(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011337
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20220107BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20220107BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220107BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20220107BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220107BHJP
B41J 29/19 20060101ALI20220107BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20220107BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B65H7/06
B65H5/36
G03G15/00 480
G03G21/16 104
G03G21/16 138
G03G21/00 500
B41J29/19
B41J29/46 Z
B41J29/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112400
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】特許業務法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 和範
(72)【発明者】
【氏名】近藤 司
【テーマコード(参考)】
2C061
2H072
2H171
2H270
3F048
3F101
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB11
2C061CQ22
2C061CQ28
2C061CQ42
2C061HV09
2C061HV10
2C061HV34
2H072AA02
2H072AA16
2H072AA22
2H072AB17
2H072AB27
2H072EA02
2H072EA16
2H072JA04
2H171FA22
2H171FA28
2H171FA30
2H171HA23
2H171JA16
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB15
2H171QB32
2H171RA03
2H171SA11
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA28
2H171SA31
2H171WA12
2H171WA17
2H171XA13
2H270KA54
2H270KA56
2H270LA99
2H270LC22
2H270LD08
2H270MB27
2H270MC55
2H270MF14
2H270MF15
2H270QB06
2H270RA18
2H270RA19
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA14
3F048BB02
3F048BC01
3F048BD03
3F048CC02
3F048DA06
3F048EB22
3F101FB00
3F101FE02
3F101FE08
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】ジャムした位置を知らせることと、ジャム発生個所を照らすことを行うことを少ない照明装置で実現できる構成を提供する。
【解決手段】ジャムしたシートを取り出すための開口部がシート幅方向Yの片側に設けられている。対向部材450(450-1又は450-2)は、搬送部480よりも開口部側に設けられ、シートと対向する対向位置と、対向位置から退避して操作者が開口部からジャムしたシートにアクセス可能な取り出し位置との間で移動可能である。照明装置483は、搬送部480よりも開口部側に設けられ、シートがジャムした場合に点灯する。照明装置483は、対向部材450が対向位置にあるとき(符号450-1)には対向部材450よりも取り出し位置側を照らし、対向部材450が取り出し位置にあるとき(符号450-2)には対向部材450よりも第1位置側を照らすように配置されている。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段の前記搬送方向と直交する幅方向片側に設けられ、前記搬送手段においてジャムしたシートを取り出すための開口部と、
前記搬送手段よりも前記開口部側に設けられ、前記搬送手段で搬送されるシートと対向する第1位置と、前記第1位置から退避して操作者が前記開口部から前記ジャムしたシートにアクセス可能な第2位置との間で移動可能な対向部材と、
前記搬送手段よりも前記開口部側に設けられ、前記搬送手段においてシートがジャムした場合に点灯する照明手段と、を備え、
前記照明手段は、前記対向部材が前記第1位置にあるときには前記対向部材よりも前記第2位置側を照らし、前記対向部材が前記第2位置にあるときには前記対向部材よりも前記第1位置側を照らすように配置されている、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記対向部材は、前記第1位置において前記搬送手段で搬送されるシートと対向する対向面と、前記対向面と反対側の裏面とを有し、
前記照明手段は、前記搬送手段においてシートがジャムした場合に、前記対向部材が前記第1位置にあるときは前記裏面を照らし、前記対向部材が前記第2位置にあるときは前記対向面を照らす位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記対向部材は、前記第1位置から前記第2位置に移動する際に、前記搬送手段で搬送されるシートの厚み方向に移動し、
前記照明手段は、前記厚み方向に関し、前記第1位置と前記第2位置との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記対向部材は、前記第1位置から前記第2位置に移動する際に、前記幅方向に関して前記開口部側に移動し、
前記照明手段は、前記幅方向に関し、前記第2位置にある前記対向部材よりも前記開口部と反対側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記照明手段は、前記幅方向に関し、前記第1位置にある前記対向部材と重複する位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記照明手段は、第1発光部材及び第2発光部材を有し、
前記第1発光部材は、前記対向部材よりも前記搬送方向片側に配置され、
