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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113986
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】電話システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/428 20060101AFI20220729BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H04M3/428
H04Q3/58 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010061
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】橋間 一水
(72)【発明者】
【氏名】山宮 耕二
【テーマコード(参考)】
5K049
5K201
【Fターム(参考)】
5K049BB04
5K049FF39
5K049GG05
5K049GG07
5K201BB06
5K201BC17
5K201CD09
5K201EA05
5K201EA07
5K201EA08
5K201EC03
5K201EC06
5K201ED05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】携帯電話端末での通話を電話システムでパーク保留できる呼制御技術を提供する。
【解決手段】電話システムにおいて、電話制御装置10が、FMCゲートウェイ12を介してFMCサーバ32と呼制御メッセージをやり取りすることで、携帯電話網52に接続されている携帯電話端末42と対向装置40との間の第1の通話を確立し、FMCゲートウェイ12が、第1の通話の確立時に当該第1の通話に関する呼情報を呼制御DB12Aに保存し、FMCゲートウェイ12が、携帯電話端末42での転送操作に応じてFMCサーバ32から通知された特番発信要求を、パーク保留要求に変換して電話制御装置10へ通知し、電話制御装置10が、FMCゲートウェイ12から通知された第1の通話に関するパーク保留要求に応じて、呼制御DB12Aから第1の通話に関する呼情報を取得し、当該呼情報に基づいて、対向装置40との間で第2の通話を確立してパーク保留する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内線電話端末をIP電話網および携帯電話網に交換接続する電話制御装置と、
前記携帯電話網のFMCサーバと前記電話制御装置との間でやり取りする呼制御メッセージを中継変換するFMCゲートウェイとを備え、
前記電話制御装置は、前記FMCゲートウェイを介して前記FMCサーバと呼制御メッセージをやり取りすることにより、前記携帯電話網に接続されている携帯電話端末と対向装置との間の第1の通話を確立し、前記FMCゲートウェイから通知された前記第1の通話に関するパーク保留要求に応じて、呼情報データベースから前記第1の通話に関する呼情報を取得し、当該呼情報に基づいて、前記対向装置との間で第2の通話を確立してパーク保留し、
前記FMCゲートウェイは、前記第1の通話の確立時に当該第1の通話に関する呼情報を前記呼情報データベースに保存し、前記携帯電話端末での転送操作に応じて前記FMCサーバから通知された特番発信要求を、前記パーク保留要求に変換して前記電話制御装置へ通知する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記電話制御装置は、前記FMCゲートウェイからの前記パーク保留要求に応じて、前記携帯電話端末との間で第3の通話を確立し、前記第2の通話をパーク保留した後、前記第3の通話を介して前記携帯電話端末に、前記第2の通話に関するパーク番号を音声通知することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電話システムにおいて、
前記電話制御装置は、前記第2の通話をパーク保留した後、前記第1の通話を切断し、前記パーク番号を音声通知した後、前記第3の通話を切断することを特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の電話システムにおいて、
前記特番発信要求は、前記FMCサーバの特番発信サービスを用いた特番発信からなり、
前記FMCゲートウェイは、前記FMCサーバからの前記特番発信を、予め設定されている前記電話制御装置でのパーク保留特番発信に変換する
