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  • 特開-無機繊維成形体、および炉 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114211
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】無機繊維成形体、および炉
(51)【国際特許分類】
   C04B 38/00 20060101AFI20220729BHJP
   D21J 1/00 20060101ALI20220729BHJP
   C04B 35/80 20060101ALN20220729BHJP
【FI】
C04B38/00 303A
D21J1/00
C04B35/80 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010412
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】平田 慧
(72)【発明者】
【氏名】松吉 瑞治
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝明
(72)【発明者】
【氏名】河野 幸次
【テーマコード(参考)】
4G019
4L055
【Fターム(参考)】
4G019EA03
4G019EA07
4L055AF01
4L055AF05
4L055AG16
4L055AG17
4L055AG18
4L055AH01
4L055AH37
4L055EA08
4L055EA32
4L055EA34
4L055FA19
4L055GA50
(57)【要約】
【課題】断熱性および耐スケール性に優れた無機繊維成形体を提供する。
【解決手段】本発明の無機繊維成形体は、無機繊維および無機多孔質フィラーを含む無機繊維成形体であって、所定の手順で測定される、ワッシャー浸食速度が0.01mm/分以上1.6mm/分以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機繊維および無機多孔質フィラーを含む無機繊維成形体であって、
以下の手順で測定される、ワッシャー浸食速度が0.01mm/分以上1.6mm/分以下である、
無機繊維成形体。
(手順)
当該無機繊維成形体を用いて、板状サンプルを準備する。
1350℃に加熱した昇降式電気炉の炉床を下げ、スチール製の平ワッシャーを一面に載せた板状サンプルを炉床に設置し、再び炉床を上げ、炉内を密封し、15分間保持する。
15分間保持後、平ワッシャーを載せた板状サンプルを、炉内から取り出し、冷却する。
その後、前記平ワッシャーが前記板状サンプルを浸食した浸食深さを測定し、浸食深さの測定値を保持時間の15分で除し、前記ワッシャー浸食速度(mm/分)を算出する。
【請求項2】
請求項1に記載の無機繊維成形体であって、
かさ密度が0.2g/cm以上0.7g/cm以下である、無機繊維成形体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の無機繊維成形体であって、
前記無機多孔質フィラーが、CaO・6Alを含む粒子を含む、無機繊維成形体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
前記無機多孔質フィラーのかさ密度が、0.6g/cm以上0.9g/cm以下である、無機繊維成形体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
前記無機多孔質フィラーの含有量が、当該無機繊維成形体100質量%中、20質量%以上79質量%以下である、無機繊維成形体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
前記無機繊維が、アルミナファイバーを含む、無機繊維成形体。
【請求項7】
請求項6に記載の無機繊維成形体であって、
前記アルミナファイバー100質量%中の結晶性鉱物の割合が30質量%以上80質量%以下である、無機繊維成形体。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の無機繊維成形体であって、
前記アルミナファイバーの含有量が、当該無機繊維成形体100質量%中、15質量%以上70質量%以下である、無機繊維成形体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
コロイダルシリカを含む、無機繊維成形体。
【請求項10】
請求項9に記載の無機繊維成形体であって、
前記コロイダルシリカの含有量が、当該無機繊維成形体100質量%中、2質量%以上8質量%以下である、無機繊維成形体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