前記第2発光部材は、前記対向部材よりも前記搬送方向他側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記対向部材は、前記幅方向に関して前記開口部側の端部に設けられ、前記対向部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させるために操作者が把持する把持部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトと対向する位置に前記搬送方向に沿って複数配置され、前記搬送ベルトとの間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能な球体と、を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし7の何れか1項に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを搬送するシート搬送装置においては、シートの搬送中にシートがジャムする場合がある。このために、ジャムが発生したガイド板近傍に発光手段を設けたり、ジャム発生個所を照らす照明手段を設けた構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成の場合、ジャムが発生したガイド板近傍の発光手段は、ジャムした位置を知らせるものであり、ジャム発生個所を照らすものではない。一方、ジャム発生個所を照らす照明手段は、ジャムした位置を知らせるものではない。このため、特許文献1に記載の構成の場合、ジャムした位置を知らせる発光手段と、ジャム発生個所を照らす照明手段とは別であり、ジャムした位置を知らせることと、ジャム発生個所を照らすことを行うためには、2種類の照明が必要となり、照明手段又は発光手段の数が多くなってしまう。
【0005】
本発明は、ジャムした位置を知らせることと、ジャム発生個所を照らすことを行うことを少ない照明手段で実現できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート搬送装置は、シートを搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段の前記搬送方向と直交する幅方向片側に設けられ、前記搬送手段においてジャムしたシートを取り出すための開口部と、前記搬送手段よりも前記開口部側に設けられ、前記搬送手段で搬送されるシートと対向する第1位置と、前記第1位置から退避して操作者が前記開口部から前記ジャムしたシートにアクセス可能な第2位置との間で移動可能な対向部材と、前記搬送手段よりも前記開口部側に設けられ、前記搬送手段においてシートがジャムした場合に点灯する照明手段と、を備え、前記照明手段は、前記対向部材が前記第1位置にあるときには前記対向部材よりも前記第2位置側を照らし、前記対向部材が前記第2位置にあるときには前記対向部材よりも前記第1位置側を照らすように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ジャムした位置を知らせることと、ジャム発生個所を照らすことを行うことを少ない照明手段で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る画像形成システムの概略構成断面図。
【
図5】実施形態に係る中継搬送装置を搬送方向に直交する方向に切断した断面図。
【
図6】実施形態に係る中継搬送装置を搬送方向に沿って切断した断面図。
【
図8】実施形態に係る多段給送装置の前扉が開いた状態を示す斜視図。
【
図9】実施形態に係る多段給送装置の前扉が開いた状態を示す正面図。
【
図10】(a)実施形態に係る第1発光部材の位置を示す斜視図、(b)実施形態に係る第2発光部材の位置を示す斜視図。
【
図11】実施形態に係る第1発光部材及び第2発光部材の斜視図。
【
図12】実施形態に係る前扉の扉開閉センサを示す斜視図。
【
図14】実施形態に係る対向部材が対向位置にある状態の中継搬送装置の断面図。
【
図15】実施形態に係る対向部材が取り出し位置にある状態の中継搬送装置の断面図。
【
図16】実施形態に係る対向部材の対向位置と取り出し位置の関係を示す中継搬送装置の断面図。
【
図17】(a)実施形態に係る対向部材が対向位置にある状態を示す中継搬送装置の側面図、(b)実施形態に係る対向部材が取り出し位置にある状態を示す中継搬送装置の側面図。
【
図18】実施形態に係る対向部材を
図16の上方から見た場合の対向部材の対向位置と取り出し位置の関係を示す模式図。
【
図19】実施形態に係る照明装置と各種センサの制御ブロック図。
【
図20】実施形態に係る扉の開閉に対する照明装置の制御フローチャート。
【
図21】実施形態に係るジャム処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態について、
図1~
図21を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成システムについて、
図1を用いて説明する。
【0010】
[画像形成システム]
図1は、本実施形態に係る多段給送装置及び画像形成装置を備える画像形成システムの一例を概略的に示す断面図である。以下の説明では、画像形成部を有する画像形成装置として、電子写真方式を用いたレーザプリンタシステム(以下単にプリンタと呼ぶ)を例に挙げて説明する。なお、画像形成システムを構成する画像形成装置は、プリンタ以外に、複写機、ファクシミリ、複合機などであっても良い。また、画像形成装置は、電子写真方式に関らず、インクジェット方式などの他の方式の構成であっても良い。
【0011】
本実施形態の画像形成システム1000は、画像形成装置100と、画像形成装置100に接続されたシート給送装置としての多段給送装置200と、給送デッキ500と、を有している。多段給送装置200は、詳しくは後述するように、それぞれが複数枚のシートを収納可能な複数の収納庫を有しており、各収納庫から画像形成装置100にシートを給送可能である。また、給送デッキ500も複数枚のシートを収納可能な収納庫を有しており、シート搬送方向に関して、多段給送装置200の上流側に配置されている。また、給送デッキ500から給送されるシートは、多段給送装置200に設けられた中継搬送装置400を介して画像形成装置100に搬送される。なお、シートとしては、普通紙、薄紙、厚紙などの紙、プラスチックシートなどが挙げられる。
【0012】
画像形成装置100は、画像形成装置本体101に接続された原稿読み取り装置102又は画像形成装置本体101に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)をシートに形成する。本実施形態の場合、原稿読み取り装置102は、画像形成装置本体101の上側に配置されている。
【0013】
原稿読み取り装置102は、原稿を読み取る際には、プラテンガラス103の上に載置された原稿に走査光学系光源によって光を照射すると共に、反射光をCCDに入力することにより原稿画像を読み取るようにしている。また、原稿読み取り装置102は、自動原稿搬送装置(ADF)104を備えており、トレイ105上に載置された原稿をADF104により自動的に原稿読み取り装置102の読み取り部に搬送して、原稿画像を読み取ることも可能である。そして、読み取った原稿画像は電気信号に変換されて、後述する画像形成部110のレーザスキャナ113に伝送される。なお、レーザスキャナ113は、上述したようにパーソナルコンピュータ等から送信されてくる画像データが入力される場合もある。
【0014】
