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特開2022-113494土質定数推定装置、プログラム及び土質定数推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113494
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】土質定数推定装置、プログラム及び土質定数推定方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20220728BHJP
   G01N 3/00 20060101ALI20220728BHJP
   G01N 3/40 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
E02D1/02
G01N3/00 D
G01N3/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009781
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江守 辰哉
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】上野 一彦
(72)【発明者】
【氏名】秋本 哲平
【テーマコード(参考)】
2D043
2G061
【Fターム(参考)】
2D043AA01
2D043AB01
2D043BA01
2D043BB04
2G061AB04
2G061CA06
2G061DA12
2G061EC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】土質定数を高い精度で推定するとともに、土質定数を測定するための調査や試験等を実施していない任意の地点における土質定数を推定する土質定数推定装置、これを機能させるためのプログラム、及び土質定数推定方法を提供する。
【解決手段】システム1において、まず機械学習ステージとして、コーン貫入試験に関するパラメータを説明変数としボーリング調査によって得られた土質定数を目的変数とした機械学習により学習モデルを生成する。次に、土質定数推定ステージとして、この学習モデルを用いて、対象地点を基準としたエリア内で実施されたコーン貫入試験に関する前記パラメータを、生成された前記学習モデルに入力して、任意の地点における土質定数を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーン貫入試験に関するパラメータを説明変数とし、ボーリング調査によって得られた土質定数を目的変数とした機械学習により学習モデルを生成する生成部と、
土質定数の推定対象地点を基準としたエリア内で実施されたコーン貫入試験に関する前記パラメータを、生成された前記学習モデルに入力して、前記推定対象地点における土質定数を推定する推定部と
を備える土質定数推定装置。
【請求項2】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、少なくとも、貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値又は間隙水圧値のうち、少なくともいずれか1つを含む
請求項1記載の土質定数推定装置。
【請求項3】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、コーンを貫入するときの制御に関するパラメータを含む
請求項2記載の土質定数推定装置。
【請求項4】
前記コーンを貫入するときの制御に関するパラメータは、コーンの貫入速度、コーンの貫入深度又はコーンの貫入角度に関するパラメータのうち、少なくともいずれか1つを含む
請求項3記載の土質定数推定装置。
【請求項5】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、コーンの外径及び/又はコーンの形状に関するパラメータを含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の土質定数推定装置。
【請求項6】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、ボーリング調査が実施された地点である第1の地点又は前記推定対象地点である第3の地点と、コーン貫入試験が実施された地点である第2の地点との位置関係に関するパラメータを含む
請求項1~5のいずれか1項に記載の土質定数推定装置。
【請求項7】
前記位置関係に関するパラメータは、
(1)前記第1の地点、前記第2の地点及び前記第3の地点の絶対位置座標を示すパラメータ、
(2)前記第1の地点及び前記第2の地点間の距離、又は、前記第2の地点及び前記第3の地点間の距離を示すパラメータ、
(3)前記第1の地点に対する前記第2の地点の角度又は前記第3の地点に対する第2の地点の角度を示すパラメータ、及び、第1の地点及び第2の地点間の距離又は第2の地点及び第3の地点間の距離を示すパラメータ
のうち少なくともいずれか1つを含む。
請求項6に記載の土質定数推定装置。
【請求項8】
前記土質定数が、少なくとも強度特性(N値)又は細粒分含有率(Fc値)である
