IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電波工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電力増幅装置 図1
  • 特開-電力増幅装置 図2
  • 特開-電力増幅装置 図3
  • 特開-電力増幅装置 図4
  • 特開-電力増幅装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114190
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】電力増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/02 20060101AFI20220729BHJP
   H03F 3/68 20060101ALI20220729BHJP
   H03F 3/20 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/68 220
H03F3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010372
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】北山 康夫
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC36
5J500AF15
5J500AF19
5J500AK00
5J500AK16
5J500AK33
5J500AK68
5J500AM20
5J500AT01
5J500AT02
5J500AT07
5J500CK06
5J500CK07
(57)【要約】
【課題】電力合成の損失をより低減させる。
【解決手段】入力信号を増幅した第1増幅信号を生成する第1増幅器21と、入力信号を増幅した第2増幅信号を生成する第2増幅器22と、第1増幅信号と第2増幅信号とを合成した合成信号を生成する合成器305と、合成器305に入力された第1増幅信号の第1位相量を検出する第1位相検出回路310と、合成器305に入力された第2増幅信号の第2位相量を検出する第2位相検出回路311と、第1位相量と第2位相量との差が小さくなるように第1位相量又は第2位相量を変化させる制御部316と、を備える。
【選択図】図3



【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅した第1増幅信号を生成する第1増幅器と、
前記入力信号を増幅した第2増幅信号を生成する第2増幅器と、
前記第1増幅信号と前記第2増幅信号とを合成した合成信号を生成する合成器と、
前記合成器に入力された前記第1増幅信号の第1位相量を検出する第1位相検出回路と、
前記合成器に入力された前記第2増幅信号の第2位相量を検出する第2位相検出回路と、
前記第1位相量と前記第2位相量との差が小さくなるように前記第1位相量又は前記第2位相量を変化させる制御部と、
を備える電力増幅装置。
【請求項2】
前記第1増幅器は、増幅する前の前記入力信号の位相を所定の移相量だけ変化させる可変移相器を備え、
前記制御部は、前記第1位相量と前記第2位相量との差が小さくなるように前記移相量を変化させる、
請求項1に記載の電力増幅装置。
【請求項3】
複数の増幅器により入力信号を増幅した複数の増幅信号を合成した第1合成信号を生成する第1合成器と、
複数の増幅器により前記入力信号を増幅した複数の増幅信号を合成した第2合成信号を生成する第2合成器と、
前記第1合成信号と前記第2合成信号とを合成した第3合成信号を生成する第3合成器と、
前記第3合成器に入力される前記第1合成信号の第1合成位相量を検出する第1合成位相検出回路と、
前記第3合成器に入力される前記第2合成信号の第2合成位相量を検出する第2合成位相検出回路と、
前記第1合成位相量と前記第2合成位相量との差が小さくなるように前記第1合成位相量又は前記第2合成位相量を変化させる制御部と、
