(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113600
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009934
(22)【出願日】2021-01-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000212599
【氏名又は名称】中谷 進
(71)【出願人】
【識別番号】597130074
【氏名又は名称】羽田 誠
(72)【発明者】
【氏名】羽田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中谷 進
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA02
2F065AA06
2F065AA21
2F065AA47
2F065AA53
2F065BB05
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF41
2F065FF61
2F065GG04
2F065JJ02
2F065JJ03
2F065JJ25
2F065JJ26
2F065MM03
2F065MM07
2F065PP03
2F065PP11
2F065PP22
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065RR08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】試料の全ての部位を含む域枠である試料域を自動的に抽出する測定装置を提供する。
【解決手段】試料左側突出部位101iを通る縦線を左縦線lyrとして特定し、試料右側突出部位102iを通る縦線を右縦線ryrとして特定し、試料下側突出部位103iを通る横線を下横線nxrとして特定し、試料上側突出部位104iを通る横線を上横線pxrとして特定し、左縦線lyr、右縦線ryr、下横線nxr及び上横線pxrによって形成される域枠を試料測定域枠として抽出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査全域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の部位の全てが入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記試料(W)の左側における最も外側に突出した部位である試料左側突出部位(101)を特定し、
前記試料(W)の右側における最も外側に突出した部位である試料右側突出部位(102)を特定し、
前記試料(W)の下側における最も外側に突出した部位である試料下側突出部位(103)を特定し、
前記試料(W)の上側における最も外側に突出した部位である試料上側突出部位(104)を特定し、
前記試料左側突出部位(101)を通る縦線を左縦線(lyr)として特定し、
前記試料右側突出部位(102)を通る縦線を右縦線(ryr)として特定し、
前記試料下側突出部位(103)を通る横線を下横線(nxr)として特定し、
前記試料上側突出部位(104)を通る横線を上横線(pxr)として特定し、
前記左縦線(lyr)、前記右縦線(ryr)、前記下横線(nxr)及び前記上横線(pxr)によって形成される域枠を前記試料測定域枠(wmr)として抽出することを自動的に行う試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
拡張試料測定域枠設定部が設けられ、
前記拡張試料測定域枠設定部は、
前記左縦線(lyr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張左縦線(Lyr)を設定し、
前記右縦線(ryr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張右縦線(Ryr)を設定し、
前記下横線(nxr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張下横線(Nxr)を設定し、
前記上横線(pxr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張上横線(Pxr)を設定し、
前記拡張左縦線(Lyr)、前記拡張右縦線(Ryr)、前記拡張下横線(Nxr)および前記拡張上横線(Pxr)によって形成された域枠である拡張試料測定域枠(Wmr)を設定する拡張試料測定域枠設定部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁又はY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で、前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、又は、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線又は前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部と、を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に当たっていない前記試料(W)の側の最も外側に突出した部位である試料突出部位を特定し、
前記試料突出部位を通る横線又は縦線を特定し、
前記横線又は前記縦線と前記X軸縁位置線又は前記Y軸縁位置線とによって形成される域枠を前記試料測定域枠(wmr)として抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置。
【請求項4】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁を有し、このX軸内壁に直交する形態で設けられたY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁と前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、かつ、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記X軸内壁と前記Y軸内壁に当たっていない前記試料(W)の側の最も外側に突出した部位である、X軸側の試料突出部位とY軸側の試料突出部位とを特定し、
前記X軸側の試料突出部位を通る縦線を特定し、
前記Y軸側の試料突出部位を通る横線を特定し、
前記横線、前記縦線、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線によって形成される域枠を前記試料測定域枠(wmr)として抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置。
【請求項5】
