(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113385
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】側溝暗渠管接続継手及びその接続構造
(51)【国際特許分類】
E03F 3/04 20060101AFI20220728BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20220728BHJP
E03F 5/14 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
E03F3/04 Z
E03F5/04 Z
E03F5/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009609
(22)【出願日】2021-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-24
(71)【出願人】
【識別番号】320009358
【氏名又は名称】千葉コンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】浅野 嘉章
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA06
2D063BA21
2D063CA03
2D063CA31
2D063DB05
(57)【要約】
【課題】グレーチングの盗難がなく、水やゴミが溜まって臭いの原因になることがなく、サイズ的にコンパクトで道路への埋設が容易な側溝暗渠管接続継手及びその接続構造を提供する。
【解決手段】道路に埋設される暗渠管1と道路に敷設される側溝2とを接続する側溝暗渠管接続継手5x、5yであって、鉛直方向に沿った厚板状に形成され、頂面6を除いて道路に埋設されるコンクリート製の継手本体7を有し、継手本体7の一方の側面7aに、暗渠管1が接続される暗渠管接続用開口8が形成され、継手本体7の他方の側面7bに、側溝2が接続される側溝接続用開口9が形成され、継手本体7の内部に、側溝接続用開口9と暗渠管接続用開口8とを繋ぐ通路10が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に埋設される暗渠管と道路に敷設される側溝とを接続する側溝暗渠管接続継手であって、
鉛直方向に沿った厚板状に形成され、頂面を除いて道路に埋設されるコンクリート製の継手本体を有し、
該継手本体の一方の側面に、暗渠管が接続される暗渠管接続用開口が形成され、
前記継手本体の他方の側面に、側溝が接続される側溝接続用開口が形成され、
前記継手本体の内部に、前記側溝接続用開口と前記暗渠管接続用開口とを繋ぐ通路が形成されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手。
【請求項2】
前記暗渠管が接続される前記継手本体の一方の側面に、前記暗渠管同士を連結するため前記暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部と係合する凹部又は凸部が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項3】
前記暗渠管が接続される前記継手本体の一方の側面に、前記暗渠管同士を連結するため前記暗渠管に備えられたボルト又はネジ棒と螺合する雌ネジ部材が埋設されている、ことを特徴とする請求項2に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項4】
前記側溝が接続される前記継手本体の他方の側面に、前記側溝の下面が載置される載置板が設けられていると共に、該載置板に前記側溝を上方から載せる際に前記側溝の左右の側部が案内される一対の縦壁が前記側溝接続用開口を挟むように左右に間隔を隔てて設けられている、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項5】
前記一対の縦壁は、下部から上部に向かって間隔が広くなるようにスロープ状に形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項6】
前記一対の縦壁は、更に、前記継手本体の他方の側面から離間するにつれて間隔が広くなるようにテーパー状に形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項7】
前記側溝が接続される前記継手本体の他方の側面に、上部が前記継手本体の頂面に開放された金網用凹部が前記側溝接続用開口を内包するように形成され、
前記継手本体の他方の側面に前記側溝が接続されたとき、前記側溝の端面と前記金網用凹部との間にゴミ取用金網を前記継手本体の頂面の上方から差し入れるためのスリットが形成される、ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項8】
請求項2に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、
