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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114282
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】電池及び電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/10 20210101AFI20220729BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20220729BHJP
   H01M 50/183 20210101ALI20220729BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20220729BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20220729BHJP
   H01M 6/18 20060101ALI20220729BHJP
   H01M 6/16 20060101ALI20220729BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20220729BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20220729BHJP
【FI】
H01M2/02 K
H01M2/30 B
H01M2/08 K
H01M10/0562
H01M10/0585
H01M6/18 A
H01M6/16 C
H01G11/78
H01G11/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010521
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆二
(72)【発明者】
【氏名】眞野 司
(72)【発明者】
【氏名】落合 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】花村 玲
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H024
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA06
5E078AB01
5E078AB12
5E078BA05
5E078HA02
5E078HA25
5E078KA06
5E078LA08
5H011AA03
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD05
5H011DD13
5H011DD23
5H011FF04
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ03
5H024AA03
5H024AA06
5H024AA12
5H024CC04
5H024DD01
5H024DD03
5H024DD11
5H024EE01
5H024EE09
5H024FF11
5H024FF21
5H024FF23
5H029AK01
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM11
5H029AM16
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029DJ03
5H029DJ05
5H029DJ14
5H029EJ01
5H029EJ12
5H043AA04
5H043BA02
5H043BA08
5H043BA19
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA10
5H043HA12D
5H043HA22D
5H043HA32D
5H043JA13D
5H043JA15D
5H043KA01D
5H043KA24D
5H043KA27D
(57)【要約】
【課題】電池素子の端子と外装フィルムの金属層との短絡を抑えることのできる電池を実現する。
【解決手段】電池1Aは、電池素子10及び外装体20Aを備える。電池素子10は、対向する正極層11及び負極層12と、それらにそれぞれ接続される正極タブ14及び負極タブ15とを有する。外装体20Aは、正極タブ14及び負極タブ15が突出するように電池素子10を包む外装フィルム20により形成される。外装フィルム20は、対向する絶縁層22及び絶縁層23と、それらの間に介在される金属層21とを有し、正極タブ14及び負極タブ15が突出する側の端面20aにおいて、金属層21が、絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する。これにより、正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が折り曲げられても、それらが外装フィルム20の金属層21と接触して短絡することが抑えられる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極層と、前記正極層と対向する負極層と、前記正極層に接続される正極端子と、前記負極層に接続される負極端子とを有する電池素子と、
前記電池素子を、前記正極端子及び前記負極端子が突出するように包む外装フィルムと
を含み、
前記外装フィルムは、
第1絶縁層と、前記第1絶縁層と対向する第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在される金属層とを有し、
前記正極端子及び前記負極端子が突出する側の端面において、前記金属層が、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層よりも内側に位置することを特徴とする電池。
【請求項2】
前記外装フィルムは、前記端面の前記金属層を覆う第3絶縁層を有することを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記正極端子及び前記負極端子と前記外装フィルムとの間に介在される絶縁フィルムを含み、
前記外装フィルムから前記正極端子及び前記負極端子が突出する側の前記絶縁フィルムの外縁が、前記外装フィルムの前記端面又は前記端面よりも内側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池素子は、
前記正極層と前記負極層との間に介在されるセパレータと、
前記外装フィルム内に前記正極層、前記負極層及び前記セパレータと共に収容される電解液と
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電池。
【請求項5】
前記電池素子は、前記正極層と前記負極層との間に介在される固体電解質層を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電池。
【請求項6】
外装フィルムを準備する工程と、
正極層と、前記正極層と対向する負極層と、前記正極層に接続される正極端子と、前記負極層に接続される負極端子とを有する電池素子を、前記正極端子及び前記負極端子が突出するように前記外装フィルムで包む工程と
を含み、
前記外装フィルムは、第1絶縁層と、前記第1絶縁層と対向する第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在される金属層とを有し、
前記外装フィルムを準備する工程は、前記電池素子を包んだ時に前記正極端子及び前記負極端子が突出する側の前記外装フィルムの端面において、前記金属層を、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層よりも内側に位置させる工程を含むことを特徴とする電池の製造方法。
【請求項7】
前記外装フィルムの前記端面において、前記金属層を、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層よりも内側に位置させる工程は、前記外装フィルムの前記端面を超音波処理する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の電池の製造方法。
【請求項8】
前記外装フィルムの前記端面を水中で超音波処理することを特徴とする請求項7に記載の電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池及び電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池素子を外装体の内部に収容する技術を採用した電池が知られている。
