(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113959
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】シングルレバー水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20220729BHJP
E03C 1/044 20060101ALI20220729BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
E03C1/05
E03C1/044
F16K31/06 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021009997
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 真樹
(72)【発明者】
【氏名】正村 聡志
【テーマコード(参考)】
2D060
3H106
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BE15
2D060CA04
2D060CA07
3H106EE48
3H106FB03
3H106KK07
(57)【要約】
【課題】レバーハンドルによる吐水温度や吐水量の設定状態を維持したまま、吐止水の切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができるシングルレバー水栓を提供すること。
【解決手段】吐水する湯水の温度調節と吐水量の調節とを行うことが可能なレバーハンドル4を有するシングルレバー水栓1であって、電磁弁11と、制御装置12と、リモートコントローラ13と、を有する。電磁弁11は、湯水の給水経路5に接続されて給水経路5の遮断と開通とを切り替える。制御装置12は、電磁弁11の開閉制御を行う。リモートコントローラ13は、水栓本体2から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する光電センサ13Eを備え、光電センサ13Eの検出結果に基づく制御信号を制御装置12に無線通信により送信する。制御装置12は、受信した制御信号に応じて電磁弁11の開弁と閉弁とを切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水する湯水の温度調節と吐水量の調節とを行うことが可能なレバーハンドルを有するシングルレバー水栓であって
湯水の給水経路に接続されて該給水経路の遮断と開通とを切り替える電磁弁と、
該電磁弁の開閉制御を行う制御装置と、
水栓本体から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサを備え、該近接センサの検出結果に基づく制御信号を前記制御装置に無線通信により送信するリモートコントローラと、を有し、
前記制御装置が、受信した前記制御信号に応じて前記電磁弁の開弁と閉弁とを切り替えるシングルレバー水栓。
【請求項2】
請求項1に記載のシングルレバー水栓であって、
前記リモートコントローラが、バッテリ駆動により前記近接センサの駆動と前記無線通信の駆動とを行う、設置位置を自由に変更可能な据え置き型の機器とされるシングルレバー水栓。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシングルレバー水栓であって、
前記給水経路が、互いに直接接続可能な上流側配管と下流側配管とを備え、
前記電磁弁が、前記上流側配管と前記下流側配管との間に接続されるシングルレバー水栓。
【請求項4】
請求項3に記載のシングルレバー水栓であって、
前記上流側配管又は前記下流側配管が、曲げによる形状変更が可能な可撓性を有するフレキシブル管から成るシングルレバー水栓。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシングルレバー水栓であって、
前記給水経路が、前記水栓本体に水を供給する給水路と、前記水栓本体に湯を供給する給湯路と、を備え、
前記電磁弁が、前記給水路に接続されて該給水路の遮断と開通とを切り替える水側電磁弁と、前記給湯路に接続されて該給湯路の遮断と開通とを切り替える湯側電磁弁と、を備えるシングルレバー水栓。
【請求項6】
請求項5に記載のシングルレバー水栓であって、
前記制御装置が、前記水側電磁弁と前記湯側電磁弁とがそれぞれ閉弁された状態において、前記近接センサにより前記検出対象物の接近が所定時間未満検出された場合に、前記水側電磁弁と前記湯側電磁弁との双方を開弁し、前記検出対象物の接近が所定時間以上連続して検出された場合に、前記湯側電磁弁を閉弁したまま前記水側電磁弁のみを開弁し、前記水側電磁弁及び/又は前記湯側電磁弁の開弁状態において、前記近接センサにより前記検出対象物の接近が前記所定時間未満検出された場合に、前記開弁状態にある側の電磁弁を閉弁するシングルレバー水栓。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のシングルレバー水栓であって、
更に、前記水栓本体から離れた位置でユーザによるプッシュ操作を検出するタクタイルスイッチを備えた別のリモートコントローラであって、前記タクタイルスイッチの検出結果に基づく制御信号を前記制御装置に無線通信により送信する前記別のリモートコントローラを有し、
前記制御装置が、前記リモートコントローラから送信される前記制御信号に応じてだけでなく前記別のリモートコントローラから送信される前記制御信号に応じても前記電磁弁の開弁と閉弁とを切り替えるシングルレバー水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルレバー水栓に関する。詳しくは、吐水する湯水の温度調節と吐水量の調節とを行うことが可能なレバーハンドルを有するシングルレバー水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シングルレバー水栓に、フットスイッチの操作により吐水・止水の切り替えを行うことが可能な水栓制御システムが組み込まれた構成が開示されている。具体的には、シングルレバー水栓は、水栓本体の頭部に設けられるレバーハンドルの操作により、吐水する湯水の温度調節や吐水・止水の切り替え、吐水量の調節を行うことが可能な構成とされる。水栓制御システムは、上記シングルレバー水栓への湯水の各供給管に介在して設けられる電磁弁と、これら電磁弁の開閉操作を行うフットスイッチと、を備える。
【0003】
