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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113361
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20220728BHJP
   B65H 23/00 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
B41J15/04
B65H23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009557
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長能 弘明
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BC02
2C060BC12
2C060BC24
3F104AA01
3F104JA06
3F104JA09
3F104JB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インナーカバーを取り外さなくとも、インナーカバー近傍のコンポーネントの交換を容易に行う。
【解決手段】本発明のプリンタは、印字を行う印字部に対向する位置に設けられ、前記印字部による印字の際に搬送される用紙が圧接される搬送ローラ82を有するプリンタにおいて、前記搬送ローラの両端部を支持する支持部材51、52、53と、前記搬送ローラの両端部を前記支持部材との間で軸支するカバー部材54と、を含み、前記カバー部材は、前記支持部材との間で前記搬送ローラの軸支を行う第1の位置と、前記搬送ローラの軸支を解除して、前記搬送ローラを前記支持部材から着脱自在に支持する第2の位置との間で移動自在に前記支持部材に保持されることを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字を行う印字部に対向する位置に設けられ、前記印字部による印字の際に搬送される用紙が圧接される搬送ローラを有するプリンタにおいて、
前記搬送ローラの両端部を支持する支持部材と、
前記搬送ローラの両端部を前記支持部材との間で軸支するカバー部材と、
を含み、
前記カバー部材は、前記支持部材との間で前記搬送ローラの軸支を行う第1の位置と、前記搬送ローラの軸支を解除して、前記搬送ローラを前記支持部材から着脱自在に支持する第2の位置との間で移動自在に前記支持部材に保持されることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記用紙の搬送方向において前記搬送ローラとは異なる位置に配置され、前記用紙を前記印字部に向けて搬送する送込みローラを有し、
前記支持部材は、前記搬送ローラの他に、前記送込みローラを支持し、
前記カバー部材は、前記第1の位置にあるときに、前記支持部材との間で前記送込みローラを軸支し、前記第2の位置にあるときに、前記送込みローラを前記支持部材から着脱自在に支持することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタにおいて、
前記用紙は、前記印字部による印字が施される印字面と、前記印字面の反対側の面で、接着剤が塗布された接着面とを有し、
前記カバー部材は、前記第1の位置にあるときに、前記搬送ローラ及び前記送込みローラの間を搬送される前記用紙の接着面から離れた位置に保持されることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記カバー部材は、前記第1の位置で前記支持部材に係止する係止部を有し、
前記係止部は、前記搬送ローラと前記送込みローラとの間に配置されることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記支持部材を有する本体と、
前記印字部を有し、前記本体に取り付けられる蓋部と、
を含み、
前記カバー部材は、前記蓋部を前記本体に取り付けたときに、前記搬送ローラに対する前記印字部の位置決めを行う位置決め部を有することを特徴とするプリンタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される用紙に印字を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
巻回されたロール紙から引き出された印字用紙を搬送しながら、サーマルヘッドにより印字を行うプリンタが提供されている。このようなプリンタでは、搬送板(インナーカバー)が、フレームの上面に、搬送される印字用紙に沿って配置されている(特許文献1参照)。特許文献1では、インナーカバーをプリンタのフレームに対して着脱可能とすることで、インナーカバーの交換の他、インナーカバーの近傍又は裏面側に配置されるプラテンローラ、補助ローラやセンサの交換が容易に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-43380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるインナーカバーは、プリンタに対して着脱自在に設けられ、裏面に設けたU字状の取付爪をプリンタのフレームの凹部に挿入する(圧入する)だけで、プリンタのフレームに取り付けられる。したがって、インナーカバーを着脱する動作は非常に簡易なものとなる。しかしながら、特許文献1では、インナーカバーを取り外さない限りは、プラテンローラ、搬送ローラ、センサなど、インナーカバー近傍のコンポーネントを交換できないので、交換作業が面倒である。
