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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113558
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】フライ調理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A47J37/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009874
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】518177021
【氏名又は名称】小川 陽吉
(71)【出願人】
【識別番号】594109934
【氏名又は名称】高藤 恭胤
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】小川 陽吉
(72)【発明者】
【氏名】高藤 恭胤
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AB02
4B059BB20
4B059CA02
4B059CA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】食用油を更に長持ちさせることができるフライ調理装置を提供する。
【解決手段】フライ調理装置1は、油Aが満たされた油槽10に被処理物Bを保持して被処理物Bのフライ調理を行うフライ調理装置1であって、油槽10に電圧を印加する電源装置20を有するとともに、油槽10に導電性の粉末を含む発熱塗料20が施される。電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか一方の極側は、油槽10と結線されて接続され、電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか他方の極側は、プラズマ発生装置40のプラス電極40aおよびマイナス電極40b側のいずれか他方の極側に結線されて接続される。プラズマ発生装置40のプラス電極40a側とマイナス電極40b側は所定に離間し非結線とすることにより、プラズマ発生装置40を介して油槽10と所定に離間させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油が満たされた油槽に被処理物を保持して前記被処理物のフライ調理を行うフライ調理装置であって、
前記油槽に電圧を印加する電源装置を有するとともに、前記油槽に導電性の粉末を含む発熱塗料が施されることを特徴とするフライ調理装置。
【請求項2】
前記導電性の粉末を含む発熱塗料は、炭素粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項3】
前記炭素粉末は、粉砕した竹炭および/またはファインカーボンを含むことを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項4】
前記炭素粉末における粉砕した竹炭の配合割合は、60~90重量%とすることを特徴とする請求項3に記載のフライ調理装置。
【請求項5】
前記炭素粉末におけるファインカーボンの配合割合は、10~40重量%とすることを特徴とする請求項3に記載のフライ調理装置。
【請求項6】
前記炭素粉末の粒度は、0.15~1.5μmとすることを特徴とする請求項2に記載のフライ調理装置。
【請求項7】
前記炭素粉末は、所定のバインダを介して前記油槽に施され、前記バインダは、シリコン系化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載のフライ調理装置。
【請求項8】
前記油槽に所定のセラミックスを介して前記発熱塗料を施すことを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項9】
前記導電性の粉末を含む発熱塗料は、前記油槽に塗布した後に焼き付けて施され、前記焼き付けは、550~750℃で行うことを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項10】
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記油槽と非結線とし所定に離間することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項11】
前記油槽と前記電源装置との間に所定のプラズマ発生装置が介在することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項12】
前記油槽と前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側との間に所定のプラズマ発生装置が介在することにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記油槽と非結線とし所定に離間することを特徴とする請求項11に記載のフライ調理装置。
【請求項13】
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と接続するとともに、前記油槽は、更に、所定のプラズマ発生装置と接続することにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側が、前記油槽を介して接続され、
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側に接続するとともに、前記プラズマ発生装置の電極間は所定に離間し非結線とすることにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置が介在して前記油槽と非結線とし所定に離間することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項14】
前記油槽は、一の接続線を介して前記電源装置と接続され、前記電源装置から前記油槽に至る帯電流の電路が形成されることを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項15】
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、所定のプラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側と接続し、
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と前記一の接続線を介して接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置が介在して前記油槽と非結線とし所定に離間することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項16】
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、所定のプラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側と接続し、