前記横線、前記縦線を所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定してなる拡張試料測定域枠(Wmr)を設定する拡張試料測定域枠設定部が設けられたことを特徴とする請求項3又は4記載の測定装置。
【請求項6】
前記試料(W)の濃淡画像をディスプレイに表示した表示形態において、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を表示可能とした又は表示されることを特徴とする請求項3、4又は5記載の測定装置。
【請求項7】
前記試料測定域枠(wmr)及び前記試料(W)の濃淡画像をディスプレイに表示した表示形態において、
前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線又はいずれか一方の縁線より外側に位置する前記位置決め部の画像は非表示である又は非表示にすることを可能としたことを特徴とする請求項3~5又は6記載の測定装置。
【請求項8】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁を有し、このX軸内壁に直交する形態で設けられたY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁と前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、を備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項9】
前記試料測定域枠抽出部は、
前記試料測定域枠(wmr)又は前記拡張試料測定域枠(Wmr)を表す域線を外域枠(Ouf)として特定し、
前記試料(W)の内側の一部を非測定域とするための内域枠(Inf)を特定ないし指定し、かつ、前記内域枠(Inf)の内側部分を非測定域(Nor)とし、
前記外域枠(Ouf)と前記内域枠(Inf)の間に形成される域枠部分を測定域(Mer)とした試料測定域枠(wmh)を抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする請求項1~7又は8記載の測定装置。
【請求項10】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmeg)を抽出する試料測定域枠抽出部を備え、
前記試料測定域枠抽出部は、前記試料(W)の画像情報におけるエッジを抽出し、前記エッジによってあらわされる域枠を前記試料測定域枠(wmeg)として抽出することを自動的に行う試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置。
【請求項11】
拡張試料測定域枠設定部が設けられ、
前記拡張試料測定域枠設定部は、
前記試料測定域枠(wmeg)を外側に所定の距離だけ拡張した拡張試料測定域枠(Wmeg)を設定する拡張試料測定域枠設定部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする請求項10記載の測定装置。
【請求項12】
前記試料測定域枠抽出部は、
前記試料測定域枠(wmr)または前記拡張試料測定域枠(Wmeg)の表す域線を外域枠(Ouf)とし、
前記試料(W)の内側の一部を非測定域とするための内域枠(Inf)を特定し、
前記内域枠(Inf)の内側部分を非測定域(Nor)とし、
前記外域枠(Ouf)と前記内域枠(Inf)の間に形成される域枠部分を測定域(Mer)とした試料測定域枠(wmh)を抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする請求項9、10又は11記載の測定装置。
【請求項13】
報知部(29)が設けられ、
前記X軸内壁、前記Y軸内壁のいずれかを有する形態においては、前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に前記試料(W)が当たっていないことを前記報知部(29)は報知し、
前記X軸内壁及び前記Y軸内壁を有する形態においては、前記X軸内壁及び前記Y軸内壁に前記試料(W)が当たっていないことを前記報知部(29)は報知し、
以上のように構成されたことを特徴とする請求項3~10又は11に記載の測定装置。
【請求項14】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁又はY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で、前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、又は、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線又は前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、
前記試料(W)の一部分の測定域枠である試料部分域枠(wtr)を特定する試料部分域枠特定部と、
前記試料部分域枠(wtr)の特定操作前又は自動特定前に、前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に前記試料(W)が当たっていないことを報知する報知部(29)と、を備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項15】
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁を有し、Y軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁及び前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で、前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記X軸縁位置線を、前記試料(W)の下側における最も外側に突出した部位である試料下側突出部位(103)の位置、又は、前記試料(W)の上側における最も外側に突出した部位である試料上側突出部位(104)の位置とし、
前記Y軸縁位置線を、前記試料(W)の右側における最も外側に突出した部位である試料右側突出部位(102)の位置、又は、前記試料(W)の左側における最も外側に突出した部位である試料左側突出部位(101)の位置とし、
前記X軸内壁に当たっていない側に設定されたX軸線をX軸非縁線とし、
前記Y軸内壁に当たっていない側に設定されたY軸線をY軸非縁線とし、
前記X軸縁位置線、前記Y軸縁位置線、前記X軸非縁線及び前記Y軸非縁線により、前記試料測定域枠を抽出する試料測定域枠抽出部であり、