画像形成装置100は、画像形成部110、複数のシート給送装置120、シート搬送装置130等を備える。画像形成装置100は、制御部140により各部が制御される。制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0015】
複数のシート給送装置120は、それぞれシートSを収納するカセット121と、ピックアップローラ122と、フィードローラ123及びリタードローラ124から構成される分離搬送ローラ対125とを備えている。カセット121内に収納されたシートSは、所定のタイミングで昇降動作して回転するピックアップローラ122と分離搬送ローラ対125とによって1枚ずつ分離されて給送される。
【0016】
シート搬送装置130は、搬送ローラ対131、レジストローラ対133を備えている。シート給送装置120から給送されたシートSは、搬送ローラ対131によりシート搬送路134を通過させられた後、レジストローラ対133に導かれる。この後、シートSは、レジストローラ対133によって、所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0017】
なお、後述する多段給送装置200や給送デッキ500から搬送ローラ対201を介して搬送されるシートは、画像形成装置100との接続経路202を介して画像形成装置100内に搬送される。そして、多段給送装置200や給送デッキ500から画像形成装置100内に搬送されたシートは、画像形成装置100内のシート給送装置120から搬送されるシートと同様に、レジストローラ対133を介して所定のタイミングで画像形成部110に送り込まれる。
【0018】
画像形成部110は、感光ドラム111、帯電器112、レーザスキャナ113、現像器114、転写装置115、クリーナ117等を備えている。画像形成時には、感光ドラム111が図の矢印方向に回転駆動され、まず、帯電器112により感光ドラム111の表面が一様に帯電される。そして、画像信号に応じて発光されるレーザスキャナ113からのレーザ光が帯電された感光ドラム111に照射されることで、感光ドラム111上に静電潜像が形成される。さらに、このようにして感光ドラム111上に形成された静電潜像は、この後、現像器114によってトナー像として顕像化される。
【0019】
この後、感光ドラム111上のトナー像は、転写部116において転写装置115によりシートSに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ151によって機外の排出トレイ152に排出される。
【0020】
シートSの裏面にトナー像を形成する場合には、定着装置150から排出されたシートSを反転搬送路160に搬送する。そして、反転搬送路160により表裏を反転した状態で、シートSを再度、画像形成部110の転写部116に搬送する。裏面にトナー像が転写されたシートSは、定着装置150に搬送され、トナー像の定着が行われた後、排出ローラ151により排出トレイ152に排出される。なお、転写後に感光ドラム111上に残った転写残トナーは、クリーナ117により除去される。
【0021】
[多段給送装置]
引き続き、
図1を用いて多段給送装置200の概要について説明する。多段給送装置200は、複数の収納庫210a~210c、中継搬送装置400等を備える。本実施形態では、3つの収納庫210a~210cを上下に3段並べており、一番下の収納庫210cと上から2番目の収納庫210bとの間に中継搬送装置400を配置している。
【0022】
一番上の収納庫210aから給送されたシートは、搬送経路212に搬送され、上から2番目の収納庫210bから給送されたシートは、搬送経路213に搬送され、一番下の収納庫210cから給送されたシートは、搬送経路214に搬送される。また、中継搬送装置400から搬送されたシートは、搬送経路215に搬送される。搬送経路213は、途中で搬送経路212に合流している。また、搬送経路212,214,215は、合流点216で合流し、搬送経路217を通って搬送ローラ対201に搬送され、接続経路202を介して画像形成装置100に搬送される。
【0023】
また、搬送経路213と合流後の搬送経路212、中継搬送装置400、搬送経路214には、それぞれシートの重送を検知する重送検知センサが配置されている。そして、重送検知センサにより重送が検知されたシートは、搬送経路217まで搬送される。搬送経路217の下方には、重送が検知されたシートを収容する重送シート収容部(エスケープトレイ)218が配置されている。重送が検知され、搬送経路217に搬送されたシートは、搬送経路217に設けられた切換部材219により搬送経路が切り換えられることで、重送シート収容部に搬送される。
【0024】
また、多段給送装置200は、制御部203により各部が制御される。制御部203は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。また、制御部203は、画像形成装置100の制御部140と通信可能であり、制御部140と通信することでシートの給送タイミングなどを制御する。
【0025】
上流側の給送デッキ500から給送されたシートは、搬送経路512を通って中継搬送装置400に搬送される。また、多段給送装置200は、手差しでもシートが給送可能となっている。手差しで給送されたシートは、搬送経路512に合流する搬送経路510に搬送され、搬送ローラ対511により搬送経路512を介して中継搬送装置400に搬送される。
【0026】
中継搬送装置400は、詳しくは次述するが、搬送ベルト12などを備える位置ずれ補正部410、位置ずれ補正部410のシート搬送方向上流側の搬送ローラ対401、位置ずれ補正部410のシート搬送方向下流側の搬送ローラ対402等を備える。搬送経路512を搬送されるシートは、搬送ローラ対401により位置ずれ補正部410に送られる。シートは、位置ずれ補正部410でサイドレジ(シート幅方向端縁の位置ずれ)とサイドスキュー(シート搬送方向に対するシートの幅方向端縁の傾き)が補正された後、下流側の搬送ローラ対402に受け渡される。そして、搬送ローラ対402、403により搬送経路215に搬送される。このように、中継搬送装置400は、上流側の給送デッキ500等から搬送されたシートの位置ずれなどを補正し、下流側の画像形成装置100に受け渡す。
【0027】
[中継搬送装置]
次に、シート搬送装置としての中継搬送装置400について説明する。まず、中継搬送装置400の概略構成について、
図2ないし
図5を用いて説明する。中継搬送装置400は、上流側の搬送ローラ対401、下流側の搬送ローラ対402、上述の位置ずれ補正部410などを有し、シートを搬送方向Xに搬送する。位置ずれ補正部410は、搬送手段としての搬送部480、1対の規制ガイド14A、14B、ガイド移動部420等を有する。搬送部480は、搬送ベルト12と、複数の球体20とを有する。
【0028】
搬送ベルト12は、シートを搬送する搬送部材としての搬送ローラ対401の搬送方向Xの下流(搬送方向下流)に配置されている。搬送ベルト12は、プーリ11A、11Bに掛け渡された無端状のベルトであり、搬送方向Xに沿って延設される搬送面12Aを有する。片側のプーリ11Aには、駆動源としてのモータM1が接続されており、搬送ベルト12は、モータM1の駆動により回転する。このような搬送ベルト12は、搬送方向Xの上流側の搬送ローラ対401から搬送面12Aに受け渡されたシートを搬送方向Xに搬送する。