ことを特徴とする電話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話システムで通話をパーク保留する際に用いる呼制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話システムやPBXシステムなどの電話システムは、通話を一旦保留することにより内線電話端末間で通話を受け渡す機能を有している。このような通話の受け渡しに用いられる保留には、システム内のいずれの内線電話端末でも再応答できるシステム保留と、パークグループと呼ばれる特定のグループに属する内線電話端末だけが再応答できるパーク保留とがある(例えば、非特許文献1など参照)。特に、ビジネスオフィスでは、部署ごとに設定したパークグループ内での通話の受け渡しが多いため、パーク保留が使用されることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「取扱説明書・多機能電話機編-PLATIA」、pp.74-75、[online]、サクサ株式会社、[2020年12月27日検索]、インターネット<URL:https://support.saxa.co.jp/file/manual/platia/pt_operation_manual_takinou_v3.10.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯キャリア各社では、携帯電話網に接続されたFMCサーバにより、携帯電話端末を内線化するFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスを提供しており、電話システムには、このFMCサービスを利用して携帯電話端末を内線収容し、既存の内線電話端末との内線通話サービスを提供するものもある。これにより、外出中の担当者が自己の携帯電話端末から、電話システム経由で取引先に発信したり、担当者への外線着信を電話システム経由で、携帯電話端末により応答したりすることが可能となる。
【0005】
ここで、電話システムでは、電話制御装置と内線電話端末との間で各種の制御コマンドをやり取りすることにより、内線電話端末に対して高度なサービスを提供しているが、FMCサービスで使用できる携帯電話端末の機能は、発信、応答、および通話時におけるDTFM(Dual-Tone Multi-Frequency)信号の送信、という機能くらいである。
【0006】
したがって、FMCサービスにおいて、外出中の担当者の携帯電話端末に対してオフィスで応答した通話を受け渡しする場合には、例えば、部署でパーク保留した外線通話を、外出中の担当者が携帯電話端末で、FMCサーバを介して電話制御装置へパーク保留への再応答を示す特番をDTFM信号で送信する、いわゆる特番発信を行うというような比較的簡素な呼制御で実現できる。
しかしながら、携帯電話端末で応答した通話を電話制御装置でパーク保留する場合、パーク保留の対象となる対象通話を、FMCゲートウェイから電話制御装置へ受け渡しするなど、複雑な呼制御が必要となるため、FMCゲートウェイだけで実現することは難しいという問題点があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、携帯電話端末での通話を電話システムでパーク保留できる呼制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、複数の内線電話端末をIP電話網および携帯電話網に交換接続する電話制御装置と、前記携帯電話網のFMCサーバと前記電話制御装置との間でやり取りする呼制御メッセージを中継変換するFMCゲートウェイとを備え、前記電話制御装置は、前記FMCゲートウェイを介して前記FMCサーバと呼制御メッセージをやり取りすることにより、前記携帯電話網に接続されている携帯電話端末と対向装置との間の第1の通話を確立し、前記FMCゲートウェイから通知された前記第1の通話に関するパーク保留要求に応じて、呼情報データベースから前記第1の通話に関する呼情報を取得し、当該呼情報に基づいて、前記対向装置との間で第2の通話を確立してパーク保留し、前記FMCゲートウェイは、前記第1の通話の確立時に当該第1の通話に関する呼情報を前記呼情報データベースに保存し、前記携帯電話端末での転送操作に応じて前記FMCサーバから通知された特番発信要求を、前記パーク保留要求に変換して前記電話制御装置へ通知するように構成したものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記電話システムの一構成例は、前記電話制御装置が、前記FMCゲートウェイからの前記パーク保留要求に応じて、前記携帯電話端末との間で第3の通話を確立し、前記第2の通話をパーク保留した後、前記第3の通話を介して前記携帯電話端末に、前記第2の通話に関するパーク番号を音声通知するように構成したものである。
