(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114048
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/29 20060101AFI20220729BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H01L23/36 A
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010158
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】伊東 昌治
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA04
5F136BB05
5F136BB18
5F136BC07
5F136DA22
5F136DA27
5F136EA70
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA14
5F136FA15
5F136FA52
5F136FA63
5F136GA31
(57)【要約】
【課題】パワーモジュールにおいてパワー半導体素子の両面から放熱させて放熱性能を向上させる技術を提供する。
【解決手段】パワーモジュール100は、パワー半導体素子1と、パワー半導体素子1の下面1a側に設けた第1放熱構造10と、上面1b側に設けた第2放熱構造20と、パワー半導体素子1と第1放熱構造10とをシンタリングペーストにより接合する第1接合層12と、パワー半導体素子1と第2放熱構造20との間のスペーサー30と、第2放熱構造20とスペーサー30とをシンタリングペーストにより接合する第2接合層22と、パワー半導体素子1とスペーサー30とをシンタリングペーストにより接合する第3接合層32と、第1放熱構造10と第2放熱構造20との間の領域においてパワー半導体素子1、スペーサー30及び第1~第3接合層12、22、32が設けられていない領域をモールド封止材により封止した封止材層50とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー半導体素子と、
前記パワー半導体素子の一方の面側に設けた第1放熱構造と、
前記パワー半導体素子の他方の面側に設けた第2放熱構造と、
前記パワー半導体素子と前記第1放熱構造とをシンタリングペーストにより接合する第1接合層と、
前記パワー半導体素子と前記第2放熱構造との間に設けたスペーサーと、
前記第2放熱構造と前記スペーサーとをシンタリングペーストにより接合する第2接合層と、
前記パワー半導体素子と前記スペーサーとをシンタリングペーストにより接合する第3接合層と、
前記第1放熱構造と前記第2放熱構造との間の領域において、前記パワー半導体素子、前記スペーサー及び前記第1~第3接合層が設けられていない領域をモールド封止材により封止した封止材層と、
を有するパワーモジュール。
【請求項2】
前記第1放熱構造は、
前記第1接合層と一方の面に接合する第1金属回路基板と、
前記第1金属回路基板の他方の面に設けられ、第1ヒートシンクを接合するために設けられた第1放熱シートと、
を有する、請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記第1放熱構造は、前記第1ヒートシンクを有する、請求項2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記第2放熱構造は、
前記第2接合層と一方の面に接合する第2金属回路基板と、
前記第2金属回路基板の他方の面に設けられ、第2ヒートシンクを接合するために設けられた第2放熱シートと、
を有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記第2放熱構造は、前記第2ヒートシンクを有する、請求項4に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記スペーサーの厚さ方向中心から前記第1放熱構造までの積層方向の第1の熱抵抗R1と、前記スペーサーの厚さ方向中心から前記第2放熱構造までの積層方向の第2の熱抵抗R2との比R1/R2が0.7以上1.3以下である、請求項1から5までのいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記第1の熱抵抗R1及び前記第2の熱抵抗R2は0.05(K/W)以上0.5(K/W)以下である、請求項6に記載のパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーモジュールに係り、例えばパワー半導体素子と、パワー半導体素子の両方の面に設けた金属回路基板(伝熱金属層)と、を有すパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体素子を伝熱用の金属回路基板を設けたパワーモジュールの市場が拡大している。そのようなパワーモジュールでは、高い放熱性を実現するために各種の技術が提案されている。例えば、高熱伝導性のフィラーと結晶性ポリマーとを含み、一体成形されたフィン付きヒートシンクおよび基材と、前記基材上に形成され、絶縁性の熱伝導性フィラーと結晶性ポリマーとを含む絶縁層と、前記絶縁層上に形成された金属層とを有し、前記フィン付きヒートシンクおよび基材中の高熱伝導性フィラーの含有率が15~65vol%であり、前記絶縁層中の熱伝導性フィラーの含有率が15~65vol%であるフィン付きヒートシンク一体回路基板用積層板が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のパワーモジュール構造では、「チップ(パワー半導体素子)/はんだ/DBC(Direct Bonded Copper)基板/はんだ/放熱フィン」といった積層構造となっていた。チップ(パワー半導体素子)とDBC基板の接合および、DBC基板と放熱フィンの接合には、はんだを使用していた。パワーモジュールが動作した際に、チップ(パワー半導体素子)が発熱するが、上述の構造ではその放熱が十分ではなく、対策の技術が求められていた。また、チップ(パワー半導体素子)の両面から効率よく放熱する技術が求められていた。
【0005】
本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであって、パワー半導体素子を備えるパワーモジュールにおいて、パワー半導体素子の両面から放熱させ放熱性能を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
