(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113458
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】吸収材供給装置
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A61F13/15 370
A61F13/15 357
A61F13/15 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009727
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桃瀬 知之
(72)【発明者】
【氏名】花生 裕之
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BB17
3B200EA05
(57)【要約】
【課題】粒状のSAPが吸収体の上に間欠的かつ均一に配置可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係る吸収材供給装置は、外周面を有するローラと、ローラの軸方向に沿うようにローラに固定される回転軸と、を備え、外周面に供給源から供給された粒状の吸収材が入ることが可能な凹部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面を有するローラと、
前記ローラの軸方向に沿うように前記ローラに固定される回転軸と、を備え、
前記外周面に供給源から供給された粒状の吸収材が入ることが可能な凹部を有する、
吸収材供給装置。
【請求項2】
前記凹部は、第1底面と、前記第1底面よりも低い第2底面と、を有する、
請求項1に記載の吸収材供給装置。
【請求項3】
前記凹部の側部は、底面から開口への方向に対して広がる傾斜を有する、
請求項1又は2に記載の吸収材供給装置。
【請求項4】
前記回転軸は、水平方向に沿って設けられ、
前記供給源は、前記ローラの上方に設けられ、前記ローラに向けて開口し、前記吸収材が通過する開口部と、前記開口部を通過して前記ローラに供給される前記吸収材の供給量を調節可能な調節手段と、を有する供給部を含む、
請求項1から3のうち何れか一項に記載の吸収材供給装置。
【請求項5】
前記供給部の下方の前記外周面を囲むように設けられ、前記外周面の表面近傍から上方に延びる壁を更に備える、
請求項4に記載の吸収材供給装置。
【請求項6】
前記供給部からみて前記回転軸が回転する方向側に位置し、前記外周面の周方向に沿って前記外周面の上部の少なくとも一部を覆うように設けられる被覆部材を更に備える、
請求項4又は5に記載の吸収材供給装置。
【請求項7】
前記回転軸の回転速度を制御する制御部を更に備える、
請求項1から6のうち何れか一項に記載の吸収材供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品においては、尿や体液等の排泄液を吸収する吸収材として、パルプや高吸収性重合体(Super Absorbent Polymer:SAP)が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粒状のSAPを吸収体の上に間欠的に配置する場合、例えば吸収体をコンベアー上で移動させておき、コンベアーの上方にSAPの供給管の出口を設け、当該出口に例えば蓋やシャッターなどの遮蔽機構を設けることが考えられる。このような遮蔽機構が設けられることで、供給管の出口から吸収体へ落下するSAPの量を調節できる。しかしながら、SAPは粒状の物体であるため、遮蔽機構を形成する部品間の隙間に入り込むことが考えられる。よって、遮蔽機構の動作不良や故障を引き起こす可能性がある。
【0005】
また、例えば遮蔽部材により供給管の出口が遮蔽された状態から、遮蔽解除のために遮蔽部材が移動を開始した直後と、遮蔽部材が移動を開始してから所定時間経過した時とでは、遮断されていた部分を通過するSAPの量は異なることが考えられる。よって、吸収体上に撒かれたSAPの厚みは不均一になることが考えられる。そこで、遮蔽部材を高速で移動させることが考えられる。しかしながら、このように遮蔽部材を高速で移動させても、SAPは粒状の物質であるため、遮蔽部材の移動開始直後に遮蔽されていた部分を、遮蔽部材の移動開始直後に一定量のSAPは通過する。よって、遮蔽されていた部分を通過するSAPの量を時間的に均一に改善することは困難と想定される。
【0006】
