最大単位質量と最小単位質量を推定し、計数誤差が生じないサンプルの最多個数を求めることが記載されている。
【0006】
天秤を用いた個数計量装置において、計測対象である物品の質量のばらつきは個数の誤りの原因になり得るが、これを避けるために計量回数を増やすと計量作業の効率性の低下を招くことなってしまう。
【特許文献1】特開昭57-133321
【特許文献2】特開昭58-171628
【特許文献2】特開昭59-40122
【特許文献3】特開昭60-31023
【特許文献4】特開昭61-284616
【特許文献5】特開平1-94223
【特許文献6】特開平1-184419
【特許文献7】特開平4-60425
【特許文献8】特開平7-198467
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、計測対象の個数計量において、従来とは異なるアプローチから質量のばらつきを考慮することで、より少ない計測回数で正確に個数推定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が採用した技術手段は、
既知数の物品の総質量を受信して、既知の個数と総質量の組からなる第1計測点を取得する手段と、
未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、過去に取得されている個数と総質量の組から算出した単位質量を用いて、未知数の物品を追加した時の総質量に対応する物品の個数を算出して、個数と総質量の組を取得するステップをn(n≧1)回実行して、n点の計測点を取得する手段と、
第1計測点とn点の計測点とからなる少なくとも2つの計測点を用いて、個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得する手段と、
さらに未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、前記回帰式を用いて、物品の個数を算出する手段と、
からなる物品の個数計量装置、である。
本発明のアプローチは、物品の個数と総質量との関係を代表する複数の点を用いて回帰分析を実行することで、物品の個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得し、この回帰式を用いて、全ての物品の総質量から物品の個数を推定するものである。
概念的には、質量の計測を1回以上行い、それに原点を加えて回帰分析を実行するもの、あるいは、質量の計測を2回以上行い、それに原点を加えて、あるいは、原点を用いずに回帰分析を実行するものが含まれるが、原点と第1計測点の2点のみを用いた回帰直線は、平均単位質量を用いるものと実質的に同じ結果となる点に留意されたい。
本発明に係る個数推定のアプローチは、複数の計測点を用いた回帰分析による推定を採用することで、分散(各計測点のセットに内在されている)を考慮した推定が可能となる。
【0009】
1つの態様では、前記回帰式を取得する手段は、前記少なくとも2つの計測点に原点を加えて、回帰式を取得する。
この態様では、計測された質量に原点を加えて回帰分析を実行することで、より少ない回数の計測でも計量精度を確保できる。
【0010】
1つの態様では、前記n点の計測点を取得する手段で用いる前記単位質量は、第1組から算出した単位質量、直前の組(総質量及び総個数)から算出した単位質量、過去の複数の組から算出した単位質量の平均単位質量から選択される。
図2に示す実施形態では、
既知数の物品の総質量を受信して、既知の個数と総質量の組からなる第1計測点(第1総質量、第1個数)を取得する手段と、
未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、過去に取得されている個数と総質量の組から算出した単位質量を用いて、未知数の物品を追加した時の総質量に対応する物品の個数を算出して、個数と総質量の組を取得するステップを2回実行して、2点の計測点(第2総質量、第2個数;第3総質量、第3個数)を取得する手段と、
第1計測点と2点の計測点とからなる少なくとも3つの計測点(原点を加えてもよい)を用いて、個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得する手段と、
さらに未知数の物品を追加した時の総質量(第4総質量)を受信して、前記回帰式を用いて、物品の個数を算出する手段と、
からなる物品の個数計量装置、が開示されており、
第2計測点を取得する手段で用いる単位質量は、直前の第1組の第1総質量及び第3個数から算出した単位質量であり、
第3計測点を取得する手段で用いる単位質量は、直前の第2組の第2総質量及び第2個数から算出した単位質量である。
【0011】
1つの態様では、
第2計測以降の計測毎の追加物品の単位質量を算出する手段と、
第1計測で得られた単位質量と前記追加物品の単位質量を用いて、計測毎の単位質量の標準偏差を算出する手段と、
前記標準偏差に基づいて各計測の正確度を判定する手段と、
を備えている。
すなわち、本発明に係る個数計量装置は、複数回の計測の各計測から求めた単位質量のばらつきを算出し、算出されたばらつきを加減算することで、個数計測量の正確性を判定する機能を備えている。
1つの態様では、算出されたばらつきを加減算する際に、倍率(例えば、3倍)を設定することで、計測の合否を判定する。
【0012】
本発明は、コンピュータを、上記装置を構成する各手段として機能させるためのコンピュータプログラムとして提供され得る。
【0013】
本発明は、
既知数の物品の総質量を受信して、既知の個数と総質量の組からなる第1計測点を取得するステップと、
