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  • 特開-コンバインの穀稈搬送装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114097
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】コンバインの穀稈搬送装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 61/00 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
A01D61/00 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010232
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森広 忠光
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓喜
【テーマコード(参考)】
2B084
【Fターム(参考)】
2B084AA01
2B084BB03
2B084BB13
2B084BD03
(57)【要約】
【課題】株元側搬送体の駆動スプロケットに対する藁屑類の巻付きを抑制をすると共に、随時に行う目視点検を容易にしながら、一連のメンテナンス作業を簡単且つ能率よく行うことができるコンバインの穀稈搬送装置を提供する。
【解決手段】株元側搬送体6の搬送チェン終端側に上方から覆う巻付防止カバー32を設けると共に、該巻付防止カバー32側から連結部材28を介して穂先側搬送体9を連結支持するコンバインの穀稈搬送装置であって、前記株元側搬送体6の終端側を覆う巻付防止カバー32に、機体内方側に軸支されて搬送チェン29を回転駆動する駆動スプロケット30を上方から脱着可能にするスプロケット開放部33を形成すると共に、該スプロケット開放部33の後方で機体内方側に連結部材28を設ける構成にした。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理装置(2)の上段に、複数の穀稈搬送爪(22)を所定間隔で配設した搬送体を巻回した穂先側搬送体(9)と、その下段に、搬送チェン(29)を巻回した株元側搬送体(6)と扱深さ搬送装置(7)を備え、刈取穀稈の株元側を株元側搬送体(6)の終端側から扱深さ搬送装置(7)に継送し、扱深さ搬送装置(7)により株元側挟持位置を調節しながら後方の脱穀フィードチェン(16)側に向けて挟持搬送するに、株元側搬送体(6)の搬送チェン終端側を上方から覆う巻付防止カバー(32)を設けると共に、該巻付防止カバー(32)側から連結部材(28)を介して穂先側搬送体(9)を連結支持するコンバインの穀稈搬送装置において、
前記株元側搬送体(6)の終端側を覆う巻付防止カバー(32)に、機体内方側に軸支されて搬送チェン(29)を回転駆動する駆動スプロケット(30)を上方から脱着可能にするスプロケット開放部(33)を形成すると共に、該スプロケット開放部(33)の後方で機体内方側に連結部材(28)を設けることを特徴とするコンバインの穀稈搬送装置。
【請求項2】
第2に、前記連結部材(28)を、株元側搬送体(6)と穂先側搬送体(9)とに対し脱着可能に連結する請求項1記載のコンバインの穀稈搬送装置。
【請求項3】
第3に、前記連結部材(28)の基部を、巻付防止カバー(32)の巻込み防止部(32b)の終端側から前後幅を有して立設する起立壁(32c)に着脱自在に取付ける請求項1又は2記載のコンバインの穀稈搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの穀稈搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの前処理装置には、上段と下段に前低後高状の傾斜姿勢で穂先側搬送体及び株元挟持搬送体としての株元側搬送体と扱深さ搬送装置とが配置され、刈取穀稈の株元側を株元側搬送体の終端側から扱深さ搬送装置に継送して株元側挟持位置を調節し、後方の脱穀フィードチェン側に向け扱深さ調節しながら挟持搬送をして脱穀装置に供給するように構成されている。(例えば、特許文献1参照)
