(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022011421
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】フェイスガード
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220107BHJP
A41D 13/12 20060101ALI20220107BHJP
A42B 3/20 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/12 118
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020112555
(22)【出願日】2020-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】391022234
【氏名又は名称】石崎資材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】石崎 真吾
【テーマコード(参考)】
3B011
3B107
【Fターム(参考)】
3B011AB00
3B011AC18
3B011AC21
3B011AC22
3B107BA04
3B107DA01
3B107DA07
(57)【要約】
【課題】安価で省スペース化が図られたフェイスガードを提供する。
【解決手段】前側左縁部(11)、前側上縁部(12)、前側右縁部(13)、および前側下縁部(14)を有し略矩形で透明かつ柔軟な前シート(10)であって、前側左上切欠き部(15)と前側右上切欠き部(16)とを有する前シート(10)と、後側左縁部(21)、後側上縁部(22)、後側右縁部(23)、および後側下縁部(24)を有し略矩形で柔軟な後シート(20)であって、後側左上切欠き部(25)と後側右上切欠き部(26)とを有する後シート(20)とを備え、前シート(10)と後シート(20)とが、前側左縁部(11)、前側上縁部(12)、および前側右縁部(13)と、後側左縁部(21)、後側上縁部(22)、および後側左縁部(23)との間でそれぞれつながっている、フェイスガード(1)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側左縁部、前側上縁部、前側右縁部、および前側下縁部を有し略矩形で透明かつ柔軟な前シートであって、前記前側左縁部と前記前側上縁部との間に前側左上切欠き部を有するとともに、前記前側上縁部と前記前側右縁部との間に前側右上切欠き部を有する前シートと、
前記前側左縁部、前記前側上縁部、前記前側右縁部、および前記前側下縁部にそれぞれ対応する後側左縁部、後側上縁部、後側右縁部、および後側下縁部を有し略矩形で柔軟な後シートであって、前記後側左縁部と前記後側上縁部との間に後側左上切欠き部を有するとともに、前記後側上縁部と前記後側右縁部との間に後側右上切欠き部を有する後シートと、
を備え、
前記前シートと前記後シートとが、前記前側左縁部、前記前側上縁部、および前記前側右縁部と、前記後側左縁部、前記後側上縁部、および後側右縁部との間でそれぞれつながっているとともに、前記前側下縁部と前記後側下縁部との間、前記前側左上切欠き部と前記後側左上切欠き部との間、および前記前側右上切欠き部と前記後側右上切欠き部との間ではつながっていない、フェイスガード。
【請求項2】
請求項1に記載のフェイスガードであって、
前記前シートと前記後シートとが一体成形されたシートを折り曲げたものである、フェイスガード。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフェイスガードであって、
前記前側上縁部に垂直な方向に関して、前シートの長さが後シートの長さより長い、フェイスガード。
【請求項4】
請求項3に記載のフェイスガードであって、
前記前シートは、前記前側右縁部と前記前側下縁部との間に前側右下切欠き部を有するとともに、前記前側下縁部と前記前側左縁部辺との間に前側左下切欠き部を有する、フェイスガード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェイスガード(フェイスシールド、防護面)に関し、特に、医療用フェイスガードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症の拡散を予防することが重要となっている。感染者が咳やくしゃみをすると、ウイルスを含む唾液が微細な液滴となって、感染者の体外に放出される。感染は、このような液滴が他の人(非感染者)に付着し、口等から体内に取り込まれることによって拡散する。感染症の拡散を抑制するためには、人の顔面を覆うフェイスガードを装着することが有効である。フェイスガードにより、ウイルスを含む液滴の移動を、ある程度遮断することができる。特に、医療従事者は、感染者と対面する機会が多いので、フェイスガードを装着する必要性が高い。
【0003】
フェイスガードは、顔面を覆う透明な保護部材と、保護部材を人の頭部に固定するための固定部材とを備えている。従来のフェイスガードでは、保護部材と固定部材とが、個別に準備されて結合されていた。
【0004】
