(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113587
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】引戸走行用装置セットおよび引戸装置
(51)【国際特許分類】
E05D 15/06 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
E05D15/06 124A
E05D15/06 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009916
(22)【出願日】2021-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】592048176
【氏名又は名称】ケージーパルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119389
【弁理士】
【氏名又は名称】門脇 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034BA02
2E034BA03
2E034BD01
2E034BE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】静音化、横揺れの抑制、脱輪の抑制、およびレール面への埃溜まりの抑制を図れる引戸走行用装置セットを提供する。
【解決手段】引戸走行用装置セット1sは、引戸の下端に設置される戸車10と、戸車10を誘導して走行させる戸車誘導レール30と、を備える。戸車誘導レール30は、戸車10を誘導し、波型形状を有する波型誘導路32と、波型誘導路32の両側に位置して設置床面FLに位置決めする位置決め部34と、を備える。波型誘導路32は、上方に凹である湾曲凹部36と、湾曲凹部36の両側で上方に凸である一対の湾曲凸部38と、湾曲凸部38から位置決め部34に続く裾部40と、を備える。戸車10は、湾曲凹部36に向かい合う円環湾曲凸部42と、一対の湾曲凸部38に向かい合う一対の円環湾曲凹部46と、円環湾曲凹部46の外側で外側端を規定する円環端部50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸の下端に設置される戸車と、前記戸車を誘導して走行させる戸車誘導レールと、を備える引戸走行用装置セットであって、
前記戸車誘導レールは、前記戸車を長さ方向に誘導し前記長さ方向と交差する交差方向に波型形状を有する波型誘導路と、前記交差方向で前記波型誘導路の両側に位置して前記波型誘導路を設置床面に位置決めする位置決め部と、を備え、
前記波型誘導路は、上方に開放した凹である湾曲凹部と、前記湾曲凹部の両側で上方に凸である一対の湾曲凸部と、前記湾曲凸部から前記位置決め部に続く裾部と、を備え、
前記湾曲凹部は、どん底を画定する凹状円弧を有し、前記湾曲凸部は、頂点を画定する凸状円弧を有し、前記凸状円弧の半径と前記凹状円弧の半径は同一であり、
前記凹状円弧の中心は、前記どん底の垂直方向で前記頂点と前記凸状円弧の中心との間に位置し、前記凸状円弧の中心は、前記頂点の垂直方向で前記どん底と前記凹状円弧の中心との間に位置してあり、
前記戸車は、前記湾曲凹部に沿って向かい合う円環湾曲凸部と、一対の前記湾曲凸部に沿って向かい合う一対の円環湾曲凹部と、前記円環湾曲凹部の外側で外側端を規定する円環端部と、を備え、
前記円環湾曲凸部は、前記どん底と離れて向き合う円環凸状円弧を有し、前記円環湾曲凹部は、前記頂点に当接して前記湾曲凸部を覆う円環凹状円弧を有し、
前記円環凸状円弧の中心は、前記どん底の垂直方向で前記凹状円弧の中心より上方に位置し、前記円環凹状円弧の中心は、前記頂点の垂直方向で前記凸状円弧の中心より下方に位置してあり、
前記円環凹状円弧の半径は前記凸状円弧の半径より大きく、前記円環凸状円弧の半径は前記凹状円弧の半径と等しく、前記円環端部の下端は、前記どん底より下方に位置する
ことを特徴とする引戸走行用装置セット。
【請求項2】
請求項1に記載の引戸走行用装置セットであって、
前記頂点と前記どん底との垂直方向での高さ間隔を寸法Hとしたとき、一対の前記頂点の間の頂点間隔は寸法Hの3倍であり、前記凸状円弧の半径、前記凹状円弧の半径、および前記円環凸状円弧の半径は、同一であり寸法Hより小さい
ことを特徴とする引戸走行用装置セット。
【請求項3】
請求項2に記載の引戸走行用装置セットであって、