上記穀稈搬送装置の株元側搬送体は、搬送チェンの終端分部を支持フレーム(巻付防止カバー)によって上方から覆い、該巻付防止カバーの中央部に突設したL字板(起立壁)に連結部材を着脱可能に取付けて穂先側搬送体を連結支持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4150265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される穀稈搬送装置は、広幅な巻付防止カバーによって株元側搬送体の搬送チェン終端部を、駆動スプロケットとチェン張り機構等を共に覆うため、株元側搬送体の終端で扱深さ搬送装置が扱深作動し継送穀稈が上下動作することに伴って多く生ずる藁屑類が落下しても、これを広いカバー面で受け止めるため、この藁屑類が駆動スプロケットに対し直接的には巻付かない利点がある。
然しながら、上記株元側搬送体と扱深さ搬送装置との継送部では、切り藁や藁埃等の藁屑類が多発してチェンプレートに落下接触すること、及び搬送チェンの搬送回転移動や穀稈の搬送移動に伴なって生ずる気流並びに風向き等によって浮遊する藁屑類が、巻付防止カバーと搬送チェンとの隙間や上下のチェンプレートと隣接するチェンピン間隙等から侵入して持ち込み搬送され、この侵入藁屑類がやがて駆動スプロケット側に硬く巻付くことになるため、穀稈搬送トラブルや巻付防止カバー他の部品破損を惹き起こし易い等の問題がある。
そして、このような巻付きトラブルを回避するため、定期的に巻付防止カバーを外し搬送チェンの終端部を開放した状態で、駆動スプロケットに巻付いている藁屑類を除去する等の清掃が行なわれるが、この際には、先ず連結部材を取外した状態で、巻付防止カバーやチェン張り機構等を除去する必要があるため、整備性に劣り煩雑で非能率なメンテナンス作業を強いられる等の課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、第1に、前処理装置2の上段に、複数の穀稈搬送爪22を所定間隔で配設した搬送体を巻回した穂先側搬送体9と、その下段に、搬送チェン29を巻回した株元側搬送体6と扱深さ搬送装置7を備え、刈取穀稈の株元側を株元側搬送体6の終端側から扱深さ搬送装置7に継送し、扱深さ搬送装置7により株元側挟持位置を調節しながら後方の脱穀フィードチェン16側に向けて挟持搬送するに、株元側搬送体6の搬送チェン終端側を上方から覆う巻付防止カバー32を設けると共に、該巻付防止カバー32側から連結部材28を介して穂先側搬送体9を連結支持するコンバインの穀稈搬送装置において、
前記株元側搬送体6の終端側を覆う巻付防止カバー32に、機体内方側に軸支されて搬送チェン29を回転駆動する駆動スプロケット30を上方から脱着可能にするスプロケット開放部33を形成すると共に、該スプロケット開放部33の後方で機体内方側に連結部材28を設けることを特徴としている。
第2に、前記連結部材28を、株元側搬送体6と穂先側搬送体9とに対し脱着可能に連結することを特徴としている。
第3に、前記連結部材28の基部を、巻付防止カバー32の巻込み防止部32bの終端側から前後幅を有して立設する起立壁32cに着脱自在に取付けることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、刈取穀稈の株元側を株元側搬送体の終端側から扱深さ搬送装置に継送し、扱深さ搬送装置により株元側挟持位置を調節しながら後方の脱穀フィードチェン側に向けて挟持搬送するに、株元側搬送体の搬送チェン終端側を上方から覆う巻付防止カバーを設けると共に、該巻付防止カバー側から連結部材を介して穂先側搬送体を連結支持するコンバインの穀稈搬送装置において、前記株元側搬送体の終端側を覆う巻付防止カバーに、機体内方側に軸支されて搬送チェンを回転駆動する駆動スプロケットを上方から脱着可能にするスプロケット開放部を形成すると共に、該スプロケット開放部の後方で機体内方側に連結部材を設けることにより、
