(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022113999
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 5/06 20060101AFI20220729BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20220729BHJP
H01L 27/11582 20170101ALI20220729BHJP
H01L 27/11556 20170101ALI20220729BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20220729BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20220729BHJP
H01L 45/00 20060101ALI20220729BHJP
H01L 49/00 20060101ALI20220729BHJP
G11C 16/08 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G11C5/06 100
G11C16/04 170
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L29/78 371
H01L27/105 448
H01L27/105 449
H01L45/00 A
H01L45/00 Z
H01L49/00 Z
G11C16/08 120
G11C16/08 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010074
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光司
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225CA14
5B225DA09
5B225DB31
5B225EA05
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083FZ10
5F083GA10
5F083JA19
5F083JA35
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA53
5F083JA60
5F083LA03
5F083LA06
5F083LA10
5F083LA21
5F083NA01
5F083ZA01
5F101BA02
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BD35
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、基板と、第1方向において基板から離間し第2方向に延伸する第1導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し第2方向において並ぶ第2導電層及び第3導電層と、第1導電層及び第2導電層と対向する第1半導体層と、第1導電層及び第3導電層と対向する第2半導体層と、第1半導体層に電気的に接続された第1ビット線と、第2半導体層に電気的に接続された第2ビット線と、を備える。第1導電層に対応するメモリセルに対して所定の動作を実行する場合の動作パラメータの少なくとも一部は、第2導電層及び第3導電層に対応するメモリセルに対して所定の動作を実行する場合の動作パラメータの少なくとも一部と異なる。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向において前記基板から離間し、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第1導電層と、
前記第1方向において前記基板及び前記第1導電層から離間し、前記第2方向に延伸する第2導電層と、
前記第1方向において前記基板及び前記第1導電層から離間し、前記第2方向に延伸し、前記第2方向において前記第2導電層と並び、前記第2導電層と電気的に接続された第3導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1導電層及び前記第2導電層と対向する第1半導体層と、
前記第1導電層及び前記第1半導体層の間に設けられた第1電荷蓄積部と、
前記第2導電層及び前記第1半導体層の間に設けられた第2電荷蓄積部と、
前記第1方向に延伸し、前記第1導電層及び前記第3導電層と対向する第2半導体層と、
前記第1導電層及び前記第2半導体層の間に設けられた第3電荷蓄積部と、
前記第3導電層及び前記第2半導体層の間に設けられた第4電荷蓄積部と、
前記第1半導体層に電気的に接続された第1ビット線と、
前記第2半導体層に電気的に接続された第2ビット線と
を備え、
前記第1電荷蓄積部を含む第1メモリセルに対して所定の動作を実行する場合の、前記第1導電層に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、前記第1ビット線に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、センス開始までの安定待ち時間、並びに、センス時間を第1動作パラメータとし、
前記第2電荷蓄積部を含む第2メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合の、前記第2導電層及び前記第3導電層に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、前記第1ビット線に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、センス開始までの安定待ち時間、並びに、センス時間を第2動作パラメータとすると、
前記第2動作パラメータの少なくとも一部は、前記第1動作パラメータの少なくとも一部と異なる
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合の、前記第2導電層及び前記第3導電層に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間の少なくとも一方は、前記第1メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合の、前記第1導電層に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間の少なくとも一方よりも小さい
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合の、前記第1ビット線に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間の少なくとも一方は、前記第1メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合の、前記第1ビット線に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間の少なくとも一方よりも大きい
請求項1又は2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合のセンス開始までの安定待ち時間は、前記第1メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合の、センス開始までの安定待ち時間よりも大きい
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合のセンス時間は、前記第1メモリセルに対して前記所定の動作を実行する場合のセンス時間よりも小さい
請求項1~4のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向において前記基板から離間し、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第1導電層と、
前記第1方向において前記基板及び前記第1導電層から離間し、前記第2方向に延伸する第2導電層と、
前記第1方向において前記基板及び前記第1導電層から離間し、前記第2方向に延伸し、前記第2方向において前記第2導電層と並び、前記第2導電層と電気的に接続された第3導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1導電層及び前記第2導電層と対向する第1半導体層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1導電層及び前記第3導電層と対向する第2半導体層と、
前記第1導電層、前記第2導電層及び前記第3導電層に電気的に接続された第1配線と、
前記第1配線に電気的に接続された動作電圧出力回路と、
前記第1配線と、前記動作電圧出力回路と、の間の電流経路に設けられた可変抵抗回路と
を備える半導体記憶装置。
【請求項7】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向において前記基板から離間し、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する第1導電層と、
前記第1方向において前記基板及び前記第1導電層から離間し、前記第2方向に延伸する第2導電層と、
前記第1方向において前記基板及び前記第1導電層から離間し、前記第2方向に延伸し、前記第2方向において前記第2導電層と並び、前記第2導電層と電気的に接続された第3導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1導電層及び前記第2導電層と対向する第1半導体層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1導電層及び前記第3導電層と対向する第2半導体層と、
前記基板と前記第1導電層との間に設けられ、前記第1半導体層の一端、及び、前記第2半導体層の一端に接続された第4導電層と、
前記基板と前記第4導電層との間に設けられ、前記第2導電層及び前記第3導電層に電気的に接続された第1配線と、
前記第1方向に延伸し、前記第1方向の一端が前記第4導電層よりも前記基板に近く、前記第1方向の他端が前記第2導電層よりも前記基板から遠く、前記第2導電層及び前記第1配線の電流経路に設けられた第1コンタクトと、
前記第1方向に延伸し、前記第1方向の一端が前記第4導電層よりも前記基板に近く、前記第1方向の他端が前記第3導電層よりも前記基板から遠く、前記第3導電層及び前記第1配線の電流経路に設けられた第2コンタクトと
を備える半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1配線は、複数の第1部分を備え、
前記第1方向及び前記第2方向と交差する所定の方向を第3方向とすると、
前記複数の第1部分は、前記第2方向に延伸し前記第3方向に並び、又は、前記第3方向に延伸し前記第2方向に並ぶ
請求項7記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板と、この基板の表面と交差する方向に積層された複数の導電層と、これら複数の導電層に対向する半導体層と、導電層及び半導体層の間に設けられたゲート絶縁層と、を備える半導体記憶装置が知られている。ゲート絶縁層は、例えば、窒化シリコン(Si3N4)等の絶縁性の電荷蓄積層やフローティングゲート等の導電性の電荷蓄積層等の、データを記憶可能なメモリ部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向において基板から離間し、第1方向と交差する第2方向に延伸する第1導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し、第2方向に延伸する第2導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し、第2方向に延伸し、第2方向において第2導電層と並び、第2導電層と電気的に接続された第3導電層と、第1方向に延伸し、第1導電層及び第2導電層と対向する第1半導体層と、第1導電層及び第1半導体層の間に設けられた第1電荷蓄積部と、第2導電層及び第1半導体層の間に設けられた第2電荷蓄積部と、第1方向に延伸し、第1導電層及び第3導電層と対向する第2半導体層と、第1導電層及び第2半導体層の間に設けられた第3電荷蓄積部と、第3導電層及び第2半導体層の間に設けられた第4電荷蓄積部と、第1半導体層に電気的に接続された第1ビット線と、第2半導体層に電気的に接続された第2ビット線と、を備える。例えば、第1電荷蓄積部を含む第1メモリセルに対して所定の動作を実行する場合の、第1導電層に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、第1ビット線に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、センス開始までの安定待ち時間、並びに、センス時間を第1動作パラメータとする。また、第2電荷蓄積部を含む第2メモリセルに対して所定の動作を実行する場合の、第2導電層及び第3導電層に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、第1ビット線に供給される一又は複数の電圧の大きさ及び供給時間、センス開始までの安定待ち時間、並びに、センス時間を第2動作パラメータとする。この様な場合、第2動作パラメータの少なくとも一部は、第1動作パラメータの少なくとも一部と異なる。
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向において基板から離間し、第1方向と交差する第2方向に延伸する第1導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し、第2方向に延伸する第2導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し、第2方向に延伸し、第2方向において第2導電層と並び、第2導電層と電気的に接続された第3導電層と、第1方向に延伸し、第1導電層及び第2導電層と対向する第1半導体層と、第1方向に延伸し、第1導電層及び第3導電層と対向する第2半導体層と、第1導電層、第2導電層及び第3導電層に電気的に接続された第1配線と、第1配線に電気的に接続された動作電圧出力回路と、第1配線と、動作電圧出力回路と、の間の電流経路に設けられた可変抵抗回路と、を備える。
【0007】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向において基板から離間し、第1方向と交差する第2方向に延伸する第1導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し、第2方向に延伸する第2導電層と、第1方向において基板及び第1導電層から離間し、第2方向に延伸し、第2方向において第2導電層と並び、第2導電層と電気的に接続された第3導電層と、第1方向に延伸し、第1導電層及び第2導電層と対向する第1半導体層と、第1方向に延伸し、第1導電層及び第3導電層と対向する第2半導体層と、基板と第1導電層との間に設けられ、第1半導体層の一端、及び、第2半導体層の一端に接続された第4導電層と、基板と第4導電層との間に設けられ、第2導電層及び第3導電層に電気的に接続された第1配線と、第1方向に延伸し、第1方向の一端が第4導電層よりも基板に近く、第1方向の他端が第2導電層よりも基板から遠く、第2導電層及び第1配線の電流経路に設けられた第1コンタクトと、第1方向に延伸し、第1方向の一端が第4導電層よりも基板に近く、第1方向の他端が第3導電層よりも基板から遠く、第3導電層及び第1配線の電流経路に設けられた第2コンタクトと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
【
図3】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図4】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図5】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図6】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図7】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図8】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図9】メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図13】
