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特開2022-114137波形情報算出装置、波形情報計算方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114137
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】波形情報算出装置、波形情報計算方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/95 20060101AFI20220729BHJP
   G01C 13/00 20060101ALI20220729BHJP
   G01D 3/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G01S17/95
G01C13/00 W
G01D3/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010302
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】599161890
【氏名又は名称】NECネットワーク・センサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 卓
【テーマコード(参考)】
2F075
5J084
【Fターム(参考)】
2F075AA05
2F075BB09
2F075EE15
2F075EE16
2F075EE18
2F075FF02
5J084AB13
5J084AC04
5J084CA22
5J084CA26
5J084CA31
5J084CA49
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】波高または波長など波形に関する値を算出する際、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させられるようにする。
【解決手段】波形情報算出装置が、波形の測定データを取得するデータ取得手段と、前記測定データにおける極点を検出する極点検出手段と、複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外する極点除外手段と、除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する波形情報算出手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形の測定データを取得するデータ取得手段と、
前記測定データにおける極点を検出する極点検出手段と、
複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外する極点除外手段と、
除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する波形情報算出手段と、
を備える波形情報算出装置。
【請求項2】
前記極点除外手段は、連続する4つの前記極点のうち内側の2つの前記極点について、これら2つの極点における極値の差、または、少なくともこれら2つの極点に基づいて算出される波長の少なくとも何れかに基づいて、これら2つの極点を除外するか否かを決定する、
請求項1に記載の波形情報算出装置。
【請求項3】
前記極点除外手段は、前記4つの極点のうち内側の2つの前記極点について、これら2つの極点における極値の差の大きさが所定の閾値以下であり、かつ、これら2つの極点の何れも、前記4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、これら2つの極点を除外する、
請求項2に記載の波形情報算出装置。
【請求項4】
前記極点除外手段は、前記4つの極点のうち内側の2つの前記極点における極値の差の大きさの、前記4つの極点のうち外側の2つの前記極点における極値の差の大きさに対する割合が所定の閾値以下であり、かつ、前記内側の2つの極点の何れも、前記4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、前記内側の2つの極点を除外する、
請求項2または請求項3に記載の波形情報算出装置。
【請求項5】
前記極点除外手段は、前記4つの極点のうち内側の2つの前記極点について、これら2つの極点と前記4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点とに基づいて算出される波長が所定の閾値以下であり、かつ、前記内側の2つの極点の何れも、前記4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、前記内側の2つの極点を除外する、
請求項2から4の何れか一項に記載の波形情報算出装置。
【請求項6】
前記極点除外手段は、前記測定データにおける極点のうち外側の前記極点について、前記外側の極点と、その極点に隣接する極点との極値の差の大きさが所定の閾値以下であり、かつ、前記外側の極点が、その極点を含めて外側から3つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、前記外側の極点を除外する、
請求項1から5の何れか一項に記載の波形情報算出装置。
【請求項7】
前記極点除外手段は、極大点を中心に連続する5つの極点について、所定の波高算出方法で波高を算出できないか、または、所定の波長算出方法で波長を算出できない場合、その5つの極点の組み合わせを波形情報算出対象から除外し、
前記波形情報算出手段は、除外されなかった前記連続する5つの極点に基づいて、中心の前記極大点における波高および波形を算出する、
請求項1から6の何れか一項に記載の波形情報算出装置。
【請求項8】
波形の測定データを取得することと、
前記測定データにおける極点を検出することと、
複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外することと、
除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出することと、
を含む波形情報算出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
波形の測定データを取得することと、
前記測定データにおける極点を検出することと、
複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外することと、
除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形情報算出装置、波形情報計算方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
波形に関する処理について、幾つかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、水面に対して斜めにレーザビームを照射した場合に、レーザビームが波浪の谷部に届いているか否かを判定し、届いていないと判定した場合は、所定の式を用いて波高を計算することが記載されている。
