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特開2022-114303非常用電源システム及び非常用電源システムの制御基板
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  • 特開-非常用電源システム及び非常用電源システムの制御基板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114303
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】非常用電源システム及び非常用電源システムの制御基板
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20220729BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220729BHJP
   H01M 6/32 20060101ALI20220729BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20220729BHJP
【FI】
H01M10/44 A
H01M10/48 P
H01M6/32 A
H01M2/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010552
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】520415258
【氏名又は名称】株式会社ネイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098198
【弁理士】
【氏名又は名称】旦 武尚
(72)【発明者】
【氏名】山田 胤基
【テーマコード(参考)】
5H025
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5H025AA12
5H025CC16
5H025MM01
5H025MM06
5H030AA10
5H030BB01
5H030BB08
5H030FF42
5H030FF44
5H040AA40
5H040AS01
5H040AS11
(57)【要約】
【課題】
本発明は非常時に使用する非常用電源であって、二次電池を用い、この二次電池の充電をマグネシウム電池が担い、非常用電源としての長時間の使用を担保するものである。
特に二次電池例えばリチウム電池の電圧等を検知し、必要時にマグネシウム電池でリチウム電池の充電を行い、更にこの充電によって二次電池の電源が補充された場合に該マグネシウム電池の発電を中止する非常用電源システムの提供を課題とする。
【解決手段】
リチウム電池を用いた非常用電源システムであって、リチウム電池の電圧が所定の数値まで下がったことを検知すると、マグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を供給し、マグネシウム電池での発電を開始すると共に該マグネシウム電池の発電でリチウム電池を充電する非常用電源システム。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム電池(1)を用いた非常用電源システムであって、
リチウム電池(1)の電圧が所定の数値まで下がったことを検知すると、
マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を供給し、
マグネシウム電池(2)の発電を開始すると共に該マグネシウム電池(2)の発電でリチウム電池(1)を充電することを特徴とする非常用電源システム。
【請求項2】
リチウム電池(1)を用いた非常用電源システムであって、
リチウム電池(1)が所定の合計電流を使用したことを検知すると、
マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を供給し、
マグネシウム電池(2)での発電を開始すると共に該マグネシウム電池(2)の発電でリチウム電池(1)を充電することを特徴とする非常用電源システム。
【請求項3】
リチウム電池(1)を用いた非常用電源システムであって、
リチウム電池(1)の電圧が所定の数値まで下がったことを検知すると共に所定の合計電流を使用したことを検知するものであり、
所定の数値まで電圧が下がったことの検知又は所定の合計電流を使用したことの検知のいずれかを検知した場合にマグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を供給し、
マグネシウム電池(2)での発電を開始すると共に該マグネシウム電池(2)の発電でリチウム電池(1)を充電することを特徴とする非常用電源システム。
【請求項4】
リチウム電池(1)を用いた非常用電源システムであって、
マグネシウム電池(2)での発電を開始してリチウム電池(1)を充電するものであり、
リチウム電池(1)の電圧が所定の数値まで上がったことを検知すると、排出弁(21)が開放され、マグネシウム電池(2)の電解室(20)内の食塩水又は電解液を排水しマグネシウム電池(2)の発電を終了することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項5】