図12に示す構造の一部を省略して示す模式的な平面図である。
【
図14】
図12に示す構造の一部を省略して示す模式的な平面図である。
【
図15】
図12に示す構造の一部を省略して示す模式的な平面図である。
【
図16】
図12に示す構造の一部を省略して示す模式的な平面図である。
【
図21】
図20に示す構造をE-E´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【
図22】メモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的な図である。
【
図23】読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図24】読出動作について説明するためのタイミングチャートである。
【
図25】第2実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明するためのタイミングチャートである。
【
図26】第3実施形態に係る半導体記憶装置の書込動作について説明するためのフローチャートである。
【
図27】書込動作に含まれるプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図28】書込動作に含まれるベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図29】書込動作について説明するためのタイミングチャートである。
【
図30】書込動作について説明するためのタイミングチャートである。
【
図31】第4実施形態に係る半導体記憶装置の書込動作について説明するためのタイミングチャートである。
【
図32】第5実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【
図33】可変抵抗回路VR1の構成を示す模式的な回路図である。
【
図34】第6実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
【
図35】
図34の一部の構成を省略して示す模式的な平面図である。
【
図36】第6実施形態に係る半導体記憶装置の変形例について説明するための模式的な平面図である。
【
図37】第6実施形態に係る半導体記憶装置の変形例について説明するための模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0010】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0011】
また、本明細書において「制御回路」と言った場合には、メモリダイに設けられたシーケンサ等の周辺回路を意味する事もあるし、メモリダイに接続されたコントローラダイ又はコントローラチップ等を意味する事もあるし、これらの双方を含む構成を意味する事もある。
【0012】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0013】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0014】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0015】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0016】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0017】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0018】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0019】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読出し、書込み、消去等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリチップ、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、複数のメモリダイMDと、コントローラダイCDと、を備える。
【0020】
メモリダイMDは、ユーザデータを記憶する。メモリダイMDは、複数のメモリブロックBLKを備える。メモリブロックBLKは、複数のページPGを備える。メモリブロックBLKは、消去動作の実行単位であっても良い。ページPGは、読出動作及び書込動作の実行単位であっても良い。
【0021】
コントローラダイCDは、
図1に示す様に、複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続される。コントローラダイCDは、例えば、論物変換テーブル21、FAT(File AllocationTable)22、消去回数保持部23、ECC回路24、及び、MPU(Micro Processor Unit)25を備える。
【0022】
論物変換テーブル21は、ホストコンピュータ20から受信した論理アドレスと、メモリダイMD中のページPGに割り当てられた物理アドレスと、を対応付けて保持する。論物変換テーブル21は、例えば、図示しないRAM(Random AccessMemory)等によって実現される。
【0023】
FAT22は、各ページPGの状態を示すFAT情報を保持する。この様なFAT情報としては、例えば、「有効」、「無効」、「消去済」を示す情報がある。例えば、「有効」であるページPGは、ホストコンピュータ20からの命令に応じて読出される有効なデータを記憶している。また、「無効」であるページPGは、ホストコンピュータ20からの命令に応じて読出されない無効なデータを記憶している。また、「消去済」であるページPGには、消去処理が実行されてからデータが記憶されていない。FAT22は、例えば、図示しないRAM等によって実現される。
【0024】
消去回数保持部23は、メモリブロックBLKに対応する物理アドレスと、メモリブロックBLKに対して実行された消去動作の回数と、を対応付けて保持する。消去回数保持部23は、例えば、図示しないRAM等によって実現される。
【0025】
ECC回路24は、メモリダイMDから読み出されたデータの誤りを検出し、可能な場合にはデータの訂正を行う。
【0026】
MPU25は、論物変換テーブル21、FAT22、消去回数保持部23及びECC回路24を参照して、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ガベージコレクション(コンパクション)、ウェアレベリング等の処理を行う。
【0027】
[メモリダイMDの回路構成]
図2は、第1実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
図3~
図9は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【0028】
尚、
図2には、複数の制御端子等を図示している。これら複数の制御端子は、ハイアクティブ信号(正論理信号)に対応する制御端子として表される場合がある。また、複数の制御端子は、ローアクティブ信号(負論理信号)に対応する制御端子として表される場合がある。また、複数の制御端子は、ハイアクティブ信号及びローアクティブ信号の双方に対応する制御端子として表される場合がある。
図2において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、オーバーライン(上線)を含む。本明細書において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、スラッシュ(“/”)を含む。尚、
図2の記載は例示であり、具体的な態様は適宜調整可能である。例えば、一部又は全部のハイアクティブ信号をローアクティブ信号としたり、一部又は全部のローアクティブ信号をハイアクティブ信号としたりすることも可能である。
【0029】
図2に示す様に、メモリダイMDは、メモリセルアレイMCAと、周辺回路PCと、を備える。周辺回路PCは、電圧生成回路VGと、ロウデコーダRDと、センスアンプモジュールSAMと、シーケンサSQCと、を備える。また、周辺回路PCは、キャッシュメモリCMと、アドレスレジスタADRと、コマンドレジスタCMRと、ステータスレジスタSTRと、を備える。また、周辺回路PCは、入出力制御回路I/Oと、論理回路CTRと、を備える。
【0030】
[メモリセルアレイMCAの回路構成]
メモリセルアレイMCAは、
図3に示す様に、上述した複数のメモリブロックBLKを備える。これら複数のメモリブロックBLKは、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0031】
メモリストリングMSは、ドレイン側選択トランジスタSTDと、複数のメモリセルMC(メモリトランジスタ)と、ソース側選択トランジスタSTSと、ソース側選択トランジスタSTSbと、を備える。ドレイン側選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC、ソース側選択トランジスタSTS、及び、ソース側選択トランジスタSTSbは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続される。以下、ドレイン側選択トランジスタSTD、ソース側選択トランジスタSTS、及び、ソース側選択トランジスタSTSbを、単に選択トランジスタ(STD、STS、STSb)と呼ぶ事がある。
【0032】
メモリセルMCは、電界効果型のトランジスタである。メモリセルMCは、半導体層、ゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える。半導体層は、チャネル領域として機能する。ゲート絶縁膜は、電荷蓄積膜を含む。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積膜中の電荷量に応じて変化する。メモリセルMCは、1ビット又は複数ビットのデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0033】
選択トランジスタ(STD、STS、STSb)は、電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS、STSb)は、半導体層、ゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える。半導体層はチャネル領域として機能する。選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)が接続される。1つのドレイン側選択ゲート線SGDは、1つのストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。1つのソース側選択ゲート線SGSは、1つのメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。1つのソース側選択ゲート線SGSbは、1つのメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0034】
[電圧生成回路VGの回路構成]
電圧生成回路VG(
図2)は、例えば
図4に示す様に、複数の電圧生成ユニットvg1~vg3を備える。電圧生成ユニットvg1~vg3は、読出動作、書込動作及び消去動作において、所定の大きさの電圧を生成し、電圧供給線L
VGを介して出力する。例えば、電圧生成ユニットvg1は、書込動作において、後述するプログラム電圧V
PGMを出力する。また、電圧生成ユニットvg2は、読出動作において、後述する読出パス電圧V
READを出力する。また、電圧生成ユニットvg2は、書込動作において、後述する書込パス電圧V
PASSを出力する。また、電圧生成ユニットvg3は、読出動作において、後述する読出電圧を出力する。また、電圧生成ユニットvg3は、書込動作において、後述するベリファイ電圧を出力する。電圧生成ユニットvg1~vg3は、例えば、チャージポンプ回路等の昇圧回路でも良いし、レギュレータ等の降圧回路でも良い。これら降圧回路及び昇圧回路は、それぞれ、電圧供給線L
Pに接続される。電圧供給線L
Pには、電源電圧V
CC又は接地電圧V
SS(
図2)が供給される。これらの電圧供給線L
Pは、例えば、パッド電極Pに接続される。電圧生成回路VGから出力される動作電圧は、シーケンサSQCからの制御信号に従って適宜調整される。
【0035】
電圧生成回路VG中のチャージポンプ回路32は、例えば
図5に示す様に、電圧出力回路32aと、分圧回路32bと、コンパレータ32cと、を備える。電圧出力回路32aは、電圧供給線L
VGに電圧V
OUTを出力する。分圧回路32bは、電圧供給線L
VGに接続される。コンパレータ32cは、分圧回路32bから出力される電圧V
OUT´と参照電圧V
REFとの大小関係に応じて、電圧出力回路32aにフィードバック信号FBを出力する。
【0036】
電圧出力回路32aは、
図6に示す様に、複数のトランジスタ32a2a,32a2bを備える。複数のトランジスタ32a2a,32a2bは、電圧供給線L
VG及び電圧供給線L
Pの間に交互に接続される。図示の電圧供給線L
Pには、電源電圧V
CCが供給される。直列に接続された複数のトランジスタ32a2a,32a2bのゲート電極は、それぞれのドレイン電極及びキャパシタ32a3に接続される。また、電圧出力回路32aは、AND回路32a4と、レベルシフタ32a5aと、レベルシフタ32a5bと、を備える。AND回路32a4は、クロック信号CLK及びフィードバック信号FBの論理和を出力する。レベルシフタ32a5aは、AND回路32a4の出力信号を昇圧して出力する。レベルシフタ32a5aの出力端子は、キャパシタ32a3を介してトランジスタ32a2aのゲート電極に接続される。レベルシフタ32a5bは、AND回路32a4の出力信号の反転信号を昇圧して出力する。レベルシフタ32a5bの出力端子は、キャパシタ32a3を介してトランジスタ32a2bのゲート電極に接続される。
【0037】
フィードバック信号FBが“H”状態である場合、AND回路32a4からは、クロック信号CLKが出力される。これに伴い、電圧供給線LVGから電圧供給線LPに電子が移送され、電圧供給線LVGの電圧が増大する。一方、フィードバック信号FBが“L”状態である場合、AND回路32a4からは、クロック信号CLKが出力されない。従って、電圧供給線LVGの電圧は増大しない。
【0038】
分圧回路32bは、
図5に示す様に、抵抗素子32b2と、可変抵抗素子32b4と、を備える。抵抗素子32b2は、電圧供給線L
VG及び分圧端子32b1の間に接続される。可変抵抗素子32b4は、分圧端子32b1及び電圧供給線L
Pの間に直列に接続される。この電圧供給線L
Pには、接地電圧V
SSが供給される。可変抵抗素子32b4の抵抗値は、動作電圧制御信号V
CTRLに応じて調整可能である。従って、分圧端子32b1の電圧V
OUT´の大きさは、動作電圧制御信号V
CTRLに応じて調整可能である。
【0039】
可変抵抗素子32b4は、
図7に示す様に、複数の電流経路32b5を備える。複数の電流経路32b5は、分圧端子32b1及び電圧供給線L
Pの間に並列に接続される。複数の電流経路32b5は、それぞれ、直列に接続された抵抗素子32b6及びトランジスタ32b7を備える。各電流経路32b5に設けられた抵抗素子32b6の抵抗値は、お互いに異なっても良い。トランジスタ32b7のゲート電極には、それぞれ、動作電圧制御信号V
CTRLの異なるビットが入力される。また、可変抵抗素子32b4は、トランジスタ32b7を含まない電流経路32b8を有しても良い。
【0040】
コンパレータ32cは、
図5に示す様に、フィードバック信号FBを出力する。フィードバック信号FBは、例えば、分圧端子32b1の電圧V
OUT´が参照電圧V
REFより大きい場合に“L”状態となる。また、フィードバック信号FBは、例えば、電圧V
OUT´が参照電圧V
REFより小さい場合に“H”状態となる。
【0041】
[ロウデコーダRDの回路構成]
ロウデコーダRDは、例えば
図4に示す様に、ブロックデコーダBLKDと、ワード線デコーダWLDと、ドライバ回路DRVと、図示しないアドレスデコーダと、を備える。
【0042】
ブロックデコーダBLKDは、複数のブロックデコードユニットblkdを備える。複数のブロックデコードユニットblkdは、メモリセルアレイMCA中の複数のメモリブロックBLKに対応する。ブロックデコードユニットblkdは、複数のトランジスタTBLKを備える。複数のトランジスタTBLKは、メモリブロックBLK中の複数のワード線WLに対応する。トランジスタTBLKは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTBLKのドレイン電極は、ワード線WLに接続される。トランジスタTBLKのソース電極は、配線CGに接続される。配線CGは、ブロックデコーダBLKD中の全てのブロックデコードユニットblkdに接続される。トランジスタTBLKのゲート電極は、信号線BLKSELに接続される。信号線BLKSELは、全てのブロックデコードユニットblkdに対応して複数設けられる。また、信号線BLKSELは、ブロックデコードユニットblkd中の全てのトランジスタTBLKに接続される。