【0005】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インナーカバーを取り外さなくとも、インナーカバー近傍のコンポーネントの交換を容易に行うことができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一つの観点によれば、プリンタは、印字を行う印字部に対向する位置に設けられ、前記印字部による印字の際に搬送される用紙が圧接される搬送ローラを有するプリンタにおいて、前記搬送ローラの両端部を支持する支持部材と、前記搬送ローラの両端部を前記支持部材との間で軸支するカバー部材と、を含み、前記カバー部材は、前記支持部材との間で前記搬送ローラの軸支を行う第1の位置と、前記搬送ローラの軸支を解除して、前記搬送ローラを前記支持部材から着脱自在に支持する第2の位置との間で移動自在に前記支持部材に保持されることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、インナーカバーを取り外さなくとも、インナーカバー近傍のコンポーネントの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態におけるプリンタの外観の一例を示す斜視図である。
図2】プリンタの内部の構成のうち、印字に係る主要構成の一例を示す説明図である。
図3】ヘッド保持部及びサーマルヘッドの一例を示す斜視図である。
図4】ヘッド保持部にサーマルヘッドが保持された状態の一例を示す斜視図である。
図5】保持カバーが閉じ位置にあるローラ保持部の一例を示す斜視図である。
図6】保持カバーが開き位置にあるローラ保持部の一例を示す斜視図である。
図7】搬送ローラ及びプラテンローラを取り外した状態を示すローラ保持部の一例を示す斜視図である。
図8図8(a)は保持カバーが閉じ状態にあるローラ保持部の平面図、図8(b)は図8(a)におけるI-I断面図である。
図9図9(a)は保持カバーが開き状態にあるローラ保持部の平面図、図9(b)は図9(a)におけるII-II断面図である。
図10図10(a)は蓋部が開いているときのヘッド保持部とローラ保持部との位置関係、図10(b)は蓋部が閉じているときのヘッド保持部とローラ保持部との位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用したプリンタの実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態におけるプリンタの一例を示す斜視図である。また、図2は、プリンタ内部の構成のうち、印字に係る主要構成の一例を示す説明図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、プリンタ10は、内部に収納された用紙ロール100から繰り出された用紙101を搬送する過程で印字を行い、印字した用紙101を、例えばプリンタ10の前面から排出する装置である。また、プリンタ10は、後述するハンドル17を把持して、使用者の意図する場所へと持ち運ぶことが可能な構造となっている。
【0011】
プリンタ10は、蓋部15、プリンタ本体16及びハンドル17を含む。蓋部15は、プリンタ本体16の背面側で軸支されており、例えば用紙ロール100の装填や、プリンタ10の内部に装着される各コンポーネントの交換などを行う際に開閉される。蓋部15は、表示パネル18を上面に有する。表示パネル18は、例えばタッチパネルディスプレイである。表示パネル18は、プリンタ10における各種設定画面の表示や、表示パネル18における入力操作に基づく表示を行う。
【0012】
蓋部15は、蓋部15の下面に設けられる蓋本体20を有する。蓋本体20は、蓋部15の自由端側の端部にヘッド保持部22を有する。ヘッド保持部22は、サーマルヘッド23を保持する。サーマルヘッド23は、請求項に記載の印字部に相当する。
【0013】
図3及び図4に示すように、ヘッド保持部22は、本体24、開閉扉25を有する。本体24は、幅方向(図3中y方向)を延在方向とした連結シャフト26により蓋部15に軸支される。連結シャフト26は、両端部を本体24から突出した状態で本体24に保持される。連結シャフト26は、蓋部15を閉じたときに、後述するローラ保持部50の係止片57が一方の端部に、ローラ保持部50の係止片58が他方の端部に係止される。
【0014】
本体24は、幅方向(図3中y方向)における一端部に規制片30及び係合突起31を、他端部に規制片32及び係合突起33を有する。なお、規制片30の内壁面から規制片32の内壁面までの長さ(間隔)は、サーマルヘッド23の幅方向の長さと略同一の長さに設定される。
【0015】
