(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113755
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】飛行管理装置、飛行体、飛行管理システム、分散型システム、飛行管理方法、飛行制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20220728BHJP
G08G 5/04 20060101ALI20220728BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20220728BHJP
【FI】
G08G5/00 A
G08G5/04 A
B64F1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091536
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2021175337の分割
【原出願日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/040323
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】WO
(71)【出願人】
【識別番号】520233825
【氏名又は名称】ベネデック アーロン サンジャヤ
【氏名又は名称原語表記】AARON SANJAYA BENEDEK
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ベネデック アーロン サンジャヤ
(57)【要約】
【課題】本開示の目的は、飛行体の安全を向上することができる飛行管理装置を提供することである。
【解決手段】一例として、本開示の飛行管理装置(10)は、飛行体から、空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信した場合に、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが既に予約されているかを判定する判定部(12)と、前記特定の空間セルが予約されていないと前記判定部が判定した場合には、前記飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない許可部(13)を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の飛行体のうちの1の飛行体から、前記1の飛行体が決定した前記1の飛行体の飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求める第1のリクエストを受信する受信部と、
前記受信部が前記第1のリクエストを受信したときに、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定する判定部と、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない許可部と、を備える、
飛行管理装置。
【請求項2】
前記許可部が前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない場合に、その旨を示す不許可情報を前記1の飛行体に送信する送信部をさらに備え、
前記判定部は、前記送信部が前記不許可情報を送信後、前記特定の空間セル以外の前記空間中の別の空間セルに移動することの許可を求める第2のリクエストを前記受信部が前記1の飛行体から受信した場合に、前記別の空間セルの予約状態に基づいて、前記別の空間セルが他の飛行体に既に予約されているかを判定し、
前記許可部は、前記別の空間セルが他の飛行体に予約されていないと前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記別の空間セルへの移動を許可し、前記別の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記別の空間セルへの移動を許可しない、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項3】
前記空間が分割された複数の空間セルに係る前記複数の飛行体の予約状態を記憶するメモリをさらに備え、
前記1の飛行体から、前記1の飛行体が通過した空間セルの予約を解除するための第3のリクエストを前記飛行管理装置が受信した場合に、前記第3のリクエストに係る空間セルの予約状態を解除する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項4】
前記空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリと、
前記複数の飛行体を、同一高さの空間セルで構成された平面内において二次元的に飛行させるよう制御することで、前記平面内での前記複数の飛行体の交通を管理する移動管理部と、をさらに備える、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項5】
前記移動管理部は、前記平面内において、前記複数の飛行体の所定の軸方向への移動を許可し、それ以外の方向への移動を許可しない、
請求項4に記載の飛行管理装置。
【請求項6】
前記移動管理部は、前記平面内において、飛行体が前記所定の軸方向へ移動するための複数のレーンを設定し、前記複数のレーンにおいては、前記飛行体の飛行の基準速度が異なる、
請求項5に記載の飛行管理装置。
【請求項7】
前記移動管理部は、前記平面内において、飛行体が前記所定の軸方向へ移動するための複数のレーンを設定し、時刻情報、日付情報の少なくともいずれかを用いて、前記複数のレーンの移動方向を決定する、
請求項5に記載の飛行管理装置。
【請求項8】
前記空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリをさらに備え、
前記飛行管理装置は、前記複数の空間セルが位置する場所又は時間情報の少なくともいずれかに応じて、前記複数の空間セルの大きさを変更することができる、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項9】
前記空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリをさらに備え、
前記飛行体には、所定の優先度が設定されており、前記飛行管理装置は、所定の空間セルへの移動、又は、所定の空間セルから所定の方向への移動を、優先度が高い飛行体には許可するが、優先度が低い飛行体には許可しない、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項10】
前記空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリをさらに備え、
前記飛行管理装置は、飛行に適さない天候が生じた地域を構成する所定の空間セル、又は、周囲の空間セルにおける飛行体の密度が閾値以上である所定の空間セルへの前記1の飛行体の移動の可否を、所定の条件に応じて切り替える、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項11】
前記空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリをさらに備え、
前記飛行管理装置は、前記1の飛行体の上方にある空間セルへの移動の可否を、前記1の飛行体のリアルタイムのデータ、又は前記1の飛行体に関する運転免許の状態の少なくともいずれかに応じて切り替える、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項12】
前記空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリをさらに備え、
前記飛行管理装置は、前記1の飛行体から緊急のリクエストを受信した場合に、前記1の飛行体が位置する空間セルと隣接する隣接空間セルを予約して、前記1の飛行体の前記隣接空間セルへの移動を許可する、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項13】
前記飛行管理装置は、前記空間を分割する各空間セルを正六角柱の形状に設定する、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の飛行管理装置。
【請求項14】
自身の飛行ルートを決定し、前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求める第1のリクエストを生成するリクエスト生成部と、
前記リクエスト生成部が生成した前記第1のリクエストを飛行管理装置に送信する送信部と、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されておらず、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を受信した場合に、機体を前記特定の空間セルに移動させ、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されており、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可しない不許可情報を受信した場合に、機体を前記特定の空間セルに移動させない飛行制御部と、を備え、
前記リクエスト生成部は、前記飛行管理装置から受信した不許可情報に基づいて、前記飛行ルートを更新する、
飛行体。
【請求項15】
前記飛行体が前記不許可情報を受信した場合に、前記リクエスト生成部は、前記特定の空間セル以外の別の空間セルに移動することの許可を求める第2のリクエストを生成し、
前記送信部は、前記リクエスト生成部が生成した前記第2のリクエストを前記飛行管理装置に送信する、
請求項14に記載の飛行体。
【請求項16】
前記リクエスト生成部は、現在位置と目的地との位置関係、天候情報、前記飛行体の飛行に必要な資源の残量、前記飛行体の速度の少なくとも1つを用いて、前記別の空間セルを決定する、
請求項15に記載の飛行体。
【請求項17】
前記飛行体が通過した空間セルの予約を解除するための第3のリクエストを生成する解除部をさらに備え、
前記送信部は、前記解除部が生成した前記第3のリクエストを前記飛行管理装置に送信する、
請求項14乃至16のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項18】
前記飛行体における緊急事態を検出する緊急検出部をさらに備え、
前記緊急検出部が前記緊急事態を検出した場合に、前記リクエスト生成部は、前記飛行体が位置する空間セルと隣接する隣接空間セルに移動することの許可を求める緊急のリクエストを生成し、
前記送信部は、前記リクエスト生成部が生成した前記緊急のリクエストを前記飛行管理装置に送信する、
請求項14乃至17のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項19】
前記飛行制御部は、前記リクエスト生成部が決定した前記飛行ルートに沿って、前記許可情報により移動が許可された前記空間セルを通るように前記機体を移動させる、
請求項14乃至18のいずれか1項に記載の飛行体。
【請求項20】
複数の飛行体と、
前記複数の飛行体を管理する飛行管理装置と、を備え、
前記複数の飛行体の各々は、
自身の飛行ルートを決定し、前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成するリクエスト生成部と、
リクエスト生成部が生成した前記リクエストを前記飛行管理装置に送信するリクエスト送信部と、を有し、
前記飛行管理装置は、
前記複数の飛行体のうちの1の飛行体から前記リクエストを受信する受信部と、
前記受信部が前記リクエストを受信したときに、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定する判定部と、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない許可部と、を有する、
飛行管理システム。
【請求項21】
前記飛行管理システムは、第1及び第2の前記飛行管理装置を備え、
前記第1及び第2の飛行管理装置の各々は、空間が分割された複数の空間セルの予約状態を記憶するメモリを有し、前記第1及び第2の飛行管理装置が各々前記予約状態を記憶する対象となる第1及び第2の空間は、異なる空間であって、
前記第1の飛行管理装置は、
前記第2の空間から第1の空間に向かって飛行する飛行体を認識し、前記第1の空間内の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを前記受信部が前記飛行体から受信した場合に、
前記判定部は、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されているかを判定し、
前記許可部は、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと前記判定部が判定した場合に、前記飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない、
請求項20に記載の飛行管理システム。
【請求項22】
前記飛行管理装置は、
前記許可部が前記特定の空間セルへの移動を許可又は拒否する場合に、前記飛行体の飛行ルートを提案するルート提案部をさらに備え、
前記飛行体の前記リクエスト生成部は、前記ルート提案部が提案した前記飛行ルートの全て又は一部に同意することによって、前記飛行ルートを決定する、
請求項20又は21に記載の飛行管理システム。
【請求項23】
前記複数の飛行体の各々は、
前記リクエストにかかる前記特定の空間セルの位置情報を公開鍵で暗号化する暗号処理部と、各飛行体の飛行を制御する飛行制御部と、をさらに備え、
前記飛行管理装置は、
前記許可部が前記飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない場合に、前記飛行体が代わりに移動する空間セルの位置情報を前記飛行体に送信する位置情報送信部をさらに備え、
前記飛行体の前記リクエスト送信部は、前記特定の空間セルの暗号化された位置情報が含まれた前記リクエストを前記飛行管理装置に送信し、
前記飛行管理装置において、前記受信部は、前記特定の空間セルの暗号化された位置情報を含む前記リクエストを受信し、前記判定部が、暗号化された表現で示された前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると判定した場合に、前記許可部は、前記飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可せず、前記位置情報送信部は、代わりに移動する空間セルの位置情報を、暗号化された表現で前記飛行体に送信し、
前記飛行体の前記暗号処理部は、秘密鍵を用いて、暗号化された状態で送信された前記空間セルの位置情報を復号し、前記飛行制御部は、復号された前記位置情報が示す位置に前記飛行体を移動させる、
請求項20乃至22のいずれか1項に記載の飛行管理システム。
【請求項24】
複数の飛行体を備え、
前記複数の飛行体の各々は、
ピア・ツー・ピアの通信方式を用いて、他の飛行体と通信することにより、自機及び前記他の飛行体が含まれる分散型システムを形成する通信部と、
前記通信部に対し、所定の重み付けがなされた空間中の特定の空間セルに関する自機の投票を前記他の飛行体へ送信させる裁定部と、を有し、
最も重い重み付けがなされた投票を送信した前記飛行体の前記裁定部は、前記特定の空間セルをいずれの飛行体に割り当てるかの裁定を実行する、
分散型システム。
【請求項25】
前記裁定部は、ブロックチェーンの技術を用いて前記裁定を実行する、
請求項24に記載の分散型システム。
【請求項26】
前記裁定部は、前記飛行体の飛行ルート、進行方向、前記特定の空間セルまでの距離、ステータス情報、優先度、前記特定の空間セルの占有状態又は前記特定の空間セルの割り当て状態の少なくともいずれかを用いて、前記所定の重み付けを決定する、
請求項24又は25に記載の分散型システム。
【請求項27】
複数の飛行体のうちの1の飛行体から、前記飛行体が決定した前記飛行体の飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信し、
前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定し、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない、
飛行管理方法。
【請求項28】
自身の飛行ルートを決定し、
前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成し、
前記リクエストを飛行管理装置に送信し、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されておらず、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させ、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されており、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可しない不許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させないように制御し、
前記飛行管理装置から受信した不許可情報に基づいて、前記飛行ルートを更新する、
飛行制御方法。
【請求項29】
複数の飛行体のうちの1の飛行体から、前記1の飛行体が決定した前記1の飛行体の飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信し、
前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定し、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項30】
自身の飛行ルートを決定し、
前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成し、
前記リクエストを飛行管理装置に送信し、
前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されておらず、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させ、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されており、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可しない不許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させないように制御し、
前記飛行管理装置から受信した不許可情報に基づいて、前記飛行ルートを更新する、
ことをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行管理装置、飛行体、飛行管理システム、分散型システム、飛行管理方法、飛行制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ドローンや飛ぶ車といった飛行体に関する技術が進展している。例えば、特許文献1には、経路制御装置が、分割された空間であるブロックで表される移動体のルートを決定することが開示されている。具体的には、複数の移動体の移動経路に共通のブロックがある場合に、経路制御装置は、複数の移動体のうち1の移動体の移動経路を変更して、その移動体が共通の時間帯にその共通のブロックを通過しないようにする。このようにして、経路制御装置は、移動体の移動経路を生成する。
【0003】
特許文献2には、その他の関連する技術として、管理モジュールが移動駆動ユニットから移動先のセグメントの予約のリクエストを受信した場合に、そのセグメントをその移動駆動ユニット用に予約することが開示されている。この予約処理により、管理モジュールは、移動駆動ユニット同士の衝突を防止する。
【0004】
また、特許文献3には、中央ステーションが移動駆動ユニットのために移動先のゾーンを予約し、空間アロケータとして動作することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-066381号公報
【特許文献2】米国特許第7912574号明細書
【特許文献3】米国特許第10591931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドローンや飛ぶ車といった飛行体は、飛行中に方向を転換したり、緊急の着陸をしたりする必要がある場合が想定される。このような場合に、飛行体が他の飛行体との距離を保ち、安全に飛行できるようにガイドする管理方法が望まれる。
【0007】
本開示は、飛行体の安全性を向上することができる飛行管理装置、飛行体、飛行管理システム、分散型システム、飛行管理方法、飛行制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の例示側面では、飛行管理装置は、複数の飛行体のうちの1の飛行体から、前記1の飛行体が決定した前記1の飛行体の飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信する受信部と、前記受信部が前記リクエストを受信したときに、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定する判定部と、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない許可部を備える。
【0009】
第2の例示側面では、飛行体は、自身の飛行ルートを決定し、前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成するリクエスト生成部と、前記リクエスト生成部が生成した前記リクエストを飛行管理装置に送信する送信部と、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されておらず、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を受信した場合に、機体を前記特定の空間セルに移動させ、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されており、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可しない不許可情報を受信した場合に、機体を前記特定の空間セルに移動させない飛行制御部を備え、前記リクエスト生成部は、前記飛行管理装置から受信した不許可情報に基づいて、前記飛行ルートを更新する。
【0010】
第3の例示側面では、飛行管理システムは、複数の飛行体と、前記複数の飛行体を管理する飛行管理装置を備え、前記複数の飛行体の各々は、自身の飛行ルートを決定し、前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成するリクエスト生成部と、リクエスト生成部が生成した前記リクエストを前記飛行管理装置に送信するリクエスト送信部を有し、前記飛行管理装置は、前記複数の飛行体のうちの1の飛行体から前記リクエストを受信する受信部と、前記受信部が前記リクエストを受信したときに、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定する判定部と、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると前記判定部が判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しない許可部を有する。
【0011】
第4の例示側面では、分散型システムは、複数の飛行体を備え、前記複数の飛行体の各々は、ピア・ツー・ピアの通信方式を用いて、他の飛行体と通信することにより、自機及び前記他の飛行体が含まれる分散型システムを形成する通信部と、前記通信部に対し、所定の重み付けがなされた空間中の特定の空間セルに関する自機の投票を前記他の飛行体へ送信させる裁定部を有し、最も重い重み付けがなされた投票を送信した前記飛行体の前記裁定部は、前記特定の空間セルをいずれの飛行体に割り当てるかの裁定を実行する。