前記継手本体の一方の側面に形成された凹部又は凸部に、前記暗渠管同士を連結するため前記暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部が係合されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造。
【請求項9】
請求項4に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、
前記継手本体の他方の側面に設けられた前記載置板に、前記側溝の下面が載置され、
前記継手本体の他方の面に設けられた前記一対の縦壁の間に、前記側溝が挟まれるように配設されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造。
【請求項10】
請求項7に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、
前記継手本体の他方の側面に、前記金網用凹部を覆うように前記側溝が接続され、
前記側溝の端面と前記金網用凹部との間に形成された前記スリットに、前記ゴミ取用金網が前記継手本体の頂面の上方から差し入れられている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝と暗渠管とを接続する側溝暗渠管接続継手及びその接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、従来、道路に埋設される暗渠管1と道路に敷設される側溝2とを接続する場合、側溝2と暗渠管1とはグレーチング3付きの集水枡4を介して接続されていた(特許文献1、2参照)。すなわち、側溝2から暗渠管1に流れる雨水等は、一旦、集水枡4に溜まり、集水枡4を介して暗渠管1に流れ、逆に、暗渠管1から側溝2に流れる雨水等は、一旦、集水枡4に溜まり、集水枡4を介して側溝2に流れる。経年使用により集水枡4の底部に溜まった落ち葉、ゴミ、小石、泥等は、定期的にグレーチング3を外して除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-237937号公報
【特許文献1】特開2002-364063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、暗渠管1と側溝2とを金属製のグレーチング3付きの集水枡4を用いて接続した場合、グレーチング3を所謂鉄屑としてスクラップ会社に転売する目的で、グレーチング3の盗難が発生する。グレーチング3が盗難されると、道端に集水枡4の四角状の穴が空いてしまい、危険である。
【0005】
また、集水枡4の底部に溜まった落ち葉、ゴミ、小石、泥等を定期的に除去するメンテナンスが煩雑であり、保全コストが必要となる。集水枡4の底部に溜まった水やゴミが腐って臭いの原因となる。臭いは、特に都市部では問題となる。
【0006】
また、集水枡4は、一辺80cm程度の四角筒であるので、これを道路に設置する際にはサイズ的に民地境界が問題となり易く、道路に地面に埋設するには多量の土砂を掘削しなければならず、施工が大変である。
【0007】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、グレーチング盗難の心配がなく、水やゴミが溜まって臭いの原因になることがなく、サイズ的にコンパクトで道路への埋設が容易な側溝暗渠管接続継手及びその接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、道路に埋設される暗渠管と道路に敷設される側溝とを接続する側溝暗渠管接続継手であって、鉛直方向に沿った厚板状に形成され、頂面を除いて道路に埋設されるコンクリート製の継手本体を有し、継手本体の一方の側面に、暗渠管が接続される暗渠管接続用開口が形成され、継手本体の他方の側面に、側溝が接続される側溝接続用開口が形成され、継手本体の内部に、側溝接続用開口と暗渠管接続用開口とを繋ぐ通路が形成されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手が提供される(請求項1)。
【0009】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、暗渠管が接続される継手本体の一方の側面に、暗渠管同士を連結するため暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部と係合する凹部又は凸部が形成されていてもよい(請求項2)。
【0010】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、暗渠管が接続される継手本体の一方の側面に、暗渠管同士を連結するため暗渠管に備えられたボルト又はネジ棒と螺合する雌ネジ部材が埋設されていてもよい(請求項3)。
【0011】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、側溝が接続される継手本体の他方の側面に、側溝の下面が載置される載置板が設けられていると共に、載置板に側溝を上方から載せる際に側溝の左右の側部が案内される一対の縦壁が側溝接続用開口を挟むように左右に間隔を隔てて設けられていてもよい(請求項4)。