特許文献1には、保護部材としての透明部と、固定部材としてのヘッドギア部とを備えた防護具が開示されている。透明部とヘッドギア部とは、回動部を介して結合されている。透明部には、前掛け部が結合されている。ヘッドギア部を装着者の頭部に取り付けることにより、透明部が装着者の顔面を覆う状態を維持することができる。前掛け部により、装着者の胸部を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、感染の可能性が高い場所でフェイスガードを使用する場合は、フェイスガードを頻繁に取り替える必要がある。使用済みのフェイスガードは、除染をしなければ再使用することはできない。しかし、特許文献1の防護具は複雑な構造を有しているため、特許文献1の防護具を除染するためには、時間を要した。また、特許文献1の防護具は、その構造が複雑であることにより単価が高く、一度使用しただけで廃棄すると、高コストになる。また、特許文献1の防護具は、固定部材と、固定部材に結合された保護部材とを含むことにより、防護具が占有する体積が大きかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、安価で、省スペース化が図られたフェイスガードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態のフェイスガードは、
前側左縁部、前側上縁部、前側右縁部、および前側下縁部を有し略矩形で透明かつ柔軟な前シートであって、前記前側左縁部と前記前側上縁部との間に前側左上切欠き部を有するとともに、前記前側上縁部と前記前側右縁部との間に前側右上切欠き部を有する前シートと、
前記前側左縁部、前記前側上縁部、前記前側右縁部、および前記前側下縁部にそれぞれ対応する後側左縁部、後側上縁部、後側右縁部、および後側下縁部を有し略矩形で柔軟な後シートであって、前記後側左縁部と前記後側上縁部との間に後側左上切欠き部を有するとともに、前記後側上縁部と前記後側右縁部との間に後側右上切欠き部を有する後シートと、
を備え、
前記前シートと前記後シートとが、前記前側左縁部、前記前側上縁部、および前記前側右縁部と、前記後側左縁部、前記後側上縁部、および後側右縁部との間でそれぞれつながっているとともに、前記前側下縁部と前記後側下縁部との間、前記前側左上切欠き部と前記後側左上切欠き部との間、および前記前側右上切欠き部と前記後側右上切欠き部との間ではつながっていない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態のフェイスガードは、安価であり、一度使用しただけで廃棄しても、高コストとはならない。また、本発明の実施形態のフェイスガードは、省スペース化が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るフェイスガードの平面図である。
【
図2】
図2は、フェイスガードの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、フェイスガードを人体の頭部に装着した状態を示す側面図である。
【
図4A】
図4Aは、フェイスガードの製造方法を説明するための平面図である。
【
図4B】
図4Bは、フェイスガードの製造方法を説明するための平面図である。
【
図4C】
図4Cは、フェイスガードの製造方法を説明するための平面図である。
【
図5】
図5は、第1の変形例に係るフェイスガードの平面図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係るフェイスガードの平面図である。
【
図7】
図7は、第3の変形例に係るフェイスガードの平面図であり、サイドガゼット部を引き出した状態を示している。
【
図8】
図8は、第3の変形例に係るフェイスガードの平面図であって、サイドガゼット部をフェイスガードの内部に織り込んだ状態を示している。
【
図9】
図9は、第3の変形例に係るフェイスガードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態のフェイスガードは、前シートと、後シートとを有する。前シートは、前側左縁部、前側上縁部、前側右縁部、および前側下縁部を有し、略矩形で透明かつ柔軟である。前シートは、前側左縁部と前側上縁部との間に前側左上切欠き部を有するとともに、前側上縁部と前側右縁部との間に前側右上切欠き部を有する。後シートは、前側左縁部、前側上縁部、前側右縁部、および前側下縁部にそれぞれ対応する後側左縁部、後側上縁部、後側右縁部、および後側下縁部を有し、略矩形で柔軟である。後シートは、後側左縁部と後側上縁部との間に後側左上切欠き部を有するとともに、後側上縁部と後側右縁部との間に後側右上切欠き部を有する。前シートと後シートとは、前側左縁部、前側上縁部、および前側右縁部と、後側左縁部、後側上縁部、および後側右縁部との間でそれぞれつながっているとともに、前側下縁部と後側下縁部との間、前側左上切欠き部と後側左上切欠き部との間、および前側右上切欠き部と後側右上切欠き部との間ではつながっていない(第1の構成)。
【0012】
第1の構成のフェイスガードを人の頭部に装着する際は、前側下縁部および後側下縁部付近で前シートと後シートとを互いに離間させて開口を形成し、この開口から、頭部を前シートと後シートとの間に挿入する。このフェイスガードは、安価なポリエチレン等の材料から製造することができ、極めて安価なものとすることができる。このため、フェイスガードを一度使用しただけで廃棄しても、高コストとはならない。
【0013】
また、第1の構成のフェイスガードは、前シートおよび後シートを主体とし、たとえば、実質的に前シートおよび後シートのみからなる。このため、第1の構成のフェイスガードは薄い。すなわち、このフェイスガードは、省スペース化が図られている。
【0014】