1400℃における熱伝導率が0.27W/m・K以上0.45W/m・K以下である、無機繊維成形体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
抄造成形体で構成される無機繊維成形体。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の無機繊維成形体であって、
炉の少なくとも一部を形成するために用いる、無機繊維成形体。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の無機繊維成形体を少なくとも一部に備える、炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機繊維成形体、および炉に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで無機繊維成形体について様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば、特許文献1、2に記載の技術が知られている。特許文献1には、電気炉の耐火断熱材として、アルミナ繊維およびアルミナ粉を含むスラリーを成形してなる無機繊維成形体が記載されている(請求項1等)。
また、特許文献2には、多孔質構造の断熱骨材80質量%、耐火繊維15質量%、及び結合材5質量%で構成された断熱材が記載されている(請求項1、表1の実施例1~3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-194863号公報
【特許文献2】特開2018-80094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者が検討した結果、上記特許文献1、2に記載の機繊維成形体において、断熱性および耐スケール性の点で改善の余地があることが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
近年、エネルギー効率や環境対策の観点から、加熱炉などの炉に対する断熱技術への要求水準は益々高くなってきている。しかしながら、このような炉内に使用される部材は、スケール等の高熱源体に接触すると、熱的・化学的な劣化を引き起こし、断熱性が低下する恐れがある。
本発明者はさらに検討したところ、加熱したスチール製の平ワッシャーが無機繊維成形体を浸食するワッシャー浸食速度を指標とすることで、無機繊維成形体における耐スケール性を安定的に評価できることが判明した。
このような知見に基づいてさらに検討した結果、無機繊維および無機多孔質フィラーを含む無機繊維成形体を用いて、ワッシャー浸食速度を適切な範囲に制御することによって、耐熱性および耐スケール性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明によれば、
無機繊維および無機多孔質フィラーを含む無機繊維成形体であって、
以下の手順で測定される、ワッシャー浸食速度が0.01mm/分以上1.6mm/分以下である、
無機繊維成形体が提供される。
(手順)
当該無機繊維成形体を用いて、板状サンプルを準備する。
1350℃に加熱した昇降式電気炉の炉床を下げ、スチール製の平ワッシャーを一面に載せた板状サンプルを炉床に設置し、再び炉床を上げ、炉内を密封し、15分間保持する。
15分間保持後、平ワッシャーを載せた板状サンプルを、炉内から取り出し、冷却する。
その後、前記平ワッシャーが前記板状サンプルを浸食した浸食深さを測定し、浸食深さの測定値を保持時間の15分で除し、前記ワッシャー浸食速度(mm/分)を算出する。
【0007】
また本発明によれば、上記の無機繊維成形体を少なくとも一部に備える、炉が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、断熱性および耐スケール性に優れた無機繊維成形体、それを用いた炉が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無機繊維成形体における浸食速度の測定手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の無機繊維成形体を概説する。
【0011】
本実施形態の無機繊維成形体は、無機繊維および無機多孔質フィラーを含み、以下の手順で測定される、ワッシャー浸食速度が0.01mm/分以上1.6mm/分以下を満たすように構成される。
(手順)
当該無機繊維成形体を用いて、板状サンプルを準備する。
1350℃に加熱した昇降式電気炉の炉床を下げ、スチール製の平ワッシャーを一面に載せた板状サンプルを炉床に設置し、再び炉床を上げ、炉内を密封し、15分間保持する。
