(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114310
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】乗客コンベア確認システムおよび乗客コンベア確認方法
(51)【国際特許分類】
B66B 31/00 20060101AFI20220729BHJP
B66B 23/12 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
B66B31/00 D
B66B23/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010561
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三之宮 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 才明
(72)【発明者】
【氏名】東田 一夫
(72)【発明者】
【氏名】城賀本 光弘
(72)【発明者】
【氏名】國信 脩平
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 崇
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA02
3F321CB26
3F321EA15
3F321EB07
(57)【要約】
【課題】乗客コンベアにおいてステップをチェーンに固定するためのボルトが適切に取り付けられているかを確認し得る乗客コンベア確認システムを提供する。
【解決手段】一の面が所定の色に着色された折り曲げ部を備えるワッシャが取り付けられてボルトが締められ、一の面が現れるように折り曲げ部が折り曲げられる作業が行われた場合、撮影端末により各ボルトが撮影された画像から、各ボルトについて所定の色を検出する検出部と、検出部による検出の結果に基づいて、各ボルトが適切に取り付けられているか否かを判定する判定部と、判定部により判定された結果を出力する出力部と、を設けるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動するチェーンに連結可能な複数のステップを備える乗客コンベアにおいて、各ステップを前記チェーンに固定する各ボルトの締結状態を確認可能な乗客コンベア確認システムであって、
一の面が所定の色に着色された折り曲げ部を備えるワッシャが取り付けられてボルトが締められ、前記一の面が現れるように前記折り曲げ部が折り曲げられる作業が行われた場合、撮影端末により前記各ボルトが撮影された画像から、前記各ボルトについて前記所定の色を検出する検出部と、
前記検出部による検出の結果に基づいて、前記各ボルトが適切に取り付けられているか否かを判定する判定部と、
前記判定部により判定された結果を出力する出力部と、
を備える乗客コンベア確認システム。
【請求項2】
ボルトに対して前記撮影端末を一定の距離に案内し、かつ、前記撮影端末が前記ボルトに正対するように案内可能なガイドを、前記撮影端末により取得された画像に重ねて表示装置に表示するガイド部を備える、
請求項1に記載の乗客コンベア確認システム。
【請求項3】
前記ステップの踏板にデマケーションラインが設けられ、
前記検出部は、前記各ステップが循環移動しているときに前記撮影端末で取得された映像において、予め定められた範囲にステップの前記デマケーションラインが表示されなくなったとき、前記ステップの次のステップを検出する、
請求項1に記載の乗客コンベア確認システム。
【請求項4】
前記各ボルトについて、前記検出部により検出された前記所定の色の面積を求め、求めた面積を記憶装置に記憶する面積測定部を備え、
前記判定部は、取り付けおよび取り外しが計画されていないステップのボルトについて前記面積測定部により今回求められた面積と、前記ボルトについて前記面積測定部により前回求められた面積とに基づいて、前記ボルトに緩みがあるか否かを判定する、
請求項1に記載の乗客コンベア確認システム。
【請求項5】
前記各ボルトについて、前記検出部により検出された前記所定の色の面積を求め、求めた面積を記憶装置に記憶する面積測定部を備え、
前記判定部は、ステップのボルトについて前記面積測定部により今回求められた面積と、前記ボルトについて前記面積測定部により前回求められた面積とに基づいて、前記ステップの取り付けおよび取り外しが行われたか否かを判定する、
請求項1に記載の乗客コンベア確認システム。
【請求項6】
前記所定の色は、赤色である、
請求項1に記載の乗客コンベア確認システム。
【請求項7】
循環移動するチェーンに連結可能な複数のステップを備える乗客コンベアにおいて、各ステップを前記チェーンに固定する各ボルトの締結状態を確認するための乗客コンベア確認方法であって、
一の面が所定の色に着色された折り曲げ部を備えるワッシャが取り付けられてボルトが締められ、前記一の面が現れるように前記折り曲げ部が折り曲げられる作業が行われることにより、検出部が、撮影端末により前記各ボルトが撮影された画像から、前記各ボルトについて前記所定の色を検出することと、
判定部が、前記検出部による検出の結果に基づいて、前記各ボルトが適切に取り付けられているか否かを判定することと、
出力部が、適切に取り付けられていないと前記判定部により判定されたボルトを視認可能な位置まで前記複数のステップを循環移動するように前記乗客コンベアに指示することと、
を含む乗客コンベア確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、乗客コンベアにおいてステップをチェーンに固定するボルトを確認する作業を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、建築構造物に設置される枠体と、この枠体内に設けられて循環移動する無端状に連結された複数のステップと、を備えている。複数のステップには、無端状のチェーンが連結されており、このチェーンが回転駆動することで、複数のステップが枠体に設置されたレールに沿って循環移動する。この循環移動によって、乗客コンベアは、ステップ上の乗客を一方の乗降口から他方の乗降口へと輸送する。複数のステップは、無端状のチェーンに複数のボルト(以下、ステップ固定ボルト)により連結されている。ステップ固定ボルトには、1面のみ赤色で塗装され、かつ3枚の舌を備えた舌付きワッシャ(以下、赤ワッシャ)が挿入されている。
