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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113736
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】光検出素子および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20220728BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20220728BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220728BHJP
   H04N 5/359 20110101ALI20220728BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 D
H01L21/76 L
H04N5/369
H04N5/359
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090083
(22)【出願日】2022-06-02
(62)【分割の表示】P 2020200928の分割
【原出願日】2017-01-13
(31)【優先権主張番号】P 2016013613
(32)【優先日】2016-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】正垣 敦
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕介
(57)【要約】
【課題】隣接する画素の間の電荷の漏れ込みを防止することができるようにする。
【解決手段】複数の画素は、画素ごとに異なるオンチップレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う。画素分離壁は、隣接する画素の間に形成され、表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される。配線層は、表面に設けられる。本開示は、例えば、裏面照射型CMOSイメージセンサ等に適用することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の前記画素と、
隣接する前記画素の間に形成された画素分離壁と、
表面に設けられた配線層と
を備え、
前記画素分離壁は、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成され、
前記複数の画素のうちの少なくとも一部は、前記画素ごとに、同一の前記レンズを介して前記裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、
隣接する前記分割画素の間の一部には、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成され、
隣接する前記分割画素の間の端部には、不純物領域が形成されるように構成された
光検出素子。
【請求項2】
少なくとも一部の前記画素分離壁の前記表面トレンチと前記裏面トレンチは接触し、少なくとも一部の前記分割画素分離壁の前記表面トレンチと前記裏面トレンチは接触する
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項3】
前記不純物領域は、
前記隣接する分割画素の一方の光電変換素子に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、前記隣接する分割画素の他方の光電変換素子に電荷を容易に漏れ込ませることができる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項4】
少なくとも一部の前記画素分離壁の前記表面トレンチと前記裏面トレンチは接触する
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項5】
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの前記裏面に垂直な方向の長さは、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項6】
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの少なくとも一方の材質は、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項7】
所定の方向に隣接する、フローティングディフュージョンを共有しない前記画素の間の前記画素分離壁は、ウェル電極を挟む2つの前記表面トレンチと前記裏面トレンチとにより構成され、その裏面トレンチの前記裏面上の位置は、前記ウェル電極に対応する位置である
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項8】
所定の方向に隣接する、フローティングディフュージョンを共有しない前記画素の間の前記画素分離壁は、電源電極を挟む2つの前記表面トレンチと前記裏面トレンチとにより構成され、その裏面トレンチの前記裏面上の位置は、前記電源電極に対応する位置である
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項9】
フローティングディフュージョンを共有する前記画素の間の前記画素分離壁は、その画素の間の前記表面の領域のうちの、前記フローティングディフュージョンが形成されていない領域に形成された前記表面トレンチと、その画素の間の前記裏面の全領域に形成された前記裏面トレンチとにより構成され、その表面トレンチと裏面トレンチは接触する
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項10】
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの前記裏面に垂直な方向の長さは、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁または前記分割画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項11】
前記画素分離壁の裏面トレンチと前記分割画素分離壁の裏面トレンチの前記裏面に垂直な方向の長さは異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項12】
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの少なくとも一方の材質は、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁または前記分割画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項13】
前記画素分離壁と前記分割画素分離壁の裏面トレンチの材質は異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項14】
前記分割画素分離壁の前記表面トレンチは、隣接する前記分割画素の間の前記表面の領域のうちの一部の領域にのみ形成され、前記裏面トレンチは、その隣接する分割画素の間の前記裏面の全領域に形成され、
前記分割画素分離壁の前記裏面トレンチと前記表面トレンチは接触し、
隣接する前記分割画素の間の前記表面の領域のうちの前記表面トレンチが形成されていない領域には、フローティングディフュージョンが形成される
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項15】
前記分割画素分離壁の前記表面トレンチは、隣接する前記分割画素の間の前記表面の領域のうちのフローティングディフュージョンが形成されていない領域に形成され、前記裏面トレンチは、その隣接する分割画素の間の前記裏面の全領域に形成され、
前記分割画素分離壁の前記表面トレンチの一部と前記裏面トレンチは接触し、
前記分割画素分離壁の前記表面トレンチの端部の前記裏面に垂直な方向の長さは、前記表面トレンチの一部に比べて短い
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項16】
所定の方向に隣接する前記画素の間の前記画素分離壁は、電源電極を挟む2つの前記表面トレンチと、その表面トレンチとそれぞれ接触する2つの前記裏面トレンチとにより構成される
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項17】
所定の方向に隣接する前記画素の間の前記画素分離壁の前記表面トレンチとの間に電源電極を挟むように形成される表面トレンチである電極用トレンチと、
前記電極用トレンチに最も近い前記分割画素分離壁に対して、前記電極用トレンチと対称になる位置に形成されたダミーの表面トレンチであるダミートレンチと
をさらに備え、
前記画素分離壁は、前記表面トレンチと前記裏面トレンチが接触することにより形成される
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項18】
前記分割画素分離壁が形成される前記画素における前記分割画素分離壁の位置は、その画素の位置に応じて異なる
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項19】
前記分割画素分離壁が形成される前記画素における前記分割画素分離壁の前記裏面トレンチの位置は、その画素の位置に応じて異なり、
前記分割画素分離壁が形成される前記画素における前記分割画素分離壁の前記表面トレンチの位置は、その画素の位置によらず同一であり、
前記分割画素の前記光電変換素子の前記表面側のサイズは、前記裏面側のサイズに比べて大きい
ように構成された
請求項17に記載の光検出素子。
【請求項20】
所定の方向に隣接する前記画素の間の前記画素分離壁の前記表面トレンチとの間に電源電極を挟むように形成される表面トレンチである電極用トレンチ
をさらに備え、
隣接する前記画素のうちの一方の画素が、自分と他方の画素の前記電極用トレンチを有し、
前記画素分離壁は、前記表面トレンチと前記裏面トレンチが接触することにより形成される
ように構成された
請求項1に記載の光検出素子。
【請求項21】
画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の前記画素と、
隣接する前記画素の間に形成された画素分離壁と、
表面に設けられた配線層と
を備え、
前記画素分離壁は、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成され、
前記複数の画素のうちの少なくとも一部は、前記画素ごとに、同一の前記レンズを介して前記裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、
隣接する前記分割画素の間の一部には、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成され、
隣接する前記分割画素の間の端部には、不純物領域が形成される
ように構成された
光検出素子を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光検出素子および電子機器に関し、特に、隣接する画素の間の電荷の漏れ込みを防止することができるようにした光検出素子および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像機能を備えた電子機器においては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子が使用されている。固体撮像素子は、光電変換を行うフォトダイオード(光電変換素子)とトランジスタとが組み合わされた画素を有しており、平面的に配置された複数の画素から出力される画素信号に基づいて画像が構築される。
【0003】
例えば、固体撮像素子では、フォトダイオード(PD)に蓄積された電荷が、PDと増幅トランジスタのゲート電極との接続部に設けられる所定の容量を有するFD(フローティングディフュージョン)部に転送される。そして、FD部に蓄積された電荷の量に応じた画素信号が画素から読み出され、コンパレータを有するAD(Analog Digital)変換回路によってAD変換されて出力される。
【0004】
また、近年、CMOSイメージセンサの画素の一部を使用して位相を検出し、AF(オートフォーカス)速度を向上させる技術、いわゆる像面位相差AFが普及している。像面位相差AFの方式としては、PD分割方式などがある(例えば、特許文献1参照)。PD分割方式では、画素が有するPDが複数に分割され、分割された各PDにより得られる画素信号に基づいて位相情報が生成され、その位相情報に基づいて測距が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-292685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画素に強い光が入射された場合、その画素のPDに蓄積されている電荷が飽和してあふれ出し、隣接画素に漏れ込む、混色と呼ばれる現象が発生することがある。漏れ込み混色が発生すると、隣接画素から読み出される画素信号に対応する電荷量は、本来の電荷量より多くなるため、撮像特性の劣化を招く。
【0007】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、隣接する画素の間の電荷の漏れ込みを防止することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の側面の光検出素子は、画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の前記画素と、隣接する前記画素の間に形成された画素分離壁と、表面に設けられた配線層とを備え、前記画素分離壁は、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成され、前記複数の画素のうちの少なくとも一部は、前記画素ごとに、同一の前記レンズを介して前記裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、隣接する前記分割画素の間の一部には、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成され、隣接する前記分割画素の間の端部には、不純物領域が形成されるように構成された光検出素子である。
【0009】
本開示の第1の側面においては、画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の画素と、隣接する画素の間に形成された画素分離壁と、表面に設けられた配線層とが備えられ、画素分離壁は、表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成され、複数の画素のうちの少なくとも一部は、画素ごとに、同一のレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、隣接する分割画素の間の一部には、表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成され、隣接する分割画素の間の端部には、不純物領域が形成されるように構成されている。