【0012】
第5の例示側面では、飛行管理方法は、複数の飛行体のうちの1の飛行体から、前記1の飛行体が決定した前記1の飛行体の飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信し、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定し、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しないものである。
【0013】
第6の例示側面では、飛行制御方法は、自身の飛行ルートを決定し、前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成し、前記リクエストを飛行管理装置に送信し、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されておらず、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させ、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されており、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可しない不許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させないように制御し、前記飛行管理装置から受信した不許可情報に基づいて、前記飛行ルートを更新するものである。
【0014】
第7の例示側面では、プログラムは、複数の飛行体のうちの1の飛行体から、前記1の飛行体が決定した前記1の飛行体の飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信し、前記特定の空間セルの予約状態に基づいて、前記特定の空間セルが前記複数の飛行体のうちの他の飛行体に既に予約されているかを判定し、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されていないと判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可し、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されていると判定した場合には、前記1の飛行体の前記特定の空間セルへの移動を許可しないことをコンピュータに実行させる。
【0015】
第8の例示側面では、プログラムは、自身の飛行ルートを決定し、前記飛行ルート上にある空間中の特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成し、前記リクエストを飛行管理装置に送信し、前記特定の空間セルが他の飛行体に予約されておらず、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させ、前記特定の空間セルが他の飛行体に既に予約されており、前記飛行管理装置から前記特定の空間セルへの移動を許可しない不許可情報を受信した場合には、機体を前記特定の空間セルに移動させないように制御し、前記飛行管理装置から受信した不許可情報に基づいて、前記飛行ルートを更新することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示により、飛行体の安全性を向上することができる飛行管理装置、飛行体、飛行管理システム、分散型システム、飛行管理方法、飛行制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1にかかる飛行管理装置10のブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる複数の空間セルの概略図である。
【
図3】実施の形態1にかかる飛行管理装置10により実行される方法を示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態1にかかる飛行管理システムM1のブロック図である。
【
図5】実施の形態2にかかる飛行管理装置30のブロック図である。
【
図6】実施の形態2にかかる飛行体40のブロック図である。
【
図7】実施の形態3にかかる飛行管理装置50のブロック図である。
【
図8】実施の形態3にかかる飛行体60のブロック図である。
【
図9】実施の形態3にかかる飛行管理システムF3により実行される処理を示すシーケンス図である。
【
図10A】実施の形態3にかかる飛行体60が飛行中の空間セルC1及びその周辺の空間セルを表した模式図の一例である。
【
図10B】実施の形態3にかかる飛行体60が飛行中の空間セルC1及びその周辺の空間セルを表した模式図の他の例である。
【
図11】実施の形態3にかかる空間セル予約方法を用いた飛行体60の移動経路を示す模式図である。
【
図12】実施の形態4にかかる飛行体60のブロック図である。
【
図13】実施の形態5にかかる飛行管理装置50のブロック図である。
【
図14】実施の形態5にかかる交通管理方法を示す第1の模式図である。
【
図15】実施の形態5にかかる平面P1及びレーンD11~D14を示す模式図である。
【
図16】実施の形態5において、飛行体が地上の出発地Dから目的地Eまで飛行する場合の経路例を示した模式図である。
【
図17】実施の形態5において、平面のセットを示した模式図である。
【
図18】実施の形態5にかかる交通管理方法を示す第2の模式図である。
【
図19】実施の形態5にかかる交通管理方法を示す第3の模式図である。
【
図20A】実施の形態5にかかるレーンD102を示す模式図の一例である。
【
図20B】実施の形態5にかかるレーンD102を示す模式図の他の例である。
【
図21】実施の形態5において、
図19から時間が経過した場合における平面P9内の交通状態を示す模式図である。
【
図22】実施の形態5にかかる交通管理方法を示す第4の模式図である。
【
図23】実施の形態5にかかる交通管理方法を示す第5の模式図である。
【
図24】実施の形態7において、複数の飛行管理装置を接続することによって構成されるシステムの模式図である。
【
図25A】実施の形態8において、空間の分割方法を示す第1の概略図である。
【
図25B】実施の形態8において、空間の分割方法を示す第2の概略図である。
【
図26】実施の形態9にかかる飛行管理装置70のブロック図である。
【
図27】実施の形態9にかかる飛行体80のブロック図である。
【
図28A】実施の形態11にかかる飛行体40が位置する空間の一例を示す。
【
図28B】実施の形態11にかかる決定されたルートの上面図である。
【
図28C】実施の形態11にかかる決定されたルートの側面図である。
【
図28D】実施の形態11にかかる予約対象の空間セルを示した図である。
【
図29A】実施の形態11にかかる時空の模式図である。
【
図29B】実施の形態11において、飛行体が通過する飛行ルートを示す第1の模式図である。
【
図29C】実施の形態11において、飛行体が通過する飛行ルートを示す第2の模式図である。
【
図29D】実施の形態11において、各サブルートに沿って飛行ルートとして割り当てられた空間セルを示した模式図である。
【
図30A】実施の形態12において、空間セルを正六角柱とした場合の空間充填構造を示す模式図である。
【
図30B】実施の形態12において、空間セルを正六角柱とした場合の利点を示す模式図である。
【
図30C】実施の形態12において、空間セルを正三角柱とした場合の空間充填構造を示す模式図である。
【
図31】実施の形態13にかかる飛行体40’のブロック図である。
【
図32A】実施の形態13において、複数の飛行体の空間内における位置を示す第1の模式図である。
【
図32B】実施の形態13において、複数の飛行体の空間内における位置を示す第2の模式図である。
【
図32C】実施の形態13において、2機の飛行体の空間内における裁定を示す模式図である。
【
図32D】実施の形態13において、4機の飛行体の空間内における裁定を示す模式図である。
【
図32E】実施の形態13において、2機の飛行体の空港周辺での空間内における裁定を示す模式図である。
【
図32F】実施の形態13にかかる飛行管理システムM2のブロック図である。
【
図32G】複数の飛行管理装置によって管理される2つの空間領域と他の空間領域を含むシステムの模式図である。
【
図33A】実施の形態14にかかる飛行管理システムM3のブロック図である。
【
図33B】実施の形態14にかかる飛行体60’のブロック図である。
【
図33C】実施の形態14にかかる、暗号化された空間及び実空間における空間セルの状態の一例を示す模式図である。
【
図34】飛行管理装置、飛行体又は地域コントローラサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態1
(1-1)
以下、図面を参照して本開示の実施の形態1について説明する。
【0019】
図1は、飛行管理装置10のブロック図である。飛行管理装置10は、メモリ11、判定部12及び許可部13を備える。飛行管理装置10は、一般的なコンピュータで構成され得るものであり、コントローラ装置や交通管制装置等として適用され得る。以下、飛行管理装置10の各部の詳細について説明する。
【0020】
メモリ11は、分割された空間である複数の空間セルにおける、複数の飛行体の空間セルの予約状態を記憶する。複数の飛行体は、飛行管理装置10に管理されるものであり、複数の空間セル内を飛行する。飛行体は、ドローン、飛ぶ車、飛行機等、任意の飛行可能な機器である。
【0021】
図2は、分割された空間である複数の空間セルの概略図である。空間Sは、複数の飛行体の飛行を管理するため、一辺が長さAである立方体形状の複数の空間セルCに分割される。各空間セルCは、3次元空間の6方向において、別の空間セルと隣接している。また、飛行管理装置10が飛行体の位置を認識するために、各空間セルCは、別の空間セルCと連続して設定されている。飛行体60は、1個の空間セルCから、その空間セルCと面が向かい合い、隣接している空間セルCに移動することによって、空間Sを飛行する。また、ここでは、1つの空間セルCに対し、1機の飛行体の予約が許可される。即ち、1つの空間セルCの飛行が許可されるのは、1機の飛行体となる。
【0022】
空間セルCの予約状態には、予約される空間セルCの位置情報が少なくとも含まれる。また、予約済の空間セルCは、例えば、飛行体が現在又は将来飛行する対象となる空間セルであることを意味する。ただし、飛行体以外の対象物について、空間セルCが予約されていても良い。
【0023】
飛行管理装置10は、各空間セルCを、例えば空間座標によって特定することができる。また、ビル等の建造物が空間S内に存在し、飛行できない領域が発生する場合には、飛行管理装置10は、その領域を飛行不可領域としてメモリ11に格納しても良い。飛行不可領域は、例えば、建造物が全部または一部を占める空間セル、又は飛行禁止区域として分類されるものであっても良いし、そのような空間セルの近傍の空間セル(例えば隣接する空間セル)がさらに含まれても良い。
【0024】
図2では、空間Sは空間セルCによって、x方向・y方向・z方向にそれぞれ6等分されているが、空間Sの各方向の分割方法はこれに限られない。空間セルCの辺の長さAは、一定であっても良いし、後述のとおり、状況に応じて飛行管理装置10が変化しても良い。また、空間セルCは、空間Sを充填するものであれば、立方体形状でなく、直方体、球体又はその他の立体図形であっても良い。
【0025】
図1に戻り、説明を続ける。判定部12は、複数の飛行体のうちの1の飛行体から、特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信した場合に、メモリ11に記憶された予約状態を用いて、特定の空間セルが既に予約されているかを判定する。他の飛行体が特定の空間セルを飛行中か、又は特定の空間セルに向けて移動する場合に、特定の空間セルが既に予約されている状態となる。
【0026】
許可部13は、特定の空間セルが予約されていないと判定部12が判定した場合には、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可する。特定の空間セルが予約されていない場合には、飛行体がその特定の空間セルに移動しても、他の飛行体と接触しないと考えられるからである。しかしながら、特定の空間セルが予約されていると判定部12が判定した場合には、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可しない。特定の空間セルが予約されている場合には、飛行体がその特定の空間セルに移動すると、他の飛行体と接触する可能性があるからである。
【0027】
図3は、飛行管理装置10により実行される飛行管理方法を示すフローチャートである。以下、
図3を用いて、飛行管理装置10により実行される方法を説明する。
【0028】
まず、飛行管理装置10は、メモリ11に対して、複数の空間セルCにおける予約状態を記憶させる(ステップS11)。例えば、飛行管理装置10は、飛行体からリクエストがあった空間セルを予約済とし、それ以外の空間セルを未予約のものと決定して、予約状態を記憶させても良い。飛行管理装置10は、その方法に代えて、又はその方法と併用して、飛行体が飛行できない空間セルを予約済の空間セルとし、それ以外の空間セルを未予約のものと決定して、予約状態を記憶させても良い。「飛行体が飛行できない空間セル」は、建造物が存在することにより飛行が制限される区域、緊急用の飛行体の通行が想定されるため、一般の飛行体の飛行が制限される区域、等が想定されるが、これに限られない。
【0029】
次に、判定部12は、飛行体から、特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを受信した場合に、メモリ11に記憶された予約状態を用いて、特定の空間セルが既に予約されているかを判定する(ステップS12)。例えば、飛行体と飛行管理装置10は、空間セルを共通の座標系で認識しても良い。飛行体が予約対象である特定の空間セルの座標を飛行管理装置10に送信した場合に、飛行管理装置10は、送信された座標に基づいて、判定対象である特定の空間セルを認識する。
【0030】
そして、許可部13は、特定の空間セルが予約されていないと判定部12が判定した場合には(ステップS12のNo)、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可する(ステップS13)。この場合、飛行管理装置10は、要求を送信した飛行体に対して移動を許可する許可情報を送信することができる。飛行管理装置10は、例えば、通信回路(図示せず) を用いて許可情報を送信することができる。
【0031】
一方、許可部13は、特定の空間セルが予約されていると判定部12が判定した場合には(ステップS12のNo)、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可せず、拒否する(ステップS14)。
【0032】
ステップS13で、飛行管理装置10は、リクエストを送信した飛行体に対し、移動を許可する許可情報を送信することができる。同様に、ステップS14で、飛行管理装置10は、リクエストを送信した飛行体に対し、移動を拒否する拒否情報(不許可情報)を送信することができる。飛行管理装置10は、例えば通信回路(図示せず)を用いて、許可又は拒否情報を送信しても良い。
【0033】
以上のように、飛行管理装置10は、飛行体からのリクエストに応じて、飛行体が飛行する予定となる空間セルへの移動を許可又は拒否することができる。例えば、飛行体が飛行中に方向を転換したり、緊急の着陸をしたりするような場合でも、飛行管理装置10は、飛行体が急遽移動することになった空間セルが予約されている場合に、飛行体の移動を拒否することができる。したがって、飛行体が他の飛行体と接近することが抑制されるため、安全に飛行できる。
【0034】
なお、判定部12は、ステップS12の処理と並行して、又はステップS12の処理の前後において、特定の空間セルが飛行不可領域に該当するか否かを判定しても良い。特定の空間セルが飛行不可領域に該当する場合に、許可部13は、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可せず、拒否する。したがって、飛行体が建造物と接近することが抑制されるため、安全に飛行できる。
【0035】
また、予約状態は、空間S中の全ての空間セルについて予約の有無を示すものでも良いし、飛行体からリクエストがあった空間セルを含む、空間の一部について予約の有無を示すものであっても良い。さらに、予約状態は、飛行管理装置10のメモリ11でなく、外部から飛行管理装置10に入力されるものでも良い。
【0036】
(1-2)
ここでは、実施形態1に係る飛行管理システムについて説明する。
図4は、飛行管理システムM1のブロック図である。飛行管理システムM1は、飛行管理装置10及び複数の飛行体20を備える。飛行管理装置10の構成は、上述の通りであるため、説明を省略する。
【0037】
各飛行体20は、リクエスト生成部21と、送信部22と、飛行制御部23を備える。複数の飛行体20は、例えば、オペレータによって飛行管理装置10に事前に登録されることで、飛行管理装置10との通信が実行可能となる。なお、飛行体20は、飛行のためのエンジン部、又はプロペラ等の浮力生成部を適宜備えているが、ここでは詳細に説明しない。飛行管理装置10と飛行体20との通信は、例えば専用のプロトコルによって実施可能である。
【0038】
リクエスト生成部21は、複数の空間セルにおける特定の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを生成する。「特定の空間セル」は、飛行体20が現在飛行する空間セルと隣接する空間セルであっても良いし、現在飛行する空間セルと隣接する空間セルでなくても良い。
【0039】
送信部22は、飛行管理装置10との通信が可能であり、リクエスト生成部21が生成したリクエストを送信する。飛行体20は、通常の飛行中、次の行き先である空間セルを決定し、その空間セルへの移動許可に関するリクエストを、送信部22を用いて送信しても良い。又は、飛行体20は、例外的な事態が生じたことを認識し、予定されたルートの空間セルでなく別の空間セルに向かう場合に、その空間セルへの移動許可に関するリクエストを、送信部22を用いて送信しても良い。
【0040】
飛行体20からリクエストを受信した飛行管理装置10は、メモリ11に記憶された予約状態を用いて、特定の空間セルが既に予約されているかを判定する。そして、予約状態に基づいて、飛行体のその空間セルへの移動を許可又は拒否する。この詳細については、上述の通りである。
【0041】
飛行制御部23は、リクエストに応じて、飛行管理装置10から特定の空間セルへの移動を許可する許可情報を飛行体20が受信した場合には、飛行体20の機体を特定の空間セルに移動させる。しかしながら、飛行制御部23は、特定の空間セルへの移動を許可しない拒否情報を飛行体20が受信した場合には、機体を特定の空間セルに移動させない。なお、飛行制御部23は、上述のエンジン部、浮力生成部を制御することで、機体を移動させる。
【0042】
飛行体20がこのような飛行制御方法を実行することで、飛行体20は安全に飛行することができる。なお、飛行体20がリクエストの対象とする空間セルは、1個でも良いし、複数個であっても良い。
【0043】
実施の形態2
(2-1)
以下、図面を参照して本開示の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、飛行管理装置又は飛行体が、諸般の状況に応じ飛行体の飛行ルートを決定する実施形態を説明する。飛行ルートは、飛行体が、どの空間セルCをいつ飛行するかを示すナビゲーショナルな情報であり、位置情報と時間情報の組み合わせで表現される。
【0044】
図5は、飛行管理装置30のブロック図である。飛行管理装置30は、メモリ31、データ取得部32、ルート生成部33及び送信部34を備える。
【0045】
メモリ31には、飛行管理装置30が管理する空間Sを分割する複数の空間セルCが、座標等により特定可能な形式で記憶されている。また、メモリ31には、ルート生成部33で生成された各飛行体の飛行ルートが記憶されていても良い。また、ビル等の建造物が空間S内に存在し、飛行できない領域が発生する場合には、飛行管理装置30は、その領域を飛行不可領域としてメモリ31に格納しても良い。
【0046】
また、メモリ31には、メモリ11と同様に、複数の飛行体の空間セルの予約状態が記憶されていても良い。ここで記憶される予約状態には、予約される空間セルCの位置情報だけでなく、空間セルCが予約される時間帯の情報が含まれていても良い。
【0047】
データ取得部32は、飛行体の飛行ルート決定に用いるデータを取得するものであり、例えば飛行体又は外部ネットワークとの通信を実行する通信部で構成される。取得されるデータは、飛行ルートの出発地及び目的地のほか、飛行体の飛行に必要な資源の残量、飛行体の優先度、出発地と目的地との間の天候情報等の少なくともいずれかが挙げられる。なお、飛行体の飛行に必要な資源の残量は、バッテリー残量として以下では説明するが、燃料の残量等、他のものであっても良い。これ以外にも、データ取得部32は、飛行体の識別情報、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムによる飛行体の位置情報を取得することができるが、データ取得部32が取得可能な情報はこれらに限られない。データ取得部32は、バッテリー残量等、飛行体の本体及び内部機器に関するテレメトリデータを、飛行体から通信で取得できる。
【0048】
例えば、データ取得部32は、飛行ルート生成対象となる飛行体から、出発地を離陸する前に、旅程の出発地(現在位置)及び目的地と、バッテリー残量及び飛行体の優先度の情報を取得する。さらに、データ取得部32は、飛行体から飛行中、定期的又は間欠的に、バッテリー残量、現在の速度等を含むリアルタイムのデータを取得しても良い。また、出発地と目的地との間の天候は、外部ネットワークとの通信で取得できる。
【0049】
なお、飛行体の優先度は、以下の意味を示す。例えば、ある飛行体の優先度が「高」であり、別の飛行体の優先度が「低」であって、その飛行体の飛行ルートが別の飛行体の飛行ルートと重複しているときに、その飛行体は、少なくとも重複している区間において、別の飛行体に対して優先して(例えば、時系列的に先に)飛行可能である。しかしながら、ある飛行体の優先度が「低」であれば、その飛行体は、別の飛行体に対して優先して(例えば、時系列的に先に)飛行可能ではない。優先度は、後述の通り、特定の空間セルの割り当て状態、割り当て可能な空間セルの数などを決定するために使用され得る飛行体のプロパティである。優先度が「高」である飛行体は、例えば、警察、消防、救急等の緊急又は重要な用途に用いられる飛行体であり、優先度が「低」である飛行体は、一般に用いられる飛行体である。また、飛行管理装置30は、バッテリー残量が所定値未満の飛行体40の優先度を「高」とし、他の飛行体40の優先度を「低」と設定しても良い。
【0050】
ルート生成部33は、メモリ31に格納された情報、及びデータ取得部32が取得したデータを用いて、各飛行体の飛行ルートを決定するナビゲーションユニットである。本来、各飛行体の飛行ルートは、各飛行体の出発地から目的地まで、飛行不可領域以外の空間セルが最短距離で結ばれた構成とすることが理想である。しかしながら、安全上、各飛行体の飛行ルートは、他の飛行体の飛行ルートと、接近し過ぎないように設定されるのが好ましい。言い換えれば、ニアミスが防止されることが好ましい。ここで、ニアミスとは、2機の飛行体が所定の距離未満に近接することを意味していても良いし、所定の空間セルに対して、2機の飛行体が同じタイミングで存在することを意味しても良い。ルート生成部33は、メモリ31に記憶された、既に生成された他の飛行体の飛行ルートを用いて、飛行体の飛行ルートがニアミスとならないように、飛行ルートを生成しても良い。
【0051】
また、ルート生成部33は、メモリ31に格納された空間セルCの予約状態を用いて、他の飛行体が予約済の空間セルと重ならないように、飛行体の飛行ルートを生成しても良い。なお、飛行ルートが予約済の空間セルと重ならないとは、例えば、飛行ルートが予約済の空間セルを通過しないことを意味しても良い。
【0052】
さらに、記憶される予約状態に、空間セルCが予約される時間帯の情報が含まれる場合、ルート生成部33は、飛行ルートが予約済の空間セルを通過する場合、空間セルにおいて予約済となる時間帯を回避するように、飛行ルートを生成しても良い。飛行体の安全性を確保するためには、飛行ルートが予約済の空間セルを通過する時間帯と、その空間セルにおいて予約済となっている時間帯との間に、マージン時間を設定することが好ましい。