第1の構成のフェイスガードにおいて、前シートと後シートとは、一体成形されたシートを折り曲げたものであってもよい(第2の構成)。第2の構成のフェイスガードによれば、前シートと後シートとを別体として用意して接続したフェイスガードに比して、フェイスガードを安価にすることができる。
【0015】
第1または第2の構成のフェイスガードにおいて、前側上縁部に垂直な方向に関して、前シートの長さは後シートの長さより長いことが好ましい(第3の構成)。第3の構成のフェイスガードは、前シートが装着者の顔面に対向するように装着することにより、装着者の顔面を十分に保護することができる。
【0016】
第3の構成のフェイスガードにおいて、前シートは、前側右縁部と前側下縁部との間に前側右下切欠き部を有するとともに、前側下縁部と前側左縁部辺との間に前側左下切欠き部を有することが好ましい(第4の構成)。第4の構成のフェイスガードによれば、前シートにおいて、他の物と干渉しやすい部分や容易に揺れ動く部分を少なくすることができる。
【0017】
以下、本発明の一実施形態のフェイスガードについて、図面を参照して、詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態のフェイスガードの平面図である。
図2は、
図1に示すフェイスガードの分解斜視図である。
図3は、フェイスガードを人体の頭部に装着した状態を示す側面図である。
【0018】
[フェイスガード]
このフェイスガード1は、袋状であり、人体の頭部に被せるように装着して用いる。フェイスガード1は、シート状であり、互いに重ね合わされた前シート10と後シート20とを含む。この実施形態では、前シート10と後シート20とは一体成形されたものであり、互いに同じ材料からなる。前シート10と後シート20との間に継目はない。
【0019】
前および後シート10、20は、透明かつ柔軟であり、たとえば、ポリプロピレン(PP; polypropylene)、またはポリエチレン(PE; polyethylene)からなる。前および後シート10、20は、延伸ポリプロピレン(OPP; oriented polypropylene)からなるものであってもよい。延伸ポリプロピレンのような延伸されたシートは透明度が高い。このため、延伸ポリプロピレンをフェイスガード1の材料として用いると、フェイスガード1を通した視認性を高くすることができるので好ましい。
【0020】
前および後シート10、20の各々の厚さは、0.02~0.1mmであることが好ましい。前および後シート10、20の各々の厚さが0.02mm以上であることにより、フェイスガード1として十分な強度を確保することができる。前および後シート10、20の各々の厚さが0.1mm以下であることにより、フェイスガード1として十分な柔軟性を確保することができるとともに、大量(たとえば、10万個)のフェイスガード1を輸送または保管する際に、フェイスガード1が占有する体積を小さくすることができる。この点で、前および後シート10、20の各々の厚さは、0.3mm以下であることがより好ましく、0.06mm以下であることがさらに好ましい。
【0021】
前および後シート10、20においてフェイスガード1の内面に対応する面、特に、前シート10において後シート20との対向面(以下、「前側内面」という。)には、ボードン(防曇)加工が施されていてもよい。後述のように、フェイスガード1が人の頭部に装着されているときは、前側内面が、装着者の顔面に対向する。前側内面にボードン加工が施されている場合は、装着者の呼気による前側内面の曇りが抑制される。
【0022】
前シート10と後シート20とは、別体として準備され、互いに接合されてもよい。この場合は、後シート20は、微小穴を有する多孔フィルムであってもよく、ポリプロピレン製またはポリエチレン製の不繊布であってもよい。これらの場合、後シート20を介した通気性が高くなるので、人がフェイスガードを装着しているときに、フェイスガード内の湿度が高くなることを抑制できる。また、別体として準備された前シート10と後シート20とが互いに接合されている場合、後シート20は、透明ではなくてもよい。
【0023】
前シート10において装着者の視界を遮らない部分には、不透明な塗料による印刷、不透明なラベルの貼付等が施されていてもよい。後シート20には、後シート20が不透明であるか否かによらず、任意の位置に、不透明な塗料による印刷、不透明なラベルの貼付等が施されていてもよい。
【0024】
前シート10は、平面視で、前側左縁部11、前側上縁部12、前側右縁部13、および前側下縁部14を有する略矩形の形状を有する。対辺をなす前側左縁部11および前側右縁部13は、他の対辺をなす前側上縁部12および前側下縁部14と直交する方向に延びている。
【0025】
前シート10は、前側左縁部11と前側上縁部12との間に前側左上切欠き部15を有するとともに、前側上縁部12と前側右縁部13との間に前側右上切欠き部16を有する。この実施形態では、前側左上切欠き部15、および前側右上切欠き部16は、いずれも、直線状であり、前側上縁部12等の隣接する縁部に対して傾斜している。
【0026】
前シート10は、前側右縁部13と前側下縁部14との間に前側右下切欠き部17を有するとともに、前側下縁部14と前側左縁部11との間に前側左下切欠き部18を有する。この実施形態では、前側右下切欠き部17、および前側左下切欠き部18は、いずれも、直線状であり、前側下縁部14等の隣接する縁部に対して傾斜している。
【0027】