【0010】
また、本発明にかかる上記電話システムの一構成例は、前記電話制御装置が、前記第2の通話をパーク保留した後、前記第1の通話を切断し、前記パーク番号を音声通知した後、前記第3の通話を切断するように構成したものである。
【0011】
また、本発明にかかる上記電話システムの一構成例は、前記特番発信要求は、前記FMCサーバの特番発信サービスを用いた特番発信からなり、前記FMCゲートウェイは、前記FMCサーバからの前記特番発信を、予め設定されている前記電話制御装置でのパーク保留特番発信に変換するように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯電話端末での通話を電話システムでパーク保留することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、呼情報DBの構成例を示す説明図である。
図3図3は、パーク保留動作例を示すフローチャートである。
図4図4は、パーク保留動作例を示すシーケンス図である。
図5図5は、パーク保留動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[電話システム]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
この電話システム1は、オフィスなどの施設で用いられるボタン電話システムやPBXシステムからなり、複数の内線電話端末(EX端末)20と、これら内線電話端末20をIP電話網51および携帯電話網52に交換接続するように構成された電話制御装置(IP-PBX)10とを備えている。また、電話システム1には、VoIPゲートウェイ(VoIP-GW)11と、FMCゲートウェイ(FMC-GW)12が設けられている。
【0015】
[発明の原理]
一般に、携帯電話端末は、FMCサービスを利用する際、発信および応答のほか、通話時にDTFM信号を送信する機能を使用できる。FMCサービスでは、通常、携帯電話端末からDTFM信号で通知された保留特番に基づいて、携帯電話端末の通話を保留する保留サービスが提供されている。
これにより、例えば、携帯電話端末42が対向装置40と第1の通話を行っている場合、保留サービスを利用すれば、第1の通話をFMCサーバ32で保留できる。したがって、電話制御装置10と対向装置40との間で第2の通話を確立できれば、第2の通話を電話制御装置10でパーク保留した後、第1の通話を切断すればよい。
【0016】
ここで、電話制御装置10で第2の通話を確立し、さらには第1の通話の切断をFMCサーバに通知するには、第1の通話に関する呼情報が必要となる。しかし、このような呼情報をFMCサーバ32から提供するサービスはない。
この際、第1の通話が、元々、電話制御装置10でFMCサービスを利用して確立したものであれば、FMCゲートウェイ12を介して電話制御装置10とFMCサーバ32とが呼制御メッセージをやり取りしているため、FMCゲートウェイ12において、呼制御メッセージから第1の通話に関する呼情報を取得することができる。
【0017】
本発明は、このようなFMCゲートウェイ12で呼情報が取得可能である点に着目し、FMCゲートウェイ12において、電話制御装置10とFMCサーバ32とがやり取りする呼制御メッセージから、第1の通話に関する呼情報を取得して、呼情報データベース(以下、呼情報DBという)12Aに保存するように構成したものである。これにより、電話制御装置10は、呼情報DB12Aから、第1の通話に関する呼情報を取得することが可能となる。
【0018】
また、FMCサービスでは、予め設定されている特定の番号を指定した、携帯電話端末からの特番発信に基づいて、その特番に対応する相手先へ発信する特番発信サービスが提供されている。したがって、前述した例において、特番発信サービスを利用して、第1の通話を保留後、携帯電話端末42からFMCサーバ32を介して電話制御装置10へ発信すれば、携帯電話端末42と電話制御装置10との間の第3の通話を確立できる。
本発明は、FMCゲートウェイ12において、前述したFMCサーバ32からの特番発信をパーク保留特番発信へ変換して電話制御装置10へ通知するように構成したものである。これにより、電話制御装置10において、携帯電話端末42からの特番発信をパーク保留要求として受け取ることができ、このパーク保留要求を契機として、前述した第1の通話に関する呼情報の取得や、第2の通話の確立などの呼制御を開始することができる。
【0019】