【0053】
また、飛行体のバッテリー残量、天候等の事情により、最短距離以外のルートを設定することが望ましい場合がある。例えば、最短距離の飛行ルートと比較して、別の飛行ルートにおけるバッテリー消費量が少ないと予測されるのであれば、ルート生成部33は、後者の飛行ルートを設定することができる。例えば、ルート生成部33は、飛行体のバッテリー残量が所定値未満である場合に、候補となる飛行ルートのバッテリー消費量をそれぞれ算出し、バッテリー消費量が最低となる飛行ルートを選択しても良い。ルート生成部33は、メモリ31に格納された空間Sの飛行不可領域以外の飛行可能領域、及び出発地と目的地との間の天候情報(例えば、降雨の有無や、風速及び風向情報)を用いて、バッテリー消費量の予測をしても良い。
【0054】
また、天候によっては、最短距離の飛行ルートと比較して、別の飛行ルートにおける出発地から目的地までの所要時間が短くなる場合も想定される。このような場合にも、ルート生成部33は、後者の飛行ルートを設定することができる。
【0055】
さらに、出発地から目的地までの間に、ビル等の建築物があり、飛行に支障が生じる風が生じ得る場合には、ルート生成部33は、建築物の影響も考慮して、建築物によって生じる風を回避するルート、又は建築物により風が回避されるルートを導出しても良い。
【0056】
さらに、飛行体の優先度が高い場合と低い場合とで、上述の飛行ルート生成方法を変更することができる。飛行ルート生成対象となる飛行体の優先度が「高」である場合には、ルート生成部33は、距離が最短となる飛行ルート、バッテリー消費量が最低となる飛行ルート、又は所要時間が最短となる飛行ルートのうちいずれかを導出した場合、優先度が「低」の他の飛行体の飛行ルート又は予約状態に関わらず、導出済の飛行ルートを、対象となる飛行体の飛行ルートに設定することができる。すなわち、優先度が「高」である飛行体の飛行ルートを、優先度が「低」である飛行体の飛行ルートよりも優先して設定することができる。
【0057】
この場合、優先度「低」であって、その飛行ルートが設定された飛行ルートとニアミスとなる飛行体について、ルート生成部33は、再度飛行ルートを設定し直す。また、優先度「低」の飛行体において、ニアミス箇所となった空間セルの予約を取り消す。なお、導出済の飛行ルートが、既に設定された優先度「高」の飛行体の飛行ルートとニアミスとなる場合には、ルート生成部33は、ニアミスとならないように、導出済の飛行ルートを変更する。
【0058】
ルート生成部33は、既に生成された飛行体の飛行ルート、空間セルCの予約状態、飛行体のバッテリー残量、天候情報、飛行体の優先度のうち1つ以上の情報を用いて、各飛行体の飛行ルートを生成することができる。送信部34は、生成した飛行ルートの情報を、飛行体に送信する。飛行体は、送信された飛行ルートを用いて、出発地から目的地まで飛行する。また、ルート生成部33が生成した飛行ルートは、メモリ31に格納される。
【0059】
飛行管理装置30は、飛行ルートを生成対象とする飛行体が地上で停止した状態だけでなく、飛行中であっても、現在位置と目的地までの飛行ルートを生成又は更新しても良い。例えば、飛行体には、降雨、又は風速及び風向情報が測定可能なセンサが設けられており、飛行管理装置30は、そのセンサから得た情報を、飛行体の通信部を経由して取得する。また、飛行体は、自身のバッテリー残量を飛行管理装置30に送信しても良い。
【0060】
飛行管理装置30のルート生成部33は、既に生成された飛行体の飛行ルート、空間セルCの予約状態、飛行体のバッテリー残量、天候情報、飛行体の優先度のうち1つ以上の情報を用いて、各飛行体の飛行ルートを生成又は更新することができる。ここで生成又は更新される飛行ルートは、例えば、飛行体の現在位置から目的地までのバッテリー消費量又は所要時間が最短となるものであっても良い。また、メモリ31に記憶された他の飛行体の飛行ルート、又は空間セルCの予約状態の少なくともいずれかが更新され、対象となる飛行体の飛行ルートがニアミスとなった場合でも、飛行管理装置30は、飛行ルートを更新することができる。
【0061】
(2-2)
ここでは、飛行管理装置でなく、飛行体が、自身の飛行ルートを生成する例を説明する。
図6は、飛行体40のブロック図である。飛行体40は、メモリ41、データ取得部42、ルート生成部43、送信部44及び飛行制御部45を備える。
【0062】
メモリ41には、飛行体が飛行する空間Sを分割する複数の空間セルCが、座標等により特定可能な形式で記憶されている。また、ビル等の建造物が空間S内に存在し、飛行できない領域が発生する場合には、飛行管理装置30は、その領域を飛行不可領域としてメモリ31に格納しても良い。さらに、メモリ41には、飛行体の飛行に必要な資源の残量、飛行体40の優先度が格納されていても良い。
【0063】
データ取得部42は、飛行体の飛行ルート決定に用いるデータを取得するものであり、例えばセンサ、入力部、又は外部ネットワークとの通信を実行する通信部等の少なくとも1つを含んで構成される。例えば、データ取得部42は、センサによる検出又は外部ネットワークとの通信により、出発地と目的地との間の天候情報を取得することができる。また、データ取得部42は、飛行体40のセンサから、バッテリー残量等、飛行体の本体及び内部機器に関するテレメトリデータを取得できる。データ取得部42は、メモリ41から、飛行体40の優先度といった情報を取得しても良い。さらに、飛行体40が、人が搭乗できる車両である場合、ユーザが飛行体40に飛行ルートの出発地及び目的地の情報を入力することにより、飛行体40はその情報を取得することができる。
【0064】
さらに、データ取得部42は、飛行管理装置との通信により、飛行管理装置が記憶している他の飛行体の飛行ルート、他の飛行体の空間セルの予約状態の少なくとも1つを取得しても良い。
【0065】
ルート生成部43は、メモリ41に格納された情報、及びデータ取得部42が取得したデータを用いて、飛行体40の飛行ルートを決定するナビゲーションユニットである。決定する方法の詳細は、(2-1)で記載した通りであるため、説明を省略する。
【0066】
送信部44は、ルート生成部43が生成した飛行ルートの情報を飛行管理装置に送信する。飛行管理装置は、飛行ルートの情報を、その記憶部に格納する。飛行制御部45は、飛行制御部23と同様に、飛行体40の機体の移動を制御する。
【0067】
また、飛行体40は、飛行ルートを生成対象とする飛行体が地上で停止した状態だけでなく、飛行中であっても、その目的地までの飛行ルートを生成又は更新しても良い。例えば、飛行体40には、降雨、又は風速及び風向情報が測定可能なセンサが設けられており、飛行体40は、飛行中、そのセンサから天候情報を取得しても良い。また、飛行管理装置の記憶部に記憶された他の飛行体の飛行ルート、又は空間セルCの予約状態の少なくともいずれかが更新され、飛行体40の飛行ルートがニアミスとなった場合に、飛行管理装置は、飛行体40にそのことを示す情報を送信する。飛行体40は、飛行管理装置からその情報を受信し、受信した情報に基づいて、自身の飛行ルートを更新することができる。
【0068】
以上に記載した通り、飛行管理装置30又は飛行体40は、天候、空間セルの予約状態等の情報に応じて、飛行体の飛行ルートを設定することができる。そのため、飛行管理装置30又は飛行体40は、安全性、所要時間又はバッテリー消費量等に関して最適となる飛行ルートを設定することができる。
【0069】
なお、飛行体は、設定された飛行ルート上の空間セルCについて、(1-2)で示したように、その空間セルCに移動することの許可を求めるリクエストを飛行管理装置に送信しても良い。飛行管理装置は、そのリクエストに応じて、空間セルへの移動の許可又は不許可を判断する。この判断を実行するために、飛行管理装置が備える構成及び処理については、実施の形態1に記載の通りである。
【0070】
ここで、飛行体は、1回のリクエストにおいて、その飛行ルート上の全ての空間セルを予約しても良いし、飛行ルート上の一部の空間セルを予約しても良い。一例として、飛行体は、現在位置の空間セルと、予定されたルート上にある1以上の空間セルを、自身の飛行のため予約することができる。「予定されたルート上にある1以上の空間セル」は、現在位置の空間セルに隣接した隣接空間セルだけであっても良いし、その隣接空間セルに隣接した空間セルといった、飛行ルート上にあるN(N>1)個先の空間セルまで含んでいても良い。
【0071】
ただし、飛行体の優先度が「高」の場合には、優先度が「低」の場合に比較して、1回のリクエストで予約する飛行ルート上の空間セルの数を増加させても良い。例えば、飛行体の優先度が「高」の場合には、飛行ルートが設定された場合に、飛行ルート上の全ての空間セルを予約するリクエストを送信しても良い。これにより、重要度の高い飛行体の飛行ルートを確定させ、そのような飛行体を支障なく飛行させることができる。
【0072】
また、(2-1)において、飛行管理装置30は、飛行ルートを設定する飛行体の優先度が「高」の場合に、ルート生成部33が飛行ルートを生成した時点で、飛行ルート上の全ての空間セルについて、予約処理を実行しても良い。同様に、(2-2)において、優先度が「高」である飛行体40から飛行ルートが送信された場合に、飛行管理装置は、飛行ルート上の全ての空間セルについて、予約処理を実行しても良い。
【0073】
飛行管理装置30は、空間セルの予約状態に、空間セルが予約される時間帯の情報を含ませても良い。一例として、飛行管理装置30は、空間セルが予約される時間帯を、その空間セルを飛行体が通過する通過時間帯の前後に、マージンとなる時間を加えた時間帯と設定しても良い。例えば、飛行体が1個の空間セルを通過する時間をtとし、その空間セルに到達した時刻をt0とした場合には、飛行管理装置30は、マージンをtと設定し、t0-tの時刻からその空間セルが予約されるように設定しても良い。これにより、飛行体がその空間セルの手前の空間セルに到達したときに、飛行体の次の移動先である空間セルに他の飛行体がいないため、飛行体の安全性を確保することができる。
【0074】
飛行管理装置30は、空間セルを予約する飛行体の優先度が高い場合に、低い場合と比較して、マージンを長くしても良い(例えば、前者のマージンを2t、後者のマージンをtとしても良い。)。また、飛行管理装置30は、天候情報に基づいて、マージンの長さを変化しても良い。例えば、飛行管理装置30は、データ取得部32が取得した天候情報が雨天だった場合に、晴天の場合と比較して、マージンを長くしても良い。また、風速が所定値以上である場合に、所定値未満の場合と比較して、マージンを長くしても良い。マージンは、風速の増加に応じて、連続的又は階段状に増加するように設定されても良い。
【0075】
以降の実施の形態では、実施の形態1、2においてなされた処理の詳細な具体例についてさらに説明する。以降の実施の形態に記載した技術的特徴は、適宜組み合わせられることは言うまでもない。
【0076】
実施の形態3
以下、図面を参照して本開示の実施の形態3について説明する。この実施形態では、(1-2)に関して、より具体的な処理を説明する。以下に示す飛行管理装置50及び複数の飛行体60は、飛行管理システムF3を構成している。
【0077】
図7は、飛行管理装置50のブロック図である。飛行管理装置50は、メモリ51、データ取得部52、ルート生成部53、通信部54、判定部55及び許可部56を備える。
【0078】
メモリ51には、座標等により特定可能である複数の空間セルCの情報と、複数の飛行体の空間セルの予約状態と、ルート生成部53で生成された各飛行体の飛行ルートと、空間セルの予約状態が記憶される。
【0079】
データ取得部52は、データ取得部32と同様、飛行体の飛行ルート決定に用いる各種データを取得する。ルート生成部53は、ルート生成部33と同様、メモリ51に格納された情報、及びデータ取得部52が取得したデータを用いて、各飛行体の飛行ルートを決定する。
【0080】
通信部54は、後述の飛行体60又は外部ネットワークと通信をするためのインタフェースであり、送信部34の機能を含む。
【0081】
判定部55は、飛行管理装置50が、特定の1個の空間セルに移動することの許可を求めるリクエストを複数の飛行体のうちの1の飛行体から受信した場合に、メモリ51に記憶された予約状態を用いて、その空間セルが既に予約されているかを判定する。
【0082】
許可部56は、特定の空間セルが予約されていないと判定部55が判定した場合には、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可する一方、特定の空間セルが予約されていると判定部55が判定した場合には、飛行体の特定の空間セルへの移動を許可しない。
【0083】
図8は、飛行体60のブロック図である。飛行体60は、メモリ61、通信部62、リクエスト生成部63及び飛行制御部64を備える。
【0084】
メモリ61には、座標等により特定可能である複数の空間セルCの情報と、飛行体60の現在位置と、飛行体60の飛行ルートと、その飛行ルート上で飛行体60が予約した空間セルCの情報が格納される。
【0085】
通信部62は、飛行管理装置50又は外部ネットワークと通信をするためのインタフェースであり、上述の送信部22の機能を含む。特に、通信部62は、リクエスト生成部63が生成したリクエストを飛行管理装置50に送信するリクエスト送信部としても機能する。
【0086】
リクエスト生成部63は、メモリ61に記憶された飛行体60の飛行ルートと、飛行体60の現在位置に基づいて、飛行体60が予約すべき、現在位置する空間セルの隣の空間セルを選択する。リクエスト生成部63は、選択した空間セルの予約について、リクエストを生成する。
【0087】
また、リクエスト生成部63は、判定部55が飛行体60からのリクエストを拒否し、通信部54から拒否情報が送信された場合に、拒否された空間セル以外の現在位置する空間セルの隣の空間セルを選択する。リクエスト生成部63は、選択した空間セルの予約について、再度のリクエストを生成する。
【0088】
飛行制御部64は、飛行体60の機体の移動を制御する。特に、飛行制御部64は、許可情報に基づいて、許可された特定の空間セルに飛行体60の機体を移動させるように、飛行体60の各部を制御する。
【0089】
以下、
図9を用いて、実施形態3の特有の処理について説明する。
図9は、飛行管理システムF3が実行する処理を示すシーケンス図である。
【0090】
飛行体60のリクエスト生成部63は、飛行中、メモリ61に格納された飛行ルートと現在位置を参照し、飛行ルート上にある空間セルであって、現在位置する空間セルの隣の空間セルを、特定の空間セルとして選択する(ステップS31)。なお、飛行ルートは、現在の飛行体60の飛行状態が反映されたものであるため、現在位置する空間セルが含まれている。
【0091】
リクエスト生成部63は、選択した空間セルに移動する許可を求める1回目のリクエスト(第1のリクエスト)を生成する。通信部62は、このリクエストを飛行管理装置50に送信する(ステップS32)。なお、この1回目のリクエストには、飛行体60が現在いる空間セルCを示す情報(例えば位置情報)が含まれていても良い。その場合、飛行管理装置50は、メモリ51に、複数の飛行体60の現在位置を格納することができる。
【0092】
飛行管理装置50の通信部54は、1回目のリクエストを受信する。飛行管理装置50の判定部55は、このリクエストに基づき、メモリ51に記憶された予約状態を用いて、このリクエストに係る特定の空間セルが既に予約されているかを判定する。ここでは、判定部55は、特定の空間セルが予約されていると判定する。そのため、許可部56は、飛行体60の特定の空間セルへの移動を許可せず、拒否する(ステップS33)。許可部56は、通信部54を用いて、移動を拒否する拒否情報を送信する(ステップS34)。
【0093】
通信部62は、拒否情報を受信する。リクエスト生成部63は、所定のアルゴリズムに基づいて、拒否された特定の空間セル以外の空間セルであって、現在位置する空間セルに隣接した空間セルを選択する(ステップS35)。リクエスト生成部63は、選択した空間セルに移動する許可を求める2回目のリクエスト(第2のリクエスト)を生成する。通信部62は、このリクエストを飛行管理装置50に送信する(ステップS36)。
【0094】
飛行管理装置50の通信部54は、2回目のリクエストを受信する。飛行管理装置50の判定部55は、このリクエストに基づき、メモリ51に記憶された予約状態を用いて、このリクエストに係る特定の空間セルが既に予約されているかを判定する。ここでは、判定部55は、新しい特定の空間セルが予約されていないと判定する。そのため、許可部56は、飛行体60の新しい特定の空間セルへの移動を許可する(ステップS37)。許可部56は、通信部54を用いて、移動を許可する許可情報を送信する(ステップS38)。飛行制御部64は、許可情報に基づいて、飛行体60を新しい特定の空間セルへ移動させる。
【0095】
また、飛行管理装置50は、飛行体60について、ステップS37で予約を許可した特定の空間セルに関し、メモリ51に記憶する予約状態を更新する。さらに、飛行管理装置50は、飛行体60について、予約を許可した特定の空間セルを出発地とし、目的地に向かう新たな飛行ルートを生成する。この飛行ルートの生成方法については、実施形態2で記載した通りである。飛行管理装置50は、生成した飛行ルートをメモリ51に格納させるとともに、飛行体60に送信する。飛行体60は、この飛行ルートをメモリ61に格納させる。そして、飛行体60は、別の空間セルに進入する度に、メモリ61に格納された飛行ルートに基づいて、
図9に記載された処理を繰り返し行う。また、飛行管理装置50も、その度に、
図9に記載された処理を繰り返し行う。
【0096】
なお、ステップS37で、許可部56が飛行体60の特定の空間セルへの移動を許可せず、拒否した場合、飛行管理装置50は、ステップS34と同様に、移動を拒否する拒否情報を送信する。そして、飛行管理装置50及び飛行体60は、飛行管理装置50がリクエストを許可するまで、ステップS31~S36記載の処理を繰り返し実行する。
【0097】
ステップS31~S37の処理について、
図10を用いて、さらに説明する。
図10A、10Bは、飛行体60が飛行中の空間セルC1及びその周辺の空間セルを表した模式図である。
図10Aは側面図であり、空間セルC1~C5を示している。
図10Bは上面図であり、空間セルC1、C3、C4、C6及びC7を示している。空間セルC2~C7は、全て、空間セルC1に隣接する。
【0098】
飛行体60のリクエスト生成部63は、飛行体60が現在飛行中の空間セルC1に隣接しており、メモリ61に格納された飛行ルート上にある空間セルC2を選択する(ステップS31)。そして、リクエスト生成部63は空間セルC2に関する1回目のリクエストを生成し、通信部62は、そのリクエストを送信する(ステップS32)。
【0099】
飛行管理装置50の判定部55は、空間セルC2が予約されていることを判定し、許可部56は、飛行体60の空間セルC2の移動を拒否する(ステップS33)。飛行管理装置50は、空間セルC2の移動を拒否する拒否情報を送信する(ステップS34)。
【0100】
飛行体60のリクエスト生成部63は、拒否情報に基づいて、空間セルC2以外の空間セルであって、現在位置する空間セルC1に隣接した空間セルC3、C4、C5、C6及びC7の中から1個の空間セルを選択する(ステップS35)。リクエスト生成部63は、このようにして、拒否情報に基づき、飛行ルートの更新を実行する。なお、飛行管理装置50は、飛行体60に対して拒否情報を送信する場合に、飛行ルートの変更を促す通知を併せて送信し、リクエスト生成部63は、この通知を受信したことに応じて、飛行ルートの更新を実行しても良い。ステップS35において、リクエスト生成部63が空間セルC3を選択した場合、リクエスト生成部63は、空間セルC3の予約について、2回目のリクエストを生成する。通信部62は、その2回目のリクエストを飛行管理装置50に送信する(ステップS36)。飛行管理装置50の判定部55は、空間セルC3が予約されていないことを判定し、許可部56は、飛行体60の空間セルC2の移動を許可する(ステップS37)。
【0101】
ステップS36において選択対象となる空間セルC3~C7は、飛行不可領域としてメモリ61に格納されていないものである。また、リクエスト生成部63は、現在位置と目的地との間の位置関係を用いて、1個の空間セルを選択しても良い。例えば、リクエスト生成部63は、現在位置から目的地までの最短距離を構成可能な空間セルを選択することができる。さらに、リクエスト生成部63は、現在いる空間セルCの直前に飛行体60が位置した空間セルを選択対象としない、又は、選択対象としての優先度を最下位としても良い。現在いる空間セルCの直前に位置した空間セルに飛行体60が移動した場合、飛行体60は目的地までの飛行ルートを逆戻りすることになり、移動が効率的でない可能性があるからである。
【0102】
また、リクエスト生成部63は、リアルタイムのデータに基づいて、空間セルC3~C7の中から空間セルC3を選択可能である。リアルタイムのデータは、飛行体60のバッテリー残量、天候情報(例えば風速及び風向の情報)、飛行体60の現在の速度等の少なくとも1つを含んでいても良いが、これらに限られない。これらのデータは、飛行体60のセンサにより測定され、メモリ61に格納される。
【0103】
例えば、ステップS35において、風速及び風向の情報と、飛行体60の現在の速度に基づいて、リクエスト生成部63は、空間セルC3~C7の中から、空間セルC1からの移動に際してバッテリー消費が最小となる空間セルを選択することができる。この処理は、例えば、飛行体60のバッテリー残量が所定値未満の場合に実行されても良い。また、リクエスト生成部63は、ステップS35において、同様のリアルタイムのデータに基づいて、空間セルC1からの移動が最短でできる空間セルを選択しても良い。
【0104】
図11を用いて、以上に示した空間セル予約方法を用いた飛行体60の移動経路を説明する。
図11において、飛行体60は、出発地Aから目的地Bまで経路Tを経由して移動している。C11~C17で示される点は、経路T上において飛行体60が通過する空間セルCを便宜的に示したものである。
【0105】
まず、飛行体60は、出発地Aからz軸方向に移動(上昇)して、空間セルC11を経由して空間セルC12に到達する。次に、飛行体60は、y軸方向に移動して、空間セルC13に到達する。ここまでの移動は、飛行体60の飛行ルートに基づいて飛行体60が空間セルC11~C13を特定の空間セルとしてリクエストし、飛行管理装置50がそのリクエストを許可した結果である。
【0106】
次に、飛行体60は、自身の飛行ルートに基づいて、飛行体60が空間セルC14を特定の空間セルとしてリクエストする。しかしながら、飛行管理装置50は、空間セルC14が予約されていることに基づき、飛行体60の空間セルC14への移動を拒否する。ここで、飛行体60は、空間セルC14以外の空間セルであって、現在位置である空間セルC13から目的地Bまでの最短距離を構成可能な空間セルC15を選択する。飛行体60は、空間セルC15に関するリクエストを飛行管理装置50に送信する。
【0107】
飛行管理装置50は、空間セルC15が予約されていないと判定し、空間セルC15への移動を許可する。この許可情報に基づいて、飛行体60は、x軸方向に移動し、空間セルC15に到達する。ここで、飛行体60の飛行ルートは、移動対象となる空間セルが、空間セルC14からC15に変化したことにより、更新される。飛行体60は、更新された飛行ルートに沿って、空間セルC16~C17と移動し、目的地Bに到達する。
【0108】
以上のようにして、飛行体60は、最初にリクエストした空間セルCが予約済である場合に、別の空間セルCについて予約をリクエストする。これにより、飛行体60が同じ空間セルCに長期間留まらず、別の空間セルCに退避可能となる。したがって、飛行体60が現在位置している空間セルCに他の飛行体60が将来移動できるようになり、複数の飛行体60が円滑に移動できるようになる。
【0109】
なお、
図9のステップS33において、許可部56が飛行体60の特定の空間セルへの移動を許可せず、拒否したときに、判定部55が、飛行体60が次に移動する空間セルを提示しても良い。具体的には、判定部55は、拒否された空間セルC以外の空間セルで、飛行体60が現在いる空間セルCに隣接した空間セルのうち、飛行不可領域に該当せず、他の飛行体60が予約していない空間セルを特定する。この特定には、1回目のリクエストに含まれる飛行体60が現在いる空間セルCを示す情報と、メモリ51に記憶された空間セルの情報及びその予約状態が用いられる。