また、特許文献2には、センサからサンプリングされるデータの傾きに基づいて極値のデータを検出し、検出した極値のデータのみを送信することで、通信量を削減することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-133902号公報
【特許文献2】特開2017-016187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
波高または波長など波形に関する値を算出する際、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価することを避けたい場合が考えられる。
【0005】
本発明の目的の一例は、上述の課題を解決することのできる波形情報算出装置、波形情報計算方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、波形情報算出装置は、波形の測定データを取得するデータ取得手段と、前記測定データにおける極点を検出する極点検出手段と、複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外する極点除外手段と、除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する波形情報算出手段と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、波形情報算出方法は、波形の測定データを取得することと、前記測定データにおける極点を検出することと、複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外することと、除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出することと、を含む。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、波形の測定データを取得することと、前記測定データにおける極点を検出することと、複数の前記極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす前記極点を除外することと、除外されなかった前記極点に基づいて、前記波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出することと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、波高または波長など波形に関する値を算出する際、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る波形情報算出装置の機能構成の例を示す概略ブロック図である。
図2】波形の例を示す図である。
図3】波形にローパスフィルタを適用した場合の例を示す図である。
図4】測定データにおける、連続する4つの極点の第1例を示す図である。
図5】測定データにおける、連続する4つの極点の第2例を示す図である。
図6】測定データにおける、連続する4つの極点の第3例を示す図である。
図7】測定データにおける、連続する4つの極点の第4例を示す図である。
図8】測定データにおける、連続する4つの極点の第5例を示す図である。
図9】測定データにおける、連続する4つの極点の第6例を示す図である。
図10】測定データにおける、連続する4つの極点の第7例を示す図である。
図11】測定データにおける、連続する4つの極点の第8例を示す図である。
図12】測定データにおける、連続する4つの極点の第9例を示す図である。
図13】測定データにおける、連続する4つの極点の第10例を示す図である。
図14】測定データにおける、連続する5つの極点の例を示す図である。
図15】実施形態に係る波形情報算出装置が波形情報を算出する処理の手順の第1例を示すフローチャートである。
図16】実施形態に係る波形情報算出装置が波形情報を算出する処理の手順の第2例を示すフローチャートである。
図17】実施形態に係る制御部の構成例を示す概略ブロック図である。
図18】実施形態に係る極点除外部が除外する極値の例を示す図である。
図19】実施形態に係る波形情報算出装置の構成例を示す図である。
図20】実施形態に係る波形情報算出方法における処理の手順の例を示すフローチャートである。
図21】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る波形情報算出装置の機能構成の例を示す概略ブロック図である。図1に示す構成で、波形情報算出装置100は、通信部110と、表示部120と、操作入力部130と、記憶部180と、制御部190とを備える。制御部190は、データ取得部191と、極点検出部192と、極点除外部193と、波形情報算出部194とを備える。
【0012】
波形情報算出装置100は、波形の測定データを取得して、波高または波長の少なくとも何れかを算出する。波形情報算出装置100は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)などのコンピュータを用いて構成されていてもよい。
以下では、波形情報算出装置100が、海面の波を対象とする場合を例に説明する。ただし、波形情報算出装置100が対象とする波は、特定のものに限定されない。
波高または波長など波形に関する値を示す情報を、波形情報と称する。波形に関する値を算出することを、波形情報を算出すると称する。
【0013】
波形情報を算出する際の問題点として、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価することが考えられる。
図2は、波形の例を示す図である。図2のグラフの横軸(x軸)は、水平方向(波長の方向)の位置を示す座標軸である。あるいは、同一地点における波の変化を観測する場合、図2のグラフの横軸は時間軸であってもよい。図2のグラフの縦軸(y軸)は、垂直方向(波高の方向)の位置を示す座標軸である。
【0014】
図2の波形について、点P11を波の谷底とし、点P14を波の山頂として波高h13を算出したい場合について考える。
これに対して、点P12を波の山頂として扱うと、波高h11を算出することが考えられる。これは、波の局所的な極大点P12を波の山頂として扱ったことで、波高をh13より小さいh11と算出したものと言える。
また、点P13を波の谷底として扱うと、波高h12を算出することが考えられる。これは、波の局所的な極小点P13を波の谷底として扱ったことで、波高をh13より小さいh12と算出したものと言える。
【0015】
点P12およびP13のような局所的な極点は、測定対象の波に実際に生じる場合だけでなく、波形の測定状況に応じて生じる場合が考えられる。例えば、波形測定のための装置が飛行艇などの移動体に搭載される場合、移動体の動揺によって、測定結果の波形に局所的な極点が生じる可能性がある。また、海面の反射点の変動によって、測定結果の波形に局所的な極点が生じる可能性がある。
【0016】
波形の局所的な変化を無視して大局的な値を算出するための方法の1つとして、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)を用いて、波形の局所的な変化の情報を除去する(波形をなまらせる)ことが考えられる。しかしながら、ローパスフィルタの適用によって波形が変化することで、波高などの波形情報に誤差が生じることが考えられる。