【0010】
本開示の第2の側面の電子機器は、画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の前記画素と、隣接する前記画素の間に形成された画素分離壁と、表面に設けられた配線層とを備え、前記画素分離壁は、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成され、前記複数の画素のうちの少なくとも一部は、前記画素ごとに、同一の前記レンズを介して前記裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、隣接する前記分割画素の間の一部には、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成され、隣接する前記分割画素の間の端部には、不純物領域が形成されるように構成された光検出素子を有する電子機器である。
【0011】
本開示の第2の側面においては、画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の画素と、隣接する画素の間に形成された画素分離壁と、表面に設けられた配線層とが備えられ、画素分離壁は、表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成され、複数の画素のうちの少なくとも一部は、画素ごとに、同一のレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、隣接する分割画素の間の一部には、表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成され、隣接する分割画素の間の端部には、不純物領域が形成されるように構成されている光検出素子が備えられる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の第1および第2の側面によれば、画像を撮像することができる。また、本開示の第1および第2の側面によれば、隣接する画素の間の電荷の漏れ込みを防止することができる。
【0013】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示を適用した固体撮像素子としてのCMOSイメージセンサの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図2図1の画素領域に配置される画素群の回路構成例を示す図である。
図3図2の画素群の第1の構造例をCMOSイメージセンサの表面側から見た図である。
図4図4は、図3のA-A´断面図、B-B´断面図、およびC-C´断面図である。
図5図2のPDに蓄積された電荷がオーバーフローしたときの電荷の流れを説明する図である。
図6図2の画素群の第2の構造例を示す図である。
図7】本開示を適用した固体撮像素子としてのCMOSイメージセンサの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図8図7の画素領域に配置される位相差検出画素の回路構成例を示す図である。
図9図8の位相差検出画素の構造例をCMOSイメージセンサの表面側から見た図である。
図10図9のA-A´断面図、B-B´断面図、およびC-C´断面図である。
図11図11は、図9のD-D´断面図、およびE-E´断面図である。
図12図7のCMOSイメージセンサの動作を説明する図である。
図13図7のCMOSイメージセンサの動作を説明する図である。
図14図7のCMOSイメージセンサの動作を説明する図である。
図15】本開示を適用したCMOSイメージセンサの第3実施の形態の位相差検出画素の回路構成例を示す図である。
図16】位相差検出画素270の第1の構造例をCMOSイメージセンサの表面側から見た図である。
図17図16のA-A´断面図およびB-B´断面図である。
図18図18は、図16のC-C´断面図およびD-D´断面図である。
図19】CMOSイメージセンサの第3実施の形態の動作を説明する図である。
図20】CMOSイメージセンサの第3実施の形態の動作を説明する図である。
図21】CMOSイメージセンサの第3実施の形態の動作を説明する図である。
図22】CMOSイメージセンサの第3実施の形態の動作を説明する図である。
図23図15の位相差検出画素の第2の構造例の図16のB-B´断面図およびC-C´断面図である。
図24図15の位相差検出画素の第3の構造例の図16のE-E´断面図である。
図25】CMOSイメージセンサの第3実施の形態の画角の端部の位相差検出画素の第4の構造例の図16のE-E´断面図である。
図26図25の位相差検出画素のPDの製造方法を説明する図である。
図27】本開示を適用したCMOSイメージセンサの第3実施の形態の画角の端部の位相差検出画素の第5の構造例の図16のE-E´断面図である。
図28図27の位相差検出画素のPDの製造方法を説明する図である。
図29図27の位相差検出画素のPDの製造方法を説明する図である。
図30図15の位相差検出画素の第6の構造例を示す図である。
図31図15の位相差検出画素の第6の構造例を示す図である。
図32図15の位相差検出画素の第7の構造例を示す図である。
図33図15の位相差検出画素の第7の構造例を示す図である。
図34図15の位相差検出画素の第8の構造例を示す図である。
図35図15の位相差検出画素の第8の構造例を示す図である。
図36図15の位相差検出画素の第9の構造例を示す図である。
図37】位相差検出画素の他の構造例を示す図である。
図38図37の裏面トレンチの製造方法を説明する図である。
図39図37の裏面トレンチの他の構造例を示す図である。
図40】画素領域の他の構成例のCMOSイメージセンサの表面側から見た図である。
図41】本開示を適用した電子機器としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図42】上述のCMOSイメージセンサを使用する使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1実施の形態:CMOSイメージセンサ(図1乃至図6
2.第2実施の形態:CMOSイメージセンサ(図7乃至図14
3.第3実施の形態:CMOSイメージセンサ(図15乃至図40
4.第4実施の形態:撮像装置(図41
5.CMOSイメージセンサの使用例(図42
【0016】
<第1実施の形態>
(CMOSイメージセンサの第1実施の形態の構成例)
図1は、本開示を適用した固体撮像素子としてのCMOSイメージセンサの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0017】
CMOSイメージセンサ50は、画素領域51、画素駆動線52、垂直信号線53、垂直駆動部54、カラム処理部55、水平駆動部56、システム制御部57、信号処理部58、およびメモリ部59が、図示せぬシリコン基板等の半導体基板(チップ)に形成されたものである。CMOSイメージセンサ50は、光の照射面が、配線層が設けられる表面に対向する裏面である裏面照射型CMOSイメージセンサである。
【0018】
CMOSイメージセンサ50の画素領域51には、裏面から入射された光に対して光電変換を行い、電荷を蓄積するPDを有する複数の画素が、アレイ状に2次元配置され、撮像を行う。画素領域51の各画素のカラーフィルタの配列はベイヤ配列である。また、画素領域51には、画素に対して2行ごとに画素駆動線52が形成され、2列ごとに垂直信号線53が形成される。
【0019】
垂直駆動部54は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素領域51の各画素のPDに蓄積された電荷に対応する画素信号が、奇数列、偶数列の順に行単位で上から順に読み出されるように、画素駆動線52に駆動信号を供給する。
【0020】
カラム処理部55は、画素領域51の画素の2列ごとに信号処理回路を有する。カラム処理部55の各信号処理回路は、画素から読み出され、垂直信号線53を通して供給される画素信号に対して、A/D変換処理、CDS(Correlated Double Sampling)(相関二重サンプリング)処理等の信号処理を行う。カラム処理部55は、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0021】
水平駆動部56は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部55の信号処理回路を順番に選択する。これにより、カラム処理部55の各信号処理回路で信号処理された画素信号が順番に信号処理部58に出力される。
【0022】
システム制御部57は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等によって構成され、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動部54、カラム処理部55、および水平駆動部56を制御する。
【0023】
信号処理部58は、カラム処理部55から出力される画素信号に対して種々の信号処理を行う。このとき、信号処理部58は、必要に応じて、信号処理の途中結果などをメモリ部59に格納し、必要なタイミングで参照する。信号処理部58は、信号処理後の画素信号を出力する。
【0024】
メモリ部59は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などにより構成される。
【0025】
(画素群の回路構成例)
図2は、図1の画素領域51に配置される画素のうちの2(横)×2(縦)の画素からなる画素群の回路構成例を示す図である。
【0026】
図1の画素領域51には、図2の画素群70がアレイ状に配置される。画素群70は、2×2個の画素71-1乃至71-4、FD72、リセットトランジスタ73、増幅トランジスタ74、選択トランジスタ75、電源電極76、およびウェル電極77を有する。
【0027】
画素71-1乃至71-4は、それぞれ、PDと転送トランジスタにより構成される。具体的には、画素71-1は、PD91-1と転送トランジスタ92-1により構成され、画素71-2は、PD91-2と転送トランジスタ92-2により構成される。また、画素71-3は、PD91-3と転送トランジスタ92-3により構成され、画素71-4は、PD91-4と転送トランジスタ92-4により構成される。
【0028】
なお、以下では、画素71-1乃至71-4を特に区別する必要がない場合、それらをまとめて画素71という。同様に、PD91-1乃至91-4をまとめてPD91といい、転送トランジスタ92-1乃至92-4をまとめて転送トランジスタ92という。
【0029】
画素71のPD91は、CMOSイメージセンサ50の裏面から入射された光の受光量に応じた電荷を生成し、蓄積する。PD91のアノード端子は、電位がVSS(例えばGND)であるウェル電極77に接続され、カソード端子は、転送トランジスタ92を介してFD72に接続されている。
【0030】
転送トランジスタ92-1のゲート電極92-1Aには、画素群70を構成する画素71の2行に対応する画素駆動線52のうちの、画素71-1(71-2)の行の奇数列の画素71に対して形成される線TG1が接続される。また、転送トランジスタ92-2のゲート電極92-2Aには、画素群70を構成する画素71の2行に対応する画素駆動線52のうちの、画素71-1(71-2)の行の偶数列の画素71に対して形成される線TG2が接続される。
【0031】
さらに、転送トランジスタ92-3のゲート電極92-3Aには、画素群70を構成する画素71の2行に対応する画素駆動線52のうちの、画素71-3(71-4)の行の奇数列の画素71に対して形成される線TG3が接続される。また、転送トランジスタ92-4のゲート電極92-4Aには、画素群70を構成する画素71の2行に対応する画素駆動線52のうちの、画素71-3(71-4)の行の偶数列の画素71に対して形成される線TG3が接続される。なお、以下では、ゲート電極92-1A乃至92-4Aを特に区別する必要がない場合、それらをまとめてゲート電極92Aという。
【0032】
線TG1乃至TG4には、図1の垂直駆動部54から駆動信号として転送信号が供給される。垂直駆動部54は、画素信号の読み出し対象の画素71の行、および、奇数列または偶数列に応じて、線TG1乃至TG4の転送信号を順にオンにする。転送トランジスタ92は、ゲート電極92Aに入力される転送信号がオンにされた場合、PD91に蓄積された電荷をFD72に転送する。
【0033】
FD72は、PD91から読み出された電荷を保持する。FD72は、リセットトランジスタ73を介して、電位がVDDである電源電極76と接続されている。
【0034】
リセットトランジスタ73のゲート電極73Aには、画素群70を構成する画素71の2行に対応する画素駆動線52のうちの、その2行の画素71に対して形成される線RST1が接続される。線RST1には、垂直駆動部54から駆動信号としてリセット信号が供給される。垂直駆動部54は、新たに転送信号をオンにする前にリセット信号をオンにする。
【0035】
リセットトランジスタ73は、ゲート電極73Aに入力されるリセット信号がオンにされた場合、FD72に転送された電荷を電源電極76に排出し、FD72の電位をリセットする。
【0036】
電源電極76と垂直信号線53の間には、増幅トランジスタ74と選択トランジスタ75が直列に接続される。増幅トランジスタ74のゲート電極74Aは、FD72に接続され、増幅トランジスタ74は、電源電極76を用いてFD72の電位に応じた画素信号を選択トランジスタ75に出力する。
【0037】
選択トランジスタ75のゲート電極75Aは、画素群70を構成する画素71の2行に対応する画素駆動線52のうちの、その2行の画素71に対して形成される線SEL1が接続される。線SEL1には、垂直駆動部54から駆動信号として選択信号が供給される。垂直駆動部54は、転送信号をオンにした後リセット信号をオンにする前に、選択信号をオンにする。
【0038】
選択トランジスタ75は、ゲート電極75Aに入力される選択信号がオンにされた場合、増幅トランジスタ74から入力される画素信号を、垂直信号線53を介して図1のカラム処理部17に供給する。
【0039】
以上のように、CMOSイメージセンサ50では、画素群70を構成する2×2の画素71の間で、1つのFD72が共有されており、画素71のPD91に蓄積された電荷が、奇数列、偶数列の順に、行単位で、上から順にFD72に転送される。
【0040】
(画素群の第1の構造例)
図3は、図2の画素群70の第1の構造例をCMOSイメージセンサ50の表面側から見た図であり、図4は、図3のA-A´断面図、B-B´断面図、およびC-C´断面図である。
【0041】