例えば、金属箔の表裏両面に絶縁性樹脂層が積層されたラミネートフィルムが扁平袋状に成形されて外装体とされ、その内部に、シート状の正極及び負極がセパレータを介して積層された電極体が電解液と共に密封されるラミネート型蓄電素子が知られている。
【0003】
このほか、正極と負極の間に分離膜が介された構造の電極組立体が、樹脂層と金属層を含むラミネートシートのパウチ型の電池ケースに内装された電池セル、その電池ケースの熱融着外周部に密封強化テープが付着された電池セルが知られている。
【0004】
また、金属箔の両面を樹脂フィルムにより被覆したラミネートシートを所定辺で接合して封筒状に形成した外装材内に発電要素を封止したポリマー電池、その外装材の任意端辺に溶融樹脂を固化させた絶縁被覆を形成したポリマー電池が知られている。
【0005】
また、蓄電池やキャパシタ等の蓄電素子のケースとして、一対の金属箔の端部間のヒートシール用樹脂を用いて形成されたヒートシール部と、その外側端面の金属箔の加熱溶接により形成された金属封止部とを有する樹脂金属複合シール容器を用いる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-10751号公報
【特許文献2】特表2018-521481号公報
【特許文献3】特開2004-87422号公報
【特許文献4】国際公開第2013/133039号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
金属箔等の金属層とそれに積層される樹脂等の絶縁層とを有するラミネートフィルムやラミネートシートといった外装フィルムが用いられる外装体の、その内部に電池素子が収容される電池では、その電池素子の正負極の端子(リードやタブとも称される)が、外装体の外部に突出するように設けられる。
【0008】
この外装体から突出する端子は、電池の電子デバイスへの実装形態によっては、折り曲げられる場合がある。外装体から突出する端子が折り曲げられる場合において、端子が突出する側の外装体の端面又はその外側に突出して外装フィルムの金属層が存在していると、折り曲げられた端子と外装フィルムの金属層とが接触し、端子と金属層との短絡や、金属層を介した正負極の端子間の短絡が生じる恐れがある。このような短絡は、電池の性能、信頼性の低下を招き得る。
【0009】
1つの側面では、本発明は、電池素子の端子と外装フィルムの金属層との短絡を抑えることのできる電池を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様では、正極層と、前記正極層と対向する負極層と、前記正極層に接続される正極端子と、前記負極層に接続される負極端子とを有する電池素子と、前記電池素子を、前記正極端子及び前記負極端子が突出するように包む外装フィルムとを含み、前記外装フィルムは、第1絶縁層と、前記第1絶縁層と対向する第2絶縁層と、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との間に介在される金属層とを有し、前記正極端子及び前記負極端子が突出する側の端面において、前記金属層が、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層よりも内側に位置する電池が提供される。
【0011】
また、1つの態様では、上記のような電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面では、電池素子の端子と外装フィルムの金属層との短絡を抑えることのできる電池を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電池の一例について説明する図(その1)である。
図2】電池の一例について説明する図(その2)である。
図3】外装フィルムの一例について説明する図である。
図4】金属層のバリが形成された外装フィルムを用いて得られる電池の一例について説明する図である。
図5】外装フィルムとタブとの接触に起因した短絡を抑えるための技術の第1の例について説明する図(その1)である。
図6】外装フィルムとタブとの接触に起因した短絡を抑えるための技術の第1の例について説明する図(その2)である。
図7】外装フィルムとタブとの接触に起因した短絡を抑えるための技術の第2の例について説明する図である。
図8】タブリードを用いた電池の一例について説明する図である。
図9】第1の実施の形態に係る電池の一例について説明する図である。
図10】第1の実施の形態に係る外装フィルムを用いて得られる電池の一例について説明する図である。
図11】第1の実施の形態に係る外装フィルムの超音波処理の一例について説明する図である。
図12】第1の実施の形態に係る外装フィルムの変形例について説明する図である。
図13】第1の実施の形態に係る電池の変形例について説明する図である。
図14】第2の実施の形態に係る電池の例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに、電池の一例について述べる。
図1及び図2は電池の一例について説明する図である。図1(A)には電池の一例の平面図を模式的に示し、図1(B)には電池の一例の分解斜視図を模式的に示している。また、図2(A)には電池の一例の平面図を模式的に示し、図2(B)には図2(A)のII-II断面図を模式的に示している。
【0015】
図1(A)及び図1(B)並びに図2(A)及び図2(B)に示す電池100Aは、薄形電池の一例である。電池100Aは、電池素子10、及びそれを収容する外装体200Aを備える。
【0016】
電池素子10は、図1(B)及び図2(B)に示すように、正極層11、負極層12、セパレータ13、正極端子(「正極タブ」とも言う)14、及び負極端子(「負極タブ」とも言う)15を有する。
【0017】
電池素子10の正極層11には、正極活物質を含む正極材料が用いられる。正極層11の正極材料には、正極活物質のほか、導電助剤、樹脂成分等が含まれてもよい。正極層11は、金属箔や金属板等の集電体を含み、その一主面に正極材料を積層したものであってもよい。
【0018】
電池素子10の負極層12には、負極活物質を含む負極材料が用いられる。負極層12の負極材料には、負極活物質のほか、導電助剤、樹脂成分等が含まれてもよい。負極層12は、金属箔や金属板等の集電体を含み、その一主面に負極材料を積層したものであってもよい。
【0019】
電池100Aは、例えば、二酸化マンガンリチウム一次電池とすることができる。この場合、電池素子10の正極層11には、正極活物質である二酸化マンガン(MnO)を含む正極材料が、ステンレス等の集電体の一主面に積層されたものを用いることができる。電池素子10の負極層12には、負極活物質であるリチウム(Li)を含む負極材料として、金属リチウム又はリチウム合金を用いることができる。
【0020】
電池素子10のセパレータ13は、正極層11と負極層12との間に介在され、正極層11と負極層12とを隔離する。正極層11及び負極層12は、それらの双方又は一方に集電体が用いられる場合、互いの正極材料と負極材料とがセパレータ13を介して対向するように設けられる。セパレータ13には、多孔質の樹脂、不織布、セラミック等を用いることができる。
【0021】
電池素子10の正極タブ14は、正極層11と電気的に接続される。正極タブ14は、正極層11の正極材料と接続され、正極層11に集電体が用いられる場合には、その集電体と接続される。正極タブ14には、例えば、帯状の金属箔や金属板等のリード部材(「端子リード」とも言う)が用いられる。
【0022】
電池素子10の負極タブ15は、負極層12と電気的に接続される。負極タブ15は、負極層12の負極材料と接続され、負極層12に集電体が用いられる場合には、その集電体と接続される。負極タブ15には、例えば、帯状の金属箔や金属板等の端子リードが用いられる。
【0023】
上記のような正極層11、負極層12、セパレータ13、正極タブ14及び負極タブ15を有する電池素子10が、その正極タブ14及び負極タブ15の先端部が突出するように、外装体200Aの外装フィルム200で包まれる。外装フィルム200には、金属層の両主面に絶縁層が積層されたラミネートフィルムを用いることができる。例えば、外装フィルム200には、アルミニウム(Al)やステンレス等の金属箔の両主面に、ポリアミドやポリプロピレン等の樹脂層が積層されたラミネートフィルムが用いられる。尚、外装フィルム200の構成の詳細については後述する。