【0017】
図3は、波形にローパスフィルタを適用した場合の例を示す図である。図3のグラフの横軸(x軸)および縦軸(y軸)は、図2の場合と同様である。
図3は、図2の波形にローパスフィルタを適用した場合の例を示している。線L11は、図2の波形を示しており、ローパスフィルタ適用前の波形に該当する。線L12は、ローパスフィルタ適用後の波形を示す。
【0018】
線L11の波形が、点P11からP14までの4つの極点を有するのに対し、線L12の波形は、点P21およびP22の2つの極点を有する。このように、線L12の波形では、点P12およびP13に相当する極点が無くなっている。これにより、図2の波高h11およびh12に相当する、いわば局所的な波高を算出することを回避できる。
【0019】
一方、ローパスフィルタ適用後の波形(線L12)は、ローパスフィルタ適用前の波形(線L11)から変化している。これにより、線L12の波高h23は、線L13の波高h13よりも小さくなっている。
ローパスフィルタ適用後のデータに基づいて波高を算出する場合、波高h13と波高h23との差のように、ローパスフィルタの適用によって波形が変化することによる誤差が生じる。
【0020】
そこで、波形情報算出装置100は、波形における極点のうち所定の条件を満たす極点を、波形情報の算出に用いる極点から除外する。これにより、波形情報算出装置100では、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させ、かつ、波形の変化(歪み)による誤差を回避するか、あるいは低減させて、波形情報を算出できると期待される。波形情報算出装置100によれば、この点で、波形情報を高精度に算出することができる。
図2の点P12を波の山頂とする波のように、除外される極点に基づく波を不要波とも称する。
【0021】
通信部110は、他の装置と通信を行う。例えば、通信部110は、データ取得部191の制御に従って波形測定用のセンサと通信を行い、波形の測定値を示すセンサ信号を受信する。
表示部120は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネルなどの表示画面を備え、各種画像を表示する。表示部120が、波形の測定データに基づく波形と、波形情報算出装置100が算出する波形情報とを表示するようにしてもよい。
操作入力部130は、例えば表示部120の表示画面に設けられてタッチパネルを構成するタッチセンサなどの入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。例えば操作入力部130が、波形情報の算出を指示するユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
【0022】
記憶部180は、各種情報を記憶する。例えば、記憶部180は、波形の測定データを記憶する。記憶部180は、波形情報算出装置100が備える記憶デバイスを用いて構成される。
制御部190は、波形情報算出装置100の各部を制御して各種処理を行う。制御部190の機能は、例えば、波形情報算出装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、記憶部180からプログラムを読み出して実行することで実行される。
【0023】
データ取得部191は、波形の測定データを取得する。例えばデータ取得部191は、通信部110が受信するセンサ信号から波形の測定データを読み出す。
データ取得部191は、データ取得手段の例に該当する。
データ取得部191が制御部190の外部に設けられていてもよい。例えば、波形情報算出装置100が、波形測定用のセンサを備え、そのセンサがデータ取得部191を構成していてもよい。
【0024】
データ取得部191が取得する波形の測定データは、波形のサンプリング点ごとに、水平方向(波長の方向)の座標値と、垂直方向(波高の方向)の座標値とを示すデータであってもよい。あるいは、波形測定用のセンサが、同一地点における波の変化を測定する場合、データ取得部191が取得する波形の測定データは、波形のサンプリング点ごとに、測定時刻と、垂直方向(波高の方向)の座標値とを示すデータであってもよい。
以下では、水平方向の座標または時刻座標をx座標と称し、垂直方向の座標をy座標と称する。波形の測定データを、単に測定データとも称する。波形のサンプリング点を単にサンプリング点とも称する。
【0025】
極点検出部192は、データ取得部191が取得する測定データにおける極点を検出する。
極点検出部192は、極点検出手段の例に該当する。
極点検出部192が、x座標値が小さい順にサンプリング点のy座標値を参照し、y座標値の変曲点を極点として検出するようにしてもよい。ここでいう変曲点は、y座標値の増減が切り替わる点である。極点検出部192が、y座標値が増加から減少に転じる点を極大点として検出し、y座標値が減少から増加に転じる点が極小点として検出するようにしてもよい。
【0026】
極点除外部193は、極点検出部192が検出する複数の極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす極点を除外する。
極点除外部193は、極点除外手段の例に該当する。
【0027】
波形情報算出部194は、極点除外部193によって除外されなかった極点に基づいて、波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する。
波形情報算出部194は、波形情報算出手段の例に該当する。
波形情報算出部194が、隣り合う極大点と極小点とのy座標値の差を波高として算出するようにしてもよい。ここでいう、極大点と極小点が隣り合うことは、x座標方向(x軸方向)において、その極大点と極小点との間に他の極点が存在し無いことである。
【0028】
波形情報算出部194が、極大点とx座標方向に次の極大点とのx座標値の差を波長として算出するようにしてもよい。ここでいう、第1の極大点からx座標方向に次の極大点が第2の極大点であることは、x座標方向において、それら2つの極大点の間に1つの極小点のみが存在し、他の極点が存在しないことである。
波形情報算出部194が、極小点とx座標方向に次の極小点とのx座標値の差を波長として算出するようにしてもよい。ここでいう、第1の極小点からx座標方向に次の極小点が第2の極小点であることは、x座標方向において、それら2つの極小点の間に1つの極大点のみが存在し、他の極点が存在しないことである。
【0029】
極点除外部193が、連続する4つの極点のうち内側の2つの極点について、これら2つの極点における極値の差、または、少なくともこれら2つの極点に基づいて算出される波長の少なくとも何れかに基づいて、これら2つの極点を除外するか否かを決定するようにしてもよい。
ここでいう、複数の極点が連続することは、x座標方向において、これら複数の極点の間に他の極点が存在しないことである。ここでいう、極点を除外することは、その極点を、波形情報算出部194が波形情報を計算する際に用いる極点から除外することである。
【0030】