前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を固定線として、前記X軸非縁線及び前記Y軸非縁線が自動的に設定される又はオペレーターが手動操作により設定可能とした、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明テーブルの上面に載置した主に電子部品等の試料を、透明テーブルの下方に位置させた光センサで測定して、試料の表面(光センサ側から見た試料面)の表面形状又は平坦度等を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透明テーブルの下方にラインセンサ、CCDセンサ、CMOSセンサ等の光センサを配置し、透明テーブルの上面に試料を載置して、該試料の表面を光センサで測定して、試料の表面の表面形状(3D形状)や平坦度を測定する測定装置が知られている。(例えば、特許文献1の発明)
また、前記特許文献1の測定装置と同様の測定装置において、テーブル上面に枠形態の位置決め部を設け、該位置決め部の横内壁面および該横内壁面に直交形態である縦内壁面に、試料の対応する二側面を当てて位置決めする測定装置が知られている。(例えば、特許文献2の発明)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-179963号公報(
図1、
図2)
【特許文献2】特開2018-028440号公報(
図4、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試料測定域枠についての記載は無いが、特許文献1のような測定装置において試料測定域枠の抽出は、一般的に、照射部及び受光部の走査全域の受光情報である走査全域受光情報の示す走査全域の輝度レベルを示す濃淡画像をディスプレイに表示して、試料のすべての部分が含まれる閉じ域枠(試料測定域枠)を、オペレーターがマウス等の操作によって線引き設定して、その後で、受光部側の基準位置からの試料の表面の高さ情報(距離情報)の生成の指示操作を行い、テーブル上面からの試料の表面の高さ情報(距離情報)の生成の指示操作を行う、又は、テーブル上面に設けた反射部材の表面からの試料の表面の高さ情報(距離情報)の生成の指示操作を行う、というようなオペレーターの煩雑な操作作業を必要とする問題を有するものであった。
試料測定域枠は、照射部及び受光部の走査全域の受光情報である走査域受光情報の示す走査域よりも狭い域枠であり、かつ、試料の全ての部位が入る域枠である。
【0005】
また、試料測定域枠についての記載は無いが、特許文献2のような位置決め部を有する測定装置において試料測定域枠の抽出は、一般的に、走査全域の濃淡画像をディスプレイに表示した状態で試料測定域の指定・特定操作をオペレーターが行う。
走査全域の濃淡画像には位置決め部の縁部位の画像が不明瞭ではあるが検出されディスプレイに表示される。よって、位置決め部に当たっている試料の当たり部分の画像と位置決め部の内縁部位の画像部当たり部分がくっ付いた画像となる部分が生じる。
オペレーターは、拡大画像にして消しゴム機能を使って、マウス操作等により内縁部位の画像を消すことを行う。消された部分は、測定対象から除かれることを意味する。
この消しゴム機能を使用した消し操作は、時間がかかり集中力も必要であり、消し過ぎや消し残しなどが生じる可能性があり、また、オペレーターは、消し残しがあるかも? 消し過ぎたのではないか? というような疑心暗鬼な気持ちが残るので、精神衛生上よくないという問題を有するものであった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、試料の全ての部位を含む域枠である試料域を効率的に抽出する、又は、効率的かつ正確に抽出する測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は次に述べるような構成としている。
<第1の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査全域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の部位の全てが入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記試料(W)の左側における最も外側に突出した部位である試料左側突出部位(101)を特定し、
前記試料(W)の右側における最も外側に突出した部位である試料右側突出部位(102)を特定し、
前記試料(W)の下側における最も外側に突出した部位である試料下側突出部位(103)を特定し、
前記試料(W)の上側における最も外側に突出した部位である試料上側突出部位(104)を特定し、
前記試料左側突出部位(101)を通る縦線を左縦線(lyr)として特定し、
前記試料右側突出部位(102)を通る縦線を右縦線(ryr)として特定し、
前記試料下側突出部位(103)を通る横線を下横線(nxr)として特定し、
前記試料上側突出部位(104)を通る横線を上横線(pxr)として特定し、
前記左縦線(lyr)、前記右縦線(ryr)、前記下横線(nxr)及び前記上横線(pxr)によって形成される域枠を前記試料測定域枠(wmr)として抽出することを自動的に行う試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置である。
【0008】
<第2の発明>
拡張試料測定域枠設定部が設けられ、
前記拡張試料測定域枠設定部は、
前記左縦線(lyr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張左縦線(Lyr)を設定し、
前記右縦線(ryr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張右縦線(Ryr)を設定し、
前記下横線(nxr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張下横線(Nxr)を設定し、
前記上横線(pxr)より所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定された拡張上横線(Pxr)を設定し、
前記拡張左縦線(Lyr)、前記拡張右縦線(Ryr)、前記拡張下横線(Nxr)および前記拡張上横線(Pxr)によって形成された域枠である拡張試料測定域枠(Wmr)を設定する拡張試料測定域枠設定部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする前記第1の発明に記載の測定装置である。
【0009】
<第3の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁又はY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で、前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、又は、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線又は前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部と、を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に当たっていない前記試料(W)の側の最も外側に突出した部位である試料突出部位を特定し、