パワー半導体素子と、
前記パワー半導体素子の一方の面側に設けた第1放熱構造と、
前記パワー半導体素子の他方の面側に設けた第2放熱構造と、
前記パワー半導体素子と前記第1放熱構造とをシンタリングペーストにより接合する第1接合層と、
前記パワー半導体素子と前記第2放熱構造との間に設けたスペーサーと、
前記第2放熱構造と前記スペーサーとをシンタリングペーストにより接合する第2接合層と、
前記パワー半導体素子と前記スペーサーとをシンタリングペーストにより接合する第3接合層と、
前記第1放熱構造と前記第2放熱構造との間の領域において、前記パワー半導体素子、前記スペーサー及び前記第1~第3接合層が設けられていない領域をモールド封止材により封止した封止材層と、
を有するパワーモジュールが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パワー半導体素子を備えるパワーモジュールにおいて、パワー半導体素子の両面から放熱させ放熱性能を向上させる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る、パワーモジュールを模式的に示した断面図である。
【
図2】実施形態に係る、パワーモジュールを模式的に示した断面図であって、パワー半導体素子が設けられた領域を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
【0010】
<発明の概要>
<パワーモジュール100>
本実施形態に係るパワーモジュール100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るパワーモジュール100を模式的に示した断面図である。
図2は、パワーモジュール100のパワー半導体素子1が設けられている領域の断面構造を拡大して示した図である。説明を簡単にするため、パワーモジュール100の各構成要素の位置関係(上下関係等)が各図に示す関係であるものとして説明を行う場合がある。ただし、この説明における位置関係は、パワーモジュール100の使用時や製造時の位置関係とは無関係である。
【0011】
パワーモジュール100は、パワー半導体素子1と、パワー半導体素子1を支持固定し外部配線との電気的接続するリードフレーム7と、パワー半導体素子1の一方の面側(図示では下面1a側)に設けられた第1放熱構造10と、他方の面側(ここでは上面1b)に設けられた第2放熱構造20と、パワー半導体素子1と第2放熱構造20との間に設けられたスペーサー30と、第1放熱構造10と第2放熱構造20との間の空間に設けられた封止材層50と有する。さらに、パワーモジュール100は、パワー半導体素子1やリードフレーム7と第1放熱構造10とを接続する第1接合層12、スペーサー30と第2放熱構造20とを接続する第2接合層22と、パワー半導体素子1とスペーサー30とを接続する第3接合層32とを有する。
以下、具体的に説明する。
【0012】
<パワー半導体素子1>
パワー半導体素子1は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT;Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオード等である。パワー半導体素子1の上面には図示しない電極パターンが形成され、パワー半導体素子1の下面1aには図示しない導電パターンが形成されている。
パワー半導体素子1の下面1aは、接合層である第1接合層12を介して第1放熱構造10に接合されている。パワー半導体素子1の上面1bの電極パターンは、リードフレーム7に対して電気的に接続されている。
【0013】
<リードフレーム7>
リードフレーム7は、パワー半導体素子1を支持固定し、また外部配線との電気的接続をするものであって、銅や鉄などの金属素材の薄板をプレス加工やエッチング加工等によって作られた部品である。
【0014】
<第1放熱構造10>
第1放熱構造10は、図示のように、パワー半導体素子1側から第1Cu回路13と、第1放熱シート14と、第1ヒートシンク15とを有する。
【0015】
<第1Cu回路13>
第1Cu回路13は、導電性を有する金属材料で構成された金属回路基板である。第1Cu回路13の一方の面(図示で上側の面)に形成された回路パターンに、第1接合層12を介して、パワー半導体素子1が設けられている。
【0016】
第1Cu回路13は、厚銅(圧延銅)をパターンニングした回路基板である。第1Cu回路13を構成する金属材料には、例えば、厚銅(圧延銅)を好適に用いることができる。これにより、第1Cu回路13は、比較的抵抗値が小さくなる。なお、第1Cu回路13は、その少なくとも一部がソルダーレジスト層で覆われていてもよい。
【0017】
第1Cu回路13は、例えば、第1ヒートシンク15(Cuベースプレート)の基部15aの上面に第1放熱シート14を介して積層された金属層(厚銅など)を切削及びエッチングにより所定のパターンに加工することにより形成されたり、または予め所定のパターンに加工された状態で第1放熱シート14により第1Cu回路13に貼りつけられる。
【0018】
第1Cu回路13の厚さの下限値は、例えば、0.3mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、第1Cu回路13の発熱を抑えることができる。また、第1Cu回路13の厚さの上限値は、例えば、5.0mm以下であり、好ましくは4.0mm以下であり、さらに好ましくは3.0mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、製品全体としての薄型化を図ることができる。
【0019】
<第1放熱シート14>
第1放熱シート14は、第1Cu回路13と第1ヒートシンク15(Cuベースプレート)の間に配置される。パワー半導体素子1の熱を第1Cu回路13で受け、さらに、第1放熱シート14を介して放熱手段である第1ヒートシンク15(Cuベースプレート)に伝熱される。これにより、パワーモジュール100の絶縁性を保ちつつ、発熱体であるパワー半導体素子1から生じる熱(特に下面1a側から生じる熱)を、パワーモジュール100の外部へ効果的に放散させることができる。このため、半導体装置の絶縁信頼性を向上させることが可能となる。
【0020】