規制片30は、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に装着する際に、サーマルヘッド23の図3中左側端部が当接される。同様にして、規制片32は、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に装着する際に、サーマルヘッド23の図3中右側端部が当接される。したがって、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に装着したときに、サーマルヘッド23は、本体24の幅方向(図3中y方向)において位置決めされる。
【0016】
また、規制片30は、蓋部15を閉じたときに、後述するローラ保持部50の位置決め突起71bの内側(蓋部15の回動中心側)に入り込み、位置決め突起71bと当接した状態で保持される。同様にして、規制片32は、蓋部15を閉じたときに、ローラ保持部50の位置決め突起72bの内側(蓋部15の回動中心側)に入り込み、位置決め突起72bと当接した状態で保持される。したがって、蓋部15を閉じると、ヘッド保持部22は、ローラ保持部50に位置決めされる。
【0017】
係合突起31は、例えば下方に突出する係合突起であり、開閉扉25を閉じたときに、開閉扉25に設けた係止部38の凹部38aに入り込む。同様にして、係合突起33は、例えば下方に突出する係合突起であり、開閉扉25を閉じたときに、開閉扉25に設けた係止部39の凹部39aに入り込む。
【0018】
本体24は、規制片30,32間に端子部34を有する。端子部34は、複数の接触端子35を有する。端子部34は、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に装着したときに、複数の接触端子35の各々がサーマルヘッド23の回路基板40に設けた接点部43の対応する接点に各々接触される。
【0019】
本体24は、端子部34の近傍に、位置決め突起36,37を有する。位置決め突起36は、サーマルヘッド23の装着時に、サーマルヘッド23の回路基板40に設けた開口44に挿入される。また、位置決め突起37は、サーマルヘッド23の装着時に、サーマルヘッド23の回路基板40に設けた開口45に挿入される。
【0020】
本体24は、下端部に開閉扉25を軸支する。開閉扉25は、略長方形状の部材である。開閉扉25は、短手方向(図3中x方向)の一端側を回動中心として、本体24の下端部に軸支される。開閉扉25は、長手方向(図3中y方向)における両端部に係止部38,39を有する。
【0021】
係止部38は、例えば板部材を折曲した略V字形状の部材である。係止部38は、図3に示す開閉扉25が開いた状態において、折曲した部分が上方に突出した状態となるように、一方の端部を開閉扉25に連結される。つまり、係止部38は、一方の端部が開閉扉25に固定される固定端となり、他方の端部が自由端となる。
【0022】
係止部38は、自由端が肉厚に構成され、肉厚となる部分に凹部38aを有する。凹部38aは、開閉扉25を閉じたときに、本体24に設けた係合突起31が入り込む。したがって、係止部38と係合突起31とが係合される。係止部38と係合突起31との係合は、係止部38の自由端を固定端に向けて押圧することで解除される。
【0023】
ここで、係止部39も、係止部38と同様の構成で、係止部39の凹部39aに本体24の係合突起33が入り込むことで、係止部39と係合突起33とが係合される。係止部39と係合突起33との係合は、係止部39の自由端を固定端に向けて押圧することで解除される。
【0024】
サーマルヘッド23は、ヘッド保持部22の本体24と開閉扉25との間に挟持された状態で保持される。サーマルヘッド23がヘッド保持部22に保持された状態では、サーマルヘッド23の回路基板40に設けた発熱素子列42が露呈される。なお、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に装着する方法は、例えばヘッド保持部22の本体24にサーマルヘッド23を位置決めした後、開閉扉25を閉じるようにしてもよいし、開閉扉25にサーマルヘッド23を位置決めした後、サーマルヘッド23が位置決めされた開閉扉25を閉じるようにしてもよい。なお、図3及び図4においては、サーマルヘッド23を本体24に位置決めした後に開閉扉25を閉じることで、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に保持する場合を示している。
【0025】
サーマルヘッド23は、回路基板40及び放熱板41を有する。回路基板40は、発熱素子列42や接点部43を回路構成の一部とした回路を有する。発熱素子列42は、複数の発熱素子を、例えば回路基板40の幅方向(図4中y方向)に沿って配列したものである。発熱素子列42は、各発熱素子の発熱により、用紙101の印字面に印字を行う。
【0026】
接点部43は、回路基板40において、発熱素子列42を有する一面とは反対側の面に設けられる。接点部43は、サーマルヘッド23をヘッド保持部22に装着したときに、本体24に有する端子部34の複数の接触端子35の各々に接触される複数の接点を有する。
【0027】
回路基板40は、接点部43の外側に開口44,45を有する。開口44は、本体24の位置決め突起36を挿入し、開口45は位置決め突起37を挿入する。
【0028】
放熱板41は、回路基板40において、接点部43が設けられる面に配置され、発熱素子列の各発熱素子が発する熱を放熱する。
【0029】
