(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113602
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220728BHJP
【FI】
A61M5/32 510
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021032965
(22)【出願日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0010510
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521089166
【氏名又は名称】プンリム ファーマテック インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒ ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョン ドク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェ チョン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066KK08
4C066KK19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器を提供する。
【解決手段】注射器組立体と注射針安全保護具が一体に締結された注射器であって、注射針安全保護具本体の後方部中央には固定突起が突設され、カバーの対応地点には固定突起結合溝が形成され、カバーを反らしてこれらを互いに合わせて結合させれば、カバーが注射器組立体のバーレルに並んで密着して固定されるので、安定した状態で注射することができ、注射の後には注射器組立体を一手で握り注射針安全保護具のカバーを壁面や机面などに押し当てれば、カバーの中央下部の両側に形成された「V」字形折曲溝によってカバーが折れるとともに内部に結合された注射針も曲げられて再使用ができなくなり、より具体的には「V」字形折曲溝を中心にカバーの上部を反らせば、内部に結合された注射針も一緒に曲げられて再使用が決してできない状態で廃棄することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器組立体(A)のハブ(H)に注射針安全保護具(S)が一体に組み立てられて使われる安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器であって、
前記注射針安全保護具(S)の注射針安全保護具本体(13)の後面中央には固定突起(22)が突設され、カバー(14)の対応地点には固定突起結合溝(23)が形成され、前記固定突起(22)と前記固定突起結合溝(23)が結合されることによってカバー(14)が固定されるように構成されることを特徴とする、安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器。
【請求項2】
前記注射針安全保護具(S)のカバー(14)の中央下部の両側には「V」字形の折曲溝(24)が形成され、注射の後に壁面や底面に押し当てて注射針(12)を曲げて再使用できないように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器。
【請求項3】
前記注射針安全保護具(S)のカバー(14)を「V」字形折曲溝(24)を中心に後方に反らして注射針(12)を曲げて再使用できないように構成されることを特徴とする、請求項2に記載の安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器に関するもので、より詳しくは注射器組立体と結合された状態で使われる注射針安全保護具を、使用の際には安定した固定状態にし、廃棄の際には壁面や底面に押し当てて簡単にカバーを折って安全に廃棄することができるようにした安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、注射器は、本体である注射器バーレル、取っ手が付いた押込みロッド、押込みロッドの先端に締結され、ピストン作用で注射液を押し出すプランジャー、及びバーレルの先端の縮径管部に直接締結された針を含んでなる一般型と、バーレルの先端部にネジ締結可能なルアーロック(Luer Lock)締結部が別途形成され、これに注射針の付いたハブ(Hub)がネジ締結されて構成されるルアーロック型とがある。
【0003】
ルアーロック型の注射器は本体と針の締結されたハブとを分離して製造することになる。注射針が締結されたハブは別途の注射針保管ケース内に密封されて滅菌処理され、注射針キャップ及びバーレルと押込みロッド取っ手とからなる本体と注射針安全保護具も滅菌処理され、単一セットのキット内に保管されて流通され、使用の際には、注射針保管ケースの滅菌紙を取り外し、内装注射針のハブ胴体の下端両側に形成された締結突起に、注射器本体の上端に形成されたルアーロック締結部の内面に形成されたネジ部を結合し回転させて注射器本体とヘッド部を一体に結合した後、注射針安全保護具を組み立てられた注射器組立体のハブに締結した状態で使うことになる。
【0004】
前記のような注射針安全保護具が一体に装着されていない通常の注射器は、注射の後にも再使用することができる状態になるから、一部の病院などで再使用による感染伝播によって社会的問題になることがたまに発生するので、これを防止するために、一度使用した注射針は再使用することができないように安全に廃棄しようとする技術が多数案出されたことがある。
【0005】
一例として、米国特許第6,582,397B2(2003.06.24)の場合は、注射針ハブの下部側に形成されたフランジを結合することができる溝及び孔が形成されたベースとこのベースに折畳可能に連結されたハウジングとにより、注射針ハブをベースに装着した状態でハウジングを折り畳めば、注射針がハウジングの内部に挿入されるとともにベースの両側に形成されたアームがハウジングの両側下部に形成されたテンション作用係合溝に合わせて係合されるようになっているので、ハウジングが折り畳まれるときにはハウジングの両側下部に形成されたテンション作用係合溝が広がり、ベースのアームが挿入されればテンション復帰力によってロックされることによって再び広がらないようにすることにより、使用後の注射針を安全装置と共に安全に廃棄することができるようにした。他の実施例として、ハウジングの両側面に内側に湾曲しフラップを突設することにより、注射針ハブがハウジングの内側に入るときには内側に窄んでから反発復帰力によって元の位置になればハブが抜け出ないようになるものであり、これも使用後の注射針を安全装置とともに廃棄することができるようにした。