15分間保持後、平ワッシャーを載せた板状サンプルを、炉内から取り出し、冷却する。
その後、平ワッシャーが板状サンプルを浸食した浸食深さを測定し、浸食深さの測定値を保持時間の15分で除し、ワッシャー浸食速度(mm/分)を算出する。
【0012】
本発明者の知見によれば、無機繊維および無機多孔質フィラーを併用することによって、無機多孔質フィラーを含まない場合と比べて、高温時の熱伝導率を低く抑え、断熱性を高められることが判明した。
【0013】
詳細なメカニズムは定かでないが、次のような推察ができる。
まず、無機繊維を単独で使用した場合、低温での断熱性が得られたとしても、高温での輻射伝熱により断熱性が低下してしまう。
次に、無機繊維および非多孔質の無機フィラーを併用した場合、無機フィラーの添加により高温での輻射伝熱が抑制されるが、高温における断熱性が十分ではない。
これに対して、無機繊維および無機多孔質フィラーを併用した場合、無機多孔質フィラーはかさ密度が小さいため、同じ含有量で非多孔質の無機フィラーよりフィラーの占有面積が大きく、これを添加した無機繊維成形体の高温時の熱伝導率を低く抑え、断熱性を高められる。また、無機繊維成形体の内部における無機繊維の間隙に、無機多孔質フィラーが適当に埋まるため、スケールなどの高熱源体による浸食を抑制できる、と考えられる。また、非多孔質の無機フィラーはかさ密度が大きいため、無機繊維成形体の成形時にフィラーの分離が生じ、その無機繊維成形体の成形性が悪化するが、多孔質の無機フィラーはこのような成形性への影響が少ないため、含有量を増やすことができる。
【0014】
無機繊維成形体のワッシャー浸食速度の上限は、1.6mm/分以下、好ましくは1.0mm/分以下、より好ましくは0.8mm/分以下、さらに好ましくは0.7mm/分以下である。これにより、無機繊維成形体の耐スケール性を向上できる。また、高温環境下において、部材としての耐久性の低下を抑制できる。
無機繊維成形体のワッシャー浸食速度の下限は、とくに限定されないが、例えば、0.01mm/分以上、好ましくは0.1mm/分以上でもよい。これにより、無機繊維成形体における諸特性のバランスを図ることができる。
【0015】
上記ワッシャー浸食速度の測定手順について以下に補足する。
平ワッシャーは、スチール製の表面が三価クロメート処理されたもので、内径、厚さ、重量が、それぞれ、10.5mm、1.6mm、4.1gのものを使用する。寸法や重量は、製造工程上のバラツキを許容できる。
板状サンプルの一面は、平ワッシャーの表面全体を置くことができれば特に限定されないが、例えば、一面の垂直方向から見たとき、長さ:35mmおよび幅:35mmの四角形状を有してもよい。
板状サンプルの厚みは、例えば、25mmとしてもよい。電気炉の炉内に保持中、平ワッシャーが板状サンプルを貫通した場合には、ワッシャー浸食速度が1.6mm/分超と判断してもよいが、板状サンプルの厚みをより厚くして、平ワッシャーが貫通しない条件とし、再度、ワッシャー浸食速度を測定してもよい。
本実施形態の無機繊維成形体は、板状サンプルの少なくとも一面(表面)における浸食速度が、上記の数値範囲内を満たすものであればよい。板状サンプルの裏面における浸食速度、表面と裏面との浸食速度の平均値が、上記の数値範囲内を満たすものであってもよい。
【0016】
本実施形態では、たとえば無機繊維成形体中に含まれる各成分の種類や配合量、無機繊維成形体の作製方法等を適切に選択することにより、上記浸食速度を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、無機繊維および無機多孔質フィラーを併用すること、無機繊維および無機多孔質フィラーの種類や含有量を適切に選択すること、並びに無機繊維成形体のかさ密度の数値範囲を調整すること等が、上記浸食速度を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
【0017】
無機繊維成形体は、抄造成形体で構成されてもよい。
抄造成形体は、各種の抄造方法を用いて成形できる。抄造法は、真空成形法(吸引成形法)や圧縮成形法などが挙げられる。
真空成形法は、例えば原料成分を含む原料スラリーを吸引ポンプ等の抄造機にて吸引脱水し、メッシュ(網)上に抄造体を得、これを加熱して抄造成形体を製造する方法である。この製造プロセスにおいて、メッシュの形状や、吸引回数・原料スラリーなどを複数組み合わせることができる。このため、吸引成形法により、抄造成形体の形状設計自由度を高められる。
圧縮成形法は、例えば真空成形法にて得られた抄造成形体を、ロール等で圧縮し、抄造成形体を製造する方法である。圧縮成形法により得られた無機繊維成形体は、吸引成形法で得られたものよりも、高いかさ密度を有する。
【0018】
無機繊維成形体は、耐熱性が必要とされる部材であれば特に限定されずに適用できるが、例えば、炉などの高温環境使用部材の少なくとも一部を構成するために好適に用いることができる。