後シート20は、平面視で、後側左縁部21、後側上縁部22、後側右縁部23、および後側下縁部24を有する略矩形の形状を有する。後側左縁部21、後側上縁部22、後側右縁部23、および後側下縁部24は、後述のように、それぞれ、前側左縁部11、前側上縁部12、前側右縁部13、および前側下縁部14に対応している。対辺をなす後側左縁部21および後側右縁部23は、他の対辺をなす後側上縁部22および後側下縁部24と直交する方向に延びている。
【0028】
後シート20は、後側左縁部21と後側上縁部22との間に後側左上切欠き部25を有するとともに、後側上縁部22と後側右縁部23との間に後側右上切欠き部26を有する。この実施形態では、後側左上切欠き部25、および後側右上切欠き部26は、いずれも、直線状であり、後側上縁部22等の隣接する縁部に対して傾斜している。
【0029】
後シート20は、後側右縁部23と後側下縁部24との間、および後側下縁部24と後側左縁部21との間には、切欠き部を有さない。後側右縁部23と後側下縁部24とは接しており、後側下縁部24と後側左縁部21とは接している。
【0030】
フェイスガード1は、一体成形された1枚のシートを折り返して製造されている。折り返し部は、前側上縁部12および後側上縁部22である。前側上縁部12は後側上縁部22に一致しており、前シート10と後シート20とは、前側上縁部12および後側上縁部22で互いにつながっている。
図2では、便宜上、前シート10と後シート20とを分離して示す。フェイスガード1において、前側上縁部12に対して一方側が前シート10であり、他方側が後シート20である。平面視で、フェイスガード1の輪郭は、前シート10の輪郭に等しい。
【0031】
平面視で、後側左縁部21の全体が前側左縁部11と重なっている。ただし、後側左縁部21は、前側左縁部11よりわずかに短いので、前側左縁部11は、後側左縁部21が重なっていない部分を有する。同様に、平面視で、後側右縁部23の全体が前側右縁部13と重なっている。ただし、後側右縁部23は、前側右縁部13よりわずかに短いので、前側右縁部13は、後側右縁部23が重なっていない部分を有する。前シート10と後シート20とは、前側左縁部11と後側左縁部21とでつながっているとともに、前側右縁部13と後側右縁部23とでつながっている。具体的には、後側左縁部21は、前側左縁部11において後側左縁部21と重なっている部分に溶着されている。後側右縁部23は、前側右縁部13において後側右縁部23と重なっている部分に溶着されている。
【0032】
前側左上切欠き部15の長さは、後側左上切欠き部25の長さに等しい。平面視で、前側左上切欠き部15の全体が後側左上切欠き部25の全体と重なっている。前シート10において前側左上切欠き部15およびその近傍部と、後シート20において後側左上切欠き部25およびその近傍部とは、つながっていない。このため、前シート10と後シート20とは、前側左上切欠き部15およびその近傍部と後側左上切欠き部25およびその近傍部との間で、互いに離間することができる。
【0033】
同様に、前側右上切欠き部16の長さは、後側右上切欠き部26の長さに等しい。平面視で、前側右上切欠き部16の全体が後側右上切欠き部26の全体と重なっている。前シート10において前側右上切欠き部16およびその近傍部と、後シート20において後側右上切欠き部26およびその近傍部とは、つながっていない。このため、前シート10と後シート20とは、前側右上切欠き部16およびその近傍部と後側右上切欠き部26およびその近傍部との間で、互いに離間することができる。
【0034】
前シート10と後シート20とは、前側左縁部11および後側左縁部21、前側上縁部12および後側上縁部22、ならびに前側右縁部13および後側右縁部23以外の部分では、互いにつながっておらず、互いに離間することができる。
【0035】
平面視で、フェイスガード1の形状は、前側左縁部11と前側右縁部13との中間を通る直線に対して対称である。
図1を参照して、前側上縁部12に垂直な方向に関して、前シート10の長さ(以下、「前シート縦長さ」という。)L11は、フェイスガード1の長さに等しく、後シート20の長さ(以下、「後シート縦長さ」という。)L3より長い。このため、前側下縁部14と後側下縁部24とは、互いにずれており、互いに重なる部分を有さない。前側左縁部11に垂直な方向に関して、前シート10の長さ(以下、「前シート横長さ」という。)L21は、フェイスガード1の長さに等しく、後シート20の長さに等しい。
【0036】
前シート縦長さL11、前シート横長さL21、および後シート縦長さL3は、フェイスガード1を装着する人の頭部の平均的な大きさに合わせて適宜設定することができる。前シート縦長さL11は、たとえば、300~360mmである。前シート横長さL21は、たとえば、300~420mmである。後シート縦長さL3は、たとえば、180~300mmである。
【0037】
前側上縁部12に垂直な方向に関する前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25の長さ(以下、「左上切欠き縦長さ」という。)L12は、60~160mmであることが好ましい。前側左縁部11に垂直な方向に関する前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25の長さ(以下、「左上切欠き横長さ」という。)L22は、20~160mmであることが好ましい。
【0038】
左上切欠き縦長さL12が60mm未満であるか、左上切欠き横長さL22が20mm未満であると、フェイスガード1の通気性を高くする等の後述の効果、および前側左縁部11と前側右縁部13との対向部を円筒状にしやすくする後述の効果が得られにくくなる。一方、左上切欠き縦長さL12が160mmより大きいか、左上切欠き横長さL22が160mmより大きいと、ウイルスを含む液滴等から装着者の頭部を保護する後述の効果が損なわれるおそれがある。