例えば、極点除外部193が、連続する4つの極点のうち内側の2つの極点について、これら2つの極点における極値の差の大きさが所定の閾値以下であり、かつ、これら2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、これら2つの極点を除外するようにしてもよい。
【0031】
また、極点除外部193が、連続する4つの極点のうち内側の2つの極点における極値の差の大きさの、4つの極点のうち外側の2つの極点における極値の差の大きさに対する割合が所定の閾値以下であり、かつ、内側の2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、内側の2つの極点を除外するようにしてもよい。
【0032】
また、極点除外部193が、連続する4つの極点のうち内側の2つの極点について、これら2つの極点と4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点とに基づいて算出される波長が所定の閾値以下であり、かつ、内側の2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、内側の2つの極点を除外するようにしてもよい。
【0033】
図4は、測定データにおける、連続する4つの極点の第1例を示す図である。図4のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
以下では、連続する4つの極点を、x座標値の小さい順に点a、b、c、dと表記する。図4の例では、点aおよびcが極大点に該当し、点bおよびdが極小点に該当する。
【0034】
点a、b、c、dのx座標値を、それぞれx、x、x、xと表記する。点a、b、c、dのy座標値を、それぞれy、y、y、yと表記する。
点aおよび点dに基づく波高を波高hadと表記する。点aが極大点の場合、had=y-yと表される。点bおよび点cに基づく波高を波高hbcと表記する。点aが極大点の場合、点bが極小点、点cが極大点であり、hbc=y-yと表される。
【0035】
点aから点cまでは、波の1周期に該当し、x-xは、波長に該当する。この波長を、λacと表記する。点bから点dまでは、波の1周期に該当し、x-xは、波長に該当する。この波長を、λbdと表記する。
波形情報算出部194が、これらの波高および波長を算出するようにしてもよい。あるいは、極点除外部193が、これらの波高および波長を算出するようにしてもよい。
極点除外部193が、式(1)が成立する場合に、点bおよび点cを除外するようにしてもよい。
【0036】
【数1】
【0037】
「∧」は、「かつ」(論理積)を表す。「∨」は、「または」(論理和)を表す。
「hbc≦0.3」の「0.3」は、0.3メートル(m)を示す。この「0.3」は、波高の閾値の例に該当する定数である。ただし、波高の閾値は、特定の値に限定されない。
「λac<5」の「5」、および、「λbd<5」の「5」は、何れも5メートルを示す。これらの「5」は、波長の閾値の例に該当する定数である。ただし、波長の閾値は、特定の値に限定されない。
【0038】
「hbc≦0.3」は、2つの極点における極値の差の大きさが所定の閾値以下であることの例に該当する。この場合、点bおよびcが、2つの極点の例に該当する。
「y≧y∧y≧y」は、点aが極大点に該当する場合における、2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しないことの例に該当する。この場合、点bおよびcが、2つの極点の例に該当する。
【0039】
「λac≦5」は、内側の2つの極点と4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点とに基づいて算出される波長が所定の閾値以下であることの例に該当する。この場合、点bおよびcが、内側の2つの極点の例に該当する。点aが、4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点の例に該当する。
「λbd≦5」は、内側の2つの極点と4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点とに基づいて算出される波長が所定の閾値以下であることの例に該当する。この場合、点bおよびcが、内側の2つの極点の例に該当する。点dが、4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点の例に該当する。
極点除外部193が、式(2)が成立する場合に、点bおよび点cを除外するようにしてもよい。
【0040】
【数2】
【0041】
「hbc/had≦0.2」の「0.2」は、波高の割合の閾値の例に該当する。ただし、波高の割合の閾値は、特定の値に限定されない。
「hbc/had≦0.2」は、4つの極点のうち内側の2つの極点における極値の差の大きさの、4つの極点のうち外側の2つの極点における極値の差の大きさに対する割合が所定の閾値以下であることの例に該当する。この場合、点bおよびcが、4つの極点のうち内側の2つの極点の例に該当する。点aおよびdが、4つの極点のうち外側の2つの極点の例に該当する。
【0042】
図5は、測定データにおける、連続する4つの極点の第2例を示す図である。図5のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図5の例では、点aおよびcが極大点に該当し、点bおよびdが極小点に該当する。
図5の例では、点cが、4つの極点における最大値に該当し、y<yである。この場合、「y≧y∧y≧y」が成立しないことから、極点除外部193は、上記の式(1)または式(2)の何れに基づいても、点bおよびcを除外しない。
【0043】
図6は、測定データにおける、連続する4つの極点の第3例を示す図である。図6のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図6の例では、点aおよびcが極大点に該当し、点bおよびdが極小点に該当する。
図6の例では、点bが、4つの極点における最小値に該当し、y<yである。この場合、「y≧y∧y≧y」が成立しないことから、極点除外部193は、上記の式(1)または式(2)の何れに基づいても、点bおよびcを除外しない。
【0044】
図7は、測定データにおける、連続する4つの極点の第4例を示す図である。図7のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図7の例では、点aおよびcが極小点に該当し、点bおよびdが極大点に該当する。
【0045】
点aが極小点の場合、had=y-yと表される。点aが極小点の場合、点bが極大点、点cが極小点であり、hbc=y-yと表される。
極点除外部193が、式(3)が成立する場合に、点bおよび点cを除外するようにしてもよい。
【0046】
【数3】
【0047】
式(3)の「hbc≦0.3∨λac≦5∨λbd≦5」は、式(1)の場合と同様である。
「y≦y∧y≦y」は、点aが極小点に該当する場合における、2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しないことの例に該当する。この場合、点bおよびcが、2つの極点の例に該当する。
極点除外部193が、式(4)が成立する場合に、点bおよび点cを除外するようにしてもよい。
【0048】
【数4】
【0049】