【0024】
電池100Aでは、例えば、所定サイズの2枚の外装フィルム200の間に、電池素子10がその正極タブ14及び負極タブ15の先端部が突出するように挟まれる。2枚の外装フィルム200の、正極タブ14及び負極タブ15が突出する側の縁部(「タブ突出側縁部」とも言う)を除く3辺の縁部が、熱圧着治具を用いて、加熱及び加圧により溶着(「熱圧着」とも言う)される。熱圧着されていないタブ突出側縁部から、電解質として電解液(図示せず)が注入され、その後、タブ突出側縁部が、熱圧着治具を用いて熱圧着される。
【0025】
ここで、2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部には、先端部を突出させる正極タブ14及び負極タブ15が介在する状態で十分な密閉性を実現するため、帯状の絶縁フィルム(「タブフィルム」とも言う)30が設けられる。タブフィルム30には、例えば、変性ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が用いられる。タブフィルム30には、ポリエチレンナフタレート等の基材の両主面に、変性ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が積層されたものが用いられてもよい。正極タブ14及び負極タブ15を挟む2枚の外装フィルム200間にタブフィルム30が介在され、加熱及び加圧が行われることで、タブフィルム30が正極タブ14及び負極タブ15と接着されると共に、対向するタブフィルム30同士、タブフィルム30と外装フィルム200とが溶着される。これにより、2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部が、十分な密閉性で封止される。
【0026】
より具体的には、電池100Aは、例えば、次のような方法で製造することができる。まず、2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部にタブフィルム30を熱圧着する。タブフィルム30が熱圧着された一方の外装フィルム200上に、正極タブ14が接続された正極層11を、その正極タブ14の一部がタブフィルム30上に位置し且つそれよりも先端側が外装フィルム200の外側に突出するように積層し、タブフィルム30と正極タブ14の一部とを熱圧着する。同様に、タブフィルム30が熱圧着された他方の外装フィルム200上に、負極タブ15が接続された負極層12を、その負極タブ15の一部がタブフィルム30上に位置し且つそれよりも先端側が外装フィルム200の外側に突出するように積層し、タブフィルム30と負極タブ15の一部とを熱圧着する。外装フィルム200上に設けられた正極層11の上にセパレータ13を配置し、負極層12が設けられた外装フィルム200をその負極層12がセパレータ13と対面するように重ね合わせ、タブ突出側縁部を除く3辺の縁部を熱圧着し、熱圧着されていないタブ突出側縁部から電解液を注入し、その後、タブ突出側縁部を熱圧着する。例えば、このような方法を用いて、電池100Aが製造される。
【0027】
ここでは、2枚の外装フィルム200の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部を、帯状のタブフィルム30を用いて密閉する方式を、「タブフィルム方式」とも言う。
【0028】
このように電池100Aでは、2枚の外装フィルム200の縁部を貼り合わせた扁平袋状の外装体200Aの内部に、正極タブ14及び負極タブ15の先端部が外装体200Aの外部に突出されて、電池素子10が収容される。
【0029】
電池100Aの外装フィルム200について更に述べる。
図3は外装フィルムの一例について説明する図である。図3(A)には外装フィルムの一例の断面図を模式的に示し、図3(B)には外装フィルムの切断工程の一例の断面図を模式的に示している。
【0030】
外装フィルム200は、図3(A)に示すように、金属層21、絶縁層22及び絶縁層23を有する。対向する絶縁層22と絶縁層23との間に、金属層21が介在される。電池100Aの外装フィルム200には、例えば、このような金属層21の両主面に絶縁層22及び絶縁層23が積層されたラミネートフィルムが用いられる。
【0031】
金属層21には、例えば、アルミニウム等の金属箔を用いることができる。絶縁層22及び絶縁層23には、例えば、ポリアミドやポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。絶縁層22及び絶縁層23には、互いに同種の樹脂が用いられてもよいし、互いに異種の樹脂が用いられてもよい。
【0032】
例えば、外装フィルム200は、一方の絶縁層22が、外装フィルム200によって形成される外装体200Aの外面側となるように用いられ、他方の絶縁層23が、外装フィルム200によって形成される外装体200Aの内面側となるように用いられる。この場合、外装体200Aの外面側とされる絶縁層22には、金属層21の保護層として機能するポリアミド等の樹脂を用いることができる。外装体200Aの内面側とされる絶縁層23には、熱溶着性を有する接着層として機能するポリプロピレン等の樹脂を用いることができる。
【0033】
電池100Aの製造の際には、所定サイズの2枚の外装フィルム200の間に、電池素子10がその正極タブ14及び負極タブ15の先端部が突出するように挟まれ、2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部を除く3辺の縁部の絶縁層23同士が、熱圧着治具を用いて熱圧着される。熱圧着されていないタブ突出側縁部からの電解液の注入後、2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部の、両外装フィルム200の絶縁層23の表面に設けられたタブフィルム30同士(及び各外装フィルム200の絶縁層23とその表面に設けられたタブフィルム30)が、熱圧着治具を用いて熱圧着される。
【0034】
外装フィルム200は、製造する電池100Aのサイズに合わせ、図3(B)に示すように、予め所定サイズに切断される。外装フィルム200の切断は、例えば、スリッターを用いたスリット加工や、金型を用いた打ち抜き加工によって行われる。この場合、外装フィルム200の金属層21にアルミニウム等の比較的延性の高い材料が用いられていると、外装フィルム200の切断時に金属層21が延び、図3(B)に示すように、外装フィルム200の切断面(「端面」とも言う)200aに、その外側へ飛び出すように、金属層21のバリ210が形成されることがある。
【0035】
図4は金属層のバリが形成された外装フィルムを用いて得られる電池の一例について説明する図である。図4(A)及び図4(B)にはそれぞれ、電池の一例の部分断面拡大図を模式的に示している。
【0036】
図4(A)に示す電池100Aは、外装フィルム200の、金属層21のバリ210が形成された端面200a側の縁部が、外装フィルム200の正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部となった場合の電池の一例である。即ち、図4(A)に示す電池100Aでは、所定サイズに切断された2枚の外装フィルム200の、金属層21のバリ210が形成された端面200a側の縁部同士が、タブフィルム30、正極タブ14及び負極タブ15を介して溶着され、密閉構造の外装体200Aが形成される。
【0037】
ここで、電池100Aは、それが実装される電子デバイスの形態によっては、その電子デバイスに設けられた端子に正極タブ14及び負極タブ15をそれぞれ接続するため、正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が折り曲げられて使用されることがある。
【0038】
例えば、図4(B)に示すように、外装体200Aの外部に突出する正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が、2枚の外装フィルム200のうちの一方の側に90°折り曲げられた場合を考える。この場合、外装フィルム200に金属層21のバリ210が形成されていると、図4(B)のP部に示すように、外装フィルム200の金属層21のバリ210と、折り曲げられた正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方とが接触することが起こり得る。
【0039】
