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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011368
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】信頼性算出装置、及び保険料算出装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/08 20120101AFI20220107BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20220107BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
G06Q40/08
G06Q10/00 300
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112471
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 直
(72)【発明者】
【氏名】林 泰
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
3C100AA56
3C100AA68
3C100BB13
3C100BB33
5L049CC15
5L055BB61
(57)【要約】      (修正有)
【課題】産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味した産業機械全体の信頼性を算出する信頼性算出装置及び保険料算出装置を提供する。
【解決手段】信頼性算出装置1は、産業機械に関わる各種要素と、各種要素に関連する各種機能との少なくとも1つを信頼率の算出条件に指定する算出条件指定部111と、各種要素に対して各種機能がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標を保持する信頼性情報保持部121と、算出条件指定部111で指定された算出条件と信頼性情報保持部121で保持される信頼性指標とに基づいて産業機械の信頼率を算出する信頼率算出部113と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の信頼性を算出する信頼性算出装置であって、
前記産業機械に関わる各種要素と、前記各種要素に関連する各種機能との少なくとも1つを信頼率の算出条件に指定する算出条件指定部と、
前記各種要素に対して各種機能がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標を保持する信頼性情報保持部と、
前記算出条件指定部で指定された前記算出条件と前記信頼性情報保持部で保持される前記信頼性指標とに基づいて前記産業機械の信頼率を算出する信頼率算出部と、
を備える信頼性算出装置。
【請求項2】
前記信頼性指標を定義する信頼性情報定義部を備え、
前記信頼性情報定義部は、前記信頼性情報保持部に保持される前記信頼性指標を少なくとも追加/変更する請求項1に記載の信頼性算出装置。
【請求項3】
前記信頼性情報定義部は、前記産業機械の稼働情報と搭載機能情報とを前記産業機械から取得し、前記信頼性情報保持部に保持される前記信頼性指標を逐次更新する請求項2に記載の信頼性算出装置。
【請求項4】
前記信頼率算出部は、複数の機能を併用した場合の相互作用を加味して前記信頼率を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の信頼性算出装置。
【請求項5】
前記算出条件は、前記産業機械の加工対象物を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の信頼性算出装置。
【請求項6】
算出された前記信頼率に基づいて前記産業機械に対する保険料を算出する保険料算出部を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信頼性算出装置。
【請求項7】
前記保険料算出部は、前記信頼率に基づいて前記保険料の割引率を算出する割引率算出部をさらに備える請求項6に記載の信頼性算出装置。
【請求項8】
前記保険料算出部は、前記信頼率に基づいて前記保険料の割増率を算出する割増率算出部をさらに備える請求項6又は請求項7に記載の信頼性算出装置。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の信頼性算出装置と通信する通信部と、
前記信頼性算出装置により算出された前記信頼率に基づいて前記産業機械に対する保険料を算出する保険料算出部と、
を備える保険料算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性算出装置、及び保険料算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを介して、ユーザとの対話を通じてNC加工機に適用するNCデータを提供するデータサービスが知られており、当該データサービスにおいて発生する損害を担保するための保険契約を結ぶことが知られている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-196345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、工作機械やロボット等の産業機械が生み出す生産性や生産財、それらを構成する各種機材に対して、オプションや機能を選択することで変化する産業機械の総合的な信頼性を加味し、最適な保険料を算出する仕組みは存在しない。
【0005】
そこで、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味した産業機械全体の信頼性を算出することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の信頼性算出装置の一態様は、産業機械の信頼性を算出する信頼性算出装置であって、前記産業機械に関わる各種要素と、前記各種要素に関連する各種機能との少なくとも1つを信頼率の算出条件に指定する算出条件指定部と、前記各種要素に対して各種機能がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標を保持する信頼性情報保持部と、前記算出条件指定部で指定された前記算出条件と前記信頼性情報保持部で保持される前記信頼性指標とに基づいて前記産業機械の信頼率を算出する信頼率算出部と、を備える。
【0007】