リチウム電池(1)を用いた非常用電源システムであって、
マグネシウム電池(2)での発電を開始してリチウム電池(1)を充電するものであり、
リチウム電池(1)に所定の合計電流を供給したことを検知すると、排出弁(21)が開放され、マグネシウム電池(2)の電解室(20)内の食塩水又は電解液を排水しマグネシウム電池(2)の発電を終了することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項6】
電源を供給するリチウム電池(1)と、
リチウム電池(1)の電圧低下を検知する検知手段と、
該検知手段によりリチウム電池(1)の電圧が所定の電圧に低下したことを検知するとマグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を送るポンプ(4)を有し、
マグネシウム電池(2)の発電によりリチウム電池(1)を充電する充電手段を有することを特徴とする非常用電源システム。
【請求項7】
電源を供給するリチウム電池(1)と、
リチウム電池(1)が所定の合計電流を使用したことを検知する検知手段と、
該検知手段によりリチウム電池(1)が所定の合計電流を使用したことを検知すると、マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を送るポンプ(4)を有し、
マグネシウム電池(2)の発電によりリチウム電池(1)を充電する充電手段を有することを特徴とする非常用電源システム。
【請求項8】
電源を供給するリチウム電池(1)であって、
リチウム電池(1)の電圧低下を検知する検知手段と、
リチウム電池(1)が所定の合計電流を使用したことを検知する検知手段とを有し、
リチウム電池(1)の電圧低下の検知と、リチウム電池(1)の使用合計電流が所定となったことの検知を行い、この両者のいずれかを検知すると、マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を送るポンプ(4)を有し、
マグネシウム電池(2)の発電によりリチウム電池(1)を充電する充電手段を有することを特徴とする非常用電源システム。
【請求項9】
マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を送るポンプ(4)によりマグネシウム電池(2)の発電が開始してリチウム電池(1)を充電する充電手段を有し、
リチウム電池(1)の充電によりリチウム電池(1)の電圧が上がり所定の電圧となったことを検知する検知手段を有し、
該検知手段によって電圧が所定の電圧となったことを検知するとマグネシウム電池(2)の電解室(20)内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項10】
マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を送るポンプ(4)によりマグネシウム電池(2)の発電が開始してリチウム電池(1)を充電する充電手段を有し、
リチウム電池(1)に所定の電流を供給したことを検知する検知手段を有し、
該検知手段によって所定の電流の供給を行ったことを検知するとマグネシウム電池(2)の電解室(20)内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項11】
マグネシウム電池(2)の電解室(20)内に食塩水又は電解液を送るポンプ(4)によりマグネシウム電池(2)の発電が開始してリチウム電池(1)を充電する充電手段を有し、
該充電手段によってリチウム電池(1)の電圧が上がり所定の電圧となったことを検知する検知手段と、リチウム電池(1)に所定の電流を供給したことを検知する検知手段とを有し、
この両者のいずれかを検知すると、マグネシウム電池(2)の電解室(20)内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項12】
マグネシウム電池(2)でのリチウム電池(1)の充電を一定の電圧にて行うことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項13】
リチウム電池がリチウム電池と異なる他の二次電池からなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の非常用電源システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のマグネシウム電池(2)の発電でリチウム電池(1)又は二次電池を充電する非常用電源システムを制御することを特徴とする非常用電源システムの制御基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池であって、特にリチウム電池の電圧が下がった際にマグネシウム電池でリチウム電池の充電を行う非常用電源システム及び非常用電源システムの制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より二次電池としてリチウム電池は多用されている。これはコンパクトにでき、又大容量の電池として使用することができることに基づく。