炉としては、例えば、製鉄用炉、非製鉄用炉、窯業用炉、化学工業用炉などの工業用炉が挙げられる。この中でも1400℃以上の耐熱性が必要とされる、加熱炉や焼成炉に用いてもよい。
本実施形態において、加熱炉や焼成炉等の炉は、少なくとも一部が無機繊維成形体で構成された部材を備えてもよい。
【0019】
また、無機繊維成形体は、鉄鋼、金属、セラミックス、自動車などの幅広い分野で高温用耐火断熱材に使用してもよい。
【0020】
以下、本実施形態の無機繊維成形体を詳述する。
【0021】
無機繊維成形体は、無機繊維を含む。
無機繊維は、アルカリアースシリケートウール(AES)、リフラクトリーセラミックファイバー(RCF)や、アルミナ、チタニア、シリカ等の酸化物繊維を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、熱伝導性や耐熱性の観点から、無機繊維は、アルミナファイバーを少なくとも含むように構成されてもよい。アルミナファイバーとしては、例えばAlおよびSiOを含むものを用いることができる。
【0022】
アルミナファイバーの真比重の下限は、例えば、2.8以上、好ましくは2.9以上、より好ましくは3.0以上である。これにより、無機繊維成形体の機械的強度を向上できる。アルミナファイバーの真比重の上限は、特に限定されないが、例えば、3.8以下、好ましくは3.7以下、より好ましくは3.6以下である。これにより、加熱収縮率の低減と軽量化を図ることができる。
【0023】
無機繊維としてアルミナファイバーを含む場合、アルミナファイバーの含有量の上限は、無機繊維成形体100質量%中、例えば、70質量%以下、好ましくは65質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。これにより、高温時の熱伝導率の上昇を抑制でき、耐スケール性が向上する。一方、アルミナファイバーの含有量の下限は、無機繊維成形体100質量%中、例えば、15質量%以上、好ましくは20質量%以上である。これにより、無機繊維成形体のかさ密度を低減し、耐熱性を向上することができる。またこれにより、軽量化および低熱容量化を図ることもできる。
【0024】
アルミナファイバー以外の無機繊維を使用する場合も、無機繊維の含有量は、無機繊維成形体100質量%中、15質量%以上70質量%以下が好ましい。無機繊維の含有量の上限を上記上限値以下とすることにより、高温時の熱伝導率の上昇を抑制でき、無機繊維の含有量の下限を上記下限値以上とすることにより、耐熱性を向上させることができる。
【0025】
無機繊維としてアルミナファイバーを含む場合、結晶性鉱物の割合の上限は、アルミナファイバー100質量%中、例えば、80質量%以下、好ましくは75質量%以下である。これにより、過度の結晶化による繊維の強度低下を抑制し、繊維の破壊や粉化を低減することで、無機繊維成形体の強度向上や成形性改善効果が得られる。一方、結晶性鉱物の割合の下限は、アルミナファイバー100質量%中、例えば、30質量%以上、好ましくは33質量%以上である。これにより、無機繊維成形体の高温時の加熱収縮率を低減し、耐熱性を向上させることができる。
【0026】
アルミナファイバーの製造方法として、公知の方法を採用できるが、次のような原液調製工程、紡糸工程、集綿工程および焼成工程を含むものを用いてもよい。これによって、バルク状のアルミナファイバー(綿状繊維)を作製できる。
【0027】
(原液調製工程)
アルミナ源として、たとえば、オキシ塩化アルミニウム水溶液、アルミナゾル等が用いられる。シリカ源として、たとえば、シリカゾル、ポリシロキサン等を用いられる。必要に応じて、紡糸助剤として、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等を用いることができる。これらを所望の割合に混合し、減圧濃縮することで紡糸原液が得られる。
【0028】
(紡糸工程)
原液調製工程で調製された紡糸原液は、紡糸装置を用いて細孔から大気中に押出され、アルミナ繊維前駆体となる。使用される紡糸装置に特に制限はなく、ブローイング紡糸装置や回転円盤紡糸装置等を用いることができる。細孔から押し出された繊維の融着を防ぎ、高面圧を有するアルミナ繊維を製造するという観点からは、特開2010-31416号公報に記載されている回転円盤紡糸法が好適に用いられる。
【0029】
細孔の大きさや押出条件を調節することにより、得られるアルミナ繊維の平均繊維径や繊維径分布、およびショットと呼ばれる非繊維化物の含有量を制御することができる。典型的には、アルミナ繊維の平均繊維径は3μm以上8μm以下の範囲に調整される。なお、50μm以上の長さのショット含有率は1%未満であることが好ましい。
【0030】
(集綿工程)