(2)本開示の保険料算出装置の一態様は、(1)の信頼性算出装置と通信する通信部と、前記信頼性算出装置により算出された前記信頼率に基づいて前記産業機械に対する保険料を算出する保険料算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味した産業機械全体の信頼性を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態における信頼性算出装置の利用ケースを示すシステム構成図である。
図2】第1実施形態に係る信頼性算出装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図3】工作機械に関わる要素である工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能の信頼性指標の一例を示す図である。
図4】工作機械に関わる要素であるワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能の信頼性指標の一例を示す図である。
図5】算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素が工具(例えば、工具早期破損)であって、関連する機能(オプション)として、「送り軸緊急停止機能」、「工具寿命管理」、及び「工具形状・摩耗補正」が選択された場合における信頼率算出部の信頼率算出を説明する一例を示す図である。
図6】算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素がワーク(例えば、ワーク破損)であって、関連する機能(オプション)として、「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、及び「異常負荷検知」が選択された場合における信頼率算出部の信頼率算出を説明する一例を示す図である。
図7】信頼性算出装置の算出処理について説明するフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る信頼性算出システムの構成の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る信頼性算出装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図10】第2実施形態に係る保険料算出装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図11】信頼性算出システムの算出処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳細に説明をする。
ここで、各実施形態に係る信頼性算出装置は、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味して産業機械の信頼性を算出するという点において共通する。
ただし、第1実施形態では、信頼性算出装置は算出した産業機械の信頼性に基づいて産業機械に対する保険料を算出する機能を有する。これに対し、第2実施形態では、信頼性算出装置は外部装置である保険料算出装置から受信した算出条件に基づいて産業機械の信頼性を算出し、保険料算出装置は信頼性算出装置により算出された信頼性に基づいて産業機械に対する保険料を算出する点で、第1実施形態と相違する。
以下では、まず第1実施形態について詳細に説明し、次に第2実施形態において特に第1実施形態と相違する部分について説明を行う。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態における信頼性算出装置1の利用ケースを示すシステム構成図である。ここでは、産業機械として工作機械を例示する。なお、本発明は、工作機械に限定されず、例えば産業用ロボット、サービス用ロボット等にも適用可能である。
図1に示すように、信頼性算出システム100において、信頼性算出装置1は、算出対象となる工作機械の設置場所である工場等の管理サーバ又は工作機械の制御装置等と接続され、さらに、インターネット等のネットワークを介して、信頼性算出システム100を利用するユーザのユーザ端末のアクセスを受け付ける。
【0012】
信頼性算出装置1は、複数の工作機械それぞれに関する情報として、稼働情報、搭載機能等を収集し、所定のデータベースに蓄積する。
信頼性算出装置1は、ユーザがユーザ端末を介して所望の工作機械に対する信頼性を算出するための入力をすると、当該ユーザの入力に基づいて信頼率の算出条件を指定し、指定された算出条件に基づいて信頼性を算出する。信頼性算出装置1は、算出した信頼性に基づいてユーザが所望する工作機械に対する保険料を算出し、算出した信頼性及び保険料を含む算出結果をユーザに対して提示する。
【0013】
<信頼性算出装置1>
図2は、第1実施形態に係る信頼性算出装置1の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
信頼性算出装置1は、当業者にとって公知のコンピュータ装置であり、図2に示すように、制御部11、及び記憶部12を有する。また、制御部11は、算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、保険料算出部114、及び算出結果出力部115を有する。また、保険料算出部114は、割引率算出部141、及び割増率算出部142を有する。
【0014】
<記憶部12>
記憶部12は、ROMやHDD等であり、各種の制御用プログラムとともに、信頼性情報保持部121を有してもよい。
信頼性情報保持部121は、工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する各種機能(オプション)がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標を保持する。
具体的には、信頼性情報保持部121は、後述する信頼性情報定義部112に基づいて保険対象である工作機械に関わる要素毎に予め信頼性指標を保持する。なお、工作機械に関わる要素は、工具や治具等に限定されず、加工対象のワーク等も含まれてもよい。
図3は、工作機械に関わる要素である工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能の信頼性指標の一例を示す図である。
図3に示すように、工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能としては、例えば、「送り軸緊急停止機能」、「工具寿命管理」、「工具形状・摩耗補正」等の機能(オプション)が挙げられる。そして、工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能の信頼性指標は、対象の当該工具に対して各機能がどのような効果があるかを、後述する信頼性情報定義部112により定義された5つの信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」毎にそれぞれの信頼性指標値が「0」から「5」の範囲の値で設定される。