水栓制御システムは、ユーザがフットスイッチを操作する度に、各電磁弁を開閉切り替えする構成とされる。水栓制御システムは、各電磁弁が閉弁された状態においては、レバーハンドルが吐水操作された状態であっても、吐水口からの吐水を止水した状態とする。また、水栓制御システムは、レバーハンドルが吐水操作された状態において、各電磁弁が開弁されることにより、レバーハンドルの操作位置に応じた設定温度及び吐水量の湯水を吐水口から吐水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、各電磁弁の開閉切り替えがフットスイッチの踏み込み操作によって行われる構成であるため、ユーザから見えにくく操作性が悪い。また、衛生上の観点から、スイッチへの直接的な接触を避けられると好ましい。そこで、本発明は、レバーハンドルの操作による吐水温度や吐水量の設定状態を維持したまま、吐水・止水の切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことが可能なシングルレバー水栓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシングルレバー水栓は次の手段をとる。すなわち、シングルレバー水栓は、吐水する湯水の温度調節と吐水量の調節とを行うことが可能なレバーハンドルを有するシングルレバー水栓であって、電磁弁と、制御装置と、リモートコントローラと、を有する。電磁弁は、湯水の給水経路に接続されて給水経路の遮断と開通とを切り替える。制御装置は、電磁弁の開閉制御を行う。リモートコントローラは、水栓本体から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサを備え、近接センサの検出結果に基づく制御信号を制御装置に無線通信により送信する。制御装置は、受信した制御信号に応じて電磁弁の開弁と閉弁とを切り替える。
【0007】
上記構成によれば、レバーハンドルの操作により、吐水温度や吐水量の調節を簡便に行うことができる。なおかつ、水栓本体から離れた位置に設けられる近接センサを備えたリモートコントローラにより、ユーザが、リモートコントローラに直接触れることなく、上記設定した吐水温度や吐水量の湯水の吐水・止水を切り替えることができる。したがって、レバーハンドルの操作による吐水温度や吐水量の設定状態を維持したまま、吐水・止水の切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる。
【0008】
また、本発明のシングルレバー水栓は、更に次のように構成されていてもよい。リモートコントローラが、バッテリ駆動により近接センサの駆動と無線通信の駆動とを行う、設置位置を自由に変更可能な据え置き型の機器とされる。
【0009】
上記構成によれば、リモートコントローラを、ユーザにとって使用しやすい自由な位置に配置することが可能となる。詳しくは、リモートコントローラが無線通信式であることから、リモートコントローラをより簡便かつ自由な位置に配置変更することができる。
【0010】
また、本発明のシングルレバー水栓は、更に次のように構成されていてもよい。給水経路が、互いに直接接続可能な上流側配管と下流側配管とを備える。電磁弁が、上流側配管と下流側配管との間に接続される。
【0011】
上記構成によれば、電磁弁による非接触の切り替え操作構造を持たない既設の水栓構造に対して、非接触の切り替え操作構造を後付けで簡便に取り付けることができる。
【0012】
また、本発明のシングルレバー水栓は、更に次のように構成されていてもよい。上流側配管又は下流側配管が、曲げによる形状変更が可能な可撓性を有するフレキシブル管から成る。
【0013】
上記構成によれば、フレキシブル管により、電磁弁を外して上流側配管と下流側配管とを直接接続する状態と、上流側配管と下流側配管との間に電磁弁を接続する状態と、の切り替えをより簡便かつ適切に行うことができる。
【0014】
また、本発明のシングルレバー水栓は、更に次のように構成されていてもよい。給水経路が、水栓本体に水を供給する給水路と、水栓本体に湯を供給する給湯路と、を備える。電磁弁が、給水路に接続されて給水路の遮断と開通とを切り替える水側電磁弁と、給湯路に接続されて給湯路の遮断と開通とを切り替える湯側電磁弁と、を備える。
【0015】
上記構成によれば、電磁弁が、レバーハンドルの止水操作に伴う止水圧に耐えうる耐圧性を備えた給水路と給湯路とに設けられることとなる。したがって、電磁弁による給水経路の遮断と開通とをより適切に行うことができる。
【0016】
また、本発明のシングルレバー水栓は、更に次のように構成されていてもよい。制御装置が、水側電磁弁と湯側電磁弁とがそれぞれ閉弁された状態において、近接センサにより検出対象物の接近が所定時間未満検出された場合に、水側電磁弁と湯側電磁弁との双方を開弁し、検出対象物の接近が所定時間以上連続して検出された場合に、湯側電磁弁を閉弁したまま水側電磁弁のみを開弁する。また、制御装置は、水側電磁弁及び/又は湯側電磁弁の開弁状態において、近接センサにより検出対象物の接近が上記所定時間未満検出された場合に、開弁状態にある側の電磁弁を閉弁する。
【0017】
上記構成によれば、ユーザが近接センサに手をかざす時間を長くすることで、レバーハンドルによる吐水温度の設定状態によらず、水のみを吐水することが可能となる。したがって、レバーハンドルの設定状態を変えることなく、湯水の混合水を吐出させたり水のみを吐出させたりする切り替えが可能となる。よって、給湯エネルギの浪費を抑制することができる。
【0018】
また、本発明のシングルレバー水栓は、更に次のように構成されていてもよい。シングルレバー水栓が、更に、水栓本体から離れた位置でユーザによるプッシュ操作を検出するタクタイルスイッチを備えた別のリモートコントローラを有する。別のリモートコントローラは、タクタイルスイッチの検出結果に基づく制御信号を制御装置に無線通信により送信する。制御装置は、リモートコントローラから送信される制御信号に応じてだけでなく別のリモートコントローラから送信される制御信号に応じても電磁弁の開弁と閉弁とを切り替える。
【0019】
上記構成によれば、ユーザが、リモートコントローラを用いた非接触による吐水・止水の切り替え操作と、別のリモートコントローラを用いた接触による吐水・止水の切り替え操作と、を選択して行うことができる。したがって、例えば、別のリモートコントローラをフットスイッチとして設定することで、手が乾いているときには非接触で吐水・止水の切り替えを行い、手が濡れているときにはフットスイッチで吐水・止水の切り替えを行うといった操作の使い分けを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1の実施形態に係るシングルレバー水栓の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】電磁弁を給水経路に取り付ける前の状態を表した斜視図である。
【
図3】水栓制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係るシングルレバー水栓の非接触式リモコンの制御の流れを示すフローチャートである。
【
図6】制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施形態に係るシングルレバー水栓の概略構成を示す斜視図である。
【
図8】水栓制御システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図9】接触式リモコンの制御の流れを示すフローチャートである。
【
図10】制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
《第1の実施形態》
(シングルレバー水栓1の概略構成について)
始めに、本発明の第1の実施形態に係るシングルレバー水栓1の構成について、
図1~