図2に戻って、プリンタ本体16は、用紙ロール100を後面側で保持する。用紙ロール100は、長尺の用紙101をロール状に巻回したものである。用紙101は、サーマルヘッド23により印字される印字面と、印字面とは反対側の面で、接着剤が塗布された接着面と、を有する。
【0030】
プリンタ本体16は、プリンタ10の前面側に、ローラ保持部50を有する。図5から図7に示すように、ローラ保持部50は、送込みローラ81及びプラテンローラ82を軸支するとともに、蓋部15を閉じたときに、蓋部15を閉じた状態に保持する。ここで、プラテンローラ82は、請求項に記載の搬送ローラに相当する。
【0031】
蓋部15が閉じた状態では、蓋本体20に軸支した補助ローラ48(図2参照)は、ローラ保持部50に軸支した送込みローラ81に圧接される。また、ヘッド保持部22に保持したサーマルヘッド23の発熱素子列42は、ローラ保持部50に軸支したプラテンローラに圧接される。
【0032】
ローラ保持部50は、側板51,52、連結板53及び保持カバー54を有する。側板51,52は、一定間隔を空けて配置される。側板51,52は、プラテンローラ82を前端側で着脱自在に支持する。ここで、側板51は、プラテンローラ82の一端部を軸受部51a(図7参照)に挿入して支持する。同時に、側板52は、プラテンローラ82の他端部を軸受部52a(図7参照)に挿入して支持する。また、側板51,52は、保持カバー54を後端側で支持する。なお、側板51,52及び連結板53が、請求項に記載の支持部材に相当する。また、保持カバー54が、請求項に記載のカバー部材に相当する。
【0033】
以下では、側板51,52は、プラテンローラ82を支持する構成としているが、プラテンローラ82を側板51,52に支持する構成ではなく、送込みローラ81と同様に、連結板53に支持する構成としてもよい。
【0034】
係止片57は、側板51,52に跨って軸支される連結シャフト59の軸方向における両端部のうち、側板51から外方に突出される端部に回動自在に軸支される。また、係止片58は、上記連結シャフト59の軸方向における両端部のうち、側板52から外方に突出される端部に側板52に回動自在に軸支される。係止片57及び係止片58は、図示を省略したばねにより、図5に示すA方向に付勢されて、図5に示す係止位置に保持される。係止位置は、蓋部15が閉じたときに、連結シャフト26に係止されるときの係止片57,58の位置である。また、係止片57,58は、不図示の開閉レバーの操作を受けて図5中B方向に回動する。また、係止片57,58は、蓋部15を閉じる過程で、連結シャフト26による押圧を受けて図5に示すB方向に回動する。
【0035】
詳細は省略するが、側板51,52のうち、側板51には、送込みローラ81及びプラテンローラ82を各々回転させる駆動機構(不図示)を備える。なお、駆動機構は、例えば複数のギヤを用いた機構、又は、ベルトとプーリとを用いた機構、或いは、これらを組み合わせた機構を用いることができる。
【0036】
連結板53は、ローラ保持部50の上面から、ローラ保持部50の後面に跨って配置されるL字形状の部材である。連結板53は、側板51,52の間に配置される。
【0037】
連結板53は、上面で且つ連結板53の折曲する部分の近傍において、軸受部61,62を有する。軸受部61は、送込みローラ81の一端側を下方から支持する。また軸受部62は、送込みローラ81の他端側を下方から支持する。
【0038】
連結板53は、軸受部61,62に保持される送込みローラ81の回転軸方向(図6中y方向)に沿って、開口63,64を有する。開口63は、保持カバー54を閉じ位置へと移動させたときに、保持カバー54の下面側に設けられた係止部77を挿通する。開口64は、保持カバー54を閉じ位置へと移動させたときに、保持カバー54の下面側に設けられた係止部78を挿通する。
【0039】
また、連結板53は、開口63,64の間に、2つの挿通孔65を有する。以下、図5中左側に設けられる挿通孔に対して符号65aを、図5中右側に設けられる挿通孔に対して符号65bを付して説明する。挿通孔65aは、後述する保持カバー54が閉じ位置にあるときに、保持カバー54に設けた挿通孔79aに連通される。同様にして、挿通孔65bは、後述する保持カバー54が閉じ位置にあるときに、保持カバー54に設けた挿通孔79bに連通される。挿通孔65a,65bは、送込みローラ81及びプラテンローラ82間を搬送される用紙101を検出する用紙センサ(不図示)が各々挿入される。
【0040】
保持カバー54は、ローラ保持部50に保持される送込みローラ81の近傍を回動中心として軸支される。保持カバー54は、図5に示す閉じ位置と、図6に示す開き位置の間で回動する。なお、閉じ位置が請求項に記載の第1の位置に相当し、開き位置が請求項に記載の第2の位置に相当する。
【0041】
保持カバー54は、上面形状において、幅方向(図5中y方向)における中央部分が両端部分よりも下方に位置した、幅方向における中央部が窪んだ形状の部材である。図示は省略するが、保持カバー54が閉じ位置にあるときに、蓋部15が閉じられると、蓋部15に設けたヘッド保持部22の一部が、保持カバー54の上面の両端部の間に入り込む。これにより、ヘッド保持部22は、保持カバー54の幅方向において位置決めされる。なお、保持カバー54は、上面形状において、幅方向における中央部が両端部に対して下方に位置することで、中央部と両端部との間に段差を有している。これら段差を保持カバー54の幅方向における中央に向けて下り傾斜する傾斜面とすることで、蓋部15を閉じたときに、蓋部15に設けたヘッド保持部22を保持カバー54の両端部の間に案内することができる。