【0012】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、一対の縦壁は、下部から上部に向かって間隔が広くなるようにスロープ状に形成されていてもよい(請求項5)。
【0013】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、一対の縦壁は、更に、継手本体の他方の側面から離間するにつれて間隔が広くなるようにテーパー状に形成されていてもよい(請求項6)。
【0014】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、側溝が接続される継手本体の他方の側面に、上部が継手本体の頂面に開放された金網用凹部が側溝接続用開口を内包するように形成され、継手本体の他方の側面に側溝が接続されたとき、側溝の端面と金網用凹部との間にゴミ取用金網を継手本体の頂面の上方から差し入れるためのスリットが形成されるものであってもよい(請求項7)。
【0015】
また、本発明によれば、請求項2に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、継手本体の一方の側面に形成された凹部又は凸部に、暗渠管同士を連結するため暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部が係合されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造が提供される(請求項8)。
【0016】
また、本発明によれば、請求項4に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、継手本体の他方の側面に設けられた載置板に、側溝の下面が載置され、継手本体の他方の面に設けられた一対の縦壁の間に、側溝が挟まれるように配設されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造が提供される(請求項9)。
【0017】
また、本発明によれば、請求項7に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、継手本体の他方の側面に、金網用凹部を覆うように側溝が接続され、側溝の端面と金網用凹部との間に形成されたスリットに、ゴミ取用金網が継手本体の頂面の上方から差し入れられている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造が提供される(請求項10)。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手及びその接続構造によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)集水枡を使用しないので、グレーチング盗難の心配がなく、水やゴミ等が集水枡に溜まって臭いの原因になることがない。また、集水枡に溜まったゴミ、落ち葉、小石等を除去するメンテナンスが不要であり、保全コストを低減できる。
(2)継手本体は、鉛直方向に沿った厚板状に形成され両側面に接続用の開口が形成されたものなので、一辺80cm程度の四角筒から成る集水枡よりコンパクトとなり、道路に埋設する際の掘削土砂量が少なくなり、道路への設置作業の負荷を軽減できる。
(3)コンクリート製の継手本体のサイズが集水枡よりもコンパクトとなるため、コンクリートの使用量が集水枡より少量で済み、集水枡と比べて安価に製造できる。加えて、金属製のグレーチングも不要なので、その分、集水枡よりも安価となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来例を示す集水枡を用いた側溝と暗渠管との接続構造を示す説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示す側溝暗渠管接続継手及びその接続構造の説明図であり、(a)は側溝に蓋板が取り付けられる前の様子を示す斜視図、(b)は側溝に蓋板が取り付けられゴミ取用金網が装着される様子を示す斜視図、(c)は(b)の側断面図である。
【
図3】暗渠管の説明図であり、(a)は暗渠管を前方から見た斜視図、(b)は同じ暗渠管を後方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る側溝暗渠管接続継手の説明図であり、(a)は暗渠管が接続される一方の側面からの斜視図、(b)は側溝が接続される他方の側面からの斜視図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係る側溝暗渠管接続継手の説明図であり、(a)は暗渠管が接続される一方の側面からの斜視図、(b)は側溝が接続される他方の側面からの斜視図である。
【
図7】
図5(a)のVII-VII線断面図である。
【
図8】
図5(a)のVIII-VIII線断面図である。
【
図9】
図5(b)の矢印IXの方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(側溝暗渠管接続継手5及びその接続構造の概要)