【0003】
このような構成の乗客コンベアにおいて、上記枠体内の保守点検作業およびステップ交換時には、ステップ固定ボルトの脱着によりステップの取り外しと取り付けとが行われる。従来、ステップの取り付け時には、ステップ固定ボルトの締結状態の確認作業を行う。作業者は、ステップ固定ボルトを締結工具により規定トルクで締め付けた後、挿入された赤ワッシャが備える3枚の舌の内の一枚を垂直に折り曲げることで、1面のみ塗装された赤色を表示する。この赤ワッシャの折り曲げによる赤色表示を目視確認し、かつ作業責任者と二重確認する。その後、作業責任者は、上記赤ワッシャの折り曲げによる赤色表示を、乗客コンベアを運転させた状態で全てのステップにおいて目視確認を行い、ステップ固定ボルトの締結状態を確認することで、ステップ固定ボルトの締結状態の確認作業を完了する。作業責任者は、上述の確認作業の都度、チェックシートに確認結果を入力する。
【0004】
近年、マーカ付トルクレンチにより締め付けられた複数本のボルト等のねじの締め忘れを防止するねじ締め忘れ防止装置が開示されている(特許文献1参照)。ねじ締め忘れ防止装置では、複数のねじ部材を撮影手段で撮影し、ねじ部材の頭部に付されたマークを撮影手段で撮影した画像を二値化処理して得られたマークの総面積を求め、マークの重心位置を演算し、予め登録している撮影範囲内の全てのねじ部材の重心とを比較して全てのねじ部材が締め付けられているか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、ねじ部材の頭部に付されたマークを撮影手段で撮影する必要がある。しかしながら、乗客コンベアのステップの構造上、ステップ固定ボルトの頭部を撮影することができないため、特許文献1に記載された技術では、ステップ固定ボルトの締結状態を確認することができない。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、乗客コンベアにおいてステップをチェーンに固定するためのボルトが適切に取り付けられているかを確認し得る乗客コンベア確認システム等を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明においては、循環移動するチェーンに連結可能な複数のステップを備える乗客コンベアにおいて、各ステップを前記チェーンに固定する各ボルトの締結状態を確認可能な乗客コンベア確認システムであって、一の面が所定の色に着色された折り曲げ部を備えるワッシャが取り付けられてボルトが締められ、前記一の面が現れるように前記折り曲げ部が折り曲げられる作業が行われた場合、撮影端末により前記各ボルトが撮影された画像から、前記各ボルトについて前記所定の色を検出する検出部と、前記検出部による検出の結果に基づいて、前記各ボルトが適切に取り付けられているか否かを判定する判定部と、前記判定部により判定された結果を出力する出力部と、を設けるようにした。
【0009】
上記構成では、例えば、取り付けが行われたステップのボルトについて、所定の色を検出できた場合、ボルトが適切に取り付けられていると判定された結果が出力され、所定の色を検出できなかった場合、ボルトが適切に取り付けられていないと判定された結果が出力される。上記構成によれば、例えば、作業責任者は、取り付けが行われたステップのボルトの締結状態の確認を正確かつ容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ステップをチェーンに固定するためのボルトが適切に取り付けられているかを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施の形態による乗客コンベア確認システムに係る構成の一例を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態によるステップの概略構成を示す図である。
【
図3】第1の実施の形態によるステップの連結部の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施の形態によるステップの連結部の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施の形態による赤ワッシャの一例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態による撮影端末に係るハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態による撮影端末の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】第1の実施の形態による確認処理の一例を示す図である。
【
図9】第1の実施の形態による確認処理の一例を示す図である。
【
図10】第1の実施の形態によるガイドの一例を示す図である。
【
図11】第1の実施の形態によるボルト抽出画像の自動抽出方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(I)第1の実施の形態
以下、本発明の一実施の形態を詳述する。ただし、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施の形態の乗客コンベア確認システムは、乗客コンベアのステップ固定ボルトの締結状態の確認作業を支援する。例えば、乗客コンベア確認システムは、運転状態の乗客コンベアのステップを撮影し、撮影したステップの映像からステップ固定ボルトが写っている静止画像を抽出し、抽出した静止画像から赤ワッシャの折り曲げによる赤色を検出し、検出した結果に基づいてステップ固定ボルトの締結状態を判定し、静止画像とステップ固定ボルトの締結状態の判定結果とを蓄積する。