前記円環凹状円弧の半径は、寸法Hである
ことを特徴とする引戸走行用装置セット。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の引戸走行用装置セットであって、
前記波型誘導路は、前記湾曲凹部、前記湾曲凸部、および前記裾部の下方に、前記設置床面に向き合う半円状の肉抜き部を備える
ことを特徴とする引戸走行用装置セット。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の引戸走行用装置セットであって、
前記戸車誘導レールは、前記位置決め部の外側に前記設置床面との段差を緩衝し、前記設置床面に固定される段差緩衝部を備える
ことを特徴とする引戸走行用装置セット。
【請求項6】
引戸と、前記引戸の下端に位置する戸車と、前記戸車を走行させる戸車誘導レールとを備えた引戸装置であって、前記戸車および前記戸車誘導レールは、請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の引戸走行用装置セットであることを特徴とする引戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸の下端に設置される戸車と戸車を誘導して走行させる戸車誘導レールとを備える引戸走行用装置セット、およびこのような引戸走行用装置セットで形成された引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、これまで種々の戸車用レールを提案してきた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1は、戸車用レールにおける脱輪防止装置に関する発明であり、V字型の戸車転動溝を有する薄型の戸車用レールにおける戸車車輪の脱落を防止するものである。
特許文献2は、ステンレス薄板を用いて形成される薄型溝を備えたステンレスレールを提供するものである。
しかしながら、戸車および戸車用レールの組み合わせは多種多様にわたることから、これらの技術ですべての戸車および戸車用レールに対応することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-67974号公報
【特許文献2】実用新案登録第3228336号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願人は、従来技術に止まらず、機構的特性が異なる戸車および戸車誘導用レールの新規な検討、開発を進めている。特性として求められる静音化、横揺れの抑制、脱輪の抑制、レール面に生じる埃溜まりの抑制等総合的な観点から種々の検討を図っている。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、従来技術とは異なる形状を有する波型の戸車誘導レールとそのような戸車誘導レールに整合する戸車とを備えて、静音化、横揺れの抑制、脱輪の抑制、およびレール面への埃溜まりの抑制を図れる引戸走行用装置セットを提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明に係る引戸走行用装置セットを適用して、同様の作用効果を奏する引戸装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る引戸走行用装置セットは、引戸の下端に設置される戸車と、前記戸車を誘導して走行させる戸車誘導レールと、を備える引戸走行用装置セットであって、前記戸車誘導レールは、前記戸車を長さ方向に誘導し前記長さ方向と交差する交差方向に波型形状を有する波型誘導路と、前記交差方向で前記波型誘導路の両側に位置して前記波型誘導路を設置床面に位置決めする位置決め部と、を備え、前記波型誘導路は、上方に開放した凹である湾曲凹部と、前記湾曲凹部の両側で上方に凸である一対の湾曲凸部と、前記湾曲凸部から前記位置決め部に続く裾部と、を備え前記湾曲凹部は、どん底を画定する凹状円弧を有し、前記湾曲凸部は、頂点を画定する凸状円弧を有し、前記凸状円弧の半径と前記凹状円弧の半径は同一であり、前記凹状円弧の中心は、前記どん底の垂直方向で前記頂点と前記凸状円弧の中心との間に位置し、前記凸状円弧の中心は、前記頂点の垂直方向で前記どん底と前記凹状円弧の中心との間に位置してあり、前記戸車は、前記湾曲凹部に沿って向かい合う円環湾曲凸部と、一対の前記湾曲凸部に沿って向かい合う一対の円環湾曲凹部と、前記円環湾曲凹部の外側で外側端を規定する円環端部と、を備え、前記円環湾曲凸部は、前記どん底と離れて向き合う円環凸状円弧を有し、前記円環湾曲凹部は、前記頂点に当接して前記湾曲凸部を覆う円環凹状円弧を有し、前記円環凸状円弧の中心は、前記どん底の垂直方向で前記凹状円弧の中心より上方に位置し、前記円環凹状円弧の中心は、前記頂点の垂直方向で前記凸状円弧の中心より下方に位置し、てあり、前記円環凹状円弧の半径は前記凸状円弧の半径より大きく、前記円環凸状円弧の半径は前記凹状円弧の半径と等しく、前記円環端部の下端は、前記どん底より下方に位置することを特徴とする。