一例として、正極タブ14及び負極タブ15が共に、同じ外装フィルム200の金属層21のバリ210に接触してしまうと、正極タブ14及び負極タブ15と金属層21との短絡が生じる。このように正極タブ14及び負極タブ15と金属層21とが短絡すると、正極タブ14と負極タブ15とにそれぞれ繋がる正極層11と負極層12とが、金属層21を通じて短絡してしまう。
【0040】
また、外装フィルム200の金属層21にアルミニウムが用いられ、負極層12の負極活物質にリチウムが用いられるような電池100Aの場合、負極タブ15が外装フィルム200の金属層21のバリ210に接触してしまうと、負極タブ15と金属層21との短絡が生じる。このように負極タブ15と金属層21とが短絡すると、金属層21のアルミニウムがリチウム電位となってリチウムアルミニウム合金となり、それによって金属層21に亀裂が生じ、その亀裂から水分が浸入して、外装フィルム200の腐食や電池100Aの劣化等を招く恐れがある。
【0041】
薄型の電池100A、例えば、0.6mm以下といった厚さとされる薄形の電池100Aでは、湾曲されて使用されることも想定され、正極タブ14及び負極タブ15と外装フィルム200の金属層21のバリ210との距離が近付く可能性がある。そのため、上記のような正極タブ14及び負極タブ15と金属層21のバリ210との接触、短絡が生じるリスクも高くなる可能性がある。
【0042】
尚、ここでは、外装フィルム200の切断によってその端面200aに形成される金属層21のバリ210と、正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方との接触、短絡について述べた。このほか、外装フィルム200が、その端面200aに金属層21のバリ210が形成されずに切断された場合、即ち、絶縁層22及び絶縁層23の端面位置に金属層21の端面が位置する場合でも、折り曲げられた正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方と、その金属層21の端面との接触、短絡は起こり得る。
【0043】
上記のような外装フィルムとタブとの接触に起因した短絡を抑えるため、例えば、次のような技術を採用することも考えられる。
図5及び図6は外装フィルムとタブとの接触に起因した短絡を抑えるための技術の第1の例について説明する図である。図5(A)には電池の一例の平面図を模式的に示し、図5(B)には図5(A)のV-V断面図を模式的に示している。また、図6(A)及び図6(B)には電池製造工程の一例の平面図を模式的に示している。
【0044】
図5(A)及び図5(B)に示す電池100Bは、外装フィルム200の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部に、外装フィルム200の端面200aの内側から外側まで延びるタブフィルム30が設けられた構成を有する。電池100Bは、このような構成を有する点で、上記電池100A(図2等)と相違する。
【0045】
電池100Bでは、外装フィルム200の端面200aの外側まで延びるタブフィルム30が設けられることで、正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が折り曲げられても、それらと外装フィルム200の端面200aとの距離が遠ざけられ、互いの接触が抑えられる。その結果、折り曲げられた正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方と、外装フィルム200の端面200aに露出する金属層21、その金属層21のバリ210との接触、短絡が抑えられる。
【0046】
しかし、電池100Bでは、タブフィルム30が外装フィルム200の端面200aの外側まで延ばされることで、外装フィルム200から突出する正極タブ14及び負極タブ15が部分的にタブフィルム30で覆われてしまう。そのため、正極タブ14及び負極タブ15の、電池100Bが実装される電子デバイスの端子と接続可能な面積が低減してしまうことが起こり得る。電池100Bが実装される電子デバイスの端子と接続可能な面積を確保するために、正極タブ14及び負極タブ15の突出長さを伸長すると、電池100Bの大型化を招いてしまうことが起こり得る。
【0047】
また、電池100Bの製造工程では、2枚の外装フィルム200の縁部同士を熱圧着して密閉構造の外装体を形成する際、図6(A)に示すような、外装フィルム200及びその端面200aの外側まで延ばされたタブフィルム30を囲む位置決め治具300が用いられる。外装フィルム200及びタブフィルム30の外縁が、位置決め治具300の内側に揃えられ、熱圧着前の位置決めが行われる。
【0048】
しかし、タブフィルム30が外装フィルム200の端面200aの外側まで延ばされていると、図6(B)に示すように、熱可塑性樹脂が用いられるタブフィルム30が、熱圧着時の加熱によって変形し、位置決め治具300内の外装フィルム200に位置ずれが生じてしまう場合がある。その結果、熱圧着治具による熱圧着時に、その熱圧着領域にずれが生じてしまったり、電池素子10の収容領域に熱圧着治具が衝突して電池素子10の破損等を招いてしまったりすることが起こり得る。
【0049】
また、図7は外装フィルムとタブとの接触に起因した短絡を抑えるための技術の第2の例について説明する図である。図7(A)には電池の一例の平面図を模式的に示し、図7(B)には図7(A)のVII-VII断面図を模式的に示している。
【0050】
図7(A)及び図7(B)に示す電池100Cは、外装フィルム200の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部に設けられるタブフィルム30の一部が、正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に部分的に延ばされた構成を有する。電池100Cは、このような構成を有する点で、上記電池100B(図5等)と相違する。
【0051】
電池100Cでは、タブフィルム30の一部が正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に部分的に延ばされることで、上記のような位置決め治具300(図6)を用いても、タブフィルム30の熱変形による位置決め治具300内の外装フィルム200の位置ずれ、それによる熱圧着領域のずれ、電池素子10の破損等が抑えられる。
【0052】
しかし、電池100Cの製造においては、正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に部分的に延びるような形状とされたタブフィルム30を予め準備したり、準備されたそのような形状のタブフィルム30を正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に対して位置合わせすることを要したりするため、製造コストの増大を招き得る。上記電池100Aのような、外装フィルム200の端面200aの外側に延びないタブフィルム30を用いて熱圧着を行った後、再度正極タブ14及び負極タブ15の突出領域付近に熱をかけてタブフィルム30を溶融することで、電池100Cのような構成を得ることも考えられるが、工数の増大等のために、やはり製造コストの増大を招き得る。
【0053】
また、電池100Cでは、上記電池100Bと同様に、外装フィルム200から突出する正極タブ14及び負極タブ15が部分的にタブフィルム30で覆われてしまうため、正極タブ14及び負極タブ15の接続可能面積の低減、突出長さの伸長による電池100Cの大型化を招き得る。
【0054】
尚、外装フィルムの端面を、絶縁性テープや紫外線硬化樹脂で保護する技術も知られているが、それに伴う工数及び製造コストの増大、電池厚さの増大を招いてしまう。また、2枚の外装フィルムの金属層をレーザー溶接して金属封止部を形成する技術も知られている。この技術は、密閉性の向上に一定の効果が得られるものの、外装フィルムのタブ突出側縁部に対しては採用することができず、外装フィルムとタブとの短絡を抑えるための対策としては不十分である。
【0055】
また、上記のような電池素子10の正極層11及び負極層12にそれぞれ接続される端子としては、予め端子リードの途中にタブフィルムが接着されている部材(「タブリード」とも言う)を用いる技術も知られている。
【0056】
ここで、図8はタブリードを用いた電池の一例について説明する図である。図8(A)にはタブリードの一例の平面図を模式的に示し、図8(B)には電池の一例の平面図を模式的に示し、図8(C)には図8(B)のVIII-VIII断面図を模式的に示している。