【0014】
上記構成によれば、乗客コンベアのステップ固定ボルトの締結状態の確認を正確かつ容易に行うことができる。
【0015】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数または順序を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は、文脈毎に用いられ、1つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0016】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は、単数でも複数でも構わない。
【0017】
なお、以下の説明では、図面において同一要素については、同じ番号を付し、説明を適宜省略する。また、同種の要素を区別しないで説明する場合には、枝番を含む参照符号のうちの共通部分(枝番を除く部分)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、枝番を含む参照符号を使用することがある。例えば、ステップ固定ボルトを特に区別しないで説明する場合には、「ステップ固定ボルト303」と記載し、個々のステップ固定ボルトを区別して説明する場合には、「ステップ固定ボルト303-1」、「ステップ固定ボルト303-2」のように記載することがある。
【0018】
図1は、乗客コンベア確認システム100に係る構成の一例を示す図である。乗客コンベア確認システム100は、エスカレーター、動く歩道等の乗客コンベアのステップを固定するステップ固定ボルトの締結状態の確認作業を支援するシステムである。より具体的には、乗客コンベア確認システム100は、ステップ固定ボルトと共に挿入された赤ワッシャの折り曲げを映像から自動検出し、ステップ固定ボルトの締結状態の良否判定を行うシステムである。以下では、乗客コンベアとして、エスカレーター101を例に挙げて説明する。
【0019】
エスカレーター101は、図示しない建築構造物に設置された枠体102と、制御盤103と、欄干部104と、ステップ105と、レール106と、ハンドレール107と、駆動機構108と、伝達チェーン109と、ドライビングチェーン110と、ハンドレール駆動装置111と、駆動スプロケット112と、従動スプロケット113と、を備えている。なお、以下の説明では、水平方向をx軸、ステップ105の幅方向をy軸、鉛直方向をz軸とする座標系を用いることがある。
【0020】
枠体102における上階床側114には、制御盤103、駆動機構108、および駆動スプロケット112が配置されている。下階床側115には、従動スプロケット113が配置されている。
【0021】
駆動機構108は、電動機および減速機により構成されている。電動機には、制御盤103から電力が供給され、電動機は、制御盤103によりその動作が制御される。電動機と減速機とには、ベルト部材116が巻き掛けられ、電動機の回転力は、ベルト部材116を介して減速機に伝達される。
【0022】
減速機と駆動スプロケット112とには、伝達チェーン109が巻き掛けられている。駆動機構108の駆動力が伝達チェーン109を介して駆動スプロケット112に伝達され、駆動スプロケット112が回転する。
【0023】
駆動スプロケット112と従動スプロケット113とには、1対のドライビングチェーン110が巻き掛けられている。駆動スプロケット112が回転することで、従動スプロケット113およびドライビングチェーン110が回転する。
【0024】
また、駆動スプロケット112には、ハンドレール駆動チェーン117が巻き掛けられている。ハンドレール駆動チェーン117は、複数の伝達プーリ118に巻き掛けられると共に、ハンドレール駆動装置111に巻き掛けられている。
【0025】
枠体102の幅方向には、1対のレール106が配置され、複数のステップ105は、この1対のレール106に移動可能に支持される。また、複数のステップ105は、1対のドライビングチェーン110を介して無端状に連結され、レール106に案内されて往路側と復路側とを循環移動する。
【0026】
欄干部104は、枠体102の上部に支持されており、枠体102の幅方向の両側に配置されている。欄干部104には、無端状のハンドレール107が取り付けられている。ハンドレール107は、欄干部104に移動可能に支持され、ハンドレール駆動装置111によって、複数のステップ105と同一方向に同期して循環移動する。これにより、エスカレーター101では、ステップ105上に乗ってハンドレール107を把持している乗客を安全に搬送できる。
【0027】
また、エスカレーター101は、乗降板119を備えている。乗降板119は、乗降口において、建物内からステップ105に向かって設けられる。乗降板119は、上階床側114(床面内に位置する機械室)の蓋であるとともに、乗客用の通路となる。ただし、
図1では、ステップ105の取り外しおよび取り付けの作業のために乗降板119が取り外されている例が示されている。
【0028】
乗客コンベア確認システム100は、撮影端末120を備える。撮影端末120は、ステップ105のステップ固定ボルトと一定の距離で正対するように設置されている固定治具121に、確認作業時に設置される。なお、撮影端末120は、常時、固定治具121に取り付けられていてもよい。つまり、撮影端末120については、作業者または作業責任者が確認作業の都度、運搬する可搬式としてもよいし、枠体102に固定する常設式としてもよい。また、固定治具121に代えて、ステップ105のステップ固定ボルトと一定の距離で正対するように設置可能な位置にマークが設けられていてもよい。また、撮影端末120の設置場所は、ステップ105のステップ固定ボルトを撮影可能な任意の場所であり、機械室の内部に限らない。また、固定治具121は、三脚のような台であってもよい。
【0029】
次に、ステップ105の構造について具体的に説明する。
【0030】
図2は、ステップ105の概略構成を示す図である。ステップ105は、骨格となるフレーム201と、乗客が乗る踏板