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特開2022-113913抗PD1抗体と組み合わせて使用されるペプチドおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113913
(43)【公開日】2022-08-04
(54)【発明の名称】抗PD1抗体と組み合わせて使用されるペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/10 20060101AFI20220728BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20220728BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220728BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220728BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220728BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220728BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220728BHJP
【FI】
A61K38/10
A61P35/04
A61P35/00
A61K39/395 Y
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61P43/00 121
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098896
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2020216934の分割
【原出願日】2016-07-14
(31)【優先権主張番号】62/193,201
(32)【優先日】2015-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/259,182
(32)【優先日】2015-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/291,006
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/291,039
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511304383
【氏名又は名称】バイオカイン セラピューティックス リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515264805
【氏名又は名称】バイオラインアールエックス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BioLineRx Ltd.
【住所又は居所原語表記】2 HaMaayan Street, 7177871 ModiIn, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペレド アムノン
(72)【発明者】
【氏名】ぺレグ ヤロン
(57)【要約】
【課題】がん治療用に特定された製品を提供すること。
【解決手段】配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含み、前記アンタゴニストがCTLA-4アンタゴニスト、LAG-3アンタゴニスト、TIM-3アンタゴニスト、KIRアンタゴニスト、IDOアンタゴニスト、OX40アンタゴニスト、CD137アンタゴニスト、CD27アンタゴニスト、CD40アンタゴニスト、GITRアンタゴニスト、CD28アンタゴニスト、ICOSアンタゴニスト、PD1アンタゴニスト、またはPD-L1アンタゴニストである、がん治療用に特定された製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膵臓がんを治療するための医薬の製造用である、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体であって、抗PD1抗体と組み合わせて使用される、ペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項2】
前記ペプチドと前記抗体とが、個別の処方に含まれる、請求項1に記載のペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項3】
前記ペプチドと前記抗体とが、混合処方に含まれる、請求項1に記載のペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項4】
前記膵臓がんが、転移性の膵臓がんである、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項5】
前記膵臓がんが、化学療法または放射線治療に対して耐性である、請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項6】
前記抗PD1抗体が、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、h409All、h409A16およびh409A17からなる群より選ばれるものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項7】
前記抗PD1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項1~5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその類似体もしくは誘導体。
【請求項8】
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体の、膵臓がんを治療するための医薬の製造における、抗PD1抗体と組み合わせた使用。
【請求項9】
前記ペプチドと前記抗体とが、個別の処方に含まれる、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記ペプチドと前記抗体とが、混合処方に含まれる、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記膵臓がんが、転移性の膵臓がんである、請求項8~10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記膵臓がんが、化学療法または放射線治療に対して耐性である、請求項8~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記抗PD1抗体が、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-514、h409All、h409A16およびh409A17からなる群より選ばれるものである、請求項8~12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記抗PD1抗体が、ペンブロリズマブである、請求項8~12のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その一部の実施形態において、がんの治療方法に関する。より詳細には、がんの治療におけるCXCR4アンタゴニストペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターの使用に関するが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
がんは、米国における主な死亡原因の第2位である。2014年の推定によれば、およそ585,000人ががんで死亡し、1,600万件の新規症例が診断されると予想される(American Cancer Society, Cancer Facts & Figures 2014)。
【0003】
早期がんに関しては、外科的切除が非常に有効な治療である。
【0004】
しかしながら、より進行した症例や非固形血液系悪性腫瘍の場合、典型的には、例えば化学療法および放射線治療などの標準的な非特異的ながんの治療が使用される。これらの治療は、多くの健康な細胞に影響を与え、毒性の上昇を引き起こし、治療された個体のほんの一部においてのみ有効である。さらに、最初は療法に応答する個体でも、再発のリスクがあり、耐性を生じることが多い。
【0005】
腫瘍生物学の基礎原理のみならず、がんに対する免疫応答の基礎メカニズムの理解に関する顕著な発展は、より高い効能と低い毒性とによってがんを根絶するために適応免疫系を使用することを目的とする、新しい免疫療法の開発に繋がった。近頃まで、がん免疫療法は、活性化させたエフェクター細胞の養子移入、関連抗原に対する免疫化、または非特異的な免疫刺激剤(例えばサイトカイン)の提供によって、抗腫瘍免疫応答を強化するアプローチに焦点を当ててきた。しかしながら、過去10年間で、特異的な免疫チェックポイント経路阻害剤および共刺激経路活性化剤を開発するための鋭意努力により、がんを治療するための新しい免疫療法薬の提供が始まっている。したがって、例えば、免疫調節タンパク質CTLA-4に結合してそれを阻害する抗体であるイピリムマブ(YERVOY(登録商標))、および免疫調節タンパク質PD1に結合してそれを阻害する抗体であるペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))が、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)により黒色腫の治療のために承認済みである。他の抗PD-1抗体(例えばニボルマブなど)はまた、例えば非小細胞肺がん、および腎細胞がんなどの他の固形腫瘍における効能も示している[Topalian et al. N Engl J Med. (2012) 366(26):2443-54]。
【0006】
4F-ベンゾイル-TN14003(BKT140としても公知であり、以降、BL-8040と称す)は、特異的なCXCR4アンタゴニストとして開発された14残基の生物学的に安定な合成ペプチドである。BL-8040は、高い親和性でCXCR4受容体と結合し、受容体を長期間占有することが示されている。マウスにおける研究から、単回のBL-8040注射は、移植に十分な、長期にわたり生着する幹細胞を動員したことが実証された[Abraham M et al., Stem Cells(2007)25:2158-66]。多発性骨髄腫患者における研究の結果から、BL-8040とG-CSFとの併用治療は、単回のアフェレーシス(aphaeresis)手順で多数のCD34+造血幹/前駆細胞(HSPC)を収集することを可能にすることが示された[Peled A et al. Clin Cancer Res; (2013) 20(2); 469-79]。
【0007】
加えて、BL-8040は、例えば骨髄性白血病、造血器腫瘍および非小細胞肺がんなどの数々の腫瘍に対して毒性であることが見出された(国際特許出願IL2014/050939号ならびに国際公開第2013/160895号および第2008/075370号)。
【0008】
追加の背景技術としては、以下が挙げられる:
国際公開第2014/155376号、
国際公開第2012/095849号、
国際公開第2002/20561号、
国際公開第2004/020462号、
国際公開第2008/075369号、
国際公開第2008/075371号、
国際公開第2010/146578号、
国際公開第2010/146584号、
国際公開第2003/072599号、
国際公開第2015/019284号、
米国特許公開公報第2012/0082687号、および
Chen et al. HEPATOLOGY (2015) 61: 1591-1602。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のPD1アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0010】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のPD-L1アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0011】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCTLA-4アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0012】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のLAG-3アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のTIM-3アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0014】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のKIRアンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0015】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のIDOアンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0016】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のOX40アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0017】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD137アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0018】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD27アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0019】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD40アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0020】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のGITRアゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0021】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD28アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0022】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のICOSアゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0023】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)は(b)の前に実施する。
【0024】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)は(b)の後に実施する。
【0025】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)は(b)と同時に実施する。
【0026】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)は複数回実施する。
【0027】
本発明の一部の実施形態によれば、(b)は複数回実施する。
【0028】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)および(b)は、逐次的に実施する。
【0029】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)は、0.5~1mg/kgの用量で実施する。
【0030】
本発明の一部の実施形態によれば、(a)は、皮下投与される。
【0031】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD1アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0032】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD-L1アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0033】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CTLA-4アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0034】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、LAG-3アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0035】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、TIM-3アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0036】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、KIRアンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0037】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、IDOアンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0038】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、OX40アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0039】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD137アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0040】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD27アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0041】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD40アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0042】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、GITRアゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0043】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD28アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0044】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、ICOSアゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0045】
本発明の一部の実施形態によれば、ペプチドおよびアンタゴニストは、個別の処方に含まれる。
【0046】
本発明の一部の実施形態によれば、ペプチドおよびアンタゴニストは、混合処方に含まれる。
【0047】
本発明の一部の実施形態によれば、ペプチドおよびアゴニストは、個別の処方に含まれる。
【0048】
本発明の一部の実施形態によれば、ペプチドおよびアゴニストは、混合処方に含まれる。
【0049】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD1アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0050】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD-L1アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0051】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CTLA-4アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0052】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、LAG-3アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0053】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、TIM-3アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0054】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、KIRアンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0055】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、IDOアンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0056】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、OX40アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0057】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD137アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0058】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD27アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0059】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD40アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0060】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、GITRアゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0061】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD28アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0062】
本発明の実施形態の一部の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、ICOSアゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0063】
本発明の一部の実施形態によれば、アンタゴニストは、抗体である。
【0064】
一部の実施形態によれば、がんを治療する方法は、ワクチンを投与することをさらに含み、所望によりワクチンは、HPVワクチンである。
【0065】
本発明の一部の実施形態によれば、アンタゴニストは、小分子である。
【0066】
本発明の一部の実施形態によれば、アンタゴニストは、ペプチドである。
【0067】
本発明の一部の実施形態によれば、アゴニストは、抗体である。
【0068】
本発明の一部の実施形態によれば、アゴニストは、小分子である。
【0069】
本発明の一部の実施形態によれば、アゴニストは、ペプチドである。
【0070】
本発明の一部の実施形態によれば、類似体または誘導体は、下記式(I)で表されるアミノ酸配列またはその塩を有する。
【0071】
【化1】
【0072】
(式中:
は、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、アラニンまたはグルタミン酸残基、もしくはこれらアミノ酸のN-α-置換誘導体であるか、またはAは存在しない、
は、Aが存在する場合、アルギニンまたはグルタミン酸残基を表し、Aが存在しない場合、アルギニンもしくはグルタミン酸残基、またはこれらのアミノ酸のN-α-置換誘導体を表し、
は、芳香族アミノ酸残基を表し、
、AおよびAは、それぞれ独立に、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、アラニンまたはグルタミン酸残基を表し、
は、プロリン、グリシン、オルニチン、リシン、アラニン、シトルリン、アルギニンまたはグルタミン酸残基を表し、
は、プロリン、グリシン、オルニチン、リシン、アラニン、シトルリンまたはアルギニン残基を表し、
は、チロシン、フェニルアラニン、アラニン、ナフチルアラニン、シトルリンまたはグルタミン酸残基を表し、
10は、シトルリン、グルタミン酸、アルギニンまたはリシン残基を表し、
11は、アルギニン、グルタミン酸、リシンまたはシトルリン残基を表し、C末端のカルボキシル基は、誘導体化されていてもよく、
4位または13位のシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成していてもよく、前記アミノ酸は、L型とD型のいずれでもよい。)
【0073】
本発明の一部の実施形態によれば、ペプチドは、配列番号1~72からなる群より選択されるものである。
【0074】
本発明の一部の実施形態によれば、ペプチドは、配列番号1に記載のものである。
【0075】
本発明の一部の実施形態によれば、がんは、固形腫瘍がんである。
【0076】
本発明の一部の実施形態によれば、固形腫瘍は、肺がん、神経膠腫、結腸がん、卵巣がん、腎臓がん、黒色腫がん、肝細胞がん、胃がん(gastric cancer or stomach cancer)、膠芽腫、子宮頸がん、膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、甲状腺がん、頭頸部がんおよび膵臓がんからなる群より選択される。
【0077】
別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および/または科学的な用語は、本発明が関連する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明したものに類似した、または同等な方法および材料も本発明の実施形態の実施または試験で使用することができるが、例示的な方法および/または材料が後述される。矛盾がある場合、定義を含めて本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示にすぎず、必ずしも限定を意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明は、その一部の実施形態において、がんを治療する方法に関し、より詳細には、これらに限定されないが、がんの治療におけるCXCR4アンタゴニストペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターの使用に関する。
【0079】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明または実施例によって例示される詳細によって、その用途が必ずしも制限されるものではないことを理解されたい。本発明は、その他の実施形態、または種々の方法による実行または実施が可能である。
【0080】
ほとんどの種類のがんの治療は、化学療法および放射線治療などの、多くの健康な細胞に少なくとも部分的に影響を与える可能性がある細胞傷害性の治療を含むことから、毒性の上昇を引き起こす。加えて、これらの治療は、がんを発症した患者のほんの一部にしか効果的ではない。免疫系をがんとの闘いに役立てることを目的としたがん治療のための免疫療法戦略としては、サイトカイン、腫瘍細胞に対するモノクローナル抗体または免疫調節分子、がんワクチンに加えて、例えばエクスビボで活性化されたT細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞の養子移入などの細胞ベースの療法が挙げられる。
【0081】
4F-ベンゾイル-TN14003(配列番号1、BKT140としても公知であり、以下、BL-8040と称する)は、CXCR4ペプチドアンタゴニストである。BL-8040は、さらに移植に使用することができるCD34+造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)の動員を誘導することが示されている。加えて、BL-8040は、例えば骨髄性白血病、造血器腫瘍および非小細胞肺がんなどの数々の腫瘍に対して毒性であることが見出された。
【0082】
本発明を実施に移すなかで、本発明者らは、インビボでのBL-8040投与は、未成熟の幹細胞/前駆細胞に加えて、完全に分化したT細胞およびNK細胞を包含する様々な免疫細胞の迅速な動員を誘導することを見出した。それゆえに本発明の発見をBL-8040の使用に関連付けて、腫瘍部位へのImDCならびにTエフェクター細胞およびメモリー細胞の動員および播種を誘導することを可能にし、したがって免疫療法薬の抗腫瘍作用を増大させることを可能にする。
【0083】
したがって、実施例1で提示する本発明の教示およびプロトコールは、がん治療のために、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、免疫チェックポイントレギュレーターの数々の組合せとを組み合わせて使用することを示唆する。
【0084】
用語「治療する」または「治療」は、病状(例えばがん)の発生を阻害、予防もしくは停止すること、および/または病状の低減、寛解もしくは退縮を引き起こすことを指す。当業者ならば、病状の発生を評価するために種々の方法論およびアッセイが使用可能であり、同様に、病状の軽減、寛解または退縮を評価するための種々の方法論およびアッセイが使用可能であることを理解するであろう。
【0085】
成句「それを必要とする対象」は、本明細書で使用される場合、がんと診断されている哺乳類の雄または雌の対象(例えば、人間)を指す。具体的な実施形態において、この用語は、がんを発症するリスクのある個体を包含する。獣医学的な使用も考えられる。対象は、いずれの性別や年齢でもよく、新生児、乳児、若年者、青年、成人および高齢者などが含まれる。
【0086】
用語「がん」および「がん性」は、典型的には無制御の細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すかまたは説明する。
【0087】
この本発明の実施形態の一部の態様の方法で治療することができるがんは、あらゆる固形もしくは非固形がんおよび/またはがん性転移である。
【0088】
具体的な実施形態によれば、がんは、固形腫瘍である。別の具体的な実施形態によれば、がんは、非固形腫瘍である。
【0089】
がんの例としては、これらに限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられる。このようながんのさらなる具体例としては、扁平上皮がん、肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺腺癌、および肺扁平上皮癌など)、黒色腫がん、腹膜のがん、肝細胞がん、胃がん(消化器がんなど)、膵臓がん、膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝癌、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎がんまたは腎臓がん、肝臓がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝臓癌および様々な種類の頭頸部がん、同様にB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非開裂細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症など)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、同様に母斑症に関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば脳腫瘍に関連する)、ならびにメグズ症候群が挙げられる。好ましくは、がんは、乳がん、結腸直腸がん、直腸がん、非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄芽球性白血病(CML)、急性骨髄芽球性白血病(AML)、腎細胞がん、前立腺がん、肝臓がん、膵臓がん、軟部組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択されるものである。本発明の治療で対応可能ながん性の状態としては、転移がんが挙げられる。
【0090】
具体的な実施形態によれば、がんは、肺がん、神経膠腫、結腸がん、卵巣がん、腎臓がん、黒色腫がん、肝細胞がん、胃がん、膠芽腫、子宮頸がん、膀胱がん、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、甲状腺がん、頭頸部がんおよび膵臓がんからなる群より選択されるものである。
【0091】
具体的な実施形態によれば、がんは、肺がん、神経膠腫、結腸がんおよび膵臓がんからなる群より選択されるものである。
【0092】
他の具体的な実施形態によれば、がんは、多発性骨髄腫および白血病からなる群より選択されるものである。
【0093】
用語「ペプチド」は、本明細書で使用される場合、天然ペプチド(分解産物、合成法によって合成されたペプチド、または組換えペプチドのいずれか)およびペプチド模倣体(典型的には、合成法によって合成されたペプチド)のみならず、ペプチド類似体であるペプトイドおよびセミペプトイドも包含する。当該ペプチド類似体は、例えば、ペプチドの体内での安定性を高めたり、ペプチドの細胞への浸透性を高めるような修飾を有してもよい。
【0094】
具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、100アミノ酸以下である。具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、5~100アミノ酸である。具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、5~50アミノ酸である。具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、5~20アミノ酸である。具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、5~15アミノ酸である。具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、10~20アミノ酸である。具体的な実施形態によれば、ペプチドの長さは、10~15アミノ酸である。
【0095】
用語「配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体」は、本明細書で使用される場合、4F-ベンゾイル-TN14003(配列番号1、また、BKT140としても公知であり、以下、BL-8040と称する)ペプチドおよびその機能的な類似体または誘導体を指す。本発明のペプチドは、国際公開第2002/020561号および国際公開第2004/020462号に開示されたペプチドに構造的および機能的に関連しており、詳細に後述するように、「T-140類似体」としても公知である。本発明のペプチドは、CXCR4-アンタゴニストペプチドである、すなわち、ペプチドアンタゴニストの非存在下におけるCXCR-4の活性化と比較して、CXCR-4の活性化を少なくとも10%低下させる。具体的な実施形態によれば、ペプチドアンタゴニストは、競合阻害剤である。具体的な実施形態によれば、ペプチドアンタゴニストは、非競合阻害剤である。