【0057】
例えば、図8(A)に示すような、予め端子リード41の途中にタブフィルム42が接着されたタブリード40が準備される。このようなタブリード40が用いられ、図8(B)及び図8(C)に示すような電池100Dが製造される。電池100Dでは、2本のタブリード40の、タブフィルム42に対して一方側の端子リード41の部位がそれぞれ、電池素子10の正極層11及び負極層12に接続される。2本のタブリード40の、タブフィルム42に対して他方側の端子リード41の部位(先端部)がそれぞれ、外装フィルム200の外側に突出される。外装フィルム200は、タブリード40の端子リード41の一部が突出するタブ突出側縁部が、タブリード40のタブフィルム42と重なるように熱圧着される。
【0058】
ここでは、2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部を、タブリード40に予め設けられたタブフィルム42を用いて密閉する方式を、「タブリード方式」とも言う。
電池100Dでは、タブリード40に設けられているタブフィルム42により、端子リード41の先端部が折り曲げられても、外装フィルム200の端面200aとの接触、短絡が抑えられる。しかし、電池100Dでは、タブリード40の準備に要する製造コストの増大のほか、タブリード40の端子リード41と電池素子10の正極層11及び負極層12との接続に伴う工数、製造コストの増大を招き得る。2枚の外装フィルム200のタブ突出側縁部をタブリード40に予め設けられたタブフィルム42を用いて密閉するタブリード方式は、上記のような正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部を帯状のタブフィルム30を用いて密閉するタブフィルム方式に比べて、電池製造の低コスト化の観点では不利となり得る。
【0059】
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を用い、電池素子のタブ(端子)と外装フィルムの金属層との短絡を抑えることのできる電池を実現する。
【0060】
[第1の実施の形態]
図9は第1の実施の形態に係る電池の一例について説明する図である。図9(A)には第1の実施の形態に係る電池の一例の平面図を模式的に示し、図9(B)には図9(A)のIX-IX断面図を模式的に示している。
【0061】
図9(A)及び図9(B)に示す電池1Aは、薄形電池の一例である。電池1Aは、電池素子10、及びそれを収容する外装体20Aを備える。電池素子10は、正極層11、負極層12、セパレータ13、正極タブ14及び負極タブ15を有する。
【0062】
電池1Aは、例えば、二酸化マンガンリチウム一次電池とすることができる。電池1Aが備える電池素子10の正極層11、負極層12、セパレータ13、正極タブ14及び負極タブ15にはそれぞれ、上記電池100Aについて述べたのと同様のものを用いることができる。電池1Aが備える外装体20Aは、2枚の外装フィルム20の縁部を熱圧着により貼り合わせることで形成され、当該縁部よりも内側の空間に、電池素子10が、その正極タブ14及び負極タブ15の先端部を外装体20Aの外部に突出させて、収容される。電池1Aにおいて、外装フィルム20の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部には、熱可塑性樹脂が用いられた帯状のタブフィルム30が設けられる。電池1Aにおいて、タブフィルム30は、外装フィルム20のタブ突出側縁部(その端面20a)よりも内側に設けられ、タブ突出側縁部よりも外側には設けられない。
【0063】
電池1Aの外装体20Aを形成する外装フィルム20には、上記同様、対向する絶縁層22及び絶縁層23と、それらの間に介在される金属層21とを有する、いわゆるラミネートフィルムが用いられる。金属層21には、例えば、アルミニウム等の金属箔が用いられる。外装体20Aの外面側とされる絶縁層22には、例えば、金属層21の保護層として機能するポリアミド等の樹脂が用いられる。外装体20Aの内面側とされる絶縁層23には、例えば、熱溶着性の接着層として機能するポリプロピレン等の樹脂が用いられる。
【0064】
2枚の外装フィルム20の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部を除く縁部は、絶縁層23同士が熱圧着されることで封止される。2枚の外装フィルム20のタブ突出側縁部は、外装フィルム20の絶縁層23とタブフィルム30、タブフィルム30と正極タブ14及び負極タブ15、並びにタブフィルム30同士が熱圧着されることで、封止される。
【0065】
電池1Aは、図9(B)に示すように、外装体20Aを形成する外装フィルム20の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成を有する。電池1Aは、外装フィルム20のタブ突出側縁部の端面20aのうち、少なくとも正極タブ14及び負極タブ15が突出する部位において、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成を有する。電池1Aは、このような外装フィルム20が用いられて外装体20Aが形成されている点で、上記電池100A等と相違する。
【0066】
電池1Aの外装フィルム20について更に述べる。
図10は第1の実施の形態に係る外装フィルムを用いて得られる電池の一例について説明する図である。図10(A)及び図10(B)にはそれぞれ、第1の実施の形態に係る電池の一例の部分断面拡大図を模式的に示している。
【0067】
図10(A)に示すように、電池1Aでは、外装フィルム20の、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する端面20a側の縁部が、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部となっている。電池1Aの外装フィルム20には、その金属層21に、外装フィルム20の外側に飛び出す、上記のようなバリ210(図3及び図4)は形成されない。電池1Aの外装フィルム20は、タブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21の端面21aが、絶縁層22の端面22a及び絶縁層23の端面23aよりも内側に位置する構成を有する。尚、外装フィルム20のタブ突出側縁部の端面20aは、金属層21の端面21a、絶縁層22の端面22a及び絶縁層23の端面23aによって形成される。
【0068】
電池1Aは、それが実装される電子デバイスの形態によっては、その電子デバイスに設けられた端子に正極タブ14及び負極タブ15をそれぞれ接続するため、正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が折り曲げられて使用されることがある。
【0069】
例えば、図10(B)に示すように、外装体20Aの外部に突出する正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が、2枚の外装フィルム20のうちの一方の側に90°折り曲げられた場合を考える。この場合、電池1Aの外装フィルム20は、タブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置しているため、正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が折り曲げられたとしても、それらが外装フィルム20の金属層21と接触することが抑えられる。正極タブ14及び負極タブ15の双方又は一方が折り曲げられ、外装フィルム20の絶縁層22及び絶縁層23の双方又は一方に接触することがあったとしても、正極タブ14及び負極タブ15が外装フィルム20の金属層21と接触することは抑えられる。電池1Aによれば、電池素子10の正極タブ14及び負極タブ15と、外装フィルム20の金属層21との短絡が、効果的に抑えられるようになる。
【0070】
電池1Aでは、このように折り曲げられた正極タブ14及び負極タブ15と金属層21との接触、短絡が抑えられることで、例えば、正極タブ14と負極タブ15とにそれぞれ繋がる電池素子10の正極層11と負極層12とが、金属層21を通じて短絡してしまうことが抑えられる。
【0071】
また、電池1Aが、外装フィルム20の金属層21にアルミニウムが用いられ、負極層12の負極活物質にリチウムが用いられるようなものである場合、負極タブ15と金属層21とが短絡してその金属層21のアルミニウムがリチウム電位となってリチウムアルミニウム合金となること、それによって金属層21に亀裂が生じること、その亀裂から水分が浸入して外装フィルム20の腐食や電池1Aの劣化等を招くことが抑えられる。