図4を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、ユーザが、本実施形態に係るシングルレバー水栓1の正面に立った位置を基準とした方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図4のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るシングルレバー水栓1は、キッチンのシンクSの奥側の天板T1上に設置される、いわゆる台付きタイプの混合水栓として構成される。このシングルレバー水栓1は、その吐水・止水の切り替えを、シングルレバー水栓1に取り付けられたレバーハンドル4の操作とは別に、非接触式のリモートコントローラ(以下、非接触式リモコン)13を介した遠隔操作によっても行えるようにする水栓制御システム10を備えた構成とされる。
【0024】
シングルレバー水栓1は、その設置された奥側の天板T1の下側より供給される湯と水とを内部で混合してシンクSへと吐出することができる構成とされる。具体的には、シングルレバー水栓1は、供給される湯と水との混合割合を内部で調節することが可能な温調機能を備える。また、シングルレバー水栓1は、混合した湯水の吐水・止水を切り替えることが可能な切替機能と、吐出する湯水の量を調節することが可能な吐水量の調節機能と、を備える。
【0025】
上記湯水の混合割合の調節と、吐水・止水の切り替えと、吐水量の調節とは、全て、水栓本体2の頭部に取り付けられた1本のレバーハンドル4の操作によって行われる。具体的には、ユーザがレバーハンドル4を掴んで左右に回転位置を変える操作により、水栓本体2の内部に設けられた図示しない湯水混合用のカートリッジに対する湯水の各流入口の開度が変えられる。それにより、水栓本体2の内部で混合される湯水の混合割合が、回転位置に応じた設定温度となるように調節される。
【0026】
また、ユーザがレバーハンドル4を掴んで引き上げる操作により、上記不図示のカートリッジの流出口が閉じた状態から開かれる。それにより、レバーハンドル4の回転移動量に応じた量の湯水が、水栓本体2から手前側へと延びるカラン3を通って先端の吐水口3Aから下方へと吐出される。また、ユーザがレバーハンドル4を引き上げた位置から元の高さ位置へと戻すことで、吐水口3Aからの吐水が止められる。上記カラン3は、ユーザの手動操作により、水栓本体2に対して左右に首振り状に回転位置を変えられる構成とされる。
【0027】
なお、本実施形態では、レバーハンドル4がユーザの立つ正面側(手前側)に真っ直ぐ向けられた状態を中立位置の状態として、この中立位置を含む中立位置から右側の回転操作領域が、どの回転位置でも供給された水をそのままの温度で吐出する冷水設定領域とされる。また、上記レバーハンドル4の中立位置から左側の回転操作領域が、回転操作量の増大と共に湯の混合割合を増大させる温水設定領域とされる。
【0028】
水栓制御システム10は、水栓本体2から離れた任意の箇所に取り付け可能な非接触式リモコン13を備える。水栓制御システム10は、ユーザが非接触式リモコン13に手をかざす非接触操作を行う度に、シングルレバー水栓1の吐水・止水を順に切り替える構成とされる。本実施形態では、非接触式リモコン13は、水栓本体2の右側に並んでシンクSの奥側の天板T1上に設置される。
【0029】
非接触式リモコン13を奥側の天板T1上に設置することで、シンクSのサイドの天板T2上の作業スペースを狭めることなく非接触式リモコン13を設置することができる。なお、非接触式リモコン13は、ユーザの体格に併せて、シンクSのサイドの天板T2上に設置されても良い。非接触式リモコン13は、その裏面に貼着された粘着テープにより、シンクSの周囲やキッチンの手前側面、或いはユーザの立つフロアF上等の適宜位置に自由に取り外し可能に取り付けられるようになっている。
【0030】
上記水栓制御システム10により、ユーザがレバーハンドル4を所望の回転位置に合わせて吐水温度及び吐水量を好みに設定しておき、非接触式リモコン13に手をかざして吐水・止水の切り替え操作を行うようにすることで、レバーハンドル4による設定状態を維持したまま、吐水・止水の切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる。それにより、ユーザが吐水操作をする度に吐水温度や吐水量を調節し直す手間を省くことができる。また、ユーザが吐水・止水の切り替えを行うためにレバーハンドル4に触れる必要がなくなるため、衛生的に吐水・止水の操作を行うことができる。
【0031】
水栓制御システム10は、
図2に示すように、上記のような非接触式の操作構造を持たない既設の水栓構造に対して、後付けで簡便に取り付けることができる構成とされる。以下、シングルレバー水栓1及び水栓制御システム10の各部の具体的な構成について、詳しく説明する。
【0032】
(各部の構成について)
図1に示すように、シングルレバー水栓1は、キッチンの床下を通って敷設される図示しない湯水の供給配管とそれぞれ接続されて、各供給配管より供給される湯水を水栓本体2の内部へと導く給水経路5を備える。給水経路5は、水側止水栓5Aと、湯側止水栓5Bと、給水管5Cと、給湯管5Dと、を含む。
【0033】
水側止水栓5A及び湯側止水栓5Bは、それぞれ、シンクSの下側の収納スペースU内の奥壁に固定されている。これら水側止水栓5A及び湯側止水栓5Bは、上記奥壁への固定を介して、奥壁の裏側に敷設された図示しない湯水の供給配管とそれぞれ接続されている。
【0034】
これら水側止水栓5A及び湯側止水栓5Bは、それぞれ、耐圧性に優れたインフレキシブルな(曲がらない)金属配管から成る。これら水側止水栓5A及び湯側止水栓5Bは、それぞれ、故障時やメンテナンス時に手前側のハンドル操作を行うことにより、それぞれの通水路を遮断したり通水量を調節したりすることが可能な図示しない弁機構を備えた構成とされる。
【0035】
給水管5C及び給湯管5Dは、それぞれ、曲げによる形状変更が可能な蛇腹構造を備える金属製のフレキシブル管から成る。給水管5Cは、後述する水栓制御システム10の水側電磁弁11Aを介して水側止水栓5Aと接続される。給湯管5Dは、後述する水栓制御システム10の湯側電磁弁11Bを介して湯側止水栓5Bと接続される。
【0036】
給水管5Cは、水側止水栓5Aから供給される水を水栓本体2内の図示しない湯水混合用のカートリッジへと導く通水路を成す。また、給湯管5Dは、湯側止水栓5Bから供給される湯を水栓本体2内の図示しない湯水混合用のカートリッジへと導く通水路を成す。
【0037】
ここで、水側止水栓5A及び給水管5Cが、本発明の「給水路」に相当する。また、湯側止水栓5B及び給湯管5Dが、本発明の「給湯路」に相当する。また、水側止水栓5A及び湯側止水栓5Bが、それぞれ、本発明の「上流側配管」に相当する。また、これら水側止水栓5A及び湯側止水栓5Bと接続される給水管5C及び給湯管5Dが、それぞれ、本発明の「下流側配管」に相当する。
【0038】
図2に示すように、給水管5Cは、水側電磁弁11Aを介することなく、水側止水栓5Aに直接接続することが可能な接続構造を備えた構成とされる。また、給湯管5Dも、湯側電磁弁11Bを介することなく、湯側止水栓5Bに直接接続することが可能な接続構造を備えた構成とされる。上記構成により、シングルレバー水栓1は、給水管5Cと給湯管5Dとを水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとにそれぞれ直接接続することで、水栓制御システム10を組み込むことなく、レバーハンドル4の操作のみにより吐水・止水の切り替えを行う水栓金具として使用することができるようになっている。
【0039】