【0039】
同様の理由により、前側右上切欠き部16についても、前側上縁部12に垂直な方向および前側左縁部11に垂直な方向に関する長さが、前側左上切欠き部15と同様の範囲内にあることが好ましい。同様に、後側右上切欠き部26についても、前側上縁部12に垂直な方向および前側左縁部11に垂直な方向に関する長さが、後側左上切欠き部25と同様の範囲内にあることが好ましい。
【0040】
前側右下切欠き部17および前側左下切欠き部18を形成することにより、後述のように、フェイスガード1において他の物と干渉しやすい部分や容易に揺れ動く部分を少なくする効果が得られる。前側左下切欠き部18について、前側上縁部12に垂直な方向の長さ(以下、「左下切欠き縦長さ」という。)L13は、たとえば、60~120mmである。前側右下切欠き部17について、前側左縁部11に垂直な方向の長さ(以下、「左下切欠き横長さ」という。)L23は、たとえば、60~120mmである。前側右下切欠き部17についても、前側上縁部12に垂直な方向の長さおよび前側左縁部11に垂直な方向の長さは、それぞれ、左下切欠き縦長さL13および左下切欠き横長さL23の長さと同程度である。
【0041】
[フェイスガードの使用方法]
図3を参照して、フェイスガード1は、人体の頭部に装着して用いる。フェイスガード1を装着する際は、フェイスガード1において、前シート10における前側下縁部14付近の部分と後シート20における後側下縁部24付近の部分とを、それぞれの手で持ち、前シート10と後シート20とを離間させるようにして、開口を形成する。そして、この開口から、前シート10と後シート20との間に、頭部を挿入する。この際、前シート10を、装着者の顔面に対向させる。
【0042】
装着すると、フェイスガード1において、前側左上切欠き部15と後側左上切欠き部25との間で前シート10と後シート20とが互いに離間するとともに、前側右上切欠き部16と後側右上切欠き部26との間で前シート10と後シート20とが互いに離間する。その結果、前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25の部分が開口するとともに、前側右上切欠き部16および後側右上切欠き部26の部分が開口する。
【0043】
[フェイスガードの製造方法]
図4A~
図4Cは、
図1~
図3に示すフェイスガードの製造方法を説明するための平面図である。以下、
図4A~
図4Cを参照して、フェイスガード1の製造方法の一例について説明する。しかし、フェイスガード1の製造方法は、この例に限られない。
【0044】
図4Aを参照して、まず、複数のフェイスガード1の材料となる素材シート30を用意する。素材シート30は、前および後シート10、20と同じ材料、たとえば、ポリプロピレン、またはポリエチレンからなる。素材シート30は、1つのフェイスガード1に対応する単位領域RFを複数個含む。各単位領域RFは、前シート10に対応する第1領域R1と、後シート20に対応する第2領域R2とを含む。
【0045】
素材シート30は、帯状である。素材シート30の長さ方向に沿って、複数の単位領域RFが配列している。各単位領域RFにおける第1領域R1と第2領域R2との配列方向は、複数の単位領域RFの配列方向(素材シート30の長さ方向)に垂直な方向である。素材シート30の幅はL11+L3であり、各単位領域RFの幅(素材シート30の長さ方向に沿う方向の長さ)はL21である(
図1参照)。
【0046】
図4Aおよび
図4Bにおいて、隣接する2つの単位領域RFの境界線Cfを破線で示す。境界線Cfは、フェイスガード1における前側左縁部11および後側左縁部21ならびに前側右縁部13および後側右縁部23に対応する。
図4Aに、各単位領域RFにおける第1領域R1と第2領域R2との境界線Fを破線で示す。境界線Fは、前側上縁部12および後側上縁部22に対応する。複数の単位領域RFの各々において、第1領域R1は、素材シート30の長さ方向に対して同じ側に設けられている。素材シート30の幅方向に関して、第1領域R1側の端部は前側下縁部14に対応しており、第2領域R2側の端部は後側下縁部24に対応している。
【0047】
次に、素材シート30を境界線Fの位置で折り返し、第1領域R1の上に第2領域R2を重ねる。この状態が、
図4Bに示されている。続いて、境界線Cfの位置で、素材シート30を溶断する。これにより、
図4Cに示すように、1つの単位領域RFに対応する単位片31が複数個得られるとともに、各単位片31において、境界線Cfに対応する辺32、33に沿って、第1領域R1と第2領域R2とは溶着される。
【0048】
最後に、前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25に対応する切断線C1、前側右上切欠き部16および後側右上切欠き部26に対応する切断線C2、前側右下切欠き部17に対応する切断線C3、ならびに、前側左下切欠き部18に対応する切断線C4に沿って、単位片31を切断する(
図4Cに、切断線C1~C4を破線で示す。)。この切断は、重ね合わされた複数個の単位片31に対して、一括して行うことができる。この切断では、第1領域R1と第2領域R2とは溶着されない。これにより、フェイスガード1が得られる。切断後の第1領域R1は前シート10である。切断後の第2領域R2は後シート20である。
【0049】