【0072】
また、電池1Aでは、折り曲げられた正極タブ14及び負極タブ15と金属層21との接触、短絡が抑えられるため、タブフィルム30を外装フィルム20のタブ突出側縁部の外側に延ばすことを要しない。これにより、正極タブ14及び負極タブ15は、外装フィルム20のタブ突出側縁部よりも外側において、部分的にタブフィルム30で覆われてしまうことがないため、電池1Aが実装される電子デバイスの端子と接続可能な面積が低減してしまうことが抑えられる。接続可能な面積の低減が抑えられるため、正極タブ14及び負極タブ15の突出長さの伸長、それによる電池1Aの大型化が抑えられる。
【0073】
更に、電池1Aでは、タブフィルム30を外装フィルム20のタブ突出側縁部の外側に延ばすことを要しないため、上記のような位置決め治具300(図6)を用い、外装フィルム20の外縁を位置決め治具300の内側に揃えて位置決めし、熱圧着を行うことができる。その際、電池1Aでは、外装フィルム20のタブ突出側縁部にタブフィルム30がはみ出さないため、熱可塑性樹脂が用いられるタブフィルム30が、熱圧着時の加熱により変形することによって位置決め治具300内の外装フィルム20に位置ずれが生じることが抑えられる。これにより、熱圧着治具による熱圧着領域のずれや、電池素子10の収容領域への熱圧着治具の衝突による電池素子10の破損等が抑えられる。
【0074】
更にまた、電池1Aでは、折り曲げられた正極タブ14及び負極タブ15と金属層21との接触、短絡が抑えられるため、タブフィルム30の一部を正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に部分的に延ばすことを要しない。これにより、正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に部分的に延びるような形状のタブフィルム30の準備及びその位置合わせが不要になり、それらに伴う製造コストの増大が抑えられる。或いは、タブフィルム30の一部を正極タブ14及び負極タブ15の突出領域に部分的に延びるような形状とするために、外装フィルム20の端面20aの外側に延びないタブフィルム30を用いて熱圧着を行った後、再度正極タブ14及び負極タブ15の突出領域付近に熱をかけてタブフィルム30を部分的に溶融することが不要になり、製造コストの増大が抑えられる。
【0075】
上記のように電池1Aでは、外装体20Aを形成する外装フィルム20の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する。これにより、電池素子10の正極タブ14及び負極タブ15と、外装フィルム20の金属層21との短絡を抑えることのできる高品質の電池1Aが、大型化及び製造コストの増大を抑えて、安定的に実現される。
【0076】
正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する電池1Aの外装フィルム20は、例えば、外装フィルム20に対して超音波処理を行うことで準備される。
【0077】
図11は第1の実施の形態に係る外装フィルムの超音波処理の一例について説明する図である。図11(A)には外装フィルムの一例を模式的に示し、図11(B)には図11(A)のQ部拡大図を模式的に示し、図11(C)には外装フィルムの超音波処理工程の一例を模式的に示している。
【0078】
電池1Aの外装フィルム20には、例えば、図11(A)に示すようなロール状の外装フィルム25を所定サイズに切断したものが用いられる。例えば、切断前のロール状の外装フィルム25に対し、超音波処理が行われる。
【0079】
ロール状の外装フィルム25は、図11(B)の左図に示すように、対向する絶縁層22及び絶縁層23と、それらの間に介在される金属層21とを有する。ロール状の外装フィルム25の端面には、絶縁層22及び絶縁層23と、それらの間に介在される金属層21とが露出する。尚、超音波処理前のロール状の外装フィルム25の、露出する金属層21には、絶縁層22及び絶縁層23よりも外側に飛び出すバリ210が形成されていてもよい。
【0080】
このようなロール状の外装フィルム25の少なくとも一端面が、図11(C)に示すように、処理槽400に貯留された処理液410中に浸漬される。処理液410には、例えば、水(純水)又は水を主体とする液体が用いられる。ロール状の外装フィルム25の少なくとも一端面が、水等の処理液410に浸漬された状態で、処理液410に対し超音波が印加される。これにより、処理液410に浸漬されるロール状の外装フィルム25の少なくとも一端面に対し、超音波処理が行われる。
【0081】
図11(C)に示すように、ロール状の外装フィルム25の少なくとも一端面が、水等の処理液410によって超音波処理されることで、当該端面に露出する金属層21(バリ210が形成されている場合にはバリ210を含む金属層21)が除去される。これにより、図11(B)の右図に示すような、金属層21の端面21aが、絶縁層22の端面22a及び絶縁層23の端面23aよりも内側に位置する、ロール状の外装フィルム25が形成される。
【0082】
尚、超音波処理の際の処理液410には、絶縁層22及び絶縁層23の除去を抑えつつ金属層21の除去を行うことができるものであれば、水(純水)又は水を主体とする液体に限らず、他の液体を用いることもできる。
【0083】
超音波処理後、ロール状の外装フィルム25が所定サイズに切断されることで、電池1Aの外装体20Aに用いる外装フィルム20が準備される。準備された外装フィルム20は、超音波処理によって金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置するように形成された端面が、上記のような、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部の端面20aとなるようにして用いられる。
【0084】
電池1Aの製造では、例えば、まず、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する端面20aが形成された2枚の外装フィルム20の、各々の端面20a側の縁部に、タブフィルム30を熱圧着する。タブフィルム30が熱圧着された一方の外装フィルム20上に、正極タブ14が接続された正極層11を、その正極タブ14の一部がタブフィルム30上に位置し且つそれよりも先端側が外装フィルム20の外側に突出するように積層し、タブフィルム30と正極タブ14の一部とを熱圧着する。同様に、タブフィルム30が熱圧着された他方の外装フィルム20上に、負極タブ15が接続された負極層12を、その負極タブ15の一部がタブフィルム30上に位置し且つそれよりも先端側が外装フィルム20の外側に突出するように積層し、タブフィルム30と負極タブ15の一部とを熱圧着する。外装フィルム20上に設けられた正極層11の上にセパレータ13を配置し、負極層12が設けられた外装フィルム20をその負極層12がセパレータ13と対面するように重ね合わせ、タブ突出側縁部を除く3辺の縁部を熱圧着し、熱圧着されていないタブ突出側縁部から電解液を注入し、その後、タブ突出側縁部を熱圧着する。例えば、このような方法を用いて、上記図9及び図10に示したような電池1Aが製造される。
【0085】
電池素子10の正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する外装フィルム20が用いられることで、正極タブ14及び負極タブ15と金属層21との短絡を抑えることのできる高品質の電池1Aが、大型化及び製造コストの増大を抑えて、安定的に製造される。
【0086】
尚、ここでは、ロール状の外装フィルム25に対して超音波処理を行い、その後、それを所定サイズに切断して、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する端面20aを有する外装フィルム20を得るようにした。このほか、予めロール状の外装フィルム25から所定サイズに切断したものに対して超音波処理を行い、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する端面20aを有する外装フィルム20を得るようにしてもよい。
【0087】
超音波処理後に得られる外装フィルム20の端面20aには、必ずしも金属層21の端面21aが露出していることを要しない。