前記試料突出部位を通る横線又は縦線を特定し、
前記横線又は前記縦線と前記X軸縁位置線又は前記Y軸縁位置線とによって形成される域枠を前記試料測定域枠(wmr)として抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置である。
【0010】
<第4の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁を有し、このX軸内壁に直交する形態で設けられたY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁と前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、かつ、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記X軸内壁と前記Y軸内壁に当たっていない前記試料(W)の側の最も外側に突出した部位である、X軸側の試料突出部位とY軸側の試料突出部位とを特定し、
前記X軸側の試料突出部位を通る縦線を特定し、
前記Y軸側の試料突出部位を通る横線を特定し、
前記横線、前記縦線、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線によって形成される域枠を前記試料測定域枠(wmr)として抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置である。
【0011】
<第5の発明>
前記横線、前記縦線を所定の距離だけ外側に拡張した位置に設定してなる拡張試料測定域枠(Wmr)を設定する拡張試料測定域枠設定部が設けられたことを特徴とする前記第3の発明又は第4の発明に記載の測定装置である。
【0012】
<第6の発明>
前記試料(W)の濃淡画像をディスプレイに表示した表示形態において、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を表示可能とした又は表示されることを特徴とする前記第3、第4の発明又は前記第5の発明に記載の測定装置である。
【0013】
<第7の発明>
前記試料測定域枠(wmr)及び前記試料(W)の濃淡画像をディスプレイに表示した表示形態において、
前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線又はいずれか一方の縁線より外側に位置する前記位置決め部の画像は非表示である又は非表示にすることを可能としたことを特徴とする前記第3~第5又は第6の発明に記載の測定装置である。
【0014】
<第8の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁を有し、このX軸内壁に直交する形態で設けられたY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁と前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、を備えたことを特徴とする測定装置である。
【0015】
<第9の発明>
前記試料測定域枠抽出部は、
前記試料測定域枠(wmr)又は前記拡張試料測定域枠(Wmr)を表す域線を外域枠(Ouf)として特定し、
前記試料(W)の内側の一部を非測定域とするための内域枠(Inf)を特定ないし指定し、かつ、前記内域枠(Inf)の内側部分を非測定域(Nor)とし、
前記外域枠(Ouf)と前記内域枠(Inf)の間に形成される域枠部分を測定域(Mer)とした試料測定域枠(wmh)を抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする前記第1の発明~第7の発明又は第8の発明に記載の測定装置である。
【0016】
<第10の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmeg)を抽出する試料測定域枠抽出部を備え、
前記試料測定域枠抽出部は、前記試料(W)の画像情報におけるエッジを抽出し、前記エッジによってあらわされる域枠を前記試料測定域枠(wmeg)として抽出することを自動的に行う試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置である。
【0017】
<第11の発明>
拡張試料測定域枠設定部が設けられ、
前記拡張試料測定域枠設定部は、
前記試料測定域枠(wmeg)を外側に所定の距離だけ拡張した拡張試料測定域枠(Wmeg)を設定する拡張試料測定域枠設定部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする前記第10の発明に記載の測定装置である。
【0018】
<第12の発明>
前記試料測定域枠抽出部は、
前記試料測定域枠(wmr)または前記拡張試料測定域枠(Wmeg)の表す域線を外域枠(Ouf)とし、
前記試料(W)の内側の一部を非測定域とするための内域枠(Inf)を特定し、
前記内域枠(Inf)の内側部分を非測定域(Nor)とし、
前記外域枠(Ouf)と前記内域枠(Inf)の間に形成される域枠部分を測定域(Mer)とした試料測定域枠(wmh)を抽出する試料測定域枠抽出部であり、
以上のように構成されたことを特徴とする前記第9の発明、第10の発明又は前記第11発明に記載の測定装置である。
【0019】
<第13の発明>
報知部(29)が設けられ、
前記X軸内壁、前記Y軸内壁のいずれかを有する形態においては、前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に前記試料(W)が当たっていないことを前記報知部(29)は報知し、
前記X軸内壁及び前記Y軸内壁を有する形態においては、前記X軸内壁及び前記Y軸内壁に前記試料(W)が当たっていないことを前記報知部(29)は報知し、
以上のように構成されたことを特徴とする前記第3の発明~第10の発明又は第11の発明に記載の測定装置である。
【0020】
<第14の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁又はY軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で、前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、又は、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線又は前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、
前記試料(W)の試料(W)の一部分の測定域枠である試料部分域枠(wtr)を特定する試料部分域枠特定部と、