前記油槽は、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側との接続および前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側と前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側との接続のいずれか一方の接続に対して一の接続線を介して分岐するように接続するとともに、前記いずれか他方の接続とは、非結線とすることにより、
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と前記一の接続線を介して接続するとともに、
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置が介在して前記油槽と非結線とし所定に離間することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項17】
前記電源装置は、前記プラズマ発生装置の電極間に放電を発生させる電圧を出力することを特徴とする請求項11、12、13、14、15、または16のいずれか一項に記載のフライ調理装置。
【請求項18】
前記放電は、アーク放電とすることを特徴とする請求項17に記載のフライ調理装置。
【請求項19】
前記電源装置は、所定の周波数でパルス電流を発生させるパルス発生器を有することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項20】
前記電源装置は、前記パルス発生器により発生したパルス電流の極性を交互に反転させる極性反転器を有することを特徴とする請求項19に記載のフライ調理装置。
【請求項21】
前記発熱塗料の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器により検出された温度が所定の温度を超えたか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記検出された温度が前記所定の温度を超えたときに、警報を出力する警報出力部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【請求項22】
前記発熱塗料の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器により検出された温度が所定の温度を超えたか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記検出された温度が前記所定の温度を超えたときに、前記油槽に印加される電圧をオフまたは降圧する電源制御部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のフライ調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライ調理装置に関し、特に油が満たされた油槽に被処理物を保持して被処理物のフライ調理を行うフライ調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、フライ調理装置に所定の電圧を印加して静電場雰囲気とし、この静電場雰囲気内で被処理物たる食品を保持することにより、食用油を長持ちさせることが知られており、このような技術は、例えば、特許文献1に開示された技術を参照することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4367984号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、上述した従来のフライ調理装置において、更に食用油を長持ちさせることができる技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、更に食用油を長持ちさせることができるフライ調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るフライ調理装置は、油が満たされた油槽に被処理物を保持して前記被処理物のフライ調理を行うフライ調理装置であって、前記油槽に電圧を印加する電源装置を有するとともに、前記油槽に導電性の粉末を含む発熱塗料が施されることを特徴とする。
本発明によれば、前記油槽に電圧を印加する電源装置を有するとともに、前記油槽に導電性の粉末を含む発熱塗料が施されることとしたので、発熱塗料を介して油槽において導電特性や発熱特性を向上させながら静電場雰囲気として被処理物を保持することが可能となり、更に食用油を長持ちさせることできる。
【0007】
前記導電性の粉末を含む発熱塗料は、炭素粉末を含むことができる。
前記炭素粉末は、粉砕した竹炭および/またはファインカーボンを含むことができる。
前記炭素粉末における粉砕した竹炭の配合割合は、60~90重量%とすることが好ましい。また、前記炭素粉末におけるファインカーボンの配合割合は、10~40重量%とすることが好ましい。
【0008】
前記炭素粉末の粒度は、0.15~1.5μmとすることとすれば、均一で緻密な塗料膜の形成が可能となるとともに、炭素粉末の密度と全表面積とを増加させて、導電特性や発熱特性を増加させることができる。
【0009】
前記炭素粉末は、所定のバインダとともに前記油槽に施され、前記バインダは、シリコン系化合物を含むこととすれば、耐油性に優れるシリコン系化合物がバインダとして介在することで炭素粉末を安定して油槽に施すことができる。
【0010】
前記油槽に所定のセラミックスを介して前記発熱塗料を施すこととすれば、油槽において腐食を低減することができる。
前記導電性の粉末を含む発熱塗料は、前記油槽に塗布した後に焼き付けて施され、前記焼き付けは、550~750℃で行うことができる。
【0011】
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記油槽と非結線とし所定に離間することができる。
【0012】
前記油槽と前記電源装置との間に所定のプラズマ発生装置が介在することとすれば、より詳しくは、前記油槽と前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側との間に所定のプラズマ発生装置が介在することにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記油槽と非結線とし所定に離間することとすれば、プラズマを発生させながら大きな電流を流しつつ油を静電場処理することができ、更に一層食用油を長持ちさせることできる。
【0013】
すなわち、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と接続するとともに、前記油槽は、更に、所定のプラズマ発生装置と接続することにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側が、前記油槽を介して接続され、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側に接続するとともに、前記プラズマ発生装置の電極間は所定に離間し非結線とすることにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置が介在して前記油槽と非結線とし所定に離間することができる。