第1放熱シート14の平面形状は、特に限定されず、第1Cu回路13や第1ヒートシンク15の形状に合わせて適宜選択することが可能であるが、たとえば矩形とすることができる。第1放熱シート14の膜厚は、例えば50μm以上250μm以下である。これにより、機械的強度や耐熱性の向上を図りつつ、第1Cu回路13の熱をより効果的に第1ヒートシンク15へ伝えることができる。さらに、第1放熱シート14の放熱性と絶縁性のバランスが優れる。第1放熱シート14の熱伝導率として、特に限定はしないが、好ましくは10W/mK(175℃)以上、より好ましくは15W/mK(175℃)以上のものが用いられる。
【0021】
[第1放熱シート14の材質]
第1放熱シート14は、例えば樹脂シートであって、シート用樹脂組成物を用いて形成されている。以下、シート用樹脂組成物について説明する。
本実施形態において、シート用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)、充填剤(B)、および硬化剤(C)などを含むことが好ましい。熱硬化性樹脂を含む場合、樹脂シートは、熱硬化性樹脂(A)をBステージ化したものである。
【0022】
[熱硬化性樹脂(A)]
熱硬化性樹脂(A)としては、たとえば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、フェノキシ樹脂、およびアクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂(A)として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
なかでも、高い絶縁性を有する観点から、熱硬化性樹脂(A)としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、およびフェノキシ樹脂であることが好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'-(1,3-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'-(1,4-フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'-シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノール基メタン型ノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
エポキシ樹脂の中でも、耐熱性および絶縁信頼性をより一層向上できる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0025】
フェノール樹脂としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、およびレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
フェノール樹脂の中でも、フェノールノボラック樹脂であることが好ましい。
【0026】
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、シート用樹脂組成物全量に対し、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、シート用樹脂組成物全量に対し、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であると、シート用樹脂組成物のハンドリング性が向上し、樹脂シートを形成するのが容易となるとともに、樹脂シートの強度が向上する。
熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であると、樹脂シートの線膨張率や弾性率がより一層向上したり、熱伝導性がより一層向上したりする。
【0027】
[充填剤(B)]
本実施形態における充填剤(B)は、樹脂シートの熱伝導性を向上させるとともに強度を得る観点から用いられる。
【0028】
充填剤(B)としては、熱伝導性フィラーであることが好ましい。より具体的には、充填剤(B)としては、熱伝導性と電気絶縁性とのバランスを図る観点から、たとえば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、および炭化ケイ素等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なかでも、充填剤(B)は、アルミナ、窒化ホウ素であることが好ましい。
【0029】
充填剤(B)の含有量は、シート用樹脂組成物全量に対し、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。一方、熱伝導性の観点から、当該含有量は、シート用樹脂組成物全量に対し、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0030】
[硬化剤(C)]
シート用樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)としてエポキシ樹脂、またはフェノール樹脂を用いる場合、さらに硬化剤(C)を含むことが好ましい。
【0031】
硬化剤(C)としては、硬化触媒(C-1)およびフェノール系硬化剤(C-2)から選択される1種以上を用いることができる。
硬化触媒(C-1)としては、たとえば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類;2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジエチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、1,2-ビス-(ジフェニルホス
フィノ)エタン等の有機リン化合物;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸;等、またはこの混合物が挙げられる。硬化触媒(C-1)として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用したりすることもできる。
硬化触媒(C-1)の含有量は、特に限定されないが、シート用樹脂組成物全量に対し、0.001質量%以上1質量%以下が好ましい。
【0032】