前記試料部分域枠(wtr)の特定操作前又は自動特定前に、前記X軸内壁又は前記Y軸内壁に前記試料(W)が当たっていないことを報知する報知部(29)と、を備えたことを特徴とする測定装置である。
【0021】
<第15の発明>
透明テーブル(2)の下方に設けられた照射部(3)から、前記透明テーブル(2)の上面に載置した試料(W)に向けて前記透明テーブル(2)を透過する照射光を照射し、その照射光の前記試料(W)の測定面からの反射光である試料反射光を前記透明テーブル(2)の下方に設けられた受光部(4)で受光し、その受光情報である試料受光情報(Wri)を処理して、前記試料(W)の測定面の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
前記受光部(4)側を正面とし該正面から見た試料(W)側の表面を表す図である正面図において、
前記透明テーブル(2)の上部に設けられた、X軸方向の内壁であるX軸内壁を有し、Y軸方向の内壁であるY軸内壁を有し、前記試料(W)を前記X軸内壁及び前記Y軸内壁に当てた位置決め状態で、前記透明テーブル(2)の上面に載置可能としている位置決め部と、
前記照射部(3)及び前記受光部(4)の走査域の受光情報である走査域受光情報(szd)の示す走査域(sz)よりも狭い域枠であり、かつ、前記試料(W)の全ての部位が入る域枠である試料測定域枠(wmr)を抽出する試料測定域枠抽出部と、
前記X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、前記Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を予め記憶している縁線記憶部と、を備えるとともに、
前記試料測定域枠抽出部は、
前記X軸縁位置線を、前記試料(W)の下側における最も外側に突出した部位である試料下側突出部位(103)の位置、又は、前記試料(W)の上側における最も外側に突出した部位である試料上側突出部位(104)の位置とし、
前記Y軸縁位置線を、前記試料(W)の右側における最も外側に突出した部位である試料右側突出部位(102)の位置、又は、前記試料(W)の左側における最も外側に突出した部位である試料左側突出部位(101)の位置とし、
前記X軸内壁に当たっていない側に設定されたX軸線をX軸非縁線とし、
前記Y軸内壁に当たっていない側に設定されたY軸線をY軸非縁線とし、
前記X軸縁位置線、前記Y軸縁位置線、前記X軸非縁線及び前記Y軸非縁線により、前記試料測定域枠を抽出する試料測定域枠抽出部であり、
前記X軸縁位置線及び前記Y軸縁位置線を固定線として、前記X軸非縁線及び前記Y軸非縁線が自動的に設定される又はオペレーターが手動操作により設定可能とした、
以上のように構成されたことを特徴とする測定装置である。
【発明の効果】
【0022】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
<第1の発明の効果>
試料(W)の各側部の最も外側に突出した部位を自動特定し、かつ、その軸線である左縦線(lyr)、右縦線(ryr)、下横線(nxr)、上横線(pxr)を自動特定し、左縦線(lyr)、右縦線(ryr)、下横線(nxr)、上横線(pxr)により試料(W)のすべての部位を測定域内とした最小域の試料測定域枠(wmr)を効率的かつ正確に自動抽出するとい作用効果を奏するものであるので、オペレーターが試料(W)のすべての部位を含む域を指定する煩雑な手動操作を必要としない、高効率且つ正確な試料測定域抽出機能を有する測定装置を実現する。
また、試料(W)の域外にある埃、塵、汚れ、傷などのノイズを測定から除外できる。
【0023】
<第2の発明の効果>
前記第1の発明と同様な効果を奏するとともに、試料(W)のすべての部位が入る最小域枠よりも、例えば僅かに大きな域枠にすることが可能であるので、試料(W)の全ての部分が入っているという安心感をオペレーターに与えることができる。
特に、後で測定する同一の試料の試料測定域枠として使用する場合、前の試料と後の試料とでは最も外側に突出した部位の位置及び突出長さが異なることが少なくないものであるので、前に記憶した試料測定域枠を拡張試料測定域枠(Wmr)とすることで、同一試料において突出した部位のバラツキがあっても該試料の全域の測定を保証できる。
また、拡張試料測定域枠(Wmr)の外に突出した部位が発見された試料は不良などと判定することも可能とできる。
【0024】
<第3の発明の効果>
X軸内壁の縁部位の位置をX軸縁位置線とし、又は、Y軸内壁の縁部位の位置をY軸縁位置線とし、X軸縁位置線又はY軸縁位置線を予め記憶しておき、位置決め部に当たっていない試料突出部位を通る横線又は縦線、X軸縁位置線又はY軸縁位置線によって形成された試料測定域枠(wmr)を抽出するものであるから、固定されている位置決め部の内縁を表すX軸縁位置線及びY軸縁位置線は、一種の固定基準線であるので、位置決め部の内壁に当たっている試料(W)の突出部位の特定処理を行わない処理を実現するものであり、その分情報処理量を少なくでき、効率的かつ正確な試料測定域枠(wmr)の抽出を実現する。
また、位置決め部の内壁に試料(W)が当たっているかを知ることを可能とできる。
【0025】
<第4の発明の効果>
前記第3の発明と同様な効果を奏するとともに、X軸縁位置線及びY軸縁位置線が予め記憶されているものであるので、位置決め部の内壁に当たっている試料(W)の2箇所の突出部位の特定処理を行わない処理を実現するものであり、その分情報処理量を少なくできる。
【0026】
<第5の発明の効果>
前記第3の3の発明又は前記第4の発明と同様な効果を奏するとともに、試料(W)のすべての部位が入る最小域枠よりも所定距離だけ大きな拡張試料測定域枠(Wmr)とすることで、後でセット測定する試料(W)が突出部位のバラツキがあっても所定範囲のバラツキのものは拡張試料測定域枠(Wmr)の範囲で全域を測定できる。
また、拡張試料測定域枠(Wmr)からはみ出る突出部位を有する試料(W)を不良とすることを可能とする。
【0027】
<第6の発明の効果>
前記第3、4の発明又は前記第5の発明と同様な効果を奏するとともに、X軸内壁とY軸内壁に試料Wが当たっているのか、それとも当たっていないのかを、目視で確認することができるという作用効果を奏する。
当たっていない場合は、試料(W)の位置決めをやり直して、再測定を行うことを可能とする。
【0028】
<第7の発明の効果>
前記第3~第5又は第6の発明と同様な効果を奏するとともに、試料(W)の濃淡画像と位置決め部の濃淡画像の境界が判別し難い、手動操作による位置決め部の濃淡画像の消し操作による誤消しなどの問題を解消するという作用効果を奏する。濃淡画像の誤削除等が無いのでオペレーターがその点について不安感を抱くことを解消する。
【0029】
<第8の発明の効果>