【0042】
保持カバー54が閉じ位置にあるとき、保持カバー54は、連結板53の上面の一部と、保持カバー54の下面の一部とが当接された状態となる。この状態では、保持カバー54は、ローラ保持部50に支持される送込みローラ81を、連結板53との間で軸支する。同時に、保持カバー54は、側板51,52に支持されるプラテンローラ82を、側板51,52との間で軸支する。
【0043】
一方、保持カバー54が開き位置にあるとき、保持カバー54は、連結板53の上方から退避する。その結果、保持カバー54及び連結板53による送込みローラ81の軸支や、保持カバー54及び側板51,52によるプラテンローラ82の軸支が解除される。したがって、保持カバー54が開き位置にあるとき、送込みローラ81及びプラテンローラ82は、ローラ保持部50に対して着脱可能となる。
【0044】
保持カバー54は、保持カバー54の回動中心となる端部近傍で、且つ保持カバー54の幅方向における一方の端部に、ガイド片66及び軸挿入部67を、他方の端部に、ガイド片68及び軸挿入部69を各々有する。
【0045】
ガイド片66は、保持カバー54を開き位置から閉じ位置へと回動させたときに、側板51と連結板53の軸受部61との間に入り込む。軸挿入部67は、保持カバー54を閉じ位置へと回動させたときに、送込みローラ81の回転軸方向における一端部(図においては、左側端部)が入り込む。
【0046】
ガイド片68は、保持カバー54を開き位置から閉じ位置へと回動させたときに、側板52と連結板53の軸受部62との間に入り込む。軸挿入部69は、保持カバー54を閉じ位置へと回動させたときに、送込みローラ81の回転軸方向における他端部(図においては、右側端部)が入り込む。
【0047】
保持カバー54は、自由端となる端部で、且つ保持カバー54の幅方向における両端部に、軸押さえ部71,72を有する。軸押さえ部71は、軸挿入部71a及び位置決め突起71bを有する。軸挿入部71aは、保持カバー54を閉じ位置へと回動させたときに、プラテンローラ82の回転軸方向における一端部が入り込む。位置決め突起71bは、蓋部15を閉じたときに、プリンタ10の後面側において、ヘッド保持部22の本体24に設けた規制片30に当接される。
【0048】
軸押さえ部72は、軸挿入部72a及び位置決め突起72bを有する。軸挿入部72aは、保持カバー54を閉じ位置へと回動させたときに、プラテンローラ82の回転軸方向における他端部が入り込む。位置決め突起72bは、蓋部15を閉じたときに、プリンタ10の後面側において、ヘッド保持部22の本体24に設けた規制片32に当接される。
【0049】
保持カバー54は、開口75,76を有する。保持カバー54は、保持カバー54の下面で、且つ開口75の周縁部から下方に突出する係止部77を有する。係止部77は、板部材を下方に凸となるように折り曲げた略V字形状の部材である。したがって、係止部77は、一端が保持カバー54に固定される固定端で、他端が自由端となる。係止部77は、自由端となる他端に係止突起77aを有する。係止突起77aは、係止部77が連結板53の開口63に挿入されたときに、連結板53の下面において、連結板53の開口63の周縁部に係止される(図8(b)参照)。
【0050】
同様にして、保持カバー54は、保持カバー54の下面で、且つ開口76の周縁部から下方に突出する係止部78を有する。係止部78は、板部材を下方に凸となるように折り曲げた略V字形状の部材である。したがって、係止部78は、一端が保持カバー54に固定される固定端で、他端が自由端となる。係止部78は、自由端となる他端に係止突起78aを有する。係止突起78aは、係止部78が連結板53の開口64に挿入されたときに、連結板53の下面において、連結板53の開口64の周縁部に係止される。
【0051】
なお、上述した開口75及び開口76は、係止部77,78による連結板53の係止を解除する際に、例えば使用者の指が挿入される。開口75,76は、例えば成人男性の指(例えば人差し指、又は親指)の平均的な太さよりも大きい開口面積を有する。したがって、開口75,76は、使用者の指を挿入でき、また、挿入した指を開口75,76に挿入した状態で動かすことが可能となる。
【0052】
保持カバー54は、開口75,76の間に、2つの挿通孔79を有する。以下、図5中左側に設けられる挿通孔に対して符号79aを、図5中右側に設けられる挿通孔に対して符号79bを付して説明する。挿通孔79aは、後述する保持カバー54が閉じ位置にあるときに、連結板53に設けた挿通孔65aに連通される。同様にして、挿通孔79bは、後述する保持カバー54が閉じ位置にあるときに、連結板53に設けた挿通孔65bに連通される。挿通孔65a,65bは、送込みローラ81及びプラテンローラ82間を搬送される用紙101を検出する用紙センサ(不図示)が各々挿入される。
【0053】
送込みローラ81は、蓋部15の蓋本体20に軸支される補助ローラ48との間で、用紙ロール100から送り出される用紙101を挟持しながら回転し、用紙101の搬送方向の下流側、すなわち、サーマルヘッド23及びプラテンローラ82に向けて送り出す。