また、フェノール系硬化剤(C-2)としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリスフェノールメタン型ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、アミノトリアジンノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物;レゾール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、ガラス転移温度の向上及び線膨張係数の低減の観点から、フェノール系硬化剤(C-2)がノボラック型フェノール樹脂またはレゾール型フェノール樹脂が好ましい。
【0033】
フェノール系硬化剤(C-2)の含有量は、特に限定されないが、シート用樹脂組成物全量に対し、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、シート用樹脂組成物全量に対し、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
【0034】
[カップリング剤(D)]
シート用樹脂組成物は、カップリング剤(D)を含んでもよい。カップリング剤(D)は、熱硬化性樹脂(A)と充填剤(B)との界面の濡れ性を向上させることができる。
【0035】
カップリング剤(D)としては、特に限定されないが、たとえば、エポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種または2種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。
カップリング剤(D)の含有量は、特に限定されないが、充填剤(B)100質量%に対して、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、当該含有量は、充填剤(B)100質量%に対して、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0036】
[フェノキシ樹脂(E)]
さらに、シート用樹脂組成物は、フェノキシ樹脂(E)を含んでもよい。フェノキシ樹脂(E)を含むことにより樹脂シート(すなわち第1放熱シート14)の耐屈曲性を向上できる。
また、フェノキシ樹脂(E)を含むことにより、樹脂シートの弾性率を低下させることが可能となり、樹脂シートの応力緩和力を向上させることができる。
【0037】
また、フェノキシ樹脂(E)を含むと、粘度上昇により、流動性が低減し、ボイド等が発生することを抑制できる。また、樹脂シートを金属部材と密着させて用いる場合などに、金属とシート用樹脂組成物の硬化体との密着性を向上できる。これらの相乗効果により、半導体装置の絶縁信頼性をより一層高めることができる。
【0038】
フェノキシ樹脂(E)としては、たとえば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹
脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、およびビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
【0039】
フェノキシ樹脂(E)の含有量は、たとえば、シート用樹脂組成物全量に対して、3質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0040】
[その他の成分]
シート用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、ほかに酸化防止剤、レベリング剤等を含むことができる。
【0041】
<第1ヒートシンク15>
第1ヒートシンク15は、Cuベースプレートとも呼ばれる放熱部材の一種であって、銅の板状の基部15aと、基部15aの下面から一体に延出する複数のフィン部15Bを有する。
第1ヒートシンク15は、Cuベースプレートの他に、例えばアルミニウムのベースプレートが採用されてもよい。また、パワー半導体素子1の発熱を第1Cu回路13を介して取得して他に逃がす機能を有すれば、一般的な放熱部材に限らず、他の構成の一部(例えばハウジング)などであってもよい。その場合であっても、第1放熱シート14を用いることができる。
【0042】
<第1接合層12>
第1接合層12は、金属粒子が含有されたシンタリングペーストを焼結させた接合層である。シンタリングペーストとしては、銀粒子を含有するAgシンタリングペースト、アルミニウム粒子を含有するALシンタリングペースト、銅粒子を含有するCuシンタリングペーストのいずれかを用いることができる。
【0043】
パワー半導体素子1と第1Cu回路13との間に上記のようなシンタリングペーストを設けて積層し、焼結工程により、パワー半導体素子1と第1Cu回路13が第1接合層12により接合される。第1Cu回路13とリードフレーム7とが第1接合層12により接合されている。
第1接合層12では、金属粒子によるシンタリングネットワーク(金属結合バス)が形成されており、高熱伝導性や低い電気抵抗が実現される。なお、第1接合層12による接合性の向上の観点から、第1Cu回路13やリードフレーム7に、シンタリングペーストに含有される金属によるメッキの表面処理が施されてもよい。具体的には、本実施形態では、第1Cu回路13やリードフレーム7の表面にAgメッキが施されてもよい。
【0044】
<第2放熱構造20>
第2放熱構造20は、図示のように、パワー半導体素子1側(すなわちスペーサー30側)から第2Cu回路23と、第2放熱シート24と、第2ヒートシンク25とを有する。
【0045】
<第2Cu回路23>
第2Cu回路23は、第1Cu回路13と同様に、導電性を有する金属材料で構成された金属回路基板である。第2Cu回路23の一方の面(図示で下側の面)に形成された回路パターンに、第2接合層22を介して、スペーサー30と接合される。また、スペーサー30が設けられていない領域では、封止材層50に接合される。
【0046】
第2Cu回路23は、厚銅(圧延銅)をパターンニングした回路基板であってもよく、パターンニングせず厚銅をそのまま用いられた構成であってもよい。第2Cu回路23を構成する金属材料には、例えば、厚銅(圧延銅)を好適に用いることができる。これにより、第2Cu回路23は、比較的抵抗値が小さくなる。なお、第2Cu回路23は、その少なくとも一部がソルダーレジスト層で覆われていてもよい。
【0047】
第2Cu回路23は、例えば、第2ヒートシンク25(Cuベースプレート)の基部25aの下面に第2放熱シート24を介して積層された金属層(厚銅など)を切削及びエッチングにより所定のパターンに加工することにより形成されたり、または予め所定のパターンに加工された状態で第2放熱シート24により第2Cu回路23に貼りつけられる。