X軸縁位置線及びY軸縁位置線を固定基準線とすることで、X軸内壁とY軸内壁に当たっている試料(W)の最も外側に突出した2箇所の部位をX軸縁位置線、Y軸縁位置線とすることが可能とできるので、前記第4の発明と同様な作用効果を奏する。
【0030】
<第9の発明の効果>
前記第1の発明~第7の発明又は第8の発明と同様な作用効果を奏するとともに、測定不要の範囲の内域枠(Inf)の領域が非測定域とされるので、画像処理用域や演算処理域が小さくでき、よって画像処理量や演算処理量がより少なくできる。
【0031】
<第10の発明の効果>
試料(W)の画像情報から抽出した試料(W)のエッジによってあらわされる試料測定域枠(wmeg)のみを、各座標位置(x、y)における高さ距離特定域とすることで、情報処理量を小さくできる。
【0032】
<第11の発明の効果>
前記第10の発明と同様な効果を奏するとともに、試料(W)のすべての部位が入る最小域枠よりも所定距離だけ大きな拡張試料測定域枠(Wmeg)とすることで、突出部位のバラツキがあっても所定範囲のバラツキのものは拡張試料測定域枠(Wmeg)の範囲で全域を測定できる。
また、拡張試料測定域枠(Wmeg)からはみ出る突出部位を有する試料を不良とすることを可能とする。
【0033】
<第12の発明の効果>
前記第9の発明、第10の発明又は前記第11発明と同様な効果を奏するとともに、測定不要の範囲の内域枠(Inf)の領域が非測定域とされるので、画像処理用域や演算処理域が小さくでき、よって画像処理量や演算処理量がより少なくできる。
【0034】
<第13の発明の効果>
前記第3の発明~第10の発明又は第11の発明と同様な効果を奏するとともに、位置決め部の内壁に試料(W)が当たっていないことを報知部(29)の報知により知ることが可能となる。
【0035】
<第14の発明の効果>
前記第13の発明と同様な効果を奏するとともに、試料(W)の一部分の測定域枠である試料部分域枠(wtr)の特定操作前又は自動特定前に報知されるので、試料部分域枠(wtr)の特定操作又は自動特定を実行するかしないかの判断を可能とする。
【0036】
<第15の発明の効果>
前記第3の発明と同様な効果を奏するとともに、X軸縁位置線及びY軸縁位置線を固定線とした形態でX軸非縁線及びY軸非縁線の設定を、例えば、その測定目的等に応じてオペレーターが好みの位置に設定することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図2】本発明の実施例1の試料測定域枠抽出部の処理動作を示すフローチャート。
【
図3】本発明の実施例1の透明テーブル上面に試料を載置した状態の正面図。
【
図4】本発明の実施例1の走査域濃淡画像及び試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図6】本発明の実施例1の拡張試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図7】本発明の実施例1の試料部分域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図9】本発明の実施例2の試料測定域枠抽出部の処理動作を示すフローチャート。
【
図10】本発明の実施例2の透明テーブル上面に試料を載置した状態の正面図。
【
図11】本発明の実施例2の走査域濃淡画像をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図12】本発明の実施例2の走査域濃淡画像、試料測定域枠の抽出及び試料部分域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図13】本発明の実施例2の試料を4個セットした状態の正面図。
【
図14】
図13の載置における拡張試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図15】
図13における一部の拡張試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図16】本発明の実施例2の位置決め部の縁線を特定する方法例を示す正面図。
【
図17】本発明の実施例3の試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図18】本発明の実施例3の試料測定域枠抽出部の処理動作を示すフローチャート。
【
図19】本発明の実施例4の拡張試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図21】本発明の実施例4の試料測定域枠抽出部の処理動作を示すフローチャート。
【
図22】本発明の実施例5の拡大試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図23】本発明の実施例5の試料測定域枠抽出部の処理動作を示すフローチャート。
【
図24】本発明の実施例6の試料を載置した状態の正面図。
【
図25】本発明の実施例6の試料測定域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図26】本発明の実施例7の試料部分域枠の抽出をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【
図27】本発明の実施例8をディスプレイに表示した例で示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施するための最良の形態である実施例について説明する。但し、本発明をこれら実施例のみに限定する趣旨のものではない。また、後述する実施例の説明に当たって、前述した実施例の同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
<実施例及び図面による説明の定義>
光センサユニット17側を正面とし、光センサユニット17側(正面)から試料W側(表面側)を見た図を正面図として説明する。
正面図における、X軸上の左側を「左」とし、X軸上の右側を「右」とし、Y軸上の下側を「下」とし、Y軸上の上側を「上」として、説明する。
また、XY平面とは、X軸とY軸が乗っている平面のことである。
【実施例0040】
図1~
図7に示す本発明の実施例1において、測定装置1は、透明テーブル2の下方に配置された光を照射する照射部3から、透明テーブル2の上面に載置した試料Wに向けて透明テーブル2を透過する照射光を照射し、その照射光の試料Wの測定面(表面)からの反射光である試料反射光を透明テーブル2の下方に設けられた受光部4で受光し、その受光情報である試料受光情報Wriを処理して、試料Wの測定面(表面)の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである試料測定面高さデータを生成する測定装置であって、
照射部3及び受光部4の走査全域の受光情報である走査域受光情報szdの示す走査域szよりも狭い域枠であり、かつ、試料Wの全ての部位が入る域枠である試料測定域枠wmrを、自動的に形成して抽出する試料測定域枠抽出部5を備えた構成であるものである。