請求項1~7のいずれか1項に記載の土質定数推定装置。
【請求項9】
コーン貫入試験に関するパラメータを説明変数とし、ボーリング調査によって得られた土質定数を目的変数とした機械学習により学習モデルを生成する生成部と、土質定数の推定対象地点を基準としたエリア内で実施されたコーン貫入試験に関する前記パラメータを、生成された前記学習モデルに入力して、前記推定対象地点における土質定数を推定する推定部を有する土質定数推定装置として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の土質定数推定装置が実行する土質定数推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の土質定数を推定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の地盤調査方法としては、ボーリング調査が一般的であり、設計に用いる土質定数を得るために標準貫入試験やサンプリング試料を用いた室内土質試験が実施されている。また、比較的簡易な地盤調査手法として、三成分コーン貫入試験(以下、CPTとも記載する)に代表されるサウンディング試験があり、CPTから得られるデータは、土質定数と相関があることが知られており、これまでに様々な換算式や土質定数を推定する仕組みが提案されている。
【0003】
ボーリング調査から、N値及びFc値を取得するためには、標準貫入試験や室内土質試験が必要であり、調査費用や期間は非常に大きなものとなる.一方で、CPTに代表されるサウンディング試験は、比較的安価で地盤調査を実施することが可能であり、土質定数の推定も可能ではあるが、その推定精度は地盤条件によっては著しく低くなることもあり、あくまでも、ボーリング調査の補完的な位置づけとなっている。
【0004】
例えば特許文献1には、ボーリングデータと削孔データとに基づいて機械学習を行ってN値とFc値を推定する学習モデルを生成し、この学習モデルに対し、N値及びFc値が未知の地点における削孔データを入力することで、その地点におけるN値及びFc値を推定するための仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-100949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の仕組みによれば、削孔を実施した地点におけるN値及びFc値を推定することは可能であるが、削孔を実施していない地点におけるN値及びFc値を推定することができない。
【0007】
そこで、本発明は、比較的安価で結果出力のリアルタイム性も高い三成分コーン貫入試験に着目し、CPTデータから土質定数を高い精度で推定すること、及び土質定数を測定するための調査や試験等を実施していない任意の地点における土質定数を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、コーン貫入試験(CPT)に関するパラメータを説明変数とし、ボーリング調査によって得られた土質定数を目的変数とした機械学習により学習モデルを生成する生成部と、土質定数の推定対象地点を基準としたエリア内で実施されたコーン貫入試験に関する前記パラメータを、生成された前記学習モデルに入力して、前記推定対象地点における土質定数を推定する推定部とを備える土質定数推定装置を提供する。
【0009】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、少なくとも、貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値又は間隙水圧値のうち、少なくともいずれか1つを含むようにしてもよい。
【0010】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、コーンを貫入するときの制御に関するパラメータを含むようにしてもよい。
【0011】
前記コーンを貫入するときの制御に関するパラメータは、コーンの貫入速度、コーンの貫入深度又はコーンの貫入角度に関するパラメータのうち、少なくともいずれか1つを含むようにしてもよい。
【0012】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、コーンの外径及び/又はコーンの形状に関するパラメータを含むようにしてもよい。
【0013】
前記コーン貫入試験に関するパラメータは、ボーリング調査が実施された地点である第1の地点又は前記推定対象地点である第3の地点と、コーン貫入試験が実施された地点である第2の地点との位置関係に関するパラメータを含むようにしてもよい。
【0014】
前記位置関係に関するパラメータは、(1)前記第1の地点、前記第2の地点及び前記第3の地点の絶対位置座標を示すパラメータ、(2)前記第1の地点及び前記第2の地点間の距離、又は、前記第2の地点及び前記第3の地点間の距離を示すパラメータ、(3)前記第1の地点に対する前記第2の地点の角度又は前記第3の地点に対する第2の地点の角度を示すパラメータ、及び、第1の地点及び第2の地点間の距離又は第2の地点及び第3の地点間の距離を示すパラメータのうち少なくともいずれか1つを含むようにしてもよい。
【0015】
前記土質定数が、少なくとも強度特性(N値)又は細粒分含有率(Fc値)であってもよい。