【0048】
第2Cu回路23の厚さの下限値は、例えば、0.3mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、第2Cu回路23の発熱を抑えることができる。また、第2Cu回路23の厚さの上限値は、例えば、5.0mm以下であり、好ましくは4.0mm以下であり、さらに好ましくは3.0mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、製品全体としての薄型化を図ることができる。
【0049】
<第2放熱シート24>
第2放熱シート24は、第2Cu回路23と第2ヒートシンク25(Cuベースプレート)の間に配置される。パワー半導体素子1の熱をスペーサー30を介して第2Cu回路23で受け、さらに、第2放熱シート24を介して放熱手段である第2ヒートシンク25に伝熱する。これにより、パワーモジュール100の絶縁性を保ちつつ、発熱体であるパワー半導体素子1から生じる熱(特に上面1b側から生じる熱)を、パワーモジュール100の外部へ効果的に放散させることができる。このため、半導体装置の絶縁信頼性を向上させることが可能となる。
【0050】
第2放熱シート24の形状や物性は、上述の第1放熱シート14と同様である。すなわち、第2放熱シート24の平面形状は、特に限定されず、第2Cu回路23や第2ヒートシンク25の形状に合わせて適宜選択することが可能であるが、たとえば矩形とすることができる。第2放熱シート24の膜厚は、例えば50μm以上250μm以下である。これにより、機械的強度や耐熱性の向上を図りつつ、第2Cu回路23の熱をより効果的に第2ヒートシンク25へ伝えることができる。さらに、第2放熱シート24の放熱性と絶縁性のバランスが優れる。第2放熱シート24の熱伝導率として、特に限定はしないが、好ましくは10W/mK(175℃)以上、より好ましくは15W/mK(175℃)以上のものが用いられる。
なお、第2放熱シート24の材質は、第1放熱シート14の材質で説明したものを用いることができる。第1放熱シート14と第2放熱シート24の材質や膜厚は全く同じでもよいし、上記の範囲内で異ってもよい。
【0051】
<第2ヒートシンク25>
第2ヒートシンク25は、第1ヒートシンク15と同様に、Cuベースプレートとも呼ばれる放熱部材の一種であって、銅の板状の基部25aと、基部25aの上面から一体に延出する複数のフィン部25bを有する。
第2ヒートシンク25は、Cuベースプレートの他に、例えばアルミニウムのベースプレートが採用されてもよい。また、パワー半導体素子1の発熱をスペーサー30、第2Cu回路23を介して取得して他に逃がす機能を有すれば、一般的な放熱部材に限らず、他の構成の一部(例えばハウジング)などであってもよい。その場合であっても、第2放熱シート24を用いることができる。
【0052】
<第2接合層22>
第2接合層22は、第1接合層12と同様に、金属粒子が含有されたシンタリングペーストを焼結させた接合層である。シンタリングペーストとしては、銀粒子を含有するAgシンタリングペースト、アルミニウム粒子を含有するALシンタリングペースト、銅粒子を含有するCuシンタリングペーストのいずれかを用いることができる。
【0053】
スペーサー30と第2Cu回路23との間に上記のようなシンタリングペーストを設けて積層し、焼結工程により、スペーサー30と第2Cu回路23が第2接合層22により接合される。
【0054】
<スペーサー30>
スペーサー30は、パワー半導体素子1とパワー半導体素子1の上側に配置された第2放熱構造20との間の距離を所定長に調整するものである。スペーサー30は例えば金属製であり、具体的には、銅(銅合金を含む)やアルミニウム(アルミニウム合金を含む)等である。スペーサー30の上側は、第2接合層22を介して第2放熱構造20の第2Cu回路23に接合される。また、スペーサー30の下側は、後述の第3接合層32を介してパワー半導体素子1に接合される。
【0055】
スペーサー30により、パワー半導体素子1の上側方向の放熱特性を調整することができる。また、パワー半導体素子1やリードフレーム7等を封止する封止材層50を形成する際に、封止材の流動を適切に調整できる。
【0056】
<第3接合層32>
第3接合層32は、第1接合層12や第2接合層22と同様に、金属粒子が含有されたシンタリングペーストを焼結させた接合層である。シンタリングペーストとしては、銀粒子を含有するAgシンタリングペースト、アルミニウム粒子を含有するALシンタリングペースト、銅粒子を含有するCuシンタリングペーストのいずれかを用いることができる。
【0057】
スペーサー30とパワー半導体素子1との間に上記のようなシンタリングペーストを設けて積層し、焼結工程により、スペーサー30とパワー半導体素子1が第3接合層32により接合される。
【0058】
<封止材層50>
封止材層50は、例えばモールド樹脂であって、パワー半導体素子1やスペーサー30等のような、第1放熱構造10と第2放熱構造20との間の構成要素を内部に一体封止している。封止材層50に用いられる封止材として、モールド樹脂の他に、シリコーンゲルなどが用いられてもよい。以下では、モールド樹脂で一体封止する構成について説明する。
【0059】
この封止において、リードフレーム7の一部が封止され、封止されない他部は、外部機器に接続される。また、第1ヒートシンク15については、第1ヒートシンク15の基部15aの上面及び側面が、封止材層50により覆われ封止されている。第1ヒートシンク15の下面及びフィン部15Bは封止材層50に覆われていない。すなわち、封止材層50は、第1ヒートシンク15の基部15aの厚さ方向の側面の一部又は全部を覆うように、パワー半導体素子1を覆って封止している。ここでは、第1ヒートシンク15の基部15aの側面の全てが封止材層50により覆われている構成を例示している。第1ヒートシンク15の一部または全部を封止材層50が覆う構成にすることで、パワーモジュール100としての強度と放熱性のバランスをとることが容易になる。
【0060】
[封止材層50(モールド樹脂)の成分]
封止材層50のモールド樹脂は、熱硬化性樹脂(A)および無機充填材(B)を含む熱硬化性組成物(C)の硬化体である。熱硬化性組成物(C)には、硬化促進剤(D)が含まれる。
【0061】
[硬化促進剤(D)]