を備える電力増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号の電力を増幅する電力増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分配器によって分配された2つの高周波信号をそれぞれ電力増幅部で増幅し、2つの電力増幅部で増幅された信号を電力合成器によって合成し、合成された一つの電力増幅信号を得る技術が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された技術では、2つの電力増幅部の出力の位相又は振幅に差分が生じた場合には、検出回路に高周波信号が流れる。特許文献1には、検出回路に流れる信号を入力されたフィードバック回路は、電力合成器での合成損失を低減させるために、2つの電力増幅部の出力のレベルが所定の値になるように位相及び振幅の一部を補正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-129426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、2つの電力増幅部の出力の位相又は電力に差分が生じた場合に検出回路に高周波信号が流れるため、2つの電力増幅部の出力に電力差がある状態では、位相差の検出精度が低くなる。このため、電力増幅部の出力の位相を補正する精度が低くなり、電力合成の損失を十分に低減させることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、電力合成の損失をより低減させることができる電力増幅装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の電力増幅装置は、入力信号を増幅した第1増幅信号を生成する第1増幅器と、前記入力信号を増幅した第2増幅信号を生成する第2増幅器と、前記第1増幅信号と前記第2増幅信号とを合成した合成信号を生成する合成器と、前記合成器に入力された前記第1増幅信号の第1位相量を検出する第1位相検出回路と、前記合成器に入力された前記第2増幅信号の第2位相量を検出する第2位相検出回路と、前記第1位相量と前記第2位相量との差が小さくなるように前記第1位相量又は前記第2位相量を変化させる制御部と、を備える。
【0007】
前記第1増幅器は、増幅する前の前記入力信号の位相を所定の移相量だけ変化させる可変移相器を備え、前記制御部は、前記第1位相量と前記第2位相量との差が小さくなるように前記移相量を変化させてもよい。
【0008】
本発明の第2の態様の電力増幅装置は、複数の増幅器により入力信号を増幅した複数の増幅信号を合成した第1合成信号を生成する第1合成器と、複数の増幅器により前記入力信号を増幅した複数の増幅信号を合成した第2合成信号を生成する第2合成器と、前記第1合成信号と前記第2合成信号とを合成した第3合成信号を生成する第3合成器と、前記第3合成器に入力される前記第1合成信号の第1合成位相量を検出する第1合成位相検出回路と、前記第3合成器に入力される前記第2合成信号の第2合成位相量を検出する第2合成位相検出回路と、前記第1合成位相量と前記第2合成位相量との差が小さくなるように前記第1合成位相量又は前記第2合成位相量を変化させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力合成の損失をより低減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の電力増幅装置の構成を示す図である。
図2】複数の増幅器の構成を示す図である。
図3】合成器の構成を示す図である。
図4】合成損失と位相差との関係を示す図である。
図5】制御部による第1位相量と第2位相量との制御の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[電力増幅装置の構成]
図1は、本実施形態の電力増幅装置100の構成を示す図である。電力増幅装置100は、信号発生器10、増幅器21から増幅器24及び合成器30を備える。電力増幅装置100は、高周波信号等の信号を所定電力まで増幅させる。所定電力は、例えば電力増幅装置100の後段の回路で必要な電力に基づいて決定されている。
【0012】
信号発生器10は、高周波信号等の入力信号を発生させる。信号発生器10は、例えば同軸ケーブルを介して、複数の増幅器21から増幅器24に入力信号を入力する。増幅器21(第1増幅器に相当)は、入力信号を増幅した第1増幅信号を生成する。増幅器21の増幅度は、例えば、2.3~2.7dB程度である。増幅器22(第2増幅器に相当)は、増幅器21と同様に、入力信号を増幅した第2増幅信号を生成する。増幅器23及び増幅器24についても増幅器21と同様に増幅信号を生成する。
【0013】