【0096】
具体的な実施形態によれば、機能的なCXCR4アンタゴニストペプチドは、本明細書で使用される場合、投与されると、ImDC、NK細胞、B細胞、単球/マクロファージならびにTエフェクターおよびメモリー細胞の対象の腫瘍への動員および播種を誘導することが可能なものである。
【0097】
他の具体的な実施形態によれば、機能的なCXCR4アンタゴニストペプチドは、本明細書で使用される場合、腫瘍に対する免疫応答を強化することが可能である。
【0098】
様々な特定の実施形態において、ペプチド類似体または誘導体は、下記式(I)で表されるアミノ酸配列またはその塩を有する。
【0099】
【化2】
【0100】
(式中:
は、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、アラニンまたはグルタミン酸残基、もしくはこれらアミノ酸のN-α-置換誘導体であるか、またはAは存在しない、
は、Aが存在する場合、アルギニンまたはグルタミン酸残基を表し、Aが存在しない場合、アルギニンもしくはグルタミン酸残基、またはこれらのアミノ酸のN-α-置換誘導体を表し、
は、芳香族アミノ酸残基を表し、
、AおよびAは、それぞれ独立に、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、アラニンまたはグルタミン酸残基を表し、
は、プロリン、グリシン、オルニチン、リシン、アラニン、シトルリン、アルギニンまたはグルタミン酸残基を表し、
は、プロリン、グリシン、オルニチン、リシン、アラニン、シトルリンまたはアルギニン残基を表し、
は、チロシン、フェニルアラニン、アラニン、ナフチルアラニン、シトルリンまたはグルタミン酸残基を表し、
10は、シトルリン、グルタミン酸、アルギニンまたはリシン残基を表し、
11は、アルギニン、グルタミン酸、リシンまたはシトルリン残基を表し、C末端のカルボキシル基は、誘導体化されていてもよく、
4位または13位のシステイン残基は、ジスルフィド結合を形成していてもよく、前記アミノ酸は、L型とD型のいずれでもよい。)
【0101】
式(I)で表される例示的なペプチドは、以下の表1に示したように、配列番号1~72のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有するペプチドである。
【0102】
【表1-1】
【0103】
【表1-2】
【0104】
具体的な実施形態によれば、配列番号1~72のそれぞれにおいて、2つのシステイン残基は、ジスルフィド結合でカップリングされている。
【0105】
別の実施形態において、類似体または誘導体は、配列番号65に記載のアミノ酸配列(H-Arg-Arg-Nal-Cys-Tyr-Cit-Lys-DLys-Pro-Tyr-Arg-Cit-Cys-Arg-OH、TC14003)を有する。
【0106】
別の実施形態において、本発明の組成物および方法で使用するペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列から実質的になる。別の実施形態において、本発明の組成物および方法で使用するペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1と少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%相同である。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1と少なくとも90%相同である。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1と少なくとも約95%相同である。それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0107】
様々な他の実施形態において、ペプチドは、配列番号1~72から選択され、それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0108】
別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1~4、10、46、47、51~56、65、66、68、70および71のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号4、10、46、47、68および70のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号1、2、51、65および66のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号53~56のいずれか1つに記載のアミノ酸配列を有する。
【0109】
一実施形態において、ペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する。具体的な実施形態によれば、ペプチドは、配列番号1に記載のものである。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号51に記載のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、ペプチドは、配列番号66に記載のアミノ酸配列を有する。
【0110】
具体的な実施形態によれば、ペプチドは、配列番号1に記載のものであり、本明細書に記載されるいずれの実施形態も、このペプチドを具体的に参照したものとして理解されたい。
【0111】
本発明の一部の実施形態におけるペプチドは、ペプチド合成の技術分野における当業者に公知のいかなる技術で合成されてもよい。固相ペプチド合成の場合、多くの技術の要約は、J. M. Stewart and J. D. Young, Solid Phase Peptide Synthesis, W. H. Freeman Co. (San Francisco), 1963、およびJ. Meienhofer, Hormonal Proteins and Peptides, vol. 2, p. 46, Academic Press (New York), 1973に見出すことができる。古典的な溶液合成については、G. Schroder and K. Lupke, The Peptides, vol. 1, Academic Press (New York), 1965を参照されたい。
【0112】
一般的に、これらの方法は、成長するペプチド鎖に、1つまたは複数のアミノ酸または好適には保護されたアミノ酸を逐次的に付加することを含む。通常、最初のアミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のいずれかが、好適な保護基によって保護される。次いで保護されたまたは誘導体化されたアミノ酸は、不活性固体支持体に固定されるか、または溶液中で使用することで、適切に保護された相補的な基(アミノ基またはカルボキシル基)を有する、配列において次に来るアミノ酸を、アミド結合を形成するのに好適な条件下で付加することができる。その後、この新たに付加されたアミノ酸残基から保護基を除去し、次いで次のアミノ酸(好適には保護されたもの)を付加し、以降同様である。全ての所望のアミノ酸が適正な順番で連結された後、全ての残存する保護基(およびあらゆる固体支持体)を逐次的にまたは同時に除去して、最終的なペプチド化合物を得る。この一般的な手順の簡単な改変によって、成長鎖に1を超える数のアミノ酸を一度に付加することもでき、例えば、保護されたトリペプチドと、適切に保護されたジペプチドとを(キラル中心をラセミ化しない条件下で)カップリングすることによって、脱保護後にはペンタペプチドなどを形成することが可能である。ペプチド合成のさらなる説明は、米国特許第6,472,505号に開示されている。
【0113】
大規模なペプチド合成は、Andersson Biopolymers 2000;55(3):227-50によって説明されている。
【0114】
具体的な実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストペプチドを、1種または複数種の白血球動員剤(white blood cell mobilizing agent)と組み合わせて対象に投与する。例えば、ペプチドを、動員に影響を与える1種または複数種の他の増殖因子またはサイトカイン(例えば、G-CSF、GM-CSFおよびSCFなどであるが、これらに限定されない)と、順次または同時に組み合わせて投与してもよい。
【0115】
用語「免疫チェックポイントレギュレーター」は、本明細書で使用される場合、1種または複数種の免疫チェックポイントタンパク質の活性をアゴニストまたはアンタゴニストの方式で調整し、その結果として、免疫細胞の補充を引き起こして、がん細胞に対する免疫活性を惹起する分子を指す。
【0116】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターは、他の免疫チェックポイントタンパク質との交差反応性のない、特異的な免疫チェックポイントタンパク質の活性を調節する。
【0117】
他の具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つの免疫チェックポイントタンパク質の活性を調節する。
【0118】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターは、免疫チェックポイントタンパク質と直接結合する。
【0119】
他の具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターは、中間分子を介して、免疫チェックポイントタンパク質と間接的に結合する。
【0120】
用語「活性化」は、本明細書で使用される場合、細胞の増殖、成熟、サイトカイン産生および/または調節またはエフェクター機能の誘導を引き起こす、免疫細胞(例えばT細胞、NK細胞、B細胞)を刺激するプロセスを指す。
【0121】
用語「免疫チェックポイントタンパク質」は、本明細書で使用される場合、免疫細胞の応答(すなわち活性化または機能)を調節する、抗原非依存性のタンパク質を指す。免疫チェックポイントタンパク質は、共刺激タンパク質(すなわち共刺激性の二次シグナルを伝達することによって免疫細胞の活性化または機能を正に調節して、結果として免疫細胞の活性化をもたらすこと)または阻害タンパク質(すなわち阻害性シグナルを伝達することによって免疫細胞の活性化または機能を負に調節して、結果として免疫細胞の活性の抑制をもたらすこと)のいずれでもよい。
【0122】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を調節する。多数のチェックポイントタンパク質が当業界において公知であり、例えば、これらに限定されないが、PD1、PDL-1、CTLA-4、CD80、LAG-3、TIM-3、KIR、IDO、OX40、OX40L、CD137(4-1BB)、4-1BBL、CD27、CD70、CD40、CD40L、GITR、CD28、CD86、およびICOS(CD278)、ICOSLが挙げられる。
【0123】
刺激シグナルまたは阻害シグナルのシグナル伝達を決定する方法は当業界において周知であり、これらに限定されないが、結合アッセイ(例えば、BiaCore、HPLCまたはフローサイトメトリーを使用)、酵素活性アッセイ(例えば、キナーゼ活性アッセイ)、およびシグナル伝達カスケードに関与する分子の発現(例えば、PCR、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫組織化学を使用)等が挙げられる。上記に加えて、または上記の代替として、シグナル(共刺激または阻害)の伝達の決定を、免疫細胞の活性化または機能の評価によって行うことができる。免疫細胞の活性化または機能を評価する方法は当業界において周知であり、例えば、これらに限定されないが、BRDUおよびチミジンの取り込みなどの増殖アッセイ、クロム放出などの細胞傷害アッセイ、細胞内サイトカインを染色するELISPOTおよびELISAなどのサイトカイン分泌アッセイ、フローサイトメトリーを使用した、CD25、CD69およびCD69などの活性化マーカーの発現が挙げられる。
【0124】
具体的な実施形態によれば、シグナル伝達活性の決定は、例えば、混合リンパ球反応(MLR)によって、インビトロまたはエクスビボで行う。
【0125】
同じ培養条件の場合、シグナル伝達活性または免疫細胞の活性化もしくは機能は、一般的に、対照とも称される、同種であり、免疫チェックポイントレギュレーターと接触させていないか、またはビヒクルのみの対照と接触させた細胞におけるシグナル伝達、活性化または機能と比較として表される。
【0126】
免疫チェックポイントタンパク質(すなわち、共刺激性または阻害性である)に応じて、免疫チェックポイントレギュレーターは、アゴニストであってもよいし、またはアンタゴニストであってもよい。
【0127】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターは、アンタゴニストである。
【0128】
用語「アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害する分子を指す。
【0129】
具体的な実施形態によれば、アンタゴニストは、免疫細胞(例えばT細胞)における免疫チェックポイントタンパク質の抑制作用を防止および/または阻害する。
【0130】
具体的な実施形態によれば、アンタゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質によって免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害する。
【0131】
分子は、可逆的または不可逆的なアンタゴニストであってもよい。
【0132】
具体的な実施形態によれば、アンタゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能(例えばシグナル伝達)を完全に防止する。
【0133】
他の具体的な実施形態によれば、アンタゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能(例えばシグナル伝達)を阻害する。当該阻害は、例えば、キナーゼ活性、増殖アッセイ、細胞傷害アッセイまたはサイトカイン分泌アッセイによって検出されるものなどである。ここで生じる低減は、アンタゴニストの非存在下におけるそれと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の低減である。
【0134】
免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能の防止および/または阻害は、タンパク質レベルで(例えば、抗体、小分子、阻害ペプチド、ポリペプチドを切断する酵素、アプタマーなどの使用によって)行うこともできるが、ゲノムレベル(例えば、相同組換えおよび部位特異的なエンドヌクレアーゼによる)、および/または阻害性免疫チェックポイントタンパク質の転写および/または翻訳に干渉する様々な分子(例えば、RNAサイレンシング剤)を使用して転写レベルで行うこともできる。
【0135】
アンタゴニストとして機能することができる薬剤の非限定的な例を以下で詳細に説明する。
【0136】
ポリペプチドレベルでの生物学的機能の抑制
具体的な実施形態によれば、アンタゴニスト剤は、抗体である。
【0137】
具体的な実施形態によれば、アンタゴニスト抗体は、阻害性免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合することが可能である。具体的な実施形態によれば、アンタゴニスト抗体は、阻害性免疫チェックポイントタンパク質の少なくとも1つのエピトープと特異的に結合する。
【0138】
用語「エピトープ」は、本明細書で使用される場合、抗体のパラトープが結合する、抗原におけるあらゆる抗原決定基を指す。エピトープ決定基は、通常、化学的に活性な表面の分子群、例えばアミノ酸や炭水化物側鎖など、からなり、通常、特異的な3次元構造特性に加えて、特異的な電荷の特徴を有する。
【0139】
用語「抗体」は、本発明で使用される場合、抗原のエピトープに結合することが可能な、インタクトな分子のみならず、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、dsFv等の機能的断片、または抗原のエピトープと結合可能な、VHおよびVLなどの単一ドメイン分子が含まれる。
【0140】
抗体は、単一特異的(1種のエピトープまたはタンパク質を認識することが可能)、二重特異的(2種のエピトープまたはタンパク質と結合することが可能)または多重特異的(複数種のエピトープまたはタンパク質を認識することが可能)であり得る。
【0141】
本発明の一部の実施形態を実施するための好適な抗体断片は、免疫グロブリン軽鎖(本明細書において「軽鎖」と称する)の相補性決定領域(CDR)、免疫グロブリン重鎖(本明細書において「重鎖」と称する)の相補性決定領域、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域、軽鎖、重鎖、Fd断片、ならびに軽鎖および重鎖両方の実施的に全可変領域を含む、Fv、単鎖Fv Fv(scFv)、ジスルフィド安定化Fv(dsFv)、Fab、Fab’およびF(ab’)2などの抗体断片を含む。
【0142】
用語「相補性決定領域」または「CDR」は、本明細書で使用される場合、同義的に使用され、重鎖および軽鎖ポリペプチドの可変領域内に見出される抗原結合領域を指す。一般的に、抗体は、VHのそれぞれにおける3つのCDR(CDR HIまたはHI、CDR H2またはH2、およびCDR H3またはH3)およびVLのそれぞれにおける3つのCDR(CDR LI またはLI、CDR L2またはL2、およびCDR L3またはL3)を含む。
【0143】
特定の抗体中の可変領域またはCDRを構成するアミノ酸残基の同一性は、当技術分野で周知の方法を使用して決定することができる。このような方法には、Kabatらによって定義された配列多様性(例えば、Kabat et al., 1992, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, NIH, Washington D.C.を参照)、Chothiaらによって定義された造的ループ領域の位置(例えば、Chothia et al., Nature 342:877-883, 1989.を参照)、Oxford Molecular社ののAbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標)、Martin et al., 1989、Proc. Natl Acad Sci USA. 86:9268およびワールドワイドウェブサイトwww.bioinf-org.uk/absを参照)を使用する、KabatおよびChothiaの折衷案、接触定義によって定義される、利用可能な複合体結晶構造(MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745, 1996を参照)、「コンホメーション定義」(例えば、Makabe et al., Journal of Biological Chemistry, 283:1156-1166, 2008を参照)、ならびにIMGT(Lefranc MP, et al. (2003) IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains. Dev Comp Immunol 27: 55-77)などが含まれる。
【0144】
「可変領域」および「CDR」は、本明細書で使用される場合、複数の手法の組み合わせを含む、当該技術分野で公知の任意の手法によって定義される、可変領域およびCDRを指す場合もある。
【0145】
軽鎖および重鎖両方の可変領域の全体または実質的に全体を含む、機能的抗体断片は、以下のように定義される。
(i)Fv:2つの鎖として発現される、軽鎖(VL)の可変領域および重鎖(VH)の可変領域からなる、遺伝子操作された断片と定義されるもの、
(ii)単鎖Fv(「scFv」):適切なポリペプチドリンカーによって、遺伝子融合された単鎖分子として連結された、軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む、遺伝子操作された単鎖分子、
(iii)ジスルフィド安定化Fv(「dsFv」):遺伝子操作されたジスルフィド結合によって連結された軽鎖の可変領域および重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された抗体、
(iv)Fab:抗体分子の一価の抗原結合部分を含有する抗体分子断片であって、無傷の軽鎖、および重鎖の可変ドメインおよびCH1ドメインからなる重鎖Fd断片を生じるように完全な抗体を酵素パパインで処理することによって得られる抗体分子断片、
(v)Fab’:抗体分子の一価の抗原結合部分を含有する抗体分子断片であって、完全な抗体を酵素ペプシンで処理し、次に還元することによって得られる抗体分子の断片(抗体分子あたり2つのFab’断片が得られる)、
(vi)F(ab’)2:抗体分子の一価の抗原結合部分を含有する抗体分子断片であって、完全な抗体を酵素ペプシンで処理することによって得られるもの(すなわち、2つのジスルフィド結合によって結合されたFab’断片の二量体)、および
(vii)単一ドメイン抗体またはナノボディー:抗原に対して十分な親和性を示す、単一VHまたはVLドメインから構成されるもの。
【0146】
抗体は、モノクローナルであってもよいし、またはポリクローナルであってもよい。
【0147】
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体ならびにそれらの断片を製造する方法は、当技術分野で周知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれるHarlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1988を参照)。
【0148】
本発明の一部の実施形態に係る抗体断片は、抗体のタンパク質分解性加水分解によって、または断片をコードするDNAの大腸菌もしくは哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養物またはその他のタンパク質発現系)における発現によって調製することができる。抗体断片は、従来法による全抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例えば、抗体断片は、F(ab’)2と呼ばれる5S断片を提供するための、ペプシンによる抗体の酵素的切断によって製造することができる。この断片を、チオール還元剤による切断、および所望により、ジスルフィド結合の切断に起因するスルフヒドリル基に対するブロッキング基を使用して、3.5S Fab’一価断片を製造することができる。あるいは、ペプシンを使用する酵素切断によって、2つの一価のFab’断片およびFc断片が直接製造される。これらの方法は、例えば、Goldenberg、米国特許第4,036,945号および同4,331,647号およびそれらに包含される参考文献に記載されており、これらの特許は、本参照をもってその全文が本明細書に組み込まれる。Porter, R. R.[Biochem. J. 73: 119-126 (1959)]も参照。一価の軽鎖-重鎖断片を形成するための重鎖の分離、断片のさらなる切断、またはその他の酵素的、化学的もしくは遺伝子技術などの抗体を切断する他の方法は、得られる断片が無傷の抗体によって認識される抗原と結合する限り、使用することができる。
【0149】
Fv断片は、VHおよびVL鎖の会合を含む。この会合は、Inbar et al.[Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 69:2659-62 (19720]に記載されるように、非共有結合でもよい。あるいは、可変鎖は、分子間ジスルフィド結合によって連結されてもよく、またはグルタルアルデヒドなどの化学物質によって架橋されてもよい。好ましくは、Fv断片は、ペプチドリンカーによって接続されたVHおよびVL鎖を含む。これらの単鎖抗原結合タンパク質(sFv)は、オリゴヌクレオチドによって接続されたVHおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製することができる。構造遺伝子は、発現ベクター中に挿入され、これは、続いて、大腸菌などの宿主細胞中に導入される。組み換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを有する単一ポリペプチド鎖を合成する。sFvを製造するための方法は、例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、Whitlow and Filpula, Methods 2: 97-105 (1991).、Bird et al., Science 242:423-426 (1988).、Pack et al., Bio/Technology 11:1271-77 (1993).、および米国特許第4,946,778号によって記載されている。
【0150】
抗体断片の別の形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、目的の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することにより得ることができる。このような遺伝子は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を使用して抗体産生細胞のRNA由来の可変領域を合成することによって調製される。例えば、LarrickおよびFry[Methods, 2:106-10(1991)]を参照されたい。
【0151】
ヒトの療法または診断の場合、ヒト化抗体の使用が好ましいことを理解されたい。
【0152】
非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有する、免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)またはその他の抗原結合部分配列など)のキメラ分子である。ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。いくつかの場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体中にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列中にも見られない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常は2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、この場合、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、通常は、ヒト免疫グロブリンのもの、の少なくとも一部をさらに含む[Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmann et al., Nature, 332:323-329 (1988)、およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0153】
非ヒト抗体をヒト化するための方法は当業界において周知である。
【0154】
一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである原料からそれに導入された1つまたは複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、移入残基と呼ばれることが多く、これは、通常、移入可変ドメインから取られたものである。ヒト化は、実質的に、Winterおよび共同研究者[Jones et al., Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988).、Verhoeyen et al., Science, 239:1534-1536 (1988)]の方法に従って、げっ歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列と置換することによって実施することができる。したがって、このようなヒト化抗体は、無傷のヒト可変ドメインよりも実質的に小さい部分が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的にはいくつかのCDR残基および、場合により、いくつかのFR残基が、げっ歯類抗体中の類似部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0155】
ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー[Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991).、Marks et al., J. Mol. Biol., 222:581 (1991)]を含む当技術分野で公知の種々の技術を使用して製造することができる。ColeらおよびBoernerらの技術も、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である[Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985) and Boerner et al., J. Immunol., 147(1):86-95 (1991)]。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座の、内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されているトランスジェニック動物(例えば、マウス)への導入によって作製することができる。曝露の際に、遺伝子再構成、構築および抗体レパートリーを含むあらゆる点で、ヒトにおいて見られるものと非常によく似たヒト抗体の作製が観察される。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、同5,545,806号、同5,569,825号、同5,625,126号、同5,633,425号、同5,661,016号、および以下の科学刊行物:Marks et al., Bio/Technology 10,: 779-783 (1992).、Lonberg et al., Nature 368: 856-859 (1994).、Morrison, Nature 368 812-13 (1994).、Fishwild et al., Nature Biotechnology 14, 845-51 (1996).、Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996).およびLonberg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13, 65-93 (1995)に記載されている。
【0156】
抗体が得られたら、それらの活性について、例えばELISAにより試験してもよい。
【0157】
本発明の一部の実施形態において、アンタゴニストとして使用可能な別の薬剤は、アプタマーである。用語「アプタマー」は、本明細書で使用される場合、タンパク質などの特異的な分子標的に結合する二本鎖または一本鎖のRNA分子を指す。タンパク質特異的なアプタマーを設計するのに使用できる様々な方法は、当業界において公知である。当業者は、Stoltenburg R, Reinemann C, and Strehlitz B (Biomolecular engineering (2007) 24(4):381-403に記載されるような効率的な選択のために、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment、試験管内進化法)を採用することができる。
【0158】
アンタゴニストとなりうる別の薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質に結合する、および/またはそれを切断することによって免疫チェックポイントタンパク質の機能(例えば、触媒作用または相互作用)に干渉するあらゆる分子である。このような分子は、小分子、阻害ペプチド、免疫チェックポイントタンパク質を切断する酵素、アドネクチン、アフィボディ、アビマー、アンチカリン、テトラネクチン、DARPin、および操作されたクニッツ型阻害剤であってもよいが、これらに限定されるものではなく、それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態である。
【0159】
具体的な実施形態によれば、アンタゴニストは、小分子である。
【0160】
具体的な実施形態によれば、アンタゴニストは、ペプチド分子である。
【0161】
阻害ペプチドの少なくとも触媒性部分または結合部分に対する、非機能的な類似体もまた、アンタゴニストとして使用可能であることを理解されたい。
【0162】
核酸レベルでの生物学的機能の抑制
核酸レベルでの下方制御は、典型的には、核酸骨格を有する核酸剤、DNA、RNA、それらの模倣剤またはそれらの組合せを使用して行われる。核酸剤は、DNA分子によりコードされていてもよいし、またはそれ自体を細胞に提供してもよい。
【0163】
したがって、本発明の一部の実施形態のアンタゴニストは、RNAサイレンシング剤でよい。成句「RNAサイレンシング」は、本明細書で使用される場合、対応するタンパク質をコードする遺伝子発現の阻害または「サイレンシング」を引き起こす、RNA分子が媒介する調節メカニズムの群[例えばRNA干渉(RNAi)、転写型遺伝子サイレンシング(TGS)、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)、クエリング、共抑制、および翻訳抑制]を指す。RNAサイレンシングは、植物、動物、および真菌などの様々な生物で観察されている。
【0164】
用語「RNAサイレンシング剤」は、本明細書で使用される場合、標的遺伝子の発現を特異的に阻害または「サイレンシング」することが可能なRNAを指す。ある特定の実施形態において、RNAサイレンシング剤は、転写後のサイレンシングメカニズムを介してmRNA分子の完全なプロセシング(例えば、全体の翻訳および/または発現)を防止することが可能である。RNAサイレンシング剤としては、非コードRNA分子、例えば対になったRNA鎖を含むRNA二重鎖、加えてこのような小さい非コードRNAを生成できる前駆RNAが挙げられる。例示的なRNAサイレンシング剤としては、dsRNA、例えばsiRNA、miRNAおよびshRNAなどが挙げられる。
【0165】
一実施形態において、RNAサイレンシング剤は、RNA干渉を誘導することが可能である。
【0166】
別の実施形態において、RNAサイレンシング剤は、翻訳抑制を媒介することが可能である。
【0167】
本発明の実施形態によれば、RNAサイレンシング剤は、標的RNA(すなわち免疫チェックポイント、例えばPD-1、PDL-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、KIRおよびIDO)に特異的であり、他の標的またはスプライスバリアントを交差阻害したり、サイレンシングしたりしないものである。当該スプライスバリアントは、PCR、ウェスタンブロット、免疫組織化学および/またはフローサイトメトリーによって決定した、標的遺伝子に対する全体的相同性が99%以下、例えば、標的遺伝子に対する全体的相同性が、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%未満のものである。
【0168】
RNA干渉は、短鎖干渉RNA(siRNA)の媒介する、動物における配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングのプロセスである。
【0169】
以下に、本発明の具体的な実施形態に従って使用することのできる、RNAサイレンシング剤の詳細な説明を記載する。
【0170】
dsRNA、siRNAおよびshRNA。細胞中の長いdsRNAの存在は、ダイサーと称されるリボヌクレアーゼIII酵素の活性を刺激する。ダイサーは、dsRNAの、短鎖干渉RNA(siRNA)として公知のdsRNAの短い断片へのプロセシングに関与する。ダイサー活性から得られた短鎖干渉RNAは、典型的には約21から約23ヌクレオチドの長さであり、約19塩基対の二重鎖を含む。
【0171】
RNAi応答はまた、一般的にRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)と称される、エンドヌクレアーゼ複合体を使用し、当該エンドヌクレアーゼ複合体は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二重鎖のアンチセンス鎖に相補的な領域の中央で起こる。