以上の製造方法において、溶断を行う代わりに、境界線Cfに沿って溶着を行った後、別途、素材シート30を境界線Cfで切断してもよい。
【0050】
[効果]
上述のように、フェイスガード1は、安価なポリエチレン等の材料から、折り曲げ(折返し)、溶断、および切断という単純な工程により、製造することができる。したがって、フェイスガード1は、極めて安価なものとすることができる。このため、フェイスガード1を一度使用しただけで廃棄しても、高コストとはならない。なお、フェイスガード1は、極めて単純な形状を有しているので、除染することも容易である。
【0051】
フェイスガード1は、シート状であることにより、その体積は小さい。したがって、フェイスガード1は、保護部材と固定部材とを有する従来のフェイスガード(以下、単に、「従来のフェイスガード」という。)の場合に比して、輸送時や保管時に占有する体積を格段に小さくすることができる。たとえば、フェイスガード1は、OPP40、すなわち、厚さが40μmの延伸ポリプロピレン製の素材シート30から製造することができ、フェイスガード1の寸法(
図1参照)は、下記の通りとすることができる。
【0052】
前シート縦長さL11:320mm
左上切欠き縦長さL12:100mm
左下切欠き縦長さL13:70mm
前シート横長さL21:380mm
左上切欠き横長さL22:100mm
左下切欠き横長さL23:70mm
フェイスガード1の厚さ(前シート10の厚さと後シート20の厚さとの合計):80μm
【0053】
この場合、1000個のフェイスガード1を包装材で包むと、この包みの寸法は、包装材を含めて以下の通りとなる。
縦(前側左縁部11に沿う方向の長さ):33cm
横(前側上縁部12に沿う方向の長さ):39cm
厚さ:8.5cm
【0054】
5つの上記包みを収容するケース、すなわち、5000個のフェイスガード1を含むケースの寸法は、以下の通りとなる。このケース1個の体積は、0.585m3である。
縦:34cm
横:40cm
厚さ:43cm
【0055】
10万個のフェイスガード1が占有する体積は、20個の上記ケースの体積に等しく、わずか1.2m3程度である。これは、同数の従来のフェイスガードが占有する体積の数十~数百分の1である。すなわち、フェイスガード1は、省スペース化が図られている。また、フェイスガード1は柔軟であることにより、容易に折り畳むことができる。折り畳んだフェイスガード1が占有する体積も、従来のフェイスガードが占有する体積に比して十分に小さい。
【0056】
従来のフェイスガードを装着するには、装着者の頭囲にあわせて、固定部材を頭部に密接するように調整する必要があった。このため、従来のフェイスガードを装着するために要する時間は長かった。これに対して、フェイスガード1では、前側上縁部12が装着者の頭頂部より低く下がることはないので、装着者の頭囲に合わせた調整をする必要はない。フェイスガード1は、頭部に被るだけで装着することができる。すなわち、フェイスガード1は、短時間で容易に装着することができる。
【0057】
また、従来のフェイスガードは、固定部材を含むことにより、その質量が大きくなりがちであった。これにより、装着者が、フェイスガードの質量による負荷を感じることがあった。さらに、従来のフェイスガードでは、装着者の頭部において固定部が密接している部分、たとえば、額、耳の上部等に汗がたまり、湿疹が生ずることがあった。
【0058】
これに対して、フェイスガード1は、シート状であることにより、軽量である。1個のフェイスガード1の質量は、10g以下、たとえば、7g程度にすることができる。このため、装着者は、フェイスガード1を装着しているときに、フェイスガード1の質量による負荷をほとんど感じることはない。また、フェイスガード1を装着しているときは、フェイスガード1は、装着者の頭部において、頭頂部付近に接触するが、顔面等、頭部の他の部分にはわずかに接触するだけである。さらに、フェイスガード1が軽量であることにより、フェイスガード1が頭部との接触部において、高い圧力で頭部に密接することはない。このため、フェイスガード1の接触部において、湿疹等が生じる可能性は低い。
【0059】
また、従来のフェイスガードでは、保護部材とは別に設けられた固定部材が存在することにより、保護部材が装着者の顔面に対して離間し、かつ、顔面に対して傾斜することがある。この場合、保護部材において、顔面に対向する面で反射が生じ、装着者の胸部等が映り込み、フェイスガードを通した視認性が低下することがある。
【0060】
これに対して、フェイスガード1では、その大きさを適切に設定することにより、前シート10と装着者の顔面との間隔を狭くすることができるとともに、前シート10を顔面と略平行にすることができる。これにより、前シート10において、装着者の顔面に対向する面での反射による映り込みを軽減することができ、フェイスガード1を通した視認性を高くすることができる。
【0061】
ここで、前側左縁部11と前側上縁部12との間、前側上縁部12と前側右縁部13との間、後側左縁部21と後側上縁部22との間、および、後側上縁部22と後側右縁部23との間に、前シート10と後シート20とが互いに離間しうる部分がないフェイスガード(以下、「拘束フェイスガード」という。)について考える。拘束フェイスガードとして、たとえば、下記(1)~(3)の要件を満たすものが挙げられる。
【0062】
(1)フェイスガードが、前側左上切欠き部15、前側右上切欠き部16、後側左上切欠き部25、および後側右上切欠き部26を有さない。