図3に示すように、PD91-1が形成されるウェルであるP型不純物101-1は、PD91-2が形成されるP型不純物101-2と水平方向(図3中左右方向)に並ぶように、かつ、PD91-3が形成されるP型不純物101-2と垂直方向(図3中上下方向)に並ぶように配置される。また、PD91-4が形成されるP型不純物101-4は、P型不純物101-3と水平方向に並ぶように、かつ、P型不純物101-2と垂直方向に並ぶように配置される。なお、以下では、P型不純物101-1乃至101-4を特に区別する必要がない場合、それらをまとめてP型不純物101という。
【0042】
同一の画素群70内の隣接するP型不純物101の間には、図4に示すように、画素分離壁111が形成される。画素分離壁111は、CMOSイメージセンサ50の表面に形成されたトレンチである表面トレンチ111Aと、裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチ111Bとが接触することにより形成される。但し、CMOSイメージセンサ50の表面の同一の画素群70内の隣接するP型不純物101の間の領域のうちの、FD72が形成されるP型不純物101-1乃至101-4の中央の領域には、表面トレンチ111Aは形成されない。
【0043】
即ち、画素分離壁111は、同一の画素群70内の隣接するP型不純物101の間の表面の領域のうちの、FD72が形成されていない領域に形成された表面トレンチ111Aと、そのP型不純物101の間の裏面の全領域に形成された裏面トレンチ111Bとが接触することにより形成される。
【0044】
また、画素群70をまたいで垂直方向に隣接するP型不純物101の間には画素分離壁112が形成され、水平方向に隣接するP型不純物101の間には画素分離壁113が形成される。
【0045】
画素分離壁112は、N型不純物114乃至117およびP型不純物118を挟む2つの表面トレンチ112Aと、裏面トレンチ112Bとにより構成される。裏面トレンチ112Bは、2つの表面トレンチ112Aとは異なる、N型不純物114乃至117およびP型不純物118に対応する位置に形成される。
【0046】
N型不純物114は、FD72と接続し、リセットトランジスタ73のソースを構成する。N型不純物115は、電源電極76と接続し、リセットトランジスタ73および増幅トランジスタ74のドレインを構成する。N型不純物116は、増幅トランジスタ74のソースと選択トランジスタ75のドレインを構成する。N型不純物117は、垂直信号線53と接続し、選択トランジスタ75のソースを構成する。P型不純物118は、ウェル電極77と接続するウェルである。
【0047】
ゲート電極92A、ゲート電極73A、およびゲート電極75Aには、CMOSイメージセンサ50の表面に形成された配線層119に設けられた画素駆動線52に接続される。ゲート電極74Aには、FD72が接続される。
【0048】
また、各P型不純物101の裏面側には、それぞれ、対応する画素71の赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のカラーフィルタ121が形成され、各カラーフィルタ121の外側には、それぞれオンチップレンズ122が形成される。PD91は、オンチップレンズ122とカラーフィルタ121を介してCMOSイメージセンサ50の裏面から入射された光に対して、光電変換を行う。
【0049】
以上のように、画素分離壁111では、FD72以外の領域において表面トレンチ111Aと裏面トレンチ111Bが接触するので、FD72以外の領域では、同一の画素群70内の各PD91は電気的に完全に遮断される。また、画素分離壁113では、表面トレンチ113Aと裏面トレンチ113Bが接触しているので、画素群70をまたいで隣接するPD91も電気的に完全に遮断される。
【0050】
一方、画素分離壁112では、表面トレンチ112Aと裏面トレンチ112Bの位置が異なり、表面トレンチ112Aと裏面トレンチ112Bは接触しない。従って、PD91とN型不純物114乃至117およびP型不純物118とは電気的に完全に遮断されていない。
【0051】
なお、表面トレンチ111A(112A,113A)と裏面トレンチ111B(112B,113B)の、裏面に垂直な深さ方向の長さは、画素分離壁111(112,113)の位置に応じて異なるようにしてもよい。また、表面トレンチ111A(112A,113A)と裏面トレンチ111B(112B,113B)の少なくとも一方の材質は、画素分離壁111(112,113)の位置に応じて異なるようにしてもよい。
【0052】
また、オンチップレンズ122は、画素群70に対して1つ設けられるようにしてもよい。
【0053】
(オーバーフロー時の電荷の流れの説明)
図5は、PD91に蓄積された電荷がオーバーフローしたときの電荷の流れを説明する図である。
【0054】
図5のAは、PD91に蓄積された電荷がオーバーフローしたときの画素群70を表面側から見た図であり、図5のBは、図5のAのC-C´断面図である。
【0055】
上述したように、FD72以外の領域では、各PD91は電気的に完全に遮断されるので、PD91に蓄積された電荷がオーバーフローした場合に、そのPD91から隣接する他のPD91へ電荷が漏れ込むことを防止することができる。
【0056】
一方、画素分離壁111のFD72の領域では、表面トレンチ111Aが形成されていない。従って、PD91に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、オーバーフローした電荷は、図5のBの経路W1で、P型不純物101を介してFD72に漏れ込む。しかしながら、FD72は、PD91からの電荷の転送前にリセットされるので、PD91からFD72への電荷の漏れ込みが撮像特性に与える影響は小さい。
【0057】
また、上述したように、画素分離壁112では、表面トレンチ112Aと裏面トレンチ112Bが接触しないので、PD91とN型不純物114乃至117およびP型不純物118とは電気的に完全に遮断されていない。従って、PD91に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、オーバーフローした電荷を、図5のBの経路W2で、N型不純物115を介して電源電極76にも排出することができる。
【0058】
これにより、PD91からオーバーフローした電荷の電荷量が、FD72に蓄積可能な電荷量よりも多い場合であっても、その電荷を電源電極76に排出することにより、隣接するPD91への電荷の漏れ込みを防止することができる。その結果、隣接するPD91への電荷の漏れ込みによる撮像特性の劣化を防止することができる。
【0059】
これに対して、経路W2がない場合、PD91からオーバーフローした電荷の電荷量が、FD72に蓄積可能な電荷量を超える前に、リセット信号をオンにすることにより、FD72に蓄積された電荷を掃き出す必要がある。従って、垂直駆動部54の処理が複雑になる。
【0060】
なお、経路W1では、電荷の漏れ込みが物理的なバリアなしで行われ、経路W2では、電荷の漏れ込みが表面トレンチ112Aと裏面トレンチ112Bからなる物理的なバリアの隙間を介して行われる。従って、経路W2の漏れ込みに比べて、経路W1の漏れ込みが優先的に行われる。
【0061】
以上のように、CMOSイメージセンサ50では、画素分離壁111(112,113)が、表面トレンチ111A(112A,113A)と裏面トレンチ111B(112B,113B)とにより形成される。
【0062】
従って、画素分離壁113の表面トレンチ113Aと裏面トレンチ113Bを接触させることにより、CMOSイメージセンサ50に対して画素分離壁113を貫通させることができる。CMOSイメージセンサ50の表面または裏面の一方から貫通する貫通トレンチに比べて、表面トレンチ113Aおよび裏面トレンチ113Bの幅に対する深さのアスペクト比は小さい。従って、貫通トレンチにより画素分離壁を形成する場合に比べて、画素分離壁113の形成は容易である。
【0063】
また、一般的な半導体プロセスであるマスクパターン形成により、表面トレンチ111A乃至113Aの有無と位置を制御することで、電荷の意図的な漏れ込みおよび遮断を容易に実現することができる。
【0064】
さらに、表面側にSTI(Shallow Trench Isolation)などの素子分離用のトレンチが形成される一般的なCMOSイメージセンサとの親和性を高めることができる。その結果、例えば、表面側にSTIなどの素子分離用のトレンチが形成されるCMOSイメージセンサに本技術を適用する場合、そのトレンチを表面トレンチ111A乃至113Aの少なくとも1つとして用いることができる。これにより、画素分離壁111乃至113の形成による製造工程数の増加を抑制することができる。
【0065】
(画素群の第2の構造例)
図6は、2×2の画素群70の第2の構造例を示す図である。図6のAは、2×2の画素群70の第2の構造例を、CMOSイメージセンサ50の表面側から見た図であり、図6のBは、裏面側から見た図である。図6のCは、図6のAのD-D´断面図である。なお、以降の図において、特に断りが無い限り、CMOSイメージセンサの裏面側から見た図には、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232は図示しない。
【0066】
図6に示す構成のうち、図3および図4の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0067】
図6の画素群70の構造は、P型不純物118が2×2個の画素群70の交点に位置する点が、図3および図4の構造と異なっている。
【0068】
図6のCに示すように、画素分離壁112の2つの表面トレンチ112Aは、P型不純物118を挟むように形成され、裏面トレンチ112Bは、P型不純物118に対応する位置に形成される。即ち、表面トレンチ112Aと裏面トレンチ112Bは接触しない。従って、1つのP型不純物118を介して、周辺のP型不純物101の電位をウェル電極77の電位に同時に固定することができる。
【0069】
これに対して、画素分離壁112の表面トレンチ112Aと裏面トレンチ112Bが接触している場合、画素71ごとにP型不純物118を形成する必要がある。その結果、PD91、転送トランジスタ92、リセットトランジスタ73、増幅トランジスタ74、選択トランジスタ75等に割り当て可能な領域の面積が小さくなり、撮像特性の劣化を招く。
【0070】
また、図6の例では、図6のAに示すように、P型不純物118が2×2個の画素群70の交点に位置するので、PD91からN型不純物115への経路W2(図5)の電荷の漏れ込みが発生しやすい。
【0071】
<第2実施の形態>
(CMOSイメージセンサの第2実施の形態の構成例)
図7は、本開示を適用した固体撮像素子としてのCMOSイメージセンサの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0072】
図7に示す構成のうち、図1の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0073】
CMOSイメージセンサ180は、画素領域181、画素駆動線182、垂直信号線183、垂直駆動部184、カラム処理部185、水平駆動部56、システム制御部57、信号処理部188、およびメモリ部59が、図示せぬシリコン基板等の半導体基板に形成された裏面照射型CMOSイメージセンサである。
【0074】
CMOSイメージセンサ180の画素領域181には、裏面から入射された光に対して光電変換を行い、電荷を蓄積する2つのPDを有する複数の位相差検出画素が、アレイ状に2次元配置され、撮像を行う。画素領域181の各位相差検出画素のカラーフィルタの配列はベイヤ配列である。また、画素領域181には、位相差検出画素に対して1行ごとに画素駆動線182が形成され、1列ごとに垂直信号線183が形成される。
【0075】
垂直駆動部184は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素領域181の各位相差検出画素の2つのPDに蓄積された電荷に対応する画素信号が順に、行単位で上から順に読み出されるように、画素駆動線182に駆動信号を供給する。
【0076】
カラム処理部185は、画素領域181の位相差検出画素の1列ごとに信号処理回路を有する。カラム処理部185の各信号処理回路は、位相差検出画素から読み出され、垂直信号線183を通して供給される画素信号に対して、A/D変換処理、CDS処理等の信号処理を行う。カラム処理部185は、信号処理後の画素信号を一時的に保持する。
【0077】
信号処理部188は、水平駆動部56の選択によりカラム処理部185から出力される各位相差検出画素の2つのPDの画素信号に基づいて、像面位相差AF等を行う。このとき、信号処理部188は、必要に応じて、処理の途中結果などをメモリ部59に格納し、必要なタイミングで参照する。信号処理部188は、処理結果などを出力する。
【0078】
(位相差検出画素の回路構成例)
図8は、図7の画素領域181に配置される位相差検出画素の回路構成例を示す図である。
【0079】
位相差検出画素190は、分割画素191-1および分割画素191-2、FD192、リセットトランジスタ193、増幅トランジスタ194、選択トランジスタ195、電源電極197、およびウェル電極198を有する。
【0080】
分割画素191-1は、PD201-1と転送トランジスタ202-1により構成され、分割画素191-2は、PD201-2と転送トランジスタ202-2により構成される。
【0081】
なお、以下では、分割画素191-1および分割画素191-2を特に区別する必要がない場合、それらをまとめて分割画素191という。同様に、PD201-1およびPD201-2をまとめてPD201といい、転送トランジスタ202-1および転送トランジスタ202-2をまとめて転送トランジスタ202という。
【0082】
分割画素191のPD201は、CMOSイメージセンサ180の裏面から入射された光の受光量に応じた電荷を生成し、蓄積する。PD201のアノード端子は、電位がVSS(例えばGND)であるウェル電極198に接続され、カソード端子は、転送トランジスタ202を介してFD192に接続されている。
【0083】
転送トランジスタ202-1のゲート電極202-1Aには、位相差検出画素190の行に対応する画素駆動線182のうちの、位相差検出画素190を構成する一方の分割画素191-1に対して形成される線TG11が接続される。また、転送トランジスタ202-2のゲート電極202-2Aには、位相差検出画素190の行に対応する画素駆動線182のうちの、位相差検出画素190を構成する他方の分割画素191-2に対して形成される線TG12が接続される。なお、以下では、ゲート電極202-1Aおよびゲート電極202-2Aを特に区別する必要がない場合、それらをまとめてゲート電極202Aという。
【0084】
線TG11および線TG12には、垂直駆動部184から駆動信号として転送信号が供給される。垂直駆動部184は、画素信号の読み出し対象の位相差検出画素190の行の線TG1および線TG12の転送信号を順にオンにする。転送トランジスタ202は、ゲート電極202Aに入力される転送信号がオンにされた場合、PD201に蓄積された電荷をFD192に転送する。