そこで、本発明は、粒状のSAPが吸収体の上に間欠的かつ均一に配置可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、SAP供給源と吸収体との間に、凹部を有し、回転可能な略円柱状の部材を設けることとした。
【0008】
詳細には、本開示の一側面に係る吸収材供給装置は、外周面を有するローラと、前記ローラの軸方向に沿うように前記ローラに固定される回転軸と、を備え、前記外周面に供給源から供給された粒状の吸収材が入ることが可能な凹部を有する。
【0009】
上記一側面に係る吸収材供給装置において、前記凹部は、第1底面と、前記第1底面よりも低い第2底面と、を有してもよい。
【0010】
上記一側面に係る吸収材供給装置において、前記凹部の側部は、底面から開口への方向に対して広がる傾斜を有してもよい。
【0011】
上記一側面に係る吸収材供給装置において、前記回転軸は、水平方向に沿って設けられ、前記供給源は、前記ローラの上方に設けられ、前記ローラに向けて開口し、前記吸収材が通過する開口部と、前記開口部を通過して前記ローラに供給される前記吸収材の供給量を調節可能な調節手段と、を有する供給部を含んでもよい。
【0012】
上記一側面に係る吸収材供給装置において、前記供給部の下方の前記外周面を囲むように設けられ、前記外周面の表面近傍から上方に延びる壁を更に備えてもよい。
【0013】
上記一側面に係る吸収材供給装置において、前記供給部からみて前記回転軸が回転する方向側に位置し、前記外周面の周方向に沿って前記外周面の上部の少なくとも一部を覆うように設けられる被覆部材を更に備えてもよい。
【0014】
上記一側面に係る吸収材供給装置において、前記回転軸の回転速度を制御する制御部を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粒状のSAPが吸収体の上に間欠的かつ均一に配置可能な技術が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態に係るSAP層形成装置の外観斜視図の一例である。
【
図2】
図2は、ローラの外観斜視図の概要を例示する。
【
図3】
図3は、SAP層形成装置の第1動作例の概要を例示する。
【
図4】
図4は、SAP層形成装置の第2動作例を示している。
【
図5】
図5は、比較例に係るSAP層形成装置の概要を例示する。
【
図6】
図6は、第1変形例に係るSAP層形成装置の概要を例示している。
【
図7】
図7は、第2変形例に係るSAP層形成装置の概要を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係るSAP層形成装置について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。なお、以下の説明において、上下左右とは、特に断り書きがない場合、
図1を正面から見た時の方向を指すものとする。
【0018】
図1は、実施形態に係るSAP層形成装置1(本開示の「吸収材供給装置」の一例)の外観斜視図である。
図1に示されるように、SAP層形成装置1は、パルプ50が搬送されるコンベアー51の上方に設置される。そして、コンベアー51の上を移動するパルプ50に粒状のSAPを落下させる。なお、パルプ50およびパルプ50の上に撒かれたSAPは、例えば使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品において、尿や体液等の排泄液を吸収する吸収材として使用される。
【0019】
より詳細には、SAP層形成装置1は、ローラ2と、ローラ2の円状の面の中心を貫通するシャフト7と、を備える。シャフト7は、コンベアー51の搬送方向と直交する方向かつ水平方向に沿って設けられる。そして、シャフト7には、シャフト7を回転させる動力を発生させる駆動装置(図示しない)が接続されている。なお、シャフト7は、本開示の「回転軸」の一例である。
【0020】
また、SAP層形成装置1は、ローラ2の外周面21に凹部3を備える。凹部3は、外周面21の周方向に沿って周期的に設けられている。また、凹部3は、底面から開口方向に向けて側面が広がるように側面に傾斜部32が設けられている。また、凹部3の底面に
は凹部3よりも小さい凹部31が設けられている。なお、凹部31の側面にも凹部3の傾斜部32と同様の傾斜が設けられている。なお、凹部3は、本開示の「凹部」の一例である。また、凹部31の底面は、本開示の「第2底面」の一例である。
【0021】