例えば、工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能(オプション)が「送り軸緊急停止機能」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」それぞれにおいて「5」、「0」、「0」、「1」、「1」と設定されている。また、工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能(オプション)が「工具寿命管理」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」それぞれにおいて「2」、「5」、「4」、「5」、「0」と設定されている。また、工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能(オプション)が「工具形状・摩耗補正」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」それぞれにおいて「1」、「5」、「5」、「0」、「5」と設定されている。
【0015】
図4は、工作機械に関わる要素であるワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能の信頼性指標の一例を示す図である。
図4に示すように、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能の場合、当該ワークの加工において工作機械は、例えば、「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、「異常負荷検知」等の機能(オプション)を有する。そして、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する各機能の信頼性指標は、対象の当該ワークに対して各機能がどのような効果があるかを、後述する信頼性情報定義部112により定義された5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」毎に「0」から「5」の範囲の信頼性指標値で設定される。
例えば、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能(オプション)が「3次元干渉チェック」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」それぞれにおいて「5」、「2」、「0」、「1」、「1」と設定されている。また、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能(オプション)が「ストアードストロークリチェック」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」それぞれにおいて「2」、「4」、「0」、「2」、「0」と設定されている。また、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能(オプション)が「汎用リトラクト」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」それぞれにおいて「0」、「0」、「3」、「0」、「0」と設定されている。また、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能(オプション)が「自己診断機能」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」それぞれにおいて「0」、「0」、「0」、「1」、「3」と設定されている。また、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能(オプション)が「異常負荷検知」の場合、当該機能(オプション)に係る信頼性指標値は、5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」それぞれにおいて「0」、「2」、「0」、「5」、「0」と設定されている。
【0016】
なお、信頼性情報保持部121に保持される工作機械に関わる要素に関連する機能毎に予め設定される信頼性指標及び信頼性指標値は、ユーザ端末を介したユーザからの入力に基づいて追加又は更新されるようにしてもよい。
また、図3及び図4では、信頼性指標値の取り得る値は「0」から「5」の範囲の値としたがこれに限定されない。例えば、信頼性指標値の取り得る値は「0」から「10」の範囲等の値としてもよく、「-1」や「-2」等のマイナス値でもよい。
【0017】
<制御部11>
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM(Random Access Memory)、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは信頼性算出装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って信頼性算出装置1全体を制御する。これにより、図2に示すように、制御部11が、算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、保険料算出部114、及び算出結果出力部115の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。また、CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、信頼性算出装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
【0018】
算出条件指定部111は、例えば、ユーザ端末を介したユーザの入力に基づいて信頼率の算出対象となる工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する各種機能の少なくとも1つを含む算出条件を指定する。
具体的には、算出条件指定部111は、ユーザ端末を介したユーザの入力に基づいて、工作機械を選択する機種名、製造年月日とともに、信頼率の算出対象となる当該工作機械に関わる各種要素である、例えばワーク、工具(期限あり)、機械等の選択を算出条件として指定する。
なお、算出条件指定部111は、工作機械に関わる各種要素である工具等の選択を受け付ける場合、「XX-12345」等、予め工作機械に関わる各種要素(例えば工具)毎に割り当てられた管理番号や、ISO13399で規格された切削工具パラメータ等を受け付けてもよい。この場合、記憶部12には、工具と管理番号やISO13399の切削工具パラメータとを対応付けした管理テーブル(図示しない)が予め記憶されていてもよい。