したがって、本発明に係る引戸走行用装置セットは、走行面に埃が溜まりにくく、横揺れや脱輪を抑制しやすく、更に静音化しやすい。
【0006】
また、本発明の一実施の形態に係る引戸走行用装置セットでは、前記頂点と前記どん底との垂直方向での高さ間隔を寸法Hとしたとき、一対の前記頂点の間の頂点間隔は寸法Hの3倍であり、前記凸状円弧の半径、前記凹状円弧の半径、および前記円環凸状円弧の半径は、同一であり寸法Hより小さいことを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る引戸走行用装置セットでは、前記円環凹状円弧の半径は、寸法Hであることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る引戸走行用装置セットでは、前記波型誘導路は、前記湾曲凹部、前記湾曲凸部、および前記裾部の下方に、前記設置床面に向き合う半円状の肉抜き部を備えることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態に係る引戸走行用装置セットでは、前記戸車誘導レールは、前記位置決め部の外側に前記設置床面との段差を緩衝し、前記設置床面に固定される段差緩衝部を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る引戸装置は、引戸と、前記引戸の下端に位置する戸車と、前記戸車を走行させる戸車誘導レールとを備えた引戸装置であって、前記戸車および前記戸車誘導レールは、本発明に係る引戸走行用装置セットのいずれか一つであることを特徴とする。
したがって、本発明に係る引戸装置は、引戸の横揺れ、脱輪を抑制し、静音化を図って、戸車誘導レールへの埃の溜まりを抑制しやすい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る引戸走行用装置セットは、走行面に埃が溜まりにくく、横揺れや脱輪を抑制しやすく、更に静音化しやすいという効果を奏する。
また、本発明に係る引戸装置は、本発明に係る引戸走行用装置セットが適用されることから、引戸走行用装置セットと同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る引戸走行用装置セットでの戸車の走行時における戸車と戸車誘導レールの接触状態を交差方向での端面を透視して模式的に示す模式透視端面図である。
【
図2】
図1に示した引戸走行用装置セットの円弧部分を更に拡大して円弧の状態(円弧、中心、半径)を透視して模式的に示す模式透視拡大端面図である。
【
図3】本発明の実施の形態2に係る引戸装置の主要部の交差方向での端面を透視して模式的に示す模式透視端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面(
図1~
図3)を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1:
図1、
図2]
図1および
図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る引戸走行用装置セット1sについて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る引戸走行用装置セット1sでの戸車10の走行時における戸車10と戸車誘導レール30の接触状態を交差方向での端面を透視して模式的に示す模式透視端面図である。
図2は、
図1に示した引戸走行用装置セット1sの円弧部分を更に拡大して円弧の状態(円弧、中心、半径)を透視して模式的に示す模式透視拡大端面図である。
なお、
図1、
図2においては、図面の分かりやすさを考慮して断面(端面)に対するハッチングは省略している。
【0011】
本実施の形態に係る引戸走行用装置セット1sは、引戸60(