また、SAP層形成装置1は、SAP投下部4を備える。SAP投下部4は、ローラ2の上方に配置される。また、SAP投下部4には、ローラ2へ向けて開口している投下口5が設けられている。
【0022】
また、SAP層形成装置1は、SAP投下部4とローラ2との間に箱6を備える。箱6の上面には、投下口5から投下されるSAPが通過可能な孔が設けられている。また、箱6の下部は開口している。また、箱6の下部の開口の縁とローラ2との間の隙間は、粒状のSAPが当該隙間を通過できない程度に空いている。なお、箱6の右側の内壁61は、本開示の「外周面の表面近傍から上方に延びる壁」の一例である。
【0023】
また、SAP層形成装置1は、弧状のカバー8を備える。カバー8は、
図1でいうローラ2の右上部の外周に沿って設けられる。また、SAP層形成装置1は、制御部9を備える。制御部9は、シャフト7と接続される駆動装置を制御する制御モジュールと、メモリと、を有する。なお、カバー8は、本開示の「被覆部材」の一例である。また、制御部9は、本開示の「制御部」の一例である。
【0024】
図2は、ローラ2の外観斜視図の概要を例示する。なお、
図2においては、凹部3の底部に設けられている凹部31の図示は省略している。
図2に示されるように、ローラ2の外周面21に設けられる凹部3は、周方向に沿って規則的に設けられる。より詳細には、凹部3Aは、例えばローラ2の周方向と直交する方向に二つ並んで設けられる。そして、このような凹部3はローラ2の周方向に所定間隔を空けて規則的に設けられる。また、このような凹部3が外周面21の全体にわたって規則的に設けられている。
【0025】
[動作例1]
次にSAP層形成装置1の動作を説明する。
図3は、SAP層形成装置1の第1動作例の概要を例示する。
図3に示される第1動作例では、まず制御部9において、事前にメモリに記憶されたプログラムが実行されることでシャフト7を所定の回転速度で回転させる動力を生成する制御信号が生成される。そして、当該制御信号は、シャフト7と接続される駆動装置に送信される。制御信号を受信した駆動装置は、制御信号に従いシャフト7を回転させる動力を生成する。そして、当該動力がシャフト7に伝達されることでシャフト7が回転する。そして、シャフト7の回転に伴って、シャフト7に固定されたローラ2も回転する。
図3では、例えば時計回りにローラ2が回転する例が示されている。
【0026】
このように回転するローラ2に向かって、SAP投下部4の投下口5からSAP12が連続的に投下される。そして、ローラ2へ投下されたSAP12の一部は、凹部3に流入して凹部3を埋める。また、投下口5からローラ2へ投下されたSAP12の一部は、凹部3に流入せずにローラ2の外周面21の外表面に付着・蓄積する。
【0027】
このように凹部3や外周面21の外表面にSAP12が存在した状態でローラ2が回転すると、外周面21の外表面に付着・蓄積したSAP12は、ローラ2の回転方向に位置する箱6の内壁61と接触する。そして、SAP12が内壁61に付着することで、外周面21の外表面に付着・蓄積したSAP12がローラ2の回転と共に箱6の外部に出ることは抑制される。
【0028】
一方、凹部3に存在するSAP12は、凹部3に保持された状態でローラ2の回転と共に箱6の外部に出る。その後、凹部3は、カバー8により覆われた状態でローラ2の回転
と共に回転する。その後さらにローラ2が回転し、カバー8が設けられていない場所まで凹部3が移動すると、SAP12は自重によりパルプ50の上に落下する。そして、パルプ50の上にはSAP12の層が連続的に形成される。
【0029】
なお、コンベアー51上を移動するパルプ50が垂直方向においてローラ2と重なるタイミングと、複数の凹部3のうちの所定の凹部3がカバー8を通過するタイミングとが同期されるように制御部9において制御信号が生成されてもよい。また、パルプ50上の任意の場所にSAPが撒かれるように制御部9において制御信号が変更されてもよい。
【0030】
[動作例2]
図4は、SAP層形成装置1の第2動作例を示している。第2動作例においては、シャフト7を第1動作例よりも低速に回転させる動力を生成するように制御部9において制御信号が生成される。このような場合、凹部3Cに保持されたSAP12がまずパルプ50の上に落下する。その後、間隔を空けて凹部3Dに保持されたSAP12がパルプ50の上に落下する。よって、SAP12は、パルプ50の上に間欠的に配置される。
【0031】
[比較例]
図5は、比較例に係るSAP層形成装置の概要を例示する。
図5(A)は、蓋付きのSAP層形成装置40Aである。一方、
図5(B)は、シャッター付きのSAP層形成装置40Bである。
【0032】