【0014】
前記油槽は、一の接続線を介して前記電源装置と接続され、前記電源装置から前記油槽に至る帯電流の電路が形成されることとすれば、帯電流の電路を形成しつつ電界を生じさせて油槽を静電場雰囲気することができる。また、油槽において感電することを防止することができる。
【0015】
前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、所定のプラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側と接続し、前記油槽は、前記プラズマ発生装置と、一の接続線を介して接続し、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と前記一の接続線を介して接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置が介在して前記油槽と非結線とし所定に離間することとすれば、プラズマを発生させながら電源装置とプラズマ発生装置との間で大きな電流を流しつつ、この電流に対応して電源装置から油槽に至る帯電流の電路を形成し電界を生じさせ油槽を静電場雰囲気することができる。また、油槽においては、感電することを所定に防止することができる。
【0016】
すなわち、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、所定のプラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側と接続さし、前記油槽は、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側と前記プラズマ発生装置プラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側との接続からの分岐および前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側と前記プラズマ発生装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側との接続からの分岐のいずれか一方の分岐と一の接続線を介して接続するとともに、前記いずれか他方の分岐とは、非結線とすることにより、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか一方の極側は、前記油槽と前記一の接続線を介して接続するとともに、前記電源装置のプラス極側およびマイナス極側のいずれか他方の極側は、前記プラズマ発生装置が介在して前記油槽と非結線とし所定に離間することができる。
【0017】
前記電源装置は、前記プラズマ発生装置の電極間に放電を発生させる電圧を出力することができる。
前記放電は、アーク放電とすることとすれば、更に大きな電流を流しつつ油を静電場処理することができる。
【0018】
前記電源装置は、所定の周波数でパルス電流を発生させるパルス発生器を有することとすれば、電圧が印加される油槽に所定の周波数で磁界を発生させることができ、食用油に所定の周波数の磁界が齎す波動を転写することができる。これにより、更に一層食用油を長持ちさせることができるとともに、フライ調理される被処理物の食感を向上させることができる。
前記電源装置は、前記パルス発生器により発生したパルス電流の極性を交互に反転させる極性反転器を有することとすれば、食用油に極性が交互に反転する磁界が齎す波動を転写することができる。
【0019】
前記発熱塗料の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器により検出された温度が所定の温度を超えたか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記検出された温度が前記所定の温度を超えたときに、警報を出力する警報出力部と、を有することとすれば、発熱塗料の温度が所定の温度を超えたときに、警報を出力することができる。
【0020】
前記発熱塗料の温度を検出する温度検出器と、前記温度検出器により検出された温度が所定の温度を超えたか否かを判断する判断部と、前記判断部により前記検出された温度が前記所定の温度を超えたときに、前記油槽に印加される電圧をオフまたは降圧する電源制御部と、を有することとすれば、発熱塗料の温度が所定の温度を超えたときに、油槽に印加される電圧をオフまたは降圧することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、更に食用油を長持ちさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係るフライ調理装置の全体構成を示す系統図である。
図2】同フライ調理装置のフライカゴの構成を示す斜視図である。
図3】同フライ調理装置の発熱塗料の構成を示す図である。
図4】同フライ調理装置のAC/DC変換器の機能を説明するための図である。
図5】同フライ調理装置のパルス発生器の機能を説明するための図である。
図6】同フライ調理装置のプラズマ発生装置の構成を示す正面断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るフライ調理装置の全体構成を示す系統図である。
図8】同フライ調理装置のプラズマ発生装置の構成を示す正面断面図である。
図9】同フライ調理装置の変形例を示す図である。
図10】同フライ調理装置の変形例を示す別の図である。
図11】同フライ調理装置の他の変形例を示す図である。
図12】同フライ調理装置の他の変形例を示す別の図である。
図13】同フライ調理装置の更に他の変形例を示す図である。
図14】同フライ調理装置の更に他の変形例を示す別の図である。
図15】更に他の変形例におけるコンピュータの構成を示す図である。
図16】同フライ調理装置の別の変形例を示す図である。
図17】同フライ調理装置の別の変形例を示す別の図である。
図18】別の変形例における極性反転部の機能を説明するための図である。
図19】同フライ調理装置の更に別の変形例を示す図である。
図20】同フライ調理装置の更に別の変形例を示す別の図である。
図21】同フライ調理装置の更にまた別の変形例を示す図である。
図22】同フライ調理装置の更にまた別の変形例を示す別の図である。
図23】同フライ調理装置のまた更に別の変形例を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明のフライ調理装置の全体構成を示す系統図、図2は、同フライ調理装置のフライカゴの構成を示す斜視図、図3は、同フライ調理装置の発熱塗料の構成を示す図、図4は、同フライ調理装置のAC/DC変換器の機能を説明するための図、図5は、同フライ調理装置のパルス発生器の機能を説明するための図、図6は、同フライ調理装置のプラズマ発生装置の構成を示す斜視図である。
【0024】