【0043】
読出動作、書込動作等においては、例えば、アドレスレジスタADR(
図2)中のブロックアドレスに対応する一つの信号線BLKSELが“H”状態となり、その他の信号線BLKSELが“L”状態となる。例えば、一つの信号線BLKSELに正の大きさを有する所定の駆動電圧が供給され、その他の信号線BLKSELに接地電圧V
SS等が供給される。これにより、このブロックアドレスに対応する一つのメモリブロックBLK中の全てのワード線WLが全ての配線CGと導通する。また、その他のメモリブロックBLK中の全てのワード線WLがフローティング状態となる。
【0044】
ワード線デコーダWLDは、複数のワード線デコードユニットwldを備える。複数のワード線デコードユニットwldは、メモリストリングMS中の複数のメモリセルMCに対応する。図示の例において、ワード線デコードユニットwldは、2つのトランジスタTWLS,TWLUを備える。トランジスタTWLS,TWLUは、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTWLS,TWLUのドレイン電極は、配線CGに接続される。トランジスタTWLSのソース電極は、配線CGSに接続される。トランジスタTWLUのソース電極は、配線CGUに接続される。トランジスタTWLSのゲート電極は、信号線WLSELSに接続される。トランジスタTWLUのゲート電極は、信号線WLSELUに接続される。信号線WLSELSは、全てのワード線デコードユニットwldに含まれる一方のトランジスタTWLSに対応して複数設けられる。信号線WLSELUは、全てのワード線デコードユニットwldに含まれる他方のトランジスタTWLUに対応して複数設けられる。
【0045】
読出動作、書込動作等においては、例えば、アドレスレジスタADR(
図2)中のページアドレスに対応する一つのワード線デコードユニットwldに対応する信号線WLSEL
Sが“H”状態となり、これに対応するWLSEL
Uが“L”状態となる。また、それ以外のワード線デコードユニットwldに対応する信号線WLSEL
Sが“L”状態となり、これに対応するWLSEL
Uが“H”状態となる。また、配線CG
Sには、選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。また、配線CG
Uには、非選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。これにより、上記ページアドレスに対応する一つのワード線WLに、選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。また、その他のワード線WLに、非選択ワード線WLに対応する電圧が供給される。
【0046】
ドライバ回路DRVは、例えば、6つのトランジスタTDRV1~TDRV6を備える。トランジスタTDRV1~TDRV6は、例えば、電界効果型のNMOSトランジスタである。トランジスタTDRV1~TDRV4のドレイン電極は、配線CGSに接続される。トランジスタTDRV5,TDRV6のドレイン電極は、配線CGUに接続される。トランジスタTDRV1のソース電極は、電圧供給線LVG1を介して、電圧生成ユニットvg1の出力端子に接続される。トランジスタTDRV2,TDRV5のソース電極は、電圧供給線LVG2を介して、電圧生成ユニットvg2の出力端子に接続される。トランジスタTDRV3のソース電極は、電圧供給線LVG3を介して、電圧生成ユニットvg3の出力端子に接続される。トランジスタTDRV4,TDRV6のソース電極は、電圧供給線LPを介して、パッド電極Pに接続される。トランジスタTDRV1~TDRV6のゲート電極には、それぞれ、信号線VSEL1~VSEL6が接続される。
【0047】
読出動作、書込動作等においては、例えば、配線CGSに対応する複数の信号線VSEL1~VSEL4のうちの一つが“H”状態となり、その他が“L”状態となる。また、配線CGUに対応する2つの信号線VSEL5,VSEL6の一方が“H”状態となり、他方が“L”状態となる。
【0048】
図示しないアドレスデコーダは、例えば、シーケンサSQC(
図2)からの制御信号に従って順次アドレスレジスタADR(
図2)のロウアドレスRAを参照する。ロウアドレスRAは、上述したブロックアドレス及びページアドレスを含む。アドレスデコーダは、上記信号線BLKSEL,WLSEL
S,WLSEL
Uの電圧を“H”状態又は“L”状態に制御する。
【0049】
尚、
図4の例において、ロウデコーダRDには、1つのメモリブロックBLKについて1つずつブロックデコードユニットblkdが設けられる。しかしながら、この構成は適宜変更可能である。例えば、2以上のメモリブロックBLKについて1つずつブロックデコードユニットblkdが設けられても良い。
【0050】
[センスアンプモジュールSAMの回路構成]
センスアンプモジュールSAM(
図2)は、例えば
図8に示す様に、複数のセンスアンプユニットSAUを備える。複数のセンスアンプユニットSAUは、複数のビット線BLに対応する。センスアンプユニットSAUは、それぞれ、センスアンプSAと、配線LBUSと、ラッチ回路SDL,DL0~DLn
L(n
Lは自然数)と、を備える。配線LBUSには、プリチャージ用の充電トランジスタ55(
図9)が接続される。配線LBUSは、スイッチトランジスタDSWを介して配線DBUSに接続される。
【0051】
センスアンプSAは、
図9に示す様に、センストランジスタ41を備える。センストランジスタ41は、ビット線BLに流れる電流に応じて配線LBUSの電荷を放電する。センストランジスタ41のソース電極は接地電圧V
SSが供給される電圧供給線に接続される。ドレイン電極は、スイッチトランジスタ42を介して配線LBUSに接続される。ゲート電極は、センスノードSEN、放電トランジスタ43、ノードCOM、クランプトランジスタ44及び耐圧トランジスタ45を介してビット線BLに接続される。尚、センスノードSENは、キャパシタ48を介して内部制御信号線CLKSAに接続される。
【0052】
また、センスアンプSAは、電圧転送回路を備える。電圧転送回路は、ラッチ回路SDLにラッチされたデータに応じて、ノードCOM及びセンスノードSENを、電圧VDDが供給される電圧供給線又は電圧VSRCが供給される電圧供給線と選択的に導通させる。電圧転送回路は、ノードN1と、充電トランジスタ46と、充電トランジスタ49と、充電トランジスタ47と、放電トランジスタ50と、を備える。充電トランジスタ46は、ノードN1及びセンスノードSENの間に接続される。充電トランジスタ49は、ノードN1及びノードCOMの間に接続される。充電トランジスタ47は、ノードN1及び電圧VDDが供給される電圧供給線の間に接続される。放電トランジスタ50は、ノードN1及び電圧VSRCが供給される電圧供給線の間に接続される。尚、充電トランジスタ47及び放電トランジスタ50のゲート電極は、ラッチ回路SDLのノードINV_Sに共通に接続される。
【0053】
尚、センストランジスタ41、スイッチトランジスタ42、放電トランジスタ43、クランプトランジスタ44、充電トランジスタ46、充電トランジスタ49及び放電トランジスタ50は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。耐圧トランジスタ45は、例えば、デプレッション型のNMOSトランジスタである。充電トランジスタ47は、例えば、PMOSトランジスタである。
【0054】
また、スイッチトランジスタ42のゲート電極は、信号線STBに接続される。放電トランジスタ43のゲート電極は、信号線XXLに接続される。クランプトランジスタ44のゲート電極は、信号線BLCに接続される。耐圧トランジスタ45のゲート電極は、信号線BLSに接続される。充電トランジスタ46のゲート電極は、信号線HLLに接続される。充電トランジスタ49のゲート電極は、信号線BLXに接続される。これらの信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXは、シーケンサSQCに接続される。
【0055】
ラッチ回路SDLは、ノードLAT_S,INV_Sと、インバータ51と、インバータ52と、スイッチトランジスタ53と、スイッチトランジスタ54と、を備える。インバータ51は、ノードLAT_Sに接続された出力端子及びノードINV_Sに接続された入力端子を備える。インバータ52は、ノードLAT_Sに接続された入力端子及びノードINV_Sに接続された出力端子を備える。スイッチトランジスタ53は、ノードLAT_S及び配線LBUSの間の電流経路に設けられる。スイッチトランジスタ54は、ノードINV_S及び配線LBUSの間の電流経路に設けられる。スイッチトランジスタ53,54は、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタ53のゲート電極は、信号線STLを介してシーケンサSQCに接続される。スイッチトランジスタ54のゲート電極は、信号線STIを介してシーケンサSQCに接続される。
【0056】
ラッチ回路DL0~DLnLは、ラッチ回路SDLとほぼ同様に構成される。ただし、上述の通り、ラッチ回路SDLのノードINV_SはセンスアンプSA中の充電トランジスタ47及び放電トランジスタ50のゲート電極と導通している。ラッチ回路DL0~DLnLは、この点においてラッチ回路SDLと異なる。
【0057】
スイッチトランジスタDSWは、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタDSWは、配線LBUS及び配線DBUSの間に接続される。スイッチトランジスタDSWのゲート電極は、信号線DBSを介してシーケンサSQCに接続される。
【0058】
尚、
図8に例示する様に、上述の信号線STB,HLL,XXL,BLX,BLC,BLSは、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続される。また、上述の電圧V
DDが供給される電圧供給線及び電圧V
SRCが供給される電圧供給線は、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続される。また、ラッチ回路SDLの信号線STI及び信号線STLは、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続される。同様に、ラッチ回路DL0~DLn
L中の信号線STI及び信号線STLに対応する信号線TI0~TIn
L,TL0~TLn
Lは、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続される。一方、上述の信号線DBSは、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUに対応して複数設けられる。
【0059】
[キャッシュメモリCMの回路構成]
キャッシュメモリCM(
図2)は、複数のラッチ回路を備える。複数のラッチ回路は、配線DBUSを介してセンスアンプモジュールSAM内のラッチ回路に接続される。これら複数のラッチ回路に含まれるデータDATは、順次センスアンプモジュールSAM又は入出力制御回路I/Oに転送される。
【0060】
また、キャッシュメモリCMには、図示しないデコード回路及びスイッチ回路が接続される。デコード回路は、アドレスレジスタADRに保持されたカラムアドレスCAをデコードする。スイッチ回路は、デコード回路の出力信号に応じて、カラムアドレスCAに対応するラッチ回路をバスDB(
図2)と導通させる。
【0061】
[シーケンサSQCの回路構成]
シーケンサSQC(
図2)は、コマンドレジスタCMRに保持されたコマンドデータD
CMDに従い、ロウデコーダRD、センスアンプモジュールSAM、及び、電圧生成回路VGに内部制御信号を出力する。また、シーケンサSQCは、適宜自身の状態を示すステータスデータD
STをステータスレジスタSTRに出力する。
【0062】
また、シーケンサSQCは、レディ/ビジー信号を生成し、端子RY//BYに出力する。端子RY//BYが“L”状態の期間(ビジー期間)では、メモリダイMDへのアクセスが基本的には禁止される。また、端子RY//BYが“H”状態の期間(レディ期間)においては、メモリダイMDへのアクセスが許可される。
【0063】
[入出力制御回路I/Oの回路構成]
入出力制御回路I/Oは、データ信号入出力端子DQ0~DQ7と、トグル信号入出力端子DQS,/DQSと、複数の入力回路と、複数の出力回路と、シフトレジスタと、バッファ回路と、を備える。複数の入力回路、複数の出力回路、シフトレジスタ及びバッファ回路は、それぞれ、電源電圧VCCQ及び接地電圧VSSが供給される端子に接続される。
【0064】
データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、バッファ回路から、キャッシュメモリCM、アドレスレジスタADR又はコマンドレジスタCMRに出力される。また、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して出力されるデータは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、キャッシュメモリCM又はステータスレジスタSTRからバッファ回路に入力される。
【0065】
複数の入力回路は、例えば、データ信号入出力端子DQ0~DQ7のいずれか、又は、トグル信号入出力端子DQS,/DQSの双方に接続されたコンパレータを含む。複数の出力回路は、例えば、データ信号入出力端子DQ0~DQ7のいずれか、又は、トグル信号入出力端子DQS,/DQSのいずれかに接続されたOCD(Off Chip Driver)回路を含む。
【0066】
[論理回路CTRの回路構成]
論理回路CTR(
図2)は、外部制御端子/CEn,CLE,ALE,/WE,RE,/REを介してコントローラダイCDから外部制御信号を受信し、これに応じて入出力制御回路I/Oに内部制御信号を出力する。
【0067】
[メモリダイMDの構造]
図10は、メモリダイMDの模式的な平面図である。
図11は、メモリダイMDの模式的な断面図である。尚、
図11はメモリダイMDの模式的な構成について説明するための図であり、具体的な構成の数、形状、配置等を示すものでは無い。
図12は、
図10のAで示した部分の模式的な拡大図である。ただし、
図12では、
図10の一部の構成(後述する第1フックアップ領域R
HU1)が省略されている。
図13~
図16は、
図12に示す構造の一部を省略して示す模式的な平面図である。
図17は、
図10のBで示した部分の模式的な拡大図である。
図18は、
図17のCで示した部分の模式的な拡大図である。
図19は、
図11のDで示した部分の模式的な拡大図である。
図20は、
図12の模式的な拡大図である。
図21は、
図20に示す構造をE-E´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【0068】
尚、
図13~
図16は、
図12に記載された複数の導電層110のうち、所定の高さ位置に設けられたもの(導電層200、導電層210、導電層220又は導電層230)を図示している。また、
図13~
図16では、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKのうち、Y方向負側から数えて2番目及び4番目のメモリブロックBLKに含まれる構成が省略されている。
【0069】
メモリダイMDは、例えば
図10に示す様に、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向及びY方向に並ぶ4つのメモリセルアレイ領域R
MCAが設けられる。また、メモリセルアレイ領域R
MCAは、X方向に並ぶ2つのメモリホール領域R
MHと、これらの間においてX方向に並ぶ2つの第1フックアップ領域R
HU1と、これらの間に設けられた第2フックアップ領域R
HU2と、を備える。
【0070】
メモリダイMDは、例えば
図11に示す様に、半導体基板100と、半導体基板100上に設けられたトランジスタ層L
TRと、トランジスタ層L
TRの上方に設けられた配線層D0と、配線層D0の上方に設けられた配線層D1と、配線層D1の上方に設けられた配線層D2と、配線層D2の上方に設けられたメモリセルアレイ層L
MCA1と、メモリセルアレイ層L
MCA1の上方に設けられたメモリセルアレイ層L