図5(A)に示されるSAP層形成装置40Aは、投下口55を有するSAP投下部54を備える。また、SAP層形成装置40Aは、投下口55を覆う蓋60と、蓋60の右端と連結されるヒンジ63と、を備える。ヒンジ63は、手前から奥方向の周りに回動可能である。
【0033】
このようなSAP層形成装置40Aは、下方にパルプ50の先端が移動してくると、ヒンジ63を回転させることで蓋60を開く。また、パルプ50が移動し、SAP層形成装置40Aの下方にパルプ50の後端が移動してくると、ヒンジ63を回転させることで蓋60を閉じる。
【0034】
このようなSAP層形成装置40Aでは、ヒンジ63を形成する部材間の隙間や、蓋60とヒンジ63との間の隙間にSAP12が入り込むことが想定される。よって、蓋60およびヒンジ63は、動作不良や故障が引き起こされる可能性がある。
【0035】
また、蓋60により投下口55が遮蔽された状態から遮蔽解除のために蓋60が回転を開始した直後と、蓋60が回転を開始してから所定時間経過した時とでは、遮蔽されていた部分を通過するSAP12の量は異なることが考えられる。よって、
図5(A)に示されるように、パルプ50上に撒かれたSAP12の左端部(コンベアー51の搬送方向の先端)の厚みは、中央部の厚みよりも薄くなることが考えられる。
【0036】
また、投下口55が蓋60により遮蔽されずに開放されている時と、開放状態から蓋60を回転させることで投下口55を遮蔽した場合の遮蔽直前の時とでは、遮蔽された部分を通過するSAP12の量は異なることが考えられる。よって、
図5(A)に示されるように、パルプ50上に撒かれたSAP12の右端部(コンベアー51の搬送方向の後端)の厚みは、中央部の厚みよりも薄くなることが考えられる。
【0037】
また、
図5(B)に示されるSAP層形成装置40Bは、SAP層形成装置40Aの蓋60およびヒンジ63の代替としてシャッター52を有するシャッター機構53を備える。
【0038】
このようなSAP層形成装置40Bは、下方にパルプ50の先端が移動してくると、シャッター52を右方向へ移動させることで投下口55を開放する。また、パルプ50が移動し、SAP層形成装置40Bの下方にパルプ50の後端が移動してくると、シャッター52を左方向へ移動させることで投下口55を遮蔽する。
【0039】
このようなSAP層形成装置40Bでは、シャッター機構53を形成する部材間の隙間にSAP12が入り込むことが想定される。よって、シャッター機構53の動作不良や故障が引き起こされる可能性がある。
【0040】
また、シャッター52により投下口55が遮蔽された状態から遮蔽解除のためにシャッター52を
図5(B)中の右方向に移動開始させた直後と、シャッター52の移動開始から所定時間経過した時とでは、遮蔽されていた部分を通過するSAP12の量は異なることが考えられる。よって、
図5(B)に示されるように、パルプ50上に撒かれたSAP12の左端部(コンベアー51の搬送方向の先端)の厚みは、中央部の厚みよりも薄くなることが考えられる。
【0041】
また、投下口55がシャッター52により遮蔽されずに開放されている時と、開放状態からシャッター52を
図5(B)中の左方向へ移動させることで投下口55を遮蔽した場合の遮蔽直前の時では、遮蔽された部分を通過するSAP12の量は異なることが考えられる。よって、
図5(B)に示されるように、パルプ50上に撒かれたSAP12の右端部(コンベアー51の搬送方向の後端)の厚みは、中央部の厚みよりも薄くなることが考えられる。
【0042】
[作用・効果]
上記のようなSAP層形成装置1によれば、投下口5の近傍に蓋やシャッターなどの部材は配置されていない。よって、比較例に係るSAP層形成装置40Aおよび40Bのように、SAP層形成装置を形成する部品の隙間に粒状のSAP12が入り込むなどして装置が故障することは防止される。
【0043】
また、上記のようなSAP層形成装置1によれば、カバー8によって覆われる部分を通過した凹部3からSAP12が一気にパルプ50の上に落下する(
図3および
図4参照)。また、上記のようなSAP層形成装置1によれば、凹部3には、底面から開口方向に向けて側面が広がるようにその側面に傾斜部32が設けられている。よって、凹部3に保持されたSAP12はスムーズにパルプ50の上に落下する。よって、パルプ50の上には均一な厚みのSAP12の層が形成される。また、
図4に示されるように、シャフト7の回転速度を減速する場合、パルプ50の上には均一で間欠的な厚みのSAP12の層が形成される。一方、比較例に係るSAP層形成装置40Aおよび40Bによれば、上述の通りパルプ50の上に不均一な厚みの層が形成される。