図1を参照して本発明のフライ調理装置1の概要を説明すると、フライ調理装置1は、油槽10、電源装置30、およびプラズマ発生装置40を有しており、被処理物たる食品Bのフライ調理を行うことができる。
【0025】
油槽10は、上面が開口した箱状の油槽本体11を有しており、油槽本体11の内部にフライ調理を行うための食用油Aが満たされている。油槽10は、フライカゴ12を有する構成となっている。すなわち、フライ調理装置1は、食用油Aが満たされた油槽本体11にフライカゴ12を浸漬しつつフライカゴ12を介して被処理物たる食品B(以下、被処理物たる食品Bは、単に食品とする)を保持して食品Bのフライ調理を行うことができる。
【0026】
油槽10は、加熱器を有しており、加熱器により油槽10に満たされた食用油Aを所定の温度に加熱することができる。
ここで、油槽10には、フライカゴ12を介して導電性の粉末を含む発熱塗料20(以下、単に発熱塗料20とする場合がある)が施されている。フライカゴ12は、ステンレス製であり、図2に示すように、線状をなしている。発熱塗料20は、線状をなすフライカゴ12の表面に施されている。
【0027】
発熱塗料20は、通電等によって発熱する塗料である。発熱塗料20は、発熱因子として炭素を主原料とし、かつ、基材(フライカゴ12)との結合成分として各種樹脂を使用した塗料である。すなわち、発熱塗料20は、導電性の粉末として炭素粉末21を含んでいる。炭素粉末21は、粉砕した竹炭およびファインカーボンを含むことができる。ここで、「粉砕した竹炭」とは、竹を燃焼した竹炭を粉砕したものを意味する。更に「 ファインカーボン」とは、菜種油等の植物性油、あるいは重油等の化石燃料等を燃焼させたときに得られる煤を意味する。
【0028】
炭素粉末21における粉砕した竹炭の配合割合は、60~90重量%とすることができ、炭素粉末21におけるファインカーボンの配合割合は、10~40重量%とすることができる。
【0029】
すなわち、竹炭およびファインカーボンの配合割合を、それぞれ60~90重量%、および10~40重量%にすることによって、好適な導電特性や発熱特性を得ることができる。つまり、竹炭には、カーボンの他に、リン、硫黄、マグネシウム、および鉄等の成分が含まれており、これのみを配合した場合には、電気抵抗が大きくなって、好適な導電特性や発熱特性が得られない。一方ファインカーボンは、黒鉛の微細粉であって、高い導電特性や発熱特性を示す。このようなファインカーボンを、略1対9の重量割合にて、竹炭の微細粉と混ぜ合わせることによって、適切な抵抗値を実現することができ、好適な導電特性や発熱特性を得ることができる。すなわち、ファインカーボンの配合割合が10重量%未満であると、ファインカーボンの配合割合が過少とな って、電気抵抗が高くなりすぎて、導電特性や発熱特性が低下する。逆にファインカーボンの配合割合が40重量%を越えると、電気抵抗が低くなりすぎて、導電特性や発熱特性が低下する。
【0030】
炭素粉末21の粒度は、0.15~1.5μmに調整されている。炭素粉末21の粒度を0.15~1.5μmに調整することで、均一で緻密な塗料膜の形成が可能となるとともに、炭素粉末の密度と全表面積とを増加させて、導電特性や発熱特性を向上させることができる。
【0031】
発熱塗料20は、所定のバインダ22を含んでいる。炭素粉末21は、図3に示すように、所定のバインダ22を介してフライカゴ12の表面に施されている。バインダ22は、粘着力を有しており、炭素粉末21は、バインダを介してフライカゴ12の表面に安定して付着することができる。
【0032】
バインダ22は、シリコン系化合物を含むことができる。シリコン系化合物は、シリコン系樹脂および/またはシリコン系ゴムを含むことができる。すなわち、耐油性に優れるシリコン系化合物がバインダ22として介在することで発熱塗料20を安定して油槽10に施すことができる。発熱塗料20は、更に、所定の硬化剤を含んでいる。
このように構成された発熱塗料20は、フライカゴ12の表面に塗布した後に焼き付けて施すことができる。焼き付けは、550~750℃で行うことができる。
【0033】
電源装置30は、フライカゴ12を介して油槽10に電圧を印加することができる。
電源装置30は、AC/DC変換器31、変圧器32、およびパルス発生器33を有している。
【0034】
AC/DC変換器31は、図4に示すように、所定の交流電源2により供給される交流電流(図4(a))を直流電流(図4(b))に変換することができる。
【0035】
変圧器32は、直流電流の電圧を所定に変圧し昇圧することができる。変圧器32は、高圧トランスとすることができ、高圧トランスは、直流電流の電圧を3500V~7000Vに変圧し昇圧することができる。変圧器32により変圧し昇圧された直流電流は、パルス発生器33に供給される。
【0036】
パルス発生器33は、所定の周波数でパルス電流を間欠的に発生させることができる。パルス発生器33は、所定のスイッチング素子を有しており、スイッチング素子のオン時間およびオフ時間を制御することにより所定の周波数で図5に示すパルス電流を発生させることができる。パルス発生器33により発生したパルス電流は、油槽10およびプラズマ発生装置40に供給される。すなわち、パルス発生器33により発生したパルス電流により、プラズマ発生装置40を介して間欠的に放電を発生させつつ油槽10に満たされた食用油Aを高電圧雰囲気に晒して静電場処理することができる。
【0037】
ここで、電源装置30のプラス極30a側は、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続されている。また、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線となっており、油槽10と所定に離間する構成となっている。
【0038】
すなわち、油槽10と電源装置30との間に所定のプラズマ発生装置40が介在することとしている。より詳しくは、油槽10と電源装置30のマイナス極30b側との間に図6に示すプラズマ発生装置40を介在させることにより、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとしている。
【0039】
つまり、電源装置30のプラス極30a側は、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続されている。そして、油槽10は、更に、プラズマ発生装置40と電気的に結線されて接続されることにより、電源装置30のプラス極30a側とプラズマ発生装置40のプラス電極40a(より詳しくはプラスの放電電極40a)側が油槽10を介して結線されて電気的に接続されている。
【0040】
更に、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40のマイナス電極40b(より詳しくはマイナスの放電電極40b)側に結線されて電気的に接続されている。プラズマ発生装置40の電極40a,電極40b間は所定に離間し非結線とすることにより、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40を介在させて油槽10と非結線とし所定に離間する構成となっている。
【0041】