MCA2と、メモリセルアレイ層L
MCA2の上方に設けられた配線層M0と、配線層M0の上方に設けられた図示しない配線層と、を備える。
【0071】
[半導体基板100の構造]
半導体基板100は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。半導体基板100の表面には、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェル領域と、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェル領域と、N型ウェル領域及びP型ウェル領域が設けられていない半導体基板領域と、絶縁領域100Iと、が設けられている。
【0072】
[トランジスタ層L
TRの構造]
例えば
図11に示す様に、半導体基板100の上面には、図示しない絶縁層を介して、配線層GCが設けられている。配線層GCは、半導体基板100の表面と対向する複数の電極gcを含む。また、半導体基板100の各領域及び配線層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、コンタクトCSに接続されている。
【0073】
半導体基板100のN型ウェル領域、P型ウェル領域及び半導体基板領域は、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrのチャネル領域、及び、複数のキャパシタの一方の電極等として機能する。
【0074】
配線層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrのゲート電極、及び、複数のキャパシタの他方の電極等として機能する。
【0075】
コンタクトCSは、Z方向に延伸し、下端において半導体基板100又は電極gcの上面に接続されている。コンタクトCSと半導体基板100との接続部分には、N型の不純物又はP型の不純物を含む不純物領域が設けられている。コンタクトCSは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0076】
[配線層D0,D1,D2の構造]
例えば
図11に示す様に、配線層D0,D1,D2に含まれる複数の配線は、メモリセルアレイMCA中の構成及び周辺回路PC中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0077】
配線層D0,D1,D2は、それぞれ、複数の配線d0,d1,d2を含む。これら複数の配線d0,d1,d2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0078】
[メモリセルアレイ層L
MCA1,L
MCA2のメモリホール領域R
MHにおける構造]
例えば
図12に示す様に、メモリセルアレイ層L
MCA1,L
MCA2には、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。メモリブロックBLKは、例えば
図17に示す様に、Y方向に並ぶ複数のストリングユニットSUを備える。Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、酸化シリコン(SiO
2)等のブロック間絶縁層STが設けられる。Y方向において隣り合う2つのストリングユニットSUの間には、例えば
図18に示す様に、酸化シリコン(SiO
2)等のストリングユニット間絶縁層SHEが設けられる。
【0079】
メモリブロックBLKは、例えば
図11に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体層120と、を備える。また、メモリブロックBLKは、例えば
図19に示す様に、複数の導電層110及び複数の半導体層120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0080】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層101(
図19)が設けられている。
【0081】
導電層110の下方には、例えば
図11に示す様に、導電層111が設けられている。導電層111は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、導電層111及び導電層110の間には、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層が設けられている。
【0082】
導電層111の下方には、導電層112が設けられている。導電層112は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、導電層112は、例えば、タングステン(W)等の金属、タングステンシリサイド等の導電層又はその他の導電層を含んでいても良い。また、導電層112及び導電層111の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層が設けられている。
【0083】
導電層112は、ソース線SL(
図3)として機能する。導電層112は、メモリセルアレイ層L
MCA1に設けられる。導電層112は、例えば、メモリセルアレイ領域R
MCA(
図10)に含まれる全てのメモリブロックBLKについて共通に設けられている。
【0084】
導電層111は、ソース側選択ゲート線SGSb(
図3)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTSbのゲート電極として機能する。導電層111は、メモリセルアレイ層L
MCA1に設けられ、X方向において並ぶ2つのメモリホール領域R
MH、これらの間に設けられた2つの第1フックアップ領域R
HU1、及び、これらの間に設けられた第2フックアップ領域R
HU2にわたってX方向に延伸する。導電層111は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0085】
また、複数の導電層110のうち、最下層に位置する一又は複数の導電層110は、ソース側選択ゲート線SGS(
図3)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTSのゲート電極として機能する。これらの導電層110は、メモリセルアレイ層L
MCA1に設けられ、X方向において並ぶ2つのメモリホール領域R
MH、これらの間に設けられた2つの第1フックアップ領域R
HU1、及び、これらの間に設けられた第2フックアップ領域R
HU2にわたってX方向に延伸する。これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。
【0086】
また、これよりも上方に位置する複数の導電層110は、ワード線WL(
図3)の一部及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図3)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、例えば
図13に例示する様に、メモリセルアレイ層L
MCA1に設けられ、X方向において並ぶ2つのメモリホール領域R
MH、これらの間に設けられた2つの第1フックアップ領域R
HU1(
図13では省略。
図10参照)、及び、これらの間に設けられた第2フックアップ領域R
HU2にわたってX方向に延伸する。これら複数の導電層110は、2つのメモリホール領域R
MHに設けられた2つの部分201と、これら2つの部分201の双方に接続された部分202と、を備える。2つの部分201は、部分202を介して電気的に接続されている。また、これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。尚、以下の説明では、この様な導電層110を、導電層200と呼ぶ場合がある。
【0087】
また、これよりも上方には、X方向に並ぶ一対の導電層110の組が、Z方向に積層されている。これら複数の導電層110の組は、ワード線WL(
図3)の一部及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図3)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110の組は、メモリセルアレイ層L
MCA1に設けられる。これら2つの導電層110は、例えば
図14に例示する様に、それぞれ、一方又は他方のメモリホール領域R
MH、一方又は他方の第1フックアップ領域R
HU1(
図14では省略。
図10参照)、及び、第2フックアップ領域R
HU2の一部にわたってX方向に延伸する。これら2つの導電層110は、コンタクトCC及び配線を介して電気的に接続されている。また、これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。尚、以下の説明では、この様な導電層110を、導電層210と呼ぶ場合がある。
【0088】
また、これよりも上方に位置する複数の導電層110は、ワード線WL(
図3)の一部及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図3)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、例えば
図15に例示する様に、メモリセルアレイ層L
MCA2に設けられ、X方向において並ぶ2つのメモリホール領域R
MH、これらの間に設けられた2つの第1フックアップ領域R
HU1(
図15では省略。
図10参照)、及び、これらの間に設けられた第2フックアップ領域R
HU2にわたってX方向に延伸する。これら複数の導電層110は、2つのメモリホール領域R
MHに設けられた2つの部分221と、これら2つの部分221の双方に接続された部分222と、を備える。2つの部分221は、部分222を介して電気的に接続されている。また、これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。尚、以下の説明では、この様な導電層110を、導電層220と呼ぶ場合がある。
【0089】
また、これよりも上方には、X方向に並ぶ一対の導電層110の組が、Z方向に積層されている。これら複数の導電層110の組は、ワード線WL(
図3)の一部及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図3)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110の組は、メモリセルアレイ層L
MCA2に設けられる。これら2つの導電層110は、例えば
図16に例示する様に、それぞれ、一方又は他方のメモリホール領域R
MH、一方又は他方の第1フックアップ領域R
HU1(
図16では省略。
図10参照)、及び、第2フックアップ領域R
HU2の一部にわたってX方向に延伸する。これら2つの導電層110は、コンタクトCC及び配線を介して電気的に接続されている。また、これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK毎に電気的に独立している。尚、以下の説明では、この様な導電層110を、導電層230と呼ぶ場合がある。
【0090】
また、これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110は、メモリセルアレイ層L
MCA2に設けられ、ドレイン側選択ゲート線SGD及びこれに接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTD(
図3)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、例えば
図17に例示する様に、その他の導電層110よりもY方向の幅が小さい。また、Y方向において隣り合う2つの導電層110の間には、例えば
図18に例示する様に、ストリングユニット間絶縁層SHEが設けられている。これら複数の導電層110は、それぞれ、ストリングユニットSU毎に電気的に独立している。
【0091】
半導体層120は、例えば
図18に示す様に、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体層120は、1つのメモリストリングMS(
図3)に含まれる複数のメモリセルMC及び選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のチャネル領域として機能する。半導体層120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体層である。半導体層120は、例えば、略円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125(
図19)が設けられている。
【0092】
半導体層120は、例えば
図11に示す様に、メモリセルアレイ層L
MCA1に含まれる半導体領域120
Lと、メモリセルアレイ層L
MCA2に含まれる半導体領域120
Uと、を備える。半導体層120の下端は、導電層112に接続されている。半導体層120の上端は、コンタクトCh,Vyを介して、ビット線BLに接続されている。
【0093】
半導体領域120Lは、Z方向に延伸する略円筒状の領域である。半導体領域120Lの外周面は、それぞれメモリセルアレイ層LMCA1に含まれる複数の導電層110及び導電層111によって囲まれており、これら複数の導電層110及び導電層111と対向している。尚、半導体領域120Lの下端部(例えば、メモリセルアレイ層LMCA1に含まれる複数の導電層110及び導電層111よりも下方に位置する部分)の直径は、半導体領域120Lの上端部(例えば、メモリセルアレイ層LMCA1に含まれる複数の導電層110よりも上方に位置する部分)の直径よりも小さい。
【0094】
半導体領域120Uは、Z方向に延伸する略円筒状の領域である。半導体領域120Uの外周面は、それぞれメモリセルアレイ層LMCA2に含まれる複数の導電層110によって囲まれており、これら複数の導電層110と対向している。尚、半導体領域120Uの下端部(例えば、メモリセルアレイ層LMCA2に含まれる複数の導電層110よりも下方に位置する部分)の直径は、半導体領域120Uの上端部(例えば、メモリセルアレイ層LMCA2に含まれる複数の導電層110よりも上方に位置する部分)の直径及び上記半導体領域120Lの上端部の直径よりも小さい。
【0095】
ゲート絶縁膜130(
図19)は、半導体層120の外周面を覆う略円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、半導体層120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁膜である。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(Si
3N
4)等の電荷を蓄積可能な膜である。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、半導体層120と導電層112との接触部を除く半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0096】
尚、
図19には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示した。しかしながら、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0097】
[メモリセルアレイ層L
MCA1,L
MCA2の第1フックアップ領域R
HU1における構造]
図17に示す様に、第1フックアップ領域R
HU1には、それぞれ、メモリブロックBLKに対応して設けられたコンタクト接続小領域r
CC1が設けられている。また、一部のメモリブロックBLKに対応する領域には、コンタクト接続領域R
C4Tが設けられている。
【0098】
コンタクト接続小領域rCC1には、ドレイン側選択ゲート線SGDとして機能する複数の導電層110のX方向における端部が設けられている。また、コンタクト接続小領域rCC1には、Z方向から見てマトリクス状に並ぶ複数のコンタクトCCが設けられている。これら複数のコンタクトCCはZ方向に延伸し、下端において導電層110と接続されている。コンタクトCCは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0099】
X方向に並ぶ複数のコンタクトCCのうち、メモリホール領域RMHに最も近いものは、上方から数えて1番目の導電層110に接続されている。また、メモリホール領域RMHに2番目に近いものは、上方から数えて2番目の導電層110に接続されている。以下同様に、メモリホール領域RMHにa(aは自然数)番目に近いものは、上方から数えてa番目の導電層110に接続されている。これら複数のコンタクトCCは、配線層M0等の配線m0等、コンタクトC4、配線層D0,D1,D2中の配線d0,d1,d2及びコンタクトCSを介して、トランジスタTrのドレイン電極に接続されている。