式(4)の「hbc/had≦0.2」は、式(2)の場合と同様である。
【0050】
図8は、測定データにおける、連続する4つの極点の第5例を示す図である。図8のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図8の例では、点aおよびcが極小点に該当し、点bおよびdが極大点に該当する。
図8の例では、点cが、4つの極点における最小値に該当し、y>yである。この場合、「y≦y∧y≦y」が成立しないことから、極点除外部193は、上記の式(3)または式(4)の何れに基づいても、点bおよびcを除外しない。
【0051】
図9は、測定データにおける、連続する4つの極点の第6例を示す図である。図9のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図9の例では、点aおよびcが極小点に該当し、点bおよびdが極大点に該当する。
図9の例では、点bが、4つの極点における最大値に該当し、y>yである。この場合、「y≦y∧y≦y」が成立しないことから、極点除外部193は、上記の式(3)または式(4)の何れに基づいても、点bおよびcを除外しない。
【0052】
極点除外部193が、測定データにおける極点のうち外側の極点について、その極点と、その極点に隣接する極点との極値の差の大きさが所定の閾値以下であり、かつ、外側の極点が、その極点を含めて外側から3つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、外側の極点を除外するようにしてもよい。
【0053】
図10は、測定データにおける、外側の極点の第1例を示す図である。図10のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図10の例では、測定データ全体における極点のうち先頭から順に3つの点が示されている。これら3つの極点を、先頭から順に点a、b、cと表記する。ここでいうデータの先頭からの順番は、x座標値が小さい順である。
【0054】
点aは、測定データにおける極点のうち外側の極点の例に該当する。点a、b、cは、測定データにおける極点のうち外側から3つの極点の例に該当する。図10の例では、点aおよびcが極大点に該当し、点bが極小点に該当する。
連続する4つの極点の場合について上述したのと同様、点a、b、cのx座標値を、それぞれx、x、xと表記する。点a、b、cのy座標値を、それぞれy、y、yと表記する。
【0055】
点aおよび点bに基づく波高を波高habと表記する。点aが極大点の場合、hab=y-yと表される。波形情報算出部194が波高habを算出するようにしてもよい。あるいは、極点除外部193が、波高habを算出するようにしてもよい。
極点除外部193が、式(5)が成立する場合に、点aを除外するようにしてもよい。
【0056】
【数5】
【0057】
「hab≦0.3」の「0.3」は、0.3メートルを示す。この「0.3」は、波高の閾値の例に該当する定数である。上述したように、波高の閾値は、特定の値に限定されない。
「hab≦0.3」は、外側の極点と、その極点に隣接する極点との極値の差の大きさが所定の閾値以下であることの例に該当する。上述したように、点aが、外側の極点の例に該当する。また、点bが、外側の極点に隣接する極点の例に該当する。
「y≦y」は、点aが極大点に該当する場合における、点aが、その極点を含めて外側から3つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しないことの例に該当する。
【0058】
波形情報計算装置が、波形データにおける末尾の極点に対しても、上述した先頭の極点に対する処理と同様の処理を行うようにしてもよい。
図11は、測定データにおける、外側の極点の第2例を示す図である。図11のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図11の例では、測定データ全体における極点のうち末尾から順に3つの点が示されている。これら3つの極点を、末尾から順に点a、b、cと表記する。ここでいうデータの末尾からの順番は、x座標値が大きい順である。
【0059】
先頭の極点に対する処理について上述したのと同様、点aは、測定データにおける極点のうち外側の極点の例に該当する。点a、b、cは、測定データにおける極点のうち外側から3つの極点の例に該当する。図11の例では、点aおよびcが極大点に該当し、点bが極小点に該当する。
【0060】
先頭の極点に対する処理について上述したのと同様、点a、b、cのx座標値を、それぞれx、x、xと表記する。点a、b、cのy座標値を、それぞれy、y、yと表記する。点aおよび点bに基づく波高を波高habと表記する。点aが極大点の場合、点cが極大点、点dが極小点であり、hab=y-yと表される。波形情報算出部194が波高hcdを算出するようにしてもよい。あるいは、極点除外部193が、波高hcdを算出するようにしてもよい。
極点除外部193が、上記の式(5)が成立する場合に、点aを除外するようにしてもよい。
【0061】
図12は、測定データにおける、外側の極点の第3例を示す図である。図12のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図10の場合と同様、図12の例では、測定データ全体における極点のうち先頭から順に3つの点が示されている。これら3つの極点を、先頭から順に点a、b、cと表記する。
図12の例では、点aおよびcが極小点に該当し、点bが極大点に該当する。
点aが極小点の場合、hab=y-yと表される。
極点除外部193が、式(6)が成立する場合に、点aを除外するようにしてもよい。
【0062】
【数6】
【0063】
式(6)の「hab≦0.3」は、式(5)の場合と同様である。
「y≧y」は、点aが極小点に該当する場合における、点aが、その極点を含めて外側から3つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しないことの例に該当する。
【0064】
図13は、測定データにおける、外側の極点の第4例を示す図である。図13のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
図11の場合と同様、図13の例では、測定データ全体における極点のうち末尾から順に3つの点が示されている。これら3つの極点を、末尾から順に点a、b、cと表記する。
図13の例では、点aおよびcが極小点に該当し、点bが極大点に該当する。
極点除外部193が、上記の式(6)が成立する場合に、点dを除外するようにしてもよい。
【0065】
極点除外部193が、極大点を中心に連続する5つの極点について、所定の波高算出方法で波高を算出できないか、または、所定の波長算出方法で波長を算出できない場合、その5つの極点の組み合わせを波形情報算出対象から除外するようにしてもよい。
波形情報算出部194が、除外されなかった連続する5つの極点に基づいて、中心の極大点における波高および波形を算出するようにしてもよい。
【0066】
図14は、測定データにおける、連続する5つの極点の例を示す図である。図14のグラフの横軸は上述したx軸を示し、縦軸はy軸を示す。