ここで、図12は第1の実施の形態に係る外装フィルムの変形例について説明する図である。図12(A)~図12(C)にはそれぞれ、外装フィルムの変形例の部分断面拡大図を模式的に示している。
【0088】
外装フィルム20の端面20aは、例えば、図12(A)に示すように、金属層21の端面21aに酸化膜50(絶縁層)が形成された態様を有してもよい。酸化膜50は、例えば、上記のような水等の処理液410を用いた超音波処理により、金属層21を除去すると共に、その金属層21に用いられるアルミニウム等の金属の表面を酸化させることで、形成することができる。外装フィルム20の金属層21の端面21aに、このような酸化膜50を形成することで、金属層21と、正極タブ14及び負極タブ15との短絡を、より一層抑えることが可能になる。
【0089】
また、外装フィルム20の端面20aは、例えば、図12(B)に示すように、金属層21の端面21aに樹脂膜51(絶縁層)が形成された態様を有してもよい。樹脂膜51は、例えば、上記のような外装フィルム20の熱圧着時における温度及び圧力を調整し、絶縁層22又は絶縁層23に用いられる樹脂を、金属層21の端面21aを覆うように溶融させることで、形成することができる。外装フィルム20の金属層21の端面21aに、このような樹脂膜51を形成することで、金属層21と、正極タブ14及び負極タブ15との短絡を、より一層抑えることが可能になる。
【0090】
外装フィルム20の端面20aは、例えば、図12(C)に示すように、金属層21の端面21aに形成される酸化膜50と、その酸化膜50を覆う樹脂膜51との積層膜52(絶縁層)が形成された態様を有してもよい。積層膜52は、例えば、超音波処理によって金属層21の表面を酸化して酸化膜50を形成し、その後の熱圧着時の条件を調整して絶縁層22又は絶縁層23を溶融させて酸化膜50を覆う樹脂膜51を形成することで、得られる。積層膜52により、金属層21と、正極タブ14及び負極タブ15との短絡を、より一層抑えることが可能になる。
【0091】
次に、上記のような電池1Aの評価結果の一例について述べる。
評価用の電池1Aの外装フィルム20には、ロール状の外装フィルム25のタブ突出側縁部となる端面を、処理槽400に貯留した純水に浸漬し、周波数36.5kHzの超音波を16時間印加する超音波処理を行い、その超音波処理後に所定サイズに切断したものを使用した。外装フィルム20(切断前のロール状の外装フィルム25)には、外装体20Aの外面側となる絶縁層22にポリアミドが用いられ、外装体20Aの内面側となる絶縁層23にポリプロピレンが用いられ、それらの間に介在される金属層21にアルミニウムが用いられたものを使用した。
【0092】
超音波処理後に所定サイズに切断された外装フィルム20を用い、電池素子10が、その正極タブ14及び負極タブ15の先端部が超音波処理された端面側に突出するように外装体20Aで包まれる、平面サイズ27mm×22mm、厚さ0.45mmの電池1A(図9及び図10)を形成した。電池1Aのタブフィルム30には、ポリエチレンナフタレートの両主面に変性ポリプロピレンが積層された3層構造のものを使用した。
【0093】
また、比較例として、超音波処理を行っていないロール状の外装フィルム25を所定サイズに切断して得られる外装フィルム200を用い、同様に電池100A(図1図2及び図4)を形成した。
【0094】
上記のようにして形成された10個の電池1A、及び比較例の10個の電池100Aについてそれぞれ、正極タブ14及び負極タブ15を90°折り曲げた時の短絡の発生の有無を評価した。評価結果を表1に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
表1より、超音波処理を行っていない外装フィルム200を用いた電池100A(表1の「超音波処理なし」)では、10個中、8個で短絡の発生が認められた。これに対し、超音波処理を行った外装フィルム20を用いた電池1A(表1の「超音波処理あり」)では、10個中、短絡の発生が認められたのは0個であった。超音波処理を行った外装フィルム20を用いることで、正極タブ14及び負極タブ15を折り曲げた時の短絡が効果的に抑えられることが確認された。
【0097】
尚、上記の説明では、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する端面20aを有する外装フィルム20又はロール状の外装フィルム25を得る方法として、超音波処理を行う方法を例示した。このほか、超音波処理に代えて、プラズマ処理、コロナ処理、レーザー加工処理、エッチング処理、切削加工処理等の他の処理によって、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する端面20aを有する外装フィルム20又はロール状の外装フィルム25を得ることもできる。
【0098】
また、外装フィルム20又はロール状の外装フィルム25に対する、金属層21を絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置させる処理は、正極タブ14及び負極タブ15を突出させるタブ突出側縁部の端面20aの全体に限らず、タブ突出側縁部の端面20aのうち、正極タブ14及び負極タブ15を突出させる部位のみに行うこともできる。
【0099】
次に、上記のような電池1Aの変形例について述べる。
図13は第1の実施の形態に係る電池の変形例について説明する図である。図13(A)及び図13(B)にはそれぞれ、第1の実施の形態に係る電池の変形例の断面図を模式的に示している。
【0100】
図13(A)に示す電池1Aaは、外装体20Aの外装フィルム20の、正極タブ14及び負極タブ15が突出するタブ突出側縁部の端面20aとは異なる他の縁部の端面20bにおいて、タブ突出側縁部の端面20aと同様に、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成を有する。例えば、電池1Aaは、外装フィルム20の、タブ突出側縁部以外の3辺の縁部の端面20bにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成とされる。
【0101】
この電池1Aaのように、外装フィルム20の、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成は、必ずしもタブ突出側縁部の端面20aのみに設けられることを要しない。外装フィルム20の、少なくともタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成となっていれば、他の縁部の端面20bにおいても同様の構成を採用することもできる。このように他の縁部の端面20bにおいても金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成が採用されることで、その金属層21の、電池1Aaとは異なる他の電池の端子や、電池1Aaが実装される電子デバイスの導電性部位との接触、短絡も抑えられるようになる。
【0102】
また、図13(B)に示す電池1Abは、正極タブ14及び負極タブ15が、外装体20Aの外装フィルム20の対向する縁部からそれぞれ突出するように、即ち、正極タブ14及び負極タブ15の突出方向が反対になるように、設けられた構成を有する。電池1Abでは、外装フィルム20の正極タブ14及び負極タブ15がそれぞれ突出する対向する2辺の縁部に、タブフィルム30が設けられる。外装フィルム20の、正極タブ14が突出する縁部の端面20a1、及び負極タブ15が突出する縁部の端面20a2において、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成が採用される。
【0103】
この電池1Abのように、正極タブ14及び負極タブ15の突出方向は、必ずしも同じ方向であることを要しない。正極タブ14及び負極タブ15の突出方向が反対になる場合でも、正極タブ14及び負極タブ15がそれぞれ突出する2辺の縁部の端面20a1及び端面20a2に対し、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成を採用することができる。このような構成が採用されることで、2辺の縁部の端面20a1及び端面20a2の各々において、正極タブ14及び負極タブ15と金属層21との接触、短絡が抑えられる。
【0104】
尚、ここでは、正極タブ14及び負極タブ15が、外装体20Aの外装フィルム20の対向する縁部からそれぞれ突出する例を示したが、正極タブ14及び負極タブ15を、隣接する縁部からそれぞれ突出するように、即ち、正極タブ14及び負極タブ15の突出方向が交差するように、設けることもできる。