【0100】
また、第1フックアップ領域RHU1には、コンタクトCCの近傍に設けられた支持構造HRが設けられている。支持構造HRは、例えば、Z方向に延伸し、下端において導電層112に接続されている。支持構造HRは、例えば酸化シリコン(SiO2)を含む。
【0101】
コンタクト接続領域RC4Tには、Y方向に並ぶ2つのブロック間絶縁層STの間においてY方向に並ぶ2つの絶縁層STOが設けられている。また、これら2つの絶縁層STOの間には、コンタクト接続小領域rC4Tが設けられている。また、ブロック間絶縁層STと絶縁層STOとの間には、導電層接続小領域r110が設けられている。これらの領域は、ブロック間絶縁層STに沿ってX方向に延伸する。
【0102】
絶縁層ST
Oは、Z方向に延伸し、下端において導電層112(
図11)に接続されている。絶縁層ST
Oは、例えば酸化シリコン(SiO
2)を含む。
【0103】
コンタクト接続小領域r
C4Tは、例えば
図11に示す様に、Z方向に並ぶ複数の絶縁層110Aと、Z方向に延伸する複数のコンタクトC4と、を備える。
【0104】
絶縁層110Aは、X方向に延伸する略板状の絶縁層である。絶縁層110Aは、窒化シリコン(SiN)等の絶縁層を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の絶縁層110Aの間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層が設けられている。
【0105】
コンタクトC4は、X方向に複数並んでいる。コンタクトC4は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。例えば
図11に示す様に、コンタクトC4の外周面は、それぞれ絶縁層110A及び絶縁層101によって囲まれており、これらの絶縁層110A及び絶縁層101に接続されている。コンタクトC4はZ方向に延伸し、上端において配線層M0中の配線m0と接続され、下端において配線層D2中の配線d2と接続されている。
【0106】
導電層接続小領域r
110は、例えば
図17に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110の幅狭部110
C4Tを備える。
【0107】
[メモリセルアレイ層L
MCA1,L
MCA2の第2フックアップ領域R
HU2における構造]
図12に示す様に、第2フックアップ領域R
HU2には、複数のメモリブロックBLKに対応して、複数のコンタクト接続小領域r
CC2と、複数の上記コンタクト接続領域R
C4Tと、が設けられている。
【0108】
コンタクト接続小領域r
CC2には、ワード線WL又はソース側選択ゲート線SGSとして機能する複数の導電層110の一部が設けられている。また、コンタクト接続小領域r
CC2には、Z方向から見てX方向に並ぶ複数のコンタクトCCが設けられている。
図21に示す様に、これら複数のコンタクトCCはそれぞれ導電層110に接続されている。また、
図20に示す様に、これら複数のコンタクトCCは、配線層M0等の配線m0等、コンタクトC4、配線層D0,D1,D2中の配線d0,d1,d2及びコンタクトCSを介して、トランジスタTrのドレイン電極に接続されている。
【0109】
尚、
図13に示す様に、導電層200の部分202は、コンタクト接続小領域r
CC2に設けられた幅狭部110
CC2を備える。また、この幅狭部110
CC2とY方向において隣り合う領域には、開口102
CC2が設けられている。幅狭部110
CC2は、コンタクト接続領域R
C4T中の幅狭部110
C4Tと共に、X方向において隣り合う2つの部分201を導通させる。また、導電層200には、1つのコンタクトCCのみが接続されている。開口102
CC2には、より下方に設けられた導電層110に接続されたコンタクトCCが設けられる。
【0110】
また、
図14に示す様に、X方向に並ぶ2つの導電層210の間には、
図13に例示した様な幅狭部110
CC2が設けられていない。また、これら2つの導電層210には、それぞれコンタクトCCが接続されている。また、これら2つの導電層210の間には、開口102
CC2が設けられている。開口102
CC2には、より下方に設けられた導電層110に接続されたコンタクトCCが設けられる。
【0111】
また、
図15に示す様に、導電層220の部分222は、コンタクト接続小領域r
CC2に設けられた幅狭部110
CC2を備える。また、この幅狭部110
CC2とY方向において隣り合う領域には、開口102
CC2が設けられている。幅狭部110
CC2は、コンタクト接続領域R
C4T中の幅狭部110
C4Tと共に、X方向において隣り合う2つの部分221を導通させる。また、導電層220には、1つのコンタクトCCのみが接続されている。開口102
CC2には、より下方に設けられた導電層110に接続されたコンタクトCCが設けられる。
【0112】
また、
図16に示す様に、X方向に並ぶ2つの導電層230の間には、
図15に例示した様な幅狭部110
CC2が設けられていない。また、これら2つの導電層230には、それぞれコンタクトCCが接続されている。また、これら2つの導電層230の間には、開口102
CC2が設けられている。開口102
CC2には、より下方に設けられた導電層110に接続されたコンタクトCCが設けられる。
【0113】
[配線層M0等の構造]
図11に示す様に、配線層M0に含まれる複数の配線は、例えば、メモリセルアレイ層L
MCA1,L
MCA2中の構成及びトランジスタ層L
TR中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0114】
配線層M0は、複数の配線m0を含む。これら複数の配線m0は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0115】
複数の配線m0のうちの一部は、ビット線BL(
図3)として機能する。ビット線BLは、例えば
図18に示す様に、X方向に並びY方向に延伸する。また、これら複数のビット線BLは、それぞれ、各ストリングユニットSUに含まれる1の半導体層120に接続されている。
【0116】
また、複数の配線m0のうちの一部は、
図13~
図16に例示する配線m0aとして機能する。配線m0aは、上述したコンタクトCCとコンタクトC4との間の電流経路に設けられた配線であり、Y方向に延伸する。
【0117】
また、上述の通り、配線層M0の上方には、更に配線層が設けられている。これらの配線層は、それぞれ、複数の配線を含む。これら複数の配線は、例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0118】
これら複数の配線のうちの一部は、
図14及び
図16に例示する配線m1aとして機能する。配線m1aは、上述したコンタクトCCとコンタクトC4との間の電流経路に設けられた配線であり、X方向に延伸する。
【0119】
[メモリセルMCのしきい値電圧]
次に、
図22を参照して、メモリセルMCのしきい値電圧について説明する。
【0120】
図22(a)は、3ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。横軸はワード線WLの電圧を示しており、縦軸はメモリセルMCの数を示している。
図22(b)は、3ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧及び記録されるデータの関係の一例を示す表である。
図22(c)は、3ビットのデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧及び記録されるデータの関係の他の例を示す表である。
【0121】
図22(a)の例では、メモリセルMCのしきい値電圧が、8通りのステートに制御されている。Erステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、消去ベリファイ電圧V
VFYErより小さい。また、例えば、Aステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、ベリファイ電圧V
VFYAより大きく、ベリファイ電圧V
VFYBより小さい。また、例えば、Bステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、ベリファイ電圧V
VFYBより大きく、ベリファイ電圧V
VFYCより小さい。以下同様に、Cステート~Fステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、それぞれ、ベリファイ電圧V
VFYC~ベリファイ電圧V
VFYFより大きく、ベリファイ電圧V
VFYD~ベリファイ電圧V
VFYGより小さい。また、例えば、Gステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、ベリファイ電圧V
VFYGより大きく、読出パス電圧V
READより小さい。
【0122】
また、
図22(a)の例では、Erステートに対応するしきい値分布とAステートに対応するしきい値分布との間に、読出電圧V
CGARが設定されている。また、Aステートに対応するしきい値分布とBステートに対応するしきい値分布との間に、読出電圧V
CGBRが設定されている。以下同様に、Bステートに対応するしきい値分布とCステートに対応するしきい値分布との間~Fステートに対応するしきい値分布とGステートに対応するしきい値分布との間に、それぞれ、読出電圧V
CGBR~読出電圧V
CGGRが設定されている。
【0123】
例えば、Erステートは、最も低いしきい値電圧に対応している。ErステートのメモリセルMCは、例えば、消去状態のメモリセルMCである。ErステートのメモリセルMCには、例えば、データ“111”が割り当てられる。
【0124】
また、Aステートは、上記Erステートに対応するしきい値電圧よりも高いしきい値電圧に対応している。AステートのメモリセルMCには、例えば、データ“101”が割り当てられる。
【0125】
また、Bステートは、上記Aステートに対応するしきい値電圧よりも高いしきい値電圧に対応している。BステートのメモリセルMCには、例えば、データ“001”が割り当てられる。
【0126】
以下同様に、図中のCステート~Gステートは、Bステート~Fステートに対応するしきい値電圧よりも高いしきい値電圧に対応している。これらのステートのメモリセルMCには、例えば、データ“011”,“010”,“110”,“100”,“000”が割り当てられる。
【0127】
尚、
図22(b)に例示した様な割り当ての場合、下位ビットのデータは1つの読出電圧V
CGDRによって判別可能であり、中位ビットのデータは3つの読出電圧V
CGAR,V
CGCR,V
CGFRによって判別可能であり、上位ビットのデータは3つの読出電圧V
CGBR,V
CGER,V
CGGRによって判別可能である。
【0128】
尚、メモリセルMCに記録するデータのビット数、ステートの数、各ステートに対するデータの割り当て等は、適宜変更可能である。
【0129】
例えば、
図22(c)に例示した様な割り当ての場合、下位ビットのデータは1つの読出電圧V
CGDRによって判別可能であり、中位ビットのデータは2つの読出電圧V
CGBR,V
CGFRによって判別可能であり、上位ビットのデータは4つの読出電圧V
CGAR,V
CGCR,V
CGER,V
CGGRによって判別可能である。
【0130】
[読出動作]
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。
【0131】
図23は、読出動作について説明するための模式的な断面図である。
図24は、読出動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0132】
尚、以下の説明では、動作の対象となっているワード線WLを選択ワード線WLSと呼び、それ以外のワード線WLを非選択ワード線WLUと呼ぶ場合がある。また、以下の説明では、動作の対象となっているストリングユニットSUに含まれる複数のメモリセルMCのうち、選択ワード線WLSに接続されたもの(以下、「選択メモリセルMC」と呼ぶ場合がある。)に対して読出動作を実行する例について説明する。また、以下の説明では、この様な複数の選択メモリセルMCを含む構成を、選択ページPGと呼ぶ場合がある。
【0133】
読出動作のタイミングt101においては、例えば
図24に示す様に、非選択ワード線WL
Uに読出パス電圧V
READを供給して、非選択メモリセルMCをON状態とする。また、選択ワード線WL
Sに、読み出しに使用する読出電圧(
図22を参照して説明した読出電圧V
CGAR~V
CGGRのいずれか)又はそれよりも大きい電圧を供給する。また、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に電圧V
SGを供給する。電圧V
SGは、選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のチャネル領域に電子のチャネルが形成され、これによって選択トランジスタ(STD、STS、STSb)がON状態となる程度の大きさを有する。
【0134】
読出動作のタイミングt101~タイミングt102の間には、待ち時間Taが設けられている。待ち時間Taは、例えば、選択ワード線WLSを充電するための待ち時間である。
【0135】
読出動作のタイミングt102においては、選択ワード線WL
Sに、読み出しに使用する読出電圧(
図22を参照して説明した読出電圧V
CGAR~V
CGGRのいずれか)を供給する。これにより、例えば
図23に示す様に、一部の選択メモリセルMCはON状態となり、残りの選択メモリセルMCはOFF状態となる。
【0136】
読出動作のタイミングt103においては、例えば、ビット線BLの充電等を行う。例えば、
図9のラッチ回路SDLに“H”をラッチさせ、信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXの状態を“L,L,H,H,H,H”とする。これにより、ビット線BL及びセンスノードSENに電圧V
DDが供給され、これらの充電が開始される。また、例えば、ソース線SL(
図3)に電圧V
SRCを供給して、これらの充電を開始する。電圧V
SRCは、例えば、接地電圧V
SSと同程度の大きさを有する。電圧V
SRCは、例えば、接地電圧V
SSよりわずかに大きく、且つ、電圧V
DDより十分小さい電圧でも良い。
【0137】
読出動作のタイミングt103~タイミングt104の間には、待ち時間Tbが設けられている。待ち時間Tbは、例えば、ビット線BLの電流を収束させるための待ち時間である。
【0138】
読出動作のタイミングt104においては、例えば、信号線BLCの電圧を減少させる。この際、信号線BLCの電圧は、信号線BLCに接続されたクランプトランジスタ44(
図9)がON状態のまま維持される程度の電圧に調整される。
【0139】
読出動作のタイミングt104~タイミングt105(
図24)の間には、待ち時間Tcが設けられている。待ち時間Tcは、例えば、ビット線BLの電流を安定させるための待ち時間である。以下、待ち時間Tcを、「安定待ち時間」と呼ぶ場合がある。
【0140】
読出動作のタイミングt105においては、センスアンプモジュールSAM(
図2)によって、メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、このメモリセルMCの状態を示すデータを取得する。以下、この様な動作を、センス動作と呼ぶ場合がある。センス動作においては、例えば、信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLX(
図9)の状態を“L,H,H,H,L,L”とする。これにより、ON状態の選択メモリセルMCに接続されたセンスノードSENの電荷はビット線BLを介して放出され、このセンスノードの電圧は低下する。一方、OFF状態の選択メモリセルMCに接続されたセンスノードSENの電荷は維持され、このセンスノードの電圧は維持される。
【0141】
読出動作のタイミングt105~タイミングt106(
図24)の間には、待ち時間Tdが設けられている。待ち時間Tdは、例えば、メモリセルMCの状態を検出するための待ち時間である。以下、待ち時間Tdを、「センス時間」と呼ぶ場合がある。
【0142】
読出動作のタイミングt106においては、センス動作を終了する。例えば、信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLX(