【0085】
FD192は、PD201から読み出された電荷を保持する。FD192は、リセットトランジスタ193を介して、電位がVDDである電源電極197と接続されている。
【0086】
リセットトランジスタ193のゲート電極193Aには、位相差検出画素190の行に対応する画素駆動線182のうちの、その行の位相差検出画素190に対して形成される線RST2が接続される。線RST2には、垂直駆動部184から駆動信号としてリセット信号が供給される。垂直駆動部184は、新たに転送信号をオンにする前にリセット信号をオンにする。
【0087】
リセットトランジスタ193は、ゲート電極193Aに入力されるリセット信号がオンにされた場合、FD192に転送された電荷を電源電極197に排出し、FD192の電位をリセットする。
【0088】
電源電極197と垂直信号線183の間には、増幅トランジスタ194と選択トランジスタ195が直列に接続される。増幅トランジスタ194のゲート電極194Aは、FD192に接続され、増幅トランジスタ194は、電源電極197を用いてFD192の電位に応じた画素信号を選択トランジスタ195に出力する。
【0089】
選択トランジスタ195のゲート電極195Aは、位相差検出画素190の行に対応する画素駆動線182のうちの、その行の位相差検出画素190に対して形成される線SEL2が接続される。線SEL2には、垂直駆動部184から駆動信号として選択信号が供給される。垂直駆動部184は、転送信号をオンにした後リセット信号をオンにする前に、選択信号をオンにする。
【0090】
選択トランジスタ195は、ゲート電極195Aに入力される選択信号がオンにされた場合、増幅トランジスタ194から出力される画素信号を、垂直信号線183を介してカラム処理部17に供給する。
【0091】
以上のように、CMOSイメージセンサ180では、2(横)×1(縦)個の分割画素191の間で、1つのFD192が共有されている。そして、各分割画素191のPD201に蓄積された電荷が、分割画素191-1、分割画素191-2の順に、位相差検出画素190の行単位で、上から順にFD192に転送される。
【0092】
(位相差検出画素の構造例)
図9は、図8の位相差検出画素190の構造例をCMOSイメージセンサ180の表面側から見た図であり、図10は、図9のA-A´断面図、B-B´断面図、およびC-C´断面図であり、図11は、図9のD-D´断面図、およびE-E´断面図である。
【0093】
図9に示すように、位相差検出画素190のウェルであるP型不純物210は、P型不純物211-1とP型不純物211-2に分割される。図10および図11に示すように、P型不純物211-1にはPD201-1が形成され、P型不純物211-2にはPD201-2が形成される。なお、以下では、P型不純物211-1とP型不純物211-2を特に区別する必要がない場合、それらをまとめてP型不純物211という。
【0094】
図9および図10に示すように、同一の位相差検出画素190内のP型不純物211-1とP型不純物211-2の間には、分割画素分離壁221が形成される。図10に示すように、分割画素分離壁221は、CMOSイメージセンサ180の表面に形成された表面トレンチ221Aと、裏面に形成された裏面トレンチ221Bとが接触することにより形成される。
【0095】
但し、CMOSイメージセンサ180の表面の同一の位相差検出画素190内の隣接するP型不純物211の間の領域のうちの、FD192が形成される領域と、FD192とは反対側の垂直方向の端部には、表面トレンチ221Aは形成されない。即ち、分割画素分離壁221は、同一の位相差検出画素190内の隣接するP型不純物211の間の表面の領域のうちの、FD192の領域およびFD192とは反対側の垂直方向の端部以外に形成された表面トレンチ221Aと、そのP型不純物211の間の裏面の全領域に形成された裏面トレンチ221Bとが接触することにより形成される。
【0096】
また、図10に示すように、分割画素分離壁221のFD192とは反対側の垂直方向の端部の表面側には、ポテンシャルが深い不純物212が形成される。これにより、PD201-1またはPD201-2の一方に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、図10の経路S1で、不純物212を介して他方へ電荷を容易に漏れ込ませることができる。
【0097】
位相差検出画素190をまたいで垂直方向に隣接するP型不純物211の間には画素分離壁222が形成され、水平方向に隣接するP型不純物211の間には画素分離壁223が形成される。
【0098】
画素分離壁222は、N型不純物224乃至228およびP型不純物229を挟む2つの表面トレンチ222Aと、裏面トレンチ222Bとにより構成される。裏面トレンチ222Bは、2つの表面トレンチ222Aとは異なる、N型不純物224乃至228およびP型不純物229に対応する位置に形成される。
【0099】
N型不純物224は、電源電極197と接続し、増幅トランジスタ194のドレインを構成する。N型不純物225は、増幅トランジスタ194のソースと選択トランジスタ195のドレインを構成する。N型不純物226は、垂直信号線183と接続し、選択トランジスタ195のソースを構成する。
【0100】
N型不純物227は、FD192と接続し、リセットトランジスタ193のソースを構成する。N型不純物228は、電源電極197と接続し、リセットトランジスタ193のドレインを構成する。P型不純物229は、ウェル電極198と接続するウェルである。
【0101】
ゲート電極202A、ゲート電極193A、およびゲート電極195Aには、CMOSイメージセンサ180の表面に形成された配線層230に設けられた画素駆動線182が接続される。ゲート電極194Aには、FD192が接続される。
【0102】
また、P型不純物210の裏面側には、対応する位相差検出画素190の赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のカラーフィルタ231が形成され、カラーフィルタ231の外側には、オンチップレンズ232が形成される。
【0103】
PD201-1は、図9中右側の裏面側から入射された光をオンチップレンズ232とカラーフィルタ231を介して受光し、その光に対して光電変換を行う。また、PD201-2は、図9中左側の裏面側から入射された光をオンチップレンズ232とカラーフィルタ231を介して受光し、その光に対して光電変換を行う。
【0104】
その結果、分割画素191-1から読み出される画素信号は、位相差検出画素190の図9中右側から入射される光に対応するものになり、分割画素191-2から読み出される画素信号は、位相差検出画素190の図10中左側から入射される光に対応するものになる。従って、信号処理部188は、分割画素191-1と分割画素191-2から読み出された画素信号の差分に基づいて、水平方向の位相を検出し、像面位相差AF等を行うことができる。
【0105】
以上のように、分割画素分離壁221では、FD192の領域に表面トレンチ221Aが形成されない。従って、PD201に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、オーバーフローした電荷は、図10の経路S2で、P型不純物211を介してFD192に漏れ込む。しかしながら、FD192は、PD201からの電荷の転送前にリセットされるので、PD201からFD192への電荷の漏れ込みが撮像特性に与える影響は小さい。
【0106】
一方、画素分離壁223では、表面トレンチ223Aと裏面トレンチ223Bが接触しているので、位相差検出画素190をまたいで隣接するPD201は電気的に完全に遮断される。従って、PD201に蓄積された電荷がオーバーフローした場合であっても、そのPD201と位相差検出画素190をまたいで隣接する他のPD201への電荷の漏れ込みは起こらない。
【0107】
また、図11に示すように、画素分離壁222では、表面トレンチ222Aと裏面トレンチ222Bの位置が異なり、表面トレンチ222Aと裏面トレンチ222Bは接触しない。従って、PD201とN型不純物224乃至228およびP型不純物229とは電気的に完全に遮断されていない。
【0108】
よって、PD201全体に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、オーバーフローした電荷を、図11の経路S3で、P型不純物211とN型不純物224を介して電源電極197にも排出することができる。また、図11の経路E1で、P型不純物211(ウェル)の電位を、P型不純物229に接続するウェル電極198の電位に固定することができる。
【0109】
なお、表面トレンチ221A(222A,223A)と裏面トレンチ221B(222B,223B)の深さ方向の長さおよび少なくとも一方の材質は、分割画素分離壁221(画素分離壁222,223)の位置に応じて異なるようにしてもよい。また、画素分離壁222(223)の裏面トレンチ222B(223B)と、分割画素分離壁221の裏面トレンチ221Bの深さ方向の長さおよび少なくとも一方の材質は異なるようにしてもよい。
【0110】
(CMOSイメージセンサの動作の説明)
図12乃至図14は、図7のCMOSイメージセンサ180の動作を説明する図である。
【0111】
図12のB乃至図14のBに示すように、経路S1乃至S3のバリアでは、経路S1が最も弱く、経路S2が2番目に弱く、経路S3が最も強い。
【0112】
信号処理部188は、PD201-1およびPD201-2のいずれか一方に蓄積された電荷がオーバーフローするまでの間、分割画素191-1および分割画素191-2から順に読み出された画素信号の差分に基づいて水平方向の位相を検出する。そして、信号処理部188は、検出された位相に基づいて像面位相差AFを行う。
【0113】
PD201にさらに電荷が蓄積され、PD201-1およびPD201-2のいずれか一方に蓄積された電荷がオーバーフローすると、図12に示すように、オーバーフローした電荷は、最もバリアが弱い経路S1で他方へ漏れ込み始める(Step1)。この場合、信号処理部188は、PD201-1およびPD201-2から順に読み出された画素信号を合算することにより、位相差検出画素190全体の画素信号を取得することができる。
【0114】
PD201にさらに電荷が蓄積され、PD201全体の電荷がオーバーフローすると、図13に示すように、オーバーフローした電荷は、2番目にバリアが弱い経路S2でFD192に漏れ込み始める(Step2)。FD192は、PD201からの電荷の転送前にリセットされるので、PD201からFD192への電荷の漏れ込みが撮像特性に与える影響は小さい。
【0115】
PD201にさらに電荷が蓄積され、PD201全体からオーバーフローする電荷が多くなると、図14に示すように、その電荷は、最もバリアが強い経路S3でN型不純物224とN型不純物228に漏れ込み始める(Step3)。N型不純物224とN型不純物228は、電源電極197と接続するので、PD201から漏れ込んだ電荷は電源電極197に排出される。
【0116】
以上のように、CMOSイメージセンサ180では、分割画素分離壁221(画素分離壁222,223)が、表面トレンチ221A(222A,223A)と裏面トレンチ221B(222B,223B)とにより形成される。
【0117】
従って、分割画素分離壁221が形成される領域のうちの、FD192とは反対側の垂直方向の端部とFD192の領域において、表面トレンチ221Aを形成せず、FD192とは反対側の垂直方向の端部に不純物212を形成することができる。また、画素分離壁222の表面トレンチ222Aと裏面トレンチ222Bの位置が対応しないようにずらし、表面トレンチ222Aと裏面トレンチ222Bが接触しないようにすることができる。
【0118】
以上により、PD201-1とPD201-2間の電荷の漏れ込み、PD201からFD192への電荷の漏れ込み、PD201に蓄積された電荷の電源電極197への排出を、段階的に発生させることができる。
【0119】
また、画素分離壁223の表面トレンチ223Aと裏面トレンチ223Bを接触させることにより、CMOSイメージセンサ180に対して画素分離壁223を貫通させることができる。その結果、隣接する位相差検出画素190間の電荷の漏れ込みを防止することができる。
【0120】
CMOSイメージセンサ180の表面または裏面の一方から貫通する貫通トレンチに比べて、表面トレンチ223Aおよび裏面トレンチ223Bの幅に対する深さのアスペクト比は小さい。従って、貫通トレンチにより画素分離壁を形成する場合に比べて、画素分離壁223の形成は容易である。
【0121】
さらに、以上のような漏れ込みの段階的な発生および防止を、一般的な半導体プロセスのマスクパターン形成により表面トレンチ221A乃至223Aの有無と位置を制御することで、実現することができる。
【0122】
<第3実施の形態>
(CMOSイメージセンサの第3実施の形態の位相差検出画素の回路構成例)
本開示を適用したCMOSイメージセンサの第3実施の形態の構成は、位相差検出画素が2(横)×2(縦)の分割画素により形成される点を除いて、図7のCMOSイメージセンサ180の構成と同一である。従って、以下では、位相差検出画素についてのみ説明する。
【0123】
図15は、本開示を適用したCMOSイメージセンサの第3実施の形態の位相差検出画素の回路構成例を示す図である。
【0124】
図15に示す構成のうち、図8の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0125】
図15の位相差検出画素270の構成は、分割画素の数が2(横)×2(縦)である点が、図8の位相差検出画素190の構成と異なる。
【0126】
具体的には、位相差検出画素270は、2×2個の分割画素271-1乃至271-4、FD192、リセットトランジスタ193、増幅トランジスタ194、選択トランジスタ195、電源電極197、およびウェル電極198を有する。
【0127】
分割画素271-1乃至271-4は、それぞれ、PDと転送トランジスタにより構成される。具体的には、分割画素271-1は、PD291-1と転送トランジスタ292-1により構成され、分割画素271-2は、PD291-2と転送トランジスタ292-2により構成される。また、分割画素271-3は、PD291-3と転送トランジスタ292-3により構成され、分割画素271-4は、PD291-4と転送トランジスタ292-4により構成される。
【0128】
なお、以下では、分割画素271-1乃至271-4を特に区別する必要がない場合、それらをまとめて分割画素271という。同様に、PD291-1乃至291-4をまとめてPD291といい、転送トランジスタ292-1乃至292-4をまとめて転送トランジスタ292という。
【0129】
分割画素271のPD291は、CMOSイメージセンサの裏面から入射された光の受光量に応じた電荷を生成し、蓄積する。PD291のアノード端子は、ウェル電極198に接続され、カソード端子は、転送トランジスタ292を介してFD192に接続されている。