あるいは、算出条件指定部111は、機種名、製造年月日の入力をユーザから受け付けた場合、選択された工作機械から工作機械の設定情報を自動で吸い上げるようにしてもよい。算出条件指定部111は、吸い上げた設定情報、例えば、特定メモリ(図示しない)の所定のアドレスに機能の有効を示す値が格納されているか否か、PLCの安全機能の有効を示す特定アドレスが「ON」か否か等に基づいて、当該工作機械の備える各種要素と、それに関連する各種機能とを算出することで、信頼率の算出条件を指定するようにしてもよい。
そして、算出条件指定部111は、算出条件を信頼率算出部113に出力する。
【0019】
信頼性情報定義部112は、信頼性情報保持部121に記憶される信頼性指標を定義する。
例えば、信頼性情報定義部112は、前述した図3に示すように、工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能(オプション)に応じて5つの信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」それぞれの信頼性指標値を定義(設定)する。また、信頼性情報定義部112は、前述した図4に示すように、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する機能(オプション)に応じて5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」それぞれの信頼性指標値を定義(設定)する。
具体的には、信頼性情報定義部112は、工作機械から稼働情報や搭載機能情報を取得し、取得した稼働情報や搭載機能情報に基づいて、例えば統計処理を行うことで、工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標値を算出することで、定義(設定)するようにしてもよい。例えば、信頼性情報定義部112は、稼働情報に含まれる総稼働時間をバスタブ曲線に照らし合わせることで、工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標値を算出するようにしてもよい。ここで、稼働情報は、工作機械がどの程度稼働しているかを示す総稼働時間や総加工部品数等の情報を含んでもよい。また、搭載機能情報は、工作機械に搭載される工具等が有する機能(オプション)に関する情報を含んでもよい。
また、信頼性情報定義部112は、稼働情報や搭載機能情報に基づいて、例えば工具(例えば、工具早期破損)に関連する機能の1つである「送り軸緊急停止機能」等の機能の有無に応じた所定の期間(例えば、1ヶ月等)における事故発生率を求め、求めた事故発生率が10%未満、10%以上30%未満、30%以上50%未満、50%以上75%未満、75%以上90%未満、90%以上等に応じて、例えば信頼性指標の1つである「安全性向上」の信頼性指標値を定義するようにしてもよい。
【0020】
信頼率算出部113は、算出条件指定部111で指定された工作機械に関わる各種要素とそれに関連する各種機能との選択を示す算出条件と、信頼性情報保持部121に保持される信頼性指標と、に基づいて工作機械の信頼率を算出する。これにより、信頼率の算定対象となる工作機械の備える各種機能(オプション)に基づいて、当該工作機械の信頼率を算出することができる。信頼率の算定対象となる工作機械の備える各種機能(オプション)の搭載の有無に応じて、信頼率は異なる。
以下、信頼率算出部113による信頼率の算出方法について、(a)算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素が工具(例えば、工具早期破損)の場合と、(b)算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素がワーク(例えば、ワーク破損)の場合とについて説明する。
【0021】
(a)算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素が工具(例えば、工具早期破損)であって、関連する機能(オプション)として、「送り軸緊急停止機能」、「工具寿命管理」、及び「工具形状・摩耗補正」が選択された場合
図5は、算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素が工具(例えば、工具早期破損)であって、関連する機能(オプション)として、「送り軸緊急停止機能」、「工具寿命管理」、及び「工具形状・摩耗補正」が選択された場合における信頼率算出部113の信頼率算出を説明する一例を示す図である。
信頼率算出部113は、例えば、算出条件指定部111から受けた算出条件において工具(例えば、工具早期破損)が選択された場合、工具(例えば、工具早期破損)に関連する選択された機能(オプション)「送り軸緊急停止機能」、「工具寿命管理」、「工具形状・摩耗補正」の5つの信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」の信頼性指標値を信頼性情報保持部121から取得する。信頼率算出部113は、5つの信頼性指標「安全性向上」、「摩耗防止」、「負荷軽減」、「高寿命化」、「予防安全」毎に「送り軸緊急停止機能」、「工具寿命管理」、「工具形状・摩耗補正」の機能(オプション)のうち最大の信頼性指標値を抽出する。
【0022】
具体的には、信頼率算出部113は、図5に示すように、信頼性指標「安全性向上」において、前記3つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「送り軸緊急停止機能」の信頼性指標値「5」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「摩耗補正」において、前記3つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「工具寿命管理」の信頼性指標値「5」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「負荷軽減」において、前記3つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「工具形状・摩耗補正」の信頼性指標値「5」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「高寿命化」において、前記3つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「工具寿命管理」の信頼性指標値「5」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「予防保全」において、前記3つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「工具形状・摩耗補正」の信頼性指標値「5」を抽出する。