図9)の状態を“L,L,L,L,L,L”とする。これにより、センスノードSENがビット線BLから電気的に切り離される。また、ビット線BLへの電流の供給が終了する。
【0143】
尚、図示は省略するものの、読出動作のタイミングt106以降の所定のタイミングにおいては、充電トランジスタ55(
図9)によって配線LBUSが充電され、その後、信号線STBが一時的に“H”状態とされる。ここで、センストランジスタ41は、センスノードSENの電荷に応じてON状態又はOFF状態となっている。従って、配線LBUSの電圧は、センスノードSENの電荷に応じて“H”状態又は“L”状態となる。その後、ラッチ回路SDL又はラッチ回路DL0~DLn
Lのいずれかによって、配線LBUSのデータがラッチされる。
【0144】
読出動作のタイミングt107においては、選択ワード線WLS、非選択ワード線WLU及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に接地電圧VSSを供給する。
【0145】
尚、
図24においては、読出動作において、選択ワード線WL
Sに一つの読出電圧V
CGDRのみが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される例を説明した。この様な動作は、例えば、
図22(b)に示す様な態様でデータが割り当てられており、且つ、下位ビットのデータを判別する場合に実行される。
【0146】
例えば、中位ビットのデータを判別する場合には、選択ワード線WLSに読出電圧VCGARが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される。また、選択ワード線WLSに読出電圧VCGCRが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される。また、選択ワード線WLSに読出電圧VCGFRが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される。
【0147】
例えば、上位ビットのデータを判別する場合には、選択ワード線WLSに読出電圧VCGBRが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される。また、選択ワード線WLSに読出電圧VCGERが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される。また、選択ワード線WLSに読出電圧VCGGRが供給され、この状態でセンス動作が1回実行される。
【0148】
[読出動作における配線抵抗のバラつき]
図13及び
図15を参照して説明した様に、導電層200,220は、2つのメモリホール領域R
MHに設けられた2つの部分201,221と、これら2つの部分201,221の双方に接続された部分202,222と、を備える。また、2つの部分201,221は、部分202,222を介して電気的に接続されている。
【0149】
また、
図14及び
図16を参照して説明した様に、X方向に並ぶ2つの導電層210又はX方向に並ぶ2つの導電層230は、X方向において離間しており、コンタクトCC及び配線m0a,m1aを介して電気的に接続されている。
【0150】
ここで、複数の導電層110は、製造工程の都合上、タングステン(W)やモリブデン(Mo)等、耐熱性の高い材料を含んでいる。一方、配線m0a,m1aは、銅(Cu)等、導電性の高い材料を含んでいる。この様な構成においては、例えば、導電層200の2つの部分201の間の配線抵抗、及び、導電層220の2つの部分221の間の配線抵抗は、X方向において並ぶ2つの導電層210の間の配線抵抗、及び、X方向において並ぶ2つの導電層230の間の配線抵抗よりも大きい。
【0151】
ここで、例えば、導電層200又は導電層220が選択ワード線WLSである場合を考慮して読出動作の動作パラメータを設定した場合、いずれかの導電層210又はいずれかの導電層230が選択ワード線WLSになった場合に、OFF状態と判定されるべき選択メモリセルMCがON状態と判定されてしまう場合がある。
【0152】
[動作パラメータの調整]
第1実施形態においては、導電層200又は導電層220が選択ワード線WLSである場合に、読出動作において動作パラメータAを使用する。また、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合に、読出動作において動作パラメータBを使用する。動作パラメータBの少なくとも一部は、動作パラメータAと異なる。
【0153】
動作パラメータA,Bには、例えば、
図24等を参照して説明した待ち時間Ta,Tb,Tc,Tdが含まれる。
【0154】
動作パラメータBにおける待ち時間Taは、動作パラメータAにおける待ち時間Taより短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電を抑えることが可能である。尚、動作パラメータBにおける待ち時間Taは、動作パラメータAにおける待ち時間Taと同じであっても良い。
【0155】
動作パラメータBにおける待ち時間Tbは、動作パラメータAにおける待ち時間Tbより長くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度までビット線BLの電流を抑えることが可能である。尚、動作パラメータBにおける待ち時間Tbは、動作パラメータAにおける待ち時間Tbと同じであっても良い。
【0156】
動作パラメータBにおける待ち時間Tcは、動作パラメータAにおける待ち時間Tcより長くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度までセル電流を安定させることが可能である。尚、動作パラメータBにおける待ち時間Tcは、動作パラメータAにおける待ち時間Tcと同じであっても良い。
【0157】
動作パラメータBにおける待ち時間Td(センス時間)は、動作パラメータAにおける待ち時間Td(センス時間)より短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作において、センスノードSENにおける電荷の減少量を、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度まで抑えることが可能である。尚、動作パラメータBにおける待ち時間Tdは、動作パラメータAにおける待ち時間Tdと同じであっても良い。
【0158】
また、動作パラメータA,Bには、例えば、タイミングt101~t102の間に選択ワード線WL
Sに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータAを使用する場合、この電圧は、電圧Va0であっても良い。また、動作パラメータBを使用する場合、この電圧は、電圧Va1であっても良い。電圧Va0,Va1は、読出電圧(
図24の例では、読出電圧V
CGDR)以上の大きさを有する。電圧Va1は、電圧Va0より小さくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WL
Sである場合の読出動作において、選択ワード線WL
Sの過剰な充電を抑えることが可能である。尚、電圧Va1は、電圧Va0と同じであっても良い。
【0159】
また、動作パラメータA,Bには、例えば、タイミングt103~t104の間に信号線BLCに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータAを使用する場合、この電圧は、電圧Vb0であっても良い。また、動作パラメータBを使用する場合、この電圧は、電圧Vb1であっても良い。電圧Vb1は、電圧Vb0より大きくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度までビット線BLの電流を抑えることが可能である。尚、電圧Vb1は、電圧Vb0と同じであっても良い。
【0160】
本実施形態においては、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作における動作パラメータBが、導電層200又は導電層220が選択ワード線WLSである場合の動作パラメータAと異なる様に調整している。これにより、これらの場合の読出動作とセル特性が揃えられ、半導体記憶装置の品質が向上する。
【0161】
尚、動作パラメータA,Bにおいて、待ち時間Taを異ならせたり、電圧Va0,Va1の大きさを異ならせたりした場合には、動作パラメータBにおける待ち時間Tcを動作パラメータAにおける待ち時間Tcよりも長くする必要が無い。従って、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作に要する時間を小さくすることが出来る。
【0162】
[第2実施形態]
次に、
図25を参照して、第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図25は、同半導体記憶装置の読出動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0163】
第1実施形態では、
図24を参照して、読出動作の実行方法を例示した。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、読出動作の実行方法は適宜調整可能である。
【0164】
例えば、第2実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。また、第2実施形態に係る読出動作は、基本的には第1実施形態に係る読出動作と同様に実行される。
【0165】
ただし、第2実施形態に係る読出動作においては、タイミングt101において、選択ワード線WLSに読出パス電圧VREADが供給される。
【0166】
また、第2実施形態に係る読出動作においては、タイミングt102において、選択ワード線WL
Sに読出電圧(
図25の例では、読出電圧V
CGDR)以下の電圧が供給される。
【0167】
また、第2実施形態に係る読出動作においては、タイミングt102~タイミングt103の間に、待ち時間Teが設けられている。待ち時間Teは、例えば、選択ワード線WLSの電荷を放電するための待ち時間である。
【0168】
また、第2実施形態に係る読出動作においては、タイミングt103において、選択ワード線WLSに読出電圧が供給される。
【0169】
また、第2実施形態に係る動作パラメータA,Bには、例えば、待ち時間Teが含まれる。
【0170】
動作パラメータBにおける待ち時間Teは、動作パラメータAにおける待ち時間Teより短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の読出動作において、選択ワード線WLSの過剰な放電を抑えることが可能である。尚、動作パラメータA,Bの間で時間Te以外のパラメータを異ならせる場合、動作パラメータBにおける待ち時間Teは、動作パラメータAにおける待ち時間Teと同じであっても良い。
【0171】
また、第2実施形態に係る動作パラメータA,Bには、例えば、タイミングt102~t103の間に選択ワード線WL
Sに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータAを使用する場合、この電圧は、電圧Ve0であっても良い。また、動作パラメータBを使用する場合、この電圧は、電圧Ve1であっても良い。電圧Ve0,Ve1は、読出電圧(
図25の例では、読出電圧V
CGDR)以下の大きさを有する。電圧Ve1は、電圧Ve0より大きくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WL
Sである場合の読出動作において、選択ワード線WL
Sの過剰な放電を抑えることが可能である。尚、電圧Ve1は、電圧Ve0と同じであっても良い。
【0172】
[第3実施形態]
次に、
図26~
図30を参照して、第3実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
【0173】
第1実施形態及び第2実施形態では、読出動作に使用される動作パラメータを調整する例について説明した。しかしながら、この様な態様はあくまでも例示に過ぎず、どの動作において使用される動作パラメータを調整するかは、適宜調整可能である。
【0174】
例えば、第3実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態又は第2実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第3実施形態に係る半導体記憶装置においては、書込動作において使用される動作パラメータを調整する。尚、第3実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作に際しては、第1実施形態又は第2実施形態と同様の態様で動作パラメータを調整しても良いし、動作パラメータを調整しなくても良い。
【0175】
[書込動作]
次に、本実施形態に係る半導体記憶装置の書込動作について説明する。
【0176】
図26は、書込動作について説明するためのフローチャートである。
図27は、書込動作に含まれるプログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図28は、書込動作に含まれるベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
図29及び
図30は、書込動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0177】
ステップS101においては、例えば
図26に示す様に、ループ回数n
Wが1に設定される。ループ回数n
Wは、書込ループの回数を示す変数である。また、例えば、センスアンプユニットSAU(
図9)のラッチ回路DL0~DLn
Lに、メモリセルMCに書き込まれるユーザデータがラッチされる。
【0178】
ステップS102においては、プログラム動作が実行される。プログラム動作は、選択ワード線WL
Sにプログラム電圧を供給してメモリセルMCのしきい値電圧を増大させる動作である。この動作は、例えば、
図29のタイミングt121からタイミングt125にかけて実行される。
【0179】
プログラム動作のタイミングt121においては、例えば、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行うものに接続されたビット線BL
Wに電圧V
SRCを供給し、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行わないものに接続されたビット線BL
Pに電圧V
DDを供給する。例えば、ビット線BL
Wに対応するラッチ回路SDL(
図9)に“L”をラッチさせ、ビット線BL
Pに対応するラッチ回路SDL(
図9)に“H”をラッチさせる。また、信号線STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXの状態を“L,L,H,H,L,H”とする。以下、複数の選択メモリセルMCのうちしきい値電圧の調整を行うものを「書込メモリセルMC」と呼び、しきい値電圧の調整を行わないものを「禁止メモリセルMC」と呼ぶ場合がある。
【0180】
プログラム動作のタイミングt122においては、選択ワード線WL
S及び非選択ワード線WL
Uに書込パス電圧V
PASSが供給される。また、ドレイン側選択ゲート線SGDに、電圧V
SGDが供給される。書込パス電圧V
PASSは、例えば、
図22を参照して説明した読出パス電圧V
READ以上の大きさを有する。電圧V
SGDは、
図23、
図24を参照して説明した電圧V
SGよりも小さく、ビット線BLの電圧に応じてドレイン側選択トランジスタSTDがON状態又はOFF状態となる程度の大きさを有する。
【0181】
プログラム動作のタイミングt123においては、選択ワード線WLSにプログラム電圧VPGMを供給する。プログラム電圧VPGMは、書込パス電圧VPASSよりも大きい。
【0182】
ここで、例えば
図27に示す様に、ビット線BL
Wに接続された半導体層120のチャネルには、電圧V
SRCが供給されている。この様な半導体層120と選択ワード線WL
Sとの間には、比較的大きい電界が発生する。これにより、半導体層120のチャネル中の電子がトンネル絶縁膜131(
図19)を介して電荷蓄積膜132(
図19)中にトンネルする。これにより、書込メモリセルMCのしきい値電圧が増大する。
【0183】
また、ビット線BL
Pに接続された半導体層120のチャネルは、電気的にフローティング状態となっており、このチャネルの電位は非選択ワード線WL
Uとの容量結合によって書込パス電圧V
PASS程度まで上昇している。この様な半導体層120と選択ワード線WL
Sとの間には、上記したいずれの電界よりも小さい電界しか発生しない。従って、半導体層120のチャネル中の電子は電荷蓄積膜132(