そのようなことから、上記のような水栓制御システム10を持たない既設のシングルレバー水栓1に対して、給水管5Cと水側止水栓5Aとの間に水側電磁弁11Aを接続し、給湯管5Dと湯側止水栓5Bとの間に湯側電磁弁11Bを接続するという簡便な施工により、水栓制御システム10を簡便に後付けすることができる。
【0040】
上記給水管5Cと水側止水栓5Aとは、これらの接続される側の端部のうちの一方に取り付けられたナットを他方に形成された雄ねじにねじ締結することによって接続されている。同様に、給湯管5Dと湯側止水栓5Bとは、これらの接続される側の端部のうちの一方に取り付けられたナットを他方に形成された雄ねじにねじ締結することによって接続されている。なお、上記給水管5Cと水側止水栓5Aとの接続、及び/又は給湯管5Dと湯側止水栓5Bとの接続は、それぞれ、これらの接続される側の端部にそれぞれ取り付けられた鍔付きナットの鍔部同士を合わせてクイックファスナにより挟み込んで固定することにより接続するものであっても良い。
【0041】
また、水側電磁弁11Aは、給水管5Cと水側止水栓5Aとの間に接続可能な対応する接続構造を備えた構成とされる。湯側電磁弁11Bも、給湯管5Dと湯側止水栓5Bとの間に接続可能な対応する接続構造を備えた構成とされる。したがって、
図2に示すように、給水管5Cと給湯管5Dとが水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとにそれぞれ接続された状態から、これらの間に水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとを次の手順によってそれぞれ簡便に接続することができる。
【0042】
先ず、水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bの各通水路をそれぞれハンドル操作によって遮断し、給水管5Cと給湯管5Dとをそれぞれ水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとの接続状態から外す。次に、水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとを水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとにそれぞれ接続する。そして、次に、給水管5Cと給湯管5Dとを水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとにそれぞれ接続する。これにより、
図1に示すように、既設の水栓本体2や水側止水栓5A、湯側止水栓5B等の他の施工部品の取り外しを伴うことなく、給水管5Cと水側止水栓5Aとの間に水側電磁弁11Aを接続すると共に、給湯管5Dと湯側止水栓5Bとの間に湯側電磁弁11Bを接続することができる。
【0043】
上記施工時には、給水管5Cと給湯管5Dとがそれぞれフレキシブル管から成ることから、これらの柔軟な曲げ変形に伴って、水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとの間に水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとをそれぞれ接続する作業を簡便に行うことができる。なおかつ、水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとがインフレキシブルな(曲がらない)金属配管から成ることから、重量物である水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとを水側止水栓5Aと湯側止水栓5Bとに適切に支持させた状態に接続することができる。
【0044】
図1及び
図3に示すように、水栓制御システム10は、電磁弁11と、制御装置12と、非接触式リモコン13と、を備える。電磁弁11は、上述した水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとで構成される。水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとは、それぞれ、制御装置12と電気的に接続されており、制御装置12による通電制御により、それぞれの通水路の遮断と開通とを切り替える構成とされる。
【0045】
制御装置12は、演算処理部であるCPU12Aと、一時的にデータを記憶する読み書き可能な記憶部であるRAM12Bと、CPU12Aにより実行される制御プログラムを記憶する読み出し専用の記憶部であるROM12Cと、タイマ12Dと、を有する。また、制御装置12は、後述する非接触式リモコン13の送信機13Fから制御信号を受信する受信機12Eと、シンクSの下側の収納スペースU内に設けられた交流電源ACに接続されて制御装置12の各機能部に電力を供給する電源アダプタ12Fと、を有する。
【0046】
制御装置12は、CPU12AによりROM12C上に記憶された制御プログラムをRAM12B上に展開し、RAM12Bと協働して制御プログラムに基づく各種処理を実行する。それにより、制御装置12は、その出力側に電気的に接続された水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各開閉制御を行う。具体的には、制御装置12は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で
図4のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。具体的な処理手順については後に詳述する。
【0047】
図3に示すように、非接触式リモコン13は、演算処理部であるCPU13Aと、一時的にデータを記憶する読み書き可能な記憶部であるRAM13Bと、CPU13Aにより実行される制御プログラムを記憶する読み出し専用の記憶部であるROM13Cと、タイマ13Dと、を有する。また、非接触式リモコン13は、非接触式センサである光電センサ13Eと、光電センサ13Eの検出結果に基づく制御信号を制御装置12に無線通信により送信する送信機13Fと、非接触式リモコン13の各機能部に電力を供給する乾電池やボタン型電池等で構成されるバッテリ13Gと、を有する。
【0048】
光電センサ13Eは、赤外線を投光する投光部と、投光されてユーザの手等の検出対象物に当たって反射した光を受光する受光部と、を備える。上記光電センサ13Eは、ユーザの手等の検出対象物が非接触式リモコン13に近づけられると、受光部において受光する反射光の受光量が増大する。なお、光電センサ13Eは、赤外線に代えて可視光線を投光・受光する構成であっても良い。ここで、光電センサ13Eが、本発明の「近接センサ」に相当する。
【0049】
非接触式リモコン13は、CPU13AによりROM13C上に記憶された制御プログラムをRAM13B上に展開し、RAM13Bと協働して制御プログラムに基づく各種処理を実行する。具体的には、非接触式リモコン13は、光電センサ13Eにおいてユーザの手等の検出対象物が近づけられて所定値以上の受光量が検出された場合に、送信機13Fより制御装置12の受信機12Eに制御信号を送信する。
【0050】