【0016】
本発明は、コーン貫入試験に関するパラメータを説明変数とし、ボーリング調査によって得られた土質定数を目的変数とした機械学習により学習モデルを生成する生成部と、土質定数の推定対象地点を基準としたエリア内で実施されたコーン貫入試験に関する前記パラメータを、生成された前記学習モデルに入力して、前記推定対象地点における土質定数を推定する推定部を有する土質定数推定装置として、コンピュータを機能させるためのプログラムを提供する。
【0017】
本発明は、上記土質定数推定装置および同装置を用いた土質定数推定方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、CPTデータから任意の地点における土質定数を高い精度で推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成の一例を示すブロック図。
図2】同実施形態に係る土質定数推定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図。
図3】同土質定数推定装置の機能構成の一例を示すブロック図。
図4】同実施形態において学習モデルを生成する方法の一例を示すフローチャート。
図5】同実施形態におけるコーン貫入試験地点、ボーリング調査地点、及び土質定数が未知の推定対象地点の位置関係を例示する図。
図6】同実施形態において学習モデルを生成するときに用いる教師データの一例を示す図。
図7】同実施形態において学習モデルの検証するときに用いるデータの一例を示す図。
図8】同実施形態において学習モデルを用いて土質定数を推定する方法の一例を示すフローチャート。
図9】同実施形態において学習モデルによって土質定数を推定するときに用いるデータの一例を示す図。
図10A】従来の換算式による土質定数(N値)の推定結果、従来の重回帰分析による土質定数(N値)の推定結果、及び本実施形態による土質定数(N値)の推定結果における相関係数を例示する図。
図10B】従来の換算式による土質定数(Fc値)の推定結果、従来の重回帰分析による土質定数(Fc値)の推定結果、及び本実施形態による土質定数(Fc値)の推定結果における相関係数を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態の一例について説明する。
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の全体構成の一例を示すブロック図である。システム1は、地盤に孔を掘削してボーリング調査を行うボーリングシステム10と、地盤に対して電気式コーン貫入試験を行うコーン貫入試験システム20と、地盤の土質定数を推定する土質定数推定装置30とを備える。ボーリングシステム10と土質定数推定装置30との間、又は、コーン貫入試験システム20と土質定数推定装置30との間は、それぞれ有線又は無線を介して電気的に接続されてもよいし、接続されていなくてもよい。ボーリングシステム10と土質定数推定装置30との間、又は、コーン貫入試験システム20と土質定数推定装置30との間が電気的に接続されている場合は、ボーリングシステム10又はコーン貫入試験システム20から出力されるデータは、有線又は無線を介して土質定数推定装置30に入力される。ボーリングシステム10と土質定数推定装置30との間、又は、コーン貫入試験システム20と土質定数推定装置30との間が電気的に接続されていない場合は、ボーリングシステム10又はコーン貫入試験システム20から出力されるデータは、例えば所定の記憶媒体を介して又はオペレータの手動操作により、土質定数推定装置30に入力される。
【0021】
ボーリングシステム10が行うボーリング調査により、地盤の土質定数として例えば強度特性(以下、N値という)及び細粒分含有率(以下、Fc値という)が測定される。ボーリング調査と併用して実施される標準貫入試験から得られるN値は、多くの設計用地盤定数の推定に使用可能であるため、その利用価値は非常に大きい。また、サンプリング試料を用いた室内土質試験から得られるFc値は、地盤の透水性や液状化抵抗性に影響している。ボーリング調査はこれらパラメータを直接的に計測することができ、精度が高いものの、コストが大きく、土質によっては調査の実施そのものが難しいという問題がある。
【0022】
コーン貫入試験システム20は、コーン貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値及び間隙水圧値といった三成分データを同時に測定可能な電気式コーンをロッド先端に取り付けて地盤に貫入し、上記の三成分データを連続的に測定するシステムである。コーン貫入試験によれば、測定した三成分データにより、例えば地層区分判定、地盤改良効果の確認、或いは液状化判定などが可能となる。さらに、これらの三成分データは、経験的に、ボーリング調査その他の土質調査から得られる土質定数とも相関関係があるとされており、その換算式も多数提案されている。
【0023】
本実施形態の特徴は、システム1において、まず機械学習ステージとして、コーン貫入試験に関するパラメータを説明変数としボーリング調査によって得られた土質定数を目的変数とした機械学習により学習モデルを生成し、次に土質定数推定ステージとして、この学習モデルを用いて任意の地点における土質定数を推定する、という点にある。