図3参照)の下端に設置される戸車10と、戸車10を誘導して走行させる戸車誘導レール30と、を備える引戸走行用装置セット1sである。
戸車誘導レール30は、戸車10を長さ方向DL(図示省略)に誘導し長さ方向DLと交差する交差方向DCに波型形状を有する波型誘導路32と、交差方向DCで波型誘導路32の両側に位置して波型誘導路32を設置床面FLに位置決めする位置決め部34と、を備える。
波型誘導路32は、上方に開放した凹である湾曲凹部36と、湾曲凹部36の両側で上方に凸である一対の湾曲凸部38と、湾曲凸部38から位置決め部34に続く裾部40と、を備える。
湾曲凹部36は、どん底36bを画定する凹状円弧37を有し、湾曲凸部38は、頂点38tを画定する凸状円弧39を有し、凸状円弧39の半径R39と凹状円弧37の半径R37は同一である。
凹状円弧37の中心37cは、どん底36bの垂直方向で頂点38tと凸状円弧39の中心39cとの間に位置し、凸状円弧39の中心39cは、頂点38tの垂直方向でどん底36bと凹状円弧37の中心37cとの間に位置してある。
【0012】
戸車10は、湾曲凹部36に沿って向かい合う円環湾曲凸部42と、一対の湾曲凸部38に沿って向かい合う一対の円環湾曲凹部46と、円環湾曲凹部46の外側で外側端を規定する円環端部50と、を備える。
円環湾曲凸部42は、どん底36bと離れて向き合う円環凸状円弧44を有し、円環湾曲凹部46は、頂点38tに当接して湾曲凸部38を覆う円環凹状円弧48を有し、円環凸状円弧44の中心44cは、どん底36bの垂直方向で凹状円弧37の中心37cより上方に位置し、円環凹状円弧48の中心48cは、頂点38tの垂直方向で凸状円弧39の中心39cより下方に位置してある。
円環凹状円弧48の半径R48は凸状円弧39の半径R39より大きく、円環凸状円弧44の半径R44は凹状円弧37の半径R37と等しく、円環端部50の下端は、どん底36bより下方に位置する。
【0013】
凸状円弧39の半径R39と凹状円弧37の半径R37は同一であり、垂直方向で、凹状円弧37の中心37cは凸状円弧39の上方の半径内に位置し、凸状円弧39の中心39cは凹状円弧37の下方の半径内に位置する。つまり、凸状円弧39の中心39cは凹状円弧37のどん底36bより上方に位置し、凹状円弧37の中心37cは凸状円弧39の頂点38tより下方に位置するので、波型誘導路32の波型を確実に画定する。
また、凸状円弧39の頂点38tと凹状円弧37のどん底36bとの間の間隔は半径R37と半径39の和より小さく抑制されるので、頂点38tに対するどん底36bの深さは抑制され、波型誘導路32の走行面は、埃が溜まりにくい。
凹状円弧37の中心37c、どん底36b、円環凸状円弧44の中心44cは、垂直方向で直線状に位置し、凸状円弧39の中心39c、頂点38t、円環凹状円弧48の中心48cは、垂直方向で直線状に位置するので、戸車10と波型誘導路32は、交差方向DCにおいて確実に位置合わせでき、横揺れを抑制しやすい。
る。
【0014】
円環凹状円弧48の半径R48は凸状円弧39の半径R39より大きいので、一対の円環凹状円弧48は、一対の凸状円弧39をそれぞれ確実に覆いやすく、円環凹状円弧48の中心48c、頂点38t、凸状円弧39の中心39cは、垂直方向で直線状に位置する。つまり、円環凸状円弧44が湾曲凹部36のどん底36bから離れた状態で、凸状円弧39(湾曲凸部38)の頂点38tは、円環凹状円弧48(円環湾曲凹部46)を限られた狭い範囲で限定的に支持するので、波型誘導路32は、戸車10との摩擦面の大きさを抑制しやすく、静音化しやすい。
また、円環端部50の下端は、どん底36b(湾曲凹部36)より下方に位置するので、脱輪を生じにくい。
凹状円弧37は、円弧上の垂直方向の最も下方にどん底36bを画定し、凸状円弧39は、円弧上の垂直方向の最も上方に頂点38tを画定する。なお、頂点38tを画定するとは、凸状円弧39の中で設置床面FLから最高位置にあることを示す。どん底36bを画定するとは、凹状円弧37の中で設置床面FLの側に最も近い最低位置にあることを示す。
【0015】
頂点38tとどん底36bとの垂直方向での高さ間隔Ltbを寸法H(不図示)としたとき、一対の頂点38tの間の頂点間隔Lttは寸法Hの3倍であり、凸状円弧39の半径R39、凹状円弧37の半径R37、および円環凸状円弧44の半径R44は、同一であり寸法Hより小さい。