図19)中にトンネルしない。従って、禁止メモリセルMCのしきい値電圧は増大しない。
【0184】
プログラム動作のタイミングt123~タイミングt124の間には、待ち時間Tfが設けられている。待ち時間Tfは、例えば、書込メモリセルMCのしきい値電圧を増大させるための待ち時間である。
【0185】
プログラム動作のタイミングt124においては、選択ワード線WLS及び非選択ワード線WLUに書込パス電圧VPASSを供給する。
【0186】
プログラム動作のタイミングt125においては、選択ワード線WLS、非選択ワード線WLU及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に接地電圧VSSを供給する。
【0187】
ステップS103(
図26)では、ベリファイ動作を行う。
【0188】
ベリファイ動作のタイミングt131においては、例えば
図29に示す様に、選択ワード線WL
S及び非選択ワード線WL
Uに読出パス電圧V
READを供給して、全てのメモリセルMCをON状態とする。また、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に電圧V
SGを供給して、選択トランジスタ(STD、STS、STSb)をON状態とする。
【0189】
ベリファイ動作のタイミングt132においては、選択ワード線WL
Sに、所定のベリファイ電圧(
図22を参照して説明したベリファイ電圧V
VFYA~V
VFYGのいずれか)を供給する。これにより、例えば
図28に示す様に、一部の選択メモリセルMCはON状態となり、残りの選択メモリセルMCはOFF状態となる。
【0190】
また、タイミングt132においては、例えば、ビット線BLの充電等を行う。この際、例えば、ラッチ回路DL0~DLn
L内のデータに基づき、特定のステート(
図29の例では、Aステート)に対応するメモリセルMCに接続されたビット線BL(
図29の例では、ビット線BL
A)に電圧V
DDを供給し、その他のビット線BLには電圧V
SRCを供給する。
【0191】
ベリファイ動作のタイミングt133~タイミングt134においては、例えば
図29に示す様に、センス動作を実行する。この際、ラッチ回路DL0~DLn
Lに、メモリセルMCのON状態/OFF状態を示すデータ等をラッチさせても良い。
【0192】
ベリファイ動作のタイミングt135~タイミングt137においては、他のステートのメモリセルMC(
図29の例では、Bステート)について、タイミングt132~タイミングt134と同様の処理を行う。尚、
図29においては、Bステートに対応するメモリセルMCに接続されたビット線BLを、ビット線BL
Bと記載している。
【0193】
ベリファイ動作のタイミングt138~タイミングt140においては、他のステートのメモリセルMC(
図29の例では、Cステート)について、タイミングt132~タイミングt134と同様の処理を行う。尚、
図29においては、Cステートに対応するメモリセルMCに接続されたビット線BLを、ビット線BL
Cと記載している。
【0194】
タイミングt141においては、選択ワード線WLS及び非選択ワード線WLUに読出パス電圧VREADを供給して、全てのメモリセルMCをON状態とする。また、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に電圧VSGを供給して、選択トランジスタ(STD、STS、STSb)をON状態とする。
【0195】
ベリファイ動作のタイミングt142においては、選択ワード線WLS、非選択ワード線WLU及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に接地電圧VSSを供給する。
【0196】
その後、ラッチ回路SDLにラッチされたデータを図示しないカウンタ回路に転送する。カウンタ回路は、しきい値電圧が目標値に到達したメモリセルMCの数、又は、しきい値電圧が目標値に到達していないメモリセルMCの数を計数する。
【0197】
尚、
図29の例では、ベリファイ動作において選択ワード線WL
Sに3通りのベリファイ電圧V
VFYA,V
VFYB,V
VFYCが供給される例を示した。しかしながら、ベリファイ動作において選択ワード線WL
Sに供給されるベリファイ電圧の数は、2通り以下でも良いし、4通り以上でも良いし、例えば
図30に例示する様に、ループ回数n
Wに応じて変化しても良い。
【0198】
ステップS104(
図26)では、ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、上記カウンタ回路を参照して、しきい値電圧が目標値に到達していないメモリセルMCの数が一定数以上であった場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS105に進む。一方、しきい値電圧が目標値に到達していないメモリセルMCの数が一定数以下であった場合等にはベリファイPASSと判定し、ステップS107に進む。
【0199】
ステップS105では、ループ回数nWが所定の回数NWに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS106に進む。達していた場合にはステップS108に進む。
【0200】
ステップS106では、ループ回数n
Wに1を加算して、ステップS102に進む。また、ステップS106では、例えば、プログラム電圧V
PGMに所定の電圧dVを加算する。従って、例えば
図30に示す様に、プログラム電圧V
PGMは、ループ回数n
Wの増大と共に増大する。
【0201】
ステップS107では、ステータスレジスタSTR(
図2)に、書込動作が正常に終了した旨のステータスデータD
STを格納し、書込動作を終了する。尚、ステータスデータD
STは、ステータスリード動作に応じてコントローラダイCD(
図1)に出力される。
【0202】
ステップS108では、ステータスレジスタSTR(
図2)に、書込動作が正常に終了しなかった旨のステータスデータD
STを格納し、書込動作を終了する。
【0203】
[書込動作における配線抵抗のバラつき]
上述の通り、導電層200の2つの部分201(
図13)の間の配線抵抗、及び、導電層220の2つの部分221(
図15)の間の配線抵抗は、X方向において並ぶ2つの導電層210(
図14)の間の配線抵抗、及び、X方向において並ぶ2つの導電層230(
図16)の間の配線抵抗よりも大きい。
【0204】
ここで、例えば、導電層200又は導電層220が選択ワード線WLSである場合を考慮して書込動作の動作パラメータを設定した場合、いずれかの導電層210又はいずれかの導電層230が選択ワード線WLSになった場合に、選択メモリセルMCのしきい値電圧が、必要以上に増大してしまう場合がある。
【0205】
[動作パラメータの調整]
第3実施形態に係る半導体記憶装置においては、導電層200又は導電層220が選択ワード線WLSである場合には、書込動作において、動作パラメータCを使用する。また、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合には、読出動作において、動作パラメータDを使用する。動作パラメータDの少なくとも一部は、動作パラメータCと異なる。
【0206】
動作パラメータC,Dには、例えば、
図29を参照して説明した待ち時間Tfが含まれる。
【0207】
動作パラメータDにおける待ち時間Tfは、動作パラメータCにおける待ち時間Tfより短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択メモリセルMCのしきい値電圧の増大量を抑えることが可能である。尚、動作パラメータDにおける待ち時間Tfは、動作パラメータCにおける待ち時間Tfと同じであっても良い。
【0208】
また、動作パラメータC,Dには、例えば、プログラム電圧V
PGMの初期値(ループ回数n
Wが1である場合のプログラム電圧V
PGM)が含まれる。例えば
図30に示す様に、動作パラメータCを使用する場合、この電圧は、電圧Vf0であっても良い。また、動作パラメータDを使用する場合、この電圧は、電圧Vf1であっても良い。電圧Vf1は、電圧Vf0より小さくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WL
Sである場合の書込動作において、選択メモリセルMCのしきい値電圧の増大量を抑えることが可能である。尚、電圧Vf1は、電圧Vf0と同じであっても良い。
【0209】
[第4実施形態]
次に、
図31を参照して、第4実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図31は、同半導体記憶装置の書込動作について説明するためのタイミングチャートである。
【0210】
第3実施形態では、
図26~
図30を参照して、書込動作の実行方法を例示した。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、書込動作の実行方法は適宜調整可能である。
【0211】
例えば、第4実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第3実施形態に係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第4実施形態に係る書込動作は、第3実施形態に係る書込動作と異なる。第4実施形態に係る書込動作は、基本的には第3実施形態に係る書込動作と同様に実行される。
【0212】
ただし、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt132において、選択ワード線WL
Sに、ベリファイ動作において最初に使用されるベリファイ電圧(
図31の例では、ベリファイ電圧V
VFYA)又はそれよりも小さい電圧が供給される。
【0213】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt132~タイミングt231の間に、待ち時間Te´が設けられている。待ち時間Te´は、例えば、選択ワード線WLSの電荷を放電するための待ち時間である。
【0214】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt231,t233,t235において、選択ワード線WL
Sに、ベリファイ電圧(
図31の例では、ベリファイ電圧V
VFYA,V
VFYB,V
VFYC)が供給される。
【0215】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt132~タイミングt232の間、タイミングt135~タイミングt234の間、及び、タイミングt138~タイミングt236の間に、待ち時間Tb´が設けられている。待ち時間Tb´は、例えば、ビット線BLの電流を収束させるための待ち時間である。
【0216】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt232,t234,t236において、信号線BLCの電圧を減少させる。この際、信号線BLCの電圧は、信号線BLCに接続されたクランプトランジスタ44(
図9)がON状態のまま維持される程度の電圧に調整される。
【0217】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt232~タイミングt133の間、タイミングt234~タイミングt136の間、及び、タイミングt236~タイミングt139の間に、待ち時間Tc´が設けられている。待ち時間Tc´は、例えば、ビット線BLの電流を安定させるための待ち時間である。以下、待ち時間Tc´を、「安定待ち時間」と呼ぶ場合がある。
【0218】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt133~タイミングt134の間、タイミングt136~タイミングt137の間、及び、タイミングt139~タイミングt140の間に、待ち時間Td´が設けられている。待ち時間Td´は、例えば、メモリセルMCの状態を検出するための待ち時間である。以下、待ち時間Td´を、「センス時間」と呼ぶ場合がある。
【0219】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt135,t138において、選択ワード線WL
Sに、ベリファイ動作において次に使用されるベリファイ電圧(
図31の例では、ベリファイ電圧V
VFYB,V
VFYC)又はそれよりも大きい電圧が供給される。
【0220】
また、第4実施形態に係る書込動作においては、タイミングt135~タイミングt233の間、及び、タイミングt138~タイミングt235の間に、待ち時間Ta´が設けられている。待ち時間Ta´は、例えば、選択ワード線WLSを充電するための待ち時間である。
【0221】
また、第4実施形態に係る動作パラメータC,Dには、例えば、待ち時間Ta´,Tb´,Tc´,Td´,Te´が含まれる。
【0222】
動作パラメータDにおける待ち時間Ta´は、動作パラメータCにおける待ち時間Ta´より短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電を抑えることが可能である。尚、動作パラメータDにおける待ち時間Ta´は、動作パラメータCにおける待ち時間Ta´と同じであっても良い。
【0223】
動作パラメータDにおける待ち時間Tb´は、動作パラメータCにおける待ち時間Tb´より長くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度までビット線BLの電流を抑えることが可能である。尚、動作パラメータDにおける待ち時間Tb´は、動作パラメータCにおける待ち時間Tb´と同じであっても良い。
【0224】
動作パラメータDにおける待ち時間Tc´は、動作パラメータCにおける待ち時間Tc´より長くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度までセル電流を安定させることが可能である。尚、動作パラメータDにおける待ち時間Tc´は、動作パラメータCにおける待ち時間Tc´と同じであっても良い。
【0225】
動作パラメータDにおける待ち時間Td´(センス時間)は、動作パラメータCにおける待ち時間Td´(センス時間)より短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、センスノードSENにおける電荷の減少量を、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度まで抑えることが可能である。尚、動作パラメータDにおける待ち時間Td´は、動作パラメータCにおける待ち時間Td´と同じであっても良い。
【0226】
動作パラメータDにおける待ち時間Te´は、動作パラメータCにおける待ち時間Te´より短くても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な放電を抑えることが可能である。尚、動作パラメータDにおける待ち時間Te´は、動作パラメータCにおける待ち時間Te´と同じであっても良い。
【0227】
また、動作パラメータC,Dには、例えば、タイミングt132~t231の間に選択ワード線WLSに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータDを使用する場合の電圧は、動作パラメータCを使用する場合の電圧より大きくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な放電を抑えることが可能である。尚、これらの電圧は同じであっても良い。
【0228】
また、動作パラメータC,Dには、例えば、タイミングt132~タイミングt232の間に信号線BLCに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータDを使用する場合の電圧は、動作パラメータCを使用する場合の電圧より小さくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な放電の影響が打ち消される程度までビット線BLの電流を増やすことが可能である。尚、これらの電圧は同じであっても良い。
【0229】
また、動作パラメータC,Dには、例えば、タイミングt135~タイミングt234の間、及び、タイミングt138~タイミングt236の間に信号線BLCに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータDを使用する場合の電圧は、動作パラメータCを使用する場合の電圧より大きくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電の影響が打ち消される程度までビット線BLの電流を抑えることが可能である。尚、これらの電圧は同じであっても良い。