【0024】
図2は、土質定数推定装置30のハードウェア構成を示す図である。土質定数推定装置30は、物理的には、プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、入力装置3005、出力装置3006及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。土質定数推定装置30のハードウェア構成は、図2に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0025】
土質定数推定装置30における各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、他の装置から送信されてきたデータを取得したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0026】
プロセッサ3001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ3001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ3001によって実現されてもよい。
【0027】
プロセッサ3001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ3003及び通信装置3004の少なくとも一方からメモリ3002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。土質定数推定装置30の機能ブロックは、メモリ3002に格納され、プロセッサ3001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ3001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ3001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ3001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介して土質定数推定装置30に送信されてもメモリ3002やストレージ3003にインストールされてもよい。
【0028】
メモリ3002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ3002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ3002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0029】
ストレージ3003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ3003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。
【0030】
通信装置3004は、有線又は無線の少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0031】
入力装置3005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタンなど)である。出力装置3006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置3005及び出力装置3006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0032】
土質定数推定装置30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ3001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0033】
図3は、土質定数推定装置30の機能構成の一例を示す図である。土質定数推定装置30によって実現される各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0034】
図3において、データ取得部31は、土質定数推定装置30の外部から各種のデータを取得する。このデータには、ボーリングシステム10によるボーリング調査によって測定された土質定数であるN値及びFc値と、コーン貫入試験システム20によって実施されたコーン貫入試験に関するパラメータ(以下、コーン貫入試験パラメータという)が含まれる。コーン貫入試験パラメータは、前述した貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値及び間隙水圧値といった三成分を含む。
【0035】
さらに、コーン貫入試験パラメータは、コーン貫入試験システム20においてコーンを貫入するときの制御に関するパラメータ(以下、コーン制御パラメータという)と、コーンの外径及び/又はコーンの形状に関するパラメータ(以下、コーン形状パラメータという)とを含む。コーン制御パラメータは、地盤に対するコーンの貫入速度、地盤に対するコーンの貫入深度、又は、地盤に対するコーンの貫入角度(例えばコーンの貫入方向と鉛直方向とが成す角度)に関するパラメータのうち、少なくともいずれか1つを含む。