【0110】
判定部55が特定した空間セルCが1個である場合には、許可部56は、判定部55が特定した空間セルCを予約し、その空間セルに係る許可情報を飛行体60に通知しても良い。飛行体60は、受信した許可情報に基づいて、その空間セルに移動する。これにより、飛行管理装置50は、飛行体60を確実に退避させることができる。
【0111】
判定部55が空間セルCを複数個特定した場合には、判定部55は、通信部54を用いて、特定した複数個の空間セルCの情報を飛行体60に送信しても良い。飛行体60は、受信した複数個の空間セルCの中から1個を選択する。ここで、飛行体60は、現在位置から目的地までの最短距離が構成可能な空間セルを選択しても良い。又は、飛行体60のバッテリー残量、天候情報(例えば風速及び風向の情報)、飛行体60の現在の速度等のデータに基づいて、バッテリー消費量又は移動時間が最も有利となる1個の空間セルを選択しても良い。この手法の詳細は上述の通りである。飛行体60は、新たに選択した空間セルCについて、移動許可を求めるリクエストを飛行管理装置50に送信する。飛行管理装置50は、そのリクエストを許可する。この方法は、飛行体60が自身のリアルタイムのデータを飛行管理装置50と共有していない場合に、特に有効である。
【0112】
また、判定部55が空間セルCを複数個特定した場合には、判定部55が複数個の中で最適な1個の空間セルCを選択しても良い。判定部55が1個の空間セルCを選択する方法として、飛行体60が1個の空間セルCを選択する方法と同様のものが適用できる。
【0113】
さらに、判定部55は、メモリ51に格納された複数の飛行体60の現在位置、又は他の飛行体60が予約した空間セルの予約状態の少なくともいずれかに基づいて、他の飛行体60の現在又は将来の密度が低い方向の空間セルCを選択しても良い。つまり、判定部55は、混雑していない方向の空間セルCを選択することができる。例えば、
図10に示した例において、飛行体60が空間セルC1を飛行しているときに、判定部55が空間セルC3~C7の中から1個を選択する場合を想定する。判定部55は、空間セルC3について、空間セルC3を中心にした所定距離以内の領域にある所定の空間セルC内にいる飛行体60の数、予約済のセル数、又はその両方を算出する。判定部55は、空間セルC4-C7のそれぞれについても同様の算出を行い、空間セルC3~C7の中で最も算出値が少ない空間セルを選択することができる。また、空間セルC3と面が隣接した空間セルを空間セルC3の1隣接セル、その1隣接セルに面が隣接した空間セルを空間セルC3の2隣接セルと定義した場合に、判定部55は、空間セルC3の1~N隣接セル(Nは1以上)を含む領域について、上述の値を算出しても良い。判定部55は、空間セルC4~C7のそれぞれについても同様の算出を行い、空間セルC3~C7の中で最も算出値が少ない空間セルを選択することができる。
【0114】
飛行管理装置50は、選択した1個の空間セルCを予約し、その空間セルに係る許可情報を飛行体60に通知しても良い。その後、飛行体60は、受信した許可情報に基づいて、その空間セルに移動する。また、飛行管理装置50は、選択した1個の空間セルCを予約せずに、その空間セルCの情報を飛行体60に通知しても良い。飛行体60は、通知された情報に基づいて、通知された空間セルCを予約するためのリクエストを送信しても良い。このとき、飛行体60は、受信した空間セルC、最初にリクエストした空間セルC以外で、現在いる空間セルCに隣接した空間セルについてのリクエストを送信しても良い。
【0115】
上述の例では、ステップS37で飛行管理装置50が特定の空間セルに関して予約を許可した場合に、飛行管理装置50のルート生成部53が飛行体60の飛行ルートを決定していた。しかしながら、飛行ルートの生成には、他の例も想定される。
【0116】
例えば、 飛行管理装置50のルート生成部53は、ステップS37で飛行管理装置50が特定の空間セルに関して予約を許可した場合に、各飛行体の飛行ルートを直接的に決定しなくても良い。ルート生成部53は、許可された空間セルを出発地とする、候補となる飛行ルートを提案し、飛行体60にその候補となる飛行ルートの同意又は不同意を、通信部54を介して問い合わせるルート提案部として機能する。ここで、ルート生成部53は、他の飛行体と飛行ルートが重複しないように、候補となる飛行ルートを計算する。この計算の詳細は、(2-1)で記載した飛行ルートの設定方法と同様である。そして、飛行体60が問い合わせを受信した場合に、リクエスト生成部63がその候補となる飛行ルートについて、同意又は不同意の判定を実行する。なお、飛行管理装置50は、ステップS34で飛行体60に対して拒否情報を送信する場合にも、候補となる飛行ルートを同様に提案し、問い合わせるように制御しても良い。特に、この場合、飛行管理装置50は、飛行体60が次に移動する空間セルを判定部55が特定した場合に、その空間セルを出発地とする、候補となる飛行ルートを提案することができる。
【0117】
このとき、リクエスト生成部63は、テレメトリデータに基づいて、候補となる飛行ルートが飛行可能か否かを判定しても良い。例えば、バッテリー残量や天候情報といった情報に基づいて、飛行ルートを飛行中にバッテリー残量が所定の閾値未満となることが計算される場合に、その候補となる飛行ルートが飛行可能でないと判定し、それ以外の場合に、その飛行ルートが飛行可能と判定しても良い。また、リクエスト生成部63は、飛行体60に搭載されたセンサ、レーダー、カメラ等の検出部による検出結果から、自機の近傍における候補となる飛行ルートに他の飛行体が存在する場合に、候補となる飛行ルートが飛行可能でないと判定し、それ以外の場合に、その飛行ルートが飛行可能と判定しても良い。また、この同意又は不同意は、飛行体60の搭乗者がそのコンピュータ上で決定しても良い。
【0118】
飛行体60から同意の旨を示す信号を送信する場合、リクエスト生成部63は、メモリ61にその飛行ルートを新たな飛行ルートとして格納するか、又は以前に格納されていた飛行ルートをそのルートに更新する。飛行体60から同意の旨を示す信号を受信した場合に、ルート生成部53は、メモリ51にその飛行ルートを新たな飛行ルートとして格納するか、又は以前に格納されていた飛行ルートをそのルートに更新する。
【0119】
また、飛行体60から不同意の旨を示す信号を受信した場合に、ルート生成部53は、提案したものとは異なるルートであって、他の飛行体の飛行ルートと重複しないといった上述の条件を満たすような候補ルートを再度提案し、飛行体60にそのルートを問い合わせる。この問い合わせは、飛行体60から同意の旨を示す信号を受信するまで続けられる。リクエスト生成部63は、ルート生成部53から提案されたルートの全行程に同意しても良い。また、ルートの全行程ではないが、その一部(飛行体60の現在地と近接する、ルートの一部)として飛行体60が飛行可能となるサブルートが存在する場合には、そのサブルートに関して、同意の旨を示す信号を送信しても良い。この場合、飛行体60は、少なくともそのサブルート上を飛行することが可能となる。
【0120】
また、飛行体60は、1回のリクエストにおけるリクエスト対象を、自身の飛行ルートの一部である、複数のセルで構成されるサブルートと設定しても良い。飛行体60は、飛行体60の飛行スケジュール、バッテリー寿命、ルート上の設定された中間地点等の条件に基づいて、その条件を満たすようなサブルートが設定されるように、リクエストするセルを決定する。このリクエストを受けた際、飛行管理装置50は、あるサブルートについて、そのサブルートのいずれの空間セルについても予約されていない場合にはそのサブルートの割り当てを許可し、該当のセルを予約する。一方で、そのサブルートのいずれかの空間セルについて他の飛行体が予約している場合には、そのサブルートを拒否する。このとき、ルート生成部53は、拒否されたサブルートの全部又は一部で構成される、代替の空間セルの集合(飛行体に割り当てられる可能性のある空間セルの集合)としての、別のサブルートを生成しても良い。この代替サブルートの最初の空間セルは、飛行体60によって割り当てられたルートにおいて、拒否されたサブルートの前に存在する空間セル(例えば、サブルートが拒否された時点における、飛行体の現在又は将来の位置)に隣接したセルである。なお、飛行管理装置50は、飛行体60から、そのルートの情報を事前に受信する。また、代替サブルートの最後の空間セルは、拒否されたサブルート内の最後のスペースセルと同じとなる。飛行管理装置50は、飛行体60に対し、拒否情報とともに、生成した別のサブルートの情報を、提案用に送信する。飛行体60は、この提案について、上述のプロセスを経て、同意又は不同意の旨を示す信号を送信する。不同意の場合には、飛行管理装置50は、自身が拒否したサブルート及び飛行体60によって拒否されたサブルートとは異なる代替サブルートを、上述の方法を用いて生成し、飛行体60に提案する。この処理は、飛行体60が同意の信号を送信するまで繰り返される。
【0121】
飛行体60が同意した場合、飛行管理装置50は、同意されたサブルートの全部又は一部にかかるセルを予約する。飛行体60は、その割り当てられた空間セルを通過するように、自身に設定されたルートまたはサブルートを更新する。このようにして、飛行管理装置50のルート生成部53は、飛行体60がそのルートを決定するのを支援することができる。なお、サブルートではなく、飛行体60のルート全体についても、飛行管理装置50と飛行体60とが同様の処理を実行することで、決定されても良い。このようにして、飛行体60は、自身にとって都合の良い飛行ルート又はサブルートを、提示されたものの中から選択することで飛行することができる。
【0122】
なお、以上の例では、ルート生成部53は、1回の問い合わせで、候補となる飛行ルートを1つ問い合わせたが、1回の問い合わせで、複数の候補となるルートを問い合わせても良い。飛行体60のリクエスト生成部63は、その中で飛行可能となるルートが存在するか否かを判定し、そのようなルートが存在しない場合には、不同意の旨を示す信号を送信する。また、飛行可能となるルートが1つ存在する場合には、そのルートについて同意の旨を示す信号を送信する。さらに、飛行可能となるルートが複数存在する場合には、リクエスト生成部63は、例えば、飛行ルートの飛行におけるバッテリー使用量、飛行時間、距離の少なくともいずれかが最善となるようなルートを1つ選択して、そのルートについて同意の旨を示す信号を送信しても良い。
【0123】
このように、飛行体60がその飛行ルートを初期に設定又は変更する必要がある場合に、リクエスト生成部63は、ルート生成部53から提案された飛行ルートに同意することによって、その飛行ルートを決定するルート決定部としても機能することができる。飛行管理装置50は、メモリ51に格納された情報を用いて、管理対象である空間内の全ての飛行体の空間セルの予約状況及び飛行ルートをリアルタイムに可視化し、それを解析する計算能力を有する。そのため、この方法によると、飛行体は、自身の有するデータだけでその飛行体の飛行ルートを決定するよりも、他の飛行体の状態が考慮された、より安全な飛行ルートを決定することができる。このとき、飛行体は自身の飛行ルートを決定する主体であり、飛行管理装置は飛行体を補助する交通管制装置として機能する。
【0124】
別の例として、飛行管理装置50にルート生成部53が設けられなくても良い。例えば、飛行体60は、(2-1)に記載したようなルート生成部43を備え、ステップS37で飛行管理装置50が特定の空間セルに関して予約を許可した場合に、予約が許可された特定の空間セルを出発地とし、目的地に向かう新たな飛行ルートを飛行体60自身が生成しても良い。また、飛行管理装置50と飛行体60のいずれも、ルート生成部を備えず、飛行体の飛行ルートを策定しないようにしても良い。どちらの場合であっても、飛行管理装置50は飛行体60の飛行ルートの管理は行わない。ただし、飛行管理装置50は上述の通り、各空間セルの予約状況及び各飛行体の現在位置を把握し、飛行体60からその飛行体が飛行予定の空間セルに関するリクエストを受け付けた場合に、そのセルへの移動の許可又は拒否の処理を実行することになる。
【0125】
実施の形態4
この実施形態では、飛行体60の空間セルCの予約及び解除についてさらに説明する。
【0126】
図12は、実施の形態4における飛行体60のブロック図である。この飛行体は、メモリ61、通信部62、リクエスト生成部63、飛行制御部64のほか、解除部65を備える。解除部65以外の構成要素については、実施の形態3で説明した通りである。
【0127】
飛行体60は、少なくとも、現在自身がいる空間セルCと、その空間セルCに隣接し、将来飛行する隣接空間セルCを、リクエスト生成部63が生成したリクエストによって予約している。飛行体60が、現在自身がいる空間セルCを通過し、隣接した予約済の空間セルCに進入するときに、解除部65は、通過した空間セルCの予約を解除するリクエスト(第3のリクエスト)を生成する。通信部62は、そのリクエストを飛行管理装置50に送信する。通信部54を介してそのリクエストを受信した飛行管理装置50は、メモリ51に記憶された予約状態において、通過された空間セルCの予約状態を解除する。
【0128】
以上のようにして、飛行体60が通過済の空間セルCは、他の飛行体が予約可能となる。そのため、多数の飛行体が同時に所定の空間内を飛行することができるほか、記載された飛行体の、現在飛行体が占有しているセルから、新しく飛行体が予約したセルへの飛行経路の安全性を確実にすることができる。
【0129】
実施の形態5
以下、図面を参照して本開示の実施の形態5について説明する。
【0130】
多数の飛行体が空間中を飛行する場合、同一高さの空間セルで構成された平面内において、多数の飛行体が各々異なる方向に移動するよりも、原則として同一の軸方向に移動する方が、各飛行体が安全に飛行することができる。実施形態5では、そのような空間の管理方法について説明する。
【0131】
図13は、実施の形態5における飛行管理装置50のブロック図である。この飛行管理装置50は、メモリ51、データ取得部52、ルート生成部53、通信部54、判定部55、許可部56のほか、交通管理部57(移動管理部)を備える。交通管理部57以外の構成要素については、実施の形態3で説明した通りである。
【0132】
交通管理部57は、平面内における飛行体の飛行(交通)を、次の通り管理する。
【0133】
図14は、交通管理方法を示す第一の例である。
図14では、空間S1において、異なる高さを有する平面P1~P4の4つの平面が設定されている。平面P1~P4は、それぞれ高さ方向に空間セル1個分以上の間隔をおいて設定されており、各平面P1~P4には、同一のベクトル方向を移動方向とする一方通行のレーンが、交通管理部57によって設定されている。各レーンには、始点の空間セルCと終点の空間セルCが決められている。平面P1には、y方向を移動方向とするレーンD11~D14、平面P2には、-y方向を移動方向とするレーンD21~D24、平面P3には、-x方向を移動方向とするレーンD31~D34、平面P4には、x方向を移動方向とするレーンD41~D44が、それぞれ設定されている。
【0134】
図15は、平面P1及びレーンD11~D14を示す模式図である。平面P1のz方向の厚さ及びレーンD11~D14のx方向の幅は、空間セルCの1個分である。飛行体は、y方向に連続したレーンD11~D14のいずれかを通過することにより、y方向に向かって飛行することができる。ただし、平面P1のz方向の厚さ及びレーンD11~D14のx方向の幅は、空間セルCの複数個分あっても良い。また、1平面におけるレーンの数は、4レーンに限られない。
【0135】
レーンD11~D14は、それぞれ、飛行の基準となる速度を示す基準速度が同一であっても良いし、少なくともいずれかのレーンの基準速度が、他のレーンの基準速度と異なっていても良い。基準速度は、レーンを飛行する飛行体が要求される速度であり、飛行体は、自車の速度と基準速度との差異の絶対値が、所定の範囲内に収まるように飛行する必要がある。例えば、レーンD11、D12、D13、D14の基準速度が、それぞれ、30km/h、60km/h、90km/h、120km/hと設定されていても良い。この場合、飛行体がレーンD12を移動中により高速で移動する必要が生じた場合には、飛行体は、平面P1内で、レーンD12からレーンD13又はD14に移動する。これにより、飛行体は、より高速に移動することができる。飛行体がより低速で移動する場合には、これと逆の移動がなされる。
図14における平面P2~P4及び各平面内のレーンも、
図15に示した構成と同様の構成を有する。
【0136】
このように、交通管理部57は、1つの空間において飛行体の所定の方向への移動を許可し、他の方向の移動を許可しない。そのため、平面内における飛行体の安全な移動が可能となる。また、異なるレーンに異なる基準速度を割り当てることにより、交通における混雑を緩和することができる。さらに、飛行体が、人が搭乗する飛ぶ車である場合には、混雑に伴う乗客のフラストレーションを緩和させることもできる。
【0137】
なお、各平面の間の空間は、ある平面から別の平面に移動するための用途に用いられる。また、平面内を移動する飛行体が、次に移動する空間セルCが予約済であって移動できない場合に、飛行体は、その平面の上又は下の空間セルCの予約をリクエストとしても良い。又は、飛行管理装置が、その平面の上又は下の空間セルCを退避用の空間セルとして予約し、退避用の空間セルの情報を飛行体に送信しても良い。これらの処理の詳細は、実施形態3に記載した通りである。
【0138】
また、飛行体が平面内を飛行中、実施形態2に記載された飛行体の飛行ルートが変更された場合(すなわち、当初の飛行ルートで想定されていた平面内の移動がなくなった場合)にも、飛行体は飛行中の平面の上又は下の空間セルCに移動可能である。
【0139】
図16は、
図14に示した空間構成において、飛行体が地上の出発地Dから目的地Eまで飛行する場合の経路例を示した図である。まず、飛行体は、出発地Dから上昇して、平面P1の空間セルC21に到達する。その後、飛行体は、レーンD11を用いて空間セルC22に移動する。このとき、飛行体は、y軸方向をさらに高速に移動するために、平面P1内の空間セルC23に移動して、レーンD12に到達する。その後、飛行体は、レーンD12で空間セルC24に移動する。
【0140】
飛行体は、x方向に移動するために、空間セルC24から上昇して、平面P4の空間セルC25に到達する。その後、飛行体は、レーンD41を用いて空間セルC26に移動する。飛行体は、着陸のため空間セルC26から降下し、目的地Eに到着する。
【0141】
このように、飛行体は、同一平面上において、速度変更によるレーン変更の場合を除き、同一の方向に移動する。そのため、多数の飛行体が同一平面上で秩序立って移動することができるため、多数の飛行体が安全に飛行することができる。
【0142】
なお、平面P1~P4は、それぞれ複数設けられていても良い。
図17は、平面P1A~P4AのセットであるPAと、平面P1B~P4BのセットであるPBが設定されたことを示す図面である。平面P1A~P4A、平面P1B~P4Bは、それぞれ
図14の平面P1~P4と同じ移動方向が設定された平面である。このように、飛行体の移動方向が揃う平面が複数設定されることにより、より多数の飛行体の移動が可能になる。
【0143】
図18は、交通管理方法を示す第二の例である。
図18では、空間S2において、異なる高さを有する平面P5~P8の4つの平面が設定されている。平面P5~P8は、それぞれ高さ方向に空間セル1個分以上の間隔をおいて設定されており、各平面P5~P8には4本のレーンが、飛行管理装置によって設定されている。平面P5にはy軸方向、すなわちy方向又は-y方向(lateral direction)を移動方向とするD51~D54、平面P6にはx軸方向、すなわちx方向又は-x方向(linear direction)を移動方向とするレーンD61~D64、平面P7にはy方向又は-y方向を移動方向とするレーンD71~D74、平面P8にはx方向又は-x方向を移動方向とするレーンD81~D84が、それぞれ設定されている。
【0144】
平面P5は、y方向又は-y方向を移動方向とするための平面であり、レーンD51、D52の移動方向はy方向、レーンD53、D54の移動方向は-y方向である。レーンD51、D52のそれぞれの基準速度は同じでも良いし、異なっていても良い。レーンD51、D52のそれぞれの基準速度が異なる場合には、上述の通り、速度変更のために一方のレーンから他方のレーンに移動することが認められる。レーンD53、D54についても、同様の構成が成り立つ。
【0145】
平面P6は、x方向又は-x方向を移動方向とするための平面であり、レーンD61、D62の移動方向は-x方向、レーンD63、D64の移動方向はx方向である。平面P7は、y方向又は-y方向を移動方向とするための平面であり、レーンD71、D72の移動方向はy方向、レーンD73、D74の移動方向は-y方向である。平面P8は、x方向又は-x方向を移動方向とするための平面であり、レーンD81、D82の移動方向は-x方向、レーンD83、D84の移動方向はx方向である。また、各平面P6~P8において移動方向が同一である複数のレーンのそれぞれの基準速度は同じでも良いし、異なっていても良い。これは、レーンD51、D52に関して説明した通りである。なお、各平面の間の空間は、ある平面から別の平面に移動するための用途に用いられる。なお、平面P5とP7はいずれかだけが設けられていても良い。また、平面P5とP7の他に、平面P5又はP7と同じ移動方向が設定された平面がさらに設けられても良い。平面P6、P8についても、同様のバリエーションが可能である。
【0146】
実施の形態5において、ここで述べられている第一、第二の例では、飛行体が、人が搭乗する飛ぶ車である場合に、その乗客は、正面から他の飛行体が自分に対して向かってくることを見ることがない。したがって、飛行中の乗客の不安感又は恐怖感を抑制することができる。また、これらの例では、二次元上の道路における自動車の走行と同様のメカニズムで、飛行体は平面内を飛行している。そのため、ドライバーにとっては道路上の走行と同様に飛行ができることから、飛行体を操縦しやすいというメリットがある。
【0147】
なお、
図17において、平面P1A内の所定のレーンと、その所定のレーンに対応する平面P1B内のレーンでは、後者の基準速度を前者の基準速度よりも速くしても良い。または、平面P1A内のレーンの基準速度の平均と、平面P1B内のレーンの基準速度の平均では、後者の基準速度を前者の基準速度よりも速くしても良い。これは、飛行体が緊急の事情で平面から離脱して着陸する場合に、飛行体が地面に接近するときの速度をより減速させて、飛行体のより安全な着陸を可能とするものである。
図18においても、同様の設定が可能である。
【0148】
さらに、平面内に複数のレーンが設定される場合であって、所定のレーンの近くに飛行不可領域(例えば建造物)が存在するときには、飛行不可領域に近いレーンの基準速度を低速にし、飛行不可領域に遠いレーンの基準速度を高速に設定されていても良い。これは、飛行体が万一レーンを外れた場合に、飛行体が飛行不可領域に進入することを抑制するためである。
【0149】
以上の設定は、飛行管理装置50内部のメモリに記憶され、交通管理部57は、その設定を用いることにより、平面内の交通を管理する。各レーンにおける一方通行の定義は、例えば、レーンに所属する空間セルCにおける移動方向のベクトルを設定することで実現される。各ベクトルの有効性又は無効性は、セル内及び/又はセル外での飛行体の移動を制限するように、任意に構成されることができる。このような構成は、様々な要因に基づいて、アルゴリズム的に、及び/又は飛行管理システムのオペレータによって手動で実現され得る。そのときに、混雑の原因となるベクトルは、過度に無効としないようにすることが好ましい。
【0150】
交通管理部57は、このように設定されたベクトルに基づいて、平面内で移動している飛行体の飛行ルートを、ベクトルに沿うように生成することができる。又は、飛行管理装置は、飛行体からの特定の空間セルに対するリクエストに対して、特定の空間セルが、現在飛行体が位置する空間セルから設定されたベクトルの方向上にあるか否かを判断しても良い。飛行管理装置は、特定の空間セルがベクトルの方向上にあれば、リクエストを許可し、特定の空間セルがベクトルの方向上になければ、拒否の判断をすることができる。上述の各レーンにおける一方通行は、単一の進行方向が設定された現在の高速道路の車線システムに相当する。
【0151】
なお、
図14、15、18に示した例において、同一平面上に設けられた複数のレーンは、隣接していても良いが、飛行体の安全な飛行のため、空間セル1個以上の間隔がレーン間に空いていても良い。これは、後述の