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)に、本発明の一実施形態に係る側溝暗渠管接続継手5x、5y及びその接続構造を示す。本実施形態に係る側溝暗渠管接続継手5x、5yは、道路に埋設される暗渠管1と道路に敷設される側溝2とを接続するものであって、鉛直方向に沿った厚板状に形成され、頂面6を除いて道路に埋設されるコンクリート製の継手本体7を有する。
【0022】
継手本体7の一方の側面7aには、暗渠管1が接続される暗渠管接続用開口8が形成され、継手本体7の他方の側面7bには、側溝2が接続される側溝接続用開口9が形成され、継手本体7の内部には、側溝接続用開口9と暗渠管接続用開口8とを繋ぐ通路10が形成されている。通路10は、
図4(a)、
図4(b)、
図5(a)、
図5(b)に示すように、側溝暗渠管接続継手5x、5yをコンクリート打設する際に用いる型枠の製造性および型抜性を考慮して、複数の三角の平面が連なった内面を有する。
【0023】
(暗渠管1)
図3(a)に暗渠管1を前方から見た斜視図を、
図3(b)に同じ暗渠管1を後方から見た斜視図を示す。この暗渠管1は、コンクリート製の四角筒からなり、一方の端面11に管口12を囲繞するように凸部13が形成され、他方の端面14に管口15を囲繞するように凹部16が形成されている。暗渠管1同士を直列に接続する際、一方の暗渠管1の凸部13と他方の暗渠管1の凹部16とが係合される。
【0024】
図3(a)、
図3(b)に示すように、暗渠管1の側面には、図示しないネジ棒及びナットが収容される収容部17が凹設されている。収容部17は、ナットを収容するため暗渠管1の側面に凹設された大収容部17aと、ネジ棒を収容するため大収容部17aから暗渠管1の端面に架けて凹設された小収容部17bとから成る。大収容部17aは、その内部でナットを回転させることができるサイズであり、ネジ棒の直径に合わせられた小収容部17bよりも大きい。
【0025】
暗渠管1同士を直列に接続する際、双方の暗渠管1の端面に形成された凸部13と凹部16とを係合させると、双方の暗渠管1の小収容部17b同士が直線状に繋がるので、繋がった小収容部17bにネジ棒を収容し、ネジ棒の両端を双方の暗渠管1の大収容部17aに位置させ、大収容部17aにおいてナットをネジ棒に締め込むことで、暗渠管1同士を締結する。暗渠管1の接続本数を適宜調節することで、接続された暗渠管1の全長を調節できる。なお、ネジ棒の代わりにボルトを用い、ボルトとナットで暗渠管1同士を締結してもよい。
【0026】
(側溝暗渠管接続継手5x、5yの凸部18又は凹部19)
図4(a)、
図4(b)に、
図3(b)に示す暗渠管1の凹部16側の端面14が接続される側溝暗渠管接続継手5yを示す。この側溝暗渠管接続継手5yは、継手本体7の一方の側面7aに、暗渠管1同士を連結するため暗渠1管の端面14に形成された凹部16と係合する凸部18が形成されていている。すなわち、暗渠管1同士を接続すべく暗渠管1の端面14に形成された凹部16を利用して接続剛性を高めている。
【0027】
図5(a)、
図5(b)に、
図3(a)に示す暗渠管1の凸部13側の端面11が接続される側溝暗渠管接続継手5xを示す。この側溝暗渠管接続継手5xは、暗渠管1が接続される継手本体7の一方の側面7aに、暗渠管1同士を連結するため暗渠管1の端面11に形成された凸部13と係合する凹部19が形成されていている。すなわち、暗渠管1同士を接続すべく暗渠管1の端面11に形成された凸部13を利用して接続剛性を高めている。
【0028】
図5(a)、
図5(b)に示す側溝暗渠管接続継手5xと、
図4(a)、
図4(b)に示す側溝暗渠管接続継手5yとは、継手本体7の一方の側面7aに形成された凹部19と凸部18が相違するのみであり、その他は同一の構造(構成)である。よって、以降、
図5(a)、
図5(b)に示す側溝暗渠管接続継手5xについてのみ詳細に説明し、
図4(a)、
図4(b)に示す側溝暗渠管接続継手5yの説明は省略する。
【0029】
(雌ネジ部材20)
図5(a)のVI-VI線断面図である
図6、
図5(a)のVII-VII線断面図である
図7に示すように、コンクリート製の継手本体7には、暗渠管1が接続される一方の側面7aに、暗渠管1の小収容部17bに備えられたネジ棒(又はボルト、以下ボルトは省略)と螺合する雌ネジ部材20が埋設されている。
【0030】
図6、
図7に示すように、雌ネジ部材20は、打設時にコンクリートがネジ孔に流れ込まないように袋ナット状のものが用いられ、
図5(a)に示す継手本体7の凹部19に
図3(a)に示す暗渠管1の凸部13が係合されたとき、暗渠管1の小収容部17bが符合する位置に配設されている。暗渠管1に備えられたネジ棒(図示省略)を継手本体7の雌ネジ部材20に締め込むことで、接続剛性が一層高まる。
【0031】
(載置板21、縦板22)
図5(b)、
図2(b)に示すように、継手本体7には、側溝2が接続される他方の側面7bに、側溝2の下面が載置される載置板21が設けられていると共に、載置板21に側溝2を上方から載せる際に側溝2の左右の側部が案内される一対の縦壁22が側溝接続用開口9を挟むように左右に間隔を隔てて設けられている。これら載置板21及び縦壁22は、コンクリート製であり、継手本体7と共に一体的にコンクリート打設される。
【0032】
図5(b)、
図5(b)を矢印IX方向から見た