【0036】
さらに、コーン貫入試験パラメータは、ボーリング調査が実施された地点(本発明における第1の地点)と、コーン貫入試験が実施された地点(本発明における第2の地点)との位置関係に関するパラメータ、及び、土質定数であるN値及びFc値が未知の地点(本発明における第3の地点)と、コーン貫入試験が実施された地点(本発明における第2の地点)との位置関係に関するパラメータを含む。以下では、これらのパラメータを、位置関係パラメータという。
この位置関係パラメータは、(1)第1の地点、第2の地点及び第3の地点の絶対位置座標を示すパラメータ、(2)第1の地点及び第2の地点間の距離、又は、第2の地点及び第3の地点間の距離を示すパラメータ、(3)第1の地点に対する第2の地点の角度(例えば第1の地点から第2の地点を見たときの方位)又は第3の地点に対する第2の地点の角度(例えば第3の地点から第2の地点を見たときの方位)を示すパラメータ、及び、第1の地点及び第2の地点間の距離又は第2の地点及び第3の地点間の距離を示すパラメータ、という(1)~(3)のうち少なくともいずれか1つを含む。
【0037】
上述したように、コーン貫入試験パラメータは、コーン貫入試験における本来の測定対象である三成分データ(貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値及び間隙水圧値)のほか、コーン貫入試験を行うときの前提乃至条件に相当する値(コーン貫入速度、コーンの貫入深度、コーンの貫入角度、コーンの外径、コーンの形状、及び位置関係パラメータ)を含んでいる。
【0038】
教師データ生成部32は、機械学習ステージにおいて、データ取得部31によって取得されたデータを用いて、学習モデルを生成するために用いる教師データを生成する。より具体的には、教師データ生成部32は、前述したコーン貫入試験パラメータを説明変数とし、地盤定数であるN値及びFc値を目的変数とした学習モデルにおける教師データを生成する。この学習モデルは、例えばニューラルネットワークによる機械学習によって得られるモデルである。
【0039】
前述したように、コーン貫入試験における三成分データ(貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値及び間隙水圧値)は、ボーリング調査等から得られるN値と相関関係があり、その換算式も多数提案されている。このため、上記のようなN値を含む土質定数を目的変数とした学習モデルにおいて、これら三成分データを説明変数として用いることは妥当と考えられる。
【0040】
本実施形態では、これら三成分データのほかに、コーン貫入試験を行うときの前提乃至条件に相当する値をも、説明変数として用いている。その理由は、これらコーン貫入試験を行うときの前提乃至条件に相当する値の一部は、三成分データのように土質定数に対して直接的な因果関係をもっているというよりも、三成分データの測定値に対して影響を与えている可能性がある、との仮説を本発明者らが立てたからである。
【0041】
より具体的には、例えばコーン貫入速度とコーンの外径は、貫入抵抗値に影響を与えると想定され、コーン貫入速度またはコーンの外径が大きいと貫入抵抗値も大きくなると考えられる。また、例えばコーン貫入角度及びコーンの外径は、貫入抵抗値及び周面摩擦抵抗値に影響を与えると想定され、コーン貫入角度及びコーンの外径が大きいと貫入抵抗値及び周面摩擦抵抗値も大きくなると考えられる。また、コーンの貫入深度は間隙水圧値に影響を与えると想定され、地下水位以深において、コーンの貫入深度が深いと間隙水圧値が高くなると考えられる。同様に、コーンの形状も貫入抵抗値及び周面摩擦抵抗値に影響を与えると想定される。また、位置関係パラメータの意義については後に詳述する。
【0042】
モデル生成部33は、機械学習ステージにおいて、説明変数たるコーン貫入試験パラメータ及び目的変数たるN値及びFc値を教師データとして、ニューラルネットワークによる機械学習を実施して、学習モデルを生成する。
【0043】
モデル格納部34は、モデル生成部33により生成された学習モデルを格納する。
【0044】
検証部35は、機械学習ステージにおいて、検証用データを用いて学習モデルの精度を検証する。より具体的には、検証部35は、モデル格納部34に格納された学習モデルにコーン貫入試験パラメータを適用して、N値及びFc値が既知の地点におけるN値及びFc値を推定し、その推定値を既知のN値及びFc値と比較し、その差分を評価する。その差分が閾値を超えるなど、学習モデルの精度が不十分であれば、モデル生成部33が学習モデルにおける教師データの量を増やすとかハイパーパラメータ等を見直すなどして、精度が十分となるような学習モデルを生成する。
【0045】
推定部36は、モデル格納部34に格納された学習モデルと、土質定数推定ステージにおいてデータ取得部31によって取得されたコーン貫入試験パラメータとを用いて、N値及びFc値が未知の任意の地点におけるN値及びFc値を推定して出力する。このN値及びFc値に基づいて設計用土質定数の決定がなされ、施工前の設計等に用いられることになる。
【0046】
[動作]
[機械学習ステージにおける動作]