紡糸工程で得られたアルミナ繊維前駆体を、集綿室内に設置したネットコンベアの下部から吸引して集積し、アルミナ繊維前駆体の集積体を得る。ネットコンベアの速度を調節することにより、得られる集積体の厚みや面重量が調整される。
【0031】
(焼成工程)
集綿工程で得られたアルミナ繊維前駆体は、焼成工程で焼成される。焼成工程では、焼成装置を用いて、脱脂工程、結晶化工程がこの順に行われる。アルミナファイバーの結晶性鉱物量は焼成工程の処理温度によって調整される。ファイバー中のAl量が高い場合はコランダムが含まれるが、結晶性を高めるためには焼成温度を高く調整することが必要となる。一方でAl量が低くムライトを含む組成では、低温度での焼成でも結晶性を高めることができる。
【0032】
無機繊維成形体は、無機多孔質フィラーを含む。
無機多孔質フィラーは、カルシウムアルミネート多孔質粒子を含んでもよい。
カルシウムアルミネート多孔質粒子として、好ましくは、組成物にCaO・6Alを含む粒子、すなわち、多孔質CA6粒子を含む。
【0033】
多孔質CA6粒子は、鉱物相がCaO・6Al(CA6と呼称する)、3CaO・Al(C3Aと呼称する)、CaO・Al(CAと呼称する)、およびCaO・2Al(CA2と呼称する)からなる群から選ばれる一又は二以上を含んでもよい。この中でも、熱伝導率の観点から、多孔質CA6粒子は、CA6を主成分として含むものが好ましい。鉱物相中のCA6の含有量は、例えば、30質量%以上でもよく、50質量%以上でもよく、好ましくは80重量%以上でもよい。
【0034】
多孔質CA6粒子の製造方法は、例えば、カルシア原料とアルミナ原料等の骨材原料を混合、若しくは混合粉砕して、最終的に合成されるカルシウムアルミネートのCaOとAlのモル比がおおよそ1:6の成分割合になるように配合し、水と混練して成形後、1300℃~1700℃の温度で焼成して得られたものを、粉砕機によって粉砕する方法が挙げられる。
【0035】
無機多孔質フィラーの粒子径D95の上限は、例えば、300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは270μm以下である。これにより、有機バインダーおよび無機バインダーを介しての無機多孔質フィラーと無機繊維との付着、または無機多孔質フィラー同士の付着を良好なものとすることができる。そのため、繊維やフィラーと剥離し難くなることによって、スラリー製造の際に原料が分離することを抑制できる。また、高温で使用した際には有機バインダーが焼失して付着力が失われた場合に、無機多孔質フィラーが剥落しやすくなることを抑制できる。
一方、無機多孔質フィラーの粒子径D95の下限は、例えば、15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上である。これにより、抄造時の目詰まりが生じ難くなり、均質な組織の繊維成形体が得られる他、抄造時間が短縮できることで製造量が向上する効果が得られる。
【0036】
無機多孔質フィラーのかさ密度の上限は、例えば、0.9g/cm以下、好ましくは0.89g/cm以下である。これにより、繊維成形体の断熱性を高めることができる。一方、無機多孔質フィラーのかさ密度の下限は、例えば、0.6g/cm以上、好ましくは0.61g/cm以上である。これにより、繊維成形体の強度を高めることができる。
【0037】
無機多孔質フィラーの含有量の上限は、無機繊維成形体100質量%中、例えば、79質量%以下、好ましくは75質量%以下である。これにより、原料スラリーの凝集や吸引成形時の目詰まりを抑制して成形性が向上する他、無機成形体のかさ密度を低減し、耐熱性を向上することができる。またこれにより、軽量化および低熱容量化を図ることもできる。その含有量を75質量%以下とすることによって、無機繊維成形体の軽量化が可能となり、1000℃より低い低温度域の熱伝導率が増加することを抑制できる。また、耐熱性が向上しヒートサイクルに伴って発生する熱応力による組織の破壊やクラックの発生も抑制できる。
一方、無機多孔質フィラーの含有量の下限は、無機繊維成形体100質量%中、例えば、20質量%以上、好ましくは30質量%以上である。これにより、所定の強度を備えつつ、高温での熱伝導率を低減し断熱性を向上させることができ、耐スケール性が向上する。
【0038】
無機繊維成形体は、結着剤として、コロイダルシリカ等の無機バインダーや有機バインダーを含んでもよい。
焼成後の無機繊維成形体に残存する無機バインダーを用いることで、無機繊維と無機多孔質フィラーの剥離および剥落を抑制できる他、無機繊維成形体の加熱収縮率を低減できる。
【0039】
コロイダルシリカ以外の無機バインダーとして、アルミナゾル、水硬性アルミナなどが挙げられる。