前記巻付防止カバーは搬送チェンの終端における刈取穀稈の直接的な巻付きを防止しながら、後方上方から落下してくる藁屑類を連結部材によってスプロケット開放部内への直接的な侵入を防止するので、巻付防止カバーを取外すことなく常時開口させているスプロケット開放部を介し、駆動スプロケットに対する藁屑類の除去や清掃等のメンテナンス作業を行い易くすることができる。
請求項2に係る発明によれば、前記連結部材を株元側搬送体と穂先側搬送体とに対し脱着可能に連結することにより、
株元側搬送体の終端側に着脱可能に設ける連結部材は、株元側搬送体側から穂先側搬送体の中途部を安定よく連結支持すると共に、取外した場合には、穂先側搬送体と株元側搬送体との間のスペースを広くした状態でスプロケット開放部の外方側を大きく開放するので、連結部材に支障されることなく、駆動スプロケットを取外して行う藁屑類の除去や清掃等各種のスペース内メンテナンス作業を能率よく行うことができる。
請求項3に係る発明によれば、前記連結部材の基部を、巻付防止カバーの巻込み防止部の終端側から前後幅を有して立設する起立壁に着脱自在に取付けることにより、
巻込み防止部の終端側から起立する起立壁は、巻付防止カバーのカバー面に落下する藁屑類を起立後端面側から即時的に受けながら、連結部材の基部を取付ける前後幅によって藁屑類の内方側への移動を規制して排出方向に向けて排出案内するため、スプロケット開放部内への藁屑類の侵入を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】コンバインの全体構造を示す左側面図である。
図2】6条刈りコンバインの前処理部搬送経路を模式的に示す平面図である。
図3】穂先側搬送体と株元側搬送体及び扱深さ搬送装置の構成を示す左側面図である。
図4】株元側搬送体の平面図である。
図5】株元側搬送体の終端部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。先ず、図1は本発明を実施した6条刈取型のコンバインAの全体構成を示す側面図であり、図2は前処理装置搬送経路を模式的に示す平面図であり、これらを参照し概要構造について説明する。符号1はコンバイン機体、2は前処理装置であって、該前処理装置2には通常のコンバインと同様に、前方より複数のディバイダ3・・・や穀稈引起装置4・・・が備えられ、その後方には下部側に掻込搬送装置5,株元側搬送体6,扱深さ搬送装置7及び刈刃8等が、上部側には前後方向に長い穂先側搬送体9が設けられており、該穂先側搬送体9の中間位置と株元側搬送体6の後端部とを本発明に係る巻付き防止機構10と連結機構11を介して連結している。
尚、刈刃8の刈り幅上方には、掻込搬送装置5の各掻込み輪5aが刈取穀稈を掻き込み可能に配設されている。符号12はディバイダフレーム、13は前処理伝動ギヤケース、14は伝動軸筒、15は前処理フレームである。
【0009】
そして、図2で示すようにコンバインAは、在来のものと同様な6条刈り方式の搬送経路を構成しており、各穀稈引起装置4によって引き起こされ刈刃8によって刈り取られた穀稈を、左側株元側搬送体6L及び左側穂先側搬送体(不図示)と中側株元側搬送体6M及び中側側穂先側搬送体(不図示)を介して後方送りし、右側の株元側搬送体6(6R)と右側の穂先側搬送体9とによって搬送される刈取穀稈に対し矢印方向に合流搬送させたのち、合流穀稈の穂茎部を穂先側搬送体9で支持搬送しつつ扱深さ搬送装置7に継送し、該扱深さ搬送装置7の上下作動によって適正に扱深調整された穀稈の株元部を後部の脱穀フィードチェン16に挟持継送し、脱穀装置17内で脱穀処理された脱穀後の排出穀稈を機体後方から機外に排出する。