【0130】
転送トランジスタ292-1のゲート電極292-1Aには、位相差検出画素270の行に対応する画素駆動線182のうちの、位相差検出画素270を構成する左上の分割画素271-1に対して形成される線TG21が接続される。また、転送トランジスタ292-2のゲート電極292-2Aには、位相差検出画素270の行に対応する画素駆動線182のうちの、位相差検出画素270を構成する右上の分割画素271-2に対して形成される線TG22が接続される。
【0131】
さらに、転送トランジスタ292-3のゲート電極292-3Aには、位相差検出画素270の行に対応する画素駆動線182のうちの、位相差検出画素270を構成する左下の分割画素271-3に対して形成される線TG23が接続される。転送トランジスタ292-4のゲート電極292-4Aには、位相差検出画素270の行に対応する画素駆動線182のうちの、位相差検出画素270を構成する右下の分割画素271-4に対して形成される線TG24が接続される。なお、以下では、ゲート電極292-1A乃至292-4Aを特に区別する必要がない場合、それらをまとめてゲート電極292Aという。
【0132】
線TG21乃至TG24には、垂直駆動部184から駆動信号として転送信号が供給される。垂直駆動部184は、画素信号の読み出し対象の位相差検出画素190の行の線TG21乃至TG24の転送信号を順にオンにする。転送トランジスタ292は、ゲート電極292Aに入力される転送信号がオンにされた場合、PD291に蓄積された電荷をFD192に転送する。
【0133】
以上のように、CMOSイメージセンサの第3実施の形態では、2×2の分割画素271の間で、1つのFD192が共有されている。そして、各分割画素271のPD291に蓄積された電荷が、分割画素271-1、分割画素271-2、分割画素271-3、分割画素271-4の順に、位相差検出画素270の行単位で、上から順にFD192に転送される。
【0134】
(位相差検出画素の第1の構造例)
図16は、位相差検出画素270の第1の構造例をCMOSイメージセンサの表面側から見た図であり、図17は、図16のA-A´断面図およびB-B´断面図であり、図18は、図16のC-C´断面図およびD-D´断面図である。
【0135】
図16乃至図18に示す構成のうち、図9乃至図11の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0136】
図16に示すように、位相差検出画素270のP型不純物210は、P型不純物301-1乃至301-4に分割される。図17および図18に示すように、P型不純物301-1、P型不純物301-2、P型不純物301-3、P型不純物301-4には、それぞれ、PD291-1、PD291-2、PD291-3、PD291-4が形成される。なお、以下では、P型不純物301-1乃至301-4を特に区別する必要がない場合、それらをまとめてP型不純物301という。
【0137】
図16乃至図18に示すように、同一の位相差検出画素270内の各P型不純物301の間には、分割画素分離壁311が形成される。図17および図18に示すように、分割画素分離壁311は、CMOSイメージセンサの表面に形成された表面トレンチ311Aと、裏面に形成された裏面トレンチ311Bとが接触することにより形成される。
【0138】
但し、CMOSイメージセンサの表面の同一の位相差検出画素270内の隣接するP型不純物301の間の領域のうちの、FD192が形成される領域と、FD192とは反対側の水平方向または垂直方向の端部には、表面トレンチ311Aは形成されない。即ち、分割画素分離壁311は、同一の位相差検出画素270内の隣接するP型不純物301の間の表面の領域のうちの、FD192の領域およびFD192とは反対側の水平方向または垂直方向の端部以外に形成された表面トレンチ311Aと、そのP型不純物301の間の裏面の全領域に形成された裏面トレンチ311Bとが接触することにより形成される。
【0139】
また、図17に示すように、垂直方向に隣接するP型不純物301の間の分割画素分離壁311のFD192とは反対側の水平方向の端部の表面側には、ポテンシャルが深い不純物302が形成される。これにより、同一の位相差検出画素270内の垂直方向に隣接するPD291どうしの一方に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、図17の経路S11で、不純物302を介して他方へ電荷を容易に漏れ込ませることができる。
【0140】
さらに、図18に示すように、水平方向に隣接するP型不純物301の間の分割画素分離壁311のFD192とは反対側の垂直方向の端部の表面側には、不純物302とは異なる濃度の、不純物302よりポテンシャルが深い不純物303が形成される。これにより、同一の位相差検出画素270内の水平方向に隣接するPD291どうしの一方に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、図18の経路S12で、不純物303を介して他方へ電荷を容易に漏れ込ませることができる。
【0141】
画素分離壁222の2つの表面トレンチ222Aは、N型不純物312乃至315およびP型不純物316を挟む。N型不純物312は、FD192と接続し、リセットトランジスタ193のソースを構成する。N型不純物313は、電源電極197と接続し、リセットトランジスタ193と増幅トランジスタ194のドレインを構成する。
【0142】
N型不純物314は、増幅トランジスタ194のソースと選択トランジスタ195のドレインを構成する。N型不純物315は、垂直信号線183と接続し、選択トランジスタ195のソースを構成する。P型不純物316は、ウェル電極198と接続するウェルである。図17に示すように、ゲート電極292Aには、CMOSイメージセンサの表面に形成された配線層230に設けられた画素駆動線182が接続される。
【0143】
PD291-1は、図16中右下から入射された光を、PD291-2は、図16中左下から入射された光を、それぞれオンチップレンズ232とカラーフィルタ231を介して受光し、その光に対して光電変換を行う。
【0144】
また、PD291-3は、図16中右上から入射された光を、PD291-4は、図16中左上から入射された光を、それぞれオンチップレンズ232とカラーフィルタ231を介して受光し、その光に対して光電変換を行う。
【0145】
その結果、分割画素271-1から読み出される画素信号は、位相差検出画素270の図16中右下から入射される光に対応するものになり、分割画素271-2から読み出される画素信号は、位相差検出画素270の図16中左下から入射される光に対応するものになる。また、分割画素271-3から読み出される画素信号は、位相差検出画素270の図16中右上から入射される光に対応するものになり、分割画素271-4から読み出される画素信号は、位相差検出画素270の図16中左上から入射される光に対応するものになる。
【0146】
従って、信号処理部188は、分割画素271-1乃至271-4から読み出された画素信号の差分に基づいて、水平方向および垂直方向の位相を検出し、像面位相差AF等を行うことができる。
【0147】
以上のように、分割画素分離壁311では、FD192の領域に表面トレンチ311Aが形成されない。従って、PD291全体に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、オーバーフローした電荷は、図18の経路S13で、P型不純物301を介してFD192に漏れ込む。しかしながら、FD192は、PD291からの電荷の転送前にリセットされるので、PD291からFD192への電荷の漏れ込みが撮像特性に与える影響は小さい。
【0148】
一方、画素分離壁223では、表面トレンチ223Aと裏面トレンチ223Bが接触しているので、位相差検出画素270をまたいで隣接するPD291は電気的に完全に遮断される。従って、PD291に蓄積された電荷がオーバーフローした場合であっても、そのPD291と位相差検出画素270をまたいで隣接する他のPD291への電荷の漏れ込みは起こらない。
【0149】
また、図17および図18に示すように、画素分離壁222では、表面トレンチ222Aと裏面トレンチ222Bは接触しないので、PD291とN型不純物312乃至315およびP型不純物316とは電気的に完全に遮断されていない。
【0150】
よって、PD291全体に蓄積された電荷がオーバーフローした場合、オーバーフローした電荷を、図18の経路S14で、P型不純物301とN型不純物313を介して電源電極197にも排出することができる。
【0151】
なお、表面トレンチ311Aと裏面トレンチ311Bの深さ方向の長さは、分割画素分離壁311の位置に応じて異なるようにしてもよい。また、画素分離壁222(223)の裏面トレンチ222B(223B)と、分割画素分離壁311の裏面トレンチ311Bの深さ方向の長さは異なるようにしてもよい。
【0152】
(CMOSイメージセンサの動作の説明)
図19乃至図22は、CMOSイメージセンサの第3実施の形態の動作を説明する図である。
【0153】
図19のB乃至図22のBに示すように、経路S11乃至S14のバリアでは、経路S11が最も弱く、経路S12が2番目に弱く、経路S13が3番目に弱く、経路S14が最も強い。
【0154】
信号処理部188は、PD291-1乃至291-4のいずれか1つに蓄積された電荷がオーバーフローするまでの間、分割画素271-1乃至271-4から順に読み出された画素信号の差分に基づいて水平方向および垂直方向の位相を検出する。そして、信号処理部188は、検出された位相に基づいて像面位相差AFを行う。
【0155】
PD291にさらに電荷が蓄積され、PD291-1乃至PD291-4のいずれか1つに蓄積された電荷がオーバーフローすると、図19に示すように、オーバーフローした電荷は、最もバリアが弱い経路S11で、垂直方向に隣接するPD291へ漏れ込み始める(Step11)。
【0156】
この場合、信号処理部188は、垂直方向に隣接するPD291どうしから読み出された画素信号をそれぞれ合算することにより、位相差検出画素270を水平方向に2分割したときの左側と右側の領域の画素信号を取得することができる。従って、信号処理部188は、左側の領域の画素信号と右側の領域の画素信号の差分に基づいて水平方向の位相を検出し、その位相に基づいて像面位相差AFを行う。
【0157】
PD291にさらに電荷が蓄積され、左側のPD291全体または右側のPD291全体のいずれか一方に蓄積された電荷がオーバーフローすると、図20に示すように、オーバーフローした電荷は、2番目にバリアが弱い経路S12で、水平方向に隣接するPD291へ漏れ込み始める(Step12)。この場合、信号処理部188は、全てのPD291から読み出された画素信号を合算することにより、位相差検出画素270全体の画素信号を取得することができる。
【0158】
PD291にさらに電荷が蓄積され、PD291全体の電荷がオーバーフローすると、図21に示すように、オーバーフローした電荷は、3番目にバリアが弱い経路S13で、FD192に漏れ込み始める(Step13)。FD192は、PD291からの電荷の転送前にリセットされるので、PD291からFD192への電荷の漏れ込みが撮像特性に与える影響は小さい。
【0159】
PD291にさらに電荷が蓄積され、PD291全体からオーバーフローする電荷が多くなると、図22に示すように、その電荷は、最もバリアが強い経路S14でN型不純物313に漏れ込む(Step14)。N型不純物313は、電源電極197と接続するので、PD291から漏れ込んだ電荷は電源電極197に排出される。
【0160】
以上のように、CMOSイメージセンサの第3実施の形態では、分割画素分離壁311が、表面トレンチ311Aと裏面トレンチ311Bとにより形成される。従って、分割画素分離壁311が形成される領域のうちの、FD192とは反対側の水平方向または垂直方向の端部とFD192の領域において表面トレンチ221Aを形成せず、水平方向の端部に不純物302を形成し、垂直方向の端部に不純物302よりポテンシャルが深い不純物303を形成することができる。これにより、垂直方向に隣接するPD間の電荷の漏れ込みと、水平方向に隣接するPD間の電荷の漏れ込みを段階的に発生させることができる。
【0161】
(位相差検出画素の第2の構造例)
図23は、図15の位相差検出画素270の第2の構造例の図16のB-B´断面図およびC-C´断面図である。
【0162】
図23に示す構成のうち、図16乃至図18の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0163】
図23の位相差検出画素270の構造は、不純物302と不純物303の代わりに不純物321が設けられる点、および、新たに表面トレンチ322と表面トレンチ323が設けられる点が、図16乃至図18の構造と異なる。図23の位相差検出画素270では、経路S11と経路S12のバリアの強度が、不純物濃度ではなく、表面トレンチ322および表面トレンチ323によって制御される。
【0164】
具体的には、図23の位相差検出画素270において、分割画素分離壁311のFD192とは反対側の水平方向または垂直方向の端部の表面側には、同一の不純物濃度の不純物321が形成される。また、水平方向の端部の表面側には、深さ方向の長さが表面トレンチ311Aに比べて短い表面トレンチ322が形成される。垂直方向の端部の表面側には、深さ方向の長さが表面トレンチ322に比べて長く、かつ、表面トレンチ311Aに比べて短い表面トレンチ323が形成される。
【0165】
これにより、表面トレンチ322と裏面トレンチ311B、および、表面トレンチ323と裏面トレンチ311Bはそれぞれ接触せず、表面トレンチ322と裏面トレンチ311Bの間隔は、表面トレンチ323と裏面トレンチ311Bの間隔に比べて広い。従って、同一の位相差検出画素270内のPD291間は電気的に遮断されず、経路S11のバリアは、経路S12のバリアに比べて弱くなる。
【0166】
(位相差検出画素の第3の構造例)
図24は、図15の位相差検出画素270の第3の構造例の図16のE-E´断面図である。
【0167】
図24に示す構成のうち、図16乃至図18の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0168】
図24の位相差検出画素270の構造は、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて、分割画素分離壁311、カラーフィルタ231、およびオンチップレンズ232の位相差検出画素270における位置が異なる点が、図16乃至図18の構造と異なる。
【0169】
即ち、一般的に、CMOSイメージセンサの画角の中心と、画角の端部とでは、オンチップレンズからの光の入射角度が異なる。これにより、端部の画素では、光が十分にPDに入射されず、画素信号が低下する。
【0170】