(2)前側左縁部11と前側上縁部12とが接して角部を形成しており、前側上縁部12と前側右縁部13とが接して角部を形成しており、後側左縁部21と後側上縁部22とが接して角部を形成しており、後側上縁部22と後側右縁部23とが接して角部を形成している。
(3)前シート10と後シート20との間で、後側左縁部21が全長に渡って前側左縁部11とつながっており、後側上縁部22と前側上縁部12とが互いに全長に渡ってつながっており、後側右縁部23が全長に渡って前側右縁部13とつながっている。
【0063】
この場合、角部近傍では、前シート10と後シート20とは、互いに拘束されて大きく離間することができない。この拘束フェイスガードを装着すると、角部近傍が角(つの)状となって突出する。この場合、前側上縁部12および後側上縁部22に隣接する広い領域において、前シート10と後シート20とが略円筒形状になることが妨げられる。このため、装着者は、前シート10と後シート20との間に容易に頭部を挿入することができず、また、装着時に、頭頂部近傍が圧迫される。
【0064】
これに対して、フェイスガード1は、前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25ならびに前側右上切欠き部16および後側右上切欠き部26の近傍において、前シート10と後シート20とは、互いに拘束されずに離間することができる。このため、フェイスガード1では、前側左縁部11と前側右縁部13との対向部(後側左縁部21と後側右縁部23との対向部)を、容易に略円筒形状に変形することができる。この際、フェイスガード1は、前側左縁部11に垂直な面(以下、「水平面」という。)内で略円形状になる。これにより、装着者は、前シート10と後シート20との間に容易に頭部を挿入することができる。
【0065】
フェイスガード1において略円筒形状となった部分では、前シート10と後シート20とは、水平面内方向以外の方向には曲がりにくい。このため、フェイスガード1は略円筒形状に保たれやすい。したがって、装着者は、頭部がフェイスガード1に圧迫されるように感じることはない。
【0066】
また、装着者がフェイスガード1を装着すると、前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25が開口するとともに、前側右上切欠き部16および後側右上切欠き部26が開口する。これにより、フェイスガード1の通気性が確保されるので、フェイスガード1の内面にボードン加工が施されていなくても、装着者の呼気によるフェイスガード1内面の曇りが生じにくい。開口は、装着者の頭頂部の左右に対応する部分に生じるので、装着者の頭部の前面(顔面等)は、他の人の咳等により放出される唾液の液滴等から十分に保護される。さらに、前側左上切欠き部15および後側左上切欠き部25が開口するとともに、前側右上切欠き部16および後側右上切欠き部26が開口することにより、装着者はフェイスガード1外部の音を聞き取りやすくなる。
【0067】
次に、前シート10が前側右下切欠き部17および前側左下切欠き部18を有さない場合、すなわち、前側右縁部13と前側下縁部14とが直接接して角部を形成しており、前側下縁部14と前側左縁部11とが直接接して角部を形成していた場合について考える。この場合は、角部付近と他の物とが干渉しやすく、また、角部付近が容易に揺動する。このため、フェイスガードが頭部に対して動いたり、フェイスガードを装着した状態での作業が妨げられることがある。
【0068】
これに対して、フェイスガード1では、前シート10は、前側右下切欠き部17および前側左下切欠き部18を有することにより、他の物と干渉したり、容易に揺動する部分を有さない。このため、フェイスガード1は頭部に対して動きにくく、また、フェイスガード1を装着した状態での作業が妨げられにくい。
【0069】
[変形例]
以下、
図1に示すフェイスガード1の変形例について説明する。以下の図で、
図1および
図2に示す構成要素に対応する構成要素には、
図1および
図2と同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0070】
図5は、第1の変形例に係るフェイスガードの平面図である。このフェイスガード1Aには、前シート10および後シート20を、これらの厚さ方向に貫通する穴41、42が形成されている。穴41は、前側左縁部11および後側左縁部21の近傍に形成されている。穴42は、前側右縁部13および後側右縁部23の近傍に形成されている。
【0071】
穴41、42により、フェイスガード1Aの通気性を高くすることができる。フェイスガード1Aを装着すると、穴41、42は、装着者の側頭部に対応する部分に位置する。このため、フェイスガード1Aにより、ウイルスを含む液滴等から装着者の頭部(特に、顔面)を保護することができる。このような効果が実質的に損なわれない限り、穴の数および大きさは限定されない。フェイスガード1Aにおける穴41、42の配置は、たとえば、フェイスガード1Aの装着者の耳の近くに穴41、42が位置するように設定することができる。この場合、フェイスガード1Aの装着者は、フェイスガード1A外部の音をさらに聞き取りやすくなる。
【0072】
図6は、第2の変形例に係るフェイスガードの平面図である。このフェイスガード1Bの前シート10は、フェイスガード1における前側左上切欠き部15および前側右上切欠き部16の代わりに、それぞれ、前側左上切欠き部15Bおよび前側右上切欠き部16Bを有する。また、フェイスガード1Bの後シート20は、フェイスガード1における後側左上切欠き部25および後側右上切欠き部26の代わりに、それぞれ、後側左上切欠き部25Bおよび後側右上切欠き部26Bを有する。