【0044】
また、上記のようなSAP層形成装置1によれば、凹部3の底面に凹部31が設けられている。よって、ローラ2が回転することで凹部3においてSAP12が動くことは抑制される。よって、意図しない場所で凹部3からSAP12がこぼれ落ちることは抑制される。よって、所望量のSAP12が、意図する場所(カバー8により覆われなくなる場所)において凹部3からパルプ50に向けて落下することになる。よって、予め決められた量(凹部3に保持された量)のSAP12によりパルプ50の上に厚みが均一な層が形成される。
【0045】
また、上記のようなSAP層形成装置1によれば、カバー8がローラ2の右上部の外周に沿って設けられている。よって、ローラ2の回転に伴って移動している凹部3がカバー
8により覆われることになる。このような構造からも意図しない場所で凹部3からSAP12がこぼれ落ちることは抑制される。よって、所望量のSAP12が、意図する場所において凹部3からパルプ50に向けて落下することになる。よって、予め決められた量(凹部3に保持された量)のSAP12によりパルプ50の上に厚みが均一な層が形成される。
【0046】
また、上記のようなSAP層形成装置1によれば、投下口5の近傍の外周面21に付着・蓄積したSAP12がローラ2の回転と共に箱6の外部に出ることは抑制される。よって、投下口5からはSAP12が連続的にローラ2に供給されているが、ローラ2の外周面21の外表面に付着・蓄積したSAP12がローラ2の回転に伴って回転し、パルプ50の上に落下することは抑制される。よって、予め決められた量(凹部3に保持された量)のSAP12によりパルプ50の上に厚みが均一な層が形成される。
【0047】
また、上記のようなSAP層形成装置1によれば、
図3および
図4に示されるようにシャフト7の回転速度を増減させることで、パルプ50の上に間欠的なSAP12の層あるいは連続的なSAP12の層を形成することができる。よって、上記のようなSAP層形成装置1は利便性の高い装置といえる。
【0048】
[変形例1]
図6は、第1変形例に係るSAP層形成装置1Aの概要を例示している。
図6に示されるようにSAP層形成装置1Aは、SAP層形成装置1に加えて、投下口5を覆う蓋10と、蓋10の右端と連結されるヒンジ13と、を備える。蓋10の右端と連結され、ヒンジ13を形成する所定部品は手前から奥へ向かう方向の周りに回転可能である。そして、当該所定部品には、回転するための動力を発生させる駆動装置(例えばモータ)が接続されている。なお、駆動装置にはモータの回転を制御する制御モジュールやメモリなどが搭載されている。一方、蓋10の左端には磁石(図示しない)が設けられている。そして、投下口5の縁は金属材料から形成されており、蓋10の左端は、磁石の磁力により投下口5の縁と接着する。なお、蓋10およびヒンジ13は、本開示の「調節手段」の一例である。また、SAP投下部4は、本開示の「供給部」の一例である。また、投下口5は、本開示の「開口部」の一例である。
【0049】
このようなSAP層形成装置1Aでは、蓋10の右端と連結されるヒンジ13の所定部品を回転させる動力が駆動装置において生成される。また、駆動装置において生成される動力の大きさは制御可能である。よって、投下口5に対する蓋10の角度が任意に調節可能となる。
【0050】
[作用・効果]
上記のようなSAP層形成装置1Aによれば、SAP層形成装置1と同様の効果を奏することができる。加えて、SAP層形成装置1Aによれば、コンベアー51上を移動する吸収体に応じて吸収体に供給するSAP12の量を調整することができる。すなわち、投下口5に対する蓋10の角度が小さくなるように駆動装置において動力が生成されることで、投下口5からローラ2の凹部3へ投下されるSAP12の供給量は制限される。よって、コンベアー51上を移動する吸収体には少量のSAP12が撒かれることになる。又は、投下口5に対する蓋10の角度が大きくなるように駆動装置において動力が生成されることで、投下口5からローラ2の凹部3へ投下されるSAP12の供給量は増大する。よって、コンベアー51上を移動する吸収体には多量のSAP12が撒かれることになる。
【0051】
また、上記のようなSAP層形成装置1Aによれば、蓋10により投下口5が遮蔽された状態から遮蔽解除のために蓋13が回転を開始した直後と、蓋13が回転を開始してか