[電話システムの詳細]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1を構成する、電話制御装置10、VoIPゲートウェイ11、FMCゲートウェイ12のそれぞれについて、詳細に説明する。
【0020】
[電話制御装置]
電話制御装置10は、ボタン電話システムの主装置やPBXシステムのPBX装置からなり、内線電話端末20との間で各種の呼制御メッセージをやり取りすることにより、内線電話端末20に対して内線接続サービスを提供する機能と、IP電話網51の呼制御サーバ31との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、内線電話端末20に対してIP電話網51を介した通話サービスを提供する機能とを有している。
【0021】
また、電話制御装置10は、携帯電話網52のFMCサーバ32との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、予め設定されている携帯電話端末41,42に対してFMCサーバが有する各種のFMCサービスを提供する機能とを有している。このFMCサービスには、内線電話端末20への着信を携帯電話端末41,42で代理応答すなわちピックアップするサービスや、携帯電話端末41,42の通話を電話制御装置10でパーク保留するサービスと、電話制御装置10でパーク保留している通話を携帯電話端末41,42で再応答するサービスとを含んでいる。
【0022】
また、電話制御装置10は、携帯電話端末41,42に対して、予め設定されている音声ガイダンスを送出する自動音声応答装置(以下、IVR:Interactive Voice Responseという)10Aを備えている。このIVR10Aは、パーク保留した通話のパーク番号を携帯電話端末41,42へ音声通知する際に用いられる。IVR10Aは、電話制御装置10との間で、例えばSIP(Session Initiation Protocol)を用いて呼制御メッセージをやり取りする、電話制御装置10とは独立した呼制御機能を有している。
【0023】
また、電話制御装置10は、FMCゲートウェイ12を介してFMCサーバ32と呼制御メッセージをやり取りすることにより、携帯電話網52に接続されている携帯電話端末41,42と、IP電話網51や携帯電話網52に接続されている対向装置40との間の第1の通話を確立する機能と、FMCゲートウェイ12から通知された第1の通話に関するパーク保留要求に応じて、FMCゲートウェイ12の呼情報DB12Aから第1の通話に関する呼情報を取得し、当該呼情報に基づいて、対向装置40との間で第2の通話を確立してパーク保留する機能とを有している。
【0024】
また、電話制御装置10は、FMCゲートウェイ12からのパーク保留要求に応じて、携帯電話端末42との間で第3の通話を確立し、第2の通話をパーク保留した後、第3の通話を介して携帯電話端末42に、第2の通話に関するパーク番号をIVR10Aから音声通知する機能と、第2の通話をパーク保留した後、第1の通話を切断し、パーク番号を音声通知した後、第3の通話を切断する機能とを有している。
【0025】
[VoIPゲートウェイ]
VoIPゲートウェイ11は、IP電話網51に接続されている呼制御サーバ31と、電話制御装置10との間で、SIPなどの呼制御プロトコルに基づいてやり取りする呼制御メッセージを中継変換するように構成されたネットワーク装置である。
【0026】
[FMCゲートウェイ]
FMCゲートウェイ12は、携帯電話網52に接続されているFMCサーバ32と電話制御装置10との間でやり取りする呼制御メッセージを中継変換するように構成されたネットワーク装置である。
FMCゲートウェイ12は、電話制御装置10でのパーク保留の対象となる通話に関する呼情報を一時保存するための呼情報DB12Aを備えている。なお、呼情報DB12Aは、FMCゲートウェイ12の内部に設けられていてもよく、FMCゲートウェイ12に通信回線を介して外部接続される別個のデータベース装置で構成してもよい。
【0027】
図2は、呼情報DBの構成例を示す説明図である。呼情報DB12Aには、図2に示すように、携帯電話端末を識別するためのuserID情報ごとに、着信側端末を示すto-tag情報、発信側端末を示すfrom-tag情報、および通話呼を識別するためのCALLID情報が、組として登録されている。これら、呼情報は、通話確立時に電話制御装置10とFMCサーバ32との間でやり取りされる呼制御メッセージのヘッダ情報から取得できる。
【0028】