本実施形態の硬化促進剤(D)は、活性が強いものである。これにより、低温硬化を実現する一方で、特段の工夫をせずにそのまま用いると保存中に反応が進行する等し、保存性が低下する。
硬化促進剤(D)としては、たとえば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、または、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、イミダゾール等のアミジン系化合物;ベンジルジメチルアミン等の3級アミン、アミジニウム塩、またはアンモニウム塩等の窒素原子含有化合物等が挙げられる。
なかでも、硬化促進剤(D)が、イミダゾール系硬化促進剤またはリン系硬化促進剤であることが好ましい。イミダゾール系硬化促進剤として、例えば、アミジン系化合物のイミダゾール化合物を含むことがより好ましい。イミダゾール化合物としては、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、イダゾール-2-カルボアルデヒド、5-アザベンゾイミダゾール、4-アザベンゾイミダゾール等が挙げられるがこれらに限定されない。中でも、2-メチルイミダゾールが好ましく用いられる。
【0062】
封止樹脂組成物中における硬化促進剤(D)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
硬化促進剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物を適切に硬化しやすくなる。一方、硬化促進剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、溶融状態を長くし、より低粘度状態を長くできる結果、低温封止を実現しやすくなる。
【0063】
[熱硬化性樹脂(A)]
熱硬化性樹脂(A)としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびポリウレタン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を含むことが好ましく、エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
【0064】
エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、アルコキシナフタレン骨格含有フェノールアラルキルエポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、パワーモジュール100の信頼性、および成形性のバランスを向上させる観点からは、アラルキル型エポキシ樹脂およびナフチルエーテル型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一方を用いることがより好ましい。
【0065】
熱硬化性樹脂(A)の150℃におけるICI粘度は、無機充填材(B)の含有量により適宜設定されることが好適であるが、たとえば、上限値は、好ましくは60ポアズ以下であり、より好ましくは50ポアズ以下であり、さらに好ましくは40ポアズ以下である。これにより、封止用樹脂組成物の流動性を向上させ、また、低温封止を実現しやすくする。
一方、熱硬化性樹脂(A)の150℃におけるICI粘度の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01ポアズ以上としてもよい。なお、1ポアズは、0.1Pa・sである。
【0066】
熱硬化性樹脂(A)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、2質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂(A)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物の流動性や成型性をより効果的に向上させることができる。また、熱硬化性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、パワーモジュール100の信頼性をより効果的に向上させることができる。より具体的には、封止樹脂組成物の硬化性向上や樹脂の線膨張率を低下させ信頼性を向上させることができる。
【0067】
[無機充填材(B)]
無機充填材(B)としては、例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、タルク、クレイ、マイカ、ロックウール、ウォラストナイト、ガラスパウダー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスファイバー、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミ、カーボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、セルロース、アラミド、または木材等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0068】
上記のシリカとしては、結晶性シリカ(破砕状の結晶性シリカ)、溶融シリカ(破砕状のアモルファスシリカ、球状のアモルファスシリカ)、および液状封止シリカ(液状封止用の球状のアモルファス止シリカ)が挙げられる。なかでも、流動性向上、充填性の観点から、溶融球状シリカであることが好ましい。
【0069】
無機充填剤(B)の平均粒径は、特に限定されないが、典型的には1~100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~20μmである。平均粒径が適当であることにより、金型キャビティ内での半導体素子周辺への充填性を高めることができる。
なお、無機充填材(B)の体積基準粒度分布は、市販のレーザー式粒度分布計(たとえば、株式会社島津製作所製、SALD-7000)で測定することができる。
【0070】
無機充填材(B)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、65質量%以上85質量%以下であることがさらに好ましい。
無機充填材(B)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物の硬化性向上や樹脂の線膨張率を低下させ信頼性を向上させることができる。また、無機充填材(B)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性をより効果的に向上させることが可能となる。