【0230】
また、動作パラメータC,Dには、例えば、タイミングt135~タイミングt233の間、及び、タイミングt138~タイミングt235の間に選択ワード線WLSに供給される電圧が含まれる。例えば、動作パラメータDを使用する場合の電圧は、動作パラメータCを使用する場合の電圧より小さくても良い。これにより、導電層210又は導電層230が選択ワード線WLSである場合の書込動作において、選択ワード線WLSの過剰な充電を抑えることが可能である。尚、これらの電圧は同じであっても良い。
【0231】
[第5実施形態]
次に、
図32を参照して、第5実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図32は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
【0232】
第5実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態~第4実施形態のいずれかに係る半導体記憶装置と同様に構成されている。ただし、第5実施形態に係る半導体記憶装置においては、例えば
図32に例示する様に、電圧生成ユニットvg1とトランジスタT
DRV1との間の電流経路に、可変抵抗回路VR1が設けられている。また、電圧生成ユニットvg3とトランジスタT
DRV3との間の電流経路に、可変抵抗回路VR3が設けられている。
【0233】
図33は、可変抵抗回路VR1の構成を示す模式的な回路図である。可変抵抗回路VR1は、電圧生成ユニットvg1とトランジスタT
DRV1との間に直列に接続されたN個の抵抗ユニットU
VRを備える。これら複数の抵抗ユニットU
VRは、入力端子と出力端子との間に並列に接続されたトランジスタS
VR及び抵抗素子R
VRを備える。N個のトランジスタS
VRのゲート電極は、それぞれ、信号線S
1~信号線S
Nに接続されている。N個の抵抗素子R
VRは、全て異なる抵抗値を備えていても良い。可変抵抗回路VR1の抵抗値は、例えば、信号線S
1~S
Nに入力されるNビットのデータに応じて、2
N通りに制御可能である。図示は省略するものの、可変抵抗回路VR3は、可変抵抗回路VR1と同様の構成を備える。
【0234】
第5実施形態に係る動作パラメータA,Bには、例えば、読出動作のタイミングt101~t102(
図24)の間、タイミングt102~t103の間、及び、タイミングt103~t106の間において可変抵抗回路VR3に入力されるNビットのデータが含まれる。例えば、動作パラメータBを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値は、動作パラメータAを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値より大きくても良い。尚、動作パラメータBを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値は、動作パラメータAを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値と同じであっても良い。
【0235】
また、第5実施形態に係る動作パラメータC,Dには、例えば、書込動作のタイミングt123~t124(
図29)の間において可変抵抗回路VR1に入力されるNビットのデータが含まれる。例えば、動作パラメータDを使用する場合の可変抵抗回路VR1の抵抗値は、動作パラメータCを使用する場合の可変抵抗回路VR1の抵抗値より大きくても良い。尚、動作パラメータDを使用する場合の可変抵抗回路VR1の抵抗値は、動作パラメータCを使用する場合の可変抵抗回路VR1の抵抗値と同じであっても良い。
【0236】
また、第5実施形態に係る動作パラメータC,Dには、例えば、書込動作のタイミングt131~t132(
図29)の間、タイミングt132~t231の間(
図31)、タイミングt132~t134の間(
図31)、タイミングt135~t233の間(
図31)、タイミングt234~t137の間(
図31)、タイミングt138~t235の間(
図31)、及び、タイミングt236~t140の間(
図31)において可変抵抗回路VR3に入力されるNビットのデータが含まれる。例えば、動作パラメータDを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値は、動作パラメータCを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値より大きくても良い。尚、動作パラメータDを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値は、動作パラメータCを使用する場合の可変抵抗回路VR3の抵抗値と同じであっても良い。
【0237】
尚、第5実施形態においては、第1実施形態~第4実施形態において例示されたいずれかの動作パラメータが調整されても良いし、調整されなくても良い。
【0238】
また、
図32及び
図33に示した様な回路構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、
図32の例において、可変抵抗回路VR1,VR3のいずれかを省略しても良い。また、例えば
図32の例では、ドライバ回路DRV内のトランジスタT
DRV1,T
DRV3と、電圧生成ユニットvg1,vg3との間の電流経路に、可変抵抗回路VR1,VR3が設けられていた。しかしながら、可変抵抗回路は、電圧生成ユニットvg1,vg3と導電層110との間の電流経路に設けられていれば良い。例えば、可変抵抗回路は、ドライバ回路DRV内のトランジスタT
DRV1,T
DRV3と、配線CG
Sとの間の電流経路に設けられても良い。
【0239】
[第6実施形態]
次に、
図34及び
図35を参照して、第6実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。
図34は、同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な平面図である。
図35は、
図34の一部の構成を省略して示す模式的な平面図である。
【0240】
第1実施形態~第5実施形態では、読出動作及び書込動作の少なくとも一方における動作パラメータを調整することにより、配線抵抗のバラつきの影響を抑制していた。しかしながら、この様な方法はあくまでも例示に過ぎず、配線抵抗のバラつきを抑制する方法は、適宜調整可能である。
【0241】
例えば、第6実施形態に係る半導体記憶装置は、基本的には第1実施形態~第5実施形態のいずれかに係る半導体記憶装置と同様に構成されている。
【0242】
ただし、例えば
図20を参照して説明した様に、第1実施形態~第5実施形態に係る半導体記憶装置においては、X方向に並ぶ2つの導電層210が、X方向に延伸する低抵抗な配線m1aを介して一つのコンタクトC4に接続され、この一つのコンタクトC4を介してトランジスタTrに接続されていた。同様に、X方向に並ぶ2つの導電層230が、X方向に延伸する低抵抗な配線m1aを介して一つのコンタクトC4に接続され、この一つのコンタクトC4を介してトランジスタTrに接続されていた。
【0243】
一方、例えば
図34に示す様に、第6実施形態に係る半導体記憶装置においては、X方向に並ぶ2つの導電層230が、それぞれ、コンタクトCCを介してY方向に延伸する配線m0aに接続されており、これらを介して異なるコンタクトC4に接続されている。また、X方向に並ぶ2つの導電層210が、それぞれ、コンタクトCCを介してY方向に延伸する配線m0aに接続されており、これらを介して異なるコンタクトC4に接続されている。また、例えば
図35に示す様に、第6実施形態に係る半導体記憶装置においては、X方向に並ぶ2つの導電層230が、2つのコンタクトC4を介して、X方向に延伸する配線d0,d1,d2の少なくともいずれかに接続されている。また、X方向に並ぶ2つの導電層210が、2つのコンタクトC4を介して、X方向に延伸する配線d0,d1,d2の少なくともいずれかに接続されている。
【0244】
ここで、
図11等を参照して説明した様に、配線d0,d1,d2は、導電層110と同様に、タングステン(W)等の耐熱性の高い材料を含んでいる。従って、この様な構成によれば、導電層200の2つの部分201の間の配線抵抗、及び、導電層220の2つの部分221の間の配線抵抗と、X方向に並ぶ2つの導電層210の間の配線抵抗、及び、X方向に並ぶ2つの導電層230の間の配線抵抗と、の差を抑制可能である。
【0245】
尚、第6実施形態においては、第1実施形態~第5実施形態において例示されたいずれかの動作パラメータが調整されても良いし、調整されなくても良い。
【0246】
また、
図34及び
図35に示した様な構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、
図35の例では、X方向に並ぶ2つの導電層210を電気的に接続するための配線d0,d1,d2が、X方向に延伸する略直線状の形状を備えていた。同様に、X方向に並ぶ2つの導電層230を電気的に接続するための配線d0,d1,d2が、X方向に延伸する略直線状の形状を備えていた。しかしながら、例えば
図36に示す様に、この様な配線d0,d1,d2は、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数の略直線状の部分dyを備えていても良い。また、例えば
図37に示す様に、この様な配線d0,d1,d2は、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数の略直線状の部分dxを備えていても良い。この様な構成によれば、X方向に並ぶ2つの導電層210の間における配線抵抗、及び、X方向に並ぶ2つの導電層230の間における配線抵抗を更に大きくすることが可能である。
【0247】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態~第6実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、以上において説明した様な構成及び動作はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成及び動作は適宜調整可能である。
【0248】
例えば、第1実施形態~第6実施形態に係るメモリセルアレイMCAは、
図11を参照して説明した様に、Z方向に並ぶ2つのメモリセルアレイ層L
MCA1,L
MCA2を備えていた。また、メモリセルアレイ層L
MCA1に含まれる複数の導電層110のうち、一部の導電層200(
図13)はX方向に並ぶ2つの部分201及びこれらに接続された部分202を備え、これよりも上方にはX方向に並ぶ一対の導電層210の組(
図14)が設けられていた。また、メモリセルアレイ層L
MCA2に含まれる複数の導電層110のうち、一部の導電層220(
図15)はX方向に並ぶ2つの部分221及びこれらに接続された部分222を備え、これよりも上方にはX方向に並ぶ一対の導電層230の組(
図16)が設けられていた。
【0249】
しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。
【0250】
例えば、第1実施形態~第6実施形態に係るメモリセルアレイMCAにおいては、メモリセルアレイ層L
MCA2を省略しても良い。この様な場合、メモリセルアレイ層L
MCA1は、ドレイン側選択ゲート線SGD等として機能する複数の導電層110(
図17)を備えていても良い。
【0251】
また、例えば、第1実施形態~第6実施形態に係るメモリセルアレイMCAにおいては、メモリセルアレイ層LMCA1とメモリセルアレイ層LMCA2との間に1以上のメモリセルアレイ層を設けても良い。この様なメモリセルアレイ層は、それぞれ、複数の導電層110を含んでいても良い。また、これら複数の導電層110の一部は、X方向に並ぶ2つの部分及びこれらに接続された部分を備えていても良い。また、これよりも上方には、X方向に並ぶ一対の導電層110が設けられていても良い。
【0252】
また、例えば、第1実施形態~第6実施形態に係る半導体記憶装置の説明では、メモリセルアレイMCAの構成として、NAND接続された複数のメモリトランジスタを有する構成を例示した。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、メモリトランジスタの接続方法は、適宜調整可能である。例えば、メモリセルアレイMCAの構成として、NOR接続された複数のメモリトランジスタを有する構成を採用しても良い。
【0253】
また、例えば、以上の例では、メモリトランジスタとして、ゲート絶縁膜に、絶縁性又は導電性の電荷蓄積部を含む構成を例示した。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、メモリトランジスタのゲート絶縁膜に含まれる構成は、適宜調整可能である。例えば、メモリトランジスタとして、ゲート絶縁膜に強誘電体を含む構成を採用しても良い。
【0254】
また、例えば、以上の例では、メモリセルアレイMCAの構成として、複数のメモリトランジスタを有する構成を例示した。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、メモリセルアレイMCAの構成として、メモリトランジスタ以外を有する構成を採用しても良い。
【0255】
例えば、メモリセルアレイMCAは、DRAM(Dynamic RandomAccess Memory)でも良い。DRAMは、キャパシタ及びトランジスタを備える。DRAMは、書込動作及び読出動作に際して、キャパシタへの充放電を行う。
【0256】
また、例えば、メモリセルアレイMCAは、SRAM(Static RandomAccess Memory)でも良い。SRAMは、2つのCMOSインバータを備える。一方の入力端子は他方の出力端子に接続され、一方の出力端子は他方の入力端子に接続される。
【0257】
また、メモリセルアレイMCAは、MRAM(MagnetoresistiveRandom Access Memory)又はSTT-MRAM(Spin Transfer Torque MRAM)等の磁気抵抗メモリでも良い。MRAM及びSTT-MRAMは、一対の強磁性膜と、トンネル絶縁膜と、を含む。一対の強磁性膜は、対向配置される。トンネル絶縁膜は、一対の強磁性膜の間に設けられる。強磁性膜は、書込動作に応じてその磁化方向が変化する。
【0258】
また、メモリセルアレイMCAは、ReRAM(Resistive RandomAccess Memory)等の抵抗変化メモリでも良い。ReRAMは、一対の電極と、金属酸化物等と、を含む。金属酸化物等は、一対の電極の間に設けられる。金属酸化物等には、書込動作に応じて酸素欠陥等のフィラメントが形成される。一対の電極は、この酸素欠陥等のフィラメントを介して導通し、又は、切り離される。
【0259】
また、メモリセルアレイMCAは、PCRAM(Phase ChangeRandom Access Memory)又はPCM(Phase Change Memory)等の相変化メモリでも良い。相変化メモリは、GeSbTe等のカルコゲナイド膜を含んでいても良い。カルコゲナイド膜の結晶状態は、書込動作に応じて変化するものでも良い。
【0260】
また、
図36の例では、X方向に並ぶ2つの導電層210、及び、X方向に並ぶ2つの導電層230を電気的に接続するための配線d0,d1,d2が、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数の略直線状の部分dyを備えていた。また、
図37の例では、X方向に並ぶ2つの導電層210、及び、X方向に並ぶ2つの導電層230を電気的に接続するための配線d0,d1,d2が、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数の略直線状の部分dxを備えていても良い。しかしながら、この様な構成はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成は適宜調整可能である。例えば、
図20の例において、X方向に並ぶ2つの導電層210、及び、X方向に並ぶ2つの導電層230を電気的に接続するための配線m0a,m1aが、Y方向に延伸しX方向に並ぶ複数の略直線状の部分を備えていても良い。同様に、
図20の例において、X方向に並ぶ2つの導電層210、及び、X方向に並ぶ2つの導電層230を電気的に接続するための配線m0a,m1aが、X方向に延伸しY方向に並ぶ複数の略直線状の部分を備えていても良い。
【0261】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0262】
110,200,210,220,230…導電層、120…半導体層、130…ゲート絶縁膜。