以下では、連続する5つの極点を、x座標値の小さい順に点a、b、c、d,eと表記する。x、x、x、x、y、y、y、および、yは、連続する4つの極点の場合について上述したのと同様である。点eのx座標値をxと表記する。点eのy座標値をyと表記する。
【0067】
図14の例では、点a、c、および、eが極大点に該当し、点bおよびdが極小点に該当する。点cが、中心の極大点に該当する。
波高hbc、波高hcd、波長λac、および、波長λbdは、連続する4つの極点の場合について上述したのと同様である。
点cから点eまでは、波の1周期に該当し、x-xは、波長に該当する。この波長をλceと表記する。
【0068】
極点除外部193が、観測データにおける極大点をx座標値の小さい順に1つずつ選択し、選択した極大点を中心に連続する5つの極点の組み合わせを選択可能か否かを判定するようにしてもよい。5つの極点の組み合わせを選択できた場合、極点除外部193が、さらに、図14に例示される波高hbcおよびhcdと、波長λac、λbd、および、λceとを算出可能か否かを判定するようにしてもよい。
【0069】
例えば、極点除外部193が選択した極大点が、観測データにおける極大点のうちx座標方向の端に位置する極大点である場合、その極大点を中心に連続する5つの極点の組み合わせを選択できないことが考えられる。また、極点除外部193が選択した5つの極点の組み合わせに、測定エラーによってy座標値を特定できない極点が含まれる場合、上記の波高または波長を算出できないことが考えられる。
【0070】
極点除外部193が5つの極点の組み合わせを選択可能、かつ、上記の波高および波長を算出可能と判定した場合、波形情報算出部194が、5つの極点のデータに基づいて、中心の極大点における波高および波長を算出するようにしてもよい。図14の例では、点cが、中心の極大点の例に該当する。
【0071】
例えば、波形情報算出部194が、波高hbcおよびhcdのうち何れか大きい方を、中心の極大点における波高として算出するようにしてもよい。この場合、中心の極大点における波高は、MAX(hac,hcd)と表される。「MAX」は、引数のうち最大のものの値を出力する関数である。
【0072】
また、波形情報算出部194が、波長λac、λbd、および、λceのうち何れか最消のものを、中心の極大点における波長として算出するようにしてもよい。この場合、中心の極大点における波長は、MIN(λac,λbd,λce)と表される。「MIN」は、引数のうち最小のものの値を出力する関数である。
【0073】
図15は、波形情報算出装置100が波形情報を算出する処理の手順の第1例を示すフローチャートである。
図15の処理で、データ取得部191は、測定データを取得する(ステップS111)。
極点検出部192は、データ取得部191が取得した測定データにおける極点を検出する(ステップS112)。
【0074】
極点除外部193は、極点検出部192が検出した極点のうち連続する4点を決定する(ステップS113)。そして、波形情報算出部194は、極点除外部193決定した4点における波長および波高を算出する(ステップS114)。あるいは、極点除外部193が波長および波高を算出するようにしてもよい。
極点除外部193は、算出された波長および波高に基づいて、所定の条件を満たす極点を除外する(ステップS115)。図4から図9までを参照して説明したように、連続する4つの極点が式(5)または式(6)を満たす場合に、極点除外部193が、4つの極点のうち内側の2つの極点を除外するようにしてもよい。
【0075】
そして、極点除外部193は、極点を除外する処理の終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS116)。極点を除外する処理の終了条件は、特定の条件に限定されない。例えば、極点を除外する処理の終了条件は、連続する4点をどのように選んでも削除される極点が無いことであってもよいが、これに限定されない。
【0076】
極点を除外する処理の終了条件が成立していないと極点除外部193が判定した場合(ステップS116:NO)、処理がステップS113へ戻る。
一方、極点を除外する処理の終了条件が成立していると判定した場合(ステップS116:YES)、極点除外部193は、測定データ全体における外側の極点に関して所定の条件が成立する場合に、その極点を除外する(ステップS117)。図10から図13までを参照して説明したように、先頭から連続する3つの極点が式(5)または式(6)を満たす場合に、極点除外部193が、先頭の極点を除外するようにしてもよい。また、末尾から連続する3つの極点が式(5)または式(6)を満たす場合に、極点除外部193が、末尾の極点を除外するようにしてもよい。
【0077】
次に、波形情報算出部194は、除外されなかった極点に基づいて波形情報を算出する(ステップS118)。
波形情報算出装置100は、算出した波形情報を出力する(ステップS119)。波形情報算出装置100が、波形情報を出力する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、表示部120が制御部190の制御に従って波形情報を表示するようにしてもよいが、これに限定されない。
ステップS119の後、波形情報算出装置100は、図15の処理を終了する。
【0078】
図16は、波形情報算出装置100が波形情報を算出する処理の手順の第2例を示すフローチャートである。波形情報算出装置100が、図15のステップS119で図16の処理を行うようにしてもよい。あるいは、波形情報算出装置100が、極点検出部192が検出する極点に基づいて、図15の処理とは別に図16の処理を行うようにしてもよい。
【0079】
図16の処理で、極点除外部193は、測定データにおける極点のうち極大点を1つ選択する(ステップS211)。例えば、極点除外部193が、観測データにおける極大点をx座標値の小さい順に1つずつ選択するようにしてもよいが、これに限定されない。
次に、極点除外部193は、選択した極大点を中心に連続する5つの極点を選択可能か否かを判定する(ステップS212)。
【0080】
5つの極点を選択不可能と極点除外部193が判定した場合(ステップS212:NO)、処理がステップS211へ戻る。
一方、5つの極点を選択可能と極点除外部193が判定した場合(ステップS212:YES)、波形情報算出部194は、図14に例示される波高および波長の算出を試みる(ステップS213)。そして、波形情報算出部194は、波高および波長の算出に成功したか否かを判定する(ステップS214)。波形情報算出部194に代えて極点除外部193が、ステップS213およびS214の処理を行うようにしてもよい。
【0081】
波高および波長の算出に失敗したと波形情報算出部194が判定した場合(ステップS214:NO)、処理がステップS211へ戻る。
一方、波高および波長の算出に成功したと判定した場合(ステップS214:YES)、波形情報算出部194は、ステップS213で算出した波高および波長に基づいて、中心の極大点における波高および波長を算出する(ステップS215)。
【0082】
次に、極点除外部193は、波形情報算出の終了条件が成立しているか否かを判定する(ステップS216)。波形情報算出の終了条件は、特定の条件に限定されない。例えば、極点除外部193が、測定データにおける全ての極大点についてステップS211からS215までの処理を行ったか否かを判定するようにしてもよいが、これに限定されない。