他方現在では正極活性物質として酸素と、負極活性物質としてマグネシウムを用いて電解液として食塩水又は電解液を用いて発電を行うマグネシウム電池も自然エネルギーを用いる電池として用いられている。
例えばマグネシウム電池として特開2015-46312号や特開2012-15013号、特開2015-46368号特開2014-192157号が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-46312号
【特許文献2】特開2012-15013号
【特許文献3】特開2015-46368号
【特許文献4】特開2014-192157号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の様に、現在マグネシウム電池は自然エネルギーを用いるものであり、将来的に活用の範囲が極めて大きい。
しかし、このマグネシウム電池は一次電池であるが、次の欠点を有する。
即ち負荷がかかると電圧が急激に下がり安定しない。
そのためインバータに入力する際インバータが停止してしまうことがある。
反面無負荷状態に際しては電圧が高すぎてしまう。
インバータへの入力電圧のレンジ幅を大きくすることが難しいことから、コンバータへの入力制限をかけて入力しなければならなかった。
更にマグネシウム電池の弱点として発電までに時間がかかることである。
従って例えば非常用電源の一次電池としてコンピュータ等の瞬時停電対策としては用いることができなかった。
更に家電などの電源投入直後の突入電流に対応できないものであった。
係るために基本電池としてマグネシウム電池を使用するのではなく、基本としてリチウム電池を使用し、このリチウム電池の長所を活用すると共に、更にマグネシウム電池によりリチウム電池の欠点を解消することを図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
係るためにまず、請求項1に係る発明はリチウム電池を用いた非常用電源システムであって、リチウム電池の電圧が所定の数値まで下がったことを検知すると、マグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を供給し、マグネシウム電池での発電を開始すると共に該マグネシウム電池の発電でリチウム電池を充電する非常用電源システムからなり、係る発明によって前記課題を解決できる。
また、請求項2に係る発明はリチウム電池を用いた非常用電源システムであって、リチウム電池が所定の合計電流を使用したことを検知すると、マグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を供給し、マグネシウム電池での発電を開始すると共に該マグネシウム電池の発電でリチウム電池を充電する非常用電源システムであり、係る発明を用いてもよい。
更に請求項3に係る発明はリチウム電池を用いた非常用電源システムであって、リチウム電池の電圧が所定の数値まで下がったことを検知すると共に所定の合計電流を使用したことを検知するものであり、所定の数値まで電圧が下がったことの検知又は所定の合計電流を使用したことの検知のいずれかを検知した場合にマグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を供給し、マグネシウム電池での発電を開始すると共に該マグネシウム電池の発電でリチウム電池を充電する非常用電源システムであり、係る構成を用いてもよい。
【0006】
更に、請求項4に係る発明は、リチウム電池を用いた非常用電源システムであって、マグネシウム電池での発電を開始してリチウム電池を充電するものであり、リチウム電池の電圧が所定の数値まで上がったことを検知すると、排出弁が開放され、マグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排水しマグネシウム電池の発電を終了する非常用電源システムであり、係る発明であってもよい。
更に請求項5に係る発明は、リチウム電池を用いた非常用電源システムであって、マグネシウム電池での発電を開始してリチウム電池を充電するものであり、リチウム電池に所定の合計電流を供給したことを検知すると、排出弁が開放され、マグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排水しマグネシウム電池の発電を終了する非常用電源システムであって、係る発明によっても前記課題を解決できる。
更に請求項6に係る発明のように電源を供給するリチウム電池と、リチウム電池の電圧低下を検知する検知手段と、該検知手段によりリチウム電池の電圧が所定の電圧に低下したことを検知するとマグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を送るポンプを有し、マグネシウム電池の発電によりリチウム電池を充電する充電手段とを有する非常用電源システムを用いてもよい。
或いは、請求項7に係る発明のように電源を供給するリチウム電池と、リチウム電池が所定の合計電流を使用したことを検知する検知手段と、該検知手段によりリチウム電池が所定の合計電流を使用したことを検知すると、マグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を送るポンプを有し、マグネシウム電池の発電によりリチウム電池を充電する充電手段とを有する非常用電源システムでもよい。