そして、信頼率算出部113は、抽出したこれらの信頼性指標を合計することにより、算出条件で選択された工具の信頼率を「25」と算出するようにしてもよい。信頼率算出部113は、算出した信頼率を保険料算出部114に出力する。
【0023】
(b)工作機械に関わる各種要素がワーク(例えば、ワーク破損)であって、関連する機能(オプション)として、「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、及び「異常負荷検知」が選択された場合
図6は、算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素がワーク(例えば、ワーク破損)であって、関連する機能(オプション)として、「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、及び「異常負荷検知」が選択された場合における信頼率算出部113の信頼率算出を説明する一例を示す図である。
信頼率算出部113は、例えば、算出条件指定部111から受けた算出条件においてワークが選択された場合、ワーク(例えば、ワーク破損)に関連する選択された機能(オプション)「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、「異常負荷検知」の5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」の信頼性指標値を信頼性情報保持部121から取得する。信頼率算出部113は、5つの信頼性指標「プログラムチェック」、「位置チェック」、「退避」、「異常検知」、「診断」毎に「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、「異常負荷検知」の機能(オプション)のうち最大の信頼性指標値を抽出する。
【0024】
具体的には、信頼率算出部113は、図6に示すように、信頼性指標「プログラムチェック」において、前記5つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「3次元干渉チェック」の信頼性指標値「5」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「位置チェック」において、前記5つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「ストアードストロークリチェック」の信頼性指標値「4」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「退避」において、前記5つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「汎用リトラクト」の信頼性指標値「3」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「異常検知」において、前記5つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「異常負荷検知」の信頼性指標値「5」を抽出する。また、信頼率算出部113は、信頼性指標「診断」において、前記5つの機能(オプション)のうち、最大の信頼性指標値が設定されている、網掛けで示す「自己診断機能」の信頼性指標値「3」を抽出する。
そして、信頼率算出部113は、抽出したこれらの信頼性指標を合計することにより、算出条件で選択されたワークの信頼率を「20」と算出するようにしてもよい。信頼率算出部113は、算出した信頼率を保険料算出部114に出力する。
【0025】
なお、信頼率算出部113は、選択された機能(オプション)の信頼性指標毎に最大の機能(オプション)の信頼性指標値を抽出したがこれに限定されない。例えば、信頼率算出部113は、選択された機能(オプション)の信頼性指標毎に信頼性指標値を平均した値を抽出してもよい。
また、信頼率算出部113は、前述したように抽出した信頼性指標毎の信頼性指標値を加算して信頼率として算出したが、これに限定されない。例えば、信頼率算出部113は、抽出した信頼性指標毎の信頼性指標値を重み付け加算等して信頼率を算出してもよい。
また、信頼率算出部113は、複数の機能を併用した場合の相互作用を加味して信頼率を算出してもよい。
【0026】
また、信頼率算出部113は、信頼率を算出するにあたり、複数の機能(オプション)のうち、信頼性指標毎に最大となる信頼性指標値を抽出したがこれに限定されない。
例えば、ワーク(例えば、ワーク破損)に対する関連機能(オプション)として、「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、及び「異常負荷検知」が選択された場合に、「3次元干渉チェック」、「ストアードストロークリチェック」、「汎用リトラクト」、「自己診断機能」、「異常負荷検知」の機能(オプション)の信頼性指標「プログラムチェック」においてその指標値がそれぞれ「2」、「4」、「-1」、「0」、「-2」とマイナス値を含む場合、信頼率算出部113は、信頼性指標値がマイナス値の数、すなわち「-1」と「-2」との2つの「2」を最大の信頼性指標値「4」から差し引いた値「2」を、信頼性指標「プログラムチェック」における信頼性指標値として抽出してもよい。あるいは、信頼率算出部113は、例えば、最大の信頼性指標値「4」を除く、信頼性指標値がプラス値の数と信頼性指標値がマイナス値の数との差を算出し、算出した差に基づいて最大の信頼性指標値「4」を補正した値を信頼性指標「プログラムチェック」における信頼性指標値として抽出してもよい。
【0027】
保険料算出部114は、信頼率算出部113により算出された信頼率に基づいて選択された工作機械に対する保険料を算出する。さらに、保険料算出部114は、割引率算出部141、及び割増率算出部142を有する。
【0028】
割引率算出部141は、選択された工作機械に対して信頼率算出部113により算出された信頼率に基づいて保険料の割引率を算出する。
具体的には、割引率算出部141は、例えば、信頼率1点につき1%を保険料から割引する場合、前述した図5の工具(例えば、工具早期破損)に対して信頼率算出部113により信頼率が「25」と算出されたことから、保険料の割引率を25%と算出する。すなわち、保険料算出部114は、25%割り引いた保険料を算出する。
また、割引率算出部141は、前述した図6のワーク(例えば、ワーク破損)に対して信頼率算出部113により信頼率が「20」と算出されたことから、保険料の割引率を20%と算出する。すなわち、保険料算出部114は、20%割り引いた保険料を算出する。
【0029】
割増率算出部142は、信頼率算出部113により算出された信頼率に基づいて保険料の割増率を算出する。
例えば、割増率算出部142は、信頼率算出部113により算出された信頼率がマイナス値(例えば、「-5」等)の場合、保険料の割増率を5%と算出する。すなわち、保険料算出部114は、5%割り増しした保険料を算出する。
