(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114207
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20220729BHJP
【FI】
B65D35/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010401
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 征記
(72)【発明者】
【氏名】本庄 美香
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA05
3E065BA14
3E065BA27
3E065BA35
3E065BB03
3E065CA02
3E065CA09
3E065DA04
3E065DD05
3E065FA20
3E065GA10
3E065HA01
3E065HA04
3E065HA06
(57)【要約】
【課題】胴部の紙層への液体の浸透を抑制して耐久力を向上させたチューブ容器を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂により形成され、筒状の注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部とを有する注出口部と、紙層と最内層のシーラント層とを含むシートからなり、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲の部分がフランジ部にシールされたチューブ状の胴部とを備え、胴部の他方端におけるシートの端面が、注出口部のフランジ部の一部により封止されている、チューブ容器。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂により形成され、筒状の注出筒部と、前記注出筒部の一方端に接続され、前記注出筒部の外方に延伸するフランジ部とを有する注出口部と、
紙層と最内層のシーラント層とを含むシートからなり、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲の部分が前記フランジ部にシールされたチューブ状の胴部とを備え、
前記胴部の他方端における前記シートの端面が、前記注出口部の前記フランジ部の一部により封止されている、チューブ容器。
【請求項2】
前記フランジ部は、前記注出筒部の一方端に接続されるリング状の内周部と、前記内周部に接続されると共に、前記内周部を取り囲むリング状の外周部とを有し、
前記胴部の前記所定範囲の部分が、前記外周部の外面にシールされ、
前記内周部の外周縁に、外方に突出するオーバーハング部が形成され、
前記オーバーハング部と前記外周部の外面との間に、前記胴部の前記他方端が挟まれて密閉されている、請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている。例えば、特許文献1には、内容物を抽出する注出ユニットと、注出ユニットに溶着され、内容物を収容する胴部とから構成されるチューブ容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、環境負荷の軽減や資源保護の観点から、包装容器に使用する樹脂量の低減が要望されており、樹脂の一部を紙に置き換えた包装容器が種々検討されている。チューブ容器においても、樹脂使用量を低減するため、例えば、胴部に紙を用いることが考えられる。
【0005】
チューブ容器は、一般に、液体を含む内容物の包装に用いられる。また、内容物によっては、チューブ容器が湿潤環境下で使用されることが考えられる。したがって、胴部の構成材料に紙を使用したチューブ容器においては、使用に伴って紙層の端面から内容物や水分が浸透し、染みや層間剥離が発生する可能性がある。紙層への液体の浸透は、胴部の紙層を厚くするにつれて生じやすくなる。
【0006】
紙への液体の浸透を防止する方法としては、胴部の構成材料として耐油紙や耐水紙を用いる方法や、胴部の表層に耐水性を有するニスを塗布する方法、胴部の表層にポリエチレンやポリエチレンテレフタレートの層をラミネートする方法があるが、これらの方法は紙層の端面からの液体の浸透に対しては効果が限定的である。
【0007】