ら所定時間経過した時とでは、遮蔽されていた部分を通過するSAP12の量は異なることが考えられる。しかしながら、遮蔽されていた部分を通過したSAP12は、ローラ2の凹部3に所定量蓄積され、その後吸収体50に供給される。よって、吸収体50に供給されるSAP12の量は均一となる。
【0052】
なお、上記のようなSAP層形成装置1Aは、投下口5に対する蓋10の角度が調整されることで、投下口5からローラ2に対して間欠的にSAP12を投下させることもできる。よって、ローラ2からパルプ50に間欠的にSAP12を落下させることができる。よって、
図4に示されるようにシャフト7の回転速度を減速させなくとも、パルプ50の上に間欠的にSAP12を配置することができる。
【0053】
また、SAP層形成装置1Aのように蓋10を備えなくともよく、SAP層形成装置1の制御部9において制御信号が変更されることで、コンベアー51上を移動する吸収体に応じて吸収体に供給するSAP12の量を調整してもよい。
【0054】
[変形例2]
図7は、第2変形例に係るSAP層形成装置1Bの概要を例示している。
図7に示されるようにSAP層形成装置1Bは、SAP層形成装置1に加えて投下口5を遮蔽するシャッター11を有するシャッター機構14を備える。また、シャッター機構14は、シャッター11の移動のための駆動力を発生させる駆動装置を備える(図示しない)。なお、駆動装置には、駆動力の発生を制御する制御モジュールやメモリなどが搭載されている。なお、シャッター機構14は、本開示の「調節手段」の一例である。
【0055】
このようなSAP層形成装置1Bでは、シャッター11を移動させるための動力が駆動装置において生成される。また、駆動装置において生成される動力の大きさは制御可能である。よって、シャッター11によって遮蔽される投下口5の遮蔽領域の大きさが任意に調節可能となる。
【0056】
[作用・効果]
上記のようなSAP層形成装置1Bによれば、SAP層形成装置1Aと同様にコンベアー51上を移動する吸収体に応じて吸収体に供給するSAP12の量を調整することができる。すなわち、駆動装置において動力が生成されることで、投下口5が遮蔽される領域が大きくなるようにシャッター11を移動させることができる。よって、投下口5からローラ2の凹部3へ投下されるSAP12の供給量は制限される。よって、コンベアー51上を移動する吸収体には少量のSAP12が撒かれることになる。又は、駆動装置において動力が生成されることで、投下口5が遮蔽される領域が小さくなるようにシャッター11を移動させることができる。よって、投下口5からローラ2の凹部3へ投下されるSAP12の供給量は増大する。よって、コンベアー51上を移動する吸収体には多量のSAP12が撒かれることになる。
【0057】
また、上記のようなSAP層形成装置1Bによれば、シャッター11により投下口5が遮蔽された状態から遮蔽解除のためにシャッター11が移動を開始した直後と、シャッター11が回転を開始してから所定時間経過した時とでは、遮蔽されていた部分を通過するSAP12の量は異なることが考えられる。しかしながら、遮蔽されていた部分を通過したSAP12は、ローラ2の凹部3に所定量蓄積され、その後吸収体50に供給される。よって、吸収体50に供給されるSAP12の量は均一となる。
【0058】
[その他変形例]
凹部3の底面には凹部31が設けられていなくともよい。また、凹部3の側面には傾斜部32が設けられていなくともよい。また、SAP投下部4の態様は上記の実施形態及び
変形例で示した例に限定されない。また、箱6の形態は上記の実施形態及び変形例で示した例に限定されず、投下口5近傍の外周面21を囲むように壁が設けられていればよい。また、箱6は設けられていなくともよい。また、カバー8の形態、配置場所は上記の実施形態及び変形例で示した例に限定されない。また、カバー8は設けられていなくともよい。また、シャフト7の回転速度を制御する制御部は設けられていなくともよく、外部装置において生成された動力によりシャフト7が所定速度で所定方向に回転する構造であってもよい。
【0059】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1B :SAP層形成装置
2 :ローラ
3、3C-3D :凹部
4 :SAP投下部
5 :投下口
6 :箱
7 :シャフト
8 :カバー
9 :制御部
10 :蓋
11 :シャッター
13 :ヒンジ
14 :シャッター機構
21 :外周面
31 :凹部
32 :傾斜部
40A、40B :SAP層形成装置
50 :パルプ
51 :コンベアー
52 :シャッター
53 :シャッター機構
54 :SAP投下部
55 :投下口
60 :蓋
61 :内壁
63 :ヒンジ