従って、図24の位相差検出画素270では、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて、分割画素分離壁311、カラーフィルタ231、およびオンチップレンズ232の位相差検出画素270における位置を変化させる。
【0171】
具体的には、位相差検出画素270の画素領域181上の位置が、CMOSイメージセンサの画角の中心である場合、図24のAに示すように、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232は、P型不純物210の中心が中心となるように配置される。また、分割画素分離壁311は、P型不純物210の水平方向または垂直方向の中心に形成される。
【0172】
一方、位相差検出画素270の画素領域51上の位置が、CMOSイメージセンサの画角の端部である場合、図24のBに示すように、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232の中心が、P型不純物210の中心からずれるように配置される。また、分割画素分離壁311は、P型不純物210の水平方向または垂直方向の中心からずれた位置に形成される。即ち、P型不純物210は、不均等にP型不純物301-1乃至301-4に分割される。図24の例では、P型不純物301のサイズに応じて、PD291のサイズも異なっている。
【0173】
以上により、位相差検出画素270の光学中心を、位相差検出画素270の中心に近づける瞳補正を行うことができる。その結果、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて発生する画素信号の差を抑制することができる。また、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232の位置だけでなく、分割画素分離壁311の位置も変化させるので、画角の端部の入射角度が大きい場合であっても、画素信号の差を抑制することができる。
【0174】
なお、図24の例では、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232の位置と、分割画素分離壁311の位置の両方を、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて変化させたが、いずれか一方のみを変化させるようにしてもよい。
【0175】
(位相差検出画素の第4の構造例)
図25は、CMOSイメージセンサの第3実施の形態の画角の端部の位相差検出画素270の第4の構造例の図16のE-E´断面図である。
【0176】
図25に示す構成のうち、図24の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0177】
図25の位相差検出画素270の構造は、P型不純物301のサイズによらずPD291のサイズが一定である点が、図24の構造と異なる。
【0178】
具体的には、図25の位相差検出画素270では、P型不純物301の最小サイズに応じたサイズのPD291が、位相差検出画素270の境界側に形成される。これにより、各PD291のサイズが同一になり、各分割画素271の蓄積電荷の飽和量が同一になる。
【0179】
(位相差検出画素の第4の構造例の製造方法)
図26は、図25の位相差検出画素270のPD291の製造方法を説明する図である。
【0180】
図26のAに示すように、まず、位相差検出画素270のサイズに応じた間隔で表面トレンチ223AがP型不純物210に形成される。また、隣接する2つの表面トレンチ223Aを、隣接する他の位相差検出画素270との境界とする位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて、その2つの表面トレンチ223Aの間の位置に表面トレンチ311Aが形成される。
【0181】
次に、図26のBに示すように、表面トレンチ223Aの中心が中心となるように、位相差検出画素270をまたいで隣接する2つの分割画素271分のPD291に対応するパターンが形成される。そして、形成されたパターンに応じてN型不純物が注入されることにより、位相差検出画素270をまたいで隣接する2つの分割画素271分のPD291が形成される。
【0182】
最後に、図26のCに示すように、表面トレンチ223Aと接触するように裏面トレンチ223Bが形成される。これにより、隣接する2つの分割画素271分のPD291が分割され、各分割画素271のPD291が、画素分離壁223側、即ち位相差検出画素270の境界側に形成される。
【0183】
また、表面トレンチ311Aと接触するように裏面トレンチ311Bが形成され、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232が、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じた位置に形成される。
【0184】
以上のように、図26の製造方法では、2つの分割画素271分のPD291が一旦形成され、その2つの分割画素271分のPD291が画素分離壁223により各分割画素271のPD291に分割される。従って、各分割画素271のPD291が個別に形成される場合に比べて、PD291形成時のパターン形成を容易に行うことができる。
【0185】
これに対して、各分割画素271のPD291を個別に形成する場合、PD291形成時に、通常のサイズより小さい、P型不純物301の最小サイズに応じたサイズのPD291に対応するパターンを形成する必要がある。従って、PD291形成時のパターン形成の難易度が高い。
【0186】
(位相差検出画素の第5の構造例)
図27は、本開示を適用したCMOSイメージセンサの第3実施の形態の画角の端部の位相差検出画素270の第5の構造例の図16のE-E´断面図である。
【0187】
図27に示す構成のうち、図25の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0188】
図27の位相差検出画素270の構造は、位相差検出画素270の画素領域181上の位置によらず、表面トレンチ311Aが位相差検出画素270の中央に形成される点、PD291の表面側のサイズが裏面側のサイズに比べて大きい点、および、PD291の表面側のポテンシャルが裏面側に比べて深い点が、図25の構造と異なる。
【0189】
具体的には、図27の位相差検出画素270では、裏面トレンチ311Bの位置が、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて異なる。一方、表面トレンチ311Aの位置は、位相差検出画素270の画素領域181上の位置によらず、位相差検出画素270の中央に形成される。
【0190】
従って、図27に示すように、画角の端部の位相差検出画素270では、表面トレンチ311Aと裏面トレンチ311Bの位置は異なり、表面トレンチ311Aと裏面トレンチ311Bは接触しない。
【0191】
また、PD291の裏面側の水平方向および垂直方向のサイズは、それぞれ、P型不純物301の水平方向、垂直方向の最小サイズに応じたサイズである。一方、PD291の表面側の水平方向および垂直方向のサイズは、それぞれ、位相差検出画素270のP型不純物210の水平方向、垂直方向の半分のサイズに対応する。全てのPD291のサイズは同一である。また、PD291の表面側のポテンシャルは、裏面側に比べて深い。
【0192】
以上のように、図27の位相差検出画素270では、表面トレンチ311Aが、位相差検出画素270の画素領域181上の位置によらず、位相差検出画素270の中央に形成される。従って、PD291の表面側の水平方向および垂直方向のサイズを、それぞれ、位相差検出画素270のP型不純物210の水平方向、垂直方向の半分のサイズに対応するサイズにすることができる。その結果、図26の場合に比べてPD291のサイズが大きくなり、PD291に蓄積可能な電荷量が増加する。
【0193】
また、PD291の表面側のサイズが十分に大きく、ポテンシャルが深いので、PD291の飽和電荷量は大きい。
【0194】
(位相差検出画素の第5の構造例の製造方法)
図28および図29は、図27の位相差検出画素270のPD291の製造方法を説明する図である。
【0195】
図28のAに示すように、まず、位相差検出画素270のサイズに応じた間隔で表面トレンチ223AがP型不純物210に形成される。また、隣接する2つの表面トレンチ223Aの間の中央に表面トレンチ311Aが形成される。
【0196】
次に、図28のBに示すように、表面トレンチ223Aの中心が中心となるように、位相差検出画素270をまたいで隣接する2つの分割画素271分のPD291の裏面側に対応するパターンが形成される。そして、形成されたパターンに応じて裏面側にN型不純物が注入されることにより、位相差検出画素270をまたいで隣接する2つの分割画素271分のPD291の裏面側が形成される。
【0197】
そして、図29のAに示すように、各分割画素271のPD291の表面側に対応するパターンが形成される。そして、形成されたパターンに応じて表面側にN型不純物が注入されることにより、各分割画素271のPD291の表面側が、その分割画素271に対応する、2つの分割画素271分のPD291の裏面側に接続するように形成される。
【0198】
最後に、図29のBに示すように、表面トレンチ223Aと接触するように裏面トレンチ223Bが形成される。これにより、隣接する2つの分割画素271分のPD291の裏面側が分割され、各分割画素271のPD291の裏面側が、画素分離壁223側、即ち位相差検出画素270の境界側に形成される。
【0199】
また、隣接する2つの表面トレンチ223Aを、隣接する他の位相差検出画素270との境界とする位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じて、裏面トレンチ311Bが形成される。さらに、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232が、位相差検出画素270の画素領域181上の位置に応じた位置に形成される。
【0200】
以上のように、図28および図29の製造方法では、2つの分割画素271分のPD291の裏面側が一旦形成され、その2つの分割画素271分のPD291の裏面側が画素分離壁223により各分割画素271のPD291の裏面側に分割される。従って、図26の場合と同様に、各分割画素271のPD291の裏面側が個別に形成される場合に比べて、PD291の裏面側の形成時のパターン形成を容易に行うことができる。
【0201】
なお、図27の位相差検出画素270では、表面トレンチ311Aが形成されたが、表面トレンチ311Aは形成されなくてもよい。
【0202】
(位相差検出画素の第6の構造例)
図30および図31は、図15の位相差検出画素270の第6の構造例を示す図である。
【0203】
図30および図31に示す構成のうち、図16乃至図18の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0204】
図30および図31の位相差検出画素270の構造は、画素分離壁222が、N型不純物312乃至315およびP型不純物316を挟む2つの表面トレンチ222Aと、その2つの表面トレンチ222Aとそれぞれ接触する2つの裏面トレンチ222Bとにより形成される点、および、P型不純物210がウェル電極198と接続される点が、図16乃至図18の構造と異なる。
【0205】
図30のAと図30のBは、それぞれ、位相差検出画素270をCMOSイメージセンサの表面側、裏面側から見た図であり、図31のAおよび図31のBは、それぞれ、図30のAのA-A´断面図、B-B´断面図である。
【0206】
図30および図31の位相差検出画素270では、画素分離壁223は、N型不純物312乃至315およびP型不純物316を挟む2つの表面トレンチ222Aと、その2つの表面トレンチ222Aとそれぞれ接触する2つの裏面トレンチ222Bとにより形成される。これにより、リセットトランジスタ193、増幅トランジスタ194、選択トランジスタ195、電源電極197、およびウェル電極198と、P型不純物210との間を電気的に完全に分離することができる。
【0207】
その結果、電源電極197をPD291と分離することができる。また、PD291からの電荷のリセットトランジスタ193、増幅トランジスタ194、選択トランジスタ195、電源電極197、またはウェル電極198への漏れ込みによる撮像特性の劣化を抑制することができる。なお、P型不純物210は、ウェル電極198と直接接続されるため、P型不純物210の電位はウェル電極198の電位に固定することができる。
【0208】
また、表面トレンチ222Aおよび裏面トレンチ222Bの材料として、金属や透過率の低い材料を用いる場合、リセットトランジスタ193、増幅トランジスタ194、選択トランジスタ195、電源電極197、およびウェル電極198と、P型不純物210との間を光学的にも完全に分離させることができる。
【0209】
(位相差検出画素の第7の構造例)
図32および図33は、図15の位相差検出画素270の第7の構造例を示す図である。
【0210】
図32および図33に示す構成のうち、図16乃至図18の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0211】
図32および図33の位相差検出画素270の構造は、画素分離壁222の代わりに画素分離壁351が形成される点、および、新たに表面トレンチ352とダミーの表面トレンチ353が形成される点が、図16乃至図18の構造と異なる。
【0212】
図32のAと図32のBは、それぞれ、位相差検出画素270をCMOSイメージセンサの表面側、裏面側から見た図であり、図33のAおよび図33のBは、それぞれ、図32のAのA-A´断面図、B-B´断面図である。
【0213】
図32および図33の位相差検出画素270では、位相差検出画素270をまたいで垂直方向に隣接するP型不純物301の間に画素分離壁351が形成される。画素分離壁351は、表面トレンチ351Aと裏面トレンチ351Bが接触することにより形成される。これにより、位相差検出画素190をまたいで垂直方向に隣接するPD291間の電荷の漏れ込みを防止することができる。
【0214】
また、表面トレンチ351Aとの間に、N型不純物312乃至315およびP型不純物316を挟むように、表面トレンチ352(電極用トレンチ)が形成される。さらに、表面トレンチ352に最も近い分割画素分離壁311に対して、表面トレンチ352と対称になる位置に、ダミーの表面トレンチ353が形成される。これにより、各PD291のサイズを同一にすることができる。
【0215】
即ち、表面トレンチ352が形成されるP型不純物301では、表面トレンチ352の領域にPD291を形成することができない。従って、表面トレンチ352が形成されるP型不純物301に形成されるPD291のサイズは、表面トレンチ352が形成されないP型不純物301に形成されるPD291のサイズに比べて小さくなる。
【0216】