それ故に、本発明は、胴部の紙層への液体の浸透を抑制して耐久力を向上させたチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るチューブ容器は、熱可塑性樹脂により形成され、筒状の注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部とを有する注出口部と、紙層と最内層のシーラント層とを含むシートからなり、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲の部分がフランジ部にシールされたチューブ状の胴部とを備え、胴部の他方端におけるシートの端面が、注出口部のフランジ部の一部により封止されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、胴部の紙層への液体の浸透を抑制して耐久力を向上させたチューブ容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図であり、
図2は、胴部を構成するシートの一例を示す断面図である。
【0012】
チューブ容器100は、チューブ状の胴部1と、胴部1に取り付けられた注出口部2とを備える。
【0013】
胴部1は、内容物を収容するための部材であり、略平行な一対の端縁を有するシートを筒状に成形することにより形成されている。胴部1は、例えば、シートの一対の端縁のそれぞれを含む帯状の部分の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させることにより、筒状に形成されている。胴部1の一方の端部5a(
図1における下端)はシールされて閉塞されている。一方、胴部1の他方の端部5b(
図1における上端)の近傍部分は、折り畳まれた状態で、後述するフランジ部4の外面にシールされている。胴部1とフランジ部4との溶着部には、胴部1を構成するシートが折り畳まれてなるプリーツ12が複数形成される。フィルムの端縁部分の貼り合わせにより胴部1に形成された貼り合わせ部7(背貼り部)は、胴部1の外面に沿うように折り曲げられて胴部1に貼り合わされていても良い。貼り合わせ部7の胴部1への貼合方法は特に限定されず、胴部1を構成するフィルムの表面全体または部分的に設けられるヒートシール性の樹脂を介して両者を溶着しても良いし、ホットメルト等の接着剤を介して両者を接着しても良い。尚、
図1に示す胴部1の貼り合わせ方法は例示であり、胴部1を構成するフィルムの一方の端縁を含む帯状領域の外面と、フィルムの他方の端縁を含む帯状領域の内面とを貼り合わせても良い。
【0014】
図2は、胴部を構成するシートの一例を示す断面図である。
【0015】
チューブ容器100の胴部1は、紙を主体とするシート41により構成される。シート41は、紙層32の一方面に、基材フィルム層33、バリア層34及びシーラント層35をこの順に積層し、紙層32の他方面に、紙保護層37を積層し、更に紙保護層37上にインキ層38及びオーバーコートニス層39を積層した多層シートである。以下、各層の詳細を説明する。
【0016】
(紙層)
紙層32は、チューブ容器100に強度及びコシを付与する構造層である。紙層32を構成する用紙の種類は特に限定されないが、強度、屈曲耐性、印刷適性を備える点で、片艶クラフト紙または両艶クラフト紙を用いることが好ましい。また、紙層32を構成する用紙として、必要に応じて、耐水紙または耐油紙を使用しても良い。
【0017】
紙層32に用いる紙の坪量は、30~200g/m2であり、50~120g/m2であることが好ましい。紙層32に用いる紙の坪量が30g/m2未満である場合、胴部1のコシが不足する。コシを補うためには、例えば、紙層32より内側に設ける樹脂フィルムを厚くする必要があるが、樹脂比率の上昇に繋がり、環境負荷低減の面で望ましくない。また、紙層32に用いる紙の坪量が200g/m2を超える場合、紙のコシや断熱性により、製筒性(製袋性)、成型性及び溶着性が悪化する上、製造コストも増加するため好ましくない。
【0018】
(基材フィルム層)
基材フィルム層33は、シート41に耐熱性と強靱性等の物理的強度とを付与する層である。基材フィルム層33は、バリア層34の基材となる層でもある。基材フィルム層33を構成するフィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性及び物理的強度の観点から、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の延伸フィルムを用いることが好ましい。ただし、基材フィルム層33を紙により構成しても良い。
【0019】
(バリア層)