プラズマ発生装置40は、ターゲットに向かってプラズマを照射する構成となっている。プラズマ発生装置40のプラス電極40aは、電源装置30のプラス極30a側と結線されて電気的に接続されている。プラズマ発生装置40のマイナス電極40bは、電源装置30のマイナス極30b側と電気的に結線されて接続される電極側である。プラズマ発生装置40のプラス電極40aの先端は、マイナス電極40bの先端から所定に離間して、先端がマイナス電極40bに対向して配置されている。
【0042】
プラズマ発生装置40は、円筒形状のケース41を有している。ケース41は、プラス電極40aおよびマイナス電極40bを収容している。プラス電極40aは、ケース41の上壁41aの内面側に設けられており、導電部40a´および油槽10を介して電源装置30のプラス極30a側と結線されて電気的に接続している。マイナス電極40bは、ケース41の底壁41bの内面側に設けられている。電源装置30は、プラズマ発生装置40のプラス電極40aとマイナス電極40bとの間に放電より詳しくはアーク放電を発生させることが可能な電圧を出力することができる。すなわち、プラズマ発生装置40のプラス電極40aの先端とマイナス電極40bの先端とが所定に離間して対向することで放電ギャップ45が形成され、アーク放電を発生させることができる。
【0043】
ケース41の上壁41aの内面側には、第1の磁石42aが設けられている。また、ケース41の側壁41cの下部側にはおよび第2の磁石42bが設けられている。第2の磁石42bは、放電ギャップ45の下方側に金属部材43を介して設けられている。第2の磁石42bは、8つ設けられており交互に高さを異ならせて設けられている。ケース41の底壁41には開口44が設けられており、プラズマ発生装置40には、プラス電極40aおよびマイナス電極40bから開口44に向かう磁界が形成される。
【0044】
すなわち、プラズマ発生装置40に高電圧を印加するとプラス電極40aとマイナス電極40bとの間に放電より詳しくはアーク放電が発生し、電極40a,40bの周囲のガスを電離しプラズマが生成され、生成されたプラズマは形成された磁界に沿って開口44を介して外部に放出される。なお、プラス電極40aおよびマイナス電極40bは、鉄、ステンレス鋼、タングステン、チタンなどを素材としている。また、第1の磁石42aおよび第2の磁石42bは、ネオジウム磁石などの磁力の強い磁石としている。
【0045】
このように構成されたフライ調理装置1の動作方法を説明すると次のようになる。
すなわち、ます電源装置30をオンし交流電源2により交流電流を供給する。
次いで、交流電流をAC/DC変換器31により直流電流に変換し、直流電流は、変圧器32により、3500V~7000Vに変圧し昇圧される。更に昇圧された直流電流は、パルス発生器33によりパルス電流とされる。
【0046】
続いて、電源装置30により発生したパルス電流を発熱素子20が施されたフライカゴ12を介して油槽10に供給する。このパルス電流の供給は、プラズマ発生装置40の電極40a,40b間に放電より詳しくはアーク放電を発生させながら行う。
これにより、油槽10に満たされた食用油Aを高電圧雰囲気に晒して静電場処理することができる。
【0047】
以上説明したように、本第1実施形態のフライ調理装置1によれば、油槽10に電圧を印加する電源装置30を有するとともに、油槽10に導電性の粉末を含む発熱塗料20を施すこととしたので、発熱塗料20を介して油槽10における導電特性や発熱特性を向上させながら静電場雰囲気内で被処理物Bを保持することが可能となり、更に食用油Aを長持ちさせることができる。
【0048】
また、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と結線されて接続されるとともに、油槽10は、更に、プラズマ発生装置40と結線されて接続されることにより油槽10を介して電源装置30のプラス極30a側とプラズマ発生装置40のプラス電極40a側が結線されて接続され、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40のマイナス電極40b側に結線されて接続されるとともに、プラズマ発生装置40のプラス電極40a側とマイナス電極40b側は所定に離間し非結線とすることにより、電源装置30のプラス極30a側とマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40を介して油槽10と所定に離間させることとしたので、プラズマを発生させながら大きな電流を流しつつ食用油Aを静電場処理することができ、更に一層食用油Aを長持ちさせることできる。
【0049】
更に、電源装置30は、プラズマ発生装置40のプラス電極40aとマイナス電極40bとの間に放電を発生させる電圧を出力し、放電は、アーク放電とすることとしたので、更に大きな電流を流しつつ食用油Aを静電場処理することができる。
【0050】
更にまた、電源装置30は、パルス発生器33を有することとしたので、電圧が印加される油槽10に所定の周波数で磁界を発生させることができ、食用油Aに所定の周波数の磁界が齎す波動を転写することができる。これにより、更に一層食用油を長持ちさせることができるとともに、フライ調理される食品Bの食感を向上させることができる。
【0051】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係るフライ調理装置100の全体構成を示す系統図、図8は、同フライ調理装置100のプラズマ発生装置40の構成を示す正面断面図である。なお、本第2実施形態において上述した第1実施形態と同一の符号が付された構成または同等の構成は、第1実施形態と同様であるとしてその説明を省略する場合があるものとする。
【0052】
第2実施形態に係るフライ調理装置100においても電源装置30のプラス極30a側は、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続されている。また、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線となっており、油槽10と所定に離間する構成となっている。油槽10は、上述した第1実施形態と同様の構成となっている。
【0053】
すなわち、油槽10は、油槽本体11の内部にフライ調理を行うための食用油Aが満たされており、フライカゴ12を有する構成となっている。そして、油槽10には、フライカゴ12を介して導電性の粉末を含む発熱塗料20が施されている。発熱塗料20は、炭素粉末21を含むこととし、炭素粉末21は、粉砕した竹炭およびファインカーボンを含んでいる。炭素粉末21における粉砕した竹炭の配合割合は、60~90重量%とし、炭素粉末21におけるファインカーボンの配合割合は、10~40重量%としている。炭素粉末21の粒度は、0.15~1.5μmとすることができる。炭素粉末21は、所定のバインダ22を介して油槽10に施され、バインダ22は、シリコン系化合物を含むことができる。
【0054】
ここで、油槽10より詳しくはフライカゴ12は、一の接続線110のみを介して電源装置30のプラス極30側のみと電気的に接続される構成となっている。この一の接続線110のみを介した電源装置30のプラス極30側のみとの接続により、フライ調理装置100には、電源装置30のプラス極30a側から油槽10を介してマイナス極30b側に至る電流の電路は形成されず、電源装置30のプラス極30a側から油槽10に至る帯電流の電路が形成されている。