【0071】
本実施形態の封止樹脂組成物は、上記以外に、以下の成分を含んでもよい。
[硬化剤(C)]
封止樹脂組成物は、硬化剤(C)を含むことができる。硬化剤(C)としては、熱硬化性樹脂(A)と反応して硬化させるものであればとくに限定されないが、たとえば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、および、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2~20の直鎖脂肪族ジアミン、ならびに、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4-アミノフェニル)フェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン、ジシアノジアミド等のアミン類;アニリン変性レゾール樹脂、ジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル樹脂;ナフタレン骨格やアントラセン骨格のような縮合多環構造を有するフェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)等の脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等を含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテル等のポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネート等のイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂等の有機酸類が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、半導体チップが高温になっても信頼性を損なわないため、高Tgを発現するフェノールノボラック型樹脂(PN)やトリフェノールメタン型フェノール樹脂(MF)、ビフェニル骨格含有多官能フェノール樹脂(多価MAR)、ビナフタレン型フェノール樹脂(ナフタレンレジン)を使用することが好ましい。
【0072】
封止樹脂組成物中における硬化剤(C)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、1質量%以上12質量%以下であることが好ましく、3質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
硬化剤(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物を適切に硬化しやすくなる。一方、硬化剤(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、適度な流動性を保持し、硬化しやすくなる。
【0073】
[カップリング剤(E)]
封止樹脂組成物は、たとえばカップリング剤(E)を含むことができる。カップリング剤(E)としては、たとえばエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤を用いることができる。
より具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-[ビス(β-ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(β-アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルーブチリデン)プロピルアミンの加水分解物等のシラン系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等のチタネート系カップリング剤が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
封止樹脂組成物中におけるカップリング剤(E)の含有量は、とくに限定されないが、たとえば封止樹脂組成物全体に対して、0.05質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがさらに好ましい。カップリング剤(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、封止樹脂組成物中における無機充填材(B)分散性を良好なものとすることができる。また、カップリング剤(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、封止樹脂組成物の流動性を良好なものとし、成形性の向上を図ることができる。
【0075】
さらに、本実施形態の封止樹脂組成物は、上記成分の他に、たとえば、カーボンブラック等の着色剤;天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸もしくはその金属塩類、パラフィン、酸化ポリエチレン等の離型剤;ハイドロタルサイト等のイオン捕捉剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力剤;水酸化アルミニウム等の難燃剤;酸化防止剤等の各種添加剤を含むことができる。
【0076】
<パワーモジュール100の積層構造の熱抵抗>
パワーモジュール100の積層構造における熱抵抗について説明する。以下では、スペーサー30の厚さ方向中心30Cから第1放熱構造10までの積層方向の第1の熱抵抗(R1)と、第2放熱構造20までの積層方向の第2の熱抵抗(R2)との関係を説明する。
【0077】
スペーサー30の厚さ方向中心30Cから前記第1放熱構造10までの積層方向の第1の熱抵抗R1と、スペーサー30の厚さ方向中心30Cから第2放熱構造20までの積層方向の第2の熱抵抗R2との比R1/R2が、0.7以上1.3以下であり、好ましくは0.8以上1.2以下であり、より好ましくは0.9以上1.1以下である。
また、第1の熱抵抗R1及び第2の熱抵抗R2は0.05K/W以上0.5K/W以下であり、好ましくは0.06K/W以上0.45K/W以下、より好ましくは0.07K/W以上0.40K/W以下である。
【0078】
ここで、第1の熱抵抗R1は、スペーサー30の厚さ方向下側半分の熱抵抗R11、第3接合層32の熱抵抗R12、パワー半導体素子1の熱抵抗R13、第1接合層12の熱抵抗R14及び第1放熱構造10の熱抵抗R15の合計(R11+R12+R13+R14+R15)である。第1放熱構造10の熱抵抗R15は、第1Cu回路13の熱抵抗R16、第1放熱シート14の熱抵抗R17及び第1ヒートシンク15の熱抵抗R18の合計(R16+R17+R18)である。