まず、機械学習ステージにおける本実施形態の動作を説明する。図4は、土質定数推定装置30が学習モデルを生成する方法の一例を示すフローチャートである。まず、ボーリングシステム10により、1以上の所定の地点にてボーリング調査が実施される(ステップS11)。これにより、その地点における地盤のN値及びFc値が測定される。
【0047】
次に、コーン貫入試験システム20により、ボーリング調査が実施された地点を基準とした所定エリア内の複数地点に対して、それぞれコーン貫入試験が行われる(ステップS12)。例えば1つのボーリング調査地点を中心とした半径Xmの円内においてY個の地点(X、Yは任意の値だが、例えばX=10(m)、Y=10(個))に対するコーン貫入試験が行われる。
【0048】
ここで、図5は、コーン貫入試験地点cp、ボーリング調査地点B、及び、土質定数が未知の地点kn(以下、推定対象地点という)の位置関係を例示する図である。図5では、1つのボーリング調査地点Bを基準とした破線で示すエリア内に、10個のコーン貫入試験地点cp1~cp10がある例が示されている。図5に示した土質定数が未知の推定対象地点knは、土質定数を測定するための調査や試験等が行われていない地点である。本実施形態の目的は、コーン貫入試験地点cpにおける土質定数を推定すること、また、推定対象地点knの土質定数を推定することである。
【0049】
これにより、ボーリング調査地点の近傍の複数のコーン貫入試験地点について、それぞれ前述したコーン貫入試験パラメータ(貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値、間隙水圧値、コーン貫入速度、コーンの貫入深度、コーンの貫入角度、コーンの外径、コーンの形状、及び、ボーリング調査地点とコーン貫入試験地点との位置関係パラメータ)が得られる。
【0050】
図4の説明に戻り、これらのN値、Fc値及びコーン貫入試験パラメータが土質定数推定装置30に入力される(ステップS13)。これにより、土質定数推定装置30のデータ取得部31は、N値、Fc値、及びコーン貫入試験パラメータ(位置関係パラメータを含む)を取得する。
【0051】
次に、土質定数推定装置30の教師データ生成部32は、データ取得部31によって取得されたコーン貫入試験パラメータを説明変数とし、データ取得部31によって取得されたN値及びFc値を目的変数とした教師データを生成する(ステップS14)。
【0052】
ここで、図6は、教師データ生成部32により生成された教師データの一例を示す図である。図6は、ボーリング調査によって得られた1つの目的変数(N値、Fc値)に対して、3つのコーン貫入試験地点で得られた説明変数が対応する場合が例示されている。例えば、孔名「cp1」(図5に例示したコーン貫入試験地点cp1に対応している、以下、cp2~cp10についても同様)のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータ、孔名「cp2」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータ及び孔名「cp3」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータを説明変数とし、孔名「B」のボーリング地点における土質定数を目的変数とした教師データが1つのセットである。ここで、孔名「cp1」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp1」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「B」のボーリング地点(本発明の第1の地点)間の距離「L(B-1)」が位置関連パラメータとして含まれている。同様に、孔名「cp2」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp2」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「B」のボーリング地点(本発明の第1の地点)間の距離「L(B-2)」が位置関連パラメータとして含まれている。同様に、孔名「cp3」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp3」のコーン貫入試験地(本発明の第2の地点)点及び孔名「B」のボーリング地点(本発明の第1の地点)間の距離「L(B-3)」が位置関連パラメータとして含まれている。このような1つの目的変数及び3つの既知点による説明変数のセットからなる教師データが、ボーリング調査地点B及びコーン貫入試験地点cp1~cp10の全組み合わせに対応して用意される。
【0053】
図4の説明に戻り、モデル生成部33は、上記教師データを用いて機械学習を実施し(ステップS16)、これにより、学習モデルを生成してモデル格納部34に格納する。
【0054】
次に、検証部35は、モデル格納部34に格納されている学習モデルの精度を検証する(ステップS17)。
【0055】