そして、フライ調理装置100は、油槽10と電源装置30との間に図8に示すプラズマ発生装置40が介在する構成となっている。
【0055】
すなわち、電源装置30のプラス極30a側は、プラズマ発生装置40のプラス電極40aと結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40のマイナス電極40a側と結線されて電気的に接続している。そして、電源装置30のプラス極30a側は、フライカゴ12を介して油槽10と一の接続線110を介して結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40が介在して油槽10と非結線とし所定に離間する構成となっている。
【0056】
より詳しくは、油槽10より詳しくはフライカゴ12は、電源装置30のプラス極30a側とプラズマ発生装置40のプラス極40aとの接続線120に対して一の接続線110を介して分岐するように結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側とプラズマ発生装置40のマイナス極40bとの接続線130に対しては、上記のプラス極40aのように接続線を介して分岐するように結線されて接続する構成はなく、非結線となっている。これにより、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10より詳しくはフライカゴ12と一の接続線110を介して結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置30が介在して油槽10と非結線とし、所定に離間する構成となっている。つまり、油槽10から電源装置30のマイナス極30b側に至る電路は形成されない構成となっている。
【0057】
なお、本第2実施形態の電源装置30においても、プラズマ発生装置40の電極40a,40b間に放電を発生させる電圧を出力することができ、プラズマ発生装置40の電極40a,40b間に発生する放電は、アーク放電とすることができる。
【0058】
このように構成されたフライ調理装置100の動作方法を説明すると次のようになる。
すなわち、ます電源装置30をオンし交流電源2により交流電流を供給する。
次いで、交流電流をAC/DC変換器31により直流電流に変換し、直流電流は、変圧器32により、3500V~7000Vに変圧し昇圧される。更に昇圧された直流電流は、パルス発生器33によりパルス電流とされる。
【0059】
続いて、電源装置30により発生したパルス電流をプラズマ発生装置40の電極40a,40b間に供給して放電より詳しくはアーク放電を発生させる。電源装置30により発生したパルス電流は、並行して発熱素子20が施されたフライカゴ12を介して油槽10に供給される。これにより、電源装置30のプラス極30a側から油槽10に至る帯電流の電路を形成しつつ油槽10に満たされた食用油Aを高電圧雰囲気に晒して静電場処理することができる。
【0060】
以上説明したよう第2実施形態のフライ調理装置100においても、油槽10に電圧を印加する電源装置30を有するとともに、油槽10に導電性の粉末を含む発熱塗料20を施すこととしたので、発熱塗料20を介して油槽10における導電特性や発熱特性を向上させながら静電場雰囲気内で被処理物Bを保持することが可能となり、更に食用油Aを長持ちさせることできる。
【0061】
また、電源装置30のプラス極30a側は、プラズマ発生装置40のプラス極40a側と結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40のマイナス極40b側と結線されて電気的に接続し、油槽10は、プラズマ発生装置40と、一の接続線110を介して電気的に接続し、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と一の接続線110を介して結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40が介在して油槽10と非結線とし所定に離間することとしたので、プラズマを発生させながら電源装置30とプラズマ発生装置40との間に大きな電流を流しつつ、この電流に対応して電源装置30から油槽10に至る帯電流の電路を形成し電界を生じさせ油槽10を静電場雰囲気することができる。また、油槽10においては、油槽10から電源装置30のマイナス極30b側に至る電路は形成されない構成となっているため、感電することを所定に防止することができる。
【0062】
なお、本発明は上述した第1実施形態および第2実施形態は限定されることなく特許請求の範囲に記載した発明の範囲内において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0063】
すなわち、上述した第1実施形態および第2実施形態にあっては、発熱塗料20は、炭素粉末21を含むこととしているが、炭素粉末21に限らず通電や帯電流によって発熱するものを含むこととしても所要の効果を奏する。ただし、発熱塗料20は、炭素粉末21を含むこととした方が発熱性能が特に優れより好ましい実施形態となる。
また、上述した第1実施形態および第2実施形態にあっては、発熱塗料20において炭素粉末21は、粉砕した竹炭およびファインカーボンのいずれも含むこととしているが、粉砕した竹炭およびファインカーボンのいずれか一方のみを含むこととしても所要の効果を奏する。すなわち、炭素粉末21は、粉砕した竹炭および/またはファインカーボンを含むこととすれば所要の効果を奏する。
【0064】
また、上述した第1実施形態にあっては、電源装置30のプラス極30a側を、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側を、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとし、より詳しくは、油槽10と電源装置30のマイナス極30b側との間にプラズマ発生装置40を介在させることにより、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとしているが、電源装置30のマイナス極30b側を、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続するとともに、電源装置30のプラス極30a側を、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとし、より詳しくは、油槽10と電源装置30のプラス極30a側との間にプラズマ発生装置40を介在させることにより、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとしても所要の効果を奏する。
【0065】