図19、21-23に示した例においても同様である。
【0152】
また、交通管理部57は、レーン毎に、移動方向のベクトルの有効・無効を制御することにより、ベクトルに対して、飛行体の進行又は停止を指示する「信号機」(stoplights)としての機能を持たせることができる。飛行管理装置は、このような機能をベクトルに持たせることで、1つの空間上に、異なる方向に移動する複数の飛行体を移動させることができる。
【0153】
図19は、1平面において、異なる方向に複数の飛行体が移動可能な交通管理方法を示す第三の例である。
図19では、平面P9内において、y方向に向かうレーンD91、D92、x方向に向かうレーンD93、D94、-y方向に向かうレーンD95、D96、-x方向に向かうレーンD97、D98が設定されている。平面P9は、一般的な道路における十字路の交差点に相当する。
【0154】
平面P9を管理する飛行管理装置は、レーンD91~D98に沿って移動する飛行体が互いに異常接近せずに飛行できるように、以下のような制御をしている。
図19では、レーンD91及びレーンD91の延長上にあるレーンD101の各空間セルCにおいて、y方向に向かうベクトルを有効とすることにより、レーンD91にいる飛行体をレーンD101に沿ってy方向に移動させる。同様に、飛行管理装置は、レーンD95及びレーンD95の延長上にあるレーンD103の各空間セルCにおいて、-y方向に向かうベクトルを有効とすることにより、レーンD95にいる飛行体をレーンD103に沿って-y方向に移動させる。
【0155】
一方、飛行管理装置は、レーンD92のy方向端部(終点)の空間セルCにいる飛行体が、平面P9内を曲がることによって、レーンD98に隣接し、かつレーンD94の延長線上にある、x方向に向かうレーンに移動するように、平面P9内のレーンD102の空間セルCにおけるベクトルを設定する。
【0156】
図20Aは、レーンD102の一例である。レーンD102は、飛行体が交互にx方向とy方向に1マスの空間セルを移動することによって、飛行体が「交差点」を曲がるように、レーンD102の空間セルCのベクトルが構成されている。
【0157】
図20Bは、レーンD102の他の例である。
図20Bでは、飛行体がレーンD102に沿って、x方向に伸びた領域E1(
図20Bの例では2個の空間セル)を通過し、さらにy方向に伸びた領域E2(
図20Bの例では5個の空間セル)を通過後、x方向に伸びた領域E3(
図20Bの例では3個の空間セル)を通過する。
【0158】
レーンD102の構成は、
図20A、20Bの例に限られない。レーンD102の変曲点(すなわち、レーンD102上で飛行体が曲がる回数)が少ないほど、レーンD102を移動する際の飛行体のバッテリー消費量が少なくなると予想される。しかしながら、レーンD102の変曲点が1個の場合だと、飛行体がレーンD102上で最初にy軸方向に直進し、次にx軸方向に直進することになる。そのため、飛行体がレーンD102上で最初にy軸方向に直進する段階で、後述のレーンD104上に存在する飛行体と接近しやすくなる。しかしながら、
図20Bに示したように、レーンD102の変曲点が2個の場合には、飛行体がレーンD102上で最初に領域E1に沿ってx軸方向に移動するため、レーンD102がレーンD104と交差する領域を減らすことができる。そのため、レーンD102上の飛行体が、より安全に「交差点」内を移動することができる。
【0159】
なお、
図20Bにおいて、レーンD95とレーンD96との間隔が、空間セル1個以上空いている場合、レーンD102がy軸方向に伸びる領域E2は、x軸方向において、レーンD95の延長線とレーンD96の延長線との間に設けられることが、レーンD102上の飛行体の安全な飛行のために好ましい。
【0160】
レーンD102は、レーンD103と途中で空間セルが交差する。そのため、飛行管理装置は、レーンD102内に存在する飛行体が、レーンD103を通過して移動する他の飛行体と異常接近しないような制御をする。
【0161】
例えば、飛行管理装置は、レーンD103における全ての空間セルのベクトルを有効にする。その一方、レーンD102上の飛行体が、レーンD103上にある飛行体と同じ空間セルに存在しないように、飛行管理装置は、レーンD103上にある飛行体の位置に応じて、レーンD102における空間セルのベクトルを有効から無効に切り替える。レーンD103上にある飛行体が、交差する空間セルに来ないタイミングにおいて、飛行管理装置は、レーンD102における、レーンD102がレーンD103と交差する領域及びその周辺における空間セルのベクトルを無効から有効に切り替える。
【0162】
同様に、飛行管理装置は、レーンD96の-y方向端部(終点)の空間セルCにいる飛行体が、平面P9内を曲がることによって、レーンD94に隣接し、かつレーンD98の延長線上にある、-x方向に向かうレーンに移動するように、平面P9内のレーンD104の空間セルCにおけるベクトルを設定する。
【0163】
また、飛行管理装置は、レーンD93、D94、D97、D98における空間セルのベクトルを無効にすることで、それらのレーン上にある飛行体が移動し、レーンD101~D104に沿って移動する他の飛行体と異常接近しないように制御する。
【0164】
図21は、
図19から時間が経過した場合における平面P9内の交通状態を示す。
図21において、レーンD91、D92、D95、D96における空間セルのベクトルは無効とされているため、それらのレーン上にある飛行体は移動しない。一方、レーンD93、D97、D105、D107における空間セルのベクトルは有効とされることで、それらのレーン上にある飛行体が直進することができる。飛行管理装置は、レーンD94、D106及びレーンD98、D108における空間セルCのベクトルの有効・無効を、
図19に示したレーンD92、D102及びレーンD96、D104における空間セルCのベクトルの有効・無効と同様に制御する。これにより、レーンD94、D98上にある飛行体が、平面内を曲がることができる。
【0165】
以上のように、飛行制御装置は、ある方向の交通をアルゴリズム的に停止させることで、別の方向の交通を通過させることができる。
【0166】
また、飛行管理装置は、高さ方向のベクトルの有効又は無効を設定することにより、飛行体の離着陸及び空間移動の許可又は拒否を設定することができる。
【0167】
図22、23は、時間に応じてレーンの移動方向が変更される交通管理方法を示す第四の例である。
図22において、平面P10のy方向には都市があり、-y方向には郊外がある。
図22は、朝の所定の時間帯(特に、ラッシュアワーの時間帯)における平面P10の交通の流れを示しており、人々が飛行体(飛ぶ車)を用いて、都市に出勤する様子を示している。レーンD111~D113はy方向に向かうレーンであって、レーンD114は-y方向に向かうレーンとなるよう、各レーンにおける空間セルのベクトルが設定されている。
【0168】
図22では、都市に向かうレーンが3レーン存在し、郊外に向かうレーンが1レーン存在する。このように、ラッシュアワーの時間帯に、都市に向かうレーンを郊外に向かうレーンよりも多く設定することで、平面P10内の混雑を緩和することができる。
【0169】
図23は、夕方及び夜の所定の時間帯における平面P10の交通の流れを示しており、人々が飛ぶ車を用いて、郊外の家に帰る様子を示している。レーンD111は都市に向かうレーンであって、レーンD112~D114は郊外に向かうレーンとなるよう、各レーンにおける空間セルのベクトルが設定されている。ここでは、飛行管理装置は、都市に向かうレーンよりも、郊外に向かうレーンを多く設定することで、平面P10内の混雑を緩和している。
【0170】
なお、以上の例において、各レーンにおける空間セルのベクトルは、優先度「高」の飛行体に対しては、常に有効となるように設定されても良い。例えば、
図19に示した例において、レーンD93上に優先度「高」の飛行体が存在する場合には、飛行管理装置は、レーンD93における空間セルのベクトルを無効ではなく有効とする。この設定により、この飛行体の飛行ルートの設定及びその飛行ルート上の空間セルの予約がなされ、x方向への移動が可能となる。なお、このとき、レーンD95、D96、D103、D104における空間セルのベクトルは一時的に無効化されることで、レーンD103、D104と交差して進む優先度「高」の飛行体が安全に移動することができる。なお、飛行管理装置は、飛行体から通信プロトコル等によって優先度の情報を取得することができる。
【0171】
さらに、飛行管理装置は、レーンにおける空間セルのベクトルの有効性又は無効性を、天候情報に基づいて変えてもよい。例えば、
図22において、飛行管理装置は、ネットワークから、平面P10における風速が所定値以上であることを取得する。飛行管理装置は、このとき、レーンD111~D113のうち、レーンD112の空間セルのベクトルを無効にすることで、レーンD111、113のみを稼働させるように設定する。このようにして、レーン同士の間隔が空くことで、飛行の安全性を向上させることができる。
【0172】
飛行管理装置は、時刻情報、日付情報の少なくともいずれかを考慮して、各レーンにおける空間セルのベクトルを設定しても良い。例えば、平日の朝のラッシュアワーの時間帯においては、平面P10において、レーンD111~D113を都市に向かうレーンとし、レーンD114を郊外に向かうレーンとなるよう設定する一方で、週末の朝においては、レーンD111、D112を都市に向かうレーンとし、レーンD113、D114を郊外に向かうレーンとなるよう設定しても良い。
【0173】
実施の形態6
飛行管理装置は、管理する所定の1又は複数の空間セル、又は、1又は複数の平面について、優先度「高」の飛行体の進入を許可する一方で、優先度「低」の飛行体の進入を許可せず、拒否するように設定しても良い。また、飛行管理装置は、管理する所定の1又は複数の空間セル、又は、1又は複数の平面について、優先度「高」の飛行体が退去することが可能な方向に関して、優先度「低」の飛行体の退去を許可しないように設定しても良い。
【0174】
例えば、
図14に記載の例において、レーンD11の両端部以外の空間セルでは、優先度「低」の飛行体は、x方向の移動、又はz方向の移動(上昇又は降下)の少なくともいずれかが拒否されるよう、空間セルのベクトルが設定されても良い。これにより、優先度「高」の飛行体(緊急車両、又はバッテリー残量が低い車両)以外の飛行体のレーンD11周辺の移動が抑制されることで、空間P1周辺の飛行の安全が確保できる。同様に、
図14に記載の例において、レーンD31の両端部以外の空間セルでは、優先度「低」の飛行体は、y方向の移動、又はz方向の移動(上昇又は降下)の少なくともいずれかが拒否されるよう、空間セルのベクトルが設定されても良い。
【0175】
なお、飛行管理装置は、優先度「低」の飛行体に関する以上の設定を常に実行しても良いし、所定の時間帯、又は日付の少なくともいずれかにおいて実行しても良い。
【0176】
実施の形態7
複数の飛行管理装置を接続し、これらの飛行管理装置が管理する空間を連続することによって、広域の空間における飛行体の移動を管理することも可能である。
【0177】
図24は、複数の飛行管理装置を接続することによって構成されるシステムのイメージ図である。飛行管理装置50A~50Eは、上述の実施形態3の飛行管理装置50と同様の構成を有し、それぞれ空間領域R1~R5を管理する。
【0178】
図24において、空間領域R1には都市1が含まれており、空間領域R5には都市2が含まれている。空間領域R2~R4は、都市1と都市2を接続する領域であり、飛行体60は、空間領域R2~R4を経由して、空間領域R1又はR5の一方から他方に移動する。
【0179】
以下、実施形態3に記載した飛行管理装置50が実行する処理以外に、飛行管理装置50Aが実行する処理について説明する。都市1から都市2へ移動する飛行体60が領域R1を飛行中、飛行体60は飛行管理装置50Aに対して、次に移動する対象となる空間セルに関するリクエストを送信する。飛行管理装置50Aは、上述の通り、このリクエストを許可又は拒否する。
【0180】
飛行体60が、領域R1において、領域R2との境界又は境界近傍の空間セルに進入した場合、飛行体60は飛行管理装置50Bに対し、領域R2における領域R1との境界にあたる空間セルに関するリクエストを送信する。また、飛行管理装置50Aは、データ取得部52が飛行体60から取得したリクエスト又はGPS情報に基づき、飛行体60が領域R1の端部にいることを認識し、飛行管理装置50Bに、飛行体60が領域R2に接近している旨を示す情報を送信する。送信される情報には、接近する飛行体60の識別情報が含まれていても良い。
【0181】
飛行管理装置50Bは、飛行管理装置50Aから取得した情報により、領域R2に向かって飛行する飛行体60を認識する。そして、飛行管理装置50Bは、飛行体60から受信したリクエストに応じて、そのリクエストを許可又は拒否する。
【0182】
飛行管理装置50Bがリクエストを許可した場合には、飛行体60は、領域R1からR2へ移動することができる。領域R2を飛行中、飛行体60は飛行管理装置50Bに対して、次に移動する対象となる空間セルに関するリクエストを送信する。飛行体60は、各領域の境界又は境界付近でも同様の処理を実行することにより、領域R5まで到達し、都市2に到着することができる。
【0183】
飛行管理装置50Bがリクエストを拒否した場合には、飛行体60は、リクエストした空間セルとは別の空間セルに移動(退避)することができる。飛行体60は、退避対象となる領域R1の空間セルを管理する飛行管理装置50Aに対して、退避対象の空間セルに関するリクエストを送信する。例えば、飛行体60が領域R1における領域R2との境界の空間セルにいる場合に、飛行体60は、現在位置する空間セルの上又は下に位置する空間セルへの移動に関するリクエストを送信しても良い。この詳細は、実施の形態3(特に
図9)において説明した通りである。飛行管理装置50A、50B以外の飛行管理装置でも、同様の処理が実現できる。
【0184】
以上のようにして、複数の飛行管理装置50が接続されることにより、飛行体60の広域における飛行を連続的に管理することができる。広域を管理する全体システムは、複数の飛行管理装置が接続されることにより構成可能であるため、市、県や州といった自治体単位、又はそれらを複数含む広域圏や国家単位における飛行体の移動を管理することができる。言い換えれば、広域圏を管理する全体システムを、複数の飛行管理装置がそれぞれ管理する、異なる地域に分散又は分割することができる。したがって、システムのスケーラビリティと拡張性を向上させることができる。なお、飛行管理装置が管理する地域は、例えば地理的位置、又は行政により設定されたゾーニングにより決定される。
【0185】
なお、
図24に示した例において、飛行体60は、飛行管理装置50A~50Eに対する通信において、同じ通信プロトコルを用いることができる。
【0186】
実施の形態8
以下、図面を参照して本開示の実施の形態8について説明する。飛行管理装置は、空間セルの大きさ(特に、一辺の長さ)を変更することが可能である。
図25A、25Bは、同じ空間領域を分割する空間セルの大きさを変更した場合の一例である。
図25Aでは、空間S
Aが、一辺W
Aの立方体によって6
3=216個の空間セルに分割されている。一方、
図25Bでは、空間S
Aと同じ体積を有する空間S
Bが、一辺W
Bの立方体によって3
3=27個の空間セルに分割されている。W
Bの一辺の長さは、W
Aのそれの2倍の長さである。
【0187】
空間セルが小さい場合には、同じ体積内に存在することが可能な飛行体の数を多くできるものの、飛行体が1つの空間Sを飛行中に行うリクエスト送信数が多くなる。例えば、飛行体が
図25Aの空間S
Aに進入してから退去するまでには、飛行管理装置との間で最低6回のリクエスト処理が必要となる。そのため、飛行管理システム全体の処理の負荷が大きくなる。また、実施の形態3に記載の通り、リクエスト先の空間セルが他の飛行体によって予約されている場合には、飛行体は別の空間セルに退避する必要がある。これにより、空間中の飛行体の数が多くなると、リクエストが拒否されたときの飛行体の退避行動が多くなりやすい。そのため、飛行体が1つの空間Sを飛行する所要時間が長くなり得る。
【0188】
空間セルが大きい場合には、同じ体積内に存在することが可能な飛行体の数が少なくなるものの、飛行体が1つの空間Sを飛行中に行うリクエスト送信数が少なくなる。例えば、飛行体が
図25Bの空間S
Bに進入してから退去するまでに、飛行管理装置との間で最低限必要なリクエスト処理は3回となる。これにより、空間中の飛行体の数が少なくなるほど、リクエストが拒否されたときの飛行体の退避行動が少なくなりやすいため、飛行体が1つの空間Sを飛行する所要時間が短くなり得る。
【0189】
以上の特性から、飛行管理装置は、時間帯に応じて、自身が管理する空間の空間セルの大きさを変更することができる。例えば、
図22、23に示した空間を管理する飛行管理装置は、朝及び夕方の所定の時間帯(特にラッシュアワーの時間帯)において、空間セルの大きさを小さくすることで、多数の飛行体が都市と郊外間を移動可能なように設定する。一方、それ以外の時間帯(特に深夜)においては、都市と郊外間を移動する飛行体の数が少ないことが想定されるので、飛行体が速く移動できるように、空間セルの大きさを大きく設定する。
【0190】
また、飛行管理装置が管理する地域の特性に応じて、空間セルの大きさが設定されても良い。例えば、飛行管理装置は、飛行体が多く混雑することが想定される領域の空間を管理する場合には空間セルの大きさを小さくし、飛行体が少ないことが想定される領域の空間を管理する場合には、空間セルの大きさを大きくしても良い。前者は、都市部や、複数の方向から移動した飛行体が合流するジャンクションに係る領域等が想定される。後者は、農村地帯、山間部、都市同士を接続する人口が少ない地域等が想定される。
【0191】
例えば、
図24において、飛行管理装置50A、50Eは、空間セルを小さく設定する一方、飛行管理装置50B~50Dは、空間セルを大きく設定することができる。これによって、飛行体60が領域R2~R4を飛行する速度を大きくすることができるため、領域R2~R4を、都市部同士を結ぶハイウェイのように設定することができる。以上のようにして、飛行管理装置は、交通の流れを制御することができる。
【0192】
また、次のようなバリエーションも実施可能である。空間セルの大きさが大きい場合は、小さい場合と比較して、飛行体にとって、次に飛行する空間セルに到達するまでの時間に余裕がある。そのため、空間セルの大きさが大きい場合は、小さい場合と比較して、飛行体が空間セルに進入後に、次に飛行する空間セルのリクエストを飛行管理装置に送信するまでの時間を長くしても良い。例えば、
図25Aの空間S
Aにおいては、飛行体がある空間セルに進入後すぐに、飛行ルート上にある次の空間セルに関するリクエストを送信する。一方、
図25Bの空間S
Bにおいては、飛行体がある空間セルに進入後、空間セルの一辺の長さの半分程度の行程を進んだところで、飛行体は、飛行ルート上にある次の空間セルに関するリクエストを送信しても良い。
【0193】
別の例では、空間セルの大きさが小さい場合には、飛行体が1回目のリクエストを送信し、そのリクエストが拒否された場合に、飛行体は、退避対象となる空間セルに関する2回目のリクエストを送信する。一方、空間セルの大きさが大きい場合には、飛行体は、同じ空間セルについて、複数回のリクエストを送信しても良い。具体的には、飛行体が1回目のリクエストを送信し、そのリクエストが拒否された場合に、所定の間隔をおいて、飛行体は、1回目のリクエストと同じ空間セルについて、2回目のリクエストを送信する。その2回目のリクエストも拒否された場合に、飛行体は、リクエストした空間セルと異なる、退避対象となる空間セルに関する3回目のリクエストを送信しても良いし、所定の間隔をおいて、飛行体は、同じ空間セルについて、3回目以降のリクエストを送信しても良い。
【0194】
なお、空間セルの大きさが小さい場合であっても、飛行体は同じ空間セルについて、複数回のリクエストを送信しても良い。ただし、空間セルの大きさが大きい場合の方が、小さい場合と比較して、飛行体が同じ空間セルについてリクエストを送信できる回数を多くしても良い。これにより、飛行体は、空間セルが大きい場合に、当初の飛行ルートをできるだけ外れないように飛行することができるため、飛行体の飛行時間を短くすることができる。
【0195】
実施の形態9
この実施形態では、緊急時において飛行体と飛行管理装置が行う危険回避処理について説明する。緊急時とは、2以上の飛行体が同じセルに存在する場合や、飛行体にトラブルが生じ、これ以上の飛行が不可能であって安全のために緊急着陸をする必要があるような場合を意味するが、これに限られない。
【0196】
(9-1)
図26は、飛行管理装置70の構成を示すブロック図である。飛行管理装置70は、メモリ71、データ取得部72、緊急管理部73及び通信部74を備える。メモリ71には、複数の空間セル及びその予約状態が格納されている。また、メモリ71には、飛行不可領域の情報、各飛行体の飛行ルート、空間セルにおけるベクトルの設定情報等の少なくともいずれかの情報が格納されていても良い。データ取得部72は、データ取得部32と同様、飛行体の飛行ルート決定に用いる各種データを取得する。
【0197】
緊急管理部73は、後述のとおり、飛行体80から緊急のリクエストを受信した場合に、それに対応した処理を実行する。通信部74は、飛行管理装置70が飛行体80との通信を行うインタフェースである。
【0198】
図27は、飛行体80の構成を示すブロック図である。飛行体80は、メモリ81、データ取得部82、緊急検出部83、選択部84、通信部85及び飛行制御部86を備える。メモリ81には、メモリ61と同様、空間セルCの情報と、飛行体60の現在位置と、飛行体60の飛行ルートと、その飛行ルート上で飛行体60が予約した空間セルCの情報が格納される。データ取得部82は、飛行体80に搭載されたセンサ、レーダー、カメラ等の検出部で構成され、他の飛行体が所定距離未満(例えば100m未満)にいることを検出する。選択部84は、リクエスト生成部63と同様に、飛行体60が予約すべき、現在位置する空間セルの隣の空間セルを選択するほか、飛行管理装置70からリクエストに係る拒否情報が送信された場合に、拒否された空間セル以外の現在位置する空間セルの隣の空間セルを選択する。さらに選択部84は、後述の通り、現在の空間セルから至急退避する必要がある緊急事態において、退避先の空間セルを選択する。通信部85は、飛行体80が飛行管理装置70との通信を行うインタフェースである。飛行制御部86は、飛行体80の機体の移動を制御する。
【0199】
以下、処理の具体例について説明する。飛行体80が所定の空間セルを予約後、その空間セルを飛行中に、同じ空間セルに別の飛行体が飛行していることを、データ取得部82によって検出する。緊急検出部83は、データ取得部82が検出した結果に基づいて、別の飛行体が近接している緊急事態であることを判定する。緊急検出部83の判定に基づいて、飛行体80は、現在いる空間セルを退避して別の空間セルを予約する必要があると判断し、選択部84は、1又は複数の退避先の空間セル(退避セル)を選択する。
【0200】
例えば、飛行体80が所定の平面を飛行中である場合、選択部84は、平面の上方ないし下方に位置する空間セル、又はその両方の空間セルを選択しても良い。また、データ取得部82が、同じ空間セルにいる別の飛行体の進行方向及び速さを検出可能である場合には、選択部84は、飛行体80の進行方向のベクトルが別の飛行体の進行方向のベクトルと重ならないような1又は複数の退避セルを選択しても良い。例えば、別の飛行体が飛行体80の前方に位置し、上方に向かって移動している場合には、選択部84は、現在いる空間セルの下方に位置する空間セルを選択しても良い。
【0201】
飛行体80は、通信部85を用いて、選択部84が選択した空間セルの移動に係る緊急のリクエストを送信する。このとき、通信部85は、現在飛行体80が位置する空間セルの情報や、データ取得部82が検出した別の飛行体の詳細な情報(例えば進行方向及び速さの情報)も、飛行管理装置70に送信しても良い。
【0202】
飛行管理装置70の通信部74は、飛行体80から緊急のリクエストを受信する。緊急管理部73は、そのリクエストに応じて、リクエストに係る1又は複数の空間セルのうち、事前に予約済でなく、飛行不可領域に位置しない空間セルがあるかを判定する。そのような条件に該当する空間セルが存在する場合、緊急管理部73は、条件に該当した空間セルの予約処理を実行するとともに、通信部74を用いて、予約処理が実行された空間セルの情報を送信する。
【0203】