ここで、用紙ロール100から送り出される用紙101は、印字面を上面、接着面を下面として搬送される。したがって、送込みローラ81は、用紙101をサーマルヘッド23及びプラテンローラ82に送り出す過程で、用紙101の接着面に接触する。このため、搬送される用紙101が送込みローラ81の周面に貼着され、ジャムの発生を引き起こす可能性がある。そこで、送込みローラ81は、円周方向に沿う溝を送込みローラ81の軸方向に沿って複数設けたローラや、非粘着処理を外周面に施したローラであることが好ましい。
【0054】
プラテンローラ82は、用紙ロール100から送り出される用紙101の搬送方向において、送込みローラ81の下流側に配置される。プラテンローラ82は、サーマルヘッド23が圧接された用紙101の接着面を受け止めながら回転する。したがって、プラテンローラ82は、送込みローラ81と同様にして、円周方向に沿う溝を、プラテンローラ82の軸方向に沿って複数設けたローラや、非粘着処理を外周面に施したローラであることが好ましい。
【0055】
ところで、用紙101は、搬送する過程で、送込みローラ81及び補助ローラ48により挟持され、同時に、サーマルヘッド23及びプラテンローラ82により挟持される。この状態では、用紙101は、保持カバー54から上方に離れた位置で、すなわち、保持カバー54に非接触で搬送される。
【0056】
以下、実施の形態における送込みローラ81やプラテンローラ82の着脱時の流れを説明する。蓋部15を開くと、プリンタ10の内部が露呈される。すなわち、蓋部15に軸支されるヘッド保持部22、プリンタ本体16に収納される用紙ロール100やローラ保持部50が露呈される。このとき、図5又は図8に示すように、保持カバー54は、閉じ位置に保持されている。この状態では、送込みローラ81は、連結板53と保持カバー54とにより軸支されている。同時に、プラテンローラ82は、側板51,52と保持カバー54とにより軸支されている。
【0057】
保持カバー54の開口75から挿入された指により、係止部77の自由端が係止部77の固定端に向けて押圧されると、係止部77と連結板53との係止が解除される。同時に、保持カバー54の開口76から挿入された指により、係止部78の自由端が係止部78の固定端に向けて押圧されると、係止部78と連結板53との係止が解除される。連結板53に対する係止部77,78の係止を解除することにより、保持カバー54は閉じ位置から開き位置へと回動させることができる。
【0058】
図6又は図9に示すように、保持カバー54を閉じ位置から開き位置へと回動させると、連結板53と保持カバー54とによる送込みローラ81の軸支、及び側板51,52と保持カバー54とによるプラテンローラ82の軸支が解除される。保持カバー54を開き位置に回動した状態では、送込みローラ81は、連結板53の軸受部61,62に跨って支持された状態である。また、プラテンローラ82は、側板51,52に跨って支持された状態である。
【0059】
例えば、送込みローラ81を交換する場合、装着されている送込みローラ81が上方に引き上げられて連結板53の軸受部61,62から取り外される。そして、新たな送込みローラ81が連結板53の軸受部61,62に跨って取り付けられる。
【0060】
また、プラテンローラ82を交換する場合、装着されているプラテンローラ82が上方に引き上げられて側板51,52から取り外される。そして、新たなプラテンローラ82が側板51,52に跨って取り付られる。
【0061】
新たなローラに交換した後、保持カバー54は、開き位置から閉じ位置へと回動される。保持カバー54が閉じ位置へと回動されると、保持カバー54の下面に設けたガイド片66が、連結板53の軸受部61と側板51との間に入り込む。同時に、保持カバー54の下面に設けたガイド片68が、連結板53の軸受部62と側板52との間に入り込む。これにより、保持カバー54が連結板53に対して位置決めされる。
【0062】
保持カバー54が閉じ位置へとさらに回動されると、連結板53に保持された送込みローラ81の一端部が、保持カバー54の軸挿入部67に挿入される。同時に、連結板53に保持された送込みローラ81の他端部が、保持カバー54の軸挿入部69に挿入される。
【0063】
また、側板51,52に跨って保持されたプラテンローラ82の一端部が、保持カバー54の軸押さえ部71の軸挿入部71aに挿入される。同時に、側板51,52に跨って保持されたプラテンローラ82の他端部が、保持カバー54の軸押さえ部72の軸挿入部72aに挿入される。
【0064】
したがって、保持カバー54が閉じ位置まで回動すると、連結板53と保持カバー54とにより、送込みローラ81が軸支された状態となる。また、側板51,52と保持カバー54とにより、プラテンローラ82が軸支された状態となる。
【0065】
なお、保持カバー54が閉じ位置へと回動されたときには、保持カバー54の係止部77が連結板53の開口63に、保持カバー54の係止部78が連結板53の開口64に各々挿入される。保持カバー54の係止部77は、連結板53の開口63に挿入される過程で、自由端側が開口63の周縁部分に当接されながら固定端側に向けて弾性変形する。そして、保持カバー54が閉じ位置まで回動したときに、係止部77の自由端側が自身の付勢力により元の状態に復帰する方向、すなわち、固定端側から離れる方向に移動する。この移動により、係止部77の係止突起77aが、連結板53の下面で、且つ開口63の周縁部に係止される。