【0073】
フェイスガード1における前側左上切欠き部15、前側右上切欠き部16、後側左上切欠き部25、および後側右上切欠き部26が直線状であるのに対して、フェイスガード1Bにおける前側左上切欠き部15B、前側右上切欠き部16B、後側左上切欠き部25B、および後側右上切欠き部26Bは、鉤状である。具体的には、前側左上切欠き部15Bおよび前側右上切欠き部16Bの各々は、前シート10の内方に切れ込むV字形状を有し、後側左上切欠き部25Bおよび後側右上切欠き部26Bの各々は、後シート20の内方に切れ込むV字形状を有する。前側左上切欠き部15Bおよび前側右上切欠き部16Bにおいて、前シート10の最も内方に位置する部分近傍は丸みが付けられている。同様に、後側左上切欠き部25Bおよび後側右上切欠き部26Bにおいて、後シート20の最も内方に位置する部分近傍は丸みが付けられている。
【0074】
前側左上切欠き部15Bおよび後側左上切欠き部25Bの部分、ならびに、前側右上切欠き部16Bおよび後側右上切欠き部26Bの部分は、装着者がフェイスガード1Bを装着しているときに、大きく開口することができる。このように、前側左上切欠き部、前側右上切欠き部16B、後側左上切欠き部25B、および後側右上切欠き部の形状は、目的に応じて、適宜設計することができる。
【0075】
図7は、第3の変形例に係るフェイスガードの平面図である。このフェイスガード1Cでは、前シート10と後シート20とは、前側上縁部12および後側上縁部22の近傍に前側上縁部12および後側上縁部22と平行に延びる溶着線48に沿って、溶着されている。前側左縁部11および後側左縁部21ならびに前側右縁部13および後側右縁部23は、一体成形されたシート(前および後シート10、20)の折り曲げ部となっている。すなわち、前シート10と後シート20とは、前側左縁部11に垂直な面内で、継目のない一体のチューブ状をなしている。この変形例では、前側上縁部12(後側上縁部22)に垂直な方向に関して、前シート10の長さと後シート20の長さとは同じである。
【0076】
フェイスガード1Cは、サイドガゼット部45、46を有する。
図7には、サイドガゼット部45、46を、フェイスガード1の外方に引き出した状態を示す。
図8は、
図7に示すフェイスガードの平面図であって、サイドガゼット部をフェイスガードの内方に織り込んだ状態を示している。
図9は、
図8のIX-IX切断線に沿うフェイスガードの断面図である。
【0077】
図8および
図9を参照して、サイドガゼット部45では、通常、前シート10の前側左縁部11近傍の部分、および後シート20の後側左縁部21近傍の部分は、フェイスガード1Cの内方に織り込まれている。同様に、サイドガゼット部46では、通常、前シート10の前側右縁部13近傍の部分、および後シート20の後側右縁部23近傍の部分は、フェイスガード1Cの内方に織り込まれている。この状態でサイドガゼット部45における前シート10は折り曲げ線F1で折り曲げられ、サイドガゼット部46における前シート10は折り曲げ線F2で折り曲げられている。サイドガゼット部45、46における後シート20も、同様に折り曲げられている。サイドガゼット部45の形状は、折り曲げ線F1に関して対称である。サイドガゼット部46の形状は、折り曲げ線F2に関して対称である。
【0078】
フェイスガード1Cは、
図6に示すフェイスガード1Bの前側左上切欠き部15Bおよび後側左上切欠き部25Bに類似した前側左上切欠き部15Cおよび後側左上切欠き部25Cを有する。また、フェイスガード1Cは、
図6に示すフェイスガード1Bの前側右上切欠き部16Bおよび後側右上切欠き部26Bに類似した前側右上切欠き部16Cおよび後側右上切欠き部26Cを有する。ただし、前側左上切欠き部15Cおよび前側右上切欠き部16Cでは、前シート10の最も内方の部分近傍に丸みは付けられていない。同様に、後側左上切欠き部25Cおよび後側右上切欠き部26Cでは、後シート20の最も内方の部分近傍に丸みは付けられていない。
【0079】
フェイスガード1Cを装着する際には、サイドガゼット部45、46が広がる。そして、前側左縁部11および後側左縁部21がフェイスガード1C外方に押し出されるとともに、前側右縁部13および後側右縁部23がフェイスガード1Cの外方に押し出される。前側上縁部12(後側上縁部22)に垂直な方向に関して前シート10の長さと後シート20の長さとが同じであることにより、フェイスガード1Cは、前シート10および後シート20のいずれが顔面に対向するように装着してもよい。
【0080】
図1~
図3、
図5、および
図6に示すフェイスガード1、1A、1Bが、シート状の材料(素材シート30;
図4A参照)から製造するのに適しているのに対して、
図8および
図9に示すフェイスガード1Cは、チューブ状の材料、たとえば、ポリエチレンチューブから製造される。
【0081】
以上、本実施形態のフェイスガードについて説明した。しかし、上述した実施形態(変形例を含む。)は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
1、1A、1B、1C:フェイスガード
10:前シート
11:前側左縁部
12:前側上縁部
13:前側右縁部
14:前側右縁部
15、15B、15C:前側左上切欠き部
16、16B、16C:前側右上切欠き部
17:前側右下切欠き部
18:前側左下切欠き部
20:後シート
21:後側左縁部
22:後側上縁部
23:後側右縁部
24:後側下縁部
25、25B、25C:後側左上切欠き部
26、26B、26C:後側右上切欠き部