尚、18はコンバインの機台、19はその下部に設けた左右一対のクローラよりなる走行装置、20は運転操縦部を取り囲んだ運転キャビンである。
【0010】
次に、図3,4,5を参照し本発明の具体構造について説明する。図3は上下2段に設けた穀稈搬送装置の側面図、図4は株元側搬送体6の全体平面図であり、図5図4の主要構造として本発明に係る巻付き防止機構10と連結機構11との構造を示す拡大斜視図である。
先ず、上段の穂先側搬送体9は図3に示すように、複数の穀稈搬送爪22・・・を所定間隔で搬送チェン23に装着し、該搬送チェン23は図示しない複数のスプロケットの周りに巻回されており、図3の矢印方向に向かって移動する際に、搬送爪22・・・が穂先側搬送体9の搬送作用側(搬送方向側)で起立して刈取穀稈の穂先側を機体1の後方側に向けて搬送する。
【0011】
上記搬送チェン23は、上面と下面の両側位置からカバーとしてのカバーフレーム25で覆われ、且つ穀稈搬送爪22の非搬送作用側(搬送チェン復路側)は補強用の長いケース27で覆われている。
この構造による穂先側搬送体9は、カバーフレーム25の後部が前記伝動軸筒14の基部側に設けられる穂側伝動ケース14aによって伝動可能に取付支持された状態で、フレーム中間部と前端部とが株元側搬送体6の搬送フレーム6a側から立設される連結部材28,28aとによって安定的に連結支持される。
【0012】
下段の株元側搬送体6は、搬送チェン29とこれに沿う図示しない挟扼レールとの間に刈取穀稈の株元部側を挟持して、これに続く扱深さ搬送装置7に引継ぎ搬送をすることにより、該扱深さ搬送装置7で株元側を挟持搬送している間に別途の扱深さセンサの検出値に基づき株元側挟持位置を調節し、脱穀フィードチェン16へ継送し適正な扱深さを有して脱穀装置17に供給することができる。
この株元側搬送体6は、搬送フレーム6aの後端側を伝動軸筒14の前後方向中間部から立設される伝動ケース14bに剛体構造によって取付支持され、且つ前端側を前記前処理フレーム15側に連結支持されている。
【0013】
上記搬送チェン29は、伝動ケース14bから軸支される駆動スプロケット30と、該駆動スプロケット30の搬送上手側で搬送フレーム6a又は後述する巻付防止カバー32に軸支されるガイドローラ30bと(図5)、下手側に配置される複数の張りローラー等からなるチェン張り機構31と、前記掻き込み輪5aの上方部位に配置される従動スプロケット5b等に巻き掛けて張設される。
そして、株元側搬送体6は搬送経路終端側に巻付き防止機構10を構成し、穀稈の回り込み移動(持込み移動)を規制すると共に、藁屑類(夾雑物)の駆動スプロケット30側への巻き込み移動を規制しながら巻付きを防止するようにしている。
【0014】
この巻付き防止機構10は、連結機構11の連結部材28の構造及び構成部材を有効利用することにより、穂先側搬送体9の中途部を安定的に連結支持すると共に、連結部材28によって駆動スプロケット30側への藁屑類の巻付きを防止する機構を簡潔で安価な構成によって製作できるようにしている。
また伝動ケース14bに縦向きに軸支される駆動軸30aに着脱自在に取付けられる駆動スプロケット30は、前記ガイドローラ30bから機体内方側に搬送経路側で付着又は侵入して持ち回りされる藁屑類を落下させる藁屑落下距離を有して配置しているため、従来のもののように、巻付防止カバー32と搬送チェン29との隙間並びにチェンプレート上下間の間隙等から藁屑類が侵入して持ち込み状態になる侵入藁屑類を、上記藁屑落下距離を介して落下が促進されるので、駆動スプロケット30側に硬く巻付くことによる穀稈搬送トラブルや巻付防止カバー32等の破損を回避することができる。
【0015】