よって、図32および図33の位相差検出画素270では、表面トレンチ352が形成されないP型不純物301において、表面トレンチ352に対応する位置にダミーの表面トレンチ353が形成される。これにより、表面トレンチ352の有無によらず、各P型不純物301に形成されるPD291のサイズは同一になる。また、PD291の形状が対称性を有する。
【0217】
また、P型不純物301のうちの、表面トレンチ352または表面トレンチ353が形成される領域の裏面側にはPD291を形成することができるので、PD291の開口率は大きい。従って、感度は良い。
【0218】
(位相差検出画素の第8の構造例)
図34および図35は、図15の位相差検出画素270の第8の構造例を示す図である。
【0219】
図34および図35に示す構成のうち、図32および図33の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0220】
図34および図35の位相差検出画素270の構造は、表面トレンチ352の代わりに表面トレンチ371が形成される点、および、表面トレンチ353が形成されない点が、図32および図33の構造と異なる。
【0221】
図34のAと図34のBは、それぞれ、位相差検出画素270をCMOSイメージセンサの表面側、裏面側から見た図であり、図35のAおよび図35のBは、それぞれ、図34のAのA-A´断面図、B-B´断面図である。
【0222】
図34および図35の位相差検出画素270では、表面トレンチ351Aとの間に、N型不純物312乃至315およびP型不純物316を挟むように、表面トレンチ371(電極用トレンチ)が形成される。表面トレンチ371の深さ方向の長さは、表面トレンチ351Aに比べて十分小さい。
【0223】
従って、P型不純物301に表面トレンチ371が形成される場合であっても、表面側の全領域にPD291を形成することができる。よって、表面トレンチ371の有無によらず、各P型不純物301に形成されるPD291のサイズを同一にすることができる。また、PD291のサイズを十分に大きくすることができる。
【0224】
なお、表面トレンチ371は、例えば、CION,STI、II分離などにより形成することができる。
【0225】
(位相差検出画素の第9の構造例)
図36は、図15の位相差検出画素270の第9の構造例を示す図である。
【0226】
図36に示す構成のうち、図32および図33の構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0227】
図36の位相差検出画素270の構造は、隣接する位相差検出画素270のサイズが異なる点が、図32および図33の構造と異なる。
【0228】
図36のAは、3(横)×3(縦)の位相差検出画素270をCMOSイメージセンサの表面側から見た図であり、図36のBは、図36のAのA-A´断面図である。なお、図36のAでは、説明の便宜上、裏面側に形成されるオンチップレンズ232を図示している。
【0229】
図36では、緑色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270が、その位相差検出画素270と隣接する青色または赤色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270と自分の両方のN型不純物312乃至315およびP型不純物316を含む。従って、緑色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270を構成する全てのP型不純物301には、自分または自分と隣接する位相差検出画素270の表面トレンチ352、N型不純物312乃至315、およびP型不純物316が形成される。
【0230】
よって、全てのP型不純物301において、表面側の表面トレンチ352の領域にPD291が形成されず、各P型不純物301に形成されるPD291のサイズは同一になる。また、各PD291の形状は対称性を有する。
【0231】
一方、青色および赤色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270は、N型不純物312乃至315およびP型不純物316を含まない。従って、青色および赤色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270を構成する全てのP型不純物301には、表面トレンチ352が形成されない。
【0232】
よって、全てのP型不純物301において、表面側の全領域にPD291を形成することができる、各P型不純物301に形成されるPD291のサイズは同一になる。また、各PD291の形状は対称性を有する。
【0233】
以上により、緑色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270のPD291のサイズを、赤色や青色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270のPD291のサイズに比べて大きくし、感度を向上させることが可能である。
【0234】
その結果、例えば、感度が高く、数の多い、緑色のカラーフィルタ231を有する位相差検出画素270のみSN比の大きい画素信号を取得することにより、広ダイナミックレンジのカラー画像を得ることができる。即ち、緑色のカラーフィルタを有する位相差検出画素270のSN比の大きい画素信号から得られるダイナミックレンジの広い輝度情報と、他の位相差検出画素270の色情報を処理することで得られるカラー情報とを合成し、広ダイナミックレンジのカラー画像を得ることができる。
【0235】
なお、図36の例では、各位相差検出画素270に対応する表面の領域にカラーフィルタ231とオンチップレンズ232が形成されたが、カラーフィルタ231とオンチップレンズ232のサイズは、全ての位相差検出画素270において同一であるようにしてもよい。
【0236】
上述した1つの画素分離壁111(112,113,222,223,351)または分割画素分離壁221(311)を構成する表面トレンチ111A(112A,113A,221A,222A,223A,311A,322,323,351A)と裏面トレンチ111B(112B,113B,221B,222B,223B,311B,351B)の材質や構造は、同一であってもよいし、異なってもよい。
【0237】
また、画素分離壁111(112,113,222,223,351)を構成する表面トレンチ111A(112A,113A,222A,223A,351A)と裏面トレンチ111B(112B,113B,222B,223B,351B)の材質や構造と、分割画素分離壁221(311)を構成する表面トレンチ221A(311A,322,323)と裏面トレンチ221B(311B)の材質や構造は、異なってもよい。これらの材質や構造は、光の入射角度や画素71(位相差検出画素190,270)のサイズなどによって決定することができる。例えば、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの材料は、屈折率などが異なるようにしてもよい。
【0238】
また、例えば、図37に示すように、異色のカラーフィルタ231を有する、隣接する位相差検出画素270のPD291間の裏面トレンチ223Bは、金属382で形成されるようにしてもよい。裏面トレンチ223Bが、金属382や不純物ドーパントされたPolyなどの導体で形成される場合には、導体と半導体基板(P型不純物301)がショートすることを防止するため、導体と半導体基板(P型不純物301)の間に酸化膜や窒化膜などの絶縁膜381が形成される。一方、同色のカラーフィルタ231を有する、同一の位相差検出画素270内のPD291間の裏面トレンチ311Bは、酸化膜などの透過率の高い材料で、裏面トレンチ223Bに比べて細く形成されるようにしてもよい。
【0239】
なお、図37のAは、位相差検出画素270の図16のE-E´断面図である。また、図37のBは、CMOSイメージセンサ180の裏面側から見た図である。
【0240】
裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bが、図37に示すように構成されることにより、斜めに入射して、裏面トレンチ223Bの周辺に集光される光は、P型不純物301を通過して裏面トレンチ223Bの金属382により反射される。従って、混色を抑制することができる。また、裏面トレンチ311Bの周辺に集光された光は裏面トレンチ311Bにより反射せず、PD291に入射する。従って、感度のロスの発生を抑制することができる。
【0241】
これに対して、裏面トレンチ311Bが、裏面トレンチ223Bと同様に金属を含む場合、裏面トレンチ311Bの周辺に集光された光は裏面トレンチ311Bで反射し、PD291には入射されない。従って、感度のロスが発生する。
【0242】
なお、裏面トレンチ311Bの幅(半導体基板に水平な方向の長さ)は、入射光の波長に対して十分に小さい幅にすることが望ましい。裏面トレンチ311Bの幅が、入射光に対して十分に小さい幅である場合、半導体基板の材料であるシリコン(Si)とは屈折率が異なる酸化膜などで形成される裏面トレンチ311Bに入射された光は、回折し、各PD291に分割されて入射される。従って、より感度のロスの発生を抑制することができる。
【0243】
また、裏面トレンチ223Bは、金属ではなく、ポリシリコンなどの他の透過率の低い材料を含むようにしてもよい。
【0244】
図38は、図37の裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの製造方法を説明する図である。
【0245】
図38に示すように、第1の工程では、P型不純物210の上にレジストパターン391が形成され、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bに対応する領域のP型不純物210のエッチングが行われる。そして、レジストパターン391が剥離される。
【0246】
第2の工程では、P型不純物210の上に酸化膜などの薄い絶縁膜392が形成される。ここで、上述したように、裏面トレンチ311Bは、裏面トレンチ223Bに比べて細い。即ち、エッチングされた裏面トレンチ311Bに対応する領域の幅は、エッチングされた裏面トレンチ223Bに対応する領域の幅に比べて狭い。従って、エッチングされた裏面トレンチ311Bに対応する領域は、絶縁膜392で満たされるが、エッチングされた裏面トレンチ223Bに対応する領域は、絶縁膜392で満たされない。
【0247】
第3の工程では、絶縁膜392の上に金属膜(メタル)393が形成される。このとき、裏面トレンチ311Bに対応する領域は、絶縁膜392で満たされているため、裏面トレンチ311Bに対応する領域に金属膜393は埋め込まれない。しかしながら、裏面トレンチ223Bに対応する領域は、絶縁膜392で満たされていないため、金属膜393も埋め込まれる。
【0248】
第4の工程では、余分な金属膜393がエッチングされ、裏面トレンチ223Bの金属382が形成される。この後、余分な絶縁膜392がエッチングされ、裏面トレンチ223Bの絶縁膜381と裏面トレンチ311Bが形成される。
【0249】
以上のように、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの幅が異なるため、絶縁膜392の形成後に金属膜393を形成するだけで、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの材質を異ならせることができる。その結果、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの材質が異なることによる製造工程の大幅な増加を抑制することができる。
【0250】
なお、図37の例では、裏面トレンチ223B(311B)は、表面トレンチ223A(311A)と接触するようにしたが、図39のAに示すように、接触しないようにしてもよい。図39のAに示すように、裏面トレンチ223Bおよび裏面トレンチ311Bの裏面に垂直な深さ方向の長さが短い場合、製造が容易であり、半導体基板に対するダメージも少ない。また、図39のAにおいて、表面トレンチ223Aおよび表面トレンチ311Aは形成されなくてもよい。
【0251】
また、図39のBに示すように、表面トレンチ223Aおよび表面トレンチ311Aは形成されず、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの深さ方向の長さは異なるようにしてもよい。この場合、裏面トレンチ223Bと裏面トレンチ311Bの分離性能を異ならせることができる。
【0252】
さらに、図39のCに示すように、表面トレンチ311Aは形成されなくてもよい。この場合、同色のカラーフィルタ231を有する、同一の位相差検出画素270内のPD291間は完全に分離されない。また、表面トレンチ223Aだけでなく、表面トレンチ331Aも形成されないようにすることもできる。
【0253】
また、図39のDに示すように、表面トレンチ223Aと表面トレンチ311Aが金属により形成されるようにしてもよい。この場合、裏面トレンチ223B(311B)の酸化膜を透過した光が表面トレンチ223A(311A)で反射され、より感度のロスの発生が抑制される。
【0254】
なお、表面トレンチ111A(112A,113A,222A,223A,351A)と裏面トレンチ111B(112B,113B,222B,223B,351B)が、金属系の材料やポリシリコンなどの透過率の低い材料で形成される場合、表面トレンチ111A(112A,113A,222A,223A,351A)と裏面トレンチ111B(112B,113B,222B,223B,351B)には、電位を固定する接続部が設けられる。
【0255】
また、第2および第3実施の形態では、画素領域181に位相差検出画素190(270)がアレイ状に配置されるものとしたが、位相差検出画素190(270)だけでなく、通常の画素も配置されるようにしてもよい。
【0256】
例えば、図40に示すように、画素領域181の中心にのみ位相差検出画素270が配置され、他の領域には、通常の画素400が配置されるようにしてもよい。なお、図40は、画素領域181の中心を中心とした3×3の画素400または位相差検出画素270の領域をCMOSイメージセンサの表面側から見た図である。
【0257】
通常の画素400のウェルであるP型不純物401には、PDが形成される。P型不純物401は、転送トランジスタのゲート電極402を介して、N型不純物からなるFD403と接続される。FD403は、リセットトランジスタのゲート電極404を介して、電源電極と接続されるN型不純物405と接続されるとともに、増幅トランジスタのゲート電極406と接続される。
【0258】
N型不純物405は、増幅トランジスタのゲート電極406を介して、選択トランジスタのドレインを形成するN型不純物407と接続され、N型不純物407は、選択トランジスタのゲート電極408を介して、垂直信号線183と接続するN型不純物409と接続される。また、画素400には、ウェル電極と接続するP型不純物410が形成される。
【0259】