更に、請求項8に係る発明のように電源を供給するリチウム電池であって、リチウム電池の電圧低下を検知する検知手段と、リチウム電池が所定の合計電流を使用したことを検知する検知手段とを有し、リチウム電池の電圧低下の検知と、リチウム電池の使用合計電流が所定となったことの検知を行い、この両者のいずれかを検知すると、マグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を送るポンプを有し、マグネシウム電池の発電によりリチウム電池を充電する充電手段とを有する非常用電源システムでもよい。
この他、請求項9に係る発明のようにマグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を送るポンプによりマグネシウム電池の発電が開始してリチウム電池を充電する充電手段を有し、リチウム電池の充電によりリチウム電池の電圧が上がり所定の電圧となったことを検知する検知手段を有し、該検知手段によって電圧が所定の電圧となったことを検知するとマグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有する非常用電源システムでもよい。
又、請求項10に係る発明のようにマグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を送るポンプによりマグネシウム電池の発電が開始してリチウム電池を充電する充電手段を有し、リチウム電池に所定の電流を供給したことを検知する検知手段を有し、該検知手段によって所定の電流の供給を行ったことを検知するとマグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有する非常用電源システムでもよい。
或いは、請求項11に係る発明のようにマグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を送るポンプによりマグネシウム電池の発電が開始してリチウム電池を充電する充電手段を有し、該充電手段によってリチウム電池の電圧が上がり所定の電圧となったことを検知する検知手段と、リチウム電池に所定の電流を供給したことを検知する検知手段とを有し、この両者のいずれかを検知すると、マグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有する非常用電源システムを用いてもよい。
これらの場合請求項12に係る発明のようにマグネシウム電池でのリチウム電池の充電を一定の電圧にて行う非常用電源システムを用いてもよい。
更には請求項13に係る発明のようにリチウム電池がリチウム電池と異なる他の二次電池からなる非常用電源システムを用いてもよい。
これらの場合にあって、請求項14に係る発明のように請求項1乃至13のいずれかに記載のマグネシウム電池の発電でリチウム電池又は二次電池を充電する非常用電源システムを制御する非常用電源システムの制御基板を用いてもよい。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成したことからまず請求項1に係る発明によってリチウム電池を用いた非常用電源について、リチウム電池の電圧低下に対してマグネシウム電池による発電を行い、このマグネシウム電池の充電を行うことができる。
従ってリチウム電池を再充電できることとなり更なるリチウム電池の使用を可能とするものである。
このことよりリチウム電池の長所を活用しつつ、マグネシウム電池の利点を活用してリチウム電池の充電を行えるものであって非常時に長時間活用可能な非常用電源を提供できるシステムを提供するものである。
特にマグネシウム電池に関してはリチウム電池の充電が必要となった場合に、マグネシウム電池の電解室内に食塩水又は電解液を供給することによってマグネシウム電池の発電を開始できるものである。
特にリチウム電池への充電に際してはマグネシウム電池の発電に若干の時間がかかっても、リチウム電池の充電に際してはこのタイムラグは問題となるものではなく、リチウム電池の長時間活用を可能とする画期的な非常用電源システムの提供を行うものである。
【0008】
更に請求項2に係る発明によってリチウム電池が所定の合計電流をしたことを検知した場合には、リチウム電池の該使用量を補充するための充電を開始することができるものであり、リチウム電池の長期間の使用を担保することができるものである。
以上の様な非常用電源システムとしてリチウム電池の長期間の安定使用を確保するための画期的な非常用電源システムの提供を行うことができる。
更に請求項3に係る発明により更にリチウム電池の使用状態を把握するために電圧低下や使用合計電流の検知を行い、いずれかが所定の数値になった場合にリチウム電池の充電を開始するものであって、リチウム電池を長期間安定的に用いることのできる非常用電源システムの提供を可能とするものである。
更に請求項4に係る発明によってマグネシウム電池の充電によるリチウム電池の電圧の回復により、マグネシウム電池での充電の必要がなくなった場合に、マグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出してマグネシウム電池の発電を中止するために排出弁の開放が行えるものである。