【0029】
球体20は、搬送ベルト12の搬送面12Aと対向する位置に搬送方向Xに沿って複数配置されている。本実施形態では、複数の球体20は、搬送ベルト12の上方に配置されている。複数の球体20は、搬送面12Aとの間でシートを挟持しつつ、任意方向に回転可能である。このために、複数の球体20は、それぞれ搬送ベルト12の上方に設けられた保持板18に任意方向に回転自在に保持されている。即ち、保持板18は、
図2及び
図3に示すように、搬送ベルト12の上方に、搬送面12Aと所定距離離れた位置に搬送方向Xに沿って配置された長尺の板であり、搬送方向Xに互いに間隔をあけて複数の保持穴18Aを有する。そして、保持穴18Aにそれぞれ球体20を回転自在に保持している。
【0030】
球体20は、
図4に示すように、保持穴18Aから露出し、搬送ベルト12の搬送面12A上に載置され、任意の方向に回転自在とされている。球体20は、それぞれ自重により搬送面12Aに当接している。なお、球体20の個数は、搬送ベルト12上を搬送されるシートに対して必要とされる押し付け力に応じて設定すればよい。また、球体20は、シートが後述するように搬送ベルト12上でスリップしながら搬送されることから、摩擦係数が比較的低いガラスやプラスチックなどの材料で構成されることが好ましい。なお、本実施形態では、複数の球体20を搬送方向Xに沿って1列に並べた構成について説明したが、複数の球体20を2列など複数の列にそれぞれ搬送方向Xに並べて配置するようにしても良い。
【0031】
1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送方向Xと交差するシート幅方向Y(本実施形態では搬送方向と直交する方向、幅方向)に関して、搬送ベルト12の両側に配置されている。そして、1対の規制ガイド14A、14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向Yの両端縁(シート幅方向両端縁)をガイド可能である。なお、シート幅方向Yに関して片側に配置された規制ガイド14Bは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向片端縁をガイド可能である。また、シート幅方向Yに関して他側に配置された規制ガイド14Aは、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートのシート幅方向他端縁をガイド可能である。
【0032】
1対の規制ガイド14A、14Bは、
図5に示すように、それぞれ側板部15と、下板部16と、上板部17と、を有し、これら各板部15、16、17で囲まれる空間内に、搬送ベルト12で搬送されるシートSの端部が侵入可能としている。1対の規制ガイド14A、14Bは、後述するガイド移動部420によりガイド位置と、退避位置との移動可能に、支持軸421A、421B(
図3参照)に支持されている。支持軸421A、421Bは、それぞれシート幅方向Yと略平行に配置され、1対の規制ガイド14A、14Bの搬送方向Xの端部側を支持している。1対の規制ガイド14A、14Bは、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動可能である。
【0033】
側板部15は、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁(シート幅方向端縁)と対向するガイド面15Aを有する。ガイド面15Aは、搬送方向Xと平行に配置されている。また、ガイド面15Aは、搬送方向及びシート幅方向Yにそれぞれ直交する面、本実施形態では、略鉛直方向に沿った面である。
【0034】
下板部16は、側板部15と直交するように配置され、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁を支持する支持面16Aを有する。支持面16Aは、ガイド面15Aの鉛直方向下端部から略水平方向に延設されている。また、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に位置する。
【0035】
ここで、仮に、支持面16Aと搬送面12Aとが同一の高さ、又は、支持面16Aの方が搬送面12Aよりも鉛直方向上方に位置する場合を考える。この場合、厚紙などの剛度の高いシートSが
図5に示すように下にカール状態(幅方向Yの両端縁が中央よりも下がった状態)で、搬送ベルト12と球体20の間に搬送されてくると、シートSの幅方向Yの両端縁が支持面16Aに支持される。この際、シートSの幅方向Yの中央部が持ち上げられた状態(ブリッジした状態)になり、球体20を押し上げてしまう。この結果、搬送ベルト12と球体20は離間した状態になり、搬送ベルト12の搬送力がシートSに伝わらず、搬送不良が生じる虞がある。このため、本実施形態では、支持面16Aは、搬送ベルト12の搬送面12Aよりも鉛直方向下方に配置するようにしている。
【0036】
上板部17は、支持面16Aと対向して配置される対向面17Aを有する。対向面17Aは、ガイド位置において、搬送ベルト12と球体20とで挟持されつつ搬送されるシートSのシート幅方向Yの端縁の上方に位置する。また、対向面17Aは、支持面16Aと略平行に形成されている。
【0037】
ガイド移動部420は、
図2及び
図3に示すように、1対の規制ガイド14A、14Bのうちの規制ガイド14Aを移動させる第1移動部420Aと、他側の規制ガイド14Bを移動させる第2移動部420Bとを有する。また、ガイド移動部420は、規制ガイド14Aを移動させる駆動力を発生させるモータM2、他側の規制ガイド14Bを移動させる駆動力を発生させるモータM3を有する。
【0038】
第1移動部420Aは、1対のプーリ422A、423Aと、両プーリ422A、423Aに掛け渡された無端状のベルト424Aと、ベルト424Aと規制ガイド14Aとを接続する接続部425Aとを有する。同様に、第2移動部420Bは、1対のプーリ422B、423Bと、両プーリ422B、423Bに掛け渡された無端状のベルト424Bと、ベルト424Bと他側の規制ガイド14Bとを接続する接続部425Bとを有する。
【0039】
また、
図2に示すように、第1移動部420Aは駆動源としてのモータM2に、第2移動部420Bは駆動源としてのモータM3にそれぞれ駆動される。即ち、本実施形態の場合、1対の規制ガイド14A、14Bを移動させる駆動源としてのモータを別々とし、1対の規制ガイド14A、14Bは、それぞれ独立して移動可能となっている。このために、第1移動部420Aのプーリ422Aは、連結軸426Aを介してプーリ427Aと連結されており、プーリ427Aは、モータM2に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Aを掛け渡されている。そして、モータM2の回転駆動が、ベルト428A、プーリ427A、連結軸426A、プーリ422Aを介してベルト424Aに伝達される。上述のように、ベルト424Aには、接続部425Aを介して規制ガイド14Aが接続されているため、モータM2の駆動により、規制ガイド14Aが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0040】