画素400をまたいで垂直方向に隣接するP型不純物401の間には、FD403、N型不純物405、N型不純物407、N型不純物409、およびP型不純物410を挟む画素分離壁411が形成される。また、水平方向に隣接するP型不純物401の間には、画素分離壁412が形成される。
【0260】
画素分離壁411は、例えば、上述した画素分離壁112(222,351)と同様に構成され、画素分離壁412は、例えば、上述した画素分離壁113(223)と同様に構成される。
【0261】
位相差検出画素270の読み出しは、その位相差検出画素270の行の他の画素400の読み出しと同時に、PD291単位で行われる。従って、画素400の画素信号の取得時に、各PD291の画素信号に基づいて像面位相差AFを行うとともに、全てのPD291の画素信号を合算することにより、位相差検出画素270全体の画素信号を取得することができる。
【0262】
ここで、P型不純物210とP型不純物401のサイズは同一である。そして、位相差検出画素270では、PD291は、P型不純物210が4分割された領域ごとに形成され、画素400では、PDは、P型不純物210にそのまま形成される。
【0263】
従って、位相差検出画素270のPD291全体のサイズは、画素400のPDのサイズに比べて小さくなり、位相差検出画素270では、画素400に比べて飽和電荷量が少なくなる。よって、位相差検出画素270では、画素400に比べて混色が発生しやすいが、画素分離壁222および画素分離壁223により、その混色が防止される。
【0264】
<第4実施の形態>
(撮像装置の一実施の形態の構成例)
図41は、本開示を適用した電子機器としての撮像装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0265】
図41の撮像装置1000は、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等である。撮像装置1000は、レンズ群1001、固体撮像素子1002、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007、および電源部1008からなる。DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007、および電源部1008は、バスライン1009を介して相互に接続されている。
【0266】
レンズ群1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで固体撮像素子1002の撮像面上に結像する。固体撮像素子1002は、上述したCMOSイメージセンサの第1乃至第3実施の形態からなる。固体撮像素子1002は、レンズ群1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号としてDSP回路1003に供給する。
【0267】
DSP回路1003は、固体撮像素子1002から供給される画素信号に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の画像信号をフレーム単位でフレームメモリ1004に供給し、一時的に記憶させる。
【0268】
表示部1005は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等のパネル型表示装置からなり、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号に基づいて、画像を表示する。
【0269】
記録部1006は、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリ等からなり、フレームメモリ1004に一時的に記憶されたフレーム単位の画素信号を読み出し、記録する。
【0270】
操作部1007は、ユーザによる操作の下に、撮像装置1000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部1008は、電源を、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、および操作部1007に対して適宜供給する。
【0271】
本技術を適用する電子機器は、画像取込部(光電変換部)にCMOSイメージセンサを用いる装置であればよく、撮像装置1000のほか、撮像機能を有する携帯端末装置、画像読取部にCMOSイメージセンサを用いる複写機などがある。
【0272】
<CMOSイメージセンサの使用例>
図42は、上述のCMOSイメージセンサを使用する使用例を示す図である。
【0273】
上述したCMOSイメージセンサは、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
【0274】
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0275】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0276】
また、本開示の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0277】
例えば、本明細書では、ウェルがP型不純物であるようにしたが、N型不純物であってもよい。
【0278】
また、第1実施の形態における画素分離壁111乃至113は、それぞれ、第2または第3実施の形態における分割画素分離壁221(311)、画素分離壁222(351)、画素分離壁223と同様に構成されるようにしてもよい。
【0279】
なお、本開示は、以下のような構成もとることができる。
【0280】
(1)
画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の前記画素と、
隣接する前記画素の間に形成された画素分離壁と、
表面に設けられた配線層と
を備え、
前記画素分離壁は、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される
固体撮像素子。
(2)
少なくとも一部の前記画素分離壁の前記表面トレンチと前記裏面トレンチは接触する
ように構成された
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(3)
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの前記裏面に垂直な方向の長さは、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
前記(1)または(2)に記載の固体撮像素子。
(4)
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの少なくとも一方の材質は、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)
所定の方向に隣接する、フローティングディフュージョンを共有しない前記画素の間の前記画素分離壁は、ウェル電極を挟む2つの前記表面トレンチと前記裏面トレンチとにより構成され、その裏面トレンチの前記裏面上の位置は、前記ウェル電極に対応する位置である
ように構成された
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(6)
所定の方向に隣接する、フローティングディフュージョンを共有しない前記画素の間の前記画素分離壁は、電源電極を挟む2つの前記表面トレンチと前記裏面トレンチとにより構成され、その裏面トレンチの前記裏面上の位置は、前記電源電極に対応する位置である
ように構成された
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)
フローティングディフュージョンを共有する前記画素の間の前記画素分離壁は、その画素の間の前記表面の領域のうちの、前記フローティングディフュージョンが形成されていない領域に形成された前記表面トレンチと、その画素の間の前記裏面の全領域に形成された前記裏面トレンチとにより構成され、その表面トレンチと裏面トレンチは接触する
ように構成された
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(8)
前記複数の画素のうちの少なくとも一部は、前記画素ごとに、同一の前記レンズを介して前記裏面から入射された光に対して光電変換を行う光電変換素子をそれぞれ有する複数の分割画素に分割され、
隣接する前記分割画素の間には、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される分割画素分離壁が形成される
ように構成された
前記(1)に記載の固体撮像素子。
(9)
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの前記裏面に垂直な方向の長さは、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁または前記分割画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
前記(8)に記載の固体撮像素子。
(10)
前記画素分離壁の裏面トレンチと前記分割画素分離壁の裏面トレンチの前記裏面に垂直な方向の長さは異なる
ように構成された
前記(8)または(9)に記載の固体撮像素子。
(11)
前記表面トレンチと前記裏面トレンチの少なくとも一方の材質は、その表面トレンチと裏面トレンチとにより構成される前記画素分離壁または前記分割画素分離壁の位置に応じて異なる
ように構成された
前記(8)乃至(10)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(12)
前記画素分離壁と前記分割画素分離壁の裏面トレンチの材質は異なる
ように構成された
前記(8)乃至(11)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(13)
前記分割画素分離壁の前記表面トレンチは、隣接する前記分割画素の間の前記表面の領域のうちの一部の領域にのみ形成され、前記裏面トレンチは、その隣接する分割画素の間の前記裏面の全領域に形成され、
前記分割画素分離壁の前記裏面トレンチと前記表面トレンチは接触し、
隣接する前記分割画素の間の前記表面の領域のうちの前記表面トレンチが形成されていない領域には、フローティングディフュージョンが形成される
ように構成された
前記(8)乃至(12)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(14)
前記分割画素分離壁の前記表面トレンチは、隣接する前記分割画素の間の前記表面の領域のうちのフローティングディフュージョンが形成されていない領域に形成され、前記裏面トレンチは、その隣接する分割画素の間の前記裏面の全領域に形成され、
前記分割画素分離壁の前記裏面トレンチの一部と前記表面トレンチは接触し、
前記分割画素分離壁の前記裏面トレンチの他部の前記裏面に垂直な方向の長さは、前記裏面トレンチの一部に比べて短い
ように構成された
前記(8)乃至(12)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(15)
所定の方向に隣接する前記画素の間の前記画素分離壁は、電源電極を挟む2つの前記表面トレンチと、その表面トレンチとそれぞれ接触する2つの前記裏面トレンチとにより構成される
ように構成された
前記(8)乃至(14)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(16)
所定の方向に隣接する前記画素の間の前記画素分離壁の前記表面トレンチとの間に電源電極を挟むように形成される表面トレンチである電極用トレンチと、
前記電極用トレンチに最も近い前記分割画素分離壁に対して、前記電極用トレンチと対称になる位置に形成されたダミーの表面トレンチであるダミートレンチと
をさらに備え、
前記画素分離壁は、前記表面トレンチと前記裏面トレンチが接触することにより形成される
ように構成された
前記(8)乃至(14)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(17)
前記分割画素分離壁が形成される前記画素における前記分割画素分離壁の位置は、その画素の位置に応じて異なる
ように構成された
前記(8)乃至(16)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(18)
前記分割画素分離壁が形成される前記画素における前記分割画素分離壁の前記裏面トレンチの位置は、その画素の位置に応じて異なり、
前記分割画素分離壁が形成される前記画素における前記分割画素分離壁の前記表面トレンチの位置は、その画素の位置によらず同一であり、
前記分割画素の前記光電変換素子の前記表面側のサイズは、前記裏面側のサイズに比べて大きい
ように構成された
前記(17)に記載の固体撮像素子。
(19)
所定の方向に隣接する前記画素の間の前記画素分離壁の前記表面トレンチとの間に電源電極を挟むように形成される表面トレンチである電極用トレンチ
をさらに備え、
隣接する前記画素のうちの一方の画素が、自分と他方の画素の前記電極用トレンチを有し、
前記画素分離壁は、前記表面トレンチと前記裏面トレンチが接触することにより形成される
ように構成された
前記(8)乃至(14)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(20)
画素ごとに異なるレンズを介して裏面から入射された光に対して光電変換を行う複数の前記画素と、
隣接する前記画素の間に形成された画素分離壁と、
表面に設けられた配線層と
を備え、
前記画素分離壁は、前記表面に形成されたトレンチである表面トレンチと、前記裏面に形成されたトレンチである裏面トレンチとにより構成される
固体撮像素子
を有する電子機器。
【符号の説明】
【0281】
50 CMOSイメージセンサ, 71-1乃至71-4 画素, 72 FD, 76 電源電極, 77 ウェル電極, 111乃至113 画素分離壁, 111A乃至113A 表面トレンチ, 111B乃至113B 裏面トレンチ, 119 配線層, 122 オンチップレンズ, 180 CMOSイメージセンサ, 190 位相差検出画素, 191-1,191-2 分割画素, 192 FD, 197 電源電極, 198 ウェル電極, 201-1,201-2 PD, 221 分割画素分離壁, 221A 表面トレンチ, 221B 裏面トレンチ, 222,223 画素分離壁, 222A,223A 表面トレンチ, 222B,223B 裏面トレンチ, 230 配線層, 232 オンチップレンズ, 271-1乃至271-4 画素, 291-1乃至291-4 PD, 311 分割画素分離壁, 311A 表面トレンチ, 311B 裏面トレンチ, 322,323 表面トレンチ, 351 画素分離壁, 351A 表面トレンチ, 352 表面トレンチ, 352,353 表面トレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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