【0030】
算出結果出力部115は、信頼率算出部113により算出された信頼率、及び保険料算出部114により算出された保険料を、算出条件を指定したユーザに出力する。
【0031】
<信頼性算出装置1の算出処理>
次に、本実施形態に係る信頼性算出装置1の算出処理に係る動作について説明する。
図7は、信頼性算出装置1の算出処理について説明するフローチャートである。ここで示すフローは、ユーザ端末を介してユーザからの入力を受け付ける毎に実行される。
【0032】
ステップS11において、算出条件指定部111は、ユーザ端末を介したユーザの入力に基づいて信頼率の算出対象となる工作機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを含む算出条件を指定する。
【0033】
ステップS12において、信頼率算出部113は、ステップS11で指定された算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)における信頼性指標毎の信頼性指標値を信頼性情報保持部121から取得する。
【0034】
ステップS13において、信頼率算出部113は、信頼性指標毎に最大の信頼性指標値を抽出する。
【0035】
ステップS14において、信頼率算出部113は、ステップS13で抽出した信頼性指標値に基づいて信頼率を算出する。
【0036】
ステップS15において、保険料算出部114は、ステップS14で算出された信頼率がプラス値か否かを判定する。信頼率がプラス値の場合、処理はステップS16に進む。一方、信頼率がマイナス値の場合、処理はステップS17に進む。
【0037】
ステップS16において、割引率算出部141は、算出された信頼率に基づいて割引率を算出する。
【0038】
ステップS17において、割増率算出部142は、算出された信頼率に基づいて割増率を算出する。
【0039】
ステップS18において、保険料算出部114は、算出された割引率/割増率を用いて保険料を算出する。
【0040】
ステップS19において、算出結果出力部115は、算出された信頼率、及び保険料を含む算出結果を、算出条件を指定したユーザに出力する。
【0041】
以上により、第1実施形態に係る信頼性算出装置1は、ユーザ端末を介したユーザの入力に基づいて信頼率の算出対象となる工作機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを含む算出条件を指定する。信頼性算出装置1は、算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)における信頼性指標毎の信頼性指標値を信頼性情報保持部121から取得し、信頼性指標毎に最大の信頼性指標値を抽出する。信頼性算出装置1は、抽出した信頼性指標値に基づいて信頼率を算出する。
これにより、信頼性算出装置1は、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味した産業機械全体の信頼性を算出することができる。すなわち、信頼性算出装置1は、産業機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能がどの程度信頼性の各指標に寄与するか定義し、産業機械の総合的な信頼性を算出できるようになる。そして、信頼性算出装置1は、個々の要素に対してどのような機能を適用すれば、産業機械全体の信頼性が上がるかを可視化することができるようになり、保険料の算出等、様々な用途に利用することが可能になる。
以上、第1実施形態について説明した。
【0042】
次に、第2実施形態について説明する。上述したように、信頼率及び保険料の処理において、第1実施形態では信頼性算出装置1がユーザからの入力に基づいて指定した算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)における信頼性指標毎の信頼性指標値に基づいて信頼率及び保険料を算出し、算出結果をユーザに出力する。これに対して、第2実施形態では保険料算出装置2は信頼性を算出するためのユーザからの入力を信頼性算出装置1aに転送して、信頼性算出装置1aにユーザからの入力に基づいて指定された算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)における信頼性指標毎の信頼性指標値に基づいて信頼率を算出させ、信頼性算出装置1aにより算出された信頼性に基づいて産業機械に対する保険料を算出する点で、第1実施形態と相違する。
これにより、信頼性算出装置1aは、産業機械に関わる各種要素に対して、それに関連する各種機能を加味した産業機械全体の信頼性を算出することができる。
以下、第2実施形態について説明する。
【0043】
図8は、第2実施形態に係る信頼性算出システム100Aの構成の一例を示す図である。なお、図1の信頼性算出システム100の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図8に示すように、信頼性算出システム100Aは、信頼性算出装置1a、保険料算出装置2、複数のユーザ端末、及び複数の工作機械を有する。
複数のユーザ端末、及び複数の工作機械は、第1実施形態に係る複数のユーザ端末、及び複数の工作機械と同等の機能を有する。
第2実施形態では、保険料算出装置2は、ユーザがユーザ端末を介して所望の工作機械に対する信頼性を算出するための入力をすると、当該ユーザの入力を信頼性算出装置1aに出力する。信頼性算出装置1aは、当該ユーザの入力に基づいて算出条件を指定し、指定された算出条件に基づいて信頼性を算出する。保険料算出装置2は、信頼性算出装置1aにより算出された信頼性に基づいてユーザが所望する工作機械に対する保険料を算出し、信頼性及び保険料を含む算出結果をユーザに対して提示する。
【0044】
<信頼性算出装置1a>
図9は、第2実施形態に係る信頼性算出装置1aの機能的構成例を示す機能ブロック図である。なお、図2の信頼性算出装置1の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
信頼性算出装置1aは、第1実施形態に係る信頼性算出装置1と同様に、制御部11a、及び記憶部12を有する。また、制御部11aは、算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、及び算出結果出力部115を有する。
【0045】
記憶部12は、第1実施形態に係る記憶部12と同等の機能を有する。
また、算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、及び算出結果出力部115は、第1実施形態に係る算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、及び算出結果出力部115と同等の機能を有する。