ここで、図7は、学習モデルを検証するときに用いる検証用データの一例を示す図である。図7では、孔名「cp6」のコーン貫入試験地点において追加ボーリングを行い、土質定数(N値、Fc値)が既知であるとしている。検証用データには、孔名「cp6」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータ、孔名「cp5」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータ、及び孔名「cp7」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータが説明変数として、ボーリング地点孔名「cp6」における土質定数つまりcp6の土質定数が目的変数として用いられている。ここで、孔名「cp6」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp6」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び「cp6」の追加ボーリング地点(本発明の第1の地点)間の距離(つまり「0」)が位置関連パラメータとして含まれている。同様に、孔名「cp5」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp5」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「cp6」のコーン貫入試験地点(本発明の第1の地点)間の距離「L(6-5)」が位置関連パラメータとして含まれており、孔名「cp7」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp7」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「cp6」のコーン貫入試験地点(本発明の第1の地点)間の距離「L(6-7)」が位置関連パラメータとして含まれている。
検証部35は、このような検証用データの説明変数を学習モデルに入力して得た孔名「cp6」の推定N値及び推定Fc値と、既知の孔名「cp6」の土質定数であるN値及びFcとを比較し、その差分を評価する。その差分が閾値を超えると、学習モデルの精度は不十分ということになる。
【0056】
図4の説明に戻り、学習モデルの精度が不十分であれば(ステップS18;No)、モデル生成部33は学習モデルにおけるハイパーパラメータ等を見直して、精度が十分となるような学習モデルを生成する(ステップS16~S17)。学習モデルの精度が十分と判断されると(ステップS18;Yes)、図4に示す処理は終了する。
【0057】
図6では、ボーリング調査によって得られた1つの目的変数(N値、Fc値)に対して、3つのコーン貫入試験地点で得られた説明変数が対応する場合を例示したが、1つの目的変数を得るために必要な説明変数として用いる既知点としてのコーン貫入試験地点は位置関係パラメータとして用いる情報によっては1つ以上であればよい。
前述したように、説明変数として3つの既知点を用いる場合のであるコーン貫入試験地点に関する位置関係パラメータは、本発明の第1の地点と本発明の第2の地点間の距離だけであったが、説明変数として2つの既知点だけを用いる場合、コーン貫入試験地点に関する位置関係パラメータには、前記距離のほかに、本発明の第1の地点に対する本発明の第2の地点の角度(例えば第1の地点から第2の地点を見たときの方位)も位置関係パラメータとして必要となる。
【0058】
また、本発明の第1の地点と本発明第2の地点との位置関係に関する位置関係パラメータとして、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)による絶対位置座標を用いる際には、前述したような第1の地点及び第2の地点間の距離や、第1の地点に対する第2の地点の角度の情報はなくとも構わず、説明変数としてのコーン貫入試験地点も1つでもよい。
【0059】
[土質定数推定ステージにおける動作]
次に、土質定数推定ステージにおける本実施形態の動作を説明する。図8は、学習モデルを用いて土質定数を推定する方法の一例を示すフローチャートである。
まず、土質定数推定装置30において、推定部36は、推定対象地点を特定する(ステップS19)。図6で使用した教師データの一例を示す図と同様に、オペレータが推定対象地点を特定するための情報である位置関係パラメータを土質定数推定装置30に入力し、推定部36がこれを取得することで、推定対象地点を特定する。推定対象地点を特定するための情報とは、用いる既知点の対象数に応じて、例えば推定対象地点の絶対位置座標であってもよいし、推定に用いるコーン貫入試験地点と推定対象地点との間の距離や角度であってもよい。
【0060】
次に、推定部36は、推定対象地点を基準とした所定のエリア内で実施されたコーン貫入試験で得られたコーン貫入試験パラメータと、そのコーン貫入試験地点及び推定対象地点間の位置関係に関するパラメータとを学習モデルに入力する(ステップS20)。
【0061】