【0066】
同様にして、保持カバー54の係止部78は、連結板53の開口64に挿入される過程で、自由端側が固定端側に向けて弾性変形する。そして、保持カバー54の係止部78は、保持カバー54が閉じ位置へと回動したときに、弾性変形した自由端側が、自身の付勢力により元の状態に復帰する方向、すなわち、固定端側から離れる方向に移動して、連結板53の下面で、且つ開口64の周縁部に係止される。これにより、保持カバー54が閉じ位置で保持される。保持カバー54が閉じ位置に保持された状態では、保持カバー54の上面は、送込みローラ81の最頂点、或いは、プラテンローラ82の最頂点よりも低い位置にある。
【0067】
この状態で、蓋部15を閉じると、蓋本体20に軸支されるヘッド保持部22の連結シャフト26の一端部が係止片57を、他端部が係止片58を各々押圧する。これにより、係止片57,58は、図5中B方向へと回動する。そして、蓋部15が完全に閉じると、係止片57,58は、図5(a)中A方向へと回動して、退避位置から係止位置へと復帰する。その結果、係止片57,58が連結シャフト26に係止される。その結果、蓋部15が閉じた状態で保持される。
【0068】
ここで、蓋部15を閉じる過程において、ローラ保持部50の保持カバー54が閉じ位置にあるとき、保持カバー54の軸押さえ部71の位置決め突起71bは、蓋部15が回動したときのヘッド保持部22の本体24の規制片30の移動軌跡よりも外側に位置している。同様に、保持カバー54の軸押さえ部72の位置決め突起72bは、蓋部15が回動したときのヘッド保持部22の本体24の規制片32の移動軌跡よりも外側に位置している。
【0069】
したがって、図10(a)及び図10(b)に示すように、ローラ保持部50の保持カバー54が閉じ位置にある状態で、蓋部15が閉じられる(図10(a)中D方向へと回動させる)と、ヘッド保持部22の本体24の規制片30は、保持カバー54の軸押さえ部71の位置決め突起71bに蓋部15の回転中心側から当接される。同時に、ヘッド保持部22の本体24の規制片32は、保持カバー54の軸押さえ部72の位置決め突起72bに蓋部15の回転中心側から当接される。これにより、ヘッド保持部22はローラ保持部50に対してプリンタ10の前後方向において位置決めされる。
【0070】
また、蓋部15を閉じる過程において、蓋部15の蓋本体20に設けたヘッド保持部22が、ローラ保持部50の保持カバー54の上面に向けて移動する。上述したように、保持カバー54の上面形状は、幅方向における中央部が両端部よりも下方に位置した、所謂、幅方向における中央部が窪んだ形状である。したがって、蓋部15を閉じると、蓋部15の蓋本体20に設けたヘッド保持部22が、保持カバー54の窪んだ中央部分に入り込む。これにより、ヘッド保持部22が、保持カバー54に対して、保持カバー54の幅方向、すなわち、プリンタ10の左右方向において位置決めされる。
【0071】
このとき、用紙ロール100から送り出される用紙101が補助ローラ48と送込みローラ81との間で確実に挟持され、用紙101が、用紙101の搬送方向における下流側に搬送される。また、サーマルヘッド23が用紙101をプラテンローラ82に圧接した状態で印字を行うので、用紙101への印字を確実に行うことができる。
【0072】
例えば図8(b)に示すように、保持カバー54が閉じ位置に保持された状態では、保持カバー54の上面54aは、送込みローラ81の最頂点P1や、プラテンローラ82の最頂点P2よりも低い位置にある。したがって、図2に示すように、補助ローラ48と送込みローラ81とにより送り出される用紙101は、保持カバー54の上面よりも高い位置を搬送される。したがって、用紙101の裏面に塗布された接着剤により用紙101が保持カバーに貼着することが防止され、送込みローラ81及びプラテンローラ82における用紙101の詰まりの発生が防止される。
【0073】
なお、プリンタの中には、補助ローラ48と送込みローラ81とにより用紙101をサーマルヘッド23及びプラテンローラ82に向けて送り出す構造ではないプリンタもある。このような場合も、上記の形態と同様に、用紙ロール100から送り出される用紙101の接着面から離れた位置に保持カバーを配置して、用紙101の接着面が保持カバーに貼着できないようにする。これによれば、プリンタの内部における用紙詰まりの発生を抑止することができる。
【0074】
上記の形態では、送込みローラ及びプラテンローラを軸支するローラ保持部の構成について開示している。しかしながら、ローラ保持部の構成は、これに限定されるものではなく、例えば、プラテンローラのみを軸支するローラ保持部であってもよいし、プラテンローラと、プラテンローラの下流側に配置される搬送ローラとを軸支するローラ保持部であってもよい。
【0075】
<実施形態の総括>
本発明は、用紙に印字を行うサーマルヘッドに対向する位置に配置されるプラテンローラの保持構造及びプリンタに関する。
【0076】
従来のプリンタでは、インナーカバーを取り外さない限りは、プラテンローラ、搬送ローラ、センサなど、インナーカバー近傍のコンポーネントを交換できすることができないので、上記コンポーネントの交換作業が面倒である。
【0077】