走査域szは走査全域の受光情報でなくてもよい。例えば、全走査域から予め決めてある該走査全域よりも狭い指定域の受光情報でもよい。
【0041】
透明テーブル2の透過度は、照射部3からの照射光(例えばレーザ光線)は透過してしまい、受光部4が受光するレベルの反射光が生じない透過度としているので、透明テーブル2の部分の受光データはデータ無し(存在しない)である。
【0042】
透明テーブル2を固定とし、受光部4と照射部3とを備えた光センサユニット17が、透明テーブル2の下方にX軸方向及びY軸方向に移動走査するように設けられている。光センサユニット17を固定とし、透明テーブル2がX軸方向及びY軸方向に移動する走査形態とするのもよい。
走査域受光情報szdは走査域受光情報記憶部18に記憶され、走査域受光情報szdを処理して試料の各座標位置(x、y)における輝度レベルを表す濃淡画像情報、又は、高さレベルをあらわす濃淡画像情報(以下「濃淡画像」又は「濃淡画像情報」という。)である走査域濃淡画像情報sziが試料測定域枠抽出部5に送られ、試料測定域枠抽出部5は走査域濃淡画像情報sziの内の試料Wの濃淡画像情報である試料濃淡画像情報Wid(試料濃淡画像情報Widで表される画像は試料濃淡画像Wiである。)を処理して試料の測定域枠である試料測定域枠wmrを、自動的に形成して抽出する。試料測定域枠wmrを表すデータである試料測定域枠データwmdは試料測定域枠データ記憶部20に記憶される。
前記高さレベルをあらわす濃淡画像情報は、カラー濃淡画像情報又は白黒濃淡画像情報(例えば256諧調ないしそれ以上の諧調)などである。
試料測定域枠wmrの抽出は、処理情報を可能な限り少なくすることを目的としているものであるので、条件の許される限り狭い抽出範囲域(抽出面積)とされる。
【0043】
<試料測定域枠抽出部5の構成・処理動作>
試料測定域枠wmrを抽出する試料測定域枠抽出部5の構成・処理動作を説明する。
[step1](
図2、
図3、
図4、
図5参照)
試料Wの左側における最も外側に突出した部位である試料左側突出部位101を、その試料濃淡画像Wiの試料左側突出部位画像情報101iにより特定し、
[step2]
試料Wの右側における最も外側に突出した部位である試料右側突出部位102を、その試料濃淡画像Wiの試料右側突出部位画像情報102iにより特定し、
[step3]
試料Wの下側における最も外側に突出した部位である試料下側突出部位103を、その試料濃淡画像Wiの試料下側突出部位画像103iにより特定し、
[step4]
試料Wの上側における最も外側に突出した部位である試料上側突出部位104を、その試料濃淡画像Wiの試料上側突出部位画像104iにより特定し、
[step5]
試料左側突出部位画像情報101i(試料左側突出部位101)の位置を通るY軸線であらわした縦線を左縦線lyrとして特定し、
[step6]
試料右側突出部位画像情報102i(試料右側突出部位102)の位置を通るY軸線であらわした縦線を右縦線ryrとして特定し、
[step7]
試料下側突出部位画像103i(試料下側突出部位103)の位置を通るX軸線であらわした横線を下横線nxrとして特定し、
[step8]
試料上側突出部位104(試料上側突出部位104)の位置を通るX軸線であらわした横線を上横線pxrとして特定し、
[step9](
図2、
図5等参照)
左縦線lyr、右縦線ryr、下横線nxr及び上横線pxrによって形成される域枠(ここでは「閉じ域枠」)を試料測定域枠wmrとして抽出し、
[step10](
図1、
図2、
図6等参照)
拡張試料測定域枠設定部13において拡張試料測定域枠の設定がされている場合は、所定の距離だけ外側に拡張した拡張試料測定域枠Wmrを形成して抽出し、
以上の[step1]~[step10]は自動的に処理される。
試料測定域枠wmr又は拡張試料測定域枠Wmrはディスプレイ19に表示され、そこに試料濃淡画像Wiも表示されるようになっている、ないし表示可能となっている。(
図1、
図4、
図5、
図6等参照)。
図5~
図7は、ディスプレイに表示された測定域枠の抽出を示す画像である。このことは、後述する他の実施例についても同様である。
【0044】
<試料表面の3Dデータの生成>(
図1等参照)
試料測定域枠データwmdは、試料測定域枠高さ情報生成部23に自動的に送られ、試料測定域枠高さ情報生成部23は、試料測定域枠データwmdのみにおける、試料Wの表面の各座標位置(x、y)における高さデータである試料高さデータwhdを生成する。
試料高さデータwhdにもとづいて平坦度判定部26において、平坦度の良否を判定することが可能となっている。
試料高さデータwhdは基準位置からの距離であるので、試料Wの表面の表面形状を3次元で表すことができる表面形状データW3Ddであり、該表面形状データW3Ddによりディスプレイ19に試料Wの表面の3D画像を表示させることができる。
かかる3D画像は、高さ毎に色分けされた形態ないし濃度分けされた形態で表示される。
基準位置は、光センサユニット17側の基準位置、透明テーブル上面位置の位置、テーブル上面に設けた反射部材の表面の位置、又は、試料Wの透明テーブル上面に当たっている部位の位置などである。この中で好ましいのは、図では示していないが、テーブル上面に設けた反射部材の表面の位置を基準位置とするのがよい。
【0045】
<試料部分域枠wtrの特定→平坦度判定>(
図1、
図7等参照)
走査域受光情報szdを試料部分域枠特定部24に自動的ないし手動操作で送られる。
試料部分域枠特定部24は、試料Wの一部分の測定域枠である試料部分域枠wtrを形成して抽出し、試料部分域枠wtrを表すデータである試料部分域枠データwtdを記憶する。
試料部分域枠データwtdは試料部分域枠代表値決定部25に送られる。
試料部分域枠代表値決定部25は試料部分域枠wtr各々の代表値Rv(高さデータ)を決定し、各々の代表値Rvの基準面からの平坦度が特定され、判定部26において所定の平坦度範囲内にあるのかの良否判定がなされる。
試料部分域枠wtrの各々の高さ情報は、試料部分域枠wtr部分のXY平面における、試料Wの測定面(表面)の各座標位置(x、y)における高さを示すデータである。
代表値Rvは、最高値、最低値、平均値などである。
【0046】
試料部分域枠wtrの抽出には試料濃淡画像Wiだけでもよいので、試料測定域枠データwmdは試料部分域枠特定部24に必ずしも送られなくてもよい。
試料部分域枠wtrの特定は、予め記憶してあるCADデータ又は事前に取得してあるデータなど既得データによる自動特定をするのもよい。ここでは、ディスプレイ19に試料濃淡画像Wiを画像表示し、オペレーターがマウス等の手動操作により、試料突起部分wtの画像である試料突起部分画像wtiを一つ一つ囲い枠で囲う操作によって試料部分域枠wtrを特定し、該試料部分域枠wtrの複数による試料部分域枠群wtrgを形成している(
図1、
図7等参照)。