すなわち、電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか一方の極側は、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続されるとともに、電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか他方の極側は、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとし、より詳しくは、油槽10と電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか他方の極側との間にプラズマ発生装置40を介在させることにより、油槽10と非結線とし油槽10と所定に離間させることとすれば所要の効果を奏する。
【0066】
更に上述した第1実施形態にあっては、電源装置30のプラス極30a側を、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続するとともに、油槽10は、更に、プラズマ発生装置40と結線されて電気的に接続することにより、電源装置30のプラス極30a側とプラズマ発生装置40のプラス電極40a側が、油槽10を介して結線されて電気的に接続され、電源装置30のマイナス極30b側を、プラズマ発生装置40のマイナス電極40b側に結線されて電気的に接続するとともに、プラズマ発生装置40の電極40a,40b間は所定に離間し非結線とすることにより、プラズマ発生装置40を介して油槽10と所定に離間させることとしているが、電源装置30のマイナス極30b側とプラズマ発生装置40のマイナス電極40b側を、油槽10を介して結線されて電気的に接続し、電源装置30のプラス極30a側を、プラズマ発生装置40のプラス電極40a側に結線されて電気的に接続するとともに、プラズマ発生装置40の電極40a,40b間は所定に離間し非結線とすることにより、プラズマ発生装置40を介して油槽10と所定に離間させることとしても所要の効果を奏する。
【0067】
すなわち、電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか一方の極側は、フライカゴ12を介して油槽10と結線されて電気的に接続されるとともに、油槽10は、更に、所定のプラズマ発生装置40と結線されて電気的に接続されることにより、電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか一方の極側とプラズマ発生装置40のプラス電極40a側およびマイナス電極40b側のいずれか一方の極側が、油槽10を介して結線されて電気的に接続し、電源装置30のプラス極30a側およびマイナス極30b側のいずれか他方の極側は、プラズマ発生装置40のプラス電極40a側およびマイナス電極40b側のいずれか他方の極側に結線されて電気的に接続するとともに、プラズマ発生装置40の電極40a,40b間は所定に離間し非結線とすることにより、プラズマ発生装置40を介して油槽10と所定に離間させることとすれば所要の効果を奏する。
【0068】
更にまた、上述した第1実施形態および第2実施形態にあっては、電源装置30は、フライカゴ12を介して油槽10に満たされた食用油Aに電圧を印加し、油槽10は、フライカゴ12を介して導電性の粉末を含む発熱塗料20が施されることとしているが、図9および図10に示すように、油槽10に所定の電極板16を浸漬させつつ、電源装置30は、電極板16を介して油槽10に満たされた食用油Aに電圧を印加し、油槽10は、電極板16を介して導電性の粉末を含む発熱塗料20が施されることとしても所要の効果を奏する。また、図11および図12に示すように、油槽10の食用油Aに浸漬する内壁面10aと電源装置30とを結線し、電源装置30は、油槽10の内壁面10aを介して油槽10に満たされた食用油Aに電圧を印加し、油槽10の内壁面10aを介して導電性の粉末を含む発熱塗料20が施されることとしても所要の効果を奏する。
【0069】
すなわち、電源装置30は、食用油Aに浸漬する浸漬物(フライカゴ12、電極板16)や浸漬部分(油槽10の内壁面10a)を介して油槽10に満たされた食用油Aに電圧を印加し、油槽10に導電性の粉末を含む発熱塗料20が施されることとすれば所要の効果を奏する。
【0070】
また更に上述した第1実施形態および第2実施形態において、油槽10に所定のセラミックスを介して発熱塗料20を施すこととすると更に好ましい実施形態となる。すなわち、食用油Aに浸漬する浸漬物(フライカゴ12、電極板16)や浸漬部分(油槽10の内壁面10a)をセラミックスにより構成し、これら浸漬物12,16や浸漬面10aと電源装置30とを結線し、電源装置30は、浸漬物12,16や浸漬面10aを介して油槽10に満たされた食用油Aに電圧を印加し、油槽10は、浸漬物12,16や浸漬面10aを介して導電性の粉末を含む発熱塗料20が施されることとすれば、油槽10において腐食を低減することができる。
【0071】
すなわち、上述した第1実施形態および第2実施形態にあっては、導電性の粉末を含む発熱塗料20は、油槽10に塗布した後に焼き付けて施され、焼き付けは、550~750℃で行うこととしているが、浸漬物12,16や浸漬面10aをセラミックスとすることで、高温発熱時における発熱塗料20とセラミックスとの結合力を確保することができる。つまり、発熱塗料20のバインダ22と発熱塗料20が施される浸漬物12,16や浸漬面10aのセラミックスとは、ともに無機珪酸塩(SiO 2 )を主体としている。したがって、発熱塗料20をセラミックスに塗布後に高温で焼付けすると、同等成分の無機珪酸塩(SiO 2 )が混合(コンポジット化)して、両者を強く結合させることができる。なお、焼付け温度が550℃未満では、発熱塗料20とセラミックスとの間の結合力が低下し、他方焼付け温度が750℃を超えても、さらなる結合力の向上が期待できない。
【0072】
また、図13および図14に示すように、上述したフライ調理装置1,100に温度検出器60、判断部61、警報部62、電源制御部63を加えた構成とすることとしてもよい。
すなわち、温度検出器60は、温度を検出するための所定のセンサー部60aを有しており、センサー部60aの先端を発熱塗料20に接触または発熱塗料20の近傍に位置させることにより、発熱塗料20の温度を検出することができる。また、判断部61は、温度検出器60により検出された温度が所定の温度を超えたか否かを判断することができ、警報部62は、判断部61により検出された発熱塗料20の温度が所定の温度を超えたときに、文字情報、画像情報、音声情報等により警報を出力することができる。更に、電源制御部63は、判断部61により検出された発熱塗料20の温度が所定の温度を超えたときに、油槽10に印加される電圧をオフまたは降圧することができる。
【0073】
すなわち、発熱塗料20は、シリコン系化合物を含むこととしたので、300℃以上の高温では不安定となり剥離する恐れがあるが、警報部62を有することとしたので、検出された発熱塗料20の温度が耐熱温度(所定の温度)を超えるか否かを監視することが可能となる。また、電源制御部63を有することとしたので、検出された発熱塗料20の温度が耐熱温度(所定の温度)を超えたときに、油槽10に印加される電圧をオフまたは降圧することができる。本発明においては、プラズマ発生装置40を有してアーク放電を発生させつつ油槽10に満たされた食用油Aを高電圧雰囲気に晒して静電場処理することとしており、発熱塗料20の温度が耐熱温度を超えたときにも、油槽10に印加される電圧をオフまたは降圧することにより発熱塗料20を保護することができる。