従ってリチウム電池の充電が不要となった場合にはマグネシウム電池の発電を終了させることができるものである。
更に請求項5に係る発明により、リチウム電池のマグネシウム電池の充電による所定の合計電流を供給したことを検知すると、マグネシウム電池での充電の必要がなくなることから、マグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出してマグネシウム電池の発電を中止させるために排出弁の開放が行えるものである。
従ってリチウム電池の充電が不要となった場合にはマグネシウム電池の発電を終了させることができるものである。
また請求項6に係る発明によって、リチウム電池の電圧低下を検知する検知手段よって、リチウム電池の電圧低下を検知でき、この検知に基づいてポンプにより食塩水又は電解液を電解室内に送ることができ、マグネシウム電池の発電を開始できるものとなる。
従って、所定時にリチウム電池をマグネシウム電池で充電できる非常用電源システムの提供を可能とするものである。
更に請求項7に係る発明により、同様に電圧低下ではなくリチウム電池の合計使用電流に基づいてマグネシウム電池での充電を行うものとしても使用できる非常用電源システムの提供を可能とするものである。
更に請求項8に係る発明によって、電圧低下の検知手段と、所定の合計電流の使用検知手段を有し、いずれかが所定の数値となった場合にマグネシウム電池の発電のためのポンプの作動を開始し、マグネシウム電池でのリチウム電池の充電を開始できる非常用電源システムの提供を可能とするものである。
また請求項9に係る発明によってマグネシウム電池によってリチウム電池が充電され、リチウム電池が所定の電圧に上がった場合にマグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有するものであり、マグネシウム電池の発電を中止することのできる非常用電源システムの提供を可能とするものである。
【0009】
更に請求項10に係る発明によって電圧低下ではなく、所定の合計電流をリチウム電池に供給したことを検知することによって、マグネシウム電池での充電の必要がなくなることから、マグネシウム電池の電解室内の食塩水又は電解液を排出してマグネシウム電池の発電を中止させるために排出手段を有する非常用電源システムの提供を可能とするものである。
また請求項11に係る発明によって、マグネシウム電池によってリチウム電池が充電された場合に、電圧が上がって所定電圧となったかどうかの検知手段と、所定の合計電流を供給したことを検知する検知手段を有し、いずれかによってリチウム電池の回復を検知し、マグネシウム電池の発電を中止できる排出手段を有するものであり、リチウム電池の回復によりマグネシウム電池の発電の中止ができる非常用電源システムの提供を可能とするものである。
更に請求項12に係る発明によって、リチウム電池の充電を一定電圧で行えることができる。
また請求項13に係る発明によって、リチウム電池と異なる他の二次電池を用いることもでき、各種二次電池を用いた非常用電源システムの提供を可能とするものである。
また請求項14に係る発明により、以上のような非常用電源システムを用いることのできる制御基板を提供するものであり、上記各システムを使用できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る非常用電源システムを用いた非常用電源の一例を示す図。
図2】本発明に係る非常用電源システムを用いたマグネシウム電池の一例を示す図。
図3】本発明に係る非常用電源システムの回路の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は非常用電源システムの一例を示す図であり、基本はリチウム電池1からなる非常用電源システムであるが、マグネシウム電池2とリチウム電池1の双方の電池を有するハイブリッドタイプの非常用電源システムである。
まず通常はリチウム電池1によってインバータ3を介して電力を供給する。
この場合このリチウム電池1の電圧・電流を常に確認して、このリチウム電池1の電圧が所定の電圧に下がったことを検出する検知手段を有しており、この検知手段によってリチウム電池1の電圧が所定の数値まで下がったことを検知すると、マグネシウム電池2の電解液である食塩水又は電解液をポンプ4によって作動させて電解室20内に送り込む。
電解室20内には正極活性物質として酸素と、負極活性物質としてマグネシウムがあることから食塩水注入によって発電が始まる。
この発電によってリチウム電池を充電する。
尚、電解室への食塩水又は電解液の注入が行われるが、水位計5を有しており、電解室20内の所定の水位まで注水された場合にはポンプ4を停止して注水を中止する。
以上のように構成することから該マグネシウム電池2の発電がおこなわれ、リチウム電池1を充電するものであつてマグネシウム電池2によりリチウム電池1を充電する充電手段を有するものである。
従ってリチウム電池1はマグネシウム電池2によって充電され、フル充電或いは所定の充電状態に戻すことができる。
更にこのフル充電等を検知した場合に電解室20内の食塩水を排出する。
これは、リチウム電池1の電圧が所定の数値まで上がったことを検知する検知手段を有しており、この検知手段でリチウム電池1が所定の電圧を回復したことを検知し、この検知によってマグネシウム電池2の電解室20内の食塩水を排出・排水する排出手段が作動して食塩水を電解室20内から外部に排出することとなる。