次に、図3図5を参照し巻付き防止機構10及び連結機構11について具体的に説明する。先ず、巻付き防止機構10は、搬送チェン29の後部を上方から覆う平板状の巻付防止カバー32と、該巻付防止カバー32のガイド方向の下手側に連なって立設される前記連結部材28とからなる。
尚、連結部材28の基部側には、継送穀稈の穀稈中途部(稈身側)を後方に向けて支持案内する稈身支持ガイド6bが必要により着脱可能に取付けられる。
【0016】
図示例の巻付防止カバー32は、プレート本体の前部側を搬送フレーム6aに固設又は着脱自在にすると共に、後部側を前記穂側伝動ケース14a側に着脱可能に取付けることができ、且つ機体外方側になる左側端面は搬送チェン29の穀稈搬送経路の後部に臨む複数の搬送チェンプレートの先端側を徐々に覆いながら、挟持搬送を解除する位置で爪先端を所定量だけ突出させる搬送解除ガイド部32aを形成し、該搬送解除ガイド部32aの終端から平面視円弧状をなして搬送チェンプレートの先端側を完全に覆うことで、前記穀稈の巻き込みを防止する巻込み防止部32bを形成している。
【0017】
これによる巻付防止カバー32は、搬送チェン29によって挟持搬送されてくる刈取穀稈を、扱深さ搬送装置7の始端側継送部位において、搬送解除ガイド部32aが穀稈の強制搬送を解除することにともなう緩い係合支持状態で搬送し、扱深さ搬送装置7との継送が完了した時点において、巻込み防止部32bを介して非搬送状態にするため穀稈の巻き込みを確実に防止する。
そして、巻付防止カバー32は、上記巻込み防止部32bの終端部側で穀稈非搬送経路側になる機体内方位置に、前記連結部材28を取付ける所定の前後幅と取付け高さを有する起立壁32aを突設している。
図示例の起立壁32cは、巻込み防止部32bの終端側を上方に向けて屈曲延長させることにより、起立する起立後端面が接当する藁屑類を即時的に受けて下方に落下させると共に、カバー面に載った藁屑類を連結部材28の基部を取付ける前後幅によって内方側への移動を規制するので、後述するスプロケット開放部33内への侵入を確実に防ぎながら下方外方に向けてスムーズに流下させて排出案内をする。
【0018】
さらに、巻付防止カバー32は、機体内方側(右側)に位置する駆動スプロケット30の下手側に隣接し複数の張りローラ等からなる前記チェン張り機構31を設けると共に、駆動スプロケット30の後方側のカバー部から立設した起立壁32cとの間に、駆動スプロケット30の上方側を開放するスプロケット開放部33を切欠形状によって設けている。
このスプロケット開放部33は、起立壁32cに設けられる連結部材28より前方で広い部位に位置するため、駆動スプロケット30に付着したり巻付いている藁屑類の除去や、穂側伝動ケース14aに縦向きに軸支される駆動軸30aに取付けられる駆動スプロケット30の脱着作業等を、巻付防止カバー32を取外すことなく速やかに行うことができる。
【0019】
以上のように構成される穀稈搬送装置は、前処理装置2の上段と下段に前低後高状の傾斜姿勢で配置される穂先側搬送体9と、株元挟持搬送体としての株元側搬送体6と扱深さ搬送装置7を備え、刈取穀稈の株元側を株元側搬送体6の終端側から扱深さ搬送装置7に継送して株元側挟持位置を調節しながら後方の脱穀フィードチェン16側に向けて扱深さ調節挟持搬送をするに、株元側搬送体6の終端側に位置する搬送チェン29分部を上方から覆う巻付防止カバー32に、搬送チェン29の駆動スプロケット30を上方から脱着可能に開放するスプロケット開放部33を形成すると共に、該スプロケット開放部33の後方で機体外方側に穂先側搬送体9を連結支持する連結部材28を設けた構成にしている。
【0020】
従って、穀稈搬送装置は搬送チェン29の終端側において、巻付防止カバー32によって刈取穀稈の直接的な巻付きを防止しながら、この部で発生し後方上方から順次落下してくる多くの藁屑類を、主として連結部材28が速やかに受けてカバー外方側下方に案内移動させるため、該連結部材28はその広幅なガイド面によってスプロケット開放部33内への直接的な侵入を防止する。