合成器30は、複数の増幅器21~増幅器24が生成した増幅信号を合成することにより電力増幅した合成信号を生成する。合成器30は、増幅器21が生成する第1増幅信号の第1位相量と、増幅器22が生成する第2増幅信号の第2位相量とを検出する。同様にして、合成器30は、増幅器23及び増幅器24が生成する増幅信号の位相量をそれぞれ検出する。
【0014】
合成器30は、図1中の破線で示すように、増幅器21が生成する第1増幅信号の第1位相量を変化させるための移相量を増幅器21に通知する。同様にして、合成器30は、増幅器22が生成する第2増幅信号の第2位相量を変化させるための移相量を増幅器22に通知する。合成器30は、増幅器23及び増幅器24が生成する増幅信号の位相量を変化させるための移相量をそれぞれ増幅器23及び増幅器24へ通知する。
【0015】
合成器30は、検出した第1位相量と、検出した第2位相量との差が小さくなるように第1位相量又は第2位相量を変化させる。このようにして、合成器30は、第1増幅信号と第2増幅信号とを合成する際の電力合成の損失をより低減させることができる。このため、合成器30は、電力合成の損失を補うために複数の増幅器21~増幅器24が生成する増幅信号の電力を増加させる必要がなく、合成損失に起因する発熱により合成器30全体が高温になることを抑制することができる。
【0016】
[増幅器の構成]
図2は、複数の増幅器21~増幅器24の構成を示す図である。増幅器21は、可変移相器211、増幅部212及び信号処理回路213を備える。可変移相器211は、増幅部212が増幅する前の入力信号の位相を所定の移相量だけ変化させる。増幅部212は、可変移相器211により位相が調整された入力信号を電力増幅することにより、第1増幅信号を生成する。
【0017】
信号処理回路213は、増幅部212が増幅する前の入力信号の位相を所定の移相量だけ可変移相器211により変化させる。所定の移相量は、例えば、合成器30により通知される。信号処理回路213は、例えば、合成器30から通知された移相量に対応する電圧の信号を可変移相器211に入力することにより、可変移相器211による位相調整を制御する。
【0018】
増幅器22は、可変移相器221、増幅部222及び信号処理回路223を備える。可変移相器221は、可変移相器211と同様である。増幅部222は、可変移相器221により位相調整された入力信号を電力増幅することにより、第2増幅信号を生成する。信号処理回路223は、信号処理回路213と同様である。
【0019】
増幅器23は、可変移相器231、増幅部232及び信号処理回路233を備える。増幅器23の可変移相器231、増幅部232及び信号処理回路233は、それぞれ増幅器21の可変移相器211、増幅部212、信号処理回路213と同様である。増幅器24は、可変移相器241、増幅部242及び信号処理回路243を備える。増幅器24の可変移相器241、増幅部242及び信号処理回路243は、それぞれ増幅器21の可変移相器211、増幅部212、信号処理回路213と同様である。
【0020】
[合成器の構成]
図3は、合成器30の構成を示す図である。合成器30は、カプラ301からカプラ304、第1合成器305、第2合成器306、カプラ307、カプラ308、第3合成器309、位相検出回路310から位相検出回路315及び制御部316を備える。
【0021】
カプラ301は、増幅器21から入力された第1増幅信号の一部を位相検出回路310に入力し、それ以外の第1増幅信号を第1合成器305に入力する。カプラ302は、増幅器22から入力された第2増幅信号の一部を位相検出回路311に入力し、それ以外の第2増幅信号を第1合成器305に入力する。カプラ303は、増幅器23から入力された増幅信号の一部を位相検出回路312に入力し、それ以外の増幅信号を第2合成器306に入力する。カプラ304は、増幅器24から入力された増幅信号の一部を位相検出回路313に入力し、それ以外の増幅信号を第2合成器306に入力する。
【0022】
第1合成器305は、例えば、ウィルキンソン合成器である。第1合成器305には、複数の増幅器により入力信号を増幅した複数の増幅信号が入力される。第1合成器305は、入力された複数の増幅信号を合成した第1合成信号を生成する。図3の例では、第1合成信号は、増幅器21が生成した第1増幅信号と、増幅器22が生成した第2増幅信号とを合成した信号である。第1合成器305には、吸収抵抗51が設けられている。第1合成器305による合成において第1位相量と第2位相量とが一致しない場合、合成損失が生じる。この合成損失は、吸収抵抗51により熱に変換される。
【0023】