有機バインダーとして、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、デンプン、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エポキシ系、フェノール系、アクリル酸エステル系、ポリウレタン系、イソシアネート系、ポリイミド系、酢酸ビニル系等の接着剤、各種ゴム系接着剤等が挙げられる。
これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
コロイダルシリカの含有量は、無機繊維成形体100質量%中、固形分換算で、例えば、2質量%以上8質量%以下、好ましくは3質量%以上7質量%以下である。このような範囲内とすることで、耐熱性および繊維との付着性のバランスを図ることができる。
【0041】
無機繊維成形体の特性について説明する。
【0042】
無機繊維成形体のかさ密度の下限は、例えば、0.2g/cm以上、好ましくは0.22g/cm以上、より好ましくは0.25g/cm以上である。これにより、耐スケール性を向上できる。
一方、無機繊維成形体のかさ密度の上限は、例えば、0.7g/cm以下でもよく、0.6g/cm以下でもよい。これにより、無機繊維成形体の諸特性のバランスを図ることができる。
【0043】
無機繊維成形体の1400℃における熱伝導率の上限は、例えば、0.45W/m・K以下、好ましくは0.43W/m・K以下、より好ましくは0.40W/m・K以下である。これにより、高温時における断熱性に優れた無機繊維成形体を実現できる。一方、上記熱伝導率の下限は、例えば、0.27W/m・K以上、0.30W/m・K以上、0.31W/m・K以上としてもよい。これにより、加熱収縮率やかさ密度などの他の特性とのバランスを図ることができる。
【0044】
無機繊維成形体の製造方法は、例えば、真空成形法、圧縮成形法、押出成形法などを使用できる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、無機繊維成形体の強度や耐久性の観点から、真空成形法を用いてもよい。
【0045】
無機繊維成形体の製造方法は、真空成形法の場合、無機繊維、無機多孔質フィラー、およびコロイダルシリカを含む水スラリーを準備する工程と、水スラリーを真空吸引することにより水を除去して成形体を得る工程と、を含んでもよい。
【0046】
真空成形法の具体的な一例は、次のようなスラリー工程、抄造工程、および成形工程を含んでもよい。
【0047】
スラリー工程は、無機繊維、無機多孔質フィラー、無機バインダー、有機バインダー等の繊維原料(原料成分)を、水に溶解または分散させて、水スラリーを調整する。水スラリーには、必要に応じて、凝集剤などの抄造法で一般的に使用される添加剤を含めてもよい。
【0048】
続いて、抄造工程は、水を通過させるが、繊維原料を通過させない所定のメッシュを備える網が設けられた成形型を用いる。また、成形型には無機多孔質フィラーや結着剤を通過させないためのろ紙を備えることもできる。真空吸引することによって、水スラリーを網通して、水スラリー中の水を脱水させて、網の表面上に繊維原料を残存させ、抄造体を得る。脱水後や脱水時において乾燥を行ってもよい。また、網の表面形状は、適宜に選択され、平面状でもよく、一部に立体構造を備えるものであってもよい。
【0049】
抄造の一例として、底面に網板を備えた箱型容器に水スラリーを流し込み、網の下方で真空吸引しながら脱水し、網面上のケーキを乾燥する方式、水スラリー中に吸引機構を備えた平網を沈め、真空吸引して漉き上げたケーキを乾燥する方式等が挙げられる。ケーキの乾燥は熱風乾燥で行ってもよい。
【0050】
本明細書において、「抄造体」という用語は、繊維材料を抄く手法を使用して得られた物の状態を示す技術用語として一般的に使用されるものである。
【0051】
その後、成形工程は、得られた成形体を加熱処理することで、所定形状の抄造成形体を製造する。
得られた抄造成形体は、ローラープレス等によって、圧縮成型してもよい。抄造成形体は、ボード等の所望の形態に加工されてもよい。
その後、抄造成形体は、裁断処理や、乾燥機を用いた完全乾燥処理が施されてもよい。
【0052】
抄造成形体からなる無機繊維成形体の厚みは、特に限定されないが、1mm~100mmでもよく、好ましくは10mm~60mmである。これにより、取扱性に優れた無機繊維成形体を実現できる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【実施例0054】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
【0055】
表1中に示す各原料成分は以下のとおり。
(無機繊維)
・アルミナファイバー1:デンカ社製、デンカアルセンB80(組成:Al、SiO、結晶性鉱物割合:66質量%、真比重:3.2、平均繊維径:3.3μm)