例えば排出弁21の開放により電解室20内の食塩水或いは他の電解液を電解室20内から外部に排出する。
従ってこの排出によりマグネシウム電池2の発電は止まることとなる。
以上のようにリチウム電池1の電圧低下を検知した場合にマグネシウム電池2によってリチウム電池1の充電を行い、安定的に電力の供給を行うものである。
【0012】
本図に示す構成は、リチウム電池1の電圧・電流の低下を検知した場合にはポンプ4を作動させ、タンク6内の食塩水を電解室20内に送り込み、この送り込みによって発電が開始される。
このポンプ4はリチウム電池1から電力を得て作動する。
尚、もとよりポンプ4の作動はリチウム電池1からの供給するものの他、別電源から給電するものであってもよい。
本図では排水トレー22内に食塩水をポンプで送り込むことによって、電解室20内にも食塩水が充填され、マグネシウム電池2によって発電が開始される。
この発電によってリチウム電池1が充電されることとなる。
この電解室20内の食塩水はリチウム電池1のフル充電を検知した場合には排水トレー22にある排水弁21が開き、排水トレー22とこれと連通している電解室20内の食塩水が排出される。
この排出によってタンク6内に食塩水が戻されることとなる。
従って食塩水は通常はタンク6内に入れておき、リチウム電池1を充電させる必要が出た場合に電解室20内に送られ、マグネシウム電池2を作動させ、リチウム電池1のフル充電によって、マグネシウム電池1の発電を止めるために食塩水が排出され、更にその食塩水はタンク6内に戻るものとなる。
尚、リチウム電池1はインバータ3を介して各種家庭用電源として送られることとなる。
【0013】
本図のマグネシウム電池2の構成は一例であり、この構成に限るものではない。
例えば電解室20内にタンク6からポンプ4を用いて食塩水を送り込み、あふれた食塩水は排水トレー22に送られる。
マグネシウム電池2での発電を中止する際には、電解室20内の食塩水を排水トレー22に流したのち排水弁21で排出する。
排水トレー22の食塩水は排水弁21を介してタンク6に戻される。
このように構成しても食塩水の循環を行うことができ、マグネシウム電池2の発電を行い、また発電を中止することを必要に応じて交互に行うことができる。
尚、電解室20内へのポンプ4により食塩水又は電解液の供給は、リチウム電池1の電圧低下のほか、例えば予定した合計電流の使用を検知する検知手段を有し、この合計電流に達したことを検知した場合に電解室20内へポンプ4による食塩水又は電解液の供給を行うものであってもよい。
この場合に合計電流は、リチウム電池1が充電された場合にはリセットされ、再度新たに合計電流の使用を検知するものである。
更にリチウム電池1の電圧が所定の数値まで上がったことを検知する検知手段と、リチウム電池1の使用した合計電流を検知する検知手段とを双方有し、いずれかが検知された場合に電解室20内へのポンプ4による食塩水又は電解液の供給を行うものであってもよい。
次にマグネシウム電池2によるリチウム電池1への充電が開始された場合に、リチウム電池1の電圧の回復が行われた場合には、マグネシウム電池2の電解室20内の食塩水又は電解液を排出してマグネシウム電池2の発電を終了させるものである。
従ってリチウム電池1の電圧が上がって所定の電圧となったことを検知する検知手段を有しており、この検知によりマグネシウム電池2の電解室20内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有するものである。
この場合リチウム電池1の電圧の回復はあらかじめ定めた電圧に回復したことを検知するものであり、フル充電に限らず予定した所定の電圧を回復したことを検知するものであってももちろんよい。
更に、これに限らず、あらかじめ定めた電流をマグネシウム電池2からリチウム電池1へ充電されたことを検知するものであってもよく、所定の電流がリチウム電池1に流れたことを検知してリチウム電池1が回復したものとしてマグネシウム電池2の電解室20内の食塩水又は電解液を排出してマグネシウム電池2の発電を終了させるものであってもよい。
即ちリチウム電池1に所定の電流を供給したことを検知する検知手段を有して、この検知によりマグネシウム電池2の電解室20内の食塩水又は電解液を排出する排出手段を有するものであってもよい。
リチウム電池1への電流の供給は所定の電流の供給を行ったことを検知するものであればよい。
或いはこの双方の検知手段を有し、いずれかの状態を検知した場合にマグネシウム電池2の電解室20内の食塩水又は電解液を排出してマグネシウム電池2の発電を終了させるものであってもよい。
尚、非常用電源としてリチウム電池1を明示するが、もとよりリチウム電池1に限らず二次電池を用いたものであればよい。
現状してはリチウム電池1が最適ではあるが、鉛蓄電池やニッケル電池などその他ナトリウム硫黄電池等のいわゆる充電式電池等からなる各種二次電池を用いるものであってももちろんよい。
【0014】
図2は、マグネシウム電池2の他の一例を示す図である。
電解室20としてセル25を有している。
このセル25内の負極材は、主としてマグネシウム電極からなる。
これに対して正極板は、主としてカーボンからなる。
もとよりこれは一例であり、他のマグネシウム電池を用いてもよい。