【0083】
終了条件が成立していないと極点除外部193が判定した場合(ステップS216:NO)、処理がステップS211へ戻る。
一方、終了条件が成立していると極点除外部193が判定した場合(ステップS216:YES)、波形情報算出装置100は、図16の処理を終了する。
図15の処理とは別に図16の処理を行う場合、波形情報算出装置100は、図16の処理の終了後、算出した波形情報を出力する。波形情報算出装置100が、波形情報を出力する方法は、特定の方法に限定されない。例えば、表示部120が制御部190の制御に従って波形情報を表示するようにしてもよいが、これに限定されない。
【0084】
図17は、制御部190の構成例を示す概略ブロック図である。図17は、波形情報算出装置100が飛行艇に搭載される場合の例を示している。
図17に示す構成では、制御部190は、図1に示される極点検出部192と、極点除外部193と、波形情報算出部194とに加えて、加速度補正部201と、ピッチ・ロール補正部202と、ローパスフィルタ203と、測定結果画面出力部204とを備える。
図17は、データ取得部191が制御部190の外部の構成となっている場合の例を示している。あるいは、制御部190が、図17の各部に加えてさらにデータ取得部191を備えるようにしてもよい。
【0085】
加速度補正部201は、飛行艇の加速度に応じて測定データを補正する。例えば、加速度補正部201が、飛行艇の加減速にかかわらずx座標方向におけるサンプル点の間隔が一定になるようにサンプル点の間引きおよび補間を行うようにしてもよい。
ピッチ・ロール補正部202は、飛行艇の機体の傾斜に応じて測定データを補正する。例えば、ピッチ・ロール補正部202が、飛行艇の機体の傾斜に応じて測定データのy座標値を補正することで、機体が傾斜していない場合と同様のデータを得られるようにしてもよい。
【0086】
ローパスフィルタ203は、測定データにおける不要な高周波成分を除去する。制御部190が、ローパスフィルタ203のカットオフ周波数(Fc;Cutoff Frequency)を、飛行艇の速度と計測に不要な最小波長から決定するようにしてもよい。
また、制御部190が、波形の測定に要求される精度に応じて、ローパスフィルタ203の適用による波形の歪みを抑制するように、カットオフ周波数を設定する、あるいは、ローパスフィルタ203をオフにするようにしてもよい。
【0087】
測定結果画面出力部204は、波形の測定結果を表示部120に表示させる。例えば、測定結果画面出力部204が、測定データが示す波形、および、波形情報算出部194が計算する波形情報を表示部120に表示させるようにしてもよい。
【0088】
図18は、極点除外部193が除外する極値の例を示す図である。図18のグラフの横軸はx座標を示し、縦軸はy座標を示す。
線L21は、ローパスフィルタ203を適用する前の波形の例を示す。線L22は、ローパスフィルタ203適用後の波形の例を示す。
【0089】
ローパスフィルタ203適用後の波形の極点のうち、極点除外部193が除外する極点を四角で示し、残りの極点(除外されない極点)を丸で示している。
ローパスフィルタ203の適用、および、極点除外部193による極点の除外によって、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させることができる。
【0090】
以上のように、データ取得部191は、波形の測定データを取得する。極点検出部192は、測定データにおける極点を検出する。極点除外部193は、複数の極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす極点を除外する。波形情報算出部194は、除外されなかった極点に基づいて、波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する。
波形情報算出装置100では、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させ、かつ、波形の変化(歪み)による誤差を回避するか、あるいは低減させて、波形情報を算出できると期待される。波形情報算出装置100によれば、この点で、波形情報を高精度に算出することができる。
【0091】
極点除外部193による極値選択処理を連続的に実施することにより、波形情報算出装置100側の動揺や海面の反射点の変動等の影響を軽減すると共に、高速かつ波高を損なうことなく波高データを計測することができる。また、極点除外部193が極値を選択する(選択しない極値を除外する)ことで、ローパスフィルタ適用による波高データのなまりを回避または軽減することができ、波形情報を高精度に算出することができる。
また、極点除外部193が行う処理は、フィルター処理のような全データを対象とせず、極値に絞った処理であり、処理対象データが極めて少なくなる為、高速な処理が可能となる。
【0092】
また、極点除外部193は、連続する4つの極点のうち内側の2つの極点について、これら2つの極点における極値の差、または、少なくともこれら2つの極点に基づいて算出される波長の少なくとも何れかに基づいて、これら2つの極点を除外するか否かを決定する。
極点除外部193は、極値の差、および、極点のx座標の差に基づく波長を用いて極点を除外するか否かを決定することができ、この点で、極点除外部193の負荷が軽くて済む。
【0093】
また、極点除外部193は、4つの極点のうち内側の2つの極点について、これら2つの極点における極値の差の大きさが所定の閾値以下であり、かつ、これら2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、これら2つの極点を除外する。
極点除外部193は、極値の差の大きさと閾値との比較、および、極点が4つの極点における最大値または最小値か否かの判定といった比較的簡単な処理で極点を除外するか否かを決定することができ、この点で、極点除外部193の負荷が軽くて済む。
【0094】
また、極点除外部193は、4つの極点のうち内側の2つの極点における極値の差の大きさの、4つの極点のうち外側の2つの極点における極値の差の大きさに対する割合が所定の閾値以下であり、かつ、内側の2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、内側の2つの極点を除外する。
極点除外部193は、極値の差の大きさの割合と閾値との比較、および、極点が4つの極点における最大値または最小値か否かの判定といった比較的簡単な処理で極点を除外するか否かを決定することができ、この点で、極点除外部193の負荷が軽くて済む。
【0095】
また、極点除外部193は、4つの極点のうち内側の2つの極点について、これら2つの極点と4つの極点のうち外側のいずれか1つの極点とに基づいて算出される波長が所定の閾値以下であり、かつ、内側の2つの極点の何れも、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、内側の2つの極点を除外する。
極点除外部193は、極点のx座標に基づく波長と閾値との比較、および、極点が4つの極点における最大値または最小値か否かの判定といった比較的簡単な処理で極点を除外するか否かを決定することができ、この点で、極点除外部193の負荷が軽くて済む。