【0006】
しかし、このような構造は、注射針を使った後、注射針とハブ及び安全装置を共に安全に廃棄することができる利点はあるが、注射器を使っているときは注射針ハブとヒンジを介して連結された安全装置の折畳可能な注射針ハウジングが固定されずにぶらぶらした状態でぶら下げられているから、注射の際に邪魔要素となり、注射の後にはハウジングを折り畳んで注射針及びハブをハウジングの内部に結合して廃棄しなければならないが、ハウジングが一直線状になっていて壁面や机面に押し当てて折ることが難しいから、一手では注射器を握り、他の手ではハウジングを押して折り畳まなければならない不便さがあった。
【0007】
他の例として、韓国登録特許10-1897956号の「再使用防止及び安全廃棄用注射針組立体」は、「注射針が挿合され、前方に注射針保護キャップが、後方に注射器が結合されるホルダーと、前記ホルダーの中央の結合部に挿合するための挿入孔、及び上部両側に係合突起が形成されたロック溝を有する結合具と、前記結合具の一側にヒンジを介して上下に回転可能に一体に連結され、一側が上下に開放して内部に注射針が挿入される挿入空間部、前記挿入空間部の一側に注射針が挿入された後に離脱を防止するように支持する支持突起、及び下部両側に結合具のロック溝に挿入されるロック突起を有し、注射針の使用後の廃棄の際、前記ロック突起の一側の係合突起がロック溝の一側の係合突起に離脱を防止するように結合されることにより、注射針の安全廃棄及び再使用防止を図るカバーとを含んでなり、前記ホルダーの結合部はリング形の凹部によって形成され、前記結合具の挿入孔の内周面には前記凹部に挿入される突出部が形成されて締まりばめできるように構成され、前記結合具の挿入孔の内側には少なくとも一つ以上の位置に切開溝が形成され、前記ホルダーの結合部には切開溝に対応する位置に結合突起が形成されることによって回転を防止するように互いに結合されるように構成されるもの」を技術的特徴とするものである。
【0008】
しかし、このような構造を有する先行発明は、ルアーロック型の注射器本体とネジ結合して締結するために、ホルダーの挿入孔の内側には切開溝が形成され、ホルダーの対応位置に結合突起が形成されているので、注射器本体のルアーロックネジ部にホルダーの結合突起をネジ結合して締結するとき、最後の締結完了点に至ってもそれ以上回転しないように確かに締結することができる利点はあるが、前述したように、前述した米国特許と同様に、固定手段なしにカバーがヒンジを介して結合具にぶらぶらした状態でぶら下げられているから、注射の際に邪魔要素になり、注射の後にはカバーを折り畳んで注射針及びホルダーをカバーの内部に結合して廃棄しなければならないが、これも、米国特許と同様に、カバーが一直線状になっていて壁面や机面に押し当てて折ることが難しいから、一手では注射器を握り、他の手ではカバーを押して折り畳まなければならない不便さがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,582,397B2号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1897956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、注射器組立体と一体に締結された状態で使われる注射針安全保護具を、使用の際には安定した固定状態になるようにし、注射後の廃棄の際には壁面や机面などに押し当てて簡単にカバーを折って安全に廃棄することができるようにした安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための手段として、本発明による安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器は注射器組立体と注射針安全保護具を注射の際に一体に結合して使うことになるものであって、注射針安全保護具のカバーを安全に固定させるために注射針安全保護具本体の後方部中央には固定突起が突設され、カバーの対応地点には固定突起結合溝が形成され、カバーを反らしてこれらを互いに結合させることによって注射器組立体のバーレルに並んで密着して固定することができ、カバーの中央下部の両側には「V」字形折曲溝が形成され、注射の後に注射器組立体を壁面や机底面などに押し当てれば、カバーの「V」字形折曲溝によってカバーが折れるとともに注射針も曲げられて再使用ができない状態で安全に廃棄することができる安全廃棄構造及び機能向上構造を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は注射器組立体と注射針安全保護具が一体に締結された注射器であって、注射針安全保護具本体の後方部中央には固定突起が突設され、カバーの対応地点には固定突起結合溝が形成され、カバーを反らしてこれらを互いに合わせて結合させれば、カバーが注射器組立体のバーレルに並んで密着して固定されるので、注射の際にカバーがぶらぶらして邪魔になることなしに安定した状態で注射することができ、注射の後には注射器組立体を一手で握り注射針安全保護具のカバーを壁面や机面などに押し当てれば、カバーの中央下部の両側に形成された「V」字形折曲溝によってカバーが折れるとともに内部に結合された注射針も曲げられて再使用ができなくなり、より具体的には「V」字形折曲溝を中心にカバーの上部を反らせば、内部に結合された注射針も一緒に曲げられて再使用が決してできない状態で廃棄することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明の注射器組立体及び注射針安全保護具の分解斜視図である。
【
図3】本発明の注射器組立体及び注射針安全保護具の組立斜視図である。
【
図4】本発明のカバー固定部を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図5】本発明の組立状態でカバーを反らして固定させた状態の斜視図である。