また、FMCゲートウェイ12は、電話制御装置10を介した携帯電話端末41,42と対向装置40との間の第1の通話の確立時に、当該第1の通話に関する呼情報を呼制御DB12Aに保存し、携帯電話端末41,42での転送操作に応じてFMCサーバ32から通知された第1の通話に関する転送要求を、パーク保留要求に変換して電話制御装置10へ通知する機能を有している。
【0029】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図3図5を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1のパーク保留動作について説明する。図3は、パーク保留動作例を示すフローチャートである。図4図5は、パーク保留動作例を示すシーケンス図である。
ここでは、携帯電話端末42が、電話制御装置10に対する対向装置40からの着信を、FMCサービスを用いてピックアップすることにより、対向装置40との第1の通話を開始し、その後、第1の通話をFMCサービスで保留して、電話制御装置10でパーク保留する場合を例として説明する。
【0030】
なお、電話制御装置10およびFMCサーバ32では、SIPに基づき呼制御が行われる場合を例として説明する。また、対向装置40の電話番号が「050-xxxx」であるものとする。また、電話制御装置10の特定のグループの代表電話番号が「03-yyyy」であり、当該グループに属する内線電話端末20の電話番号が「715-2001」であるものとする。また、携帯電話端末41の電話番号が「71-31001」であり、携帯電話端末42の電話番号が「71-31002」であるものとする。
【0031】
図3および図4に示すように、まず、対向装置40からの発信に応じて、VoIPゲートウェイ11から当該グループへの着信が通知された場合、電話制御装置10は、当該グループに属する内線電話端末20へ着信(INVITE 7152001 from:050-xxxx)を通知する。また、当該グループに属する携帯電話端末42に対して、例えば、予めインストールされている携帯アプリのプッシュ通知を用いて、当該グループへの着信を通知する。
これに対して、携帯電話端末42でピックアップ操作が行われた場合(ステップS100)、FMCゲートウェイ12のゲートウェイ番号(71)、ピックアップ要求を示すピックアップ特番(91)、および当該グループのグループ番号(XXXX)のそれぞれを含む特番ダイヤル発信(DIAL 71-91-XXXX)が、携帯電話端末42からFMCサーバ32へ通知される。
【0032】
この特番ダイヤル発信は、FMCサーバ32で特番発信(INVITE 7191XXXX)に変換されて、FMCサーバ32からFMCゲートウェイ12へ通知され、FMCゲートウェイ12で電話制御装置10用のピックアップ特番発信(INVITE 91XXXX)に変換されて、電話制御装置10へ通知される。
電話制御装置10は、FMCゲートウェイ12からのピックアップ特番発信に応じて、当該グループに属する内線電話端末20へキャンセル(CANCEL / 200 OK)を通知して着信を停止し、ピックアップ特番発信への応答(200 OK)をFMCゲートウェイ12に返送する。
【0033】
FMCゲートウェイ12は、この応答をFMCサーバ32へ通知し、携帯電話端末42は、FMCサーバ32から応答を受信する。これにより、FMCゲートウェイ12は、例えばFMCサーバ32からピックアップ特番発信に含まれている呼情報を取得して、呼情報DB12Aに保存する(ステップS101)。
また、電話制御装置10は、VoIPゲートウェイ11に対して応答(200 OK)を返送し、VoIPゲートウェイ11から呼制御サーバ31を介して対向装置40へ応答が通知される。これにより、携帯電話端末42と対向装置40との間で第1の通話が確立されて、音声通話が開始される(ステップS102)。
【0034】
第1の通話を行っている際、携帯電話端末42で、FMCサービスの保留サービスを利用した第1の通話に対する保留操作により、保留特番(DIAL 1)がDTMF信号で送信された場合(ステップS103)、FMCサーバ32は、第1の通話を保留して(ステップS104)、対向装置40への保留音の送出を開始する。
【0035】
続いて、携帯電話端末42で、FMCサービスの特番発信サービスを利用した電話制御装置10への特番発信操作により、FMCゲートウェイ12のゲートウェイ番号(71)と特番(8#)を含む特番ダイヤル発信(DIAL 718#)がDTMF信号で送信された場合(ステップS105)、FMCサーバ32は、その特番ダイヤル発信を特番発信(INVITE 718 from 7131002)に変換して、FMCゲートウェイ12へ通知する(ステップS106)。
【0036】