同様に、第2移動部420Bのプーリ422Bは、連結軸426Bを介してプーリ427Bと連結されており、プーリ427Bは、モータM3に回転駆動されるプーリとの間でベルト428Bを掛け渡されている。そして、モータM3の回転駆動が、ベルト428B、プーリ427B、連結軸426B、プーリ422Bを介してベルト424Bに伝達される。上述のように、ベルト424Bには、接続部425Bを介して他側の規制ガイド14Bが接続されているため、モータM3の駆動により、他側の規制ガイド14Bが、支持軸421A、421Bに沿ってシート幅方向Yに移動する。
【0041】
このようにモータM2、M3を駆動することで、規制ガイド14A、14Bをそれぞれガイド位置や退避位置に移動させている。本実施形態の場合、モータM2、M3は、パルスモータ(ステッピングモータ)としており、規制ガイド14A、14Bの位置は、モータに送るパルス数により制御している。また、規制ガイド14A、14Bは、それぞれホームポジションを有し、ホームポジションにはそれぞれ規制ガイド14A、14Bを検知するセンサを設けている。このため、ホームポジションで規制ガイド14A、14Bの位置を検知し、その後は、モータに送るパルス数により規制ガイド14A、14Bをガイド位置や退避位置に移動させるようにしている。
【0042】
なお、本実施形態の場合、上述の搬送ベルト12を駆動するモータM1、規制ガイド14A、14Bを移動させるモータM2、M3、後述するモータM5、M7、M8は、他側の規制ガイド14B側に配置している。特に、搬送方向Xに関して、位置ずれ補正部410のシートの搬送範囲内にあるモータについては、搬送ベルト12よりも奥側(片側の規制ガイド14B側)に配置することが好ましい。これは、詳しくは後述するように、手前側(他側の規制ガイド14A側)からジャムしたシートを取り除くようにしているためである。
【0043】
また、本実施形態の場合、
図3及び
図4に示すように、上流側の搬送ローラ対401と搬送ベルト12との間に、シートの重送を検知する重送検知センサ430を配置している。重送検知センサ430は、例えば、超音波によりシートが2枚以上重なって搬送されたことを検知するセンサである。多段給送装置200の制御部203(
図1)は、重送検知センサ430によりシートの重送を検知した場合には、重送シートを中継搬送装置400、搬送経路215、217を介して上述した重送シート収容部218に搬送する。
【0044】
また、本実施形態の場合、
図3、
図6、及び、後述する
図13ないし
図17に示すように、シート幅方向Yに関して、搬送ベルト12と1対の規制ガイド14A、14Bの間に、搬送ベルト12により搬送されるシートの下面と対向する対向部材450、460を配置している。対向部材450、460は、仮に、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかに支持されずに搬送された場合に、そのシートの端部を支持する。対向部材450、460の詳しい構成については後述する。
【0045】
このように構成される中継搬送装置400は、搬送方向Xの上流の搬送ローラ対401から搬送ベルト12に受け渡されたシートを、搬送ベルト12と球体20によって挟持する。そして、搬送ベルト12の回転によりシートを搬送する。この際、詳しくは後述するように、搬送ベルト12に搬送されるシートの幅方向Yの両端を1対の規制ガイド14A、14Bのガイド面15Aに突き当てる。シートは、ガイド面15Aへ突き当てられると、両側端をガイド面15Aに沿わせつつ搬送ベルト12との間でスリップしながら、ガイド面15Aと平行な方向に搬送される。この際、搬送ベルト12との間でシートを球体20により挟持しており、球体20は、任意方向に回転可能であるため、シートは、搬送ベルト12上を任意方向にスリップしながら移動可能である。これにより、シートのサイドレジ及びサイドスキューが補正される。
【0046】
[シートのジャム検知]
次に、本実施形態のシートのジャム検知の構成について、
図6を用いて説明する。
図6に示すように、本実施形態の中継搬送装置400では、シートのジャムを検知するために複数のシート検知センサ431~435を有する。なお、シートのジャムとは、シートが搬送路において詰まるなどして滞留してしまうことである。
【0047】
シート検知センサ431は、手差しで給送され、搬送ローラ対511により搬送されるシートを検知する。シート検知センサ432は、上流側の給送デッキ500(
図1)から給送されたシートを検知する。シート検知センサ433は、搬送部480の上流で搬送ローラ対401により搬送されるシートを検知する。シート検知センサ434は、搬送部480の下流で搬送部480により搬送されるシートを検知する。シート検知センサ435は、更にその下流の搬送ローラ対402と搬送ローラ対403との間に配置され、搬送ローラ対402により搬送されるシートを検知する。
【0048】
多段給送装置200の制御部203(
図1)は、シート検知センサ431~435の検知信号に基づいて、搬送路においてシートがジャムしたか否かを判断する。そして、制御部203は、シートがジャムしたと判断した場合には、シートの搬送を停止し、画像形成システム1000に設けられた液晶パネルなどの表示部などにシートがジャムしたこと、及び、ジャムした個所を表示する。この際、ユーザやサービスマンなどの操作者に該当箇所の扉を開けるように促す。本実施形態では、搬送手段としての搬送部480においてシートがジャムした場合について説明する。なお、上述したように、搬送部480は、搬送ベルト12と、複数の球体20とを有し、搬送ベルト12と複数の球体20との間でシートを搬送する部分である。
【0049】
[ジャムしたシートへのアクセス]
次に、中継搬送装置400の搬送部480においてジャムしたシートへのアクセスのための構成について説明する。中継搬送装置400は、
図7に示すように、上述の位置ずれ補正部410を収容する筐体470を有する。筐体470は、シート幅方向Yの片側(幅方向片側)に、筐体470内のシートを取り出すための開口部471が形成されている。開口部471は、シート幅方向Yに関して規制ガイド14A側(第1の規制ガイド側)に設けられ、主として、搬送ベルト12上で停止したシートを取り出すための開口である。即ち、開口部471は、搬送部480のシート幅方向Yの片側(幅方向片側)に設けられ、搬送部480においてジャムしたシートを取り出すための開口である。
【0050】
ここで、シート幅方向Yの片側とは、画像形成システム1000を操作する側、即ち、装置の手前側である。開口部471は、筐体470の手前側の側板472に形成されており、操作者の手を挿入可能な高さ及び幅を有する。また、開口部471の搬送方向Xの長さは、対向部材450の搬送方向Xの長さよりも長くしている。そして、後述するように対向部材450を移動させた場合に、対向部材460の一部が開口部471から露出可能としている。
【0051】
また、開口部471は、後述する
図14に示すように、搬送ベルト12の下方に位置する。一方、
図2に示すように、ガイド移動部420を構成する第1移動部420A及び第2移動部420Bは、搬送ベルト12よりも上方に配置されている。第1移動部420A及び第2移動部420Bは、上述したように、プーリ422A、423A、422B、423B、ベルト424A、424B、接続部425A、425Bを有する。