【
図6】本発明の注射後の廃棄のためにカバーを前方に折り曲げる例を示す例示図である。
【
図7】本発明の注射後の廃棄のためにカバーを後方に折り曲げる例を示す例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、前記目的以外に本発明の他の目的及び特徴は添付図面に基づく実施例についての説明によって明らかになるであろう。
【0015】
他に定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで使う全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使われる辞典に定義されているもののような用語は関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならなく、本出願ではっきり定義しない限り、理想的な又は過度に形式的な意味に解釈されない。
以下では、本発明の実施例による再使用防止構造を有する注射針安全保護具の締結角度調節装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0016】
図示のように、本発明安全廃棄構造及び機能向上構造を有する注射器は、注射の際には注射針安全保護具Sが注射器組立体AのハブHと一体に結合された状態で使われ、注射の後には一体化した結合状態でそのまま安全に廃棄されるものであり、後端に指掛け部2を有するバーレル1の先端吐出部の縮径管部3の外側には内側面に螺旋部5を有するルアーロック結合部4が形成され、前記バーレル1の内側には後端に押圧板7を有する押込みロッド6が挿入され、前記押込みロッド6の先端のプランジャー締結突起8にはプランジャー9の下端内側に形成される押込みロッド締結溝10が形成されることにより、押込みロッド6とプランジャー9が締結される。
【0017】
一方、前記バーレル1の先端に形成されたルアーロック結合部4に対応してハブHの下端両側に突設される締結突出部11が螺旋部5に沿って結合することによって先端に注射針12が締結されたハブHが組み立てられて注射器組立体Aが構成される。
【0018】
このように構成される注射器組立体AのハブHに合わせて注射針安全保護具Sが締結される。前記注射針安全保護具Sは注射針安全保護具本体13の一側にカバー14が折畳連結部15を介して折畳可能に連結され、折り畳まれた状態で抜き出ることを防止するために、前記注射器安全保護具本体13の中央に形成されたハブ締結孔16の左右両側にはカバー締結孔17が形成され、これらに合わせて結合されるように前記カバー14の下部両側には係合突起18が外側に突設され、カバーの内面一側には、カバー14が折り畳まれたとき、針キャップ19を保持することができるロッキング片20が水平に突設され、下部両側にはハブロッキング突起21が突設されることにより、針キャップ19が結合されることはできるが抜け出ないようになるので、使用後に注射針と共に安全に廃棄することができるように構成される。
【0019】
このような構成において、注射の際には前記カバー14が注射針安全保護具本体13の一側に折畳連結部15を介して回転自在な状態で連結されているから固定が必要である。
【0020】
したがって、前記カバー14を反らして注射器バーレル1に平行に密着して固定するために、前記注射針安全保護具本体13の後面中央には固定突起22が突設され、カバー14の対応地点には固定突起結合溝23が形成され、互いに締まりばめで結合固定されるように構成される。
【0021】
また、注射後の安全な廃棄のために、前記カバー14の中央下部の両側には「V」字形の折曲溝24が形成されることにより、カバー14に外力を加えて押したとき、容易に折り畳まれるように構成される。
【0022】
このように構成される本発明は、注射器組立体Aと注射針安全保護具Sが互いに結合した状態で注射することになる。注射器の使用に先立ち、カバー14を後方に反らして押せば、注射針安全保護具本体13の後面中央に形成された固定突起22がカバー14の対応地点に形成された固定突起結合溝23に締まりばめ方式で結合することにより、
図5のように注射器バーレル1に並んで密着して固定された状態になるので、外力を加えて立てない限り固定状態が維持されるので、注射過程でカバー14のぶらぶらして邪魔になることなしに安全に注射することができる。
【0023】
また、注射の後、カバー14を外力を加えて立てれば、注射針安全保護具本体13の固定突起22とカバー14の固定突起結合溝23が分離されて折畳可能な状態になり、その後、カバー14を注射針12側に反らして注射針12と結合させ、注射器組立体Aを一手で握り、壁面や机面などにつけてカバー14の背中部を押し付ければ、「V」字形の折曲溝24によってカバー14が折れることになり、同時にその内部に挿入されていた注射針12も曲がるので、再使用ができない状態になり、この状態で全体が廃棄される。
【0024】
一方、より確かに注射針12を折り曲げようとする場合には、
図7のようにカバー14を後方に反らせば、「V」字形折曲溝24を中心に折れ、注射針12が全く折り曲げられることにより、再使用が不可能な状態で廃棄することができる。
【0025】
以上のように、本発明では具体的な構成要素などの特定の事項及び実施例及び図面に基づいて説明したが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供したものであるだけで、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野で通常的な知識を有する者であればこのような記載から多様な修正及び変形が可能であろう。
【0026】
したがって、本発明の思想は前述した実施例に限って決定されてはいけなく、後述する特許請求の範囲だけではなく、この特許請求範囲と均等なものや等価的変形がある全てのものは本発明思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0027】
1 バーレル
4 ルアーロック結合部
9 プランジャー
12 注射針
13 注射針安全保護具本体
14 カバー
22 固定突起
23 固定突起結合溝
24 「V」字形折曲溝
A 注射器組立体
H ハブ
S 注射針安全保護具