FMCゲートウェイ12は、FMCサーバ32からの特番発信を、IVR10Aに対するIVR特番発信(INVITE 7192 from 7131002)に変換して、電話制御装置10へ通知する。この際、FMCサーバ32からの特番発信については、呼情報の保存対象外とする。これにより、呼情報DB12Aのメモリリソースを効率よく利用できる。
電話制御装置10は、FMCゲートウェイ12からのIVR特番発信に応じて、IVR10Aに着信を通知し、これに応じたIVR10Aからの応答(200 OK)に応じて、FMCゲートウェイ12に応答(200 OK)を返送し、この応答(200 OK)が、FMCゲートウェイ12からFMCサーバ32に返送される。
これにより、携帯電話端末42と電話制御装置10のIVR10Aとの間で、無音状態の第3の通話が確立される(ステップS107)。
【0037】
また、電話制御装置10のIVR10Aは、FMCゲートウェイ12からのIVR特番発信に応じて、FMCゲートウェイ12の呼情報DB12Aから、IVR特番発信の発信元である携帯電話端末42が通話中の第1の通話に関する呼情報を取得する(ステップS108)。これにより、第1の通話に関する呼情報として、SIPのDialog情報(to-tag,from-tag,CALLID)が取得される。
続いて、図5に示すように、IVR10Aは、取得した呼情報に基づいて、電話制御装置10のパーク特番(95)を含む、対向装置40との通話確立要求(REFER 951,…,REFER 955)を電話制御装置10に通知する。
【0038】
図5に示すように、電話制御装置10は、IVR10Aからの通話確立要求に応じて、第1の通話の相手先を電話制御装置10に変更するための通話切替要求(re-INVITE)を、VoIPゲートウェイ11へ通知する。これを受けたVoIPゲートウェイ11は対向装置40との通話を形成する音声パケットの接続先を電話制御装置10に接続を切り替える。これにより、電話制御装置10と対向装置40との間で第2の通話が確立されて、対向装置40において第1の通話が第2の通話に切り替えられる(ステップS109)。電話制御装置10は、この第2の通話を携帯電話端末42が属するグループに関連付けてパーク保留する(ステップS110)。
【0039】
この後、IVR10Aは、第1の通話に関する切断(BYE / 200 OK)を、FMCゲートウェイ12へ通知する。これにより、FMCゲートウェイ12からFMCサーバ32に切断が通知され、第1の通話が切断される(ステップS111)。
また、IVR10Aは、第3の通話を介して携帯電話端末42へ、電話制御装置10でパーク保留した第2の通話に関するパーク番号を示す音声ガイダンスを送出して、パーク番号を音声で通知する(ステップS112)。
また、IVR10Aは、通話切替要求に対する切断(BYE / 200 OK)を、電話制御装置10に通知する。
【0040】
音声ガイダンスの送出後、IVR10Aは、第3の通話に関する切断(BYE)を、電話制御装置10に通知する。これにより、第3の通話に関する切断が、電話制御装置10からFMCゲートウェイ12を介してFMCサーバ32に通知され、第3の通話が切断される(ステップS113)。第3の通知については、音声ガイダンスによりパーク番号が音声通知された時点で、携帯電話端末42から切断される場合もある。
【0041】
続いて、電話制御装置10は、パーク番号のグループに属する内線電話端末20に対して、例えばパークスロット(park slot-5)を指定したパーク保留中を示す表示指示(NOTIFY park slot-5 ON)を通知する。これにより、通知先の内線電話端末20で、該当するパークスロットでのパーク保留中を示すLEDが点滅表示される。
【0042】
この後、携帯電話端末42の利用者から携帯電話端末41の利用者に対して、例えば音声通話や口頭、その他の方法によりパーク番号が通知されて、携帯電話端末41でパーク応答操作が行われた場合、FMCゲートウェイ12のゲートウェイ番号(71)とパーク応答を示すパーク応答特番(81)を含む特番ダイヤル発信(DIAL 7181)が、携帯電話端末41からFMCサーバ32へ通知される。
【0043】
この特番ダイヤル発信は、FMCサーバ32で特番発信(INVITE 7181 from 7131001)に変換されて、FMCサーバ32からFMCゲートウェイ12へ通知され、FMCゲートウェイ12で電話制御装置10用のパーク応答特番発信(INVITE 951 from 7131001)に変換されて、電話制御装置10へ通知される。電話制御装置10は、FMCゲートウェイ12からのパーク応答特番発信に応じて、第5の通話の相手先を携帯電話端末41に変更するための通話切替要求(re-INVITE)を、VoIPゲートウェイ11へ通知する。
【0044】