・アルミナファイバー2:デンカ社製、デンカアルセンB95N1を、電気炉を用いて大気雰囲気にて最高温度1200℃で3時間加熱処理を施したもの(組成:Al、SiO、結晶性鉱物割合:33質量%、真比重:3.5、平均繊維径:3.2μm)を使用した
・アルミナファイバー3:デンカ社製、デンカアルセンB73CLを、電気炉を用いて大気雰囲気にて最高温度1400℃で2時間加熱処理を施したもの(組成:Al、SiO、結晶性鉱物割合:78質量%、真比重:3.0、平均繊維径:5.5μm)を使用した
・アルミナファイバー4:デンカ社製、デンカアルセンB80Lを、電気炉を用いて大気雰囲気にて最高温度1100℃で2時間加熱処理を施したもの(組成:Al、SiO、結晶性鉱物割合:21質量%、真比重:3.1、平均繊維径:4.0μm)を使用した。
【0056】
(無機多孔質フィラー)
・CA6粒子1:デンカ社製、HB09 、粒度0~1mmを目開き0.3mmの篩で篩分けを施し、篩を通過したもの(CA6を主成分とした多孔質粒子、D95:210μm、かさ密度:0.76g/cm)を用いた。
・CA6粒子2:炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムをCaOとAlのモル比が1:6の成分割合になるように配合した。これとデンプンの質量比が60:40となるように配合した原料に45質量%の水を外掛けで加えて混練した後成形し、電気炉を用いて大気雰囲気にて最高1500℃で1時間加熱処理を施し、気孔率78%のCA6を得た。さらにこれを粉砕し、0.3mmの篩で篩分けを施し、篩を通過したもの(CA6を主成分とした多孔質粒子、D95:235μm、かさ密度:0.61g/cm)を用いた。
・CA6粒子3:炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムをCaOとAlのモル比が1:6の成分割合になるように配合した。これとデンプンの質量比が95:5となるように配合した原料に25質量%の水を外掛けで加えて混練した後成形し、電気炉を用いて大気雰囲気にて最高1500℃で1時間加熱処理を施し、気孔率48%のCA6を得た。さらにこれを粉砕し、0.3mmの篩で篩分けを施し、篩を通過したもの(CA6を主成分とした多孔質粒子、D95:270μm、かさ密度:0.89g/cm)を用いた。
【0057】
(無機非多孔質フィラー)
・アルミナ粉:(住友化学社製、製品名:AM210、D95:22μm、かさ密度:1.12g/cm
(無機バインダー)
・コロイダルシリカ(日産化学社製、製品名:スノーテックス30、固形分濃度30質量)
(有機バインダー)
・デンプン(昭和産業社製、製品名:M-350B)
【0058】
(Al含有割合、結晶性鉱物割合)
無機繊維の鉱物組成や鉱物割合について、酸化マグネシウムを標準物質とした粉末X線回折によるリートベルト解析法によって同定・定量した。
【0059】
(D95)
無機多孔質フィラーの体積頻度粒度分布において累積値が95%となる粒子径D95は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定した。
【0060】
(かさ密度)
内容積160cmのステンレス製容器に無機フィラーを容器の口から溢れるまで盛った後、10回タッピング(高さ30mmより落下)後、容器の口から溢れている骨材をすり切り、容器の重さ増分を内容積で割った値をかさ密度とした。
【0061】
<無機繊維成形体の作製>
(実施例1)
表1に示す配合割合で、無機繊維、無機多孔質フィラー、無機バインダーおよび有機バインダーの原料成分を、原料成分の合計100質量部に対して2000質量部の水に加え、20分間湿式混合し、スラリー濃度(無機繊維、無機多孔質フィラー、有機バインダーおよび無機バインダーの固形分の合計含有率)が2質量%の水スラリー(混合物)を調製した。
【0062】
(真空成形処理)
得られた水スラリーの中に、目開きが80メッシュ、直径210mmの金網が備えられた円筒状の成形型を、底面網の下方より真空ポンプで吸引しながら浸漬させた。水スラリーを吸引することで、金網上に原料を堆積させ、その堆積層の厚みが30mmを超えた時点で成形型を水スラリーから取り出し、円柱状の抄造体を製造した。
吸引を止めて脱型後、板状の抄造体を、100℃の熱風乾燥機で16時間乾燥した後、厚みが25mmになるように抄造体の上下部を切断および研磨して、板状の抄造成形体(無機繊維成形体)を製造した。
【0063】
(実施例2~10、比較例1~4)
表1に示す原料成分、その配合割合を使用した以外は、実施例1と同様にして、板状の抄造成形体(無機繊維成形体)を製造した。
ただし、比較例1、4では、無機フィラーを使用しなかった。比較例2、3では、無機多孔質フィラーに代えて、無機非多孔質フィラーを使用した。