一方、巻込み防止部32b側に落下した藁屑類は、下向き傾斜のカバー面を滑落する際にスプロケット開放部33に侵入しようとするが、このような藁屑類は連結部材28の基部側に接当して下方に向けて誘導されるため、スプロケット開放部33への直接的な侵入が阻止されるため、駆動スプロケット30に対する藁屑類の巻付きを簡単な構成によって効果的に防止することができる。
【0021】
即ち、株元側搬送体6の搬送終端側で扱深継送時に発生し易い多くの藁屑類は、大半のものが巻付防止カバー32に降り注いで堆積しようとするもののカバー下り傾斜面に沿って滑落し地上に排出される一方で、搬送チェン29の終端側での内向き回転による気流、並びに継送穀稈の連続的な搬送移動によって生ずる強い気流や搬送慣性によって、カバー面の内方側に移動しようとする内方移動藁屑類は、巻込み防止部32bの終端部側から所定の高さと下方向きの広幅なガイド面を有して突設される巻付き防止機構10の起立壁32cの構成によって、内方側への移動が阻止されてスプロケット開放部32b内への侵入が防止される。
【0022】
そして、例えば長時間の使用にともない駆動スプロケット30側に藁屑類の巻付きや堆積が生じる場合には、連結部材28はその上手側で外方側に偏位させて立設しているため、作業者は連結部材28に支障されることなく、これを外方から容易に発見することができると共に、巻付防止カバー32を外すことなく機体外方側から差し入れる手によって、スプロケット開放部33の開口から藁屑類の除去及び清掃等を速やかに行うことができる。
また駆動スプロケット30を駆動軸から取外してメンテナンス作業行う場合にも、巻付防止カバー32を株元側搬送体6から外すことなく行うことができると共に、必要により連結機構11の各連結ボルト36を緩めて連結部材28を取外すことができるので楽に能率よく行うことができる利点がある。
【0023】
さらに、株元側搬送体6の終端側に着脱可能に設ける連結部材28は、株元側搬送体6側から長大な穂先側搬送体9の中途部を安定よく連結支持すると共に、上記のように簡単に取外せて穂先側搬送体9と株元側搬送体6との間の前後スペースを連通させ広くできるので、駆動スプロケット30側に限ることなく周囲や内奥箇所の整備等メンテナンス作業を能率よく行うことができる。
従って、この構成による穀稈搬送装置を備えるコンバインAは、株元側搬送体6の駆動スプロケット30に対する藁屑類の巻付き抑制を長時間可能にしながら、随時に行う目視点検を容易にしながら一連のメンテナンス作業を簡単且つ能率よく行うことができる等の特徴がある。
【0024】
尚、図示例の連結部材28は、巻付防止カバー32の終端側で巻込み防止部32bから上向きに屈曲して起立した起立壁32cに対し、ボルト36によって着脱自在に取付けた実施形態を示したが、これに限ることなく、例えば、上記同じ位置から巻付防止カバー32に一体的に形成した連結部材28を穂先側搬送体9側のケースに着脱可能に取付けてもよく、また必要により単一な広幅支柱形状によって製作される連結部材28は、前記起立壁32cと同作用を奏するように、例えば搬送フレーム6aの終端側又は穂側伝動ケース14a側に着脱自在に取付けるようにしてもよいものである。
さらに、図5に2点鎖線で示すように、起立壁32cの後方に突出する広幅状となして設けてもよく、この場合には風や気流による藁屑類の内方側への回り込みをより低減できる利点がある。
【符号の説明】
【0025】
A コンバイン
1 コンバイン機体
2 前処理装置
6 株元側搬送体
7 扱深さ搬送装置
9 穂先側搬送体
10 巻付き防止機構
11 連結機構
16 脱穀フィードチェン
17 脱穀装置
28 連結部材
29 搬送チェン
30 駆動スプロケット
32 巻付防止カバー
32a 搬送解除ガイド部
32b 巻込み防止部
32c 起立壁
33 スプロケット開放部
図1
図2
図3
図4
図5