【0172】
したがって、本発明の一部の実施形態は、mRNAからのタンパク質発現を下方制御するためのdsRNAの使用を含む。
【0173】
一実施形態によれば、30bpを超えるdsRNAを使用する。様々な研究から、長いdsRNAは、ストレス応答を誘導したり、有意なオフターゲット作用を引き起こしたりすることなく、遺伝子発現をサイレンシング可能であることが実証されている。例えば[Strat et al., Nucleic Acids Research, 2006, Vol. 34, No.13 3803-3810、Bhargava A et al. Brain Res. Protoc. 2004: 13:115-125、Diallo M. et al., Oligonucleotides. 2003, 13:381-392、Paddison P.J.et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA. 2002, 99:1443-1448、Tran N.、et al., FEBS Lett. 2004, 573:127-134]を参照されたい。
【0174】
本発明の一部の実施形態によれば、dsRNAは、インターフェロン経路が活性化されていない細胞中に提供される。例えば、Billy et al., PNAS 2001, Vol 98, pages 14428-14433. and Diallo et al., Oligonucleotides, October 1, 2003, 13(5): 381-392. doi:10.1089/154545703322617069を参照されたい。
【0175】
本発明の実施形態によれば、長いdsRNAは、遺伝子発現を下方制御するために、インターフェロンおよびPKR経路を誘導しないように厳密に設計される。例えば、ShinagwaおよびIshii[Genes & Dev. 17 (11): 1340-1345, 2003]は、RNAポリメラーゼII(Pol II)プロモーターから長い二本鎖RNAを発現させるために、pDECAPと命名されたベクターを開発した。pDECAPからの転写物は、細胞質へのds-RNAの輸送を容易にする5’-キャップ構造と3’-ポリ(A)テールの両方が欠如しているため、pDECAP由来の長いds-RNAは、インターフェロン応答を誘導しない。
【0176】
哺乳類系においてインターフェロンおよびPKR経路を回避する別の方法は、トランスフェクションまたは内因性発現のいずれかを介した、阻害的低分子RNA(siRNA)の導入である。
【0177】
用語「siRNA」は、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する阻害性低分子RNA二重鎖(一般的に18~30塩基対)を指す。
【0178】
典型的には、siRNAは、中央の19bpの二重鎖領域と、末端における対称的な2塩基の3’-オーバーハングとを有する21merとして化学的に合成されるが、近年、長さ25~30塩基の化学的に合成されたRNA二重鎖が、同じ位置に対する21merと比較して、最大で100倍もの効力増加を示し得ることが報告されている。RNAi始動における、より長いRNAの使用によって観察される効力の増加は、ダイサーに対して産物(21mer)の代わりに基質(27mer)を提供することに起因し、これにより、siRNA二重鎖のRISCへの侵入の速度または効率が改善されることが示唆される。
【0179】
3’-オーバーハングの位置がsiRNAの効力に影響を与え、アンチセンス鎖に3’-オーバーハングを有する非対称二重鎖は、一般的に、センス鎖に3’-オーバーハングを有するものよりも有効であることが発見された(Rose et al., 2005)。アンチセンス転写を標的化した場合には逆の効力パターンが観察されることから、RISCへの非対称鎖のローディングが上記の原因であると考えられる。
【0180】
二本鎖干渉RNA(例えば、siRNA)の鎖は、ヘアピン構造またはステム-ループ構造(例えば、shRNA)を形成するように接続されてもよい。したがって、上述したように、本発明の一部の実施形態のRNAサイレンシング剤はまた、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)でもよい。
【0181】
用語「shRNA」は、本明細書で使用される場合、ステム-ループ構造を有するRNA剤を指し、これは、相補配列の第1および第2の領域を含み、相補性の程度および領域の方向は、領域間での塩基対合が起こるのに十分であり、第1および第2の領域がループ領域によって接合されており、ループは、ループ領域内のヌクレオチド(またはヌクレオチド類似体)間の塩基対合の欠如によって生じたものである。ループのヌクレオチド数は、3から23、または5から15、または7から13、または4から9、または9から11であり、これら範囲内およびその両端の数である。
【0182】
ループ中のヌクレオチドの一部が、ループ中の他のヌクレオチドとの塩基対相互作用に関与していてもよい。ループを形成するのに使用できるオリゴヌクレオチド配列の例としては、5’-CAAGAGA-3’および5’-UUACAA-3’が挙げられる(国際公開第2013126963号および国際公開第2014107763号)。当業者であれば、得られた単鎖オリゴヌクレオチドが、RNAi機構と相互作用することが可能な二本鎖領域を含むステム-ループ構造またはヘアピン構造を形成することを認識することができる。
【0183】
本発明の一部の実施形態における使用に好適なRNAサイレンシング剤の合成は、以下のように行うことができる。第1に、阻害チェックポイントmRNA配列のAUG開始コドンの下流側を、AAジヌクレオチド配列についてスキャンする。各AAおよびその3’に隣接する19ヌクレオチドの出現を、siRNA標的部位候補として記録する。調節タンパク質結合部位中には非翻訳領域(UTR)がより豊富であるため、siRNA標的部位は、オープンリーディングフレームから選択されることが好ましい。UTR結合タンパク質および/または翻訳開始複合体は、siRNAエンドヌクレアーゼ複合体の結合に干渉する可能性がある[Tuschl ChemBiochem. 2:239-245]。また、GAPDHに関して実証されたように、5’UTRに対するsiRNAが細胞性GAPDH mRNAの約90%の減少を媒介し、タンパク質レベルを完全に消滅させたことから、非翻訳領域に対するsiRNAも有効である可能性があることを理解されたい(www.ambion.com/techlib/tn/91/912.html)。
【0184】
第2に、標的部位候補を、配列アライメントソフトウェア、例えばNCBIサーバー(www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)より入手可能なBLASTソフトウェアなどを使用して、適切なゲノムデータベース(例えば、ヒト、マウス、ラットなど)と比較する。他のコード配列に対して有意な相同性を示す推定上の標的部位を選別する。
【0185】
適格な標的配列を、siRNA合成のためのテンプレートとして選択する。
【0186】
好ましい配列は、G/C含量の低いものであり、これは、G/C含量が55%より高いものと比較して、遺伝子サイレンシングの媒介においてより有効であることが証明されているためである。標的遺伝子の長さに沿って、好ましくは複数の標的部位を評価のために選択する。選択したsiRNAのより優れた評価のために、好ましくは陰性対照を共に使用する。陰性対照のsiRNAは、好ましくはsiRNAと同じヌクレオチド組成を含むが、ゲノムに対する有意な相同性が欠如したものである。したがって、他のいずれの遺伝子に対してもいかなる有意な相同性も提示しないことを前提として、siRNAのヌクレオチド配列をスクランブルしたものが好ましく使用される。
【0187】
例えば、PDL-1に対する好適なsiRNAは、Thermo Fisher Scientific社(ドイツ国、ザンクトレオン-ロート)およびInvitrogen社(米国、カリフォルニア州、カールスバッド)から入手可能であり、PDL-2に対するsiRNAは、Invitrogen社(米国、カリフォルニア州、カールスバッド)から入手可能であり、IDOに対するsiRNAは、Zheng et al. The journal of Immunology(2006)177(8):5639-5646に記載された通りでもよい。
【0188】
当然のことながら、さらに上記で述べられた通り、本発明の一部の実施形態のRNAサイレンシング剤は、RNAのみを含有する分子に必ずしも限定されないが、さらに化学修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドも包含する。
【0189】
別の実施形態によれば、RNAサイレンシング剤は、miRNAでもよい。
【0190】
用語「マイクロRNA」、「miRNA」および「miR」は、同義であり、遺伝子発現を調節する長さが約19~28ヌクレオチドの非コード一本鎖RNA分子の集合体を指す。miRNAは、多様な生物(ウイルスからヒトに至る)に見出され、発生、ホメオスタシス、および疾患の病因において役割を担うことが示されている。
【0191】
以下は、miRNA活性のメカニズムの簡単な説明である。
【0192】
miRNAをコードする遺伝子は、転写されて、pri-miRNAとして公知のmiRNA前駆体の産生をもたらす。pri-miRNAは、ステムおよびループを有するヘアピンを形成することができる。
【0193】
pri-miRNAのヘアピン構造は、RNase IIIエンドヌクレアーゼであるドローシャによって認識される。ドローシャは、典型的にはpri-miRNAの末端ループを認識し、RNase IIIエンドヌクレアーゼに典型的な、互い違いの断面でpri-miRNAを切断し、5’リン酸と約2ヌクレオチドの3’オーバーハングを有するpre-miRNAステムループを産生する。次いでpre-miRNAは、Ran-GTPおよび輸送受容体Ex-ポーチン-5によって、核から細胞質に能動輸送される。
【0194】
次いでpre-miRNAのステムループの塩基における二本鎖ステムまたは5’リン酸および3’オーバーハングは、ダイサーによって認識される。このダイサーもRNase IIIエンドヌクレアーゼである。次いでダイサーがステムループの塩基から末端ループの2つのヘリカルターンを切り離すと、追加の5’リン酸および約2ヌクレオチドの3’オーバーハングが残る。得られたsiRNA様の二重鎖は、ミスマッチを含む可能性があり、成熟miRNA、および類似の大きさである、miRNAとして公知の断片を含む。miRNA配列は、クローニングしたmiRNAのライブラリーに見出されることがあるが、典型的にはmiRNAより低い頻度である。
【0195】
miRNAは、最初のうちはmiRNAとの二本鎖種として存在するが、最終的には一本鎖RNAとしてRNA誘導型サイレンシング複合体(RISC)として公知のリボ核タンパク質複合体に取り込まれる。一方、miRNAは除去され分解される。
【0196】
RISCは、miRNA、特にmiRNAのヌクレオチド2~7とmRNAとの高レベルの相補性に基づき、標的核酸を同定する。
【0197】
多数の研究において、翻訳の効率的な阻害を達成するための、miRNAとそのmRNA標的との塩基対合の必要条件が検討されてきた(Bartel 2004, Cell 116-281に総論有り)。哺乳類細胞では、miRNAの最初の8ヌクレオチドが重要な可能性がある(Doench & Sharp 2004 GenesDev 2004-504)。しかしながら、マイクロRNAの他の部分もmRNA結合に参加する可能性がある。さらに、3’における十分な塩基対合は、5’における不十分な対合を補う可能性がある(Brennecke et al., 2005 PLoS 3-e85)。全ゲノムに対するmiRNAの結合を分析するコンピューター使用の研究は、その標的結合における、miRNAの5’の塩基2~7の特異的な役割を示唆したが、通常「A」であることが見出されている最初のヌクレオチドの役割も認められた(Lewis et at 2005 Cell 120-15)。同様に、Krek et al.(2005, Nat Genet 37-495)は、ヌクレオチド1~7または2~8を、標的の同定および検証に使用した。
【0198】
mRNAにおける標的部位は、5’UTR、3’UTR、またはコード領域に存在し得る。
【0199】
miRNAは、mRNA切断または翻訳抑制の2つのメカニズムのいずれかによって、遺伝子発現の下方制御をRISCに指示する可能性がある。mRNAがmiRNAに対してある程度の相補性を有する場合、miRNAは、mRNAの切断を指定する可能性がある。miRNAが切断を導く場合、切断は、典型的にはmiRNAの残基10から残基11へのヌクレオチドの対合の間である。代替として、miRNAがmiRNAに対して必要な程度の相補性を有さない場合、miRNAは、翻訳を抑制する可能性がある。
【0200】
本明細書の上記の記載から、細胞とmiRNAとの接触は、細胞に、例えば成熟二本鎖miRNA、pre-miRNAまたはpri-miRNAをトランスフェクトする/細胞にそれらをローディングすることによって実施可能であることを理解されたい。
【0201】
pre-miRNA配列は、45~90、60~80または60~70ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0202】
pri-miRNA配列は、45~30,000、50~25,000、100~20,000、1,000~1,500または80~100ヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0203】
アンチセンス。アンチセンスは、遺伝子のmRNAに特異的にハイブリダイズすることによって遺伝子の発現を防止または阻害するように設計された、一本鎖RNAである。免疫チェックポイントの下方制御は、免疫チェックポイントタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズすることが可能なアンチセンスポリヌクレオチドを使用して行うことができる。
【0204】
免疫チェックポイントを効率的に下方制御するのに使用可能なアンチセンス分子の設計は、アンチセンスアプローチに重要な2つの観点を考慮しながら行われなければならない。第1の観点は、適切な細胞の細胞質へのオリゴヌクレオチドの送達であり、一方で、第2の観点は、指定したmRNAの翻訳を阻害するように、細胞内で当該mRNAに特異的に結合するオリゴヌクレオチドの設計である。
【0205】
従来技術は、多種多様の細胞種にオリゴヌクレオチドを効率的に送達するのに使用できる多数の送達戦略を教示している[例えば、Jaaskelainen et al. Cell Mol Biol Lett. (2002) 7(2):236-7、Gait, Cell Mol Life Sci. (2003) 60(5):844-53、Martino et al. J Biomed Biotechnol. (2009) 2009:410260、Grijalvo et al. Expert Opin Ther Pat. (2014) 24(7):801-19、Falzarano et al., Nucleic Acid Ther. (2014) 24(1):87-100、Shilakari et al. Biomed Res Int. (2014) 2014: 526391、Prakash et al. Nucleic Acids Res. (2014) 42(13):8796-807およびAsseline et al. J Gene Med. (2014) 16(7-8):157-65を参照]。
【0206】
加えて、標的mRNAおよびオリゴヌクレオチドの両方における構造変化のエネルギー論を説明する、熱力学的サイクルに基づく、標的mRNAに対する予測された結合親和性が最大となる配列を同定するためのアルゴリズムも利用可能である[例えば、Walton et al. Biotechnol Bioeng 65:1-9(1999)を参照]。このようなアルゴリズムは、細胞でアンチセンスアプローチを実行するのに有効に使用されている。
【0207】
加えて、インビトロの系を使用して特異的なオリゴヌクレオチドを設計し、その効率を予測するための数々のアプローチも公開された[Matveeva et al., Nature Biotechnology 16:1374-1375 (1998)]。
【0208】
したがって、高度に正確なアンチセンス設計アルゴリズムおよび多種多様のオリゴヌクレオチド送達系の生成により、当業者は、過剰な試行錯誤を伴う実験を行うことなく、公知配列の発現の下方制御に好適なアンチセンス手法を設計し、それを実行することが可能となる。
【0209】
また核酸剤は、下記で要約されるように、DNAレベルでも作動することができる。
【0210】
免疫チェックポイントの生物学的機能の抑制は、遺伝子(例えば、PD-1、PDL-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、KIRおよびIDO)の構造中への機能喪失型の変更(例えば点突然変異、欠失および挿入)を含む標的化変異を導入を介して、遺伝子を不活性化することによっても達成することができる。
【0211】
成句「機能喪失型の変更」は、本明細書で使用される場合、発現産物、すなわちmRNA転写物および/または翻訳されたタンパク質の発現レベルおよび/または活性の下方制御をもたらす、遺伝子のDNA配列中のあらゆる突然変異を指す。このような機能喪失型の変更の非限定的な例としては、ミスセンス変異(すなわち、タンパク質中のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基に換えることによってタンパク質の酵素活性を壊滅させる突然変異)、ナンセンス突然変異(すなわち、タンパク質中に終止コドン(例えば、酵素活性を欠いたより短いタンパク質を生じさせる早期終止コドン)を導入する突然変異)、フレームシフト突然変異(すなわち、タンパク質のリーディングフレームを変化させる、通常は、欠失または挿入である核酸の突然変異であって、リーディングフレームに終止コドンを導入することによって早期終結したもの(例えば、酵素活性を欠いた、短縮化されたタンパク質)、またはタンパク質の二次または三次構造に影響を与え、突然変異していないポリペプチドの酵素活性を欠いた非機能性タンパク質である、より長いアミノ酸配列(例えば、リードスルータンパク質)をもたらす核酸の突然変異)、素活性の壊滅を伴う、フレームシフト突然変異または終止コドンの改変を生じる突然変異によるリードスルー突然変異(すなわち、終止コドンがアミノ酸コドンに突然変異した場合)、プロモーター突然変異(すなわち、一般的には遺伝子の転写開始部位の5’側のプロモーター配列の突然変異であって、特定の遺伝子産物の下方制御をもたらすもの)、調節突然変異(すなわち、遺伝子の上流もしくは下流、またはその中の領域における、遺伝子産物の発現に影響を与える突然変異)、欠失突然変異(すなわち、遺伝子配列中のコード核酸を欠失させる突然変異であり、フレームシフト突然変異またはインフレーム突然変異(コード配列以内の、1つまたは複数のアミノ酸コドンの欠失)を引き起こす可能性がある突然変異)、挿入突然変異(すなわち、遺伝子配列にコードまたは非コード核酸を挿入する突然変異であり、1つまたは複数のアミノ酸コドンのフレームシフト突然変異またはインフレーム挿入を引き起こす可能性がある突然変異)、逆位(すなわち、逆位を有するコードまたは非コード配列が生じる突然変異)、スプライシング突然変異(すなわち、異常なスプライシングまたは不良なスプライシングを引き起こす突然変異)、および二重突然変異(すなわち、インフレームであるか、またはフレームシフトを引き起こし、重複したコードまたは非コード配列を生じる突然変異)が挙げられる。
【0212】
具体的な実施形態によれば、機能喪失型の遺伝子変更は、遺伝子の少なくとも1つの対立遺伝子を含んでいてもよい。
【0213】
用語「対立遺伝子」は、本明細書で使用される場合、遺伝子座の1つまたは複数の代替形態のいずれかを指し、これらの対立遺伝子の全てが形質または特徴に関するものである。2倍体細胞または生物において、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子は、相同染色体対上の対応する遺伝子座を占有する。
【0214】
他の具体的な実施形態によれば、機能喪失型の遺伝子変更は、遺伝子の両方の対立遺伝子を含む。
【0215】
核酸の変更を目的の遺伝子に導入する方法は当業界において周知である[例えば、Menke D. Genesis (2013) 51: -618、Capecchi, Science (1989) 244:1288-1292、Santiago et al. Proc Natl Acad Sci USA (2008) 105:5809-5814、国際公開第2014085593号、国際公開第2009071334号および国際公開第2011146121号、米国特許第8,771,945号、8,586,526号、6,774,279号および米国特許出願公開公報第20030232410号、20050026157号、第20060014264を参照。これらの内容は、参照によりそれらの全体が組み混まれたものとする]、標的化相同組換え(例えば「ヒットエンドラン」、「二重の置き換え」)、部位特異的なリコンビナーゼ(例えばCreリコンビナーゼおよびFlpリコンビナーゼ)、PBトランスポゼース(例えばスリーピングビューティー、piggyBac、Tol2またはフロッグプリンス)、操作されたヌクレアーゼによるゲノム編集(例えばメガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)およびCRISPR/Cas系のような転写活性化剤)、および組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)プラットフォームを使用するゲノム編集が挙げられる。目的の遺伝子に核酸の変更を導入するための薬剤は、公知のものを使用して設計してもよいし、またはTransposagen社、Addgene社およびSangamo Biosciences社から商業的に得てもよい。
【0216】
効能を評価するための方法および配列の変更を検出するための方法は、当業界において周知であり、DNAシーケンシング、電気泳動、酵素ベースのミスマッチ検出アッセイ、ならびにハイブリダイゼーションアッセイ、例えばPCR、RT-PCR、RNアーゼ保護、インサイチュハイブリダイゼーション、プライマー伸長、サザンブロット、ノーザンブロットおよびドットブロット分析などが挙げられるが、これらに限定されルものではない。
【0217】
また特定の遺伝子における配列の変更は、タンパク質レベルで、例えばクロマトグラフィー、電気泳動方法、例えばELISAおよびウェスタンブロット分析などの免疫検出アッセイ、ならびに免疫組織化学を使用して決定することもできる。
【0218】
上述したように、免疫チェックポイントタンパク質(すなわち共刺激性かまたは阻害性か)に応じて、免疫チェックポイントレギュレーターは、アゴニストであってもよいし、またはアンタゴニストであってもよい。したがって、具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターは、アゴニストである。
【0219】
用語「アゴニスト」は、本明細書で使用される場合、免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能および/または発現を誘導する、および/または増加させる分子を指す。
【0220】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、免疫細胞(例えばT細胞)における免疫チェックポイントタンパク質の共刺激作用を誘導する、および/または増加させる。
【0221】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質による免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を誘導する、および/または増加させる。
【0222】
アゴニストは、天然に存在する活性化剤またはそれらの機能的な誘導体であってもよいし、または天然に存在しない活性化剤であってもよい。
【0223】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、完全アゴニストである、すなわち、アゴニストの作用が天然に存在する活性化剤(すなわちリガンド)の作用と同等である。
【0224】
他の具体的な実施形態によれば、アゴニストは、部分アゴニストである、すなわち、アゴニストの作用が天然に存在する活性化剤(すなわちリガンド)の最大作用よりも低い。アゴニストの作用は、天然に存在する活性化剤の最大作用と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%低くてもよい。
【0225】
さらに他の具体的な実施形態によれば、アゴニストは、スーパーアゴニストである、すなわち、アゴニストの作用は、天然に存在する活性化剤(すなわちリガンド)の最大作用よりも高い。アゴニストの作用は、天然に存在する活性化剤の最大作用と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%高い、または少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍もしくは少なくとも10倍でもよい。
【0226】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能(例えばシグナル伝達)の完全な活性化を誘導する。
【0227】
他の具体的な実施形態によれば、アゴニストは、例えば、キナーゼ活性、増殖アッセイ、細胞傷害アッセイまたはサイトカイン分泌アッセイによって検出される免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能(例えばシグナル伝達)を、増加させる。増加は、アゴニストの非存在下におけるそれと比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の増加であってもよい。
【0228】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質と直接結合する。
【0229】
他の具体的な実施形態によれば、アゴニストは、中間分子を介した作用によって免疫チェックポイントタンパク質と間接的に結合し、例えばアゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子が免疫チェックポイントタンパク質に結合するかまたはそれを調節する。
【0230】
免疫チェックポイントタンパク質の生物学的機能の活性化および/または増加は、タンパク質レベルで(例えば、抗体、小分子、ペプチドなど)行うこともできるが、ゲノムレベルで(例えば、プロモーター、エンハンサー、調節エレメントを介した転写の活性化)、および/または共刺激免疫チェックポイントタンパク質の転写および/または翻訳(例えば、正しいスプライシング、ポリアデニル化、翻訳の活性化)を促進する様々な分子を使用して転写レベルで行うこともできる。
【0231】
アゴニストとして機能することができる薬剤の非限定的な例を以下で詳細に説明する。
【0232】
ポリペプチドレベルでの生物学的機能の活性化および/または増加
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合する能力を保持する、天然に存在する活性化剤またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。
【0233】
共刺激ペプチドの少なくとも触媒性部分または結合部分の機能的な類似体も、アゴニストとしても使用可能であることを理解されたい。したがって、具体的な実施形態によれば、アゴニストは、共刺激免疫チェックポイントタンパク質の少なくとも機能的な部分(例えば触媒性部分または相互作用部分)を包含する、外因性ポリペプチドである。したがって、例えば、ポリペプチドは、共刺激免疫チェックポイントタンパク質受容体と結合して、それを活性化することが可能なリガンドでもよい。
【0234】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、抗体である。
【0235】
具体的な実施形態によれば、アゴニスト抗体は、共刺激免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合することができる。具体的な実施形態によれば、アゴニスト抗体は、共刺激免疫チェックポイントタンパク質の少なくとも1つのエピトープと特異的に結合する。本発明の具体的な実施形態に従って使用可能な抗体の詳細な説明は、本明細書において上述した。
【0236】
アゴニストとなりうる他の薬剤は、免疫チェックポイントタンパク質またはそれらの中間体に結合することによって、共刺激免疫チェックポイントタンパク質の機能(例えば触媒能または相互作用)を促進するおよび/または増加させる分子と予想される。このような分子は、これらに限定されないが、小分子、ペプチド、アプタマー、アドネクチン、アフィボディ、アビマー、アンチカリン、テトラネクチンおよびDARPinであってもよく、それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態である。
【0237】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、小分子である。
【0238】
具体的な実施形態によれば、アゴニストは、ペプチドである。
【0239】
核酸レベルでの生物学的機能の活性化および/または増加
アゴニストはまた、共刺激免疫チェックポイントタンパク質をコードする内因性DNAまたはmRNAの転写および/または翻訳を増加させる、したがって内因性共刺激免疫チェックポイントタンパク質の活性を増加させることが可能な分子であってもよい。
【0240】
他のアゴニスト剤は、共刺激免疫チェックポイントタンパク質の少なくとも機能的な部分を発現するように設計および構築された外因性ポリヌクレオチド(DNAまたはRNA)配列であってもよい。
【0241】
数々の共刺激免疫チェックポイントが、ヒト、ラットおよびマウスからクローニングされている。したがって、コード配列情報は、www.ncbi.nlm.nih.gov/を介して利用可能なGenBankデータベースなどの数々のデータベースより入手可能である。
【0242】
哺乳類細胞に外因性共刺激免疫チェックポイントタンパク質を発現させるために、所望の活性を示す特異的な共刺激免疫チェックポイントタンパク質またはそれらの相同体をコードするポリヌクレオチド配列を、好ましくは哺乳類細胞での発現に好適な核酸構築物に連結する。このような核酸構築物は、細胞中でのポリヌクレオチド配列の転写を指示するプロモーター配列を包含し、当該プロモーターは、構成的なもの[例えばサイトメガロウイルス(CMV)やラウス肉腫ウイルス(RSV)由来のもの]または誘導性(例えばテトラサイクリン誘導性プロモーター)である。
【0243】
具体的な実施形態によれば、本発明の一部の実施形態の核酸構築物によって利用されるプロモーターは、特定の細胞集団において活性である。細胞型特異的および/または組織特異的なプロモーターの例としては、例えば、これらに限定されないが、リンパ球特異的なプロモーター[Calame et al., (1988) Adv. Immunol. 43:235-275]、詳細にはT細胞受容体のプロモーター[Winoto et al., (1989) EMBO J. 8:729-733]および免疫グロブリンのプロモーター[Banerji et al.(1983)Cell 33729-740]などのプロモーターが挙げられる。
【0244】
本発明の一部の実施形態の核酸構築物(本明細書では「発現ベクター」とも称される)は、当該ベクターを、原核生物、真核生物または好ましくはこれらの両方(例えば、シャトルベクター)における複製および組込みに適切なものとする付加的な配列を含む。さらに、典型的なクローニングベクターはまた、転写および翻訳開始配列、転写および翻訳停止配列、ならびにポリアデニル化シグナルも含有してもよい。一例として、このような構築物は、通常、5’LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、二本鎖DNA合成開始点、および3’LTRまたはその一部を含んでもよい。また構築物は、連結された相同なまたは異種プロモーターからの転写を1,000倍まで増加することができるエンハンサーエレメントを包含してもよい。ベクターは、真核性のレプリコンを包含してもよいし、または包含しなくてもよい。
【0245】
本発明の一部の実施形態の核酸構築物はまた、それを導入した宿主細胞からペプチドを分泌させるためのシグナル配列を包含してもよい。好ましくは、この目的のためのシグナル配列は、哺乳類シグナル配列であるか、または本発明の一部の実施形態のポリペプチドバリアントのシグナル配列である。
【0246】
共刺激免疫チェックポイントのmRNAの翻訳効率を増加させるために、ポリアデニル化配列が発現ベクターに付加されてもよい。正確で効率的なポリアデニル化には、ポリアデニル化部位の下流に配置されたGUまたはUリッチ配列、および11~30ヌクレオチド上流に位置する、6つのヌクレオチドの高度に保存された配列であるAAUAAAといった、2つの別個の配列エレメントが必要である。本発明の一部の実施形態に好適な終結およびポリアデニル化シグナルとしては、SV40由来のものが挙げられる。
【0247】
本発明の一部の実施形態の発現ベクターは、内部リボソーム侵入部位(IRES)などの、例えば単一のmRNAから数々のタンパク質の翻訳を可能にする追加のポリヌクレオチド配列、およびプロモーター-キメラポリペプチドのゲノム統合のための配列をさらに包含していてもよい。
【0248】
挿入されたコード配列の転写および翻訳のための必須エレメントを含有することに加えて、本発明の一部の実施形態の発現構築物はまた、発現されたペプチドの安定性、産生、または収量を強化するように操作された配列を包含してもよい。
【0249】
発現ベクター中に含まれる個々のエレメントは、様々な順序で配置可能であることを理解されたい。
【0250】
本発明の一部の実施形態によって使用されるベクターの種類は、形質転換する細胞の種類に依存する。形質転換される細胞種に基づき、好適なベクターを選択することは、十分に当業者の能力の範囲内であり、よって、本明細書においては、そのような選択のための一般的な説明は提供しない。
【0251】
組換えウイルスベクターは、水平感染および特異的な標的化などの利点を提供するため、免疫チェックポイントタンパク質のインビボにおける発現に有用である。水平伝播することのできないウイルスベクターを産生してもよい。
【0252】
細胞に本発明の一部の実施形態の発現ベクターを導入するために、様々な方法を使用することができる。このような方法は、一般的に、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Laboratory, New York (1989, 1992)、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, Md. (1989)、Chang et al., Somatic Gene Therapy, CRC Press, Ann Arbor, Mich. (1995)、Vega et al., Gene Targeting, CRC Press, Ann Arbor Mich. (1995)、Vectors: A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses, Butterworths, Boston Mass. (1988)およびGilboa et at. [Biotechniques 4 (6): 504-512, 1986]に記載されている。現在好ましいインビボでの核酸移動技術としては、ウイルスまたは非ウイルス構築物、例えばアデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスI型ウイルス、またはアデノ関連ウイルス(AAV)など、および脂質ベースの系でのトランスフェクションが挙げられる。遺伝子の脂質媒介移動に有用な脂質は、例えば、DOTMA、DOPE、およびDC-Cholである[Tonkinson et al., Cancer Investigation, 14(1):54-65(1996)]。遺伝子治療での使用に最も好ましい構築物は、ウイルス、最も好ましくはアデノウイルス、AAV、レンチウイルス、またはレトロウイルスである。非ウイルス、例えばカチオン脂質、ポリリシン、およびデンドリマーなどの他のベクターも使用することができる。
【0253】