図9に示すように、一対の縦壁22は、下部から上部に向かって間隔が広くなるようにスロープ状に形成されており、側溝2を上方から載置板21に着床させる際のセンタリング性を高めている。また、
図5(b)、
図6に示すように、一対の縦壁22は、更に、継手本体7の他方の側面7bから離間するにつれて間隔が広くなるようにテーパー状に形成されており、側溝2を長手方向から継手本体7に接続する際のセンタリング性を高めている。
【0033】
(金網用凹部23)
図5(b)に示すように、継手本体7には、側溝2が接続される他方の側面7bに、上部が継手本体7の頂面6に開放された金網用凹部23が、側溝接続用開口9を内包するように形成されている。
図2(a)に示すように、継手本体7の他方の側面7bに側溝2が接続されたとき、
図2(b)、
図2(c)に示すように、側溝2の端面と金網用凹部23との間にゴミ取用金網24を継手本体7の頂面6の上方から差し入れるためのスリット25が形成される。
【0034】
図5(b)を矢印IX方向から見た
図9に示すように、継手本体7の他方の側面7bに側溝2が接続されたとき、側溝2の端面の肉厚部が継手本体7の金網用凹部23を覆う状態となる。これにより、
図2(b)、
図2(c)に示すように、側溝2の端面と金網用凹部23との間に、ゴミ取用金網24を継手本体7の頂面6の上方から差し入れるためのスリット25が形成される。
【0035】
図5(b)、
図8に示すように、継手本体7の頂面6には、ゴミ取用金網24を指で引き上げるための指入凹部26が形成されている。指入凹部26は、継手本体7の金網用凹部23の上部中央に配設されており、そこに指を差し入れることで、
図2(b)に示すスリット25に差し入れられたゴミ取用金網24の中央を保持してバランスよく引き上げることができる。
【0036】
(作用・効果)
本実施形態に係る側溝暗渠管接続継手5x、5y及びその接続構造によれば、次のような効果を発揮できる。
【0037】
図1に示す集水枡4を利用して側溝2と暗渠管1とを接続する従来例とは異なり、
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)に示すように、集水枡4を使用することなく側溝2と暗渠管1とを継手本体7によって接続するので、集水枡4のグレーチング3が盗難される心配がなく、集水枡4に水やゴミ等が溜まって臭いの原因になることがない。集水枡4に溜まったゴミ、落ち葉、小石等を除去するメンテナンスが不要となり、保全コストを低減できる。
【0038】
図2(c)に示すように、継手本体7は、鉛直方向に沿った厚板状に形成され両側面に接続用の開口8、9が形成されたものなので、一辺80cm程度の四角筒から成る
図1に示す集水枡4よりコンパクトとなり、道路に埋設する際の掘削土砂量が少なくなり、道路への設置作業の負荷を軽減できる。コンクリート製の継手本体7のサイズが集水枡4よりもコンパクトとなるため、コンクリートの使用量が集水枡より少量で済み、集水枡4と比べて安価に製造できる。加えて、金属製のグレーチング3も不要なので、その分、集水枡4よりも安価となる。
【0039】
図2(c)に示すように、暗渠管1の端面の凸部13が側溝暗渠管接続継手5xの一方の側面7aに形成された凹部19に係合され、暗渠管1の端面の凹部16が側溝暗渠管接続継手5yの一方の側面7aに形成された凸部18に係合されることにより、接続剛性が高まり、暗渠管1の上方の道路を自動車が通過して暗渠管1に荷重変動が加わることによって生じる、暗渠管1の暗渠管接続用開口8に対するズレを抑えられる。すなわち、暗渠管1の端面を継手5x、5yの側面7aに平面的に突き当てるのではなく、暗渠管1同士を接続するための凸部13、凹部16を利用して、暗渠管1の凸部13、凹部16を、継手5x、5yの凹部19、凸部18に係合することで、振動などによる暗渠管1の暗渠管接続用開口8に対するズレを抑えられる。
【0040】
図3(a)に示す暗渠管1を
図5(a)に示す側溝暗渠管接続継手5xに接続する際、暗渠管1の収容部17に備えられたネジ棒(図示省略)が継手5xの一方の側面7aに埋設された雌ネジ部材20に螺合され、
図3(b)に示す暗渠管1を
図4(a)に示す側溝暗渠管接続継手5yに接続する際、暗渠管1の収容部17に備えられたネジ棒(図示省略)が継手5yの一方の側面7aに埋設された雌ネジ部材20に螺合される。このように、暗渠管1同士を連結するためのネジ棒を利用して暗渠管1と継手5x、5yとを接続しているので、接続剛性が更に高まり、暗渠管1の上方の道路を自動車が通過して暗渠管1に荷重変動が加わることによって生じる、暗渠管1の暗渠管接続用開口19に対するズレを一層抑えられる。
【0041】
図2(c)に示すように、側溝暗渠管接続継手5xの他方の側面7bに、側溝2の下面が載置される載置板21を設け、側溝暗渠管接続継手5yの他方の側面7bに、側溝2の下面が載置される載置板21を設けたので、経年経過時の地盤沈下による側溝2の側溝接続用開口9に対する上下ズレを防止できる。また、
図2(b)、
図4(b)、
図5(b)に示すように、継手5x、5yの他方の側面7bに、載置板21に側溝2を上方から載せる際に側溝2の左右の側部が案内される一対の縦壁22を設けたので、経年経過時の側溝2の側溝接続用開口9に対する左右ズレを防止できる。
【0042】
図4(b)、
図5(b)、