【0079】
第2の熱抵抗R2は、スペーサー30の厚さ方向上側半分の熱抵抗R21、第2接合層22の熱抵抗R22、及び第2放熱構造20の熱抵抗R23の合計(R21+R22+R23)である。第2放熱構造20の熱抵抗R23は、第2Cu回路23の熱抵抗R24、第2放熱シート24の熱抵抗R25及び第2ヒートシンク25の熱抵抗R26の合計(R24+R25+R26)である。
【0080】
比(R1/R2)が上記範囲にあることで、パワーモジュール100の厚さ方向の熱抵抗の調整が容易となる。また、第1の熱抵抗R1及び前記第2の熱抵抗R2を上記範囲とすることで、パワー半導体素子1で発生した熱を速やかに外部に逃がすことができる。
【0081】
<パワーモジュール100の特徴・効果>
本実施形態の特徴・効果をまとめると次の通りである。
(1)パワーモジュール100は、
パワー半導体素子1と、
前記パワー半導体素子1の一方の面側(図示では下面1aの側)に設けた第1放熱構造10と、
前記パワー半導体素子1の他方の面側(図示では上面1bの側)に設けた第2放熱構造20と、
前記パワー半導体素子1と前記第1放熱構造10とをシンタリングペーストにより接合する第1接合層12と、
前記パワー半導体素子1と前記第2放熱構造20との間に設けたスペーサー30と、
前記第2放熱構造20と前記スペーサー30とをシンタリングペーストにより接合する第2接合層22と、
前記パワー半導体素子1と前記スペーサー30とをシンタリングペーストにより接合する第3接合層32と、
前記第1放熱構造10と前記第2放熱構造20との間の領域において、前記パワー半導体素子1、前記スペーサー30及び前記第1~第3接合層12、22、32が設けられていない領域をモールド封止材により封止した封止材層50と、
を有する。
このような構成とすることで、パワーモジュール100の放熱性能を良好にできる。具体的には、パワー半導体素子1と第1接合層12やスペーサー30との接合に、スペーサー30と第2放熱構造20(すなわち第2Cu回路23)との接合に、はんだの代わりにシンタリングペーストを用いた第1~第3接合層12、22、32を用いた。シンタリング層(シンタリングペースト)は高い熱伝導率を有することからパワー半導体素子1の発熱を効果的に外部に逃がすことができる。
また、パワー半導体素子1の上面1bと第2放熱構造20との間に、スペーサー30を設けたことで、パワー半導体素子1の上側方向の放熱特性を調整することができる。また、パワー半導体素子1やリードフレーム7等を封止する封止材層50を形成する際に、封止材の流動を適切に調整できる。
また、封止材層50をモールド樹脂とすることで、パワー半導体素子1を有するパワーモジュールにおいて、小型化や薄型化に対応することが一層容易になる。
【0082】
(2)前記第1放熱構造10は、
前記第1接合層12と一方の面に接合する第1金属回路基板(第1Cu回路13)と、
前記第1金属回路基板(第1Cu回路13)の他方の面に設けられ、第1ヒートシンク15を接合するために設けられた第1放熱シート14と、
を有する。
このような構成によりパワー半導体素子1の発熱を効果的に外部(特に図示下側方向から)に逃がすことができる。その結果、パワー半導体素子1における最大温度を低下させることができ、電気特性の向上が実現できる。また、放熱性が向上することで、継続使用における熱ストレスが低減し、第1接合層12や第1放熱シート14などのような接合部分の信頼性が向上する。
【0083】
(3)前記第1放熱構造10は、前記第1ヒートシンク15を有する。
(4)前記第2放熱構造20は、
前記第2接合層22と一方の面に接合する第2金属回路基板(第2Cu回路23)と、
前記第2金属回路基板(第2Cu回路23)の他方の面に設けられ、第2ヒートシンク25を接合するために設けられた第2放熱シート24と、
を有する。
このような構成によりパワー半導体素子1の発熱を効果的に外部(特に図示上側方向から)に逃がすことができる。その結果、パワー半導体素子1における最大温度を低下させることができ、電気特性の向上が実現できる。また、放熱性が向上することで、継続使用における熱ストレスが低減し、第2接合層22や第2放熱シート24などのような接合部分の信頼性が向上する。
(5)前記第2放熱構造20は、前記第2ヒートシンク25を有する。
(6)前記スペーサー30の厚さ方向中心30Cから前記第1放熱構造10までの積層方向の第1の熱抵抗R1と、前記スペーサー30の厚さ方向中心30Cから前記第2放熱構造20までの積層方向の第2の熱抵抗R2との比R1/R2が、0.7以上1.3以下である。比(R1/R2)が上記範囲にあることで、パワーモジュール100の厚さ方向の熱抵抗の調整が容易となる。
(7)前記第1の熱抵抗R1及び前記第2の熱抵抗R2は0.05(K/W)以上0.5(K/W)以下である。
第1の熱抵抗R1及び前記第2の熱抵抗R2を上記範囲とすることで、パワー半導体素子1で発生した熱を速やかに外部に逃がすことができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0085】
本発明の実施形態を実施例に基づき説明する。
本実施例では、第1の熱抵抗R1、第2の熱抵抗R2及び比R1/R2に関するシミュレーションを行った。表1にシミュレーション結果を示す。
【0086】
第1の熱抵抗R1に対応する実施形態の構成は、スペーサー30(下側半分)、パワー半導体素子1(Si-IGBT)、第1接合層12(シンタリングペースト層)、第1Cu回路13、第1放熱シート14及び第1ヒートシンク15(Cu)を積層した構成である。本実施例では、第3接合層32を省いた構成でシミュレーションを行っている。
第2の熱抵抗R2に対応する実施形態の構成は、スペーサー30(上側半分)、第1接合層22(シンタリングペースト層)、第2Cu回路23、第2放熱シート24及び第2ヒートシンク25(Cu)を積層した構成である。
【0087】
各構成部材の熱伝導率及び厚み等は表に示した通りである。
このシミュレーション結果は以下の通りであった。
第1の熱抵抗R1=0.31[K/W]
第2の熱抵抗R2=0.30[K/W]
比R1/R2=1.023
【0088】
すなわち、第1の熱抵抗R1及び第2の熱抵抗R2が0.05(K/W)以上0.5(K/W)以下の範囲であった。比R1/R2が0.7以上1.3以下であった。
【0089】