送信機13Fは、送信周波数315MHz、送信強度500μV/m、通信速度500bpsの通信規格に対応した、消費電力の少ない微弱無線により受信機12Eへの無線通信を行う。なお、送信機13Fは、特定小電力無線、bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、或いは無線LAN(例えば、Wi-Fi(登録商標))などの通信規格に対応した無線通信、或いは赤外線により受信機12Eに無線通信を行う構成であっても良い。
【0051】
(開閉制御処理について)
次に、制御装置12が実行する水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの開閉制御処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。制御装置12は、電源が投入された初期の状態では、水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとをそれぞれ閉弁した状態とされる。シングルレバー水栓1は、レバーハンドル4が温水設定領域に回されて引き上げられることで、設定された所定温度の温水を吐出することが可能な操作状態とされているものとする。
【0052】
この状態では、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bが閉弁されて各通水路が遮断されていることから、レバーハンドル4が吐水操作されていても、吐水口3Aからは湯水が吐出されない状態とされる。制御装置12は、先ず、その処理が開始されると、ステップS101において、非接触式リモコン13から制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置12は、制御信号を受信していない場合(ステップS101:NO)には、処理を終了する。なお、制御装置12は、ステップS101において制御信号を受信していない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS101に戻すようになっていても良い。
【0053】
一方、制御装置12は、非接触式リモコン13から制御信号を受信した場合(ステップS101:YES)には、ステップS102に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態であるか否かを判定する。制御装置12は、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態である場合(ステップS102:YES)には、ステップS103に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bをそれぞれ開弁する。これにより、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各通水路が開通されて、レバーハンドル4により設定された吐水温度及び吐水量の湯水が吐水口3Aより吐出される。
【0054】
一方、制御装置12は、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態でない、すなわち開弁状態である場合(ステップS102:NO)には、ステップS104に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bをそれぞれ閉弁する。これにより、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各通水路が遮断されて、吐水口3Aからの湯水の吐出が止められる。したがって、上記一連の処理が繰り返し行われることで、ユーザが非接触式リモコン13の光電センサ13Eに手をかざす度に、シングルレバー水栓1の吐水・止水を切り替えることができる。
【0055】
(まとめ)
以上をまとめると、第1の実施形態に係るシングルレバー水栓1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0056】
すなわち、シングルレバー水栓(1)は、吐水する湯水の温度調節と吐水量の調節とを行うことが可能なレバーハンドル(4)を有するシングルレバー水栓(1)であって、電磁弁(11)と、制御装置(12)と、リモートコントローラ(13)と、を有する。電磁弁(11)は、湯水の給水経路(5)に接続されて給水経路(5)の遮断と開通とを切り替える。制御装置(12)は、電磁弁(11)の開閉制御を行う。リモートコントローラ(13)は、水栓本体(2)から離れた位置で検出対象物の接近を非接触で検出する近接センサ(13E)を備え、近接センサ(13E)の検出結果に基づく制御信号を制御装置(12)に無線通信により送信する。制御装置(12)は、受信した制御信号に応じて電磁弁(11)の開弁と閉弁とを切り替える。
【0057】
上記構成によれば、レバーハンドル(4)の操作により、吐水温度や吐水量の調節を簡便に行うことができる。なおかつ、水栓本体(2)から離れた位置に設けられる近接センサ(13E)を備えたリモートコントローラ(13)により、ユーザが、リモートコントローラ(13)に直接触れることなく、上記設定した吐水温度や吐水量の湯水の吐水・止水を切り替えることができる。したがって、レバーハンドル(4)の操作による吐水温度や吐水量の設定状態を維持したまま、吐水・止水の切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる。
【0058】
また、リモートコントローラ(13)が、バッテリ(13G)の駆動により近接センサ(13E)の駆動と無線通信の駆動とを行う、設置位置を自由に変更可能な据え置き型の機器とされる。上記構成によれば、リモートコントローラ(13)を、ユーザにとって使用しやすい自由な位置に配置することが可能となる。詳しくは、リモートコントローラ(13)が無線通信式であることから、リモートコントローラ(13)をより簡便かつ自由な位置に配置変更することができる。
【0059】
また、給水経路が、互いに直接接続可能な上流側配管(5A,5B)と下流側配管(5C,5D)とを備える。電磁弁(11)が、上流側配管(5A,5B)と下流側配管(5C,5D)との間に接続される。上記構成によれば、電磁弁(11)による非接触の切り替え操作構造を持たない既設の水栓構造に対して、非接触の切り替え操作構造を後付けで簡便に取り付けることができる。
【0060】
また、上流側配管(5A,5B)又は下流側配管(5C,5D)が、曲げによる形状変更が可能な可撓性を有するフレキシブル管から成る。上記構成によれば、フレキシブル管により、電磁弁(11)を外して上流側配管(5A,5B)と下流側配管(5C,5D)とを直接接続する状態と、上流側配管(5A,5B)と下流側配管(5C,5D)との間に電磁弁(11)を接続する状態と、の切り替えをより簡便かつ適切に行うことができる。
【0061】
また、給水経路(5)が、水栓本体(2)に水を供給する給水路(5A,5C)と、水栓本体(2)に湯を供給する給湯路(5B,5D)と、を備える。電磁弁(11)が、給水路(5C)に接続されて給水路(5A,5C)の遮断と開通とを切り替える水側電磁弁(11A)と、給湯路(5B,5D)に接続されて給湯路(5B,5D)の遮断と開通とを切り替える湯側電磁弁(11B)と、を備える。上記構成によれば、電磁弁(11)が、操作ハンドル(4)の止水操作に伴う止水圧に耐えうる耐圧性を備えた給水路(5A,5C)と給湯路(5B,5D)とにそれぞれ設けられることとなる。したがって、電磁弁(11)による給水経路(5)の遮断と開通とをより適切に行うことができる。