バリア層34は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層である。バリア層34は、例えば、シリカやアルミナ等の無機化合物の蒸着膜、アルミニウム等の金属蒸着膜、アルミニウム等の金属箔、板状鉱物及び/またはバリア性樹脂を含むバリアコート剤の塗膜の1種以上により構成することができる。バリアコート剤に用いるバリア性樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用することができ、バリアコート剤にはバリア性樹脂以外のバインダー樹脂が適宜配合される。バリア層34は、予め基材フィルム層33上に積層されてバリアフィルムを構成していても良いし、単層膜として設けられても良い。
【0020】
(シーラント層)
シーラント層35の材質は特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。シーラント層35は、軟化温度が基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低い樹脂を用いる。シーラント層35の軟化温度が、基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低くない場合、シール時に基材フィルム層33が軟化してピンホールが発生する可能性が高くなるため好ましくない。シーラント層35の軟化温度は、基材フィルム層33の軟化温度より40℃以上低いことが好ましい。
【0021】
シーラント層35に用いる熱可塑性樹脂は、後述する注出口部2の材料を構成する熱可塑性樹脂に対して接着性を有するものであれば良いが、注出口部2に用いる熱可塑性樹脂と同じ材質であることが好ましい。シーラント層35に用いる熱可塑性樹脂と注出口部2に用いる熱可塑性樹脂層とを同じにすることにより、胴部1と注出口部2とのシール強度を向上させることができる。
【0022】
(紙保護層)
紙保護層37は、シート41を構成する紙層32への内容物や汚れの付着から保護するための層である。紙保護層37の材料や形成方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の押出コートや、耐水剤あるいは耐油剤等のコート剤のコートにより紙保護層37を積層することができる。紙保護層37の厚みは、0.2~50μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましい。紙保護層37の厚みが0.2μm未満である場合、紙保護層37にピンホールが発生する可能性があり、紙層32の保護が不十分となる場合がある。また、紙保護層37の厚みが50μmを超える場合、樹脂使用量や製造コストの面で好ましくない。
【0023】
(インキ層、オーバーコートニス層)
インキ層38は、各種表示を行うために印刷により施される層であり、オーバーコートニス層39は、耐摩性等を付与するための層である。インキ層38とオーバーコートニス層の積層順序は
図2と逆であっても良い。また、オーバーコートニス層39が紙保護層37を兼ねていても良い。
【0024】
胴部1を構成するシート41の厚み(総厚)は、特に限定されないが、30~300μmであることが好ましい。胴部1を構成するフィルムの厚みが、この範囲であれば、製袋機やピロー・スティック包装機等を用いて胴部1を容易に筒状に加工することができる。また、紙層32によって強度とコシが付与されるため、一般的なラミネートチューブ(厚み300~500μm)と比べて、薄くすることができ、樹脂使用量も低減できる。
【0025】
胴部1を構成するシート41の樹脂比率を低減するため、シート41の質量のうち、紙層32の占める割合が50%以上であることが好ましい。樹脂の使用量を低減する観点では紙層32の割合は高いほど好ましい。
【0026】
尚、胴部1を構成するシートは、少なくとも紙層32の一方面側(チューブ容器100の内側となる面側)にシーラント層35が積層されたものであれば良く、上記の基材フィルム層33、バリア層34、紙保護層37、インキ層38及びオーバーコートニス層39の1層以上を省略しても良い。
【0027】
図3は、胴部をシールする前の注出口部の斜視図であり、
図4は、図に示したIV-IVラインに沿う断面図である。
【0028】
注出口部2は、胴部1に収容された内容物を外部に抽出するためのスパウトである。注出口部2は、筒状の注出筒部3とフランジ部4とを備える。フランジ部4は、注出筒部3の一方の端部6a(
図1における下端)に接続され、注出筒部3の外方に延伸する平板状の部分である。本実施形態では、フランジ部4は、注出筒部3の軸方向と直交する方向(
図1における左右方向)に延伸するように形成されている。本実施形態では、フランジ部4は、円環状に形成されているが、胴部1を接合することができる限り、フランジ部4の形状は限定されず、楕円形、長円形、トラック形、多角形等であっても良い。