これを受けたVoIPゲートウェイ11は対向装置40との通話を形成する音声パケットの接続先をFMCゲートウェイ12を介した携帯電話端末41に切り替える。第2の通話が、携帯電話端末41と対向装置40との間の第4の通話に切り替えられる。これにより、携帯電話端末41と対向装置40との間で音声通話が開始される。
【0045】
この後、電話制御装置10は、パーク番号のグループに属する内線電話端末20に対して、例えばパークスロット(park slot-5)を指定したパーク保留解除を示す表示指示(NOTIFY park slot-5 OFF)を通知する。これにより、通知先の内線電話端末20で、該当するパークスロットでのパーク保留中を示すLEDが消灯される。
【0046】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電話制御装置10が、FMCゲートウェイ12を介してFMCサーバ32と呼制御メッセージをやり取りすることにより、携帯電話網52に接続されている携帯電話端末42と対向装置40との間の第1の通話を確立し、FMCゲートウェイ12が、第1の通話の確立時に当該第1の通話に関する呼情報を呼制御DB12Aに保存し、FMCゲートウェイ12が、携帯電話端末42での転送操作に応じてFMCサーバ32から通知された特番発信要求を、パーク保留要求に変換して電話制御装置10へ通知し、電話制御装置10が、FMCゲートウェイ12から通知された第1の通話に関するパーク保留要求に応じて、呼制御DB12Aから第1の通話に関する呼情報を取得し、当該呼情報に基づいて、対向装置40との間で第2の通話を確立してパーク保留するように構成したものである。
【0047】
これにより、電話制御装置10でFMCサービスを利用して確立した第1の通話に関する呼情報が、FMCゲートウェイ12で呼情報DB12Aに自動保存される。これにより、FMCサーバ32が呼情報を通知するサービスを提供していない場合でも、電話制御装置10が第1の通話に関する呼情報を容易に取得できる。また、FMCゲートウェイ12において、FMCサーバ32からの特番発信がパーク保留特番発信に変換されて電話制御装置10へ通知される。これにより、電話制御装置10において、携帯電話端末42からの特番発信をパーク保留要求として容易に受け取ることができ、このパーク保留要求を契機として、前述した第1の通話に関する呼情報の取得や、第2の通話の確立などの呼制御を開始することができる。したがって、携帯電話端末42での第1の通話を電話システム1でパーク保留することが可能となる。
【0048】
また、本実施の形態において、電話制御装置10が、FMCゲートウェイ12からのパーク保留要求に応じて、携帯電話端末42との間で第3の通話を確立し、第2の通話をパーク保留した後、第3の通話を介して携帯電話端末42に、第2の通話に関するパーク番号を音声通知するようにしてもよい。
これにより、パーク保留要求への応答返送という簡素な処理で、自動的に第3の通話が確立されて、パーク番号の音声通知に利用することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態において、電話制御装置10が、第2の通話をパーク保留した後、第1の通話を切断し、パーク番号を音声通知した後、第3の通話を切断するようにしてもよい。
これにより、役目が終わった携帯電話端末42に関する第1および第3の通話を、無駄なく切断することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態において、第1の通話に関する転送要求を、FMCサーバ32の転送サービスに基づく転送特番発信から構成し、FMCゲートウェイ12が、当該転送特番発信を、予め設定されている電話制御装置10でのパーク保留特番発信に変換するようにしてもよい。
これにより、FMCサービスにおいて、パーク保留特番発信がサービス提供されていない場合でも、一般的な特番発信サービスを用いて、携帯電話端末42から電話制御装置10に対してパーク保留を要求することが可能となる。
【0051】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…電話システム、10…電話制御装置(IP-PBX)、10A…自動音声応答装置(IVR)、11…VoIPゲートウェイ、12…FMCゲートウェイ、12A…呼情報データベース(呼情報DB)、20…内線電話端末、31…呼制御サーバ、32…FMCサーバ、40…対向装置、41,42…携帯電話端末、51…IP電話網、52…携帯電話網。
図1
図2
図3
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図5