【0062】
《第2の実施形態》
続いて、本発明の第2の実施形態に係るシングルレバー水栓1の構成について、
図5~
図6を用いて説明する。本実施形態では、シングルレバー水栓1の部品構成自体は、第1の実施形態で示したものと同一となっている(
図1及び
図3参照)。しかし、水栓制御システム10が、ユーザが非接触式リモコン13に短時間(例えば3秒未満)手をかざした場合と、長時間(例えば3秒以上)手をかざした場合とで、吐水口3Aから吐出する湯水の種類を変えるように制御する構成とされる。
【0063】
具体的には、非接触式リモコン13は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で
図5のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する構成とされる。すなわち、非接触式リモコン13は、電源が投入されてその処理が開始されると、ステップS201において、光電センサ13Eにユーザの手等の検出対象物が近づけられて所定値以上の受光量が検出されたか否かを判定する。
【0064】
非接触式リモコン13は、光電センサ13Eにおいて所定値以上の受光量が検出されていない場合(ステップS201:NO)には、続いて、ステップS202に処理を進め、検出対象物の検出時間をカウントするカウンタCの値が0であるか否かを判定する。なお、カウンタCの値は、非接触式リモコン13の電源が投入された初期の状態では0に設定されている。
【0065】
非接触式リモコン13は、カウンタCの値が0である場合(ステップS202:NO)には、処理を終了する。なお、非接触式リモコン13は、ステップS202においてカウンタCの値が0である場合(ステップS202:NO)に、処理をステップS201に戻すようになっていても良い。
【0066】
一方、非接触式リモコン13は、光電センサ13Eにおいて所定値以上の受光量が検出された場合(ステップS201:YES)には、処理をステップS203に進め、検出時間をカウントするカウンタCに1を加え、処理を終了する。非接触式リモコン13は、ステップS202において、カウンタCの値が0でない場合(ステップS202:YES)には、続いて、処理をステップS204に進め、カウンタCの値が所定値未満であるか否かを判定する。
【0067】
非接触式リモコン13は、カウンタCの値が所定値未満である場合(ステップS204:YES)には、検出対象物の検出時間が所定時間未満であると判定し、ステップS205に処理を進め、送信機13Fより制御装置12の受信機12Eに「短時間操作」の制御信号を送信する。そして、非接触式リモコン13は、ステップS207に処理を進め、カウンタCの値を0にして処理を終了する。
【0068】
一方、非接触式リモコン13は、ステップS204において、カウンタCの値が所定値以上である場合(ステップS204:NO)には、検出対象物の検出時間が所定時間以上であると判定し、ステップS206に処理を進め、送信機13Fより制御装置12の受信機12Eに「長時間操作」の制御信号を送信する。そして、非接触式リモコン13は、ステップS207に処理を進め、カウンタCの値を0にして処理を終了する。
【0069】
一方、制御装置12は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で
図6のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。なお、制御装置12は、第1の実施形態で示した構成と同様に、電源が投入された初期の状態では、水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとをそれぞれ閉弁した状態とされる。シングルレバー水栓1は、レバーハンドル4が温水設定領域に回されて引き上げられることで、設定された所定温度の温水を吐出することが可能な操作状態とされているものとする。
【0070】
制御装置12は、先ず、その処理が開始されると、ステップS211において、非接触式リモコン13から制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置12は、制御信号を受信していない場合(ステップS211:NO)には、処理を終了する。なお、制御装置12は、ステップS211において制御信号を受信していない場合(ステップS211:NO)に、処理をステップS211に戻すようになっていても良い。
【0071】
一方、制御装置12は、非接触式リモコン13から制御信号を受信した場合(ステップS211:YES)には、ステップS212に処理を進め、受信した制御信号が「短時間操作」の制御信号か否かを判定する。制御装置12は、受信した制御信号が「短時間操作」の制御信号である場合(ステップS212:YES)には、続いてステップS213に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態であるか否かを判定する。
【0072】
制御装置12は、ステップS213において、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態である場合(ステップS213:YES)には、ステップS214に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bをそれぞれ開弁する。これにより、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各通水路が開通されて、レバーハンドル4により設定された吐水温度及び吐水量の湯水が吐水口3Aより吐出される。
【0073】
一方、制御装置12は、ステップS212において、受信した制御信号が「長時間操作」の制御信号である場合(ステップS212:NO)には、ステップS215に処理を進め、水側電磁弁11Aのみを開弁し湯側電磁弁11Bを閉弁する。これにより、水側電磁弁11Aの通水路のみが開通されて、レバーハンドル4により設定された吐水温度によらず、供給された水がそのままの温度で吐水口3Aより吐出される。
【0074】
上記制御装置12は、ステップS213において、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態でない、すなわち少なくともどちらか一方が開弁状態である場合(ステップS213:NO)には、ステップS216に処理を進め、その開いている側の電磁弁を閉弁する。これにより、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各通水路が遮断されて、吐水口3Aからの湯水の吐出が止められる。
【0075】
したがって、第1の実施形態で示した構成と同様に、ユーザがレバーハンドル4を所望の回転位置に合わせて吐水温度及び吐水量を好みに設定しておき、非接触式リモコン13に手をかざして吐水・止水の切り替え操作を行うようにすることで、レバーハンドル4による設定状態を維持したまま、吐水・止水の切り替えを衛生的かつ操作性良く行うことができる。なおかつ、ユーザが非接触式リモコン13に手をかざす時間を長くすることで、レバーハンドル4が温水設定領域に調節されていたとしても、水のみを吐水する使い分けを行うことができる。
【0076】