本発明は、インナーカバーを取り外さなくとも、インナーカバー近傍のコンポーネントの交換を容易に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【0078】
上記の形態では、印字を行うサーマルヘッド23に対向する位置に設けられ、サーマルヘッド23による印字の際に搬送される用紙101が圧接されるプラテンローラ82を有するプリンタ10において、プラテンローラ82の両端部を支持する側板51,52と、プラテンローラ82の両端部を側板51,52との間で軸支する保持カバー54と、を含み、保持カバー54は、側板51,52との間でプラテンローラ82の軸支を行う閉じ位置と、プラテンローラ82の軸支を解除してプラテンローラ82を側板51,52から着脱自在に支持する開き位置との間で移動自在に側板51,52に設けられる。
【0079】
これによれば、保持カバー54をローラ保持部50から取り外すのではなく、閉じ位置から開き位置へと回動させるという動作のみで、プラテンローラ82を交換することができる。このとき、保持カバー54をローラ保持部50から取り外すことがないので、取り外した保持カバー54をなくさずに済み、また、取り外した保持カバー54を破損させずに済む。さらに、保持カバー54を閉じ位置と開き位置との間で回動させる構成を採用していることで、保持カバー54を取り付けるときに、保持カバー54の向きを気にすることがない。
【0080】
また、用紙101の搬送方向においてプラテンローラ82とは異なる位置に配置され、用紙101をサーマルヘッド23に向けて搬送する送込みローラ81を有し、連結板53は、プラテンローラ82の他に、送込みローラ81を支持し、保持カバー54は、閉じ位置にあるときに、連結板53との間で送込みローラ81を軸支し、開き位置にあるときに、送込みローラ81を連結板53から着脱自在に支持するものである。
【0081】
これによれば、プラテンローラ82の他に、送込みローラ81を軸支するローラ保持部50の構成の場合には、保持カバー54を閉じ位置から開き位置へと回動させるだけで、プラテンローラ82及び送込みローラ81を容易に着脱させることができる。また、この場合も、保持カバー54を開き位置から閉じ位置へと回動させると、送込みローラ81は、連結板53と保持カバー54とにより軸支され、同時に、プラテンローラ82が側板51,52と保持カバー54とにより軸支される。したがって、送込みローラ81を軸支する構成を保持カバー54とは別に設けずに済み、簡易な構成で、送込みローラ81を軸支することが可能となる。
【0082】
また、用紙101は、サーマルヘッド23による印字が施される印字面と、印字面の反対側の面で、接着剤が塗布された接着面とを有し、保持カバー54は、閉じ位置にあるときに、プラテンローラ82及び送込みローラ81の間を搬送される用紙101の接着面から離れた位置に保持されるものである。
【0083】
これによれば、用紙101の搬送時に、用紙101の接着面が、保持カバー54に貼着されることが防止され、用紙101の搬送経路において、用紙詰まり(ジャム)の発生を抑止することができる。
【0084】
また、保持カバー54は、閉じ位置で連結板53に係止する係止部77,78を有し、係止部77,78は、プラテンローラ82と送込みローラ81との間に配置されるものである。
【0085】
これによれば、プリンタ10の内部において、例えばサーマルヘッドを送込みローラ81とプラテンローラ82との間に配置することを考慮した場合、サーマルヘッド23を保持するヘッド保持部22の構成も送込みローラ81とプラテンローラ82との間に配置する必要があり、これらローラを一定の距離、離間して配置する必要がある。そこで、保持カバー54が閉じ位置に回動したときに、連結板53に係止する係止部77,78をこれらローラの間となる位置で、保持カバー54に配置することで、用紙101の搬送長さを短くできる。また、保持カバー54は、蓋部15を開いたときに、蓋部15を開けた使用者の近傍側に配置されているので、係止部77,78が操作しやすい位置となる。すなわち、保持カバー54が閉じ位置にあるとき、使用者は、係止部77,78による係止を解除させやすくなる。また、係止部77,78が連結板53に係止されることで、保持カバー54を連結板53に位置決め固定できる。
【0086】
また、ローラ保持部50を有するプリンタ本体16と、サーマルヘッド23を有し、プリンタ本体16に取り付けられる蓋部15と、を含み、保持カバー54は、蓋部15をプリンタ本体16に取り付けたときに、プラテンローラ82に対するサーマルヘッド23の位置決めを行う位置決め突起71b、72bを有するものである。
【0087】
これによれば、蓋部15を閉じるだけで、ローラ保持部50に対するヘッド保持部22の位置決めが行われることになる。したがって、サーマルヘッド23により用紙101に印字される印字位置のずれの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0088】
10…プリンタ
15…蓋部
16…プリンタ本体
22…ヘッド保持部
23…サーマルヘッド
50…ローラ保持部
51,52…側板
53…連結板
54…保持カバー
81…送込みローラ
82…プラテンローラ
101…用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10