図9に示すように、一対の縦壁22が下部から上部に向かって間隔が広くなるようにスロープ状に形成されているので、側溝2を上方から載置板21に載せる際、センタリング性が高まり、側溝2を側溝接続用開口9に容易に位置合わせでき、施工の作業性が向上する。また、一対の縦壁22が下部から上部に向かって間隔が広くなるようにスロープ状に形成されているので、製造時に型枠に生コンクリートを流し込んで打設した後、型枠から抜き易い。
【0043】
図4(b)、
図5(b)、
図6に示すように、一対の縦壁22が継手本体7の他方の側面7bから離間するにつれて間隔が広くなるようにテーパー状に形成されているので、側溝2を継手本体7の他方の側面7bに近づける際、センタリング性が高まり、側溝2を側溝接続用開口9に容易に位置合わせでき、施工の作業性が向上する。また、一対の縦壁22が継手本体7の他方の側面7bから離間するにつれて間隔が広くなるようにテーパー状に形成されているので、製造時に型枠に生コンクリートを流し込んで打設した後、型枠から抜き易い。
【0044】
図2(b)、
図2(c)に示すように、継手本体7と側溝2との間に形成されたスリット25にゴミ取用金網24を上方から差し入れることで、側溝2を雨水と共に流れる落ち葉、ゴミ、小石等をゴミ取用金網24によって捕集でき、落ち葉、ゴミ、小石等が暗渠管に流れ込む事態を回避できる。
【0045】
図9に示すように、厚板状の継手本体7の一方の側面7aに形成された金網用凹部23と、その側面7aに接続される側溝2の端面の肉厚部とを協働させてスリット25を形成しているので、例えば、
図5(b)に示す継手本体7の頂面6の板厚方向の中央にゴミ取用金網24用のスリットを鉛直方向にコンクリート打設により形成する場合に必要となる中子が不要となり、継手本体7を低コストに製造できる。
【0046】
なお、ゴミ取用金網24に捕集された落ち葉、ゴミ、小石等は、側溝暗渠管接続継手5x、5yに隣接する側溝2の蓋板2aを取り外し、上方から除去できる。また、指入凹部26に指を差し入れてゴミ取用金網24を引き上げることで、側溝2から暗渠管1の内部を点検でき、内部に侵入した落ち葉、ゴミ、小石等を掻き出すこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、側溝と暗渠管とを接続する側溝暗渠管接続継手及びその接続構造に利用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 暗渠管
2 側溝
5x 側溝暗渠管接続継手
5y 側溝暗渠管接続継手
6 頂面
7 継手本体
7a 一方の側面
7b 他方の側面
8 暗渠管接続用開口
9 側溝接続用開口
10 通路
11 暗渠管の端面
13 暗渠管の凸部
14 暗渠管の端面
16 暗渠管の凹部
18 側溝暗渠管接続継手の凸部
19 側溝暗渠管接続継手の凹部
20 雌ネジ部材
21 載置板
22 一対の縦壁
23 金網用凹部
25 スリット
【手続補正書】
【提出日】2021-05-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】特開平10-237937号公報
【特許文献2】特開2002-364063号公報
【手続補正書】
【提出日】2021-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に埋設される暗渠管と道路に敷設される側溝とを接続する側溝暗渠管接続継手であって、
鉛直方向に沿った厚板状に形成され、頂面を除いて道路に埋設されるコンクリート製の継手本体を有し、該継手本体の一方の側面に、暗渠管が接続される暗渠管接続用開口が形成され、前記継手本体の他方の側面に、側溝が接続される側溝接続用開口が形成され、前記継手本体の内部に、前記側溝接続用開口と前記暗渠管接続用開口とを繋ぐ通路が形成されており、
前記側溝が接続される前記継手本体の他方の側面に、上部が前記継手本体の頂面に開放された金網用凹部が、前記側溝接続用開口を内包するように形成され、前記継手本体の他方の側面に前記側溝が接続されたとき、前記側溝の端面と前記金網用凹部との間にゴミ取用金網を前記継手本体の頂面の上方から差し入れるためのスリットが形成される、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手。
【請求項2】
前記暗渠管が接続される前記継手本体の一方の側面に、前記暗渠管同士を連結するため前記暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部と係合する凹部又は凸部が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項3】
前記暗渠管が接続される前記継手本体の一方の側面に、前記暗渠管同士を連結するため前記暗渠管に備えられたボルト又はネジ棒と螺合する雌ネジ部材が埋設されている、ことを特徴とする請求項2に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項4】
前記側溝が接続される前記継手本体の他方の側面に、前記側溝の下面が載置される載置板が設けられていると共に、該載置板に前記側溝を上方から載せる際に前記側溝の左右の側部が案内される一対の縦壁が前記側溝接続用開口を挟むように左右に間隔を隔てて設けられている、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項5】