【0046】
<保険料算出装置2>
図10は、第2実施形態に係る保険料算出装置2の機能的構成例を示す機能ブロック図である。なお、図2の信頼性算出装置1の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
保険料算出装置2は、当業者にとって公知のコンピュータ装置であり、図10に示すように、制御部21を有する。また、制御部21は、通信部211、及び保険料算出部114を有する。また、保険料算出部114は、割引率算出部141、及び割増率算出部142を有する。
【0047】
<制御部21>
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM、RAM(Random Access Memory)、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは保険料算出装置2を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って保険料算出装置2全体を制御する。これにより、図10に示すように、制御部21が、通信部211、及び保険料算出部114の機能を実現するように構成される。
【0048】
通信部211は、例えば、ネットワークを介して、信頼性算出装置1a、及び複数のユーザ端末との間で通信を行う。
【0049】
なお、保険料算出部114、割引率算出部141、及び割増率算出部142は、第1実施形態に係る保険料算出部114、割引率算出部141、及び割増率算出部142と同等の機能を有する。
【0050】
<信頼性算出システム100Aの算出処理>
次に、第2実施形態に係る信頼性算出システム100Aの算出処理に係る動作について説明する。
図11は、信頼性算出システム100の算出処理について説明するフローチャートである。ここで示すフローは、ユーザ端末を介してユーザからの入力を受け付ける毎に実行される。
【0051】
ステップS31において、保険料算出装置2の通信部211は、ユーザ端末を介して信頼率の算出対象として工作機械を選択するためのユーザの入力を受け付ける。
【0052】
ステップS32において、通信部211は、ステップS31で受け付けたユーザの入力を信頼性算出装置1aに転送する。
【0053】
ステップS21において、信頼性算出装置1aの算出条件指定部111は、ユーザの入力を保険料算出装置2から受信する。
【0054】
ステップS22において、算出条件指定部111は、ステップS21で受信したユーザの入力に基づいて信頼率の算出対象となる工作機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを含む算出条件を指定する。
【0055】
ステップS23において、信頼率算出部113は、ステップS22で指定された算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)における信頼性指標毎の信頼性指標値を信頼性情報保持部121から取得する。
【0056】
ステップS24において、信頼率算出部113は、信頼性指標毎に最大の信頼性指標値を抽出する。
【0057】
ステップS25において、信頼率算出部113は、ステップS24で抽出した信頼性指標値に基づいて信頼率を算出する。
【0058】
ステップS26において、算出結果出力部115は、ステップS25で算出した信頼率を保険料算出装置2に送信する。
【0059】
ステップS33において、保険料算出装置2の通信部211は、信頼性算出装置1aから信頼率を受信する。
【0060】
ステップS34において、保険料算出部114は、ステップS33で受信された信頼率がプラス値か否かを判定する。信頼率がプラス値の場合、処理はステップS35に進む。一方、信頼率がマイナス値の場合、処理はステップS36に進む。
【0061】
ステップS35において、割引率算出部141は、信頼率に基づいて割引率を算出する。
【0062】
ステップS36において、割増率算出部142は、信頼率に基づいて割増率を算出する。
【0063】
ステップS37において、保険料算出部114は、算出された割引率/割増率を用いて保険料を算出する。
【0064】
ステップS38において、算出結果出力部115は、算出された信頼率、及び保険料を含む算出結果を、算出条件を指定したユーザに出力する。
【0065】
以上により、第2実施形態に係る保険料算出装置2は、ユーザ端末を介して信頼率の算出対象として工作機械を選択するためのユーザの入力を受け付けると、受け付けたユーザの入力を信頼性算出装置1aに転送する。信頼性算出装置1は、受信したユーザの入力に基づいて信頼率の算出対象となる工作機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを含む算出条件を指定し、算出条件で選択された工作機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能(オプション)における信頼性指標毎の信頼性指標値を信頼性情報保持部121から取得する。信頼性算出装置1aは、信頼性指標毎に最大の信頼性指標を抽出し、抽出した信頼性指標に基づいて信頼率を算出する。信頼性算出装置1aは、算出した信頼率を保険料算出装置2に送信する。
これにより、信頼性算出装置1aは、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味した産業機械全体の信頼性を算出することができる。すなわち、信頼性算出装置1aは、産業機械に関わる各種要素に対して、それに関連する機能がどの程度信頼性の各指標に寄与するか定義し、産業機械の総合的な信頼性を算出できるようになる。そして、信頼性算出装置1aは、個々の要素に対してどのような機能を適用すれば、産業機械全体の信頼性が上がるかを可視化することができるようになり、保険料の算出等、様々な用途に利用することが可能になる。
以上、第2実施形態について説明した。
【0066】
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、信頼性算出装置1、1aは、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0067】
<変形例1>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、工作機械に関わる各種要素が有する2以上の機能(オプション)を併用した場合の相互作用による信頼性指標値の算出に際して、例えば、信頼率算出部113において、所定の算出式(例えば最大値、平均値等)により、算出するケースを例示した。