このセル25内に食塩水又は電解液が満たされるが過剰の食塩水又は電解液はオバーフローを介して排水トレー22に送られる。
電解室20内に食塩水又は電解液が送られるとマグネシウム電池2の発電が開始する。
リチウム電池1の充電が所定量に達した場合例えばフル充電或いは所定の電圧に達したことを検知した場合には電解室20内の食塩水又は電解液を排出する。
電解室20から排出された食塩水又は電解液は排水トレー22に送られ、更に排水・給水タンク6に送られる。
排水・給水タンク6内の食塩水又は電解液は、マグネシウム電池2の発電を必要とする際にポンプ4によって、又セル25からなる電解室20内に送られる。
従って、リチウム電池1の電圧・電流低下を検知するとマグネシウム電池2によってリチウム電池1の充電を行ういわゆるリチウム電池1とマグネシウム電池2を用いたハイブリッドの電池となる。
更にリチウム電池1の充電が完了した場合例えば所定の電圧を有することを検知した場合や所定の伝量を供給したことを検知した場合には電解室20内の食塩水又は電解液を排水・給水タンク6内に戻すこととなり、マグネシウム電池2の発電を停止することとなる。
尚、リチウム電池1による通常の給電はマグネシウム電池2での充電の有無にかかわらず給電するものでよい。
【0015】
図3は、本発明に係る非常用電源システムの回路の一例を示す図である。
まず商用電源から充電器71を介して制御基板につながる。
更に本電源システムと商用電源はリレー72を介して各種家電などに電力を供給する。
このリレー72は、本電源システムからの電力をインバータ73を介して各種家電などに供給する。
即ち本電源システムのリチウム電池80からの電力供給と商用電源からの電力供給を切り分けられる。
このことは通常時は商用電源によって電力を供給でき、非常時には本非常用電源システムのリチウム電池80から電源を供給できるものとなる。
更に制御基板74でマグネシウム電池90からの電力とリチウム電池80とが制御されていると共にコントロールボックス75でコントロールできる。
【0016】
即ち通常は、リチウム電池80からDC/ACインバータ73を介して電力を供給する。
本図では明示していないが、リチウム電池80の電圧・電流は常に検知しており、例えばフル充電時の電圧が下がり50%程度に落ちた場合を検出する。
この検出に基づいてポンプ78を作動させ、食塩水を電解室内に送り込む。
これによってマグネシウム電池90による発電が開始される。
マグネシウム電池90での発電によって、充電用のDC/ACコンバータ76を介してリチウム電池80に充電が開始される。
或いはリチウム電池80が所定の合計電流を使用したことを検知する検知手段を有するものであってもよい。
予めリチウム電池80の供給した合計電流を検知し、所定量の電流を使用したことを検知して、ポンプ78を作動させるものでもよい。
或いは双方を検知していずれかを検知した場合にポンプ78を作動させるものでもよい。
尚、合計電流の検知に際しては、一旦リチウム電池80を充電させた場合にはリセットして新たに合計電流の数値を検知するものである。

以上のようにマグネシウム電池90を作動させてリチウム電池80を充電するが、この充電によってリチウム電池80の電圧が徐々に戻り、フル充電或いは所定の電圧にもどったことを検知すると、今度は排水弁77が作動し、電解室内の食塩水を排水する。
尚、ポンプ78と排水弁77は制御基板79によって制御されている。
本図では制御基板74と制御基板79とにより二か所の制御基板で制御しているが、もとより一つの制御基板を用いて制御するものや2つ以上の制御基板を用いて制御するものであってももちろんよい。
尚、制御内容として、リチウム電池80に所定の合計電流が供給されたことを検知することによって排水弁77が作動するものであってもよい。
或いは双方の検知手段を有していずれかを検知とした場合に排水弁77が作動するものであってもよい。
この電解室内の食塩水又は電解液の排水によってマグネシウム電池90での発電が中止され、リチウム電池80への充電が終了する。
以上のように基本的には非常時の電源としてリチウム電池80を用いるが、このリチウム電池80の電圧・電流を検知して例えば充電量が50%程度や所定量となった場合の電圧を検知すると、マグネシウム電池90の発電のための食塩水をマグネシウム電池90の電解室内に送り込み、マグネシウム電池90での発電を開始し、リチウム電池80の充電を行う。
従ってリチウム電池80を使用していても充電量の低下を検知し、所定の量となった場合にはマグネシウム電池90での充電を行う。
またリチウム電池80の充電が完了したことを検知した場合には、マグネシウム電池90の発電を中止する。
これによりリチウム電池80での電力供給を長時間安定的に供給でき、例えば災害時の非常用電源として短時間ではなく長時間安定的に稼働できる電源を提供できるものである。
【符号の説明】
【0017】
1 リチウム電池
2 マグネシウム電池
20 電解室
21 排水弁
22 排水トレー
25 セル
3 インバータ
4 ポンプ
5 水位計
6 排水・給水タンク
71 充電器
72 リレー
73 インバータ
74 制御基板
75 コントロールボックス
76 コンバータ
77 排水弁
78 ポンプ
79 制御基板
80 リチウム電池
90 マグネシウム電池
図1
図2
図3