【0052】
ここで、開口部471が仮に、搬送ベルト12に対して第1移動部420A及び第2移動部420Bと同じ側にあった場合、シートを取り出す際にこれら第1移動部420A及び第2移動部420Bが邪魔になる可能性がある。このため、本実施形態では、開口部471を、搬送ベルト12に対して、第1移動部420A及び第2移動部420Bと反対側に設けている。即ち、第1移動部420A及び第2移動部420Bを搬送ベルト12の上方に、開口部471を搬送ベルト12の下方にそれぞれ配置している。
【0053】
多段給送装置200の手前側には、
図8及び
図9に示すように、開閉可能な前扉220が設けられている。そして、前扉220を開くことで、中継搬送装置400の開口部471にアクセス可能となっている。本実施形態の場合、前扉220は、上下方向下側に搬送方向Xと平行な回転軸を有するヒンジを有し、この回転軸を中心に下側に回動することで開くようになっている。
【0054】
中継搬送装置400は、開口部471内に照明手段としての照明装置483を有する。照明装置483は、
図6、
図10(a)、(b)に示すように、第1発光部材481及び第2発光部材482を有する。第1発光部材481は、
図6及び
図10(a)に示すように、対向部材450よりも搬送方向Xの片側(搬送方向片側)に配置され、搬送方向Xの他側(搬送方向他側)に向けて光を照射可能している。一方、第2発光部材482は、
図6及び
図10(b)に示すように、搬送方向Xの他側に配置され、搬送方向Xの片側に向けて光を照射可能としている。即ち、第1発光部材481及び第2発光部材482は、開口部471内を照らすように、搬送方向Xに関して互いに対向するように配置されている。
【0055】
第1発光部材481及び第2発光部材482は、同じ構成を有し、本実施形態では、
図11に示すように、LED(light emitting diode)により構成している。具体的には、第1発光部材481及び第2発光部材482は、LED基板484と、LED基板484を覆う透明樹脂のカバー485とを有し、カバー485の一部に発光部486を設けている。LEDは、発光部486から発光する。このため、
図10(a)、(b)に示すように、第1発光部材481及び第2発光部材482は、それぞれ開口部471内に発光部486が露出するように、中継搬送装置400のフレームに固定されている。なお、照明装置483は、LEDに限らず、電球、蛍光灯などであっても良い。
【0056】
このような第1発光部材481及び第2発光部材482は、前扉220が開くことで点灯するようになっている。このために、
図12に示すように、多段給送装置200は、前扉220の開閉を検知するための扉開閉センサ221を有する。第1発光部材481及び第2発光部材482は、扉開閉センサ221の検知に基づいて、前扉220が開いた場合に点灯し、前扉220が閉まった場合に消灯する。第1発光部材481及び第2発光部材482の配置の詳しい説明については後述する。
【0057】
[対向部材]
次に、対向部材450、460について、
図2、3を参照しつつ、
図13ないし
図15を用いて説明する。
図3及び
図13に示すように、シート幅方向Yに関して、搬送ベルト12と1対の規制ガイド14A、14Bの間に、搬送ベルト12により搬送されるシートの下面と対向する対向部材450、460を配置している。対向部材450、460のうち、規制ガイド14A側(開口部側)の対向部材450は、後述するように、対向位置(第1位置)と、対向位置よりも下方に退避した取り出し位置(第2位置)との間で移動可能である。対向位置は、搬送ベルト12を搬送されるシートの下面と対向する位置である。一方、規制ガイド14B側の対向部材460は、対向位置で固定としている。
【0058】
対向部材450、460は、それぞれ対向位置で、シートの下面と対向する対向面450A、460Aを有する。対向面450A、460Aは、仮に、シートの端部が規制ガイド14A、14Bの何れかに支持されずに搬送ベルト12により搬送された場合に、そのシートの端部を支持する。また、対向部材450、460は、板状の部材であり、対向面450A、460Aと反対側の裏面450B,460Bを有する。
【0059】
搬送ベルト12と球体20とでシートを挟持して搬送している最中に、シートが搬送ベルト12上で停止するジャムが発生する場合がある。本実施形態では、このようにジャムしたシートを開口部471から取り出せるようにしている。このために、搬送部480よりも開口部471側に設けられた対向部材450を、
図14に示す対向位置(第1位置)と、
図15に示す取り出し位置(第2位置)との間で移動可能としている。取り出し位置は、対向部材450が、対向位置よりも下方に退避して開口部471から搬送ベルト12上で停止したシートにアクセス可能な位置である。即ち、対向部材450は、対向位置から取り出し位置に移動する際に、搬送部480で搬送されるシートの厚み方向(本実施形態では鉛直方向の下方)に、且つ、シート幅方向Yに関して開口部471側に移動する。
【0060】
対向部材450は、上述のように、対向位置と取り出し位置とで移動可能とすべく、リンク機構454に支持されている。リンク機構454は、2つのリンク部材451、452と、各リンク部材451、452の両端部を支持するピン451A、451B、452A、452Bとを有する平行リンク機構である。ピン451A、452Aは、筐体470に支持されており、ピン451B、452Bは、対向部材450に支持されている。リンク部材451は、両端部がピン451A、451Bに回転自在に支持されており、リンク部材452は、両端部がピン452A、452Bに回転自在に支持されている。リンク部材451、452の長さは同じとしている。これにより、対向部材450は、対向面450Aを搬送方向Xと略平行(本実施形態では水平方向と略平行)に維持した状態で、対向位置と取り出し位置との間で移動可能である。
【0061】
このように、対向面450Aを略水平方向に維持したまま、対向部材450を取り出し位置に移動可能とすることで、対向部材450を取り出し位置とした場合に、操作者がシートを取り出し易くできる。例えば、対向面450Aが水平方向に対して傾斜した状態で対向部材450が取り出し位置に位置した場合、対向面450Aが傾斜している分、開口部471から対向部材450を超えて内部に手などを挿入する空間(アクセスする空間)が狭くなってしまう虞がある。これに対して本実施形態の場合、例えば、操作者が開口部471から対向部材450を超えて内部に手などを挿入する場合に、この挿入する空間を広くでき、シートをより取り出し易くできる。
【0062】
また、対向部材450のシート幅方向Yに関して開口部側(手前側、
図14の左側)の端部には、対向部材450を対向位置と取り出し位置との間で移動させるために操作者が把持する把持部453を設けている。操作者は、搬送ベルト12上でシートが停止した場合、多段給送装置200の少なくとも中継搬送装置400が配置されている部分の前扉220を開き、把持部453を掴んで、
図14から
図15に示すように、対向部材450を対向位置から取り出し位置に移動させる。これにより、操作者は、開口部471及び取り出し位置にある対向部材450の対向面450Aの上方の空間を介して、搬送ベルト12上で停止したシートにアクセス可能となる。
【0063】