このように算出式により2以上の機能を併用した場合の相互作用による信頼性指標を算出式により算出するケースに換えて、2以上の機能を併用した場合の相互作用による信頼性指標を全て予め任意の値に設定し、保持する相関情報保持部122(図示せず)を定義しておいてもよい。そうすることで、例えば、信頼率算出部113は信頼率の算出において、信頼性情報保持部121及び相関情報保持部122に保持される信頼性指標に基づいて信頼率を算出することができる。
【0068】
<変形例2>
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、信頼性算出装置1、1aは、コンピュータ装置として例示したが、これに限定されない。例えば、信頼性算出装置1の算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、保険料算出部114、及び算出結果出力部115の一部又は全部を、例えば、サーバが備えるようにしてもよい。あるいは、信頼性算出装置1aの算出条件指定部111、信頼性情報定義部112、信頼率算出部113、及び算出結果出力部115の一部又は全部を、例えば、サーバが備えるようにしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、信頼性算出装置1、1aの各機能を実現してもよい。
さらに、信頼性算出装置1、1aは、信頼性算出装置1、1aの各機能を適宜複数のサーバに分散される、分散処理システムとしてもよい。
【0069】
なお、第1実施形態における信頼性算出装置1と、第2実施形態における信頼性算出装置1a及び保険料算出装置2と、に含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0070】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0071】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0072】
以上を換言すると、本開示の信頼性算出装置、及び保険料算出装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0073】
(1)本開示の信頼性算出装置1、1aは、産業機械の信頼性を算出する信頼性算出装置であって、産業機械に関わる各種要素と、各種要素に関連する各種機能との少なくとも1つを信頼率の算出条件に指定する算出条件指定部111と、各種要素に対して各種機能がどの程度信頼性に寄与するか、を示す信頼性指標を保持する信頼性情報保持部121と、算出条件指定部111で指定された算出条件と信頼性情報保持部121で保持される信頼性指標とに基づいて産業機械の信頼率を算出する信頼率算出部113と、を備える。
この信頼性算出装置1、1aによれば、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とを加味した産業機械全体の信頼性を算出することができる。
【0074】
(2) (1)に記載の信頼性算出装置1、1aにおいて、信頼性指標を定義する信頼性情報定義部112を備え、信頼性情報定義部112は、信頼性情報保持部121に保持される信頼性指標を少なくとも追加/変更してもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1、1aは、保持する信頼性指標を常に最新の状態にすることができる。
【0075】
(3) (2)に記載の信頼性算出装置1、1aにおいて、信頼性情報定義部112は、産業機械の稼働情報と搭載機能情報とを産業機械から取得し、信頼性情報保持部121に保持される信頼性指標を逐次更新してもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1、1aは、保持する信頼性指標を常に最新の状態にすることができる。
【0076】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の信頼性算出装置1、1aにおいて、信頼率算出部113は、複数の機能を併用した場合の相互作用を加味して信頼率を算出してもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1、1aは、より精度良く信頼率を算出することができる。
【0077】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の信頼性算出装置1、1aにおいて、算出条件は、産業機械の加工対象物を含んでもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1、1aは、様々な産業機械の信頼性を算出することができる。
【0078】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の信頼性算出装置1において、算出された信頼率に基づいて産業機械に対する保険料を算出する保険料算出部114を備えてもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1は、産業機械に対する保険料を算出することができる。
【0079】
(7) (6)に記載の信頼性算出装置1において、保険料算出部114は、信頼率に基づいて保険料の割引率を算出する割引率算出部141をさらに備えてもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1は、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とに応じた保険料を算出することができる。
【0080】
(8) (6)又は(7)に記載の信頼性算出装置1において、保険料算出部114は、信頼率に基づいて保険料の割増率を算出する割増率算出部142をさらに備えてもよい。
そうすることで、信頼性算出装置1は、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とに応じた保険料を算出することができる。
【0081】
(9)本開示の保険料算出装置2は、(1)から(5)のいずれかに記載の信頼性算出装置1aと通信する通信部211と、信頼性算出装置1aにより算出された信頼率に基づいて産業機械に対する保険料を算出する保険料算出部114と、を備える。
この保険料算出装置2によれば、産業機械に関わる各種要素と、それに関連する各種機能とに応じた保険料を算出することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1a 信頼性算出装置
11、11a 制御部
111 算出条件指定部
112 信頼性情報定義部
113 信頼率算出部
114 保険料算出部
141 割引率算出部
142 割増率算出部
115 算出結果出力部
12 記憶部
121 信頼性情報保持部
2 保険料算出装置
100、100A 信頼性算出システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11