【0029】
注出口部2は、熱可塑性樹脂を含む材料により成形される。注出口部2の成形材料は、樹脂以外のフィラーを含有しても良い。樹脂と樹脂以外のフィラーの混合物を用いることにより、成型性や胴部1のシート材との熱溶着性を維持しつつ、樹脂の使用量を低減することが可能となる。注出口部2の材料に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド及びシクロポリオレフィンのいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。フィラーとしては、タルク、カオリン、紙粉及びセルロース繊維のいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。注出口部2の成型方法は特に限定されないが、射出成形、真空成形・熱板圧空成型等のサーモフォーミング、コンプレッション成型等の既存の成型方法を利用可能である。
【0030】
図3及び
図4に示すように、フランジ部4は、注出筒部3の端部6aに接続されるリング状の内周部21と、内周部21に接続されると共に、内周部21を取り囲むリング状の外周部22とを有する。外周部22は、内周部21の外面に対して、注出筒部3の端部6bと反対側に位置しており、内周部21の外面を含む平面P1と、外周部22の外面を含む平面P2との間にギャップが設けられている。尚、フランジ部4(内周部21、外周部22)の外面とは、注出口部2に胴部1をシールしてチューブ容器100を構成したときに、チューブ容器100の外側となる面を指す。
【0031】
内周部21の外面を含む平面P1と、外周部22の外面を含む平面P2とのギャップ(段差の高さ)は、胴部を構成するシートの厚みよりも0.5~1.0mm大きく設定されている。
【0032】
図5は、
図1に示すV-Vラインに沿う断面図である。
【0033】
本実施形態に係るチューブ容器100においては、胴部1の端部5bにおけるシートの端面が、注出口部2のフランジ部4の一部によって封止されており、外部に露出していない。より詳細には、
図5に示すように、胴部1の端部5bから所定範囲の部分が、フランジ部4の外周部22の外面にシールされている。フランジ部4の内周部21の外周縁には、外方に突出するオーバーハング部23が形成されており、オーバーハング部23と外周部22の外面との間に、胴部1の端部5bが挟まれて密閉されている。このオーバーハング構造により、胴部1の端部5bの端面が隠蔽され、端面からの液体の浸透が抑制されている。
【0034】
以下、チューブ容器100の製造方法を説明する。
【0035】
図6は、胴部の注出口部へのシール方法を示す断面図である。
【0036】
まず、紙層及びシーラント層を有する矩形状のシートを丸めて、対向する一対の端縁の近傍部分の内面同士を突き合わせてシールすることにより、あるいは、一方の端縁の近傍部分の外面と他方の端縁の近傍部分の内面とを重ね合わせてシールすることにより、スリーブを形成する。次に、形成したスリーブをマンドレル25に装着し、注出口部2を胴部1の端部5bから内部に挿入する。次に、製造装置に設けられた図示しない複数のピン等を用いて、胴部1の端部5bから所定範囲の部分を折り畳んで、注出口部2のフランジ部4の外周部22の外面に重ね合わせる。次に、超音波シールまたは熱板シールにより、胴部1の端部5から所定範囲をフランジ部4の外周部22に溶着する。このとき、
図6に示すように、超音波ホーンや熱板等の溶着装置26を、フランジ部4の外周部22だけでなく内周部21にも圧着を行うことにより、内周部21の一部が溶融して外方に延び広がり、
図5に示したオーバーハング部23が形成される。
【0037】
オーバーハング部23と胴部23の表面との接着強度を向上させるため、胴部1を構成するシートの表面には、注出口部2と同じ樹脂からなる樹脂層が設けられていることが好ましい。この場合、オーバーハング部23は、胴部1の表面の樹脂層と熱溶着する。胴部1を構成するシートの表面が紙層である場合でも、溶融した樹脂の一部が紙層の繊維中に染み込んで固化することにより、オーバーハング部23と胴部1の表面と疑似接着した状態となり、紙層の端面が密閉された状態を維持することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係るチューブ容器100においては、胴部1を紙とシーラントを有するシートで構成しているが、胴部1のうち、注出口部2にシールされた部分の端部(エッジ)が、フランジ部4に形成されたオーバーハング部23によって封止されている。チューブ容器100の口元には、内容物が付着しやすいが、フランジ部4にシールされた部分の端部が隠蔽されているため、内容物に含まれる液体が紙層へ浸透することを抑制できる。これにより、紙層への液体の浸透に起因する染みや層間剥離等の発生を低減でき、容器の耐久性を向上することができる。オーバーハング部23は、