【0105】
以上、第1の実施の形態について説明した。
以上の第1の実施の形態の説明では、外装フィルム20を用いて形成される外装体20Aに収容される電池素子10として、正極層11と負極層12とを1層ずつ含む1層型のものを例示した。このような1層型の電池素子10を備える電池1A,1Aa,1Ab等の厚さは、0.6mm以下とすることができる。電池1A等が備える電池素子10としては、このような1層型のものに限らず、複数の正極層11及び複数の負極層12を含む多層型のものを用いることもできる。また、1層型又は多層型の電池素子10を備える電池1A等において、正極タブ14及び負極タブ15の突出長さ(外装フィルム20の端面20aよりも外側に突出する先端部の長さ)は、5mm以下とすることができる。第1の実施の形態によれば、厚さ0.6mm以下、正極タブ14及び負極タブ15の突出長さ5mm以下といった小型の電池1A等について、正極タブ14及び負極タブ15の、外装フィルム20の金属層21との接触、短絡を効果的に抑えることができる。
【0106】
また、以上の第1の実施の形態の説明では、電池1A等として二酸化マンガンリチウム一次電池を例示したが、上記外装フィルム20は、負極材料に金属リチウム等を用いる各種リチウム一次電池の外装体に利用することができる。例えば、上記外装フィルム20は、正極材料にフッ化黒鉛を用いるフッ化黒鉛リチウム一次電池、正極材料に塩化チオニルを用いる塩化チオニルリチウム一次電池、正極材料に硫化鉄を用いる硫化鉄リチウム一次電池、正極材料に酸化銅を用いる酸化銅リチウム一次電池等の外装体に利用することもできる。このほか、上記外装フィルム20は、負極材料にリチウム等を用い正極材料に二酸化マンガン等を用いるリチウム二次電池、負極材料にグラファイト等を用い正極材料にコバルト酸リチウム等を用いるリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等の外装体に利用することもできる。
【0107】
また、以上の第1の実施の形態の説明では、2枚の外装フィルム20を用いて外装体20Aを形成する場合を例示したが、1枚の外装フィルムで電池素子10を包み、縁部を熱圧着して封止することで外装体を形成することもできる。
【0108】
[第2の実施の形態]
図14は第2の実施の形態に係る電池の例について説明する図である。図14(A)及び図14(B)にはそれぞれ、第2の実施の形態に係る電池の一例の断面図を模式的に示している。
【0109】
例えば、図14(A)に示す電池1Baは、薄形固体電池の一例である。電池1Baは、正極層11B、負極層12B、固体電解質層16B、正極タブ14B及び負極タブ15Bを有する固体電池素子10Bを含む。固体電池素子10Bが、上記第1の実施の形態で述べたような外装フィルム20、即ち、正極タブ14B及び負極タブ15Bが突出するタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する外装フィルム20を用いて形成される外装体20Aに収容される。電池1Baでは、外装フィルム20のタブ突出側縁部に、タブフィルム30が設けられる。
【0110】
電池1Baは、例えば、リチウムイオン二次電池とすることができる。固体電池素子10Bの固体電解質層16Bには、例えば、酸化物系や硫化物系の固体電解質が用いられる。固体電池素子10Bの正極層11Bには、正極活物質を含む正極材料が用いられ、正極材料には、正極活物質のほか、導電助剤、樹脂成分、固体電解質等が含まれてよい。固体電池素子10Bの負極層12Bには、例えば、負極活物質を含む負極材料が用いられ、負極材料には、負極活物質のほか、導電助剤、樹脂成分、固体電解質等が含まれてよい。
【0111】
電池1Baは、その固体電池素子10Bの固体電解質層16Bにポリマー電解質(セパレータ)を用いたものであってもよい。また、電池1Baは、その固体電池素子10Bの負極層12Bに、金属リチウム又はリチウム合金を用いたものや、カーボン材料を用いたものであってもよい。
【0112】
電池1Baでは、外装フィルム20の封止途中で電解液を注入することを要しない。そのため、タブ突出側縁部を除く外装フィルム20の3辺の縁部を熱圧着してからタブ突出側縁部を熱圧着することができるほか、タブ突出側縁部を含む外装フィルム20の4辺の縁部を一括で熱圧着することもできる。尚、この点は、後述する図14(B)の電池1Bbでも同様である。
【0113】
上記のような構成を有する固体電池素子10Bの正極層11B及び負極層12Bにそれぞれ、正極タブ14B及び負極タブ15Bが接続される。固体電池素子10Bは、正極タブ14B及び負極タブ15Bの先端部が突出するように、外装体20Aに収容される。電池1Baにおいて、その外装体20Aの外装フィルム20には、正極タブ14B及び負極タブ15Bが突出するタブ突出側縁部の端面20aにおいて、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置するものが用いられる。これにより、上記第1の実施の形態で述べたのと同様に、正極タブ14B及び負極タブ15Bの双方又は一方が折り曲げられたとしても、それらが外装フィルム20の金属層21と接触することが抑えられる。電池1Baによれば、固体電池素子10Bの正極タブ14B及び負極タブ15Bと、外装フィルム20の金属層21との短絡が、効果的に抑えられる。
【0114】
尚、電池1Baにおいて、外装フィルム20の、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成は、必ずしもタブ突出側縁部の端面20aのみに設けられることを要しない。外装フィルム20の他の縁部の端面20bにおいても同様の構成を採用することができる。
【0115】
また、図14(B)に示す電池1Bbは、正極タブ14B及び負極タブ15Bが、外装体20Aの外装フィルム20の対向する縁部からそれぞれ突出するように、即ち、正極タブ14B及び負極タブ15Bの突出方向が反対になるように、設けられた構成を有する。電池1Bbでは、外装フィルム20の正極タブ14B及び負極タブ15Bがそれぞれ突出する対向する2辺の縁部に、タブフィルム30が設けられる。外装フィルム20の、正極タブ14Bが突出する縁部の端面20a1、及び負極タブ15Bが突出する縁部の端面20a2において、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成が採用される。
【0116】
この電池1Bbのように、正極タブ14B及び負極タブ15Bの突出方向は、必ずしも同じ方向であることを要しない。正極タブ14B及び負極タブ15Bの突出方向が反対になる場合でも、正極タブ14B及び負極タブ15Bがそれぞれ突出する2辺の縁部の端面20a1及び端面20a2に対し、金属層21が絶縁層22及び絶縁層23よりも内側に位置する構成を採用することができる。このような構成が採用されることで、2辺の縁部の端面20a1及び端面20a2の各々において、正極タブ14B及び負極タブ15Bと金属層21との接触、短絡が抑えられる。
【0117】
尚、ここでは、正極タブ14B及び負極タブ15Bが、外装体20Aの外装フィルム20の対向する縁部からそれぞれ突出する例を示したが、正極タブ14B及び負極タブ15Bを、隣接する縁部からそれぞれ突出するように、即ち、正極タブ14B及び負極タブ15Bの突出方向が交差するように、設けることもできる。
【0118】
第2の実施の形態によれば、固体電池素子10Bの正極タブ14B及び負極タブ15Bと、外装フィルム20の金属層21との短絡を抑えることのできる高品質の電池1Ba,1Bbが、大型化及び製造コストの増大を抑えて、安定的に実現される。
【符号の説明】
【0119】
1A,1Aa,1Ab,1Ba,1Bb,100A,100B,100C,100D 電池
10 電池素子
10B 固体電池素子
11,11B 正極層
12,12B 負極層
13 セパレータ
14,14B 正極タブ
15,15B 負極タブ
16B 固体電解質層
20,25,200 外装フィルム
20A,200A 外装体
20a,20b,20a1,20a2,21a,22a,23a,200a 端面
21 金属層
22,23 絶縁層
30,42 タブフィルム
40 タブリード
41 端子リード
50 酸化膜
51 樹脂膜
52 積層膜
210 バリ
300 位置決め治具
400 処理槽
410 処理液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14