よって、レバーハンドル4を温水設定領域に調節した状態を崩すことなく、温水を吐出する状態と水のみを吐出する状態とに切り替えることができ、給湯エネルギの浪費を抑制することができる。制御装置12は、上記処理により湯水を吐出する状態と水のみを吐出する状態とを切り替えるようになっていることから、ユーザが非接触式リモコン13に短時間手をかざして湯水を吐出した状態からであっても、再度、長時間手をかざし直すことにより、水のみを吐出する状態に簡便に切り替えることができる。そして、湯水を吐出している状態、或いは水のみを吐出している状態のどちらの状態からであっても、ユーザが非接触式リモコン13に再び手をかざすことで、吐水口3Aからの吐出を止めることができる。
【0077】
(まとめ)
以上をまとめると、第2の実施形態に係るシングルレバー水栓1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0078】
すなわち、制御装置(12)が、水側電磁弁(11A)と湯側電磁弁(11B)とがそれぞれ閉弁された状態において、近接センサ(13E)により検出対象物の接近が所定時間未満検出された場合に、水側電磁弁(11A)と湯側電磁弁(11B)との双方を開弁する。また、制御装置(12)は、上記接近が所定時間以上連続して検出された場合に、湯側電磁弁(11B)を閉弁したまま水側電磁弁(11A)のみを開弁する。また、制御装置(12)は、水側電磁弁(11A)及び/又は湯側電磁弁(11B)の開弁状態において、近接センサ(13E)により検出対象物の接近が上記所定時間未満検出された場合に、開弁状態にある側の電磁弁を閉弁する。
【0079】
上記構成によれば、ユーザが近接センサ(13E)に手をかざす時間を長くすることで、操作ハンドル(4)による吐水温度の設定状態によらず、水のみを吐水することが可能となる。したがって、操作ハンドル(4)の設定状態を変えることなく、湯水の混合水を吐出させたり水のみを吐出させたりする切り替えが可能となる。よって、給湯エネルギの浪費を抑制することができる。
【0080】
《第3の実施形態》
続いて、本発明の第3の実施形態に係るシングルレバー水栓1の構成について、
図7~
図10を用いて説明する。
図7~
図8に示すように、本実施形態に係るシングルレバー水栓1は、更に、第2の実施形態で示した非接触式リモコン13とは別に、シングルレバー水栓1の吐水・止水の切り替えを遠隔操作で行うことが可能な接触式のリモートコントローラ(以下、接触式リモコン)14を備えた構成とされる。ここで、接触式リモコン14が、本発明の「別のリモートコントローラ」に相当する。
【0081】
図7に示すように、本実施形態では、接触式リモコン14は、キッチンのフロアF上に設置されて、ユーザにより足で踏み込み操作されるフットスイッチとして構成される。接触式リモコン14は、
図8に示すように、演算処理部であるCPU14Aと、一時的にデータを記憶する読み書き可能な記憶部であるRAM14Bと、CPU14Aにより実行される制御プログラムを記憶する読み出し専用の記憶部であるROM14Cと、タイマ14Dと、を有する。
【0082】
また、接触式リモコン14は、接触式のセンサであるタクタイルスイッチ14Eと、タクタイルスイッチ14Eが操作された検出結果に基づく制御信号を制御装置12に無線通信により送信する送信機14Fと、接触式リモコン14の各機能部に電力を供給する乾電池やボタン型電池等で構成されるバッテリ14Gと、を有する。送信機14Fは、第1及び第2の実施形態で示した非接触式リモコン13の送信機13Fと同様、微弱無線により無線通信を行う構成となっている。
【0083】
タクタイルスイッチ14Eは、ユーザが足で踏み込むプッシュ操作を行うことで内部の電気回路を通電させる公知の接触式のスイッチ構造となっている。接触式リモコン14は、CPU14AによりROM14C上に記憶された制御プログラムをRAM14B上に展開し、RAM14Bと協働して制御プログラムに基づく各種処理を実行する。接触式リモコン14は、第2の実施形態で示した非接触式リモコン13と同様、ユーザがスイッチ操作を短時間(例えば3秒未満)行った場合と、長時間(例えば3秒以上)行った場合とで、吐水口3Aから吐出する湯水の種類を変えるように制御する構成とされる。
【0084】
具体的には、接触式リモコン14は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で
図9のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する構成とされる。すなわち、接触式リモコン14は、電源が投入されてその処理が開始されると、ステップS301において、タクタイルスイッチ14Eが操作されたか否かを判定する。
【0085】
接触式リモコン14は、タクタイルスイッチ14Eの操作が検出されていない場合(ステップS301:NO)には、続いて、ステップS302に処理を進め、スイッチ操作の検出時間をカウントするカウンタCの値が0であるか否かを判定する。なお、カウンタCの値は、接触式リモコン14の電源が投入された初期の状態では0に設定されている。
【0086】
接触式リモコン14は、カウンタCの値が0である場合(ステップS302:NO)には、処理を終了する。なお、接触式リモコン14は、ステップS302においてカウンタCの値が0である場合(ステップS302:NO)に、処理をステップS301に戻すようになっていても良い。
【0087】
一方、接触式リモコン14は、タクタイルスイッチ14Eの操作が検出された場合(ステップS301:YES)には、処理をステップS303に進め、検出時間をカウントするカウンタCに1を加え、処理を終了する。接触式リモコン14は、ステップS302において、カウンタCの値が0でない場合(ステップS302:YES)には、続いて、処理をステップS304に進め、カウンタCの値が所定値未満であるか否かを判定する。
【0088】
接触式リモコン14は、カウンタCの値が所定値未満である場合(ステップS304:YES)には、スイッチ操作の検出時間が所定時間未満であると判定し、ステップS305に処理を進め、送信機14Fより制御装置12の受信機12Eに「短時間操作」の制御信号を送信する。そして、接触式リモコン14は、ステップS307に処理を進め、カウンタCの値を0にして処理を終了する。
【0089】
一方、接触式リモコン14は、ステップS304において、カウンタCの値が所定値以上である場合(ステップS304:NO)には、スイッチ操作の検出時間が所定時間以上であると判定し、ステップS306に処理を進め、送信機14Fより制御装置12の受信機12Eに「長時間操作」の制御信号を送信する。そして、接触式リモコン14は、ステップS307に処理を進め、カウンタCの値を0にして処理を終了する。
【0090】
なお、接触式リモコン14の送信機14Fより送信される「短時間操作」及び「長時間操作」の制御信号は、第2の実施形態で示した非接触式リモコン13の送信機13Fより送信される「短時間操作」及び「長時間操作」の対応する制御信号とそれぞれ同一の制御信号となっている。
【0091】
一方、制御装置12は、所定時間(例えば0.015秒)間隔で
図10のフローチャートに示す処理を繰り返し実行する。なお、制御装置12は、第1及び第2の実施形態で示した構成と同様に、電源が投入された初期の状態では、水側電磁弁11Aと湯側電磁弁11Bとをそれぞれ閉弁した状態とされる。シングルレバー水栓1は、レバーハンドル4が温水設定領域に回されて引き上げられることで、所定温度の温水を吐出可能な操作状態とされているものとする。