【0074】
なお、本変形例においては、判断部61、警報部62、電源制御部63を構成するために、フライ調理装置1,100は、コンピュータとしての一般的構成も備えている。すなわち、フライ調理御装置1,100は、図15に示すように、相互にバス1A,100Aを介して接続された中央処理装置(CPU、GPU、DSP)1B,100B、記憶装置(ROM、RAM、ハードディスク、キャッシュメモリ)1C,100C、入力装置(キーボード、タッチパネル、マウス)1D,100D、表示装置(液晶ディスプレー)1E,100E等を有している。
【0075】
また、上述した第1実施形態および第2実施形態において、図16および図17に示すように、電源装置30は、パルス発生器33により発生したパルス電流の極性を交互に反転させる極性反転器34を有することとしてもよい。
【0076】
極性反転器34は、パルス発生器33により発生したパルス電流の極性をプラス側とマイナス側の交互に反転させることができる。極性反転器34により図18に示すプラス側とマイナス側の両極性のパルス電流を発生させることができ、両極性のパルス電流を油槽10およびプラズマ発生装置40に供給することとしてもよい。両極性のパルス電流は、実質的にオフが介在せずに連続的にパルス電流を供給することができる。このように、極性反転器34を有することとすれば、食用油に極性が交互に反転する磁界が齎す波動を連続的に転写することができる。
【0077】
更に、上述した第1実施形態および第2実施形態において、図18および図19に示すように、電源装置30は、パルス発生器33を省略して図4に示すように変圧器32により変圧し昇圧された直流電流を連続して油槽10に供給する構成とすることとしても所要の効果を奏する。
【0078】
更に、上述した第1実施形態においては、油槽10と電源装置30のマイナス極30b側との間に所定のプラズマ発生装置40が介在することにより、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線とし所定に離間することとしているが、図21に示すように、油槽10と電源装置30のプラス極30a側との間に所定のプラズマ発生装置40が介在することにより、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と非結線とし所定に離間することとしても所要の効果を奏する。
【0079】
更にまた、上述した第2実施形態においては、電源装置30のプラス極30a側は、プラズマ発生装置40のプラス極40a側と結線されて接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40のマイナス極40b側と結線されて接続し、油槽10は、電源装置30のプラス極30a側とプラズマ発生装置40のプラス極40a側との接続120に対して一の接続線110を介して分岐するように結線されて接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側とプラズマ発生装置40のマイナス極40b側との接続130とは、非結線とすることにより、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と一の接続線110を介して結線されて接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40が介在して油槽10と非結線とし所定に離間することとしているが、図22に示すように、電源装置30のマイナス極30b側は、プラズマ発生装置40のマイナス極40b側と結線されて接続するとともに、電源装置30のプラス極30a側は、プラズマ発生装置40のプラス極40a側と結線されて接続し、油槽10は、電源装置30のマイナス極30b側とプラズマ発生装置40のマイナス極40b側との接続130に対して一の接続線110を介して分岐するように結線されて接続するとともに、電源装置30のプラス極30a側とプラズマ発生装置40のプラス極40a側との接続120とは、非結線とすることにより、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と一の接続線110を介して結線されて接続するとともに、電源装置30のプラス極30a側は、プラズマ発生装置40が介在して油槽10と非結線とし所定に離間することとしても所要の効果を奏する。
【0080】
また更に、上述した第2実施形態においては、プラズマ発生装置40を介在させつつ、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と結線されて接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線とし所定に離間することとしているが、図23に示すように、プラズマ発生装置40を介在させることなく、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と結線されて接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線とし所定に離間することとしても所要の効果を奏する。
【0081】
更にまた、上述した第1実施形態および第2実施形態において、油槽10に発熱塗料20を施さずに、油槽10と電源装置30との間に所定のプラズマ発生装置40を介在させることとしても所要の効果を奏する。
【0082】
また更に、上述した第1実施形態および第2実施形態において、油槽10と電源装置30との間に所定のプラズマ発生装置40を介在させずに、油槽10に発熱塗料20を施すこととしても所要の効果を奏する。
【0083】
また、図23の変形例において、油槽10に発熱塗料20を施さずに、電源装置30のプラス極30a側は、油槽10と結線されて接続するとともに、電源装置30のマイナス極30b側は、油槽10と非結線とし所定に離間することとしても所要の効果を奏する。
ただし、上述した第1実施形態および第2実施形態に示すように、油槽10に発熱塗料20を施し、油槽10と電源装置30との間に所定のプラズマ発生装置40を介在させることとするとより好ましい実施形態となることは勿論である。
【符号の説明】
【0084】
A:食用油
B:食品(被処理物)
1:フライ調理装置
1A:バス
1B:中央処理装置
1C:記憶装置
1D:入力装置
1E:表示装置
2:交流電源
10:油槽
10a:内壁面
11:油槽本体
12:フライカゴ
16:電極板
20:発熱塗料
21:炭素粉末
22:バインダ
30:電源装置
30a:プラス極
30b:マイナス極
31:AC/DC変換器
32:パルス発生器
33:極性反転器
34:変圧器
40:プラズマ発生装置
40a:プラス電極
40b:マイナス電極
41:ケース
42:アンテナ部
60:温度検出器
60a:センサー
61:判断部
62:警報部
63:電源制御部
100:フライ調理装置
110:接続線
120:接続線
130:接続線
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