表1では、無機多孔質フィラーおよび無機非多孔質フィラーを総称して無機フィラーという。
【0064】
【表1】
【0065】
得られた各実施例・各比較例の無機繊維成形体について、以下の評価項目に基づいて評価を実施した。評価結果を表1に示す。表1中の総合評価において、比較例1、2に、基準を表す「-」を記した。
なお、かさ密度、浸食速度の測定値は、小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までの値を求めた。
【0066】
(無機繊維成形体のかさ密度)
得られた厚み25mmの無機繊維成形体(板状の抄造成形体)を切断し、長さ×幅×厚み:35mm×35mm×25mmを有する直方体状のサンプルを作製した。
得られたサンプルについて、その寸法に基づいて体積を求め、重量を測定し、重量を体積で除して、無機繊維成形体のかさ密度(g/cm)を算出した。
【0067】
(無機繊維成形体におけるワッシャー浸食速度)
無機繊維成形体におけるワッシャー浸食速度の測定手順を、図1の概要図を踏まえつつ説明する。
上記で得られた直方体状のサンプルを厚み方向に2個重ね、サンプルの表面に平ワッシャー(トラスコ中山社製、品番:B26-0010、平座金、材質:冷間圧延鋼板(SPCC)、表面処理:三価クロッメート、内径d:10.5mm、厚さt:1.6mm、質量:4.1g)を1枚静置し、図1(a)に示す評価サンプルを作製した。
昇降式電気炉の炉内を1350℃まで昇温し、この温度を維持した。
大気環境下にて、昇温した昇降式電気炉の炉床を下げ、炉内を開放し、この炉床上に、評価用サンプル(ワッシャーを載せたサンプル)を設置し、再び炉床を上げ、炉内が密封されてから、15分間、炉内に評価用サンプルを保持した(加熱処理)。なお、密封直後から炉内温度が1350℃に戻って安定するまでの時間は約4~5分であった。
15分保持した後、昇降式電気炉の炉床を下げ、評価用サンプルを取り出した。
冷却後、図1(b)に示す加熱処理後の評価用サンプルにおいて、平ワッシャーが無機繊維成形体を浸食した深さが(サンプル表面を基準に)最も大きい部分を測定し、浸食深さ(mm)とした。
測定された浸食深さを保持時間の15分で除して、浸食速度(mm/分)を算出した。
また、サンプルの表面とは反対側の裏面に、平ワッシャーを載せて、上記と同様にして、浸食速度を算出した。
サンプルの表面と裏面における各浸食速度の平均値を求め、この平均値を表1に記した。
【0068】
(加熱炉使用時における浸食状況)
各実施例・各比較例の無機繊維成形体を加熱炉のスキッドポスト用断熱部材に使用し、溶鉄(スケール)による浸食度合を評価した。浸食が深く実用上の使用に問題がある場合を×、浸食されているが実用上の使用が可能である場合を○、浸食が浅く、実用上の使用が問題ない場合を◎として評価した。
各実施例の無機繊維成形体は、比較例に比べて、溶鉄による浸食が抑制され、実用上問題なく、炉用部材に使用できることが分かった。
【0069】
(真空成形の評価)
真空成形処理において、原料による金網の目詰まりや原料堆積層の過度の緻密化が発生した場合、ろ過抵抗が高まることで、所定の厚みの成形体を得るための処理時間が増加し生産性が低下する他、成形体内部の原料の偏析が生じるなどして成分や密度に差異が生じ、均質な組織が得られにくくなる。
得られた無機繊維成形体の真空成形の状況について、以下のように評価した。
成形型を水スラリー中に浸漬し、堆積層が生成し始めてから30mmの厚みとなるまでに吸引される水量に目立った変化が生じなければ、吸引成形性は良好であると判断し評価を〇とした。一方で、吸引される水量が明らかに低減し、30mmの厚みとなるための処理時間が増した場合は×とした。
【0070】
(最高使用温度)
得られた無機繊維成形体を、電気炉中で昇温して加熱し、24時間保持後室温(23℃)まで自然冷却し、加熱収縮率(%)の測定を行った。加熱収縮率は、直尺を用いて長さ方向および厚み方向の寸法を測定し、加熱前の寸法との差を加熱前の寸法で除することにより算出した。
そして、加熱温度を変更して、加熱収縮率(%)が3%以下となる最高使用温度(℃)を求めた。結果を表1に示す。
【0071】
(熱伝導率)
得られた無機繊維成形体の熱伝導率について、JIS R2251-1に準拠して、室温(RT)から1400℃までの温度範囲において測定した。室温および1400℃における熱伝導率(W/m・K)を表1に示す。
1400℃における熱伝導率が0.25W/m・K以上の場合、実用上問題なく、高温環境下における断熱性が得られると判断できる。
【0072】
実施例1~10の無機繊維成形体は、断熱性に優れており、各比較例と比べて、耐スケール性に優れる結果を示した。
このような実施例1~10の無機繊維成形体は、断熱性部材や耐熱性部材、その中でも、加熱炉や窯炉設備などの炉材に好適に用いることが可能である。
図1