リクエストに係る空間セルにおいて、条件に該当する空間セルがない場合、緊急管理部73は、現在飛行体80が位置する空間セルに隣接する空間セルであって、飛行不可領域になく、予約済でない空間セルを、予約状態に基づいてさらに特定しても良い。ここで、緊急管理部73は、上述のリクエスト生成部63と同様に、リアルタイムのデータに基づいて、1個の空間セルを特定しても良い。緊急管理部73は、特定した空間セルの予約処理を実行するとともに、通信部74を用いて、予約処理が実行された空間セルの情報を送信する。
【0204】
飛行体80は、受信した情報に基づいて、予約された空間セルにできるだけ速やかに退避する。これにより、飛行体80は、別の飛行体と衝突することを回避し、安全に飛行できる。
【0205】
また、飛行管理装置70は、実施の形態2に示したルート生成部33をさらに備えても良い。ルート生成部33は、緊急管理部73により飛行体80が退避する空間セルが特定された後、メモリ71に格納された飛行体80の元々の飛行ルートと、空間セルの予約状態と、特定された空間セルの位置情報と、飛行不可領域のデータに基づいて、新たな飛行体80の飛行ルートを生成する。例えば、ルート生成部33は、飛行体80が所定個退避用の空間セルを飛行後(例えば、複数の飛行体が飛行する平面から上下方向に離れた空間セルを飛行後)、元の飛行ルートに戻るような飛行ルートを新たに生成しても良い。そのときに、飛行管理装置70は、新たに生成した飛行ルートにおける全部又は一部の空間セルの予約処理を実行しても良い。飛行管理装置70は、新たに生成した飛行ルートの情報、又は新たに予約された空間セルの情報を飛行体80に送信する。飛行体80は、その情報をメモリ81に格納する。
【0206】
あるいは、飛行体80は、実施の形態2に示したルート生成部43をさらに備えても良い。予約処理が実行された空間セルの情報を飛行管理装置70から受信後、ルート生成部43は、メモリ41に格納された元々の飛行ルートの情報、データ取得部82が取得したデータ及び飛行不可領域のデータを用いて、飛行体80の新たな飛行ルートを決定する。飛行ルートの決定方法は、上述の通りである。そして、飛行体80は、通信部85を用いて、新たに決定した飛行ルートに係る全部又は一部の空間セルの移動に係るリクエストを送信する。飛行管理装置70は、実施の形態3(特に
図9)において説明した処理を実行することで、空間セルの予約処理を行う。
【0207】
以上のようにして、飛行管理装置70又は飛行体80は、退避後の飛行ルートを新たに生成し、飛行体80のガイダンスをすることができる。
【0208】
(9-2)
次に、飛行体のバッテリー残量が所定の閾値未満であるときに緊急着陸をする例について説明する。飛行管理装置70及び飛行体80の構成については、
図26、27に示した通りである。
【0209】
まず、データ取得部82は、飛行体80にトラブルが生じたことを検出する。トラブルの内容は、バッテリー残量が所定の閾値未満であることや、飛行体80のエンジン異常、天候の急変である。天候の急変は、例えば、所定値以上の1時間当たり降水量、所定値以上の風速の強風、所定値以上の気圧降下の少なくともいずれかが生じることで、飛行に適さない天候が生じたことをいう。これらの情報は、バッテリーやエンジンに取り付けられたセンサ、天候情報を検知するセンサにより取得できる。
【0210】
緊急検出部83は、データ取得部82の検出結果に基づいて、緊急着陸をする必要があることを判定する。そして、選択部84は、1又は複数の退避先の空間セル(退避セル)を選択する。選択部84は、迅速な緊急着陸のため、現在飛行体80が位置する空間セルの下方に位置する空間セルを選択しても良い。しかしながら、選択部84は、下方に位置する空間セルに代えて、又はそれと共に、上述のリアルタイムのデータに基づいて、現在飛行体80が位置する空間セルの前方又は側面の空間セルであって、移動に係るバッテリー消費量が少ない空間セルを選択しても良い。
【0211】
飛行体80は、通信部85を用いて、選択部84が選択した空間セルの移動に係る緊急のリクエストを送信する。このとき、通信部85は、現在飛行体80が位置する空間セルの情報も、飛行管理装置70に送信しても良い。
【0212】
飛行管理装置70の通信部74は、飛行体80から緊急着陸に関する緊急のリクエストを受信する。緊急管理部73は、そのリクエストに応じて、(9-1)と同様の判定及び予約処理を行い、飛行体80に予約した空間セルに関する情報を送信する。飛行体80は、受信した情報に基づいて、予約された空間セルに移動する。
【0213】
また、飛行管理装置70は、実施の形態2に示したルート生成部33をさらに備えても良い。ルート生成部33は、緊急管理部73により飛行体80が退避する空間セルが特定された後、メモリ71に格納された緊急着陸可能な場所に係る空間セルの位置データと、空間セルの予約状態と、特定された空間セルの位置情報と、飛行不可領域のデータに基づいて、緊急着陸用の新たな飛行体80の飛行ルートを生成する。ルート生成部33は、緊急着陸可能な場所までの時間又はバッテリー消費量が最小となる飛行ルートを生成しても良い。また、飛行管理装置70は、新たに生成した飛行ルートにおける全部又は一部の空間セルの予約処理を実行しても良い。飛行管理装置70は、新たに生成した飛行ルートの情報、又は新たに予約された空間セルの情報を飛行体80に送信する。飛行体80は、その情報をメモリ81に格納する。
【0214】
あるいは、飛行体80は、実施の形態2に示したルート生成部43をさらに備えても良い。予約処理が実行された空間セルの情報を飛行管理装置70から受信後、ルート生成部43は、メモリ81に格納された緊急着陸可能な場所に係る空間セルの位置データと、データ取得部82が取得したデータと、飛行不可領域のデータを用いて、飛行体80の緊急着陸用の新たな飛行ルートを生成する。そして、飛行体80は、通信部85を用いて、新たに決定した飛行ルートにおける全部又は一部の空間セルのリクエストを送信する。飛行管理装置70は、実施の形態3(特に
図9)において説明した処理を実行することで、空間セルの予約処理を行う。
【0215】
なお、(9-1)、(9-2)において、飛行管理装置70又は飛行体80は、同一セルに2以上の飛行体が飛行していること、又は飛行体のバッテリー残量が所定値未満であり、緊急着陸の必要があることを検知又は受信した場合に、領域を管轄する地方当局に危険を通報しても良い。
【0216】
また、(9-1)、(9-2)において、飛行体80は、緊急検出部83が緊急事態を検出した場合に、特定の空間セルに関するリクエストを飛行管理装置70に送信しなくても良い。飛行体80は、緊急検出部83が検出した緊急事態(別の飛行体が飛行体80に近接している事態、バッテリー残量が所定値未満である事態等)の情報と、飛行体80が飛行中の空間セルの位置情報を含む緊急情報を飛行管理装置70に通知する。飛行管理装置70の緊急管理部73は、緊急情報に基づいて、飛行体80の退避用の空間セルを選択する。
【0217】
ここで、緊急管理部73は、飛行体80と別の飛行体が近接している場合には、飛行不可領域になく、予約済でない空間セルを選択しても良い。この選択には、上述のリアルタイムのデータが用いられても良い。さらに、飛行管理装置70は、飛行体80の新たな飛行ルートを生成し、その飛行ルートの全部または一部の空間セルを予約しても良い。
【0218】
また、緊急管理部73は、飛行体80のバッテリー残量が所定値未満である場合には、飛行不可領域になく、予約済でない空間セルであって、(i)飛行体80が現在いる空間セルの下方にある空間セル、又は(ii)現在の空間セルからの移動にかかるバッテリー消費量が最小である空間セルを選択しても良い。さらに、飛行管理装置70は、飛行体80の緊急着陸用の飛行ルートを生成し、その飛行ルートの全部または一部の空間セルを予約しても良い。
【0219】
さらに、(9-2)において、飛行管理装置70は、緊急着陸のリクエストを送信した飛行体80の優先度を「高」に設定しても良い。そして、飛行管理装置70の緊急管理部73は、空間セルの予約状態に関わらず、現在飛行体80がいる空間セル又はリクエストされた空間セルから緊急着陸可能な場所に係る空間セルまでが最短経路又は最小のバッテリー消費量となる経路を特定する。そして、緊急管理部73は、特定した経路に係る全部または一部の空間セルを予約する。
【0220】
緊急管理部73は、特定された経路に係る空間セルを予約している他の飛行体(すなわち、経路上を現在飛行しているか、将来飛行する他の飛行体)に対して、メモリ71における予約の抹消を行うとともに、その他の飛行体に対して、予約の抹消をしたことを通知する。通知を受けた飛行体は、速やかに今位置する空間セルを移動するか、次に移動する空間セルのリクエストの処理を行う。
【0221】
また、緊急管理部73は、緊急着陸可能な場所に係る空間セル及び/又はそれに近接した空間セルを予約している他の飛行体に対して、メモリ71における予約の抹消を行うとともに、その飛行体に対して、予約の抹消をしたことを通知しても良い。「近接した空間セル」は、例えば、緊急着陸可能な場所に係る空間セルから所定の距離以内の領域を含む空間セルをいう。飛行体は、受信した通知に応じて、飛行する空間セルを再度決定し、空間セルの飛行許可に関するリクエストを送信しても良い。
【0222】
以上のようにして、飛行管理装置70は、緊急事態が生じた飛行体及び他の飛行体の安全性を向上することができる。
【0223】
実施の形態10
この実施形態では、飛行管理装置が飛行体の特定の空間セルへの移動を制限又は禁止する点について、さらに説明する。
【0224】
(10-1)
実施の形態1のとおり、ビル等の建造物が空間S内に存在し、飛行できない領域が発生する場合には、飛行管理装置10は、その領域を飛行不可領域としてメモリ11に格納しても良い。しかしながら、飛行管理装置は、他の条件を満たす空間セルについても、飛行不可領域として設定しても良い。他の条件とは、例えば、対象となる空間セルが、人家密集地、空港、軍事施設、官庁施設等が全部または一部を占める空間セル及びそのセルの近傍の(例えば隣接する)空間セルであるような場合である。以上のような飛行不可領域の設定は、恒久的又は一時的になされても良いし、自動又は手動(オペレータの飛行管理装置への操作)によって、全部または一部の空間セルの飛行不可領域の設定の有効又は無効が切り替えられても良い。飛行不可領域の設定が有効となった空間セルは、飛行体が飛行不可能な区域となり、飛行不可領域の設定が無効となった空間セルは、飛行体が飛行可能な区域となる。
【0225】
また、飛行管理装置は、気象センサや外部ネットワークにより、自身が管理する空間における所定の地域において、飛行に適さない天候が生じることを示す天候情報を取得しても良い。飛行に適さない天候とは、例えば、豪雨、強風、雷、竜巻等をいう。飛行管理装置は、所定値以上の1時間当たり降水量、所定値以上の風速の強風、所定値以上の気圧降下が発生することを天候情報から判定することで、飛行に適さない天候が生じることを判定しても良い。
【0226】
所定の地域において飛行に適さない天候が生じる場合に、飛行管理装置は、所定の地域を構成する空間セルを、飛行不可領域と設定する。なお、この設定は、そのような天候が生じる期間中に設定され、期間終了後に解除(無効)とされても良い。設定の解除は、自動又は手動で行うことができる。例えば、飛行管理装置は、天候情報を外部ネットワークから取得し、その情報に基づいて、飛行に不適な天候が生じる期間を判定しても良い。
【0227】
また、飛行管理装置は、所定の空間セル、飛行体が飛行する平面、又は飛行管理装置が管理する空間を、飛行する飛行体の数に基づき、飛行不可領域に設定しても良い。例えば、飛行管理装置は、所定の空間セルについて、その周囲の空間セル(例えば、所定の空間セルから所定距離以内にある空間セル)における飛行体の密度が閾値以上であれば、その所定の空間セルを飛行不可領域に設定しても良い。また、飛行管理装置は、所定の平面又は自身が管理する空間における飛行体の密度が閾値以上であれば、その平面又は空間の全体を飛行不可領域に設定しても良い。この設定は、検出された密度が閾値未満になった場合に、無効にされても良い。密度の閾値は、任意に設定可能であり、任意でヒステリシスを含んでも良い。
【0228】
さらに、実施の形態8における飛行管理装置は、飛行体が飛行する平面、又は飛行管理装置が管理する空間における飛行体の密度が閾値以上となったとき、平面又は空間を分割する空間セルの大きさを、大きいものから小さいものに設定を変更しても良い。例えば、飛行管理装置が、空間セルの大きさを、
図25Bに示したように設定したとき、空間全体における飛行体の密度が、100空間セル当たり20を超えたとする。このとき、飛行管理装置は、空間セルの大きさを、
図25Aに示したように小さく設定する。これにより、飛行管理装置は、多数の飛行体の飛行を管理することができる。
【0229】
(10-2)
また、飛行管理装置は、離陸しようとする飛行体が所定の条件を満たす場合に、その飛行体に対して、飛行体が位置する場所の上方にある空間セルへの移動を制限することで、離陸を停止させても良い。
【0230】
例えば、実施の形態2における飛行管理装置30のデータ取得部32は、飛行体から、出発地を離陸する前に、飛行体のリアルタイムのデータを、通信プロトコルを用いて取得しても良い。リアルタイムのデータは、例えば、バッテリー残量、エンジン状態、飛行体のメンテナンス状態(例えば、所定期間内における車検の有無)の少なくともいずれかを含む、飛行体の状態に関する情報である。また、飛行体が飛ぶ車である場合には、運転免許の状態(例えば免許が停止されているか否か)がリアルタイムのデータに含まれていても良い。運転免許の情報も、他のリアルタイムのデータ同様、飛行体のメモリに格納されている。また、データ取得部32は、飛行体の現在位置のデータを取得する。現在位置のデータは、例えば、現在いる空間セルのデータ、現在いる位置のGPSデータ等である。
【0231】
飛行管理装置30は、データ取得部32から取得したリアルタイムのデータが所定の条件を満たしている場合に、飛行体が現在いる位置の上空に位置する空間セルについて、その飛行体の予約処理を拒否するように設定する。所定の条件には、例えば、バッテリー残量が所定値未満であること、エンジン状態が不良であること、飛行体が所定の検査を所定期間内に受けていないこと、運転免許が停止又は失効していることの少なくともいずれかが含まれる。なお、飛行管理装置30は、飛行体が所定の条件に該当しなくなった場合に、移動の制限を解除することができる。飛行管理装置は、このように、空間セルへの移動の可否を所定の条件に応じて切り替えことによって、安全でないことが想定される飛行体の飛行を予め制限することができる。
【0232】
実施の形態10に示した空間セルの設定変更は、飛行管理装置から飛行体に送信され、飛行体のメモリに格納されることで、飛行体にも共有される。また、以上に示された空間セル等への飛行制限は、実施の形態5に記載した、ベクトルによる設定方法が用いられても良い。
【0233】
実施の形態11
この実施形態では、飛行体に搭乗する搭乗者にとって快適となる飛行体の飛行方法について、補足して説明する。今までの実施形態では、飛行体は、飛行中の方向を変える場合に、空間セルの配置に沿った移動をしようとして、直角又は直角に近い動きで飛行していることがあった。しかしながら、このような飛行方法は、搭乗者にとって快適でない場合があった。
【0234】
この実施形態では、このような状況を抑制するために、以下のような処理を実行する。すなわち、飛行体のルート生成部は、その現在地から目的地への飛行ルートを、空間セルの物理的性質(大きさや形状)とは無関係に決定する。この飛行ルートは、関連情報として、以下のファクターによって決定されることができる。例えば、飛行ルートは、空間Sの飛行不可領域以外の飛行可能領域、又は、出発地と目的地との間の天候情報(例えば、降雨の有無や、風速及び風向情報)の少なくともいずれかが考慮された上で決定されても良い。また、ルート生成部は、関連情報として、距離、バッテリー消費量、所要時間(移動時間)を飛行ルートの設定に際して考慮しても良い。例えば、ルート生成部は、距離が最短となる飛行ルート、バッテリー消費量が最低となる飛行ルート、又は所要時間が最短となる飛行ルートのうちいずれかを算出することができる。
【0235】
さらに、飛行体は、飛行管理装置から、飛行ルート及びその周辺の空間セル(例えば、飛行ルート上にある空間セルから、所定の距離以内にある空間セル)における他の飛行体の現在及び将来の予約状態を取得しても良い。そして、飛行体のルート生成部は、その関連情報に基づいて、飛行を予定する時間帯において、周囲の空間セル(例えば、所定の空間セルから所定距離以内にある空間セル)における飛行体の密度が閾値未満となる空間セルを、飛行ルートの対象として選択しても良い。つまり、飛行体は、混雑していない領域を飛行することが可能となる。なお、飛行体が飛行管理装置に依存せず、自身の飛行ルートを生成する例は、(2-2)等で説明した通りである。
【0236】
その後、飛行体は、飛行管理装置に対し、その確定した飛行ルートを内部に含む1又は複数の空間セルを予約するようにリクエストする。そのリクエストが飛行管理装置によって承認後、飛行体は、予約した空間セルを、確定した飛行ルートに沿って飛行するように、その飛行を制御する。つまり、飛行体は、飛行ルートと、空間セルとを分けて決定する。
【0237】
以下、(11-1)において、本方法の具体的かつ簡単な例について説明し、(11-2)において、拡張された汎用的事例について説明する。なお、以下に示す飛行体の構成は、(2-2)に示す飛行体40の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0238】
(11-1)
図28Aは、飛行体が位置する空間の一例を示す。この図の各立方体は各空間セルを示し、飛行体40の現在地(出発地)のセルはC10であり、目的地のセルはD10である。D10は、C10から、x方向に3、y方向に-2、z方向に-1移動した場所にある。ここで、C10と同じz方向の位置(同一高さ)の空間セルで構成された平面をUF、D10と同じz方向の位置の空間セルで構成された平面をLFと呼称する。また、簡単のため、
図28Aに示した空間セルは、どれも飛行体40が通過可能な状態にあると仮定する。
【0239】
この状態において、飛行体40のルート生成部43は、C10からD10までの飛行ルートを生成する。このとき、ルート生成部43は、C10からD10までの最短ルートとして、C10からD10を通る直線を定義する。
【0240】
図28Bは、決定されたルートを、
図28Aにおける上面視の状態から見た図であり、
図28Cは、そのルートを、
図28Aにおける側面視の状態から見た図である。
図28B、28Cにおけるハッチングされた空間セルは、決定されたルートを内部に含む空間セルであり、飛行体40の飛行のために予約されるものである。なお、現在地の空間セルも予約される必要があるため、これらの図においてハッチングされている。
【0241】
図28Dは、
図28Aにおいて、以上に示した予約対象となる空間セルをハッチングで示したものである。
図28Dに示した通り、飛行体40は、ルートを決定した場合に、平面UFにおいて合計3個、平面DFにおいて合計4個の空間セルを予約するよう、送信部44を介して、飛行管理装置に対しリクエストする。このリクエストの詳細については、(2-2)で示した通りである。そのリクエストが飛行管理装置によって承認後、飛行制御部45は、予約された空間セルを、
図28B、28Cに示したルートに沿って飛行するように、その飛行を制御する。
【0242】
以上の処理により、飛行体40は、直線状の飛行ルートに沿って進むことが可能になり、その搭乗者にとってより快適な飛行を提供することができる。
【0243】
なお、飛行体40がリクエストした場合に、リクエスト対象となる少なくともいずれかの空間セルを他の飛行体が事前に予約していた場合には、他の実施形態に記載の通り、飛行管理装置は、そのリクエストを拒絶し、拒否情報を飛行体40に送信することができる。その場合、飛行体40のルート生成部43は、拒絶された空間セルを含まないような飛行ルートを計算の上、再度設定する。例えば、ルート生成部43は、拒絶された空間セルを含まないルートであって、空間Sの飛行不可領域以外の飛行可能領域、出発地と目的地との間の天候情報、又は、混雑していない領域の情報の少なくともいずれかが考慮された上で決定しても良い。また、ルート生成部43は、飛行ルートを、拒絶された空間セルを含まないルートのうち、距離が最短となる飛行ルート、バッテリー消費量が最低となる飛行ルート、又は所要時間が最短となる飛行ルートのうちいずれかとなるようにしても良い。この計算方法の詳細は、上述の通りである。飛行体40は、飛行管理装置に対し、その飛行ルートを内部に含む空間セルを予約するように再度リクエストする。このようにして、飛行体は、飛行管理装置が承認するまで、飛行ルートを生成し、その飛行ルートに係る空間セルの予約をリクエストする。
【0244】
また、飛行体40は、予約のリクエストの際に、C10に隣接した空間セル等、飛行ルートの全部でなく一部を構成する、C10と近い空間セルの予約をリクエストしても良い。この場合、飛行体40は、リクエストが飛行管理装置によって承認され、飛行ルート上にあり、D10に最も近い予約された空間セルに移動した後、そのセルからD10までの飛行ルートを生成し、そのルートの全部又は一部を構成する空間セルの予約を飛行管理装置にリクエストする。この処理により、飛行体40は、1回のリクエストで必要な全部の空間セルの予約をしようとする場合に比べて、リクエストが承認されやすくなり、移動し易くなるという効果がある。なお、1回のリクエストで予約可能な空間セルの個数は、(2-2)に記載の通り、飛行体の優先度等に応じて変更されても良い。
【0245】
(11-2)
次に、一般化された例について説明する。ここでの定義として、三次元の領域R10を、それぞれx軸方向の長さ(l)、y軸方向の幅(w)、及びz軸方向である高さ(h)の最大寸法で区切られた空間とする。なお、x、y、zの各方向については、
図28Aで示した通りである。また、Cを、単一の軸に沿った単一の次元における全ての空間セルの集合と仮定する。この集合は、その軸の原点から開始し、その軸の最大寸法で終了する。また、Cに含まれる空間セルは、それぞれ所定のサイズ、構造等を有するものであり、便宜上、ここでは立方体として示すが、後述の通り、他の構造を有するものであっても良い。このとき、Cは次のように示される。
C={C
0, C
1, ・・・ C
n | C
nはC
n-1に隣接する空間セルであり、nは1以上のインデックス(自然数)}・・・(1)
また、以下に示すC
3を、領域Rに含まれる三次元の全てのセルの集合とする。
C
3={C
0,0,0, C
1,0,0, ・・・ C
i,j,k | C
i,j,k はC
i-1,j,k、C
i,j-1,k及びC
i,j,k-1に隣接する空間セルであり、i,j,kは1以上のインデックス(自然数)}・・・(2)
【0246】
そして、時空STを、任意の所定の時点における領域R内の全てのセルC3の状態とする。このとき、STは次のように定義される。
ST={R0, R1,・・・Rn | nは予め設定された時間間隔のインデックス(1以上の自然数)}・・・(3)
【0247】
図29Aは、(3)で定義される時空STの模式図である。領域R
0, R
1,・・・は、時間軸に沿って、連続して並ぶように構成されている。また、時間要素tも考慮した四次元時空内における各空間セル(以下、時空セルとも記載)をC
i,j,k,tと記載する。
【0248】
次に、以下の通り、領域Ri内の特定時間における全ての飛行体の集合Fを定義する。
F={F1, F2, ・・・Fn | nはRi内の飛行体の数}・・・(4)
(4)におけるFiは、領域Rtに導入された、特定の空間セルCi,j,kを占有する単一の飛行体である。Fiは、所定の始点から所定の終点までの適切な飛行ルートを描いて移動する。飛行体は、この移動を、任意に、又は関連情報をプログラム的に考慮することで行うことができる。関連情報とは、(11-1)に記載したように、天候情報、混雑状態、移動時間等のファクターを示す。
【0249】
Fiの飛行ルートでは、そのルート上の全ての時空セルCi,j,k,tが有効な(飛行可能な)ものとなるよう、空間セルが割り当てられなければならない。ただし、そのような条件を満たすルートが複数ある場合には、その中の任意の1つが、飛行ルートとして割り当てられても良い。
【0250】
図29B、29Cは、時空STにおいて、F
1が通過する飛行ルートを示す模式図である。
図29B、29Cの横軸は時間軸を示し、各時空セルC
i,j,k,tは簡単のため二次元の正方形で表され、他の飛行体が通過する等の理由で割り当てできない空間セルは斜線のハッチングで示されている。