前記一対の縦壁は、下部から上部に向かって間隔が広くなるようにスロープ状に形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項6】
前記一対の縦壁は、更に、前記継手本体の他方の側面から離間するにつれて間隔が広くなるようにテーパー状に形成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項7】
前記継手本体の頂面に、前記金網用凹部に繋げて、前記ゴミ取用金網を指で引き上げるための指入凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の側溝暗渠管接続継手。
【請求項8】
請求項2又は3に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、
前記継手本体の一方の側面に形成された凹部又は凸部に、前記暗渠管同士を連結するため前記暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部が係合されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造。
【請求項9】
請求項4から6の何れか1項に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、
前記継手本体の他方の側面に設けられた前記載置板に、前記側溝の下面が載置され、
前記継手本体の他方の側面に設けられた前記一対の縦壁の間に、前記側溝が挟まれるように配設されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造。
【請求項10】
請求項1から7の何れか1項に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、
前記継手本体の他方の側面に、前記金網用凹部を覆うように前記側溝が接続され、
前記側溝の端面と前記金網用凹部との間に形成された前記スリットに、前記ゴミ取用金網が前記継手本体の頂面の上方から差し入れられている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、道路に埋設される暗渠管と道路に敷設される側溝とを接続する側溝暗渠管接続継手であって、鉛直方向に沿った厚板状に形成され、頂面を除いて道路に埋設されるコンクリート製の継手本体を有し、継手本体の一方の側面に、暗渠管が接続される暗渠管接続用開口が形成され、継手本体の他方の側面に、側溝が接続される側溝接続用開口が形成され、継手本体の内部に、側溝接続用開口と暗渠管接続用開口とを繋ぐ通路が形成されており、側溝が接続される継手本体の他方の側面に、上部が継手本体の頂面に開放された金網用凹部が、側溝接続用開口を内包するように形成され、継手本体の他方の側面に側溝が接続されたとき、側溝の端面と金網用凹部との間にゴミ取用金網を前記継手本体の頂面の上方から差し入れるためのスリットが形成される、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手が提供される(請求項1)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、継手本体の頂面に、金網用凹部に繋げて、ゴミ取用金網を指で引き上げるための指入凹部が形成されていてもよい(請求項7)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明によれば、請求項2又は3に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、継手本体の一方の側面に形成された凹部又は凸部に、暗渠管同士を連結するため暗渠管の端面に形成された凸部又は凹部が係合されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造が提供される(請求項8)。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
また、本発明によれば、請求項4から6の何れか1項に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、継手本体の他方の側面に設けられた載置板に、側溝の下面が載置され、継手本体の他方の側面に設けられた一対の縦壁の間に、側溝が挟まれるように配設されている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造が提供される(請求項9)。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
本発明に係る側溝暗渠管接続継手においては、請求項1から7の何れか1項に記載された側溝暗渠管接続継手の接続構造であって、継手本体の他方の側面に、金網用凹部を覆うように側溝が接続され、側溝の端面と金網用凹部との間に形成されたスリットに、ゴミ取用金網が継手本体の頂面の上方から差し入れられている、ことを特徴とする側溝暗渠管接続継手の接続構造が提供される(請求項10)。