第2合成器306は、例えば、ウィルキンソン合成器である。第2合成器306には、複数の増幅器により入力信号を増幅した複数の増幅信号が入力される。第2合成器306は、入力された複数の増幅信号を合成した第2合成信号を生成する。図3の例では、第2合成信号は、増幅器23が生成した増幅信号と、増幅器24が生成した増幅信号とを合成した信号である。第2合成器306には、吸収抵抗61が設けられている。吸収抵抗61は、吸収抵抗51と同様である。
【0024】
カプラ307は、第1合成器305から入力された第1合成信号の一部を位相検出回路314に入力し、それ以外の第1合成信号を第3合成器309に入力する。カプラ308は、第2合成器306から入力された第2合成信号の一部を位相検出回路315に入力し、それ以外の第2合成信号を第3合成器309に入力する。
【0025】
第3合成器309は、例えば、ウィルキンソン合成器である。第3合成器309は、第1合成信号と第2合成信号とを合成した第3合成信号を生成する。第3合成器309は、生成した第3合成信号を外部装置(不図示)へ出力する。第3合成器309には、吸収抵抗91が設けられている。吸収抵抗91は、吸収抵抗51と同様である。
【0026】
[位相量の検出]
位相検出回路310(第1位相検出回路に相当)は、合成器30に入力された第1増幅信号の第1位相量を検出する。位相検出回路310には、カプラ301により第1増幅信号の一部が入力される。位相検出回路310は、入力された信号の位相量を検出する。
【0027】
位相検出回路311(第2位相検出回路に相当)は、位相検出回路310と同様にして、合成器30に入力された第2増幅信号の第2位相量を検出する。位相検出回路312は、位相検出回路310と同様にして、合成器30に入力された増幅器23の増幅信号の位相量を検出する。位相検出回路313は、位相検出回路310と同様にして、合成器30に入力された増幅器24の増幅信号の位相量を検出する。
【0028】
位相検出回路314(第1合成位相検出回路に相当)は、位相検出回路310と同様にして、第3合成器309に入力される第1合成信号の第1合成位相量を検出する。位相検出回路315(第2合成位相検出回路に相当)は、位相検出回路310と同様にして、第3合成器309に入力される第2合成信号の第2合成位相量を検出する。
【0029】
[位相量の制御]
制御部316は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部316は、位相検出回路310から位相検出回路315による電力の検出結果に基づいて、増幅器21~増幅器24が生成する増幅信号の位相量を変化させる。
【0030】
図4は、合成損失と位相差との関係を示す図である。図4の縦軸は、第1合成器305、第2合成器306及び第3合成器309が2つの信号を合成する際の合成損失をデシベル(dB)値で示す。図4の横軸は、合成器に入力される2つの信号の位相差を示す。図4に示すように、第1合成器305等に入力される2つの信号の位相差が0度であれば、合成損失は0dBとなる。一方、位相差が大きくなるほど合成損失は大きくなり、180度付近では-20dBに達する。制御部316は、信号の合成による合成損失を低減するために、第1合成器305等に入力される2つの信号の位相差が小さくなるように信号の位相を調整する。
【0031】
制御部316は、第1増幅信号の第1位相量と、第2増幅信号の第2位相量との差を特定する。制御部316は、特定した差が小さくなるように可変移相器211又は可変移相器221の移相量を変化させる。本明細書の例では、制御部316は、可変移相器221の移相量を固定した状態において可変移相器211の移相量を変化させる。制御部316は、第1位相量と第2位相量とが一致する場合の可変移相器211の移相量を算出する。制御部316は、算出した可変移相器211の移相量を信号処理回路213へ通知する。
【0032】
制御部316は、同様にして、増幅器23による増幅信号の位相量と増幅器24による増幅信号の位相量との差が小さくなるように、可変移相器231又は可変移相器241の移相量を変化させる。制御部316は、可変移相器241の移相量を固定した状態において可変移相器231の移相量を変化させる。制御部316は、増幅器23による増幅信号の位相量と増幅器24による増幅信号の位相量とが一致する場合の可変移相器231の移相量を算出する。制御部316は、算出した可変移相器231の移相量を信号処理回路233へ通知する。
【0033】