図29Bは、F
1が出発地であるC11から、経路(サブルート)V1、V2及びV3を通過することにより、目的地であるD11に到達することを示している。また、
図29Cは、F
1が出発地であるC11から、サブルートV1’及びV2’を通過することにより、目的地であるD11に到達することを示している。いずれのサブルートも、割り当てできない空間セルを回避するように構成されている。また、
図29Dは、
図29Bにおいて、サブルートV1-V3に沿って飛行ルートとして割り当てられたセルを縦破線のハッチングで示したものである。
【0251】
各飛行体の飛行ルートFRは、サブルートVを用いると、次のように表される。
FR={V1, V2, ・・・Vn | Vnはサブルートを表すST上の四次元ベクトル}・・・(5)
特に、(5)において、V1は出発地からの最初のサブルートを表す四次元ベクトルであり、Vnは目的地で終了する最後のサブルートを表す四次元ベクトルである。
【0252】
また、時空セルCi,j,k,tからなる飛行体Fiの経路に沿って割り当てられたセルの集合を、ここではAiと定義する。集合Aiは、次の通り定義される。
Ai={Ci,j,k,t, 同一又は隣接の(Ci,j,k,t+1),・・・Cn | nは目的地セルでのシーケンスにおける、i,j,k,tのインデックスで構成される四次元のインデックス}・・・(6)
集合Aiは、飛行体の優先度等の要因に応じて、1つ以上の時空セルから構成される。飛行体Fiは、サブルートVnを通過する前に、例えば、飛行管理装置に対して上述の予約処理を実行することによって、そのサブルートを構成する空間セルを割り当てる必要がある。ここで、サブルートに必要なセルへの割り当てを取得できない場合は、飛行体Fiは、新しいサブルートを生成することができる。また、飛行体Fiは、飛行中の空間セルを出るときには、例えば、実施の形態4に示したような飛行管理装置に対する解除処理を実行することによって、その空間セルの割り当てを解除する必要がある。
【0253】
同様に、時空セルCl,m,p,tからなる飛行体Fjの経路に沿って割り当てられたセルの集合を、ここではBiと定義する。
Bi={Cl,m,p,t, 同一又は隣接の(Cl,m,n,p+1),・・・Cn | nは目的地セルでのシーケンスにおける、l,m,p,tのインデックスで構成される四次元のインデックス}・・・(7)
そして、飛行体Fi及びFjが安全に飛行するために、集合Aiは、集合Biと相互に排他的である(Ai∩Bi=0)ように構成される必要がある。この条件は、集合Biに限らず、他の全ての飛行体に割り当てられた時空セルの集合についても、同様に満たされる必要がある。
【0254】
一例を示すと、飛行体40のメモリ41には、飛行体が飛行する空間及び時間を分割する複数の時空セルが、インデックス等により特定可能な形式で記憶されている。また、ルート生成部43は、飛行管理装置又は他の飛行体から、他の飛行体に割り当てられた(予約された)時空セルの情報を取得する。そして、ルート生成部43は、以上の手法に基づき、他の全ての飛行体に割り当てられた時空セルの集合と排他的となる時空セルで構成される飛行ルートを設定し、そのサブルートを構成する空間セルを割り当てる。これにより、飛行体40は、その飛行ルートを飛行することが可能になる。また、飛行体40は、(11-1)に示すような天候情報、距離等の条件を満たすような飛行ルートを決定することができる。飛行制御部45は、決定された飛行ルートに沿って、割り当てられた空間セルに移動するよう、飛行体40の飛行を制御する。
【0255】
以上に示したように、飛行ルートを決定するための領域を三次元から時間を含めた四次元に拡張することにより、1個の3Dセルに対して複数の予約を存在させることが可能となる。そのため、飛行体の速度変化等、飛行体の実際の運転によってもたらされる不確実性が生じた場合でも、飛行体は、それに対応して、自身の経路を容易に調整することができる。また、上述の手法は、標準的な空間上での行列/ベクトル演算において、演算の成分に時間の次元を含めるだけで対応できるため、計算プロセスを簡略化することができる。
【0256】
なお、以上に示した飛行体の飛行ルート決定は、飛行体ではなく、各実施の形態にかかる飛行管理装置が実行しても良い。飛行管理装置は、管理する複数の飛行体について、飛行ルートを実施の形態11の手法で割り当てる(予約する)こと、又は、実施の形態11の手法を用いて、実施の形態3において、飛行体に提案する候補となる飛行ルートを導出することが可能である。後者の場合、飛行体60のリクエスト生成部63は、提案された飛行ルートに同意することにより、飛行ルートを決定する。そして、飛行制御部64は、決定された飛行ルートに沿って、飛行管理装置50から受信した許可情報により移動が許可された空間セルに移動するよう、飛行体60の飛行を制御する。
【0257】
実施の形態12
この実施形態では、空間セルのバリエーションについて記載する。飛行管理装置又は飛行体が設定する、空間を分割するための各空間セルは、その全ての面で他の空間セルと隣接が可能な構造(すなわち、隙間なく三次元空間を充填することが可能な構造)であれば、任意の構造をとることができる。
【0258】
図30Aは、空間セルを正六角柱とした場合の、空間充填構造(ハニカム構造)を示す。
図30Aでは、各空間セルの底面がxy平面上にあり、セル(正六角柱)の母線がz軸(高さ方向)に沿うように構成されている。ただし、各空間セルの底面がxz平面上又はyz平面上にあっても良い。
【0259】
図30Bは、
図30Aに示すように、空間セルを正六角柱とした場合における利点を示す模式図である。
図30Bは、飛行体がサブルートVに沿って複数の空間セルを通過する状態を示しており、(1)が空間セルを正六角柱とした場合、(2)が空間セルを立方体とした場合を示す。飛行体が飛行する方向及び距離は(1)、(2)で同じであるにもかかわらず、飛行体が通過するセル数は、(1)の場合には2個であるのに対し、(2)の場合には3個となる。そのため、上述の実施の形態に記載された空間セルの予約処理がより簡略化され、計算資源の削減につなげることができる。
【0260】
図30Cは、空間セルを正三角柱とした場合の、空間充填構造を示す。
図30Cでも、各空間セルの底面がxy平面上にあり、セルの母線がz軸に沿うように構成されているが、各空間セルの底面がxz平面上又はyz平面上にあっても良い。
【0261】
以上に示した例のほか、平面を充填可能な形状を底面に有する柱体であっても、同様に空間セルとして用いることができる。ただし、空間セルを正六角柱とすることにより、1個の空間セルが隣接する空間セルをより多くすることができるため、上述の通り、同じ距離及び向きの飛行であっても、飛行体が通過するセル数を減らすことができる。
【0262】
実施の形態13
この実施形態では、複数の飛行体における各々の飛行ルートの空間セル割り当て(予約)において、飛行管理装置の処理を必須とせず、飛行体同士で通信を実行した結果、各々の空間セル割り当てを実行する技術について説明する。以下、この技術を、分散型空間セル技術とも称する。
【0263】
図31は、実施の形態13に係る飛行体40’の構成を示す。飛行体40’は、(2-2)に示す飛行体40の構成と比較して、送信部44に代えて通信部46を備える。通信部46は、他の飛行体や、飛行管理装置、後述するサーバ等との無線通信を可能とする。また、飛行体40’は、以下に詳細に説明する裁定処理を実行する裁定部47をさらに備える。以下、(13-1)において、本方法の簡単な例について説明し、(13-2)以降において、更なるバリエーションについて説明する。
【0264】
(13-1)
図32Aは、飛行体F1-F5の空間内における位置を示す模式図である。なお、簡略化のため、各空間セルは二次元の正方形で示されている。この例では、飛行体F2に着目する。飛行体F2は、その近傍にある飛行体と、各空間セルを割り当てるための分散型システムを構成する。
図32Aでは、飛行体F2の位置から3セル以内の領域にある(ハッチングで示された)領域1内の飛行体F1-F4で分散型システムを構成し、飛行体F1-F4は、各々が領域1内で次にどの空間セルに移動するかを決定するための、全員が参加する裁定(adjudication)を必要とする。ただし、
図32Aにおいて、飛行体F4は領域1外に移動することも可能である。
【0265】
図32Bは、
図32Aに示した飛行体の位置状態において、飛行体F4に着目した模式図である。
図32Bでは、飛行体F4の位置から3セル以内の領域にある(ハッチングで示された)領域2内の飛行体F1-F4で分散型システムを構成し、飛行体F1-F4は、各々が領域2内で次にどの空間セルに移動するかを決定するための、全員が参加する裁定を必要とする。以下、参加する飛行体のことを、「参加者」とも呼称する。ただし、
図32Bにおいて、飛行体F1-F3は領域2外に移動することも可能である。なお、この領域2内の分散型システムは、上述の領域1内の分散型システムとは別個のシステムである。
【0266】
各分散型システムでなされる裁定は、各飛行体が平等に権利を有する投票によってなされても良いし、後述の通り、所定の条件に応じて、異なる重み付けがなされた投票によってなされても良い。この処理には、全ての飛行体の次の目的地を計算する飛行管理装置(外部サーバ;特に中央サーバ)は必須ではなく、システム内で割り当て処理が完結して実現される。この目的のために、分散型システムを形成する周辺環境の飛行体は、飛行管理システム(特に飛行管理装置)の役割、すなわち、空間セルの割当てを裁定する役割を果たす。各分散型システムにおける裁定は、ブロックチェーン又はその変形技術を用いて行われる。ここで、分散型システムの分散アセットは、領域内の空間セルの割り当て状態を意味する。また、裁定プロセスの結果は、空間セルの割り当て要求に対する許可または不許可の応答を意味する。この応答は、上述の飛行管理装置における応答と同様のものである。
【0267】
分散型システムを構成する各飛行体は、それぞれ自身の位置を通信部46の無線通信によりブロードキャストすることで、互いの位置情報を取得することができる。そして、分散型システムの範囲となる領域は、裁定を実行するため、各飛行体が互いにピア・ツー・ピア(P2P)の通信を確立し、維持することが可能な範囲となる。また、飛行体は移動するため、各分散型システムを構成する参加者は、時間経過とともに変化する。このP2P通信は、UDP(User Datagram Protocol)ではブロードキャスト(マルチキャスト) ネットワークプロトコルを使って行うことができ、広く使われている。
【0268】
各飛行体は、裁定における投票の重み付けとなる情報として、メモリ内に優先度とステータス情報を有する。ステータス情報は、バッテリー残量(駆動時間)といったリアルタイムのデータや、緊急事態の有無が含まれる。緊急事態は、(9-2)に記載されたトラブルの検出が該当する。なお、バッテリー残量が所定の閾値未満になった状態は、飛行体の優先度を高くすることで反映されても良いし、緊急事態の発生として反映されても良い。裁定においては、優先度とステータス情報の少なくともいずれかが考慮される。そのため、例えば複数の飛行体同士で自身がリクエストする割り当てセルが重複した場合に、複数の飛行体のうち優先度が高いもののリクエストが通りやすくなるような裁定がなされる。
【0269】
具体的な例を示すと、飛行体が離着陸する「空港」である空間セルの近傍に位置する飛行体(例えば、その空間セルから3セル以内の領域に位置する飛行体)は、離陸又は着陸の動作の途中である可能性が高い。そのため、その飛行体の飛行が優先されるよう、その飛行体、又はその飛行体と同じ分散型システムを構成する他の飛行体は、その飛行体に対し、他の飛行体よりも高い優先度を設定しても良い。また、「空港」の近傍に位置する飛行体においては、その飛行体、又はその飛行体と同じ分散型システムを構成する他の飛行体が、その飛行体に対し、高度の低い飛行体に、高度が高い飛行体よりも高い優先度を与えても良い。以上に示した優先度の設定により、離陸又は着陸を実行中の飛行体は、その動作を継続しやすくなるため、安全な飛行を実現しやすくなる。
【0270】
裁定部47は、投票における重み付けを決定するために、以下の要素のいずれか1個、又は任意の複数の要素の組み合わせを用いることもできる。ただし、以下に挙げた要素は一例であり、これに限られない。
(a)各自の飛行ルート:ターゲットセル(各飛行体の近傍に位置し、投票によって割り当ての対象となる空間セル)が、ある飛行体の飛行ルート上にない場合、その飛行体のターゲットセルに対する投票の重みは、自身の飛行ルート上にターゲットセルがある別の飛行体と比較して、小さくすることができる。
(b)各自の進行方向:ある飛行体がターゲットセルから遠ざかる方向に移動している場合、ターゲットセルに接近する方向に移動している別の飛行体と比較して、そのターゲットセルに対する投票の重みを小さくすることができる。
(c)飛行体からターゲットセルまでの距離:飛行体とターゲットセルとの距離が近くなるほど、ターゲットセルに対するその飛行体の投票の重みを増加させることができる。
(d)飛行体のステータス情報:例えば、飛行体のバッテリー駆動時間が短くなるほど、安全上の理由から、ターゲットセルに対するその飛行体の投票の重みを増加させることができる。
(e)優先度
(f)セルの占有状態:要求されたタイムフレーム内で既存のセルを既に占有している飛行体は、その既存のセルの裁定に関して大きな重み(例えば、分散型システム内で最大の重み)を有することが好ましい。
(g)セルの割当状態:新たな割当要求を受信する前に決定された、要求されたセルに対する割当状態を既に有する飛行体も、その要求されたセルの裁定に関して大きな重み(例えば、分散型システム内で最大の重み)を有することが好ましい。
【0271】
なお、分散型空間セル技術は、分散型システムの参加者数が比較的小さい(例えば10-20程度)地域、つまり空間における飛行体の密度が一般的に少ないと考えられる地域(例えば農村地域)に適用することがより好ましい。これは、分散型システムの参加者数がより多い(例えば50以上)地域と比較して、裁定プロセスにかかる時間を短くすることが可能と考えられるためである。
【0272】
また、ターゲットセルに関する投票プロセスは、指定された期間内(要求されたタイムフレーム、例えば秒単位)に参加者によって受領された投票のみが有効であるとみなすことが好ましい。
【0273】
また、参加者となる1機の飛行体は、各ターゲットセルに関する裁定を計算後、その結果をすべての参加者にブロードキャストする。これにより、全参加者のコンセンサスによる裁定が可能になる。この際に裁定部47がブロックチェーン技術を用いることによって、データの改ざん耐性の強化や、裁定処理が障害等によって停止する可能性の低下といった効果が得られる。
【0274】
図32Cは、2機の飛行体F1、F2の空間内における裁定を示す模式図であり、以下、この図を参照しながら、上述の裁定処理の具体例を説明する。
図32Cにおいて、空間は簡略化のため二次元で表現されており、空間は8×10の空間セルに分割されている。同じ時刻において、飛行体F1は、C
3,2の空間セルに位置し、飛行体F2は、C
3,6の空間セルに位置する。
図32Cにおける矢印は、各飛行体の飛行ルートを示す。領域A1、A2は、それぞれ飛行体F1、F2の近傍領域であり、裁定用の領域として、各飛行体が設定するものである。飛行体F1、F2は、上述の通り、互いの位置を把握し、P2Pによって互いに通信を確立することで、裁定プロセスに参加することが可能な状態にある。
【0275】
この例では、領域A1とA2とがC2,4、C2,5、C3,4、C3,5、C4,4、C4,5、C5,4、C5,5とで重複する。飛行体F1、F2は、ブロードキャスト通信により、この各領域における重複関係を把握する。そのため、飛行体F2は、これらの空間セルについて、飛行体F1に関する裁定プロセスに参加することができる。例えば、飛行体F1は、C4,4を自身の移動希望セルとして割り当てた場合に、そのリクエストを飛行体F2にブロードキャストする。このとき、飛行体F2は、その空間セルを飛行体F1と重複する時間枠に割り当てると仮定する。この例のように、同じ空間セルの割り当てもリクエストするのはF2の意図であり、飛行体F2は、重み付けされた投票 「No」 で応答することができる。F2はまた、C4,4に対する自身の割り当てリクエストを個別に開始することができ、それはF1にブロードキャストされ、F1はまた、順次、重み付けされた投票 「No」 で応答することができる。F1及びF2は、(a)~(g)の要素を含むリクエスト元の投票の重みと、回答元の(a)~(g)の要素を含む回答元の投票の結果の重みとに関わるアルゴリズムに基づいて、開始された投票プロセスの結果を計算し、その結果を公表する。ここで、両方の飛行体のリクエスト、応答及び投票プロセスの最終結果が公開されているため、割り当て先の飛行体は、開始された投票プロセスの結果が最大の重みを有するオブジェクトになる。その後、この裁定の全参加者(F1、F2)に対し、この空間セルの割り当てが成功したことが再ブロードキャストされる。なお、参加者が投票結果に関心を持たない場合は、投票プロセスを棄権することもできる。
【0276】
なお、飛行体F1及びF2が各々の飛行ルートに沿って移動を継続するとき、それらの領域A1及びA2は、
図32Cに示した状態からさらに重なり合うことになる。これに伴い、互いの裁定プロセスにおいて各飛行体が参加対象となる空間セルの数が増大する。この状態は、各々の飛行ルートが互いに離れ始めるまで継続する。
【0277】
また、領域A1とA2とは、例えば上述の(a)~(g)に示した要素の少なくともいずれかに基づいて、サイズが変更されても良い。さらに、領域A1、A2内における飛行体F1、F2のそれぞれの位置も、これらの要素の少なくともいずれか(例えば飛行ルート)に基づいて、オフセットされても良い。つまり、飛行体F1、F2は、各領域の中心に配置される必要はない。
【0278】
以上に示した例では、単純化のために参加者数が2の場合を考慮したが、参加者の数が増加し、裁定が複雑になる例を次に示す。
【0279】
図32Dは、4機の飛行体F3-F6の空間内における裁定を示す模式図であり、以下、この図を参照しながら、さらなる具体例を説明する。
【0280】
図32Dにおいて、空間及び空間セルの座標設定は、
図32Cと同じである。同じ時刻において、飛行体F3は、C
3,2の空間セルに位置し、飛行体F4は、C
3,6の空間セルに位置し、飛行体F5は、C
3,3の空間セルに位置し、飛行体F6は、C
5,4の空間セルに位置する。
図32Dにおいて各飛行体から延びる矢印は、各飛行体の飛行ルートを示す。領域A3-A6は、それぞれ飛行体F3-F6の近傍領域であり、裁定用の領域として、各飛行体が設定する。また、飛行体F3-F6は、互いの位置を把握し、P2Pによって互いに通信を確立することで、裁定プロセスに参加することが可能な状態にある。以下、F3及びF6による空間セルC
4,3及びF4によるC
3,5の割り当てに関する裁定処理について説明する。
【0281】
この例において、領域A3、A5及びA6がセルC4,3で重複していることから、セルC4,3の割り当てに関する裁定には、F3、F5及びF6が参加する。なお、この投票時に領域A4がセルC4,3をカバーしないため、F4はこの裁定プロセスの参加者ではない。このとき、F3は、そのリクエストをF5及びF6に公開することによって、C4,3の割り当てリクエストを開始する。F6も同様に、C4,3の割り当てリクエストを開始する。
【0282】
C4,3はF5のルートには存在しないので、F5の投票の重みはそれに応じて減少しても良い。しかしながら、F5は依然として、その優先傾向に応じて、棄権、またはF3もしくはF6もしくはその両方への投票を選択しても良い。1つのシナリオでは、各要求元によって提示された要素(a)~(g)に基づいて、F3のルートよりもF6のルートがF5のルートからより分岐しているため、F5はF6を選んでも良く、可能ならばその他の要因もあって、それにより安全性を考慮して、F3に「No」、F6に「Yes」と応答する。F6は、F3のリクエストに対して「No」の重み付き投票で応答するものと推定され、F3は、F6のリクエストに対して「No」の重み付き投票で応答するものと推定される。F3とF6は、(a)~(g)に関するアルゴリズムを介して、各参加者の重み付き投票とC4,3に対するそれぞれのリクエストの重みを含む割り当てに対するそれぞれのリクエストの結果を計算し、C4,3に対するそれぞれのリクエストの裁定プロセスの結果をブロードキャストする。この場合、F5がF3ではなくF6を優先させることにより、F6が最も重い重み付け結果を公開し、割り当てを獲得しても良い。各参加者は、F6に対するC4,3の裁定された割当て状態に関して、それぞれのメモリを更新しても良い。ここでブロックチェーン技術を使用すると、参加者は、任意の時点で個々の参加者のメモリに表される空間セル割り当て状態の潜在的な変動に関する合意に達することができる。また、各参加者は、各要求元に代わって全参加者の全投票の裁定を計算し、ブロックチェーンのような「合意」プロセスにつながる自身の結果を公開しても良い。
【0283】
また、領域A4及びA5がセルC3,5で重複していることから、セルC3,5の割り当てに関する裁定には、F4及びF5が参加する。また、この投票時に領域A3、A6がこのセルをカバーしないため、F3、F6はこの裁定プロセスの参加者ではない。このとき、セルC3,5はF5の飛行ルート上にないため、F5の投票の重み付けは軽くなり、裁定結果にほとんど影響を与えないと考えられる。対照的に、F4の投票の重み付けが重くなることで、F4がこのセルに関する裁定を実行し、セルの割り当て評価をブロードキャストする可能性が高い。
【0284】
以上の処理により、より多数の飛行体が近くに位置した状態となっても、空間セルの裁定処理が実行可能であることを示すことができた。飛行体は、上述の(a)~(g)の要素に基づいて投票を行うことにより、自身にとって他の飛行体が来て欲しくない空間セルの裁定を実行することが可能となる。
【0285】
また、参加者は、ある特定の空間セルについて、その裁定結果に関心がなければ、その裁定から完全にオプトアウトすることを選択することもができることもできる。例えば、
図32Dに示した例では、F3とF6の両方ともセルC
4,3の極めて近傍に位置するため、このセルをほぼ同時に自身に割り当てようとしている。F3とF6は、このセルを割り当てるリクエストをブロードキャストし、F5はその情報を受信する。F5はその情報に基づき、F3とF6が当該セルを希望していることを認識して、代わりに取得したF3及びF6の優先度(及び場合によっては他の要素のために)に基づき、割り当て対象としてF3が好ましいと判定する。そのため、F5は、そのセルに関し、F6ではなくF3を優先する(「F3に味方する」)ことで、F5は、それ自体がセルC
4,3を自身のターゲットセルとすることなく、裁定の結果に効果的に影響を及ぼすことができる。F5の領域A5がこのセルをカバーしているため、F5は、このようにして裁定に参加することができる。
【0286】
また、
図32Dの例において、F3がセルC
4,3の割り当てを獲得したと仮定すると、F4は、セルC
4,3と隣接した別の空間セル、例えばC
5,3、C
6,3又はC
6,4の割当てを裁定するように自身の経路を変更するか、又は、そのセルC
4,3におけるF3の割当てと重ならない時間(追加時間)の枠内で、セルC
4,3の割当てを再び裁定するか、のいずれかを選択することができる。
【0287】
また、裁定における投票形式は、いわゆる 「累積投票」 に似ていても良い。この場合、各参加者は各空間セルの裁定リクエストに対して、投票をするか、又は棄権して投票しないことを選択することができる。後者は、参加者が裁定の結果に関心がないことを意味する。
【0288】
以上に示した各飛行体における裁定処理は、飛行体40’の裁定部47が、メモリ41に格納された情報及び通信部46から取得した情報に基づき、各空間セルについて、投票の有無の選択、投票内容の決定及び割り当て処理を実行することで実現される。このとき、他の実施の形態にかかる飛行管理装置は、物理的なサーバではなく、ブロックチェーン型システムとして、飛行体間で仮想化された状態で存在する。したがって、様々な構成体の割当て構造(空間セル、ルートやサブルート、割り当て状態など)は、他の実施の形態に開示されたものと同じ特性を有する。
【0289】
(13-2)
(13-1)に示した処理では、P2Pによる通信で、複数の飛行体同士が裁定処理を実行した。しかしながら、P2Pの通信形式は誰にでも開かれているので、第三者がその通信に対して攻撃(サービス拒否攻撃、スヌーピング等)をする可能性がある。従って、この例では、分散型システムが構成するネットワークのロバスト性を改善するために、ネットワーキングにおけるスーパーノード(SuperNode)の概念を導入する。