ここで、図9は、土質定数推定ステージにおいて学習モデルに入力されるデータの一例を示す図である。図9では、孔名「kn」の推定対象地点(図5参照)における土質定数X(N値、Fc値)及びコーン貫入試験パラメータが未知であると仮定している。学習モデルに入力されるデータは、コーン貫入試験地点cp1~cp10のうち、推定対象地点knに近い順から所定数(ここでは3つ)選択された既知のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータである。図9の例では、孔名「cp1」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータ、孔名「cp8」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータ及び孔名「cp10」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータが用いられている。孔名「cp1」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp1」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「kn」の推定対象地点(本発明の第3の地点)間の距離「L(kn-1)」が位置関連パラメータとして含まれている。同様に、孔名「cp8」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp8」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「kn」の推定対象地点(本発明の第3の地点)間の距離「L(kn-8)」が位置関連パラメータとして含まれており、孔名「cp10」のコーン貫入試験地点におけるコーン貫入試験パラメータには、孔名「cp10」のコーン貫入試験地点(本発明の第2の地点)及び孔名「kn」の推定対象地点(本発明の第3の地点)間の距離「L(kn-10)」が位置関連パラメータとして含まれている。
【0062】
図8において、推定部36は、上記のデータを説明変数として学習モデルに入力した結果、推定対象地点の土質定数N値及びFc値を取得する(ステップS21)。
【0063】
以上が本実施形態の説明である。本実施形態によれば、コーン貫入試験から技術者の経験値や主観に依らず、土質定数を高い精度で推定できるほか、コーン貫入試験やボーリング調査等を行っていない任意の地点における土質定数を推定することが可能となる。これにより、例えばボーリングを行って土質定数を測定する場合に比べて、その工程及びコストが格段に削減される。さらに、或る範囲の地盤全般についての土質定数を、水平方向及び鉛直方向にわたって3次元的に可視化することも可能となる。
なお、上記実施形態の説明は土質定数の既知点が3つである場合として説明したが、既知点は2つであっても構わない、既知点が2つの場合には、用いる位置関係パラメータの項目に角度を追加し、既知点が1つの場合には、位置関係パラメータとして絶対位置座標をもちいればよい。なお、既知点が2つの場合や3つの場合に位置関係パラメータとして絶対位置座標を用いても構わない。
【0064】
[実施例]
上記実施形態の内容に沿って行った検証結果の一例について説明する。
図10A図10Bは、従来の換算式による土質定数の推定結果、従来の重回帰分析による土質定数の推定結果、及び本実施形態による土質定数の推定結果を例示する図である。図10Aは土質定数としてN値を用いたものであり、図10Bは土質定数としてFc値を用いたものである。これらの図において、いずれのグラフも横軸は実測した土質定数であり、縦軸は推定した土質定数である。これらの図に示した表によれば、推定値が実測値とどのくらい一致しているかを表している指標である相関係数が、N値に関しては換算式で0.18、重回帰分析で0.77であるが、本実施例による推定では0.99と高い精度となった。また、Fc値に関しては、換算式で0.89、重回帰分析で、0.95であるが、本実施例による推定では0.99と、こちらの土質定数に関しても高い推定精度を示した。
【0065】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0066】
推定対象となる土質定数は、上記実施形態で例示したN値又はFc値に限らない。例えば地盤の密度、含水比、飽和度、変形特性値、せん断特性値、透水係数等であってもよいが、これらの例にも限定されない。
【0067】
学習モデルにおいて用いるパラメータとして上記実施形態で例示したコーン貫入試験パラメータは、必ずしもその全てが必須ではない。コーン貫入試験パラメータは、少なくとも、貫入抵抗値、周面摩擦抵抗値又は間隙水圧値のうち、少なくともいずれか1つを含んでいればよい。また、コーン制御パラメータは、コーンの貫入速度、コーンの貫入深度又はコーンの貫入角度に関するパラメータのうち、少なくともいずれか1つを含んでいればよい。
【0068】
なお、本発明は、上述した推定方法として観念することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
1:システム、10:ボーリングシステム、20:コーン貫入試験システム、30:土質定数推定装置、31:データ取得部、32:教師データ生成部、33:モデル生成部、34:モデル格納部、35:検証部、36:推定部、3001:プロセッサ、3002:メモリ、3003:ストレージ、3004:通信装置、3005:入力装置、3006:出力装置、B:ボーリング調査地点、kn:推定対象地点、cp1~cp10:コーン貫入試験地点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B