未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、過去に取得されている個数と総質量の組から算出した単位質量を用いて、未知数の物品を追加した時の総質量に対応する物品の個数を算出して、個数と総質量の組を取得するステップをn(n≧1)回実行して、n点の計測点を取得するステップと、
第1計測点とn点の計測点とからなる少なくとも2つの計測点を用いて、個数と総質量との関係を規定する回帰式を取得するステップと、
さらに未知数の物品を追加した時の総質量を受信して、前記回帰式を用いて、物品の個数を算出するステップと、
からなる物品の個数計量方法、として提供され得る。
【0014】
1つの態様では、前記少なくとも2つの計測点に原点を加えて、回帰式を取得する。
1つの態様では、前記n点の計測点を取得する手段で用いる前記単位質量は、第1組から算出した単位質量、直前の組から算出した単位質量、過去の複数の組から算出した単位質量の平均単位質量から選択される。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、計測対象の個数を推定する際に、回帰式を用いることでより少ない計測回数で正確な個数を推定することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る個数計量装置の構成図である。
図2】本実施形態に係る個数計量装置を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る個数計測方法を示すフローチャートである。
図4】従来の個数計量装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る個数計量システムは、電子天秤と個数計量装置とから構成される。個数計量装置は、電子天秤で計測された質量を受信する質量受信部と、入力部と、演算処理部と、記憶部と、表示部と、を備えている。
【0018】
入力部から、計量回数、予め決定した1回目の計量個数、閾値係数が入力され、これらの情報は記憶部に記憶される。電子天秤に予め決定した個数の測定対象(物品)を載せ、総質量を計測する。総質量は、質量受信部から個数計量装置に入力され、記憶部に記憶される。2回目以降の計量では、任意の未知の個数の物品を追加して天秤に載せて総質量を計測することを、設定した回数だけ繰り返し実行する。計測毎に得られた総質量は、質量受信部から個数計量装置に入力され、記憶部に記憶される。
【0019】
演算処理部では、記憶部に記憶された計測毎の各総質量、第1回目の計測で用いた既知の個数に基づいて、第2回目以降の計測毎の個数、計測毎の単位質量を算出し、これらの情報は記憶部に記憶される。1回目の計測では決められた個数を用いて単体質量を算出し、2回目以降は直前の計測(2回目であれば1回目)で算出された単体質量を用いて個数を算出して、記憶部に記憶する。さらに、計測毎の追加分の質量を追加された個数で除算して、計測毎の単位質量を算出して記憶部に記憶する。
【0020】
演算処理部において、各回の計測した質量と個数に原点を加え、回帰分析を実施し、その回帰式(係数ないし傾き、切片)を記憶部に記憶する。加えて各回の単体質量から質量標準偏差を算出し、あらかじめ登録した閾値係数を乗算し記憶部に記憶させる。
【0021】
天秤に全ての物品を追加し、質量を計測し、質量受信部を経由して演算処理部に送り込む。この質量から記憶部に登録した回帰式(係数ないし傾き、切片)により個数を算出すると共に、個数を表示部に表示する。記憶部に登録された質量標準偏差にこの計測個数を乗算し、この値が各回の単体質量より大きい場合は、個数計測に誤りがある可能性が有るため、表示部にアラートを表示する。
【0022】
個数計量装置は、コンピュータから構成され得るものであり、当該コンピュータは、データを入力するための入力装置、処理されたデータを出力するための出力装置、データを表示する表示装置、主としてCPUから構成される演算装置、ROM、RAM、ハードディスク等の記憶装置、これらを接続するバス、コンピュータに所定の処理を実行させるために記憶装置に格納された所定のプログラム、等を備えている。
【0023】
個数計量装置は、電子天秤にコンピュータが組み込まれた一体型でもよく、あるいは、電子天秤と独立したコンピュータから構成されてもよい。後者の場合、一台の個数計量装置を用意することで、個数計量装置を複数の異なる電子天秤に選択的に接続して用いることができる。また、本発明を個数計量プログラムとして提供し、汎用コンピュータに搭載することで、当該コンピュータを個数計量装置として用いることができる。
【0024】
図2を参照しつつ、本実施形態に係る物品の個数計量装置の詳細について説明する。図2では、4回の計測で所定数の物品の数量をカウントしているが、計測数は例示であって、例えば2回でも、5回でもよい。
【0025】
第1計測では、既知数の物品を電子天秤に載せて、既知数の物品の総質量を第1総質量として計測し、第1総質量と第1個数(既知)から第1組を取得して記憶部に記憶し、第1計測点(第1総質量・第1個数)とする。演算処理部において、第1総質量を第1個数で除算することで第1計測に係る第1単位質量を算出し、記憶部に記憶する。
【0026】
第2計測では、未知数の物品を電子天秤に追加して載せて、総質量を第2総質量として計測し、第2総質量を第1単位質量で除算して、第2計測の個数を第2個数として算出する。第2総質量と第2個数から第2組を取得して記憶部に記憶し、第2計測点(第2総質量・第2個数)とする。