制御部316は、第1合成位相量と第2合成位相量との差が小さくなるように第1合成位相量又は第2合成位相量を変化させる。制御部316は、第1合成位相量と第2合成位相量とが一致する場合の可変移相器211、可変移相器221、可変移相器231及び可変移相器241の移相量をそれぞれ算出する。より詳しくは、制御部316は、第1増幅信号の第1位相量と、第2増幅信号の第2位相量とを変化させることにより、第1増幅信号及び第2増幅信号を合成した第1合成信号の第1合成位相量を変化させる。
【0034】
このとき、制御部316は、第1位相量と第2位相量との差が生じないように第1位相量と第2位相量とを同じ移相量だけ変化させる。制御部316は、第1合成位相量と第2合成位相量とを一致させる場合の可変移相器211、可変移相器221、可変移相器231及び可変移相器241の移相量をそれぞれ算出する。制御部316は、算出した移相量を信号処理回路213、信号処理回路223、信号処理回路233及び信号処理回路243へそれぞれ通知する。
【0035】
[合成器による信号の合成の処理手順]
図5は、制御部316による第1位相量と第2位相量との制御の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、例えば、第1合成器305が第1増幅信号と第2増幅信号とを合成している間に開始される。
【0036】
まず、制御部316は、位相検出回路310が検出した第1位相量と、位相検出回路311が検出した第2位相量とを取得する(S101)。制御部316は、第1位相量と第2位相量との差を特定する(S102)。制御部316は、第1位相量と第2位相量とが一致する場合の可変移相器211の移相量を算出する(S103)。
【0037】
制御部316は、算出した可変移相器211の移相量を信号処理回路213へ通知する(S104)。信号処理回路213は、通知された移相量だけ可変移相器211により入力信号の位相を変化させる。制御部316は、第1増幅信号と第2増幅信号との合成の終了を指示するユーザの操作を受け付けたか否かを判定する(S105)。
【0038】
制御部316は、第1増幅信号と第2増幅信号との合成の終了を指示するユーザの操作を受け付けたと判定した場合に(S105のYES)、処理を終了する。制御部316は、S105の判定において第1増幅信号と第2増幅信号との合成の終了を指示するユーザの操作を受け付けていないと判定した場合に(S105のNO)、S101の処理に戻る。
【0039】
[電力増幅装置による効果]
制御部316は、検出した第1位相量と、検出した第2位相量との差が小さくなるように第1位相量又は第2位相量を変化させる。このようにして、制御部316は、第1増幅信号と第2増幅信号とを合成する際の電力合成の損失をより低減させることができる。このため、制御部316は、電力合成の損失を補うために複数の増幅器21~増幅器24が生成する増幅信号の電力を増加させる必要がなく、合成損失に起因する発熱により合成器30全体が高温になることを抑制することができる。
【0040】
制御部316は、位相検出回路310及び位相検出回路311による高精度の検出結果を利用して第1位相量及び第2位相量を変化させることにより、第1増幅信号と第2増幅信号との合成の損失をより低減させることができる。その結果、吸収抵抗により生じる発熱量が減少するので、電力増幅装置100が過熱することを抑制できる。また、位相検出回路310及び位相検出回路311が第1位相量及び第2位相量を常時検出しているので、環境温度の変化によるレベル変動の影響を抑制することもできる。
【0041】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0042】
10 信号発生器
21 増幅器
22 増幅器
23 増幅器
24 増幅器
30 合成器
51 吸収抵抗
61 吸収抵抗
91 吸収抵抗
100 電力増幅装置
211 可変移相器
212 増幅部
213 信号処理回路
221 可変移相器
222 増幅部
223 信号処理回路
231 可変移相器
232 増幅部
233 信号処理回路
241 可変移相器
242 増幅部
243 信号処理回路
301 カプラ
302 カプラ
303 カプラ
304 カプラ
305 第1合成器
306 第2合成器
307 カプラ
308 カプラ
309 第3合成器
310 位相検出回路
311 位相検出回路
312 位相検出回路
313 位相検出回路
314 位相検出回路
315 位相検出回路
316 制御部
図1
図2
図3
図4
図5