この際、操作者がシートに触れることで、シートを奥側に、即ち、規制ガイド14B側(第2の規制ガイド側)に押してしまう場合がある。この場合に、奥側の規制ガイド14Bが更に奥側に移動可能であると、シートが押されることで奥側の規制ガイド14Bも押されて、シートが更に奥に移動してしまう虞がある。シートが更に奥に移動するとシートの取り出しがしにくくなる。
【0064】
そこで、本実施形態の場合、ガイド移動部420を制御する制御部203は、シートが搬送ベルト上で停止した場合に、奥側の規制ガイド14Bをシートの搬送が停止した時の位置に保持するようにしている。具体的には、奥側の規制ガイド14Bを移動させる駆動力を発生するモータM3に保持電流を印加するようにしている。本実施形態の場合、モータM2、M3は、パルスモータとしており、通電されることで停止状態が保持される。
【0065】
このため、制御部203は、搬送ベルト12上でシートのジャムが発生したと判断した場合には、モータM3に通電して、規制ガイド14Bの位置を保持させる。これにより、操作者がシートへのアクセス時にシートを押してしまっても、奥側の規制ガイド14Bがその位置で保持されているため、シートがそれ以上、奥に行ってしまうことを抑制できる。この結果、搬送ベルト12上で停止したシートを取り出し易くできる。
【0066】
また、本実施形態の場合、シートが搬送ベルト12上で停止した場合に、前側の規制ガイド14A(他の規制ガイド)をシートの搬送が停止する直前の位置よりも搬送ベルト12から遠ざかる方向に移動させるようにしている。具体的には、開口部471側の規制ガイド14Aを、
図15に矢印αで示すように、更に前方に移動させるようにしている。例えば、規制ガイド14Aが、ガイド位置、退避位置に加えて、退避位置よりも更に搬送ベルト12から離れたホームポジションまで移動可能である場合、制御部203は、搬送ベルト12上でシートのジャムを検知した場合に、規制ガイド14Aをホームポジションまで移動させる。
【0067】
このようにシートの搬送停止時に前側の規制ガイド14Aを搬送ベルト12から遠ざかる方向に移動させることで、操作者が搬送ベルト12上で停止したシートにアクセスし易くなる。例えば、搬送ベルト12と前側の規制ガイド14Aの間隔が広がることで、この間に操作者が手を入れ易くなる。また、停止したシートの端部が規制ガイド14Aに引っ掛かっていた場合には、規制ガイド14Aを搬送ベルト12から離れる方向に移動させることで、シートの引っ掛かりが解除され易くなり、操作者がシートを取り出し易くなる。
【0068】
なお、シートの搬送停止時に、前側の規制ガイド14Aを駆動するモータM2への通電を停止し、前側の規制ガイド14Aを手動で移動可能としても良い。この場合、操作者が手で規制ガイド14Aを移動させることで、シートを取り出すための空間を広くでき、やはり、シートの取り出しを容易にできる。
【0069】
また、本実施形態の場合、制御部203は、シートが搬送ベルト12上で停止した場合に、奥側の規制ガイド14Bをシート幅方向Yに関して開口部471側(開口部側)に移動させるようにしても良い。即ち、制御部203は、モータM3を駆動して、規制ガイド14Bを手前側に移動させる。これにより、シートが規制ガイド14Bに押されて開口部471側に移動するため、操作者がシートを取り出し易くできる。なお、シートは、搬送ベルト12と球体20とでニップされているが、このニップ圧は小さいため、規制ガイド14Bに押されることでシートが前側に移動する。
【0070】
[照明装置の配置]
次に、照明装置483の配置について、
図6、
図10(a)、(b)を参照しつつ、
図16ないし
図18を用いて説明する。
図16及び
図18は、対向部材450が対向位置にある状態と取り出し位置にある状態とを重ねて示す模式図である。なお、
図18では、分かり易くするために、破線で示す取り出し位置にある状態の対向部材450を、実線で示す対向位置にある状態の対向部材450に対して搬送方向Xにずらして示しているが、実際にはずれていない。また、
図17(a)、(b)は、中継搬送装置400を開口部471側から見た図であり、
図17(a)は、対向部材450が対向位置にある状態を、
図17(b)は、対向部材450が取り出し位置にある状態をそれぞれ示している。
【0071】
照明装置483は、搬送部480においてシートがジャムした場合に点灯する。本実施形態では、上述したように、前扉220が開かれたことを扉開閉センサ221(
図12)により検知されると照明装置483が点灯するが、制御部203が搬送部480でシートがジャムしたと判断したときに、前扉220の開閉に拘わらず点灯させても良い。また、照明装置483の点灯は、継続的に発光している状態でも良いし、間欠的に発光している状態、即ち、点滅している状態であっても良い。本実施形態では、照明装置483を点滅させるようにしている。
【0072】
このような照明装置483は、
図16に示すように、搬送部480よりも開口部471側に設けられている。また、照明装置483は、対向部材450が対向位置にあるときには対向部材450よりも取り出し位置側を照らし、対向部材450が取り出し位置にあるときには対向部材450よりも対向位置側を照らすように配置されている。なお、
図16において、符号450-1は、対向部材450が対向位置にある状態を、符号450-2は、対向部材450が取り出し位置にある状態をそれぞれ示している。
【0073】
上述したように、対向部材450は、対向位置から取り出し位置に移動する際に、搬送部480で搬送されるシートの厚み方向(本実施形態では鉛直方向の下方)に、且つ、シート幅方向Yに関して開口部471側に移動する。即ち、
図16及び
図17(a)、(b)に示すように、取り出し位置にある状態の対向部材450は、対向位置にある状態の対向部材450よりも下方に位置する。また、
図16及び
図18に示すように、取り出し位置にある状態の対向部材450は、対向位置にある状態の対向部材450よりも手前側(開口部471側)に位置する。なお、本実施形態では、対向部材450をステンレス材により形成し、対向面450A及び裏面450Bをそれぞれステンレスの鏡面としている。
【0074】
上述したように、照明装置483は、第1発光部材481及び第2発光部材482を有する。
図6、
図17(a)、(b)及び
図18に示すように、第1発光部材481は、対向部材450よりも搬送方向Xの片側(下流側)に配置され、第2発光部材482は、対向部材450よりも搬送方向Xの他側(上流側)に配置されている。即ち、第1発光部材481及び第2発光部材482の搬送方向Xの間隔は、対向部材450の搬送方向Xの長さよりも大きい。このように、第1発光部材481及び第2発光部材482が対向部材450の搬送方向Xの長さよりも長い間隔をもって配置されるため、照射角度が少ない照明装置であっても、照射幅が広がり開口部471内を十分に照らす事が可能となる。
【0075】
また、
図16及び
図17(a)、(b)に示すように、第1発光部材481及び第2発光部材482は、シートの厚み方向(鉛直方向)に関し、対向位置と取り出し位置との間に配置されている。即ち、対向部材450が対向位置にある場合には対向部材450の下方に、対向部材450が取り出し位置にある場合には対向部材450の上方に位置するような配置としている。言い換えれば、第1発光部材481及び第2発光部材482は、搬送部480においてシートがジャムした場合に、対向部材450が対向位置にあるときは裏面450Bを照らし、対向部材450が取り出し位置にあるときは対向面450Aを照らす位置に配置されている。