試料突起部分wtとそれ以外の箇所を濃淡画像やカラー画像で識別が困難である場合は、高さを色分けして表現した高さ情報にもとづいて試料突起部分wtの各々の域枠である試料部分域枠wtrを特定する。
【0047】
自動抽出された試料測定域枠wmrによって、試料W全体の各座標位置(x、y)における高さ測定(平坦度の測定を含む)を、試料測定域枠wmr内のみの受光情報を処理して実現する。
試料部分域枠wtr又は試料部分域枠群wtrgによって、試料Wの一部分又は該一部分の複数からなる部分群の各座標位置(x、y)における高さ測定(平坦度の測定を含む)を、試料部分域枠wtr又は試料部分域枠群wtrgのみの受光情報を処理して実現する。
【0048】
自動抽出された拡張試料測定域枠Wmrによって、試料W全体の各座標位置(x、y)における高さ測定(平坦度の測定を含む)を、拡張試料測定域枠Wmr内のみの受光情報を処理して実現する。
【0049】
照射受光ユニット6は、メーカーから提供されている既成の照射受光ユニットを使用することができる。
<位相シフト法の照射受光ユニット例>
例えば、位相シフト法を測定手法とした、左右2つのプロジェクタからなる照射部とその中央に設けたカメラ(受光部・光検出部)を備えた、株式会社キーエンス製の「XG-8000シリーズXR-HT40MD」の照射受光ユニットがある。これは、試料に対して、左右2つのプロジェクタから高速で投影される複数のストライプパターン(縞模様)を、中央のカメラ(光検出部・受光部)で撮影(受光)して、照射受光ユニット側の基準位置から試料の表面までの各座標位置(x、y)の高さを測定取得し、該各座標位置(x、y)の高さで表される3次元形状データと各座標位置(x、y)における輝度レベルを得ることができる。
<光切断法の照射受光ユニット例>
例えば、光切断法を測定手法とした、株式会社キーエンス製の「LJ-V7000シリーズ」の照射受光ユニットがある。光切断法は、ライン状の切断面の形状(プロファイル)を取得する方法であるため、試料に対して、光切断を行う切断位置を一方向に連続的に変化させて連続的にプロファイル(ライン状の切断面の形状)を取得し、得られたプロファイルを合成することで3次元形状データを取得する。照射光は405nmの青紫色レーザ光線である。
<共焦点方式の照射受光ユニット例>
例えば、共焦点方式を測定手法とした、株式会社キーエンス製の「ダブルスキャン高精度レーザ測定器LT-9000 シリーズ」がある。これは、共焦点方式による同軸光学系を採用。対象物上で焦点の合った位置を測定する原理で対象物の高さを測定する。この照射受光ユニットをXY方向に走査することで3次元形状データと各座標位置(x、y)における輝度レベルを得ることができる。
以上述べた照射受光ユニット例は一例であって、複数の企業から多様な照射受光ユニットおよびコントローラが提供されている。
これらの企業から提供されている照射受光ユニットおよびコントローラを使用することで、本発明は当業者であれば実施可能である。
【0050】
また、本発明の測定手法として、共焦点法、モアレトポグラフィ法、干渉縞法、スポット光投影法、ライン光投影法、パターン投影法、光時間差法、光周波数差法、光位相差法、光コヒーレンス法などをあげることができる。
透明体である位置決め部6の縁部分の画像は不鮮明で不明瞭な画像(わずかに点在する点的な画像ないしノイズ的な画像)として検出されるので、縁線を特定することができ難い。
位置決め部6の縁線(縁部分)は設計上の理論値や実測値で明確となるので、当該理論値や実測値で得られた緑部分を予め記憶(登録)しておき、測定走査時の縁部分域を含む位置決め部6の域を情報除去域として自動的に除去して測定対象から除かれる(データが無い)、ないし除くことを可能とするのがよい。
また、設計上の理論値や実測値で縁部分は明確となるので予め記憶しておくことができ、該記憶されている縁部分から外域の位置決め部6の受光情報を自動的に除くことができる。
位置決め部6を照射部3の照射光が乱反射する部材(例えば、非透明のセラミックス、曇りガラスなど)である乱反射部材とするのもよい。照射受光ユニットの特性に応じて反射する部材を選べば良い。
そうすることで、位置決め部6の縁を鮮明かつ明瞭な画像として検出することが可能となる。
位置決め部6を反射部材又は乱反射部材とする場合、反射部材38との画像の識別が得られるように、反射部材38を位置決め部6の外域に設ける。位置決め部6内に設ける場合には、位置決め部6の輝度とは異なる輝度の反射部材とする、又は、位置決め部6と反射部材の間に照射部3の照射光が透過する隙間を設けるようにするのがよい。
試料測定域枠抽出部12は、X軸内壁、Y軸内壁に当たっていない試料(W)の側の最も外側に突出した部位である試料突出部位を自動的に抽出特定し、試料突出部位を通る上横線pxr、右縦線ryrを自動的に特定し、上横線pxr、右縦線ryr、X軸縁位置線105a及びY軸縁位置線106aによって形成される域枠を試料測定域枠wmrとして抽出することを自動的に行う試料測定域枠抽出部とすることができる。
また、オペレーターがディスプレイ上で画像を見ながら、上横線pxr、右縦線ryrを手動操作により特定して試料測定域枠wmrを抽出特定することもできる。
このことは、後述する実施例6等でも言える。
位置決め部6の内壁に当たっていない側に設定された上横線pxr(X軸線)及び拡張上横線Pxr(X軸線)はX軸非縁線であり、右縦線ryr(Y軸線)及び拡張右縦線Ryr(Y軸線)はY軸非縁線である。
位置決め部6の左Y軸内壁8L及び下X軸内壁7Pに、前記試料(W)が当たっていない場合(隙間がある場合)は、報知部29からセットエラー報知alaが報知(通知)される。
具体的には、左縦線lyr又は下横線nxrと濃淡画像(試料濃淡画像Wi)との間に隙間がある(位置決め部6の内壁に試料Wの当たっている部位が無い状態)、または、所定の隙間距離より隙間距離が大きい場合は、セットエラー報知alaされるようになっている。セットエラー報知alaは、該当箇所の点滅表示、点滅矢印による報知、「試料が壁に当たっていません」、「試料セットエラー」などのメッセージ報知、画面背景色の変化など、これらと報知音との組合せなど多様な形態がある。
また、記憶されている試料測定域枠wmr又は拡張試料測定域枠Wmrの域のみを光センサユニット17が移動走査するように走査ユニット制御部22は光センサユニット17を走査制御して試料測定域受光情報を取得するのもよい。この場合、そこでの試料測定域枠の抽出は行わず(必要ない)、走査域における試料高さデータwhdを生成する。この場合、基準位置は、記憶してある前の基準位置を使用するのがよい。
また、記憶されている試料部分域枠群wtrgの域のみを光センサユニット17が移動走査するように走査ユニット制御部22は光センサユニット17を走査制御して試料測定域受光情報wssiを取得するのもよい。この場合、試料部分域枠wtrの抽出は行わず、試料測定域受光情報wssiを処理して新たな同一試料Wの、試料部分域枠wtr毎の各座標位置(x、y)における高さ(距離)を表す試料部分域枠データwtdを生成するのもよい。