【0027】
演算処理部において、第2総質量から第1総質量を減算して第2計測で追加した物品の総質量を取得し、第2個数から第1個数を減算して第2計測で追加した物品の個数を取得し、第2計測における追加分の質量を追加個数で除算することで、第2計測に係る第2単位質量を算出し、記憶部に記憶する。減算については、図2では省略されている点に留意されたい。
【0028】
第3計測では、未知数の物品を電子天秤に追加して載せて、総質量を第3総質量として取得し、第3総質量を第2単位質量で除算して、第3計測の個数を第3個数として算出する。第3総質量と第3個数から第3組を取得して記憶部に記憶し、第3計測点(第3総質量・第3個数)とする。
【0029】
演算処理部において、第3総質量から第2総質量を減算して第3計測で追加した物品の総質量を取得し、第3個数から第2個数を減算して第3計測で追加した物品の個数を取得し、第3計測における追加分の質量を追加個数で除算することで、第3計測に係る第3単位質量を算出し、記憶部に記憶する。減算については、図2では省略されている点に留意されたい。
【0030】
本実施形態では、物品の総質量の計測を2回以上行い、それに原点を加えて回帰式を求め、この回帰式により最終的に計量したい個数を推定する。原点を加えることは任意であり、適切な回帰式を取得するのに十分な計測点が得られていれば、原点を必ずしも用いる必要は無い。演算処理部において、第1計測点、第2計測点、第3計測点に原点を加えて4点を用いて、回帰分析を実行し、回帰式を算出する。回帰式を規定する係数ないし傾き、及び、切片は、記憶部に記憶される。第4計測では、未知数の物品を電子天秤に追加して載せて、総質量を第4総質量として取得し、第4総質量と回帰式を用いて、第4総質量に対応する第4個数を推定する。第4個数は記憶部に記憶される。
【0031】
演算処理部において、第4総質量から第3総質量を減算して第4計測で追加した物品の総質量を取得し、第4個数から第3個数を減算して第4計測で追加した物品の個数を取得し、総質量を個数で除算することで、第4計測に係る第4単位質量を算出し、記憶部に記憶する。減算については、図2では省略されている点に留意されたい。
【0032】
演算処理部において、計測毎に算出した計測回数分の単位質量、すなわち、第1単位質量、第2単位質量、第3単位質量、第4単位質量を用いて標準偏差を算出する。本実施形態では、標準偏差に倍率(例えば3倍)を掛けてばらつきを決定する。このばらつきに全計測対象の個数を乗算し、全ての計測回の単体質量(第1単位質量、第2単位質量、第3単位質量、第4単位質量)の全てが判定式(後述する)を満たす場合に、回帰式を用いて推定した総数量が正解であると満たして、表示部に個数表示を行う。いずれか1つ以上の単位質量が判定式を満たさない場合には、計測は不正解と判断し、表示部に誤カウントであることを表示することで計測者に通知する。
【0033】
図3は、本発明による個数計測方法を例示するフローチャートである。図3を参照しつつ、本実施形態に係る個数計測フローについて説明する。
(ア)ステップS1において、個数の正確性の判定に用いる閾値係数(本実施形態では、3)を入力する。閾値係数は記憶部に記憶される。
(イ)ステップS2において計量回数と1回目の計量個数を入力する。計量回数と計量個数は記憶部に記憶される。
(ウ)ステップS3において天秤による質量計測を行う。質量計測はS2で定義した回数繰り返す。例えば、計測回数が4回であれば、第1計測、第2計測、第3計測、第4計測が実行され、計測毎の総質量が取得され、記憶部に記憶される。
【0034】
(エ)ステップS4において、1回目の質量計測値を、予め入力した計量個数で除算して単体質量を算出する。2回目以降の計測値は、直前(2回目計測であれば1回目)の単体質量で除算し個数を算出する。全ての計測質量値と個数の組に原点を加えた複数点を用いて回帰分析を実行することで、回帰式(係数ないし傾き、切片)を算出する。
【0035】
各計測値を各個数で除算した単体質量を算出し、その標準偏差を算出式(1)する。
ここで、n:質量計測回数、xi:i番目の単位質量、である。
【0036】
(オ)ステップS5において、全ての計測対象の総質量を計測する。次にステップS6において、総質量から回帰式を用いて個数を求める。
(カ)ステップS7において閾値を算出する。
ここで閾値はS6で算出した個数とS4で算出した質量標準偏差とS1で入力した閾値係数をかけ合わせて算出する。
【0037】
(キ)S4で算出した各回の単体質量が、S7で算出した閾値以上であることを条件とする判定式(2)を満たす場合に、正確性のある個数としてステップS9で個数を表示する。設定した計量回数が4回の場合には、第2計測、第3計測、第4計測の全てに対して閾値を用いた判定が適用される。
【0038】
(ク)各計測回の単体質量の1つ以上が閾値以下であった場合は、正確性に欠けるとして、表示部に個数とNGを表示し、S3に戻って、総質量を再計測する。ここで単体質量が閾値以下とならないためには、総質量の計測個数を少なくし、複数回に分けて総質量を計測する必要がある。より正確には、第2回計測に戻る。第2回から個数を減らして再計測する。なお、第2回、第3回、第4回のいずれからも再計測を繰り返せるようにしてもよい。例えば、第2回計測における単位質量が判定式(2)を満たし、第3回計測における単位質量が判定式(2)を満たさない場合には、第3回計測に戻り、第2回計測、第3回計測における単位質量が判定式(2)を満たし、第4回計測における単位質量が判定式(2)を満たさない場合には、第4回計測に戻るようにしてもよい。

図1
図2
図3
図4