頂点38tとどん底36bとの間の高さ間隔Ltbを基準値としての寸法Hとした場合、一対の頂点38t間の距離Lttを寸法Hの3倍に収めるので、波型の形状としても全体をコンパクト化しやすく、使用環境への影響、違和感を抑制しやすい。
頂点38tとどん底36bとの間の高さ間隔Ltbは寸法H(例えば1mm)としたとき、一対の頂点38t間の距離Lttは寸法3H(例えば3mm)である。凸状円弧39の半径R39、凹状円弧37の半径R37、円環凸状円弧44の半径R44は、Hより小さい(例えば0.75mm)。
また、円環凹状円弧48の半径R48は、寸法H(例えば1mm)である。このため、円環凹状円弧48の半径R48を基準値としての寸法Hに抑制することで、波型の形状をコンパクト化した状態で、円環凹状円弧48(円環湾曲凹部46)を凸状円弧39(湾曲凸部38)の頂点38tで確実に支持して走行させやすい。
つまり、円環凹状円弧48の半径R48は、寸法H(例えば1mm)であるから、円環湾曲凹部46(戸車10)は、湾曲凸部38(凸状円弧39。波型誘導路32)の頂点38tという限られた範囲で確実に支持されるので、静音化が図れる。
【0016】
波型誘導路32は、湾曲凹部36、湾曲凸部38、および裾部40の下方に、設置床面FLに向き合う半円状の肉抜き部52を備える。
肉抜き部52は、肉薄化による材料の使用量を抑制し、温度の影響による形状の変化(歪の発生)を抑制しやすいので、軽量化および高精度化を実現しやすい。また、設置床面FLとの接触面を抑制して静音化を向上させやすい。
戸車誘導レール30は、位置決め部34の外側に設置床面FLとの段差を緩衝し、設置床面FLに固定される段差緩衝部54(
図3を併せて参照)を備える。
段差緩衝部54は、波型誘導路32が備える湾曲凹部36、湾曲凸部38、および裾部40と、設置床面FLとの段差を緩衝するので、使用環境への影響を抑制し、安全性を維持し、使用上の違和感を抑制しやすい。
戸車誘導レール30は、アルミ合金製であることが好ましい。また、戸車10の回転部分は合成樹脂製であることが好ましい。
【0017】
[実施の形態2:
図3]
図3は、本発明の実施の形態2に係る引戸装置5の主要部の交差方向での端面を透視して模式的に示す模式透視端面図である。
なお、
図3においては、図面の分かりやすさを考慮して断面(端面)に対するハッチングは省略している。
本実施の形態に係る引戸装置5は、実施の形態1に係る引戸走行用装置セット1sを適用したものであるので、共通部分については、同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0018】
本実施の形態に係る引戸装置5は、引戸60と、引戸60の下端に位置する戸車10と、戸車10を走行させる戸車誘導レール30とを備えた引戸装置5であって、戸車10および戸車誘導レール30は、実施の形態1に記載した引戸走行用装置セット1sのいずれかである。
引戸60の下端には、回転軸64を介して戸車10を保持した戸車保持枠62があり、引戸60は、戸車10の回転と共に戸車誘導レール30の長さ方向DL(不図示)に沿って移動(開閉)する。
この構成により、引戸装置5は、引戸走行用装置セット1sと同様に作用する。したがって、引戸装置5は、引戸60の横揺れ、脱輪を抑制し、静音化を図って、戸車誘導レール30への埃の溜まりを抑制しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る引戸走行用装置セット1sおよび引戸装置5は、実施の形態に記載した戸車10と戸車誘導レール30との組み合わせによって、従来の戸車、戸車誘導レール、および引戸装置に比較して有利な効果を奏するので、産業上の利用可能性が大きい。
【符号の説明】
【0020】
1s 引戸走行用装置セット
5 引戸装置
10 戸車
30 戸車誘導レール
32 波型誘導路
34 位置決め部
36 湾曲凹部
36b どん底
37 凹状円弧
37c 中心(凹状円弧)
38 湾曲凸部
38t 頂点
39 凸状円弧
39c 中心(凸状円弧)
40 裾部
42 円環湾曲凸部
44 円環凸状円弧
44c 中心(円環凸状円弧)
46 円環湾曲凹部
48 円環凹状円弧
48c 中心(円環凹状円弧)
50 円環端部
52 肉抜き部
54 段差緩衝部
60 引戸
62 戸車保持枠
64 回転軸
DC 交差方向
DL 長さ方向(不図示)
FL 設置床面
H 寸法(不図示)
Ltb 高さ間隔
Ltt 頂点間隔
R37 半径(凹状円弧)
R39 半径(凸状円弧)
R44 半径(円環凸状円弧)
R48 半径(円環凹状円弧)