【0092】
制御装置12は、先ず、その処理が開始されると、ステップS311において、非接触式リモコン13又は接触式リモコン14から制御信号を受信したか否かを判定する。制御装置12は、制御信号を受信していない場合(ステップS311:NO)には、処理を終了する。なお、制御装置12は、ステップS311において制御信号を受信していない場合(ステップS311:NO)に、処理をステップS311に戻すようになっていても良い。
【0093】
一方、制御装置12は、非接触式リモコン13又は接触式リモコン14から制御信号を受信した場合(ステップS311:YES)には、ステップS312に処理を進め、受信した制御信号が「短時間操作」の制御信号か否かを判定する。制御装置12は、受信した制御信号が「短時間操作」の制御信号である場合(ステップS312:YES)には、続いてステップS313に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態であるか否かを判定する。
【0094】
制御装置12は、ステップS313において、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態である場合(ステップS313:YES)には、ステップS314に処理を進め、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bをそれぞれ開弁する。これにより、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各通水路が開通されて、レバーハンドル4により設定された吐水温度及び吐水量の湯水が吐水口3Aより吐出される。
【0095】
一方、制御装置12は、ステップS312において、受信した制御信号が「長時間操作」の制御信号である場合(ステップS312:NO)には、ステップS315に処理を進め、水側電磁弁11Aのみを開弁し湯側電磁弁11Bを閉弁する。これにより、水側電磁弁11Aの通水路のみが開通されて、レバーハンドル4により設定された吐水温度によらず、供給された水がそのままの温度で吐水口3Aより吐出される。
【0096】
上記制御装置12は、ステップS313において、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bがそれぞれ閉弁状態でない、すなわち少なくともどちらか一方が開弁状態である場合(ステップS313:NO)には、ステップS316に処理を進め、その開いている側の電磁弁を閉弁する。これにより、水側電磁弁11A及び湯側電磁弁11Bの各通水路が遮断されて、吐水口3Aからの湯水の吐出が止められる。
【0097】
このように、本実施形態に係る水栓制御システム10によれば、ユーザが、非接触式リモコン13で行う操作と同様の操作を、接触式リモコン14を足で踏み込む操作によっても行うことができる。したがって、ユーザが、非接触式リモコン13を用いた非接触による吐水・止水の切り替え操作と、接触式リモコン14を用いた接触による吐水・止水の切り替え操作と、を選択して行うことができる。
【0098】
それにより、例えば、ユーザの手が乾いているときには非接触式リモコン13により非接触で吐水・止水の切り替えを行い、手が濡れているときにはフットスイッチである接触式リモコン14の踏み込み操作により吐水・止水の操作を行うといった使い分けを行うことが可能となる。なお、接触式リモコン14は、非接触式リモコン13と同様、シンクSのサイドの天板T2上や奥側の天板T1上に設置されてユーザにより手でプッシュ操作されるものであっても良い。接触式リモコン14は、非接触式リモコン13と同様、その裏面に貼着された粘着テープにより、適宜位置に自由に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0099】
(まとめ)
以上をまとめると、第3の実施形態に係るシングルレバー水栓1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0100】
すなわち、シングルレバー水栓(1)が、更に、水栓本体(2)から離れた位置でユーザによるプッシュ操作を検出するタクタイルスイッチ(14E)を備えた別のリモートコントローラ(14)を有する。別のリモートコントローラ(14)は、タクタイルスイッチ(14E)の検出結果に基づく制御信号を制御装置(12)に無線通信により送信する。制御装置(12)は、リモートコントローラ(13)から送信される制御信号に応じてだけでなく別のリモートコントローラ(14)から送信される制御信号に応じても電磁弁(11)の開弁と閉弁とを切り替える。
【0101】
上記構成によれば、ユーザが、リモートコントローラ(13)を用いた非接触による吐水・止水の切り替え操作と、別のリモートコントローラ(14)を用いた接触による吐水・止水の切り替え操作と、を選択して行うことができる。したがって、例えば、別のリモートコントローラ(14)をフットスイッチとして設定することで、手が乾いているときには非接触で吐水・止水の切り替えを行い、手が濡れているときにはフットスイッチで吐水・止水の切り替えを行うといった操作の使い分けを行うことが可能となる。
【0102】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を3つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0103】
1.近接センサは、検出対象物の接近を非接触で検出することが可能なものであれば良く、光電センサの他、静電容量センサや、超音波センサであっても良い。
【0104】
2.電磁弁が接続される給水経路の上流側配管と下流側配管は、止水栓とフレキシブル管との組み合わせに限らず、止水機能を持たない一般配管同士の組み合わせから成るものであっても良い。上流側配管と下流側配管の両方がフレキシブル管、或いはインフレキシブルな(曲がらない)配管から成るものであっても良い。また、電磁弁が接続される給水経路は、水栓本体の湯水が混合された後の混合水が通る混合路であっても構わない。
【0105】
3.タクタイルスイッチを備えた別のリモートコントローラは、第1の実施形態で示した近接センサを備えたリモートコントローラと同様、ユーザによる操作時間の長短に関係なく、操作の度に吐水・止水を切り替える単純な操作構造から成るものであっても良い。
【符号の説明】
【0106】
1 シングルレバー水栓
2 水栓本体
3 カラン
3A 吐水口
4 レバーハンドル
5 給水経路
5A 水側止水栓(上流側配管、給水路)
5B 湯側止水栓(上流側配管、給湯路)
5C 給水管(下流側配管、給水路)
5D 給湯管(下流側配管、給湯路)
10 水栓制御システム
11 電磁弁
11A 水側電磁弁
11B 湯側電磁弁
12 制御装置
12A CPU
12B RAM
12C ROM
12D タイマ
12E 受信機
12F 電源アダプタ
13 リモートコントローラ
13A CPU
13B RAM
13C ROM
13D タイマ
13E 光電センサ(近接センサ)
13F 送信機
13G バッテリ
14 リモートコントローラ(別のリモートコントローラ)
14A CPU
14B RAM
14C ROM
14D タイマ
14E タクタイルスイッチ
14F 送信機
14G バッテリ
S シンク
T1 奥側の天板
T2 サイドの天板
AC 交流電源
U 収納スペース
F フロア