【0076】
また、第1発光部材481及び第2発光部材482は、
図16及び
図18に示すように、シート幅方向Yに関し、取り出し位置にある対向部材450よりも開口部471と反対側(即ち、搬送部480側)に、且つ、対向位置にある対向部材450と重複する位置に配置されている。このように対向部材450が対向位置にある状態で、第1発光部材481及び第2発光部材482が対向部材450と重複する位置にあるため、第1発光部材481及び第2発光部材482の位置を把持部453に近づけることができる。このため、把持部453が第1発光部材481及び第2発光部材482により明るく照らされ易くなり、把持部453の位置を認識し易くできる。
【0077】
一方、対向部材450が取り出し位置にある状態で、第1発光部材481及び第2発光部材482が対向部材450よりも奥側に位置するため、対向部材450の奥側でジャムしたシートを第1発光部材481及び第2発光部材482により明るく照らし易くなる。このため、ジャムしたシートの視認性が良くなり、シートを取り除く作業を行い易くなる。
【0078】
また、本実施形態では、第1発光部材481及び第2発光部材482は、シートの厚み方向(鉛直方向)に関し、対向位置と取り出し位置との間に配置されている。このため、対向部材450が対向位置にある状態では、第1発光部材481及び第2発光部材482により対向部材450の下方を照らして、ジャム処理行うべく前扉220を開いた操作者にジャムした位置を知らせることができる。また、対向部材450が取り出し位置にある状態では、第1発光部材481及び第2発光部材482により対向部材450の上方を照らして、ジャムしたシートの視認性を高めてジャム処理を行い易くできる。
【0079】
また、上述のように対向部材450の対向面450A及び裏面450Bをステンレスの鏡面としているため、一対の発光部材である第1発光部材481及び第2発光部材482のように発光部材の数が少なくても、更には、発光部材の光量が少なくても、鏡面に反射させることで十分な明るさを得ることができる。なお、対向面450A及び裏面450Bは、光の反射率が高い部材が好ましく、ステンレスの鏡面以外の金属の鏡面であっても良い。
【0080】
このように本実施形態では、ジャムした位置を知らせることと、ジャム発生個所を照らすことを、1種類の照明装置である第1発光部材481及び第2発光部材482により行うことができる。即ち、少ない照明装置で、ジャムした位置を知らせることと、ジャム発生個所を照らすことを行うことができる。言い換えれば、第1発光部材481及び第2発光部材482は、ジャムした位置を知らせる機能と、ジャム発生個所を照らす機能とを有する。
【0081】
このような2つの機能を有するためには、例えば、それぞれの最適な位置に照明を設けたり、それぞれの最適な位置に照明を移動させることが考えられる。但し、何れの場合も、装置のコストアップが避けられない。これに対して本実施形態では、第1発光部材481及び第2発光部材482の配置位置を工夫することで、第1発光部材481及び第2発光部材482を移動させることなく固定した状態で、上述の2つの機能を持たせることができ、装置のコストアップを抑制できる。
【0082】
[ジャム処理時の動作]
次に、本実施形態のシートのジャム処理時における動作の具体例について、
図19ないし
図21を用いて説明する。まず、
図19を用いて、照明装置483と各種センサの制御構成について説明する。制御部203の制御基板は、CPU(又はASIC)230、照明駆動回路231、センサ入力回路232を有する。CPU230は、シート検知センサ431~435の出力信号によりシートの搬送タイミング、シートのジャムなどの検知を、扉開閉センサ221の出力信号により前扉220の開閉状態の検知を、それぞれ行う。また、CPU230は、扉開閉センサ221の出力信号により扉の開閉状態を判断し、第1発光部材481及び第2発光部材482の点滅、消灯制御を行う。
【0083】
詳細について、
図20を参照しつつ説明する。前扉220を開くと(S1のNo)、扉開閉センサ221の扉オープンの検知信号がセンサ入力回路232を通じてCPU230へ伝達される。CPU230は伝達された扉開閉センサ221の扉オープンの検知信号により前扉220が開放状態と判断した場合、照明駆動回路231により第1発光部材481及び第2発光部材482の点滅制御を行う(S2)。
【0084】
一方、前扉220を閉じると(S1のYes)、扉開閉センサ221による扉クローズの検知信号がセンサ入力回路232を通じてCPU230へ伝達される。CPU230は伝達された扉開閉センサ221の扉クローズの検知信号により前扉220が閉じられたことを判断し、照明駆動回路231にて第1発光部材481及び第2発光部材482の消灯制御を行う(S3)。
【0085】
次に、ジャム処理の動作フローの一例について、
図21を用いて説明する。
図21は、照明装置483の点滅、消灯制御の動作フローを示す。搬送部480内にてジャム等のシート滞留が発生した場合(S11)、画像形成システム1000の表示部への表示に促されて、操作者は前扉220を開放する(S12)。CPU230は、前扉220が開放されたことを判断した場合、第1発光部材481及び第2発光部材482を点滅させる(S13)。第1発光部材481及び第2発光部材482が点滅することにより、操作者は前扉220が開放されたことを認知し、第1発光部材481及び第2発光部材482の点滅により照らされた開口部471内の滞留シートや紙片を取り除く(S14)。シートの除去後、操作者が前扉220を閉じると(S15)、CPU230は、第1発光部材481及び第2発光部材482を消灯する(S16)。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、最小限の部品点数による照明装置が構成され、前扉の開放状態の認知、シートのジャム位置への操作者のアクセス視認性、ジャムしたシートの視認性を確保することが可能となる。
【0087】
<他の実施形態>
上述の実施形態では、中継搬送装置400を制御する制御部203を多段給送装置200に設けたが、これらの制御を画像形成装置100の制御部140により行うようにしても良い。また、中継搬送装置400に中継搬送装置400の各部を制御する制御部を設けても良い。更に、シート搬送装置は、上述の中継搬送装置に関らず、シートを搬送する装置であれば、他の構成であっても良い。また、搬送部の構成は、搬送ベルト12と複数の球体20によるものに限らず、一対のベルト、一対のローラ、ベルトとローラによりシートを搬送する構成、更にはエアーによりシートを搬送する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0088】
12・・・搬送ベルト/20・・・球体/200・・・多段給送装置/203・・・制御部/400・・・中継搬送装置(シート搬送装置)/450・・・対向部材/450A・・・対向面/450B・・・裏面/471・・・開口部/480・・・搬送部(搬送手段)/481・・・第1発光部材/482・・・第2発光部材/483・・・照明装置(照明手段)