【0096】
また、極点除外部193は、連続する4つの極点のうち外側の極点について、外側の極点と、その極点に隣接する極点との極値の差の大きさが所定の閾値以下であり、かつ、外側の極点が、4つの極点における最大値または最小値の何れにも該当しない場合、外側の極点を除外する。
極点除外部193は、極値の差の大きさと閾値との比較、および、極点が4つの極点における最大値または最小値か否かの判定といった比較的簡単な処理で極点を除外するか否かを決定することができ、この点で、極点除外部193の負荷が軽くて済む。
【0097】
また、極点除外部193は、極大点を中心に連続する5つの極点について、所定の波高算出方法で波高を算出できないか、または、所定の波長算出方法で波長を算出できない場合、その5つの極点の組み合わせを波形情報算出対象から除外する。波形情報算出部194は、除外されなかった連続する5つの極点に基づいて、中心の極大点における波高および波形を算出する。
波形情報算出装置100によれば、波形データの極大点ごとに波高および波長を算出することができる。
【0098】
図19は、実施形態に係る波形情報算出装置の構成例を示す図である。図19に示す波形情報算出装置610は、データ取得部611と、極点検出部612と、極点除外部613と、波形情報算出部614とを備える。
かかる構成で、データ取得部611は、波形の測定データを取得する。極点検出部612は、測定データにおける極点を検出する。極点除外部613は、複数の極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす極点を除外する。波形情報算出部614は、除外されなかった極点に基づいて、波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する。
【0099】
データ取得部611は、データ取得手段の例に該当する。極点検出部612は、極点検出手段の例に該当する。極点除外部613は、極点除外手段の例に該当する。波形情報算出部614は、波形情報算出手段の例に該当する。
波形情報算出装置610では、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させ、かつ、波形の変化(歪み)による誤差を回避するか、あるいは低減させて、波形情報を算出できると期待される。波形情報算出装置610によれば、この点で、波形情報を高精度に算出することができる。
【0100】
図20は、実施形態に係る波形情報算出方法における処理の手順の例を示すフローチャートである。
図20に示す処理は、データを取得すること(ステップS611)と、極点を検出すること(ステップS612)と、極点を除外すること(ステップS613)と、波形情報を算出すること(ステップS614)とを含む。
データを取得すること(ステップS611)と、極点を検出すること(ステップS612)と、極点を除外すること(ステップS613)と、波形情報を算出すること(ステップS614)とを含む。
【0101】
データを取得すること(ステップS611)では、波形の測定データを取得する。極点を検出すること(ステップS612)では、測定データにおける極点を検出する。極点を除外すること(ステップS613)では、複数の極点の位置関係に基づいて、所定の条件を満たす極点を除外する。波形情報を算出すること(ステップS614)では、除外されなかった極点に基づいて、波形における波高または波長の少なくとも何れかを算出する。
図20に示す処理では、波形における局所的な情報にとらわれて波の大きさを過少に評価する可能性を低減させ、かつ、波形の変化(歪み)による誤差を回避するか、あるいは低減させて、波形情報を算出できると期待される。図20に示す処理によれば、この点で、波形情報を高精度に算出することができる。
【0102】
図21は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
図7に示す構成で、コンピュータ700は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)710と、主記憶装置720と、補助記憶装置730と、インタフェース740とを備える。
【0103】
上記の波形情報算出装置100および波形情報算出装置610のうち何れか1つ以上が、コンピュータ700に実装されてもよい。その場合、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU710は、プログラムに従って、上記処理に用いられる記憶領域を主記憶装置720に確保する。
【0104】
波形情報算出装置100がコンピュータ700に実装される場合、制御部190およびその各部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、CPU710は、プログラムに従って、記憶部180に対応する記憶領域を主記憶装置720に確保する。
【0105】
通信部110による通信は、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従って通信を行うことで実行される。
表示部120による表示は、インタフェース740が表示画面を備え、CPU710の制御に従って各種画像を表示することで実行される。操作入力部130によるユーザ操作の受け付けは、インタフェース740が入力デバイスを備えてユーザ操作を受け付け、受け付けたユーザ操作を示す信号をCPU710に出力することで実行される。
【0106】
波形情報算出装置610がコンピュータ700に実装される場合、データ取得部611と、極点検出部612と、極点除外部613と、波形情報算出部614との動作は、プログラムの形式で補助記憶装置730に記憶されている。CPU710は、プログラムを補助記憶装置730から読み出して主記憶装置720に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
また、データ取得部611が波形の測定データを取得する処理は、例えば、インタフェース740が通信機能を有し、CPU710の制御に従ってセンサなど他の装置と通信を行うことで実行される。
【0107】
なお、波形情報算出装置100、および、波形情報算出装置610の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(オペレーティングシステム)や周辺機器等のハードウェアを含む。
「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0108】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0109】
100、610 波形情報算出装置
110 通信部
120 表示部
130 操作入力部
180 記憶部
190 制御部
191、611 データ取得部
192、612 極点検出部
193、613 極点除外部
194、614 波形情報算出部
201 加速度補正部
202 ピッチ・ロール補正部
203 ローパスフィルタ
204 測定結果画面出力部
図1
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