【0290】
例えば、(13-1)に示した例において、飛行体の証明書(certificate)を検証し、その証明書が有効な飛行体を、その近傍に位置する他の飛行体との裁定処理に関連付ける用途で使用される、スーパーノードのサーバSNをさらに設けても良い。ここで、サーバSNは、この目的のため、各飛行体の位置を認識する必要がある。また、サーバSNは、この目的専用のサーバであっても良い。
【0291】
ここでいう「飛行体の近傍」 は、サーバSNが飛行体ごとに一意に生成するものであり、その近傍内には、飛行体の(a)~(g)のいずれかの要素の観点(例えば、飛行ルート又は進行方向がその飛行体と近い、等)の理由から、その近傍を将来飛行する可能性が高い(すなわち、近傍に位置する空間セルに「関心」を有する)他の飛行体を含むことができる。
【0292】
また、近傍領域の半径は、サーバSNが任意に設定することもできるし、飛行体の(a)~(g)のいずれかの要素の観点(例えば優先度)や、対象となる空間セルが位置する立地、その他の要因に基づいて変更しても良い。例えば、対象となる空間セルが位置する立地が、人口の少ない地域(例えば農村部)である場合、人口過密地域(例えば大都市)に位置するよりも、サーバSNは、この半径を広く設定しても良い。例えば、
図32Dにおいて、サーバSNは、以上に示したファクターに基づいて、各飛行体に対して領域A3-A6を割り当てることができる。
【0293】
(13-3)
図32Eは、さらなる裁定の例を示す。
図32Eにおける空間及び空間セルの座標設定は、
図32Cと同じである。ただし、
図32Eは、空港及びその周辺エリアの空間を示す。同じ時刻において、飛行体F7は、C
2,1の空間セルに位置し、飛行体F8は、C
6,9の空間セルに位置する。
図32Eにおいて各飛行体から延びる矢印は、各飛行体の飛行ルートを示し、領域A7、A8は、それぞれ飛行体F7、F8の近傍領域である。
【0294】
また、
図32Eでは、空港周辺の空域を管理するための地域コントローラサーバ90がさらに設けられている。領域A9は、地域コントローラサーバ90の近傍領域である。ここで、サーバSNは、飛行体F7、F8及び地域コントローラサーバ90に対し、裁定のための領域である領域A7-A9をそれぞれ割り当てる。
【0295】
図32Fは、この例における飛行管理システムM2のブロック図である。飛行管理システムM2は、飛行体F7、F8及び地域コントローラサーバ90を備える。飛行体F7、F8の構成は、上述の通りであるため、説明を省略する。地域コントローラサーバ90は、メモリ91、通信部92、データ取得部93及び裁定部94を備える。
【0296】
メモリ91には、座標等により特定可能である複数の空間セルCの情報と、複数の飛行体の空間セルの予約状態が記憶される。メモリ91には、空間セルCに関連する情報として、上述の飛行不可領域の情報が格納されていても良い。さらに、優先度として、スーパープライオリティ(すなわち、領域A9内の他の全ての飛行体と比較して高い優先度)が設定され、それがメモリ91に格納されている。
【0297】
通信部92は、地域コントローラサーバ90が、飛行体F7及びF8とのP2P通信を行うインタフェースである。データ取得部93は、センサ、レーダー、カメラ等の検出部で構成されており、領域A9内における、一般的な航空機等の航空交通に関する情報(飛行体F7、F8以外の航空機に関する情報)を取得する。
【0298】
裁定部94は、メモリ91及び通信部92から取得した情報に基づき、
図32Eに示した各空間セルCに関する裁定を実行する。ここで、地域コントローラサーバ90に優先度としてスーパープライオリティが設定されているため、地域コントローラサーバ90は、効果的に、その領域A9内の全ての飛行体についての空間セルの裁定結果を制御することができる。
【0299】
飛行体F7、F8は、互いの位置を把握し、P2Pによって互いに通信を確立することで、裁定プロセスに参加することが可能な状態にある。また、地域コントローラサーバ90も、飛行体F7、F8とP2Pによって互いに通信を確立することで、裁定プロセスに参加することが可能な状態にある。
【0300】
以下、裁定部94の裁定処理について例示的に説明する。例えば、飛行体F7は、空港の管制官が空港エリアへの進入を許可するために選択した安全な飛行体である。裁定部94は、飛行体F7の配置が他の航空機と重ならないように、上述の裁定制御をすることができる。また、飛行体F8は、空間セルC6,8の割り当てを要求する私有の飛行体であると仮定したとき、裁定部94は、その割り当てを不許可とし、裁定割り当てに関する応答として、不許可情報を送信しても良い。この裁定は、空間セルの予約状態や、航空交通に関する情報に基づいてなされる。
【0301】
このいずれの場合においても、裁定部94は、スーパープライオリティの優先度に基づき、事実上、裁定の結果を決定することができる。したがって、飛行体F7は、地域コントローラサーバ90の裁定に従って、自身に割り当てられた空間セルに移動することにより、空港に着陸することができる。また、飛行体F8は、地域コントローラサーバ90から受信した不許可情報に基づき、その飛行ルートを再計算して、C6,8とは異なるセルの割り当てをリクエストする可能性がある。この異なるセルは、地域コントローラサーバの領域外(例:C7,9)であるため、地域コントローラサーバは、このセルの裁定の参加者にはならない。これにより、地域コントローラサーバ90は、飛行体F8を空間セルC6,8に移動させないようにすることができる。
【0302】
空港周辺は、離着陸を行うために多数の飛行体が存在することが想定される。このような場合に、空港を管理する地域コントローラサーバ90に特別な優先順位を与えて分散型システムに参加させることで、空港周辺の空間の裁定プロセスを効率的に制御することができる。また、地域コントローラサーバ90は、あくまで局所的な領域A9についての管理を実行し、飛行体の密度が少ないそれ以外の領域(例:A9の外側)における空間セルの割り当てについては、(13-1)、(13-2)で示した通り、飛行体同士の分散型システムでなされる。そのため、実行される計算量は、任意の裁定に係る参加者の間で分配され、大規模なコンピュータシステムを管理用サーバとして導入する必要がなくなる。このようなシステムは、例えば、空港周辺とそれ以外の地域とで、同じ体積当たりの飛行体の密度に大きな差がある地方空港に特に有用と考えられる。
【0303】
図32Gは、そのような状況の一例を示すシステムのイメージ図である。飛行管理装置50F及び50Gは、実施形態3の飛行管理装置50と同様の構成を有し、それぞれ空間領域R6、R7を管理する。
図32Gにおいて、空間領域R6には空港1が含まれており、空間領域R7には空港2が含まれている。空間領域R8は、空港1(空間領域R6)と空港2(空間領域R7)を接続する領域であり、飛行体40”は、空間領域R8を経由して、空間領域R6又はR7の一方から他方に移動する。
【0304】
ここで、飛行体40”は、上述の飛行体40’の構成のほか、実施の形態7に係る飛行体60の構成をさらに備える。そのため、飛行体40”は、空間領域R6、R7においては、飛行管理装置50F、50Gからの空間セルの予約の許可を得ることで、それらの空間領域を飛行する。この詳細は、実施の形態3に記載の通りである。これに対し、飛行体40”は、空間領域R8においては、そのような管理がない状態で、その周辺にいる飛行体と、実施の形態13に記載したような分散型システムを構成し、周囲の空間セルに関する裁定を実行しながら飛行する。
【0305】
このように、飛行管理装置50F、50Gが管理する空間領域は隣接する必要はなく、離れている領域であっても良い。この場合、飛行管理装置50F及び50Gは接続されていても良いし、そうでなくても良い。空間領域R6、R7が隣接していないため、飛行管理装置50間で、飛行体40” に関する情報を共有する必要は必ずしもないからである。また、この例については、実施の形態7に記載されたものと同様のバリエーションが適用可能である。
【0306】
なお、実施の形態13において、以下のようなバリエーションを採用することも可能である。例えば、データ取得部42は、飛行体40’に搭載されたセンサ、レーダー、カメラ等の検出部をさらに含み、他の飛行体が所定距離未満(例えば100m未満)にいることを検出することも可能である。このように、他の飛行体が自身の飛行体に異常接近している場合には、飛行体40’は、その情報を、他の飛行体と構成する分散型システム(P2Pネットワーク)とスーパーノードとにブロードキャストし、必要に応じて回避動作を実行する。この動作は、(9-1)で開示されたものと同様であっても良い。
【0307】
飛行体40’は、自身の識別情報を含むパルス信号を、他の飛行体に対してブロードキャストしても良い。例えば、
図32Dにおいて、飛行体F3はそのパルス信号をブロードキャストすることで、他の飛行体F4-F6及びサーバSNはそれを自身の通信部で検出することにより、飛行体F3の存在を検出する。飛行体F3が、その通信部等の故障により、他の飛行体と通信できなくなった場合、他の飛行体F4-F6及びサーバSNはそのパルス信号が予期せず消えたことを検出することにより、本来存在を検出できるはずの飛行体F3が検出できなくなった状態となった(いわゆるAWOL:absent without leaveの状態となった)ことを認識する。飛行体F4-F6及びサーバSNは、この認識に基づき、各々通信が可能な別の飛行体に、さらにその情報をブロードキャストすることで、警告を行う。なお、飛行体F4-F6及びサーバSNは、最後に飛行体F3のパルスを検出した場所が、自身の通信部又はデータ取得部からのデータにより特定可能であれば、その場所の情報も警告に含めても良い。
【0308】
地域コントローラサーバ90は、空港周辺の航空交通をさらに効果的に制御するために、
図32Fに示されたそのユニット構成に加えて、空港航空交通管制部をさらに備えても良い。空港航空交通管制部は、メモリ91に格納された、その空港に特有のガイドラインと規則に基づき、データ取得部93が取得した航空交通に関する情報を解析して、メモリ91に格納された飛行不可領域の情報を更新することができる。例えば、空港航空交通管制部は、一般の航空機が使用する空間セルを、飛行不可領域として設定することができる。また、空港航空交通管制部は、ネットワーク又はローカルに設けられたカメラやセンサといったデータ取得部から天候情報を取得し、天候情報に基づいて、飛行不可領域の情報を更新しても良い。例えば、所定値以上の風速の強風が領域A9に吹いている場合、空港航空交通管制部は、強風により空港への進入が危険と判断される空間での空間セルを、飛行不可領域として設定することができる。これにより、裁定部94は、更新された飛行不可領域の情報に基づいて裁定を実行する(空間セルを飛行体に割り当てる)ことができるため、飛行体の安全かつ効率的な離着陸が可能となる。また、この手法は、簡易で低コストでありながら、飛行制御のための大規模な計算を抑制させることができる。
【0309】
実施の形態14
上述の実施形態では、飛行管理装置が飛行体の位置を把握し、飛行体からの空間セルに関するリクエストを受け付けて、許可又は不許可を判断し、その結果を飛行体に通知していた。本実施の形態では、飛行体が飛行中の場所を秘匿化するために、飛行体と飛行管理装置間の通信に公開鍵暗号方式を用いて、暗号化された空間表現を達成することを目的とする。
【0310】
図33Aは、飛行管理システムM3のブロック図である。飛行管理システムM3は、飛行体F9、F10及び飛行管理装置50を備える。飛行体F9、F10は、選択した空間セルに移動する許可を求めるリクエストを飛行管理装置50に対して送信する際に、そのリクエスト中に、自身が現在いる空間セルC及び移動を希望する空間セルの位置情報を、暗号化した状態で送信する。飛行管理装置50は、その暗号化された位置情報を受信し、そのリクエスト対象となる特定の空間セルが既に予約されているかを判定し、リクエストに対する許可又は拒否情報を飛行体F9、F10に送信する。
【0311】
図33Bは、飛行体F9、F10を構成する飛行体60’の構成を示す。飛行体60’は、実施の形態3に示す飛行体60の構成と比較して、暗号処理部66をさらに備える。暗号処理部66は、飛行体60’の現在の位置情報及び移動のリクエスト対象である位置情報を、予め取得した公開鍵で暗号化し、通信部62は、その暗号化された位置情報を飛行管理装置50に送信する。また、暗号処理部66は、飛行管理装置50から位置情報を受信した場合に、予め取得した秘密鍵を使用してこの情報を復号する。公開鍵及び秘密鍵の情報は、メモリ61に格納されている。
【0312】
飛行管理装置50の構成は、概略、実施の形態3に記載した通りである。ただし、飛行管理装置50には、空間セルCの情報、空間セルの予約状態及び各飛行体の飛行ルートに関する情報として、セルの現実の位置座標の情報ではなく、位置座標が暗号化された情報がメモリ51に格納されており、飛行管理装置50は、その情報を用いて、実施の形態3に記載した処理を実行する。つまり、飛行管理装置50は、実空間ではなく、暗号化された空間に関する情報を用いた処理を実行する。
【0313】
以下、飛行管理システムM3でなされる処理について説明する。なお、以下の説明のうち、詳細な記載については、実施の形態3に記載した通りであるため、記載を省略する。まず、事前に管理対象となる全ての飛行体に対して、同じ公開鍵と秘密鍵が配布される。この公開鍵と秘密鍵は、鍵生成サーバによって生成され、安全な場所に格納される。
【0314】
各飛行体60’は、その現在の位置情報及び移動を希望する位置情報を暗号処理部66によって公開鍵で暗号化し、暗号化された情報を、セル予約の1回目のリクエストに含めて飛行管理装置50に送信する。飛行管理装置50は、そのリクエストを受信し、リクエストに含まれた暗号化された情報をそのまま用いて、メモリ51に記憶された予約状態を参照し、このリクエストに係る特定の空間セルが既に予約されているかを判定する。
【0315】
図33Cは、暗号化された空間及び実空間における空間セルの状態の一例を示す模式図である。図の(A)は、暗号化された空間における空間セルの状態を示し、(B)は、実空間における空間セルの状態を示す。(A)、(B)の各マス目は1個の空間セルを示し、F9-F11と記載がある空間セルは、各飛行体が現在位置しているセルを示す。また、Eと記載がある空間セルは、予約されていないセルを示す。
【0316】
(1)まず、飛行体F9は、現在位置する空間セルから、実空間上で下方向に移動するために、自身の現在位置の空間セル及び移動を希望する空間セルの情報を、暗号化して送信する。飛行管理装置50は、暗号化された情報に基づき、リクエストに係る空間セルの予約状態を判定する。
【0317】
図33Cから理解されるように、飛行管理装置50は、リクエストされた空間セルが実空間のどこにあるのかを理解することはできない。しかしながら、飛行管理装置50は、リクエストされたセルが既に予約されているか否かを、メモリ51に記憶された情報を使用して判断することができる。図から示される通り、判定部55は、リクエストされたセルが既にF10によって予約され、占有されていると判定する。そのため、許可部56は飛行体F9のその空間セルへの移動を許可せず、通信部54を用いて、移動を拒否する拒否情報をF9に送信する。
【0318】
飛行体F9は、通信部62により拒否情報を受信した際、リクエスト生成部63が所定のアルゴリズムに基づいて、別の空間セルを選択し、その空間セルに移動する許可を求める2回目のリクエスト(第2のリクエスト)を生成する。通信部62は、このリクエストを飛行管理装置50に送信する。
【0319】
(2)飛行管理装置50の通信部54は、2回目のリクエストを受信する。飛行管理装置50の判定部55は、このリクエストに基づき、メモリ51に記憶された予約状態を用いて、このリクエストされた空間セルが既に予約されているかを判定する。ここでは、リクエストされた空間セルが「E」であるため、許可部56は、飛行体60の新しい特定の空間セルへの移動を許可する。許可部56は、通信部54を用いて、移動を許可する許可情報を飛行体F9に送信し、飛行体F9は、その許可情報に基づいて、その空間セルに向かって移動する。
【0320】
なお、移動を拒否する拒否情報をF9に送信する際に、飛行管理装置50は、判定部55が、飛行体F9が代わりに次に移動する空間セル(例えば「E」のセル)の候補を特定し、飛行体F9に送信しても良いし、しなくても良い。飛行管理装置50は、暗号化されたスペースがどのように提供されるかに依存して、どの空間セルが割り当てリクエスト中の空間セルに隣接しているかを知らないかもしれず、飛行管理装置50は、リクエストされたものに代わる可能性のある候補空間セルに関するいかなる知識も有していない場合がある。そのため、飛行管理装置50は、必ずしも次に移動する対象となる空間セルの候補を特定する必要はない。したがって、飛行管理装置50は、次に移動する空間セルの候補を必ずしも特定する必要はない。このときに送信される空間セルの座標情報は、暗号化された状態となっており、その情報を受信した飛行体F9では、暗号処理部66で情報の復号を行うことで、飛行管理装置50が提示した空間セルの実空間上での位置を把握する。飛行体F9は、以降、実施の形態3に記載したものと同様の処理を実行する。また、飛行管理装置50と飛行体60との間で飛行ルートの位置情報の送受信がなされる場合にも、空間セルにおける位置情報の場合と同様に、公開鍵暗号方式を用いて、飛行体60は実空間上での飛行ルートを把握し、飛行管理装置50は暗号化された空間上での飛行ルートを把握するように設定することができる。
【0321】
実施の形態14では、このようにして位置情報の暗号化・復号がなされるため、仮に飛行管理装置50がハッキングされた場合であっても、攻撃者は飛行管理装置50が管理する飛行体の位置情報を把握しにくくなる。そのため、個人情報保護及びサイバーセキュリティの観点から、より好ましい効果が得られる。なお、管理者用に、秘密鍵を把握している信頼可能なエンティティであるサーバ(不図示)をさらに設け、秘密鍵を使用して、各飛行体の実際の位置を復号可能なようにしても良い。
【0322】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、飛行体の優先度は、2段階に限られず、3段階以上の設定がなされても良い。一例として、優先度が3段階の場合には、緊急車両、又はバッテリー残量が第一の閾値th1未満である一般の飛行体を、優先度が1位の飛行体とし、バッテリー残量が第二の閾値th2(>th1)未満である一般の飛行体を、優先度が2位の飛行体とし、バッテリー残量が第二の閾値th2以上である一般の飛行体を、優先度が最も低い飛行体と設定しても良い。
【0323】
飛行体が取得可能、又は記憶可能なデータとして、上述の実施形態では、GPS情報、レーダー情報、識別情報、エンジン状態、バッテリー残量、天候情報(降雨、風速及び風向情報、気圧等の情報)、メンテナンス状態、運転免許情報、速度情報を列挙した。しかしながら、飛行体は、加速度データ等の他の情報をセンサで取得しても良い。また、飛行体は、飛行上の規則を記憶しても良い。さらに、飛行体同士でV2V(Vehicle-to-Vehicle)による通信をすることで、上述の実施形態において、飛行体が近接していることを検出しても良い。
【0324】
飛行管理装置のメモリに記憶されるデータとして、上述の実施形態では、空間セルの情報、予約状態の情報(交通情報)、飛行不可領域の情報を列挙した。しかしながら、これ以外にも、現在時刻、年月日、天候情報、飛行管理用の規則が、他のデータに加えて記憶されていても良い。また、メモリは、データベースとして飛行管理装置の外部に設けられ、データベースと通信がすることで、飛行管理装置はデータを取得しても良い。以上に示した飛行管理装置のバリエーションは、地域コントローラサーバに対しても適用可能である。
【0325】
図34は、任意の実施の形態に示した飛行管理装置、飛行体又は地域コントローラサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図34を参照すると、上述の飛行管理装置、飛行体又は地域コントローラサーバを総称した情報処理装置900は、ネットワークインタフェース901、プロセッサ902、及びメモリ903を含む。ネットワークインタフェース901は、他の装置に対し、無線通信でデータを送受信することができる。又は、飛行管理装置、地域コントローラサーバや(例えば、天候、交通等の)外部サーバの場合には、ネットワークインタフェース901は、有線通信でデータを送受信することができる。
【0326】
プロセッサ902は、メモリ903からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された飛行管理装置、飛行体又は地域コントローラサーバの処理を行う。プロセッサ902は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro-Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ902は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0327】
メモリ903は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ903は、プロセッサ902から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ902は、図示されていないI/O(Input/Output)インタフェースを介してメモリ903にアクセスしてもよい。
【0328】
図34の例では、メモリ903は、ソフトウェアモジュール群を格納するために使用される。プロセッサ902は、これらのソフトウェアモジュール群をメモリ903から読み出して実行することで、上述の実施形態において説明された処理を行うことができる。
【0329】
図34を用いて説明したように、上述の実施形態における飛行管理装置、飛行体又は地域コントローラサーバが有するプロセッサの各々は、上述のアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1又は複数のプログラムを実行する。この処理により、上述の実施の形態に記載された処理が実現できる。
【0330】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給されることができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD-R(Compact Disk Recordable)、CD-R/W(Compact Disk Rewritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、有線通信路(例えば、電線、光ファイバ)、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0331】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記記載によって限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0332】
この出願は、2020年10月27日に出願された国際特許出願PCT/JP2020/040323を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0333】
10 飛行管理装置
11 メモリ 12 判定部 13 許可部
20 飛行体
21 リクエスト生成部 22 送信部 23 飛行制御部
30 飛行管理装置
31 メモリ 32 データ取得部 33 ルート生成部
34 送信部
40 飛行体 40’ 飛行体
41 メモリ 42 データ取得部 43 ルート生成部
44 送信部 45 飛行制御部 46 通信部
47 裁定部
50 飛行管理装置
51 メモリ 52 データ取得部 53 ルート生成部
54 通信部 55 判定部 56 許可部
57 交通管理部
60 飛行体 60’ 飛行体
61 メモリ 62 通信部 63 リクエスト生成部
64 飛行制御部 65 解除部 66 暗号処理部
70 飛行管理装置 71 メモリ 72 データ取得部
73 緊急管理部 74 通信部
80 飛行体
81 メモリ 82 データ取得部 83 緊急検出部
84 選択部 85 通信部 86 飛行制御部
90 地域コントローラサーバ
91 メモリ 92 通信部 93 データ取得部
94 裁定部
900 情報処理装置
901 ネットワークインタフェース 902 プロセッサ 903 メモリ