図3及び
図4に示したような、フランジ部4に段差を設けた注出口部2を用い、溶着時にフランジ部4の段差部の一部を溶融させることによって形成できるので、別途の部材等も不要である。
【0039】
また、本実施形態に係るチューブ容器100においては、フランジ部4が注出筒部3の中心軸に対して直交する平板形状を有しており、胴部1がフランジ部4の外面に溶着されている。チューブ容器100の内容物が少なくなった場合に、胴部1をフランジ部4の外周縁に沿って折り畳むことにより、内容物を容易に絞り出すことができる。また、フランジ部4が平板形状であり、フランジ部4によって内容物が残存する空間が形成されないため、胴部1をフランジ部4の外周縁に沿って折り曲げ、フランジ部4と胴部1とをほぼフラットな状態とすることにより、内容物を残らず絞り出すことができる。尚、内周部21と外周部22との間にはギャップが設けられているが、このギャップはシートの厚みとほぼ同程度であるので、フランジ部4は全体としてフラットな形状であり、ギャップを設けたことによる絞り出しやすさへの影響は小さい。
【0040】
(その他の変形例)
上記の実施形態に係るチューブ容器100には、胴部1を筒状に形成するために、貼り合わせ部7(
図1参照)が生じる。したがって、胴部1のフランジ部4へのシール部のうち、貼り合わせ部7がシールされる部分(
図1に示すX部分)が他の部分より厚くなる。そこで、注出口部のフランジ部4には、貼り合わせ部7を収容する収容部を設けても良い。具体的には、内周部21の外面を含む平面(
図4のP1)と外周部22の外面を含む平面(
図4のP2)とのギャップを部分的に大きくし、内周部21の外面との外周部22の外面とのギャップが第1のギャップである第1の部分と、内周部21の外面との外周部22の外面とのギャップが第1のギャップより大きい第2のギャップである第2の部分とを有するように外周部22を形成する。このように外周部22を構成し、注出口部2への胴部1の溶着前に、貼り合わせ部7と、フランジ部4の外周部22の第2の部分とを位置合わせし、第2の部分に貼り合わせ部7をシールすることにより、胴部1のフランジ部4へのシール部の外面を平坦にすることができ、美粧性に優れる。
【0041】
チューブ容器100は、
図1に示すように、注出口部2の注出筒部3に螺合により着脱可能なスクリューキャップ11を更に備えていても良い。チューブ容器100がスクリューキャップ11を備える場合、チューブ容器100の開封後に再封することが容易となる。スクリューキャップ11に代えて、嵌合により着脱自在なキャップを設けても良い。
【0042】
また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、ヒンジキャップを備えていても良い。ヒンジキャップを設ける場合、
図1に示した注出筒部3に螺合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。あるいは、注出筒部3の外面にネジ山の代わりにリブを設け、リブを介した嵌合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。
【0043】
また、注出筒部3の端部6bには、チューブ容器100の未開封状態において注出筒部3を閉鎖するフィルムがシールされていても良い。
【0044】
更に、注出筒部3の内部は、チューブ容器100の未開封状態において容器内部を密閉状態に保つために、隔壁により閉鎖されていても良い。隔壁を設ける場合、注出筒部3の内周に沿って円形状のハーフカットを設けると共に、ハーフカットによって囲まれた部分に接続されるプルリングを設けることが好ましい。このように構成すれば、チューブ容器100の開封時には、使用者がプルリングを引っ張って隔壁のハーフカットの部分を破断させることにより、ハーフカットで囲まれた隔壁の一部を除去して、胴部1から注出筒部3へと内容物を注出するための開口部を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るチューブ容器は、医薬品化粧品、食品等の包装材として利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 胴部
2 注出口部
3 注出筒部
4 フランジ部
5a、5b 端部
6a、6b 端部
21 内周部
22 外周部
23 オーバーハング部
32 紙層
35 シーラント層
41 シート