上述したように、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドは、がんの治療のために、免疫チェックポイントレギュレーターと組み合わせて使用することができる。免疫チェックタンパク質が阻害タンパク質である具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドは、免疫チェックポイントアンタゴニストと組み合わせて投与される。以下は、本発明の教示に従って使用できる組合せを列挙する。
【0254】
したがって、本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のPD1アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0255】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD1アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0256】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD1アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0257】
PD1(プログラム死1、また、CD279としても公知)は、Ig遺伝子スーパーファミリーの一部である55kDaのI型膜貫通タンパク質であり、活性化されたT細胞、B細胞、NK細胞および骨髄細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現されるものである。PD-1は、膜近位の免疫受容体のチロシン阻害モチーフ(ITIM)および膜遠位のチロシンベースのスイッチモチーフ(ITSM)を含有する。
【0258】
PD-1上のITIMの存在は、この分子が、細胞質内ホスファターゼの補充によって抗原の受容体シグナル伝達を弱めるように機能することを示す。
【0259】
具体的な実施形態によれば、PD1タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_005009として登録されているヒトタンパク質を指す。PD-1に対する2つのリガンドであるPD-L1およびPD-L2(B7-DCとしても公知)が同定されている。
【0260】
具体的な実施形態によれば、PD-L1タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001254635およびNP_054862として登録されているヒトタンパク質を指す。具体的な実施形態によれば、PD-L2タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_079515として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0261】
PD1の発現パターンおよび機能は、細胞型に依存する。PD1発現は、エフェクターT細胞の活性化後に誘導される。リガンドが結合すると、PD1は、例えばホスファターゼSHP2を介したT細胞の活性化に関与するキナーゼを阻害することによって、阻害シグナルを伝達する。逆に、PD1は、調節性T細胞上で高度に発現され、そこでPD1は、リガンドが結合するときにそれらの増殖を強化することができる。PD-1はまた、B細胞およびNK細胞などの他の活性化された非Tリンパ球サブセット上でも誘導され、リガンドが結合すると、PD-1は、それらの抗体産生および溶解活性をそれぞれ制限する阻害シグナルを伝達する[Pardoll(2012)Nature Reviews Cancer 12, 252-264]。
【0262】
したがって、PD1遮断は、エフェクターT細胞、NK細胞の活性、ならびに組織および腫瘍の微小環境における抗体産生を強化することができる。多くの腫瘍には調節性T細胞が高度に浸潤しており、調節性T細胞はさらにエフェクター免疫応答を抑制する可能性があることから、PD1経路の遮断はまた、腫瘍内の調節性T細胞の数および/または抑制活性を減らすことによって抗腫瘍免疫応答を強化することもできる。
【0263】
用語「PD1アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、PD1の生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。
【0264】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、PD1によって免疫細胞(例えばT細胞、B細胞、NK細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害し、それによってPD1の免疫抑制活性を抑制する。
【0265】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0266】
具体的な実施形態によれば、本発明のPD1アンタゴニストは、PD1と直接結合する、および/またはPD1のリガンドと結合することによって、リガンドのPD1への結合に干渉する、および/またはそれを阻害する。
【0267】
他の具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、中間分子を介した作用によってPD1と間接的に結合する。例えば、アンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がPD1に結合するかまたはそれを調節する。
【0268】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、PD1と結合する。他の具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、さらに後述するように、PD-1リガンド(例えばPDL-1またはPDL-2)の少なくとも1つと結合する。
【0269】
ある特定の実施形態において、PD1アンタゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、PD1への高親和性の結合(例えば10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトPD1への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質(例えばCD28、CTLA-4およびICOS)への有意な交差反応性の欠如、T細胞の増殖を刺激する能力、IFN-γおよび/またはIL-2分泌を増加させる能力、1種または複数種のPD1リガンド(例えば、PD-L1および/またはPD-L2)のPD1への結合を阻害する能力、抗原特異的なメモリー応答を刺激する能力、抗体反応を刺激する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0270】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、抗体である。
【0271】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、抗PD1抗体である。本発明での使用に好適な抗PD1抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗PD1抗体が使用されてもよい。抗PD1抗体の例は、例えば、Topalian, et al. NEJM 2012、米国特許第7,488,802号、第8,008,449号、第8,609,089号、第6,808,710号、第7,521,051号、および第8168757号、米国特許出願公開公報第20140227262号、第20100151492号、第20060210567号、および第20060034826号、ならびに国際公開第2008156712号、第2010089411号、第2010036959号、第2011159877号、第2013/019906号、第2014159562号、第2011109789号、第01/14557号、第2004/004771号、および第2004/056875号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0272】
本発明の一部の実施形態に従って使用で可能な具体的な抗PD1抗体としては、これらに限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【0273】
WHO Drug Information, Vol. 27, No. 1, pages 68-69(2013)に記載の構造を有し、PD-1に結合して、そのリガンドPD-LlおよびPD-L2によるPD-1の活性化をブロックする完全ヒトIgG4抗体である、BMY社によりオプジーボとして販売されているニボルマブ(MDX1106、BMS-936558、ONO-4538としても公知)、
WHO Drug Information, Vol. 27, No. 2, pages 161-162(2013)に記載の構造を有し、PD1に結合して、そのリガンドによるPD1の活性化をブロックするヒト化モノクローナルIgG4抗体である、ペンブロリズマブ(Merck社により生産されたMK-3475であり、キイトルーダ、SCH900475としても公知)、
PD-1と結合するヒト化モノクローナルIgG1抗体である、ピディリズマブ(CureTech社により生産されたCT-011であり、hBAT、hBAT-1としても公知)、
PD-1と結合するヒト化モノクローナルIgG4抗体である、AMP-514(AZYおよびMedImmuneにより生産されたMEDI-0680としても公知)、
国際公開第2008/156712号に記載されているヒト化抗体h409Al l、h409A16およびh409A17。
【0274】
具体的な実施形態によれば、抗体は、PD1への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0275】
具体的な実施形態によれば、抗体は、PD1との結合に関して競合する、および/またはPD1上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0276】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、その可変領域のアミノ酸配列同一性が、上述の抗体と少なくとも約90%である。
【0277】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、さらに後述するように、抗PDL-1抗体である。
【0278】
具体的な実施形態によれば、PD1アンタゴニストは、抗PDL-2抗体である。
【0279】
本発明での使用に好適な抗PDL-2抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗PDL-2抗体を使用してもよい。抗PD1抗体の例は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第03/042402号および第02/00730号で開示されている。
【0280】
他のPD1アンタゴニストとしては、PD-1またはそのリガンドのいずれか1つに特異的に結合するイムノアドヘシン、例えば、免疫グロブリン分子のFc領域などの定常領域に融合した、PD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD1結合部分を含有する融合タンパク質などが挙げられる。PD1に特異的に結合するイムノアドヘシン分子の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/027827号および第2011/066342号に記載されている。
【0281】
本発明の一部の実施形態に従って使用可能な具体的な融合タンパク質は、ヒトPD-L2およびヒトIgG1のFcドメインで構成される、操作された組換え融合タンパク質である、AMP-224(AZYおよびGSKにより生産されたB7-DCIgとしても公知)である。
【0282】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のPD1アンタゴニストとしては、PD1リガンドに結合して、内因性PD1受容体への結合を防止するPD1、PDL-1もしくはPDL-2、非機能的なPD1、可溶性PD1またはそれらの断片を標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、融合タンパク質および断片が挙げられ、これらは、例えば、米国特許第8,609,089号および第6,808,710号、米国特許出願公開公報第20140227262号、第20100151492号、第20040137577号、第20030232323号、第20030044768号、第20030039653号、第20020164600号、第20020110836号、第20020107363号、第20020106730号、第20090305950号および第20140271677号、国際公開第03042402号、第2010036959号、第2011066342号、第2011082400号、第2011161699号、第2014012479号、第2011109789号、および第2013132317号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0283】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のPD-L1アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0284】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD-L1アンタゴニストをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0285】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、PD-L1アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0286】
PDL-1(B7-H1としても公知)は、PD1およびB7.1(CD80)と結合するB7相同体である。PDL-1は、T細胞、B細胞、樹状細胞、マクロファージ、間葉幹細胞、骨髄由来肥満細胞上で構成的に発現され、さらに多様な非造血細胞(例えば、角膜、肺、血管上皮、肝臓の非実質細胞、膵島、胎盤の合胞体栄養細胞、ケラチノサイトなど)上でも構成的に発現され、活性化後に多数の細胞型で上方制御される[Yamazaki et al., J. Immunol. 169:5538-45(2002)、Keir et al., Annu. Rev. Immunol. 26:677-704 (2008)]。加えて、例えば、これらに限定されないが、黒色腫、卵巣および肺がん細胞などの多くのがん細胞が、PDL-1を発現する[Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12, 252-264]。具体的な実施形態によれば、PDL-1タンパク質は、例えば、GenBank受託番号NP_054862およびNP_054862として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0287】
PDL-1のPD1またはB7.1への結合は、T細胞活性化を下方制御することが示されている[Butte et al. (2007) Immunity 27:111-22]。また、PD-1とPD-L1との相互作用が、腫瘍浸潤リンパ球の減少、T細胞受容体が媒介する増殖の減少、およびがん細胞による免疫回避を引き起こすことも示されている(Dong et al. (2003) J. Mol. Med. 81:281-7、Blank et al. (2005) Cancer Immunol. Immunother. 54:307- 314、Konishi et al. (2004) Clin. Cancer Res. 10:5094-100)。
【0288】
用語「PDL-1アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、PDL-1の生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。
【0289】
具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、PDL-1とその結合パートナーの少なくとも1つ(例えばPD-1およびB7.1)との相互作用によって免疫細胞(例えばT細胞、B細胞、NK細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害し、それによってPDL-1の免疫抑制活性を抑制する。
【0290】
具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、PD-Llに結合するか、またはPD-Llとその結合パートナーとの結合および/または活性化を阻害する。
【0291】
具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、PDL-1と結合し、PDL-1のPD1および/またはB7.1への結合に干渉し、および/またはそれを阻害する。
【0292】
具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、PDL-1と結合し、PDL-1によるPD1および/またはB7.1の活性化を防止および/または阻害する。
【0293】
他の具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、中間分子を介した作用によってPDL-1と間接的に結合し、例えばアンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がPDL-1に結合するかまたはそれを調節する。
【0294】
具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えばPDL-1への高親和性の結合(例えば10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトPDL-1への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、T細胞の増殖を刺激する能力、IFN-γおよび/またはIL-2分泌を増加させる能力、抗体反応を刺激する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0295】
具体的な実施形態によれば、PDL-1アンタゴニストは、抗PDL-1抗体である。
【0296】
本発明での使用に好適な抗PDL-1抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗PDL-1抗体が使用されてもよい。抗PDL-1抗体の例は、例えば、Brahmer, et al. NEJM 2012、米国特許第7,943,743号、第8,217,149号、第8,741,295号、第8,552,154号、および第8,383,796号、米国特許出願公開公報第20140227262号、および第20030232323号、ならびに国際公開第2014066834号、第2010036959号、第2011066342号、第2013/019906号、第2010/077634号、第2002079499号、第2003042402号、第2002086083号、第2001039722号、第2007005874号、第2011109789号および第2007005874号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0297】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗PDL-1抗体としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
PD-L1と結合して、そのPD1およびB7.1への結合および活性化を防止する、Fc最適化されたヒトモノクローナル抗体であるMPDL3280A(Roche/Genentech社により生産されたRG7446としても公知)、この抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を最小化することによって効能および安全性を最適化するように設計された、操作されたFcドメインを含有する、
PD-L1の、PD-1とB7.1の両方への結合を阻害する完全ヒトIgG4抗PD-L1モノクローナル抗体であるBMS-936559(BMS社により生産されたもの)、
PDL-1と結合するモノクローナル抗体であるMEDI4736(AstraZeneca社により生産された抗B7-Hlとしても公知)、
完全ヒト抗PD-L1 IgG1モノクローナル抗体であるアベルマブ(Merck KGaAにより生産されたMSB0010718Cとしても公知)、および
国際公開第2007/005874号および米国特許第7,943,743号に記載の、モノクローナル抗体12A4、3G10、10A5、5F8、10H10、1B12、7H1、11E6、12B7、および13G4。
【0298】
具体的な実施形態によれば、抗体は、PDL-1への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0299】
具体的な実施形態によれば、抗体は、PDL-1との結合に関して競合する、および/またはPDL-1上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0300】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、その可変領域のアミノ酸配列同一性が、上述の抗体と少なくとも約90%である。
【0301】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のPDL-1アンタゴニストとしては、PDL-1、非機能的なPDL-1またはそれらの断片を標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、イムノアドヘシン、融合タンパク質および断片であって、PD1に結合するが、それによるシグナル伝達を促進しないものが挙げられる。これらは、例えば、米国特許第6,808,710号、米国特許出願公開公報第20140227262号、第20030232323号、第20030039653号および第20140271677号、国際公開第2011066342号、第2013/019906号、および第2011109789号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0302】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCTLA-4アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療すること
を含む方法が提供される。
【0303】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CTLA-4アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0304】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CTLA-4アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0305】
CTLA4は、T細胞(例えば、CD4+ヘルパーT細胞)の表面上で発現される免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、リガンドが結合するとT細胞に阻害シグナルを伝達するものである。具体的な実施形態によれば、CTLA-4タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001032720として登録されているヒトタンパク質を指す。CTLA-4のリガンドとして、B7.1(CD80としても公知)およびB7.2(CD86としても公知)の2種が同定されている。具体的な実施形態によれば、B7.1タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_005182として登録されているヒトタンパク質を指す。具体的な実施形態によれば、B7.2タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001193853として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0306】
CTLA4は、活性化されたCD4+ヘルパーおよびCD8細胞傷害エフェクターT細胞の両方上で発現されるが、CTLA4の主要な生理学的な役割は、CD4T細胞の2つの主要なサブセット:ヘルパーT細胞活性のダウンモジュレーションおよび調節性T細胞の免疫抑制活性の強化に対する別個の作用を介しているようである。
【0307】
典型的には、ナイーブT細胞およびメモリーT細胞は、高レベルの細胞表面CD28を発現するが、それらの表面上でCTLA4を発現しない。抗原との遭遇によってTCRが始動した後、CTLA4は、細胞表面に輸送される。エフェクター細胞上におけるCTL4リガンドのいずれかのCTLA4への結合は、細胞周期およびT細胞応答の終結を介してIL-2合成および進行の阻害を引き起こす[Walunas et al., J. Exp. Med. 183:2541-2550(1996)、Greenwald et al., Immunity 14:145-155(2001)]。調節性T細胞は、それとは逆に、CTLA4を構成的に発現し、調節性T細胞上へのCTLA4の結合は、その抑制機能を強化する[Pardoll(2012)Nature Reviews Cancer 12, 252-264]。
【0308】
したがって、CTLA4遮断は、エフェクターCD4T細胞活性の活性を強化する、および/または調節性T細胞依存性の免疫抑制を阻害することができる。
【0309】
用語「CTLA4アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、CTLA4の生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。
【0310】
具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、CTLA4によって免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害し、それによってCTLA4の免疫抑制活性を抑制する。
【0311】
具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、TCR活性化シグナルの後にヘルパーT細胞の免疫応答を促進する。
【0312】
具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、調節性T細胞の免疫抑制作用を阻害する。
【0313】
具体的な実施形態によれば、本発明のCTLA4アンタゴニストは、CTLA4と直接結合および/またはCTLA4のリガンドと結合の後に、CTLA4へのリガンドの結合に干渉する、および/またはそれを阻害する。
【0314】
他の具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、中間分子を介した作用によってCTLA4と間接的に結合する。例えばアンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がCTLA4に結合するかまたはそれを調節する。
【0315】
具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、CTLA4と結合する。
【0316】
他の具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、CTLA4リガンド(例えばB7.1およびB7.2)の少なくとも1種と結合する。
【0317】
ある特定の実施形態において、CTLA4アンタゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えばCTLA4またはそのリガンドへの高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトCTLA4への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質(例えば、CD28およびICOS)への有意な交差反応性の欠如、T細胞の増殖を刺激する能力、IFN-γおよび/またはIL-2分泌を増加させる能力、1種または複数種のCTLA4リガンド(例えば、B7.1およびB7.2)のCTLA4への結合を阻害する能力、調節性T細胞応答を阻害する能力、および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0318】
具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、抗体である。
【0319】
具体的な実施形態によれば、CTLA4アンタゴニストは、抗CTLA4抗体である。本発明での使用に好適な抗CTLA4抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗CTLA4抗体を使用してもよい。
【0320】
抗CTLA4抗体の例は、例えば、Hurwitz et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95(17):10067-10071、Camacho et al. (2004) J. Clin. Oncology 22(145): 抄録番号2505 (antibody CP-675206)、およびMokyr et al. (1998) Cancer Res. 58:5301-5304、米国特許第5,811,097号、第5,855,887号、第6,051,227号、第6,207,157号、第6,207,156号、第6,682,736号、第6,984,720号、第5,977,318号、第7,109,003号、第7,132,281号、第8,993,524号および第7,605,238号、米国特許出願公開公報第09/644,668号、第2005/0201994号、第2002/086014号、国際公開第2014066834号、第01/14424号および第00/37504号、第20020039581号、第98/42752号、第00/37504号、第2004035607号、および第01/14424号、ならびに欧州特許第1212422B1号で開示されており、これらは本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0321】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗CTLA4抗体としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
CTLA-4に結合する完全ヒトモノクローナルIgG抗体である、BMS社によりYervoy(商標)として販売されているイピリムマブ(10D1、MDX-D010としても公知)、および
CTLA4と結合するヒトIgG2モノクローナル抗体であるトレメリムマブ(MedImmune社およびPfizer社の生産する、チシリムマブ、CP-675,206)。
【0322】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CTLA4への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0323】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CTLA4との結合に対して競合する、および/またはCTLA4上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0324】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列同一性が、上述の抗体と少なくとも約90%である。
【0325】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のCTLA4アンタゴニストとしては、CTLA4リガンドに結合して、内因性CTLA4受容体への結合を防止するCTL4もしくはそのリガンド、非機能的なCTLA4、可溶性CTLA4またはそれらの断片を標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、融合タンパク質および断片が挙げられ、これらは、例えば米国特許第8,993,524号、米国特許出願公開公報第20030232323号、第20020106730号、および第20140271677号、国際公開第2014012479号、および第2014089113号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0326】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のLAG-3アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0327】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、LAG-3アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0328】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、LAG-3アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0329】
LAG-3(CD223としても公知)は、例えば、活性化されたT細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞および形質細胞様樹状細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現される免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。
【0330】
具体的な実施形態によれば、LAG-3タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_002277として登録されているヒトタンパク質を指す。LAG-3に関する唯一の現在公知のリガンドは、MHCクラスII分子であり、これは、腫瘍浸潤マクロファージおよび樹状細胞において、さらには、例えば、上皮がんなどの一部のがんにおいても、上方制御される[Pardoll(2012)Nature Reviews Cancer 12, 252-264]。
【0331】
リガンドが結合すると、LAG-3は、例えば、エフェクターT細胞の活性化、増殖および機能を阻害し、さらには調節性T細胞の機能強化における役割も担う。LAG-3MHCクラスII相互作用はまた、樹状細胞の機能を調節することにおいても役割を担う。したがって、LAG3の遮断は、エフェクターT細胞活性の活性を強化して、調節性T細胞の細胞依存性免疫抑制を阻害することができる。
【0332】
用語「LAG-3アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、LAG-3の生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。
【0333】
具体的な実施形態によれば、LAG-3アンタゴニストは、LAG-3によって免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害し、それによってLAG-3の免疫抑制活性を抑制する。
【0334】
具体的な実施形態によれば、LAG-3アンタゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0335】
具体的な実施形態によれば、本発明のLAG-3アンタゴニストは、LAG-3と直接結合し、および/またはLAG-3のリガンドと結合して、LAG-3へのリガンドの結合に干渉する、および/またはそれを阻害する。
【0336】
他の具体的な実施形態によれば、LAG-3アンタゴニストは、中間分子を介した作用によってLAG-3と間接的に結合し、例えばアンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がLAG-3に結合するかまたはそれを調節する。
【0337】
具体的な実施形態によれば、LAG-3アンタゴニストは、LAG-3と結合する。
【0338】
ある特定の実施形態において、LAG-3アンタゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えばLAG-3への高親和性の結合(例えば10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトLAG-3への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、T細胞の増殖を刺激する能力、IFN-γ、IL-4および/またはIL-2分泌を増加させる能力、MHCクラスIIのLAG-3への結合を阻害する能力、および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0339】
具体的な実施形態によれば、LAG-3アンタゴニストは、抗体である。
【0340】
具体的な実施形態によれば、LAG-3アンタゴニストは、抗LAG-3抗体である。本発明での使用に好適な抗LAG-3抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗LAG-3抗体が使用してもよい。抗LAG-3抗体の例は、例えば、Blackburn et al. (2009) Nat Immunol. 10(1):29-37、Woo et al. (2012) Cancer Res, 72:917-927、米国特許第6,143,273号、第5,955,300号、および第RE38313号、米国出願公開第20110150892号、国際公開第2014008218号、第2014144666号、第2003035682号、第2011109789号、および第2014140180号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0341】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗LAG-3抗体としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
LAG-3と結合するモノクローナル抗体であるBMS-986016(BMS社により生産されたもの)、および
LAG-3と結合するアンタゴニスト抗体であるIMP701(Immutep社により生産されたもの)。
【0342】
具体的な実施形態によれば、抗体は、LAG-3への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0343】
具体的な実施形態によれば、抗体は、LAG-3との結合に関して競合する、および/またはLAG-3上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0344】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列について、上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0345】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のLAG-3アンタゴニストとしては、LAG-3リガンドに結合して、内因性LAG-3受容体への結合を防止する、LAG-3、非機能的なLAG-3(例えば、細胞内KIEELEドメインが欠失したLAG-3分子など)、可溶性LAG-3またはそれらの断片を標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、融合タンパク質および断片が挙げられる。これらは、例えばGoldberg and Drake (2011) Curr Top Microbiol Immunol. 344:269-78、欧州特許第0893507号、米国特許第6,482,925号およびRE38313号、第米国出願公開第20140271677号、国際公開第2003035682号、第2014012479号、および第2011109789号で開示されたものなどが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0346】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のTIM-3アンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0347】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、TIM-3アンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0348】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、TIM-3アンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0349】
TIM-3は、構造的に保存された免疫グロブリン可変(IgV)ドメイン、および数々の免疫細胞(例えばT細胞(主としてTh1細胞)、マクロファージおよび樹状細胞など)の表面上で発現されるムチンドメインを有するI型膜貫通タンパク質である。具体的な実施形態によれば、TIM-3タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_116171として登録されているヒトタンパク質を指す。TIM-3のリガンドとしてガレクチン-9が同定されている。ガレクチン9は、乳がんなどの様々な種類のがんで上方制御されることが示されている[Pardoll (2012) Nature Reviews Cancer 12, 252-264]。具体的な実施形態によれば、ガレクチン-9タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_002299およびNP_033665として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0350】
TIM-3のそのリガンドへの結合は、エフェクターTh1細胞において細胞死を特異的に誘導することによってTh1細胞の免疫性を負に調節する。
【0351】
用語「TIM-3アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、TIM-3の生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。
【0352】
具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、TIM-3によって免疫細胞(例えばT細胞、例えばTh1細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害し、それによってTIM-3の免疫抑制活性を抑制する。
【0353】
具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞(例えばTh1細胞)の免疫応答を促進する。
【0354】
具体的な実施形態によれば、本発明のTIM-3アンタゴニストは、TIM-3と直接結合し、および/またはTIM-3のリガンドと結合して、TIM-3へのリガンドの結合に干渉する、および/またはそれを阻害する。
【0355】
他の具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、中間分子を介した作用によってTIM-3と間接的に結合する。例えばアンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がTIM-3に結合するかまたはそれを調節する。
【0356】
具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、TIM-3と結合する。
【0357】
他の具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、TIM-3リガンド(例えばガレクチン-9)と結合する。
【0358】
ある特定の実施形態において、TIM-3アンタゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えばTIM-3への高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトTIM-3への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、Th1媒介免疫応答を増加させる能力、T細胞の増殖を刺激する能力、IFN-γ分泌を増加させる能力、ガレクチン-9のTIM-3への結合を阻害する能力、および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0359】
具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、抗体である。
【0360】
具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、抗TIM-3抗体である。本発明での使用に好適な抗TIM-3抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗TIM-3抗体を使用してもよい。抗TIM3抗体の例は、例えば、Ngiow et al. (2011) Cancer Res 71:3540-51、Sakuishi et al. (2010) Exp Med 207:2187-94、米国特許第8,647,623号、第8,841,418号、第8,709,412号、米国特許公開公報第20120189617号、国際公開第2011159877号、第2005033144号および第2014022332号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0361】
具体的な実施形態によれば、抗体は、TIM-3への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0362】
具体的な実施形態によれば、抗体は、TIM-3との結合に関して競合する、および/またはTIM-3上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0363】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列について、上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0364】
具体的な実施形態によれば、TIM-3アンタゴニストは、抗ガレクチン-9抗体である。
【0365】
本発明の具体的な実施形態に従って使用できる他のTIM-3アンタゴニストとしては、TIM-3またはそのリガンドを標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、融合タンパク質および断片である。例えば米国特許第8,709,412号、米国出願公開第20140271677号、第20100061992号、国際公開第2014022332号、および第2005033144号で開示されたものなどが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0366】
また、CEACAM1がTIM-3リガンドであることも示唆されており、したがってTIM-3アンタゴニストは、TIM-3とCEACAM1との相互作用が媒介するシグナル伝達を予防する薬剤であり得る(国際公開第2014022332号を参照)。
【0367】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のKIRアンタゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0368】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、KIRアンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0369】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、KIRアンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0370】
KIR(キラー細胞Ig様受容体)は、1~3つの細胞外免疫グロブリン様ドメインを含む細胞表面糖タンパク質であり、一部のT細胞に加えてほとんどのヒトNK細胞によって発現されるものである。KIRは、MHCクラスI分子中の決定基と相互作用し、この相互作用の後に、KIRは、阻害または活性化シグナルを送達する。KIR遺伝子は、Igドメインの数(2Dまたは3D)およびそれらの細胞質内テールの長さによって特徴付けられ、テールが長いKIR(2DLまたは3DL)は、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含有し、これが受容体と結合すると、ホスファターゼSHP-1を補充して、阻害シグナルを誘導する。テールが短いKIR(2DSまたは3DS)は、ITIMが欠如しており、膜貫通領域中の荷電アミノ酸を介したアダプターシグナル伝達分子DAP12との会合によって活性化シグナルをNK細胞に送る。
【0371】
KIRの数はよく特徴付けられている(例えば、Carrington and Norman, The KIR Gene Cluster, May 28, 2003を参照、National Center for Biotechnology Information (NCBI)のウェブサイトを介してwww.ncbi.nlm.nih.gov/books/bookres.fcgi/mono_003/ch1d1.pdfで利用可能)。
【0372】
ヒトKIR遺伝子およびcDNA、加えてそれらのタンパク質産物の配列は、GenBankなどの公開データベースにおいて入手可能である。ヒトKIRの非限定的なGenBankエントリーの例示として、以下の受託番号が挙げられる。KIR2DL1:Genbank受託番号U24076、NM_014218、AAR16197、L41267またはNP_055033、KIR2DL2:Genbank受託番号U24075、L76669またはNP_055034、KIR2DL3:Genbank受託番号U24074、L41268またはNP_056952、KIR2DL4:Genbank受託番号X97229;およびKIR3DL1:Genbank受託番号L41269。
【0373】
KIRは、KIRのサブタイプに応じてMHC抗原の異なるサブセットと相互作用すると考えられる。ヒトにおいて、例えば、2つのIgドメインを有するKIR(KIR2D)は、HLA-Cアロタイプを認識し、KIR2DL2およびKIR2DL3は、グループ1のHLA-Cアロタイプの共有するエピトープを認識し、KIR2DL1は、相反するグループ2のHLA-Cアロタイプの共有するエピトープを認識し、KIR3DL2は、HLA-A3および-A11を認識する。典型的には、個々の細胞(例えばNK細胞)が数々の異なるKIRを発現し、ある特定のMHCアロタイプに特異的に結合する。
【0374】
用語「KIR」は、本明細書で使用される場合、細胞に阻害シグナルを送達するKIRを指す。典型的には、阻害性KIRは、2つまたは3つの細胞外Igドメインを有し、長い細胞質内テール(KIR2DL、KIR3DL)を有する。
【0375】
具体的な実施形態によれば、KIRタンパク質は、KIR2DL1、KTR2DL2および/またはKTR2DL3を指す。
【0376】
用語「KIRアンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、KIRの生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。
【0377】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、KIRによって免疫細胞(例えばNK細胞)へのシグナル伝達を防止および/または阻害し、それによってKIRの免疫抑制活性を抑制する。
【0378】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、NK細胞の免疫応答を促進する。
【0379】
本発明のKIRアンタゴニストは、KIRと直接結合するアンタゴニスト、および/またはKIR(例えばNHCクラスI)のリガンドと結合して、KIRへのリガンドの結合に干渉する、および/またはそれを阻害するアンタゴニストを包含する。
【0380】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、KIRと結合する。
【0381】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、特異的なKIRと結合し、他のKIRへの交差反応性はない。
【0382】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、少なくとも2つの、少なくとも3つの異なるKIR(例えばヒトKIR受容体KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3)と結合する。
【0383】
他の具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、MHCクラスIアロタイプの少なくとも1つと結合する。
【0384】
他の具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、中間分子を介した作用によってKIRと間接的に結合する。、例えばアンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がKIRに結合するかまたはそれを調節する。
【0385】
ある特定の実施形態において、KIRアンタゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えばKIRへの高親和性の結合(例えば10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトKIR2DL1、KTR2DL2および/またはKTR2DL3への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、NK細胞の細胞傷害性を刺激する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0386】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、抗体である。
【0387】
具体的な実施形態によれば、KIRアンタゴニストは、抗KIR抗体である。
【0388】
具体的な実施形態によれば、抗KIR抗体は、KIR受容体の1つと特異的に結合する。
【0389】
本発明での使用に好適な抗KIR抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗KIR抗体が使用されてもよい。抗KIR抗体の例は、例えば、Romagne et al. (2009) Blood. 114:2667-77、Vey et al. (2009) Blood 114:632、国際公開第2014012479号、第2012160448号、第2006072625号、第2006003179号、第2006072626号、第2005003172号、第2005003168号、第2004056392号、第2005105849号、第2005009465号、第2005079766号、第2005003168号、第2005003172号、第2005037306号および第2012160448号、米国特許出願公開公報第20100189723号、第20050037002号、ならびに米国特許第8,637,258号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0390】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗KIR抗体としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
KIR、特にKIR2DL1/2/3、と結合する完全ヒトモノクローナル抗体であるリリルマブ(BMY社により生産されたIPH2102。BMS-986015としても公知)、および
KIR、特にKIR2DL1/2/3と結合する、完全ヒトIgG4抗KIRモノクローナル抗体であるIPH2101(Innate Pharma社により生産された1-7F9としても公知)。
【0391】
具体的な実施形態によれば、抗体は、KIRへの結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0392】
具体的な実施形態によれば、抗体は、KIRとの結合に関して競合する、および/またはKIR上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0393】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列について、上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0394】
本発明の具体的な実施形態に従って使用できる他のKIRアンタゴニストとしては、KIRを標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、融合タンパク質および断片、例えば米国出願公開第20140271677号、国際特許出願公報第2014012479号、第2012160448号、および第2006050270号、および米国特許公開公報第20110091482号で開示されたものなどが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0395】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的なアンタゴニストペプチドは、VAPWNDALおよびVAPWSNDYLであり、これらは、KIR2DL3の阻害剤であることが示された[Fadda et al. (2010) Proc Natl Acad Sci USA, 107 (22):10160-5、およびGwenoline et al. (2013) J Immunol. 190(6):2924-2930]。
【0396】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のIDOアンタゴニストを前記対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0397】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、IDOアンタゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0398】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、IDOアンタゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0399】
EC1.13.11.52であるIDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)は、必須アミノ酸L-トリプトファンのN-ホルミル-キヌレニンへの分解における第1段階および律速段階を触媒するヘム含有細胞内酵素である。
【0400】
具体的な実施形態によれば、IDOタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_002155として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0401】
トリプトファンは、細胞の増殖および生存に必須のアミノ酸である。例えば、樹状細胞または腫瘍細胞によって発現されるIDOは、トリプトファンを局所的に枯渇させてアポトーシス促進性のキヌレニンを増加させることによって、免疫細胞(例えばT細胞)の増殖および生存に影響を与えることができる。
【0402】
用語「IDOアンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、IDOの生物学的機能および/または発現を防止および/または阻害するアンタゴニスト剤を指す。この用語はまた、TDO(トリプトファン(2,3)-ジオキシゲナーゼ)および/またはID02などのIDOのイソ酵素のアンタゴニストも包含する。したがって、本発明で使用するためのIDOアンタゴニストは、直接的または間接的に、IDOおよび/またはTDOおよび/またはID02を抑制する可能性がある。
【0403】
IDOの酵素活性を評価する方法は当業界において周知であり、例えば、トリプトファン由来の生成物であるキヌレニン(N-ホルミル-キヌレニンの加水分解産物)の測定が挙げられる(例えばDaubener, W., et al.(1994)J. Immunol. Methods 168:39-47を参照)。
【0404】
具体的な実施形態によれば、IDOアンタゴニストは、免疫細胞(例えばT細胞)からのトリプトファンの欠乏および/またはキヌレニン(kyurenine)の上昇を防止および/または阻害し、それによって免疫細胞(例えばT細胞)におけるIDOの抑制活性を防止および/または阻害する。
【0405】
具体的な実施形態によれば、IDOアンタゴニストは、IDOと結合する。
【0406】
他の具体的な実施形態によれば、IDOアンタゴニストは、中間分子を介した作用によってIDOと間接的に結合する。例えばアンタゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がIDOに結合するかまたはそれを調節する。
【0407】
IDOアンタゴニストは、可逆的または不可逆的なアンタゴニストであり得る。
【0408】
具体的な実施形態によれば、IDOアンタゴニストは、可逆的なアンタゴニストである、すなわちIDOの酵素活性を、触媒部位または非触媒部位のいずれかで可逆的に阻害する。
【0409】
別の具体的な実施形態によれば、IDOアンタゴニストは、不可逆的なアンタゴニストである、すなわち酵素との共有結合を形成することによってIDOの酵素活性を不可逆的に破壊する。
【0410】
好適なIDO阻害剤としては、例えばキャベツ抽出物のブラシニン、海洋ヒドロポリプの抽出物のアヌリン(annulin)Bおよび海綿抽出物のエキシグアミン(exiguamine)Aなどの天然産物、加えてそれらの合成誘導体などに基づくものが挙げられる。
【0411】
具体的な実施形態によれば、IDOアンタゴニストは、小分子である。このような阻害剤としては、トリプトファン模倣物である1-メチルトリプトファン(1-MT、本参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,383,613号を参照)が挙げられる。1-MTは、2つの立体異性体として存在し、L異性体は、IDO1を有意に阻害する。一方でD異性体は、ID02により特異的である。IDOを標的化する他の小分子の例としては、これらに限定されないが、米国特許出願公開公報第20060258719号および第20070185165号に開示されているオキサジアゾールおよび他の複素環式IDO阻害剤、アルファ-メチル-トリプトファン(例えば国際公開第2011100295号に開示)、1-メチル-DL-トリプトファン、p-(3-ベンゾフラニル)-DL-アラニン、p-[3-ベンゾ(b)チエニル]-DL-アラニン、および6-ニトロ-L-トリプトファン)[例えばMunn et al.(1999)に開示]、ヒドロキシアントラニル酸(例えば国際公開第2009063241号に開示)、INCB24360(ヒドロキシアミジン小分子阻害剤)、およびカンナビノイド(例えば欧州特許第2341903号に開示)が挙げられる。IDO阻害剤として使用できる他の小分子は、国際公開第2014150677号、第2014150646号、第2014066834号、第2012142237号、第2008115804号および第2004094409号、第2014081689号、第2008068621号、第2000066764号、米国特許出願公開公報第20110053941号、ならびに米国特許第8,088,803号、第8,748,469号、第8,389,568号、第7,799,776号、第8,476,454号および第7,705,022号に開示されており、これらは本参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0412】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な小分子としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
NLG919(Roche社により生産されたRG6078)、
F001287(BMY社が生産)、
インドキシモド(Indoximod)(NewLink Genetics社により生産されたD-1MT/NLG8189)、
NLG-919(NewLink Genetics社が生産)、および
INCB-024360(Incyte社が生産)。
【0413】
本発明の具体的な実施形態に従って使用できる他のIDOアンタゴニストとしては、これらに限定されないが、IDOを標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、抗体、融合タンパク質および断片が挙げられる。
【0414】
使用できる例示的な発現ベクターは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国出願公開第20140271677号に開示されている。
【0415】
使用できる例示的なsiRNAは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,389,708号に開示されている。
【0416】
使用できる例示的なペプチドは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,658,603号に開示されている。
【0417】
免疫チェックポイントタンパク質は共刺激タンパク質であってもよいことから、免疫チェックタンパク質が共刺激タンパク質である具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドは、免疫チェックポイントアゴニストと組み合わせて投与される。以下に、本発明の教示に従って使用できる組合せを列挙する。
【0418】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のOX40アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0419】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、OX40アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0420】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、OX40アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む、医薬組成物が提供される。
【0421】
OX40(CD134、TNFRSF4としても公知)は、例えば活性化されたCD4+およびCD8+TCR T細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現されるTNF受容体スーパーファミリーに属する共刺激受容体である。具体的な実施形態によれば、OX40タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_003318として登録されているヒトタンパク質を指す。OX40のリガンドであるOX40L(CD134L、CD252、TNFSF4としても公知)が同定されている。具体的な実施形態によれば、OX40Lタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_003317として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0422】
用語「OX40アゴニスト」は、本明細書で使用される場合、OX40の生物学的機能および/または発現を誘導し、および/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0423】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、OX40による免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、OX40の免疫共刺激活性を誘導する、および/または増加させる。
【0424】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞(例えばCD4+およびCD8+T細胞)の免疫応答を促進する。
【0425】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、OX40と結合し、それを活性化する。
【0426】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、OX40のリガンドと結合して、リガンドのOX40への結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるOX40の活性化を増加させる。
【0427】
他の具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、中間分子を介した作用によってOX40と間接的に結合する。例えば、アゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がOX40に結合するかまたはそれを調節する。
【0428】
ある特定の実施形態において、OX40アゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えばOX40への高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトOX40への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、T細胞の分化および/または増殖を刺激する能力、IFN-γおよび/またはIL-2分泌を増加させる能力、T細胞の細胞傷害性を増加させる能力、メモリーT細胞を生成する能力、調節性T細胞の機能を阻害する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0429】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、OX40に特異的に結合する能力を保持する天然に存在するリガンド(例えばOX40L)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、OX40アゴニストは、OX40L全体、可溶性OX40Lまたはそれらの断片(例えば、細胞外OX40Lドメインを含む可溶性分子)およびOX40に結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたOX40Lの機能的に活性な部分を含む融合タンパク質、例えば、米国特許第5,457,035号、第7,622,444号、第6,312,700号および国際公開第95/21915号などに記載されたものであり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0430】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、抗体である。
【0431】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、抗OX40抗体である。本発明での使用に好適な抗OX40抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗OX40抗体が使用されてもよい。抗OX40抗体の例は、例えば、Weinberg, A. et al. (2000) Immunol 164:2160-2169、Weinberg, A.D. et al. (2006) J Immunother 29, 575-585、国際公開第2011109789号、第2013038191号、第95/12673号および第95/21915号、ならびに米国特許第7,504,101号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0432】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗OX40抗体としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
OX40と結合するヒト化モノクローナル抗体であるMOXR0916(Roche社により生産されたRG7888としても公知)、
OX40と結合するヒト化モノクローナル抗体であるMEDI0562(AZY/MedImmune社が生産)、
OX40と結合するマウスのベースの抗体であるMEDI6469(AZY/MedImmune社が生産)、および
ヒトOX40の細胞外ドメインに対するマウスIgG1モノクローナル抗体である9B12(Weinberg, A.D. et al. (2006) J. Immunother 29, 575-585に記載される)。
【0433】
具体的な実施形態によれば、抗体は、OX40への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0434】
具体的な実施形態によれば、抗体は、OX40との結合に関して競合する、および/またはOX40上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0435】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列が上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0436】
他の具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、OX40Lの1つまたは複数のドメインが1つまたは複数の追加のタンパク質ドメインに共有結合で連結されている融合タンパク質である。OX40アゴニストとして使用できる例示的なOX40L融合タンパク質は、米国特許第6,312,700号、第7,622,444号、国際公開第2011109789号、および第2010105068号に記載されており、それらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0437】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストとしては、多量体(例えば、三量体または六量体)のOX40L融合タンパク質に自己集合するOX40L融合ポリペプチドが挙げられる。このような融合タンパク質は、例えば、Morris et al. (2007) Mol Immunol. 44 (12): 3112-3121、米国特許第7,959,925号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0438】
具体的な実施形態によれば、OX40アゴニストは、別の共刺激チェックポイントタンパク質のアゴニスト性のポリペプチドに連結されたOX40ポリペプチドアゴニストである。例えば、CD40またはCD137のポリペプチドアゴニストに連結されたOX40ポリペプチドアゴニスト、例えば、国際公開第2014121099号および第2012109203号で開示されたものなどであり、これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0439】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な融合タンパク質は、ヒトOX40リガンド融合タンパク質である、MEDI6383(AZY/MedImmune社が生産)である。
【0440】
本発明の具体的な実施形態に従って使用できる他のOX40アゴニストとしては、ヌクレオチド、発現ベクターおよびペプチド、例えば、Linch et al. (2015) Front Oncol. 5:34、米国特許第6,312,700号および米国出願公開第20140271677号で開示されたものなどが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0441】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD137アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0442】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD137アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0443】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD137アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0444】
CD137(4-1BBおよびTNFRSF9としても公知)は、共刺激分子の腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであり、例えば活性化されたT細胞、B細胞、樹状細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞などの数々の免疫細胞上で誘導的に発現される膜糖タンパク質である。具体的な実施形態によれば、CD137タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001552として登録されているヒトタンパク質を指す。CD137のリガンドである、活性化された抗原提示細胞、骨髄性前駆細胞、および造血幹細胞上で発現されるCD137L(4-1BBLおよびTNFSF9としても公知)が同定されている。
【0445】
具体的な実施形態によれば、CD137Lタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_003802として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0446】
CD137とそのリガンドとの相互作用は、Tリンパ球の増殖を共刺激することが示されており、B細胞の増殖および免疫グロブリン合成を強化して、さらには単球の増殖も誘導する。
【0447】
用語「CD137アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、CD137の生物学的機能および/または発現を誘導し、および/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0448】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、CD137による免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、CD137の免疫共刺激活性を誘導するおよび/または増加させる。
【0449】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0450】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、CD137と直接結合し、受容体を活性化する。
【0451】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、CD137のリガンドと結合して、リガンドのCD137への結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるCD137の活性化を増加させる。
【0452】
他の具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、中間分子を介した作用によってCD137と間接的に結合する。例えばアゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がCD137に結合するかまたはそれを調節する。
【0453】
ある特定の実施形態において、CD137アゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、CD137への高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトCD137への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、T細胞増殖を刺激する能力、IFN-γ分泌を増加させる能力、T細胞の細胞傷害活性を増加させる能力、活性化誘導性細胞死を予防する能力、および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0454】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、CD137に特異的に結合する能力を保持する、天然に存在するリガンド(例えばCD137L)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、GITRアゴニストは、CD137L全体、可溶性CD137Lまたはそれらの断片、およびCD137に結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたCD137Lの機能的に活性な部分を含む、融合タンパク質であってもよい。
【0455】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、抗体である。
【0456】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、抗CD137抗体である。本発明での使用に好適な抗CD137抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗CD137抗体が使用されてもよい。抗CD137抗体の例は、例えば、Melero, I. et al. (1997) Nature Medicine 3:682-685 (1997)、国際公開第2014144666号、第2006088447号、第2006088464号、米国特許出願公開公報第20080166336号、第20050095244号、米国特許第7,214,493号、第6,887,673号、第8,337,850号、第8,821,867号、第7,288,638号、第6,303,121号、第6,569,997号、第6,905,685号、第6,355,476号、第6,362,325号、第6,974,863号、第6,210,669号、第5,928,893号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0457】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗CD137抗体としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる。
ヒトCD137と結合する完全ヒトIgGモノクローナル抗体であるBMS-666513(BMY社により生産されたウレルマブ(urelumab)としても公知)、
BMS-663031、BMS-469492;またはBMS-469497;(BMY社によって生産され、米国特許第7,288,638号、および第6,362,325号に記載)、
XmAb-5592(Xencor)、
Fc改変およびヒト化抗CD137抗体、および
ヒトCD137の細胞外ドメインに結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体であるPF-05082566(Pfizer社が生産)。
【0458】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD137への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0459】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD137との結合に関して競合する、および/またはCD137上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0460】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列が上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0461】
他の具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、CD137Lの1つまたは複数のドメインが1つまたは複数の追加のタンパク質ドメインに共有結合で連結されている融合タンパク質である。CD137アゴニストとして使用できる例示的なCD137融合タンパク質は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2014012479号、第2011109789号、第2012109203号に記載されている。
【0462】
具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、別の共刺激チェックポイントタンパク質のアゴニスト性のポリペプチドに連結されたCD137ポリペプチドアゴニストであり、例えばOX40、CD40、ICOS、CD28、CD27、CD70およびGITRのポリペプチドアゴニストに連結されたCD137のポリペプチドアゴニストである。これらは、例えば、国際公開第2012109203号で開示されたものなどであり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0463】
他の具体的な実施形態によれば、CD137アゴニストは、アプタマーである。CD137アゴニストとして使用できる例示的なアプタマーは、McNamara et al. (2008) J. Clin. Invest. 1 18:376-386および国際公開第2007035518号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0464】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のCD137アゴニストとしては、例えば、米国出願公開第20140271677号で開示されたものなどのヌクレオチドおよび発現ベクターが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0465】
またガレクチン-9はCD137リガンドであることも示唆されている。したがってCD137アゴニストは、CD137とガレクチン-9との相互作用によって媒介されるシグナル伝達を促進する薬剤であり得る(国際公開第2012177788号を参照)。
【0466】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD27アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0467】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD27アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0468】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD27アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0469】
CD27(TNFRSF7、S152としても公知)は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであり、例えばT細胞、B細胞およびNK細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現されるI型膜貫通タンパク質である。具体的な実施形態によれば、CD27タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001233として登録されているヒトタンパク質を指す。CD27のリガンドであるCD70(TNFSF7としても公知)が同定されている。CD70は、樹状細胞、T細胞、B細胞およびNK細胞上で、さらにリンパ腫B細胞、ホジキンおよびリード-スタンバーグ細胞、神経起源の悪性細胞、および様々な癌腫などの様々な形質転換細胞でも、細胞活性化の後に一時的に発現される。具体的な実施形態によれば、CD70タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001243として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0470】
CD27とそのリガンドとの相互作用は、NF-kpシグナル伝達経路を活性化し、次にそれが、B細胞およびT細胞の増殖、サイトカイン分泌、血漿細胞の分化およびそれに続く抗体分泌を刺激することが示されている(例えばYamamoto, H. 1998 J Immunol. 161 (9):4753-9を参照)。
【0471】
用語「CD27アンタゴニスト」は、本明細書で使用される場合、CD27の生物学的機能および/または発現を誘導し、および/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0472】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、CD27による免疫細胞(例えばT細胞、B細胞、NK細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、CD27の免疫共刺激活性を誘導する、および/または増加させる。
【0473】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0474】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、B細胞の免疫応答を促進する。
【0475】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、CD27と直接結合し、受容体を活性化する。
【0476】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、CD27のリガンドと結合して、リガンドのCD27への結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるCD27の活性化を増加させる。
【0477】
他の具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、中間分子を介した作用によってCD27と間接的に結合する。例えば、アゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がCD27に結合するかまたはそれを調節する。
【0478】
ある特定の実施形態において、CD27アゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、CD27への高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトCD27への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、T細胞増殖を刺激する能力、IFN-γ、IL-4および/またはIL-2分泌を増加させる能力、抗原特異的なメモリー応答を刺激する能力、抗体反応を刺激する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0479】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、CD27に特異的に結合する能力を保持する天然に存在するリガンド(例えばCD70)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、CD27アゴニストは、CD70の全体、可溶性CD70またはそれらの断片、およびCD27に結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたCD70の機能的に活性な部分を含む融合タンパク質であってもよい。
【0480】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、抗体である。
【0481】
具体的な実施形態によれば、CD27アゴニストは、抗CD27抗体である。本発明での使用に好適な抗CD27抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗CD27抗体が使用されてもよい。
【0482】
抗CD27抗体の例は、例えば、Van Lier et al., 1987, J Immunol 139: 1589-96、国際公開第2012004367号、および第2008/051424号、米国特許出願公開公報第20120213771号、および第20120093805号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0483】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗CD27抗体としては、これに限定されないが、以下が挙げられる。
CD27と結合する完全ヒトモノクローナル抗体であるバルリルマブ(Varlilumab)(Celldex社により生産されたCDX-1127としても公知)。
【0484】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD27への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0485】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD27との結合に対して競合する、および/またはCD27上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0486】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列が上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0487】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のCD27アゴニストとしては、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国出願公開第20140271677号で開示されたものなどのヌクレオチドおよび発現ベクターが挙げられる。
【0488】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD40アゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0489】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD40アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0490】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD40アゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0491】
CD40は、例えば抗原提示細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現される共刺激受容体である。具体的な実施形態によれば、CD40タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001241として登録されているヒトタンパク質を指す。CD40のリガンドである、主としてT細胞上で発現されるCD40L(CD154としても公知)が同定されている。具体的な実施形態によれば、CD40Lタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_000065として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0492】
CD40とそのリガンドとの相互作用は、抗原提示細胞の成熟、抗原提示機能、共刺激の可能性を強化し、免疫細胞の細胞溶解活性を刺激することが示されている。特異的に、CD40の結合は、例えばIL-6、IL-12、IL-15などの免疫調節性サイトカインの放出を増加させ、MHCクラスIおよびIIの発現を増加させ、接着分子(例えば、ICAM)および共刺激分子(例えば、B7)の発現を増加させる。
【0493】
細胞機能および免疫機能の強化に加えて、CD40活性化の作用は、CD40陽性細胞のアポトーシスを誘導する。
【0494】
用語「CD40アゴニスト」は、本明細書で使用される場合、CD40の生物学的機能および/または発現を誘導し、および/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0495】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、CD40による免疫細胞(例えばB細胞、樹状細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、CD40の免疫共刺激活性を誘導する、および/または増加させる。
【0496】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、免疫細胞、例えば樹状細胞、B細胞、NK細胞および/またはエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0497】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、CD40陽性細胞の細胞死を促進する。
【0498】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、CD40と直接結合し、受容体を活性化する。
【0499】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、CD40のリガンドと結合して、リガンドのCD40への結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるCD40の活性化を増加させる。
【0500】
他の具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、中間分子を介した作用によってCD40と間接的に結合する。例えばアゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がCD40に結合するかまたはそれを調節する。
【0501】
ある特定の実施形態において、CD40アゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、CD40への高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトCD40への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、IL-8、IL-12、IL-15、IL-18およびIL-23分泌を増加させる能力、樹状細胞による腫瘍抗原のプロセシングおよび提示を強化する能力、T細胞およびNK細胞の細胞溶解活性を増加させる能力、CD40陽性細胞の細胞死を誘導する能力、抗体反応を刺激する能力、および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0502】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、CD40に特異的に結合する能力を保持する天然に存在するリガンド(例えばCD40L)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、CD40アゴニストは、CD40Lの全体、可溶性CD40Lまたはそれらの断片、およびCD40に結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたCD40Lの機能的に活性な部分を含む融合タンパク質である。これらは、例えば、米国特許第6,410,711号、第6,391,637号、第5,981,724号、第5,961,974号、米国特許公開公報第20040006006号、および国際出願公開WO2001016180号、第1996026735号、第1993008207号などに記載されたものであり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0503】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、抗体である。
【0504】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、抗CD40抗体である。アゴニスト性の抗CD40抗体は、CD40陽性細胞の共刺激による免疫増強作用、加えてアポトーシスの誘導によるCD40陽性細胞の直接的な殺滅などの数々のメカニズムの少なくとも1つによって、またはADCCを引き起こす体液性応答を刺激することによってそれらの機能を発揮することができる。本発明での使用に好適な抗CD40抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗CD40抗体が使用されてもよい。抗CD40抗体の例は、例えば、Schlossman et al., Leukocyte Typing, 1995, 1 :547-556、Hirano A. et al., Blood 93:2999-3007 (1999)、French R. R. et al., Nature Medicine 5:548-53(1999)、Tutt A. L. et al., J. of Immunol. 161:3176-85 (1998)、Funakoshi S. et al., J. of Immunotherapy with Emphasis on Tumor Immunol. 19:93-101 (1996)、国際公開第2003040170号、第2005063289号、第2013034904号、第2003040170号、第2014070934号、第2012149356号、第2001037870号、米国特許出願公開公報第20110311525号、第20120263732号、第20120263732号、第20030059427号、第20090074711号、第20130024956号、第20100098694号、および米国特許第7,563,442号、第7,338,660号、6,843,989号、7,172,759号、第7,547,438号、第8,778,345号、第8,388,971号、第7,288,251号、第7,618,633号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0505】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗CD40抗体としては、これらに限定されないが、
CD40と結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体であるCP-870,893(Pfizer社が生産)、
CD40と結合するヒト化モノクローナル抗体であるダセツズマブ(Seattle Genetics Incが生産)、
ヒトモノクローナルIgG1抗CD40抗体であるADC-1013(Alligator Bioscience ABが生産)、および
CD40.4(PharMingen社により生産された5C3)
が挙げられる。
【0506】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD40への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0507】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD40との結合に対して競合する、および/またはCD40上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0508】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列が上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0509】
他の具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、CD40Lの1つまたは複数のドメインが1つまたは複数の追加のタンパク質ドメインに共有結合で連結されている融合タンパク質である。具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストとしては、多量体のCD40L融合ポリペプチドが挙げられる。CD40アゴニストとして使用できる例示的なCD40L融合タンパク質は、国際公開第2007120368号、第2001016180号に記載されており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0510】
具体的な実施形態によれば、CD40アゴニストは、別の共刺激チェックポイントタンパク質のアゴニスト性のポリペプチドに連結されたCD40ポリペプチドアゴニストである。例えば、CD40のポリペプチドアゴニストに連結されたCD40のポリペプチドアゴニストであり、例えば、国際公開第2014121099号で開示されたものなどであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0511】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のCD40アゴニストとしては、ヌクレオチド、発現ベクター、ポリペプチド、小分子、およびそれらを得る方法、例えば米国出願公開第20140271677号、および第20060287229号ならびに国際出願公開WO2001016180号で開示されたものなどが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0512】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のGITRアゴニストを対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0513】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、GITRアゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0514】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、GITRアゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0515】
GITR[グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体、TNF受容体スーパーファミリー18(TNFRSF18)としても公知]は、例えばT細胞、NK細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、肥満細胞および単球などの数々の免疫細胞の表面上で発現されるI型膜貫通タンパク質である。T細胞上でのGITR発現は、T細胞が活性化されると上方制御される。具体的な実施形態によれば、GITRタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_004186、NP_683699、NP_683700として登録されているヒトタンパク質を指す。GITRのリガンドである、GITRL(TNFSF18としても公知)が同定されている。GITRLは、ほとんどのTNFリガンドファミリーメンバーにとって典型的であるようにII型膜貫通タンパク質であり、主としてマクロファージ、B細胞、樹状細胞および内皮細胞などの抗原提示細胞上で発現される。具体的な実施形態によれば、GITRLタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_005083として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0516】
GITRとそのリガンドとの相互作用は、調節性T細胞の抑制活性を阻害しながらエフェクターT細胞の増殖、生存およびエフェクター機能を強化する共刺激シグナルを始動させることが示されている。
【0517】
用語「GITRアゴニスト」は、本明細書で使用される場合、GITRの生物学的機能および/または発現を誘導するおよび/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0518】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、GITRによる免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、GITRの免疫共刺激活性を誘導するおよび/または増加させる。
【0519】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0520】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、GITRと直接結合し、受容体を活性化する。
【0521】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、GITRのリガンドと結合して、リガンドのGITRへの結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるGITRの活性化を増加させる。
【0522】
他の具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、中間分子を介した作用によってGITRと間接的に結合する。例えばアゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がGITRに結合するかまたはそれを調節する。
【0523】
ある特定の実施形態において、GITRアゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、GITRへの高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトGITRへの結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質への有意な交差反応性の欠如、他の腫瘍壊死因子受容体に対する有意な反応性の欠如;T細胞増殖を刺激する能力、抗体反応を刺激する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0524】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、GITRに特異的に結合する能力を保持する天然に存在するリガンド(例えばGITRL)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、GITRアゴニストは、GITRLの全体、可溶性GITRLまたはそれらの断片、およびGITRに結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたGITRLの機能的に活性な部分を含む融合タンパク質である。これらは、例えば、国際公開第2005007190号などに記載されたものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0525】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、抗体である。
【0526】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、抗GITR抗体である。本発明での使用に好適な抗GITR抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗GITR抗体が使用されてもよい。抗GITR抗体の例は、例えば、国際公開第2005007190号、第2011109789号、第2013039954号、第2015031667号、米国特許出願公開公報第20070098719号、第20140348841号、第20140220002号、米国特許第8,709,424号、第8,591,886号、第7,618,632号、第7,812,135号、および第8,388,967号で開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0527】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗GITR抗体としては、これらに限定されないが、
GITRと結合するモノクローナル抗体であるMK-4166(Merck社が生産)、および
ヒトGITRと結合するヒト化モノクローナル抗体であるTRX518(GITR Inc.が生産)
が挙げられる。
【0528】
具体的な実施形態によれば、抗体は、GITRへの結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0529】
具体的な実施形態によれば、抗体は、GITRとの結合に対して競合する、および/またはGITR上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0530】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列が上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0531】
他の具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストは、GITRLの1つまたは複数のドメインが1つまたは複数の追加のタンパク質ドメインに共有結合で連結されている融合タンパク質である。GITRアゴニストとして使用できる例示的なGITRL融合タンパク質は、国際効果第2011109789号に記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0532】
具体的な実施形態によれば、GITRアゴニストとしては、多量体のGITRL融合ポリペプチド、例えば、国際公開第2007120368号で開示されたものなどが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0533】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる他のGITRアゴニストとしては、例えば、米国出願公開第20140271677号、米国特許第7,618,632号、第8,586,023号で開示されたものなどのヌクレオチド、発現ベクター、小分子およびペプチドが挙げられ、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0534】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のCD28アゴニストを前記対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0535】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD28アゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0536】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、CD28アゴニストを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0537】
CD28は、例えばT細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現される共刺激分子である。具体的な実施形態によれば、CD28タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001230006、NP_001230007、NP_006130として登録されているヒトタンパク質を指す。数々のCD28のリガンドである、B7.1(CD80としても公知)およびB7.2(CD86としても公知)が同定されている。具体的な実施形態によれば、B7.1タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_005182として登録されているヒトタンパク質を指す。具体的な実施形態によれば、B7.2タンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001193853として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0538】
CD28とそのリガンドとの相互作用は、TCRシグナルと相乗作用を起こしてT細胞の活性化、増殖および機能を促進する共刺激シグナルを始動させる。CD28シグナル伝達は、T細胞活性化の閾値を調節し、T細胞活性化に必要なTCR結合の数を減少させることが示された。
【0539】
用語「CD28アゴニスト」は、本明細書で使用される場合、CD28の生物学的機能および/または発現を誘導し、および/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0540】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、CD28による免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、CD28の免疫共刺激活性を誘導し、および/または増加させる。
【0541】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0542】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、CD28と直接結合し、受容体を活性化する。
【0543】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、CD28(例えばB7.1およびB7.2)のリガンドと結合して、リガンドのCD28への結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるCD28の活性化を増加させる。
【0544】
他の具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、中間分子を介した作用によってCD28と間接的に結合する。例えばアゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がCD28に結合するかまたはそれを調節する。
【0545】
ある特定の実施形態において、CD28アゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、CD28への高親和性の結合(例えば10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトCD28への結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質、例えばCTLA-4およびICOSへの有意な交差反応性の欠如、T細胞増殖を刺激する能力、IFN-γおよび/またはIL-2分泌を増加させる能力、抗原特異的なメモリー応答を刺激する能力、抗体反応を刺激する能力および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0546】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、CD28に特異的に結合する能力を保持する天然に存在するリガンド(例えばB7.1またはB7.2)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、CD28アゴニストは、B7.1またはB7.2の全体、可溶性B7.1またはB7.2またはそれらの断片、およびCD28に結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたB7.1またはB7.2の機能的に活性な部分を含む融合タンパク質、例えば、米国特許公開公報第20030232323号、および国際公開第1995003408号で開示されたものなどであり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0547】
具体的な実施形態によれば、B7.1またはB7.2の機能的な誘導体またはバリアントは、CTLA4と交差反応性がなく、CD28に特異的に結合する。
【0548】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、抗体である。
【0549】
具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、抗CD28抗体である。抗CD28抗体は、スーパーアゴニスト抗CD28抗体であってもよいし、または従来の抗CD28抗体であってもよい。
【0550】
成句「従来の抗CD28抗体」は、本明細書で使用される場合、CD28と(例えば、バソラテラルドメインの外側にあるドメインにおいて)結合する抗体を指し、TCR依存性メカニズムにおいてT細胞を共刺激する。
【0551】
成句「スーパーアゴニスト抗CD28抗体」は、本明細書で使用される場合、バソラテラルドメインを介してCD28と結合し、その結果としてTCR刺激の非存在下でもTリンパ球のポリクローナル活性化を引き起こす抗体を指す。
【0552】
本発明での使用に好適な抗CD28抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で知られる抗CD28抗体を使用してもよい。抗CD28抗体の例は、例えば、Poirier et al. (2012) American Journal of Transplantation 12(7):1682-1690、Cell Immunol. 2005 Jul-Aug; 236(1-2):154-60に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0553】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗CD28抗体としては、これらに限定されないが、ヒトCD28に対するヒト化モノクローナル抗体であるTAB08(TheraMABにより生産された、以前はTGN1412として公知のもの)が挙げられる。
【0554】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD28への結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0555】
具体的な実施形態によれば、抗体は、CD28との結合に対して競合する、および/またはCD28上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0556】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、可変領域のアミノ酸配列が、上述の抗体と少なくとも約90%の同一性を有する。
【0557】
他の具体的な実施形態によれば、CD28アゴニストは、アプタマーである。CD28アゴニストとして使用できる例示的なアプタマーは、Pastor et al. Mol Ther Nucleic Acids. (2013) Jun 11; 2:e98で説明されている。これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0558】
具体的な実施形態によれば、他のCD28アゴニストとしては、CD28を標的化するヌクレオチド、発現ベクター、小分子、ペプチド、融合タンパク質および断片が挙げられ、例えば、米国出願公開第20140271677号、第20040137577号、第20020106730号、第20100303811号、および国際出願公開第2014089009号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0559】
本発明の態様によれば、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法であって、
(a)治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体を対象に投与し、そして
(b)治療有効量のICOSアゴニストを前記対象に投与することによって、対象におけるがんを治療する
ことを含む方法が提供される。
【0560】
本発明の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、ICOSアゴニストとをパッケージングしたパッケージング材料を含む、がん治療用に特定された製品が提供される。
【0561】
本発明の態様によれば、活性成分として配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、ICOSアゴニストとを含み、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む医薬組成物が提供される。
【0562】
ICOS(CD278としても公知)は、活性化されたT細胞などの数々の免疫細胞の表面上で発現される共刺激分子である。具体的な実施形態によれば、ICOSタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_036224として登録されているヒトタンパク質を指す。ICOSのリガンドである、ICOSL(B7-H2、B7RP1、CD275としても公知)が同定されている。具体的な実施形態によれば、ICOSLタンパク質は、例えば、GenBank番号NP_001269979、NP_001269980、NP_001269981、NP_056074として登録されているヒトタンパク質を指す。
【0563】
ICOSとそのリガンドとの相互作用は、Tヘルパー細胞の分化およびエフェクター機能を促進する共刺激シグナルを始動させ、インターロイキン-10(IL-10)産生にとって特に重要である。
【0564】
用語「ICOSアゴニスト」は、本明細書で使用される場合、ICOSの生物学的機能および/または発現を誘導し、および/または増加させるアゴニスト剤を指す。
【0565】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、ICOSによる免疫細胞(例えばT細胞)へのシグナル伝達を誘導し、および/または増加させ、それによって、ICOSの免疫共刺激活性を誘導する、および/または増加させる。
【0566】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、TCR活性化シグナルの後にエフェクターT細胞の免疫応答を促進する。
【0567】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、ICOSと直接結合し、受容体を活性化する。
【0568】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、ICOSのリガンドと結合して、リガンドのICOSへの結合(例えば親和性)および/またはリガンドによるICOSの活性化を増加させる。
【0569】
他の具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、中間分子を介した作用によってICOSと間接的に結合し、例えばアゴニストは、分子に結合するかまたはそれを調節し、次にその分子がICOSに結合するかまたはそれを調節する。
【0570】
ある特定の実施形態において、ICOSアゴニストは、1種または複数種の所望の機能特性、例えば、ICOSへの高親和性の結合(例えば、10-7M、10-8M、10-9M、10-10Mまたはそれ未満のKでのヒトICOSへの結合)、他の免疫チェックポイントタンパク質(例えば、CD28およびCTLA-4)への有意な交差反応性の欠如、T細胞増殖を刺激する能力、IL-10分泌を増加させる能力、および/または腫瘍細胞の成長を阻害する能力を示す。
【0571】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、ICOSに特異的に結合する能力を保持する天然に存在するリガンド(例えばICOSL)またはそれらの機能的な誘導体もしくはバリアントである。したがって、例えば、ICOSアゴニストは、ICOSLの全体、可溶性ICOSLまたはそれらの断片、およびICOSに結合してそれを活性化する第2のタンパク質ドメインに共有結合で連結されたICOSLの機能的に活性な部分を含む融合タンパク質、例えば、米国出願公開第20040137577号、第20020106730号などに記載されたものであり、これらはその内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0572】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、例えば、米国特許第8,709,417号に開示されような抗腫瘍ワクチンとして使用される、ICOSLを発現する腫瘍細胞またはその膜であり、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0573】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、抗体である。
【0574】
具体的な実施形態によれば、ICOSアゴニストは、抗ICOS抗体である。本発明での使用に好適な抗ICOS抗体は、特に上記した詳細な説明を考慮して、当業界において周知の方法を使用して生成することができる。代替として、当業界で認められた抗ICOS抗体が使用されてもよい。抗ICOS抗体の例は、例えば、Hutloff, A. et al.(1999)Nature 397:262-266、Deng et al. Hybrid Hybridomics. 2004 Jun;23(3):176-82、Sakthivel et al. PLoS One. 2014 Jul 16;9(7):e100970、Redoglia et al. Eur J Immunol 1996 26:2781-2789、米国特許第8,709,417号、第6,803,039号、国際公開第2012131004号、第2014089113号、第2008137915号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、。
【0575】
本発明の一部の実施形態に従って使用できる具体的な抗ICOS抗体としては、これらに限定されないが、Jounce Therapeutics社により開発されたアゴニスト抗ICOS抗体が挙げられる。
【0576】
具体的な実施形態によれば、抗体は、ICOSへの結合に関して、上述の抗体のいずれかと競合する。
【0577】
具体的な実施形態によれば、抗体は、ICOSとの結合に対して競合する、および/またはICOS上の上述の抗体と同じエピトープに結合する。
【0578】
別の具体的な実施形態によれば、抗体は、上述の抗体と可変領域のアミノ酸配列が少なくとも約90%の同一性を有する。
【0579】
本発明の具体的な実施形態に従って使用できる他のICOSアゴニストとしては、ICOS、機能的なICOSLを標的化するヌクレオチド、発現ベクター、ペプチド、融合タンパク質および断片が挙げられる。例えば、米国出願公開第20140271677号、第20040137577号、第20020106730号、国際公開第2014089113号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0580】
CXCR4アンタゴニストペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターが対象に投与される順番は、治療方法に従って変更が可能である。
【0581】
したがって、具体的な実施形態によれば、工程(a)は、工程(b)の前に実施する。
【0582】
別の具体的な実施形態によれば、工程(a)は、工程(b)の後に実施する。
【0583】
さらに別の具体的な実施形態によれば、工程(a)は、工程(b)と同時に実施する。
【0584】
CXCR4アンタゴニストペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターは、本発明の方法による複数回投与、ならびに複数用量の投与がなされてもよい。具体的な実施形態によれば、工程(a)は、複数回行われる。したがって、具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターの投与は、CXCR4アンタゴニストペプチドの少なくとも1回の投与の後に実施する。具体的な実施形態によれば、工程(b)は、複数回行われる。したがって、具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドを投与することは、免疫チェックポイントレギュレーターの少なくとも1回の投与の後に実施する。具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドを投与することは、免疫チェックポイントレギュレーターの投与と共に逐次的な順番で行われる。
【0585】
具体的な実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストペプチドは、上記に列挙した組合せから選択される数々の免疫チェックポイントレギュレーターと組み合わせて、対象に投与することができる。
【0586】
具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターは、鎮痛剤、化学療法剤、放射線治療剤、ホルモン療法、イムノモジュレーターおよび当業界において周知の他の治療レジメン(例えば、外科手術、細胞移植(例えば造血幹細胞移植))を包含するがんを治療するための他の確立されたまたは実験的な治療レジメンと組み合わせて対象に投与することができる。
【0587】
本発明の一部の実施形態によれば、本方法は、ワクチンを投与することをさらに含み、任意選択でワクチンは、HPVワクチンである。
【0588】
具体的な実施形態によれば、ワクチンは、典型的にはE6および/またはE7を標的化するヒトパピローマウイルス(HPV、例えば、HPV16ワクチン)である。ワクチンは、予防ワクチンであってもよいし、または治療ワクチンであってもよい。本発明の教示と共に使用できるHPVワクチンの詳細な例は、Lin et al. J Formos Med Assoc. 2010 Jan;109(1):4-24、およびRice et al. Cancer Gene Therapy 22, 454-462に見出すことができる。
【0589】
具体的な実施形態によれば、予防ワクチンは、標的抗原としてキャプシドタンパク質L1およびL2を利用し、HPVを中和してその細胞への侵入を予防する抗体を誘導する。キャプシドの主成分である組換えL1の、様々な細胞型における発現は、HPVビリオンに免疫学的および形態学的に類似したウイルス様粒子(VLP)の自発的な集合を引き起こす。
【0590】
別の具体的な実施形態によれば、ワクチンは、Gardasil(商標)またはCervarix(商標)であり、Gardasilは、HPV遺伝子型6、11、16および18のための、組換えL1 VLPを含有する4価のワクチンであり、一方、2価ワクチンであるCervarixは、HPV-16および18のL1 VLPを含有する。
【0591】
別の具体的な実施形態によれば、ワクチンは、ヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩アジュバントを含む、1価のHPV-16L1ワクチンである。
【0592】
例示的な非限定的な治療ワクチンは、HPV E6およびE7抗原を含む。これらは、HPV感染細胞では構成的に発現されるが、健康な細胞では構成的に発現されないため、治療ワクチンにとって理想的な標的である。E6およびE7は、細胞形質転換の誘導および維持に必須であり、したがって免疫系を逃れようとする試みにおいて失われる可能性が低い。
【0593】
具体的な実施形態によれば、治療ワクチンは、E6および/またはE7を標的化する。
【0594】
治療ワクチンとしては、典型的には、以下が挙げられる。
生ベクターワクチン。ベクターベースのワクチンは、樹状細胞(DC)に抗原E6およびE7を送達して、(CD8+細胞傷害性T細胞の)MHCクラスIおよび(CD4+ヘルパーT細胞の)MHCクラスIIを介して抗原発現を刺激することができる。ウイルスベクターとしては、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルスおよびアルファウイルス(例えばベネズエラウマ脳炎(VEE)ウイルス)などを使用する。
ペプチド/タンパク質ベースのワクチン。投与されたHPV抗原(例えば、E6および/またはE7)由来のペプチドおよびタンパク質は、DCに取り込まれ、プロセシングされ、MHCIIおよび/またはIを介して適切なCD4+/CD8+T細胞に発現される。
細胞ベースのワクチン。樹状細胞ベースまたは腫瘍細胞ベースのワクチン。
核酸ベースのワクチン。例えば、裸のDNAベースのワクチン(例えば、ZYC-101およびZYC-101a)、裸のRNAレプリコンワクチン。
【0595】
上述したCXCR4アンタゴニストペプチドおよび/または免疫チェックポイントレギュレーター(例えばPD1アンタゴニスト、PDL-1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、LAG-3アンタゴニスト、TIM-3アンタゴニスト、KIRアンタゴニスト、IDOアンタゴニスト、OX40アゴニスト、CD137アゴニスト、CD27アゴニスト、CD40アゴニスト、GITRアゴニスト、CD28アゴニストおよびICOSアゴニスト)は、対象に、それ自体を投与してもよいし、または好適な担体もしくは添加剤と混合された医薬組成物として投与してもよい。
【0596】
「医薬組成物」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載される1種または複数種の活性成分と、例えば生理学的に好適な担体および添加剤などの他の化学成分とを共に含む処方を指す。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
【0597】
本明細書において、用語「活性成分」は、生物学的作用を担うCXCR4アンタゴニストペプチドおよび/または免疫チェックポイントレギュレーターを指す。
【0598】
下記で、成句「生理学的に許容できる担体」および「薬学的に許容される担体」は、同義的に使用することができ、生物に顕著な炎症をもたらさず、投与された化合物の生物活性および特性を無効にしない担体または希釈剤を指す。アジュバントは、これらの成句に包含される。
【0599】
本明細書において、用語「添加剤」は、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。添加剤の例としては、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖および様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0600】
薬物の製剤化および投与のための技術は、参照により本明細書に組み込まれる"Remington’s Pharmaceutical Sciences", Mack Publishing Co., Easton、PA、最新版に見出すことができる。
【0601】
適切な投与経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜、特に、経鼻、腸管または筋肉内、皮下および髄内注射を含む非経口送達、ならびにくも膜下腔内、直接脳室内、心臓内(例えば、右または左心室腔へ、総冠動脈へ)、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼球内への注射を挙げることができる。
【0602】
中枢神経系(CNS)への薬物送達のための従来アプローチとして、神経外科的戦略(例えば、大脳内注射または脳室内注入)、BBBの内因性輸送経路の1種を利用する薬剤の構築を目的とした分子操作(例えば、内皮細胞表面分子に対して親和性を有する輸送ペプチドと、自身ではBBBを通過できない薬剤との組み合わせを含む、キメラ融合タンパク質の製造)、薬剤の脂溶性を増大するように設計する薬理学的戦略(例えば、脂質担体またはコレステロール担体への水溶性薬剤の結合)、および高浸透圧性の破壊によるBBBの完全性の一過性の破壊(頚動脈へのマンニトール溶液の注入、またはアンジオテンシンペプチドなどの生物学的に活性な薬剤の使用によるもの)が挙げられる。しかし、これらの戦略の各々には、侵襲的外科的手順に関連する固有のリスク、内因性輸送系に固有の制限によって課せられるサイズの限界、CNSの外では活性であり得る担体モチーフを含むキメラ分子の全身投与と関連する潜在的に望ましくない生物学的副作用、およびBBBが破壊された脳の領域内で生じうる脳損傷のリスクといった限界が存在し、これら限界故に、準最適な送達法となる。
【0603】
上記の代わりに、医薬組成物を全身にではなく局所的に、例えば、患者の組織領域への直接的な医薬組成物の注射によって、投与してもよい。
【0604】
本発明のCXCR4アンタゴニストペプチド、免疫チェックポイントレギュレーターまたはそれらを含む医薬組成物は、同じ経路で投与してもよいし、または別個の経路で投与してもよい。
【0605】
具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドまたはそれを含む医薬組成物は、皮下投与される。
【0606】
別の具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドまたはそれを含む医薬組成物は、静脈内投与される。
【0607】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターまたはそれを含む医薬組成物は、静脈内投与される。
【0608】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターまたはそれを含む医薬組成物は、皮下経路を介して投与される。
【0609】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物は、当技術分野で周知のプロセス、例えば、従来の混合プロセス、溶解プロセス、造粒プロセス、糖衣錠作製プロセス、湿式粉砕プロセス、乳化プロセス、カプセル封入プロセス、封入プロセスまたは凍結乾燥プロセスの手段によって製造することができる。
【0610】
したがって本発明の一部の実施形態に従って使用するための医薬組成物は、1種または複数の生理学的に許容される担体を使用して従来法で処方することができる。担体には、賦形剤および補助剤が含まれ、これは、有効成分を薬学的に使用可能な製剤への加工を促進することができる。適切な処方は、選択された投与経路に応じて変化する。
【0611】
注射用には、医薬組成物の有効成分は、水溶液として、好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液または生理学的塩バッファーなどの生理学的に適合するバッファーの溶液として処方することができる。経粘膜投与用には、透過すべき障壁に適切な浸透剤を処方に用いる。このような浸透剤は、一般的に当技術分野で公知である。
【0612】
経口投与用には、活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって、医薬組成物を容易に処方することができる。このような担体は、医薬組成物を、患者による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方することを可能にする。固体賦形剤を使用し、所望により得られた混合物を粉砕し、必要に応じて適切な補助剤を添加した後に顆粒剤の混合物を加工することで、錠剤または糖衣錠コアを得て、経口使用のための薬理学的製剤を作製することができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなどのセルロース製剤、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容されるポリマーである。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸、もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を添加してもよい。
【0613】
糖衣錠コアは、適切なコーティングと共に提供される。この目的のためには、濃縮された糖溶液が使用可能であり、所望によりアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。識別のため、または異なる活性化合物用量の組合せを特徴付けするために、錠剤または糖衣錠コーティングには、色素または顔料を添加することができる。
【0614】
経口的に使用され得る医薬組成物としては、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から作られたソフト密閉カプセル剤が挙げられる。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および任意選択で安定化剤との混合物として、有効成分を含有してもよい。ソフトカプセル剤では、有効成分は、脂肪油、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁されていてもよい。さらに、安定化剤を添加してもよい。経口投与用のすべての処方が、選択した投与経路に適切な処方量でなくてはならない。
【0615】
頬側投与用の組成物は、従来法で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態をとることができる。
【0616】
鼻腔の吸入による投与用には、本発明のいくつかの実施形態に従って使用するための有効成分は、加圧パックまたは適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)を使用する噴霧器からの、エアロゾルスプレー型の形態で送達されることが好適である。加圧エアロゾルの場合には、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって、投与量単位を決定することができる。ディスペンサーにおいて使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル剤およびカートリッジを、当該化合物と適切な粉末基剤(ラクトースやデンプンなど)との粉末混合物を含有するように処方することができる。
【0617】
本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与用に処方することもできる。注射用の処方は、例えば、アンプル中、または所望により防腐剤が添加された複数回用量容器中の単位剤形として提供することができる。組成物は、油性または水性のビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンでもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化物質を含有することができる。
【0618】
非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態の活性製剤の水溶液を含む。さらに、有効成分の懸濁液は、適当な油性または水性基材を用いた注射用懸濁液として調製することができる。適切な親油性の溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油またはオレイン酸エチルなどの合成脂肪酸エステル、トリグリセリドまたはリポソームが含まれる。
【0619】
水性注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁液の粘度を増大する物質を含有してもよい。所望により懸濁液はまた、適切な安定化剤または高濃縮溶液の調製を可能せしめるために、有効成分の溶解度を増大させる薬剤を含有してもよい。
【0620】
上記の代わりに、有効成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば、滅菌済でパイロジェンフリーの水系溶液、を用いて構成するための、粉末の形態でもよい。
【0621】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物はまた、例えば、カカオバターまたはその他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を使用して、坐剤または保留浣腸などの直腸組成物に処方することもできる。
【0622】
代替の実施形態は、当業界において周知の通り、対象における活性成分の持続放出または活性成分の活性の長い持続時間を提供するデポ製剤を包含する。
【0623】
本発明のいくつかの実施形態に関連して使用するのに適切な医薬組成物としては、有効成分が、意図される目的を達成するために有効な量で含有される組成物が挙げられる。より詳しくは、治療上有効な量とは、障害(例えば、がん)の症状を予防、軽減または寛解するため、または治療されている対象の寿命を延長するのに有効な、有効成分(TCRL抗体)の量を意味する。
【0624】
治療上有効な量の決定は、特に、本明細書において提供される詳細な開示を鑑みる場合には、十分に当業者の能力内である。
【0625】
本発明の方法において使用されるいかなる製剤についても、治療上有効な量または用量は、初めにインビトロのアッセイおよび細胞培養アッセイから推定することができる。例えば、動物モデルにおいて所望の濃度または力価を達成するように、用量を処方することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。
【0626】
本明細書において記載する有効成分の毒性および治療効力は、in vitro、培養細胞、または実験動物において、標準的な薬学手順によって決定することができる。このようなインビトロのアッセイおよび細胞培養アッセイ、ならびに動物研究において得られたデータを、ヒトにおいて使用するためのさまざまな投与量の処方の際に使用することができる。
【0627】
投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて変化し得る。正確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる(例えば、"The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch.1 p.1のFingl, et al., 1975を参照)。
【0628】
投与の量および間隔は、生物学的効果を誘導するか、または抑制するのに十分な、有効成分のTCRL(組織TCRL)レベル(最小有効濃度、MEC)を提供するように、個々に調整してもよい。MECは、各処方について変化するが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴および投与経路に応じて変化する。血漿中濃度を決定するために検出アッセイは、使用することができる。
【0629】
治療すべき病態の重症度および応答性に応じて、投薬は、単回または複数回投与であり、治療は、数日から数週間、または治癒が達成されるまで、もしくは疾患状態の減少が達成されるまで継続することができる。
【0630】
投与されるべき組成物の量は、当然のことながら、治療されている対象、苦痛の重症度、投与の方法、処方医師の判断などに応じて変化する。
【0631】
具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドまたはそれを含む医薬組成物は、体重1kg当たり0.1から10mg、体重1kg当たり0.1から2mg、体重1kg当たり0.1から1mg、体重1kg当たり0.3から10mg、体重1kg当たり0.3から2mg、体重1kg当たり0.3から1mgまたは体重1kg当たり0.3から0.9mgの範囲の用量で投与される。
【0632】
具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチドまたはそれを含む医薬組成物は、0.5~2.0mg/kgの範囲の用量で投与される。
【0633】
具体的な実施形態によれば、免疫チェックポイントレギュレーターまたはそれを含む医薬組成物は、体重1kg当たり0.001から30mg、体重1kg当たり0.001から20mg、体重1kg当たり0.001から10mg、体重1kg当たり0.001から1mg、体重1kg当たり0.01から30mg、体重1kg当たり0.01から20mg、体重1kg当たり0.01から10mg、体重1kg当たり0.01から1mg、体重1kg当たり0.1から30mg、体重1kg当たり0.1から20mg、体重1kg当たり0.1から10mg、体重1kg当たり0.1から1mg、1から約30mg/kg、1から約20mg/kgまたは1から約10mg/kgの範囲の用量で投与される。
【0634】
所望の用量は、一度に投与してもよいし、または下位用量、例えば2~4の下位用量に分割してもよいし、所定時間にわたって、例えば適切なインターバルで1日中、または他の適切なスケジュールで投与されてもよい。
【0635】
具体的な実施形態によれば、本発明のCXCR4アンタゴニストペプチド、免疫チェックポイントレギュレーターまたはそれを含む医薬組成物は、例えば2~10回、所定時間にわたり、例えば数日から数週にわたり、適切なインターバルで、例えば1日1回、週2回、週1回、2週毎に1回、月1回、3から6ヶ月毎に1回、複数回投与する。
【0636】
本発明のいくつかの実施形態の組成物は、所望により、有効成分を含有する1種または複数種の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサー装置、例えば、(診断用または治療用)FDA承認キットなど、で提供することができる。パックは、例えば、ブリスターパックのように、金属またはプラスチックホイルを含んでもよい。パックまたはディスペンサー装置は、投与のための説明書を伴ってもよい。パックまたはディスペンサーはまた、医薬の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指示された形態の容器と関連する通知を収容してもよく、当該通知は、組成物またはヒトもしくは獣医学的投与の形態が、上記機関の承認済みであることを反映している。このような通知は、例えば、米国食品医薬品局によって承認された、処方薬物のためにラベル、または承認された添付文書でもよい。上記で詳細に説明したように、適合する医薬担体中に処方された本発明の製剤を含む組成物を製造し、適当な容器中に加え、記述した病態の治療用である旨の標識を付すこともできる。
【0637】
本発明の態様によれば、がん治療用に特定された製品またはキットであって、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するペプチドまたはその類似体もしくは誘導体と、免疫チェックポイントレギュレーター(例えばPD1アンタゴニスト、PDL-1アンタゴニスト、CTLA-4アンタゴニスト、LAG-3アンタゴニスト、TIM-3アンタゴニスト、KIRアンタゴニスト、IDOアンタゴニスト、OX40アゴニスト、CD137アゴニスト、CD27アゴニスト、CD40アゴニスト、GITRアゴニスト、CD28アゴニストおよびICOSアゴニスト)とをパッケージングしたパッケージング材料を含む、製品またはキットが提供される。
【0638】
ペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターは、同じ容器にパッケージングされてもよいし、または別個の容器にパッケージングされてもよく、それぞれの可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0639】
具体的な実施形態によれば、ペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターは、個別の処方に含まれる。
【0640】
他の具体的な実施形態によれば、ペプチドおよび免疫チェックポイントレギュレーターは、混合処方に含まれる。
【0641】
本出願に基づき成立する特許の存続期間にわたり、多数の関連免疫チェックポイントレギュレーターが開発されることが予想されることから、用語TCRLの範囲には、推測されるこのような新規技術の全てが含まれるものとする。用語「免疫チェックポイントレギュレーター」の範囲は、事前にこのような全ての新しい技術を包含することが意図される。
【0642】
本明細書で用いられる用語「約」とは、±10%を指す。
【0643】
用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」およびその同根語は、「それだけには限定されないが含む」を意味する。
【0644】
用語「からなる」とは、「含み、それに限定されること」を意味する。
【0645】
用語「実質的になる(consisting essentially of)」は、組成物、方法または構造が、追加の成分、ステップ、および/または部分を含んでいてもよいが、当該追加の成分、ステップ、および/または部分が、特許請求の範囲に記載された組成物、方法、または構造の基本的および新規な特徴を物質的に変化させない場合に限られることを意味する。
【0646】
本明細書において、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物」または「少なくとも1種の化合物」は、その混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
【0647】
本出願の全体を通して、本発明の様々な実施形態を範囲の形で提示することができる。範囲の形の記載は、単なる便宜上および簡潔さのためであり、本発明の範囲の変更不可能な限定と解釈すべきではないことを理解されたい。したがって、ある範囲の記述は、その範囲に含まれうる全ての部分範囲のみならず、範囲内の個々の数値をも具体的に開示するものと見なすべきである。例えば、1から6などの範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示するものと見なすべきである。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
【0648】
本明細書に数値範囲が記載されている場合、当該数値範囲内の任意の引用された数字(分数または整数)を全て含むものとする。第1指示数から第2指示数との「間の範囲」という表現、および第1指示数「から」第2指示数「までの範囲/の範囲」は、本明細書において同義的に使用され、第1および第2の指示数と、それらの間のすべての分数および整数を含むものとする。
【0649】
本明細書において、用語「方法」とは、所与の所与の仕事を実現するための手法、手段、技法、および手順を意味し、化学、薬理学、生物学、生化学、および医学の分野の当業者に公知の手法、手段、技法、および手順、または当該当業者が公知の手法、手段、技法、および手順から容易に開発可能な手法、手段、技法、および手順を含むが、これらに限定されるものではない。
【0650】
本明細書において、用語「治療する」とは、病態の進行を無効化する、実質的に阻害する、減速させる、または逆転させることであって、病態に伴う臨床症状または審美的症状の実質的な改善、または病態に伴う臨床症状または審美的症状の出現の実質的な防止を含む。
【0651】
特定の配列表に言及する場合、このような言及は、その相補的配列に実質的に対応する配列、例えば、シーケンシングエラー、クローニングエラー、または塩基置換、塩基欠失もしくは塩基付加をもたらす他の変更に起因するわずかな配列の変化を含むものをも含むものであるが、但し、当該変換の頻度は、50ヌクレオチド中1未満、あるいは、100ヌクレオチド中1未満、あるいは、200ヌクレオチド中1未満、あるいは、500ヌクレオチド中1未満、あるいは、1000ヌクレオチド中1未満、あるいは、5,000ヌクレオチド中1未満、あるいは、10,000ヌクレオチド中1未満であることを理解されたい。
【0652】
本発明の特徴であって、明確にするために個別の実施形態のとして記載したものは、組み合わせて1つの実施形態としても提供可能であることを理解されたい。逆に、簡潔にするために1つの実施形態として記載した本発明の様々な特徴を、個別に、または任意の適切な部分組合せで、または本発明で記載した他の実施形態との適切な組み合わせとして提供することもできる。様々な実施形態に関連して記載された特徴は、その特徴なしでは実施形態が動作不能でない限り、それらの実施形態の必須要件とは見なさない。
【0653】
上記で詳細に説明し、下記の請求の範囲内で請求する発明の様々な実施形態および態様について、以下の実施例で実験的裏付けを示す。
【実施例0654】
次に、以下の実施例に参照するが、これらは上記説明と共に本発明の実施形態の一部を詳細に示すものであるが、本発明を限定するものではない。
【0655】
本明細書において使用される命名法および本発明に使用する実験手順としては、通常、分子的技術、生化学的技術、微生物学的技術および組み換えDNA技術が挙げられる。このような技術は、文献において十分に説明されている。例えば、"Molecular Cloning: A laboratory Manual" Sambrook et al., (1989).、"Current Protocols in Molecular Biology" Volumes I-III Ausubel, R. M., ed. (1994).、Ausubel et al., "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989).,Perbal、"A Practical Guide to Molecular Cloning", John Wiley & Sons、New York (1988).、Watson et al., "Recombinant DNA", Scientific American Books, New York.,Birren et al. (eds) "Genome Analysis: A Laboratory Manual Series", Vols. 1-4、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York (1998).、米国特許第4,666,828号、同4,683,202号、同4,801,531号、同5,192,659号および同5,272,057号に記載の方法論、"Cell Biology: A Laboratory Handbook", Volumes I-III Cellis, J. E., ed. (1994).、"Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique" by Freshney, Wiley-Liss, N. Y. (1994), Third Edition.、"Current Protocols in Immunology" Volumes I-III Coligan J. E., ed. (1994).、Stites et al. (eds), "Basic and Clinical Immunology" (8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994).、Mishell and Shiigi (eds), "Selected Methods in Cellular Immunology", W. H. Freeman and Co., New York (1980)を参照。入手可能な免疫アッセイは、特許および科学文献に広く記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号;同3,839,153号;同3,850,752号、同3,850,578号、同3,853,987号、同3,867,517号、同3,879,262号、同3,901,654号、同3,935,074号、同3,984,533号、同3,996,345号、同4,034,074号、同4,098,876号、同4,879,219号、同5,011,771号および同5,281,521号、"Oligonucleotide Synthesis" Gait, M. J., ed. (1984).、"Nucleic Acid Hybridization" Hames、B. D., and Higgins S. J., eds. (1985).、"Transcription and Translation" Hames, B. D., and Higgins S. J., eds. (1984).、"Animal Cell Culture" Freshney, R. I., ed. (1986).、"Immobilized Cells and Enzymes" IRL Press, (1986).、"A Practical Guide to Molecular Cloning" Perbal, B., (1984)及び"Methods in Enzymology" Vol. 1-317, Academic Press.、"PCR Protocols: A Guide To Methods And Applications", Academic Press、San Diego、CA (1990).、Marshak et al., "Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual" CSHL Press (1996)を参照。上記文献の全てが、本参照により本明細書に完全に組み込まれるものとする。その他の一般的な参考文献は、本明細書を通じて提供される。それらに記載の手順は、当技術分野で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供する。それらに含まれるすべての情報が、本参照により本明細書に組み込まれる。
【0656】
実施例1
がんを治療するためのBL-8040の使用
BL-8040は、造血幹細胞/前駆細胞および間葉幹細胞に加えて、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞およびImDCの、末梢血液への迅速な動員を誘導することが示された、安全で十分許容される薬物である。それゆえに、BL-8040は、未成熟DC、NK細胞、B細胞、単球/マクロファージ、ならびにTエフェクター細胞およびメモリー細胞の腫瘍への動員および播種を誘導するのに使用することができる。
【0657】
実験手順
1つのプロトコールによれば、BL-8040は、0.5~2.0mg/kgの用量で3~10日間、次いで週1~3回を、阻害チェックポイント分子と拮抗する免疫調節抗体と組み合わせて、がん患者に注射した。当該抗体は、例えば、抗CTLA4(例えばMedImmne社またはBMS社により生産されたものなど)、抗PD-1(例えばBMY社、AZY社、Merck社またはCuretech社により生産されたものなど)、抗PDL-1(例えば、Roche社、Merck Serono社、AZY社またはBMS社により生産されたものなど)、抗LAG-3(例えば、BMS社またはImmutep社により生産されたものなど)、および抗KIR(例えば、BMY社またはInnate Pharma社により生産されたものなど)などの阻害チェックポイント分子と拮抗する免疫調節抗体と組み合わせて、がん患者に注射される。
【0658】
別のプロトコールによれば、BL-8040は、0.5~2.0mg/kgの用量で3~10日間、次いで週1~3回を、例えばPD1など(例えばAZY社により生産されたものなど)の阻害チェックポイント分子を標的化する融合タンパク質と組み合わせて、がん患者に注射される。
【0659】
別のプロトコールによれば、BL-8040は、0.5~2.0mg/kgの用量で3~10日間、次いで週1~3回を、阻害チェックポイント分子と拮抗する小分子と組み合わせて、がん患者に注射する。例えば、当該小分子は、IDOなど[例えばNLG919(Roche社により生産されたもの)、F001287(BMY社により生産されたもの)、インドキシモド(NewLink Genetics社により生産されたもの)、NLG-919(NewLink Genetics社により生産されたもの)およびINCB-024360(Incyte社により生産されたもの)などである。
【0660】
別のプロトコールによれば、BL-8040は、0.5~2.0mg/kgの用量で3~10日間、次いで週1~3回、共刺激チェックポイント分子を活性化する免疫調節抗体と組み合わせて、がん患者に注射される。当該免疫調節抗体は、例えば、CD40(例えばPfizer社またはSeattle Genetics Inc.により生産されたものなど)、4-1BB(例えばBMY社またはMerck Serono社により生産されたものなど)、GITR(例えばMerck社またはGITR Inc.により生産されたものなど)、OX40(例えばAZY社またはRoche社により生産されたものなど)、およびCD27(例えばCelldex社により生産されたものなど)である。
【0661】
別のプロトコールによれば、BL-8040は、0.5~2.0mg/kgの用量で3~10日間、次いで週1~3回、例えばOX-40(例えば、AZY社により生産されたものなど)などの共刺激チェックポイント分子を標的化する融合タンパク質と組み合わせて、がん患者に注射される。
【0662】
本発明をその特定の実施形態とともに記載したが、多数の代替法、改変および変法も当業者に明らかとなる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に入るすべてのこのような代替法、改変および変法も包含するものとする。
【0663】
本明細書で述べた全ての刊行物、特許、および特許出願は、当該刊行物、特許、または特許出願について具体的かつ個別に記載した場合と同様に、参照によりそれらが完全に本明細書に組み込まれるものとする。さらに、本願におけるいかなる参考文献の引用または記載も、そのような参考文献が本願に対する従来技術として存在することの自認と解釈すべきではない。セクションの見出しの使用についても、それらを必ずしも限定として解釈すべきではない。
【配列表フリーテキスト】
【0664】
配列番号1: 合成ペプチド
1位 4-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号2: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号3: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
配列番号4: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
配列番号5: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
11位~12位シトルリン
配列番号6: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号7: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
配列番号8: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
11位~12位シトルリン
配列番号9: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
11位~12位 シトルリン
配列番号10: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号11: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
11位~12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号12: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
14位 アミド化
配列番号13: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号14: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
11位~12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号15: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
11位~12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号16: 合成ペプチド
1位 D-グルタミン酸
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号17: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号18: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号19: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号20: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
配列番号21: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号22: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号23: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号24: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 D-グルタミン酸
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号25: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 D-グルタミン酸
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号26: 合成ペプチド
1位 D-グルタミン酸
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号27: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
10位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号28: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 D-グルタミン酸
14位 C’アミド化
配列番号29: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化 D-グルタミン酸
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号30: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
10位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号31: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 D-グルタミン酸
14位 C’アミド化
配列番号32: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号33: 合成ペプチド
1位 グアニルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号34: 合成ペプチド
1位 テトラメチルグアニルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号35: 合成ペプチド
1位 テトラメチルグアニルアルギニン
2位 3-(2-ナフチル)アルギニン
5位 シトルリン
7位 D-グルタミン酸
11位 シトルリン
13位 C’アミド化
配列番号36: 合成ペプチド
1位 4-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 アミド化
配列番号37: 合成ペプチド
1位 2-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号38: 合成ペプチド
1位 5-アミノペンタノイルアルギニン
2位 3-(2-ナフチル)アルギニン
5位 シトルリン
7位 D-グルタミン酸
11位 シトルリン
13位 C’アミド化
配列番号39: 合成ペプチド
1位 2-デザミノアルギニル
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号40: 合成ペプチド
1位 グアニルアルギニン
2位 3-(2-ナフチル)アルギニン
5位 シトルリン
7位 D-グルタミン酸
11位 シトルリン
13位 C’アミド化
配列番号41: 合成ペプチド
1位 サクシニルアルギニン
2位 3-(2-ナフチル)アルギニン
5位 シトルリン
7位 D-グルタミン酸
11位 シトルリン
13位 C’アミド化
配列番号42: 合成ペプチド
1位 グルタリルアルギニン
2位 3-(2-ナフチル)アルギニン
5位 シトルリン
7位 D-グルタミン酸
11位 シトルリン
13位 C’アミド化
配列番号43: 合成ペプチド
1位 デザミノTMG-APA(明細書の式IV)
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号44: 合成ペプチド
1位 R-CH(明細書の式V)
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号45: 合成ペプチド
2位 3-(2-ナフチル)アルギニン
5位 シトルリン
7位 D-グルタミン酸
11位 シトルリン
13位 C’アミド化
配列番号46: 合成ペプチド
1位 テトラメチルグアニルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号47: 合成ペプチド
1位 6-アミノヘキサノイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号48: 合成ペプチド
1位 6-アミノヘキサノイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号49: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号50: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号51: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号52: 合成ペプチド
1位 N’アセチル化
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号53: 合成ペプチド
1位 4-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 NH-メチル基による誘導体化
配列番号54: 合成ペプチド
1位 4-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 NH-エチル基による誘導体化
配列番号55: 合成ペプチド
1位 4-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 NH-イソプロピル基による誘導体化
配列番号56: 合成ペプチド
1位 4-フルオロベンゾイルアルギニン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-グルタミン酸
12位 シトルリン
14位 チラミン残基による誘導体化
配列番号57: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号58: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号59: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号60: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-アラニン
12位 シトルリン
配列番号61: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号62: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号63: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号64: 合成ペプチド
1位 シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号65: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号66: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号67: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
7位 シトルリン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号68: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
配列番号69: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-リシン
12位 シトルリン
配列番号70: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
6位 シトルリン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
配列番号71: 合成ペプチド
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
配列番号72: 合成ペプチド
1位 シトルリン
3位 3-(2-ナフチル)アルギニン
8位 D-シトルリン
12位 シトルリン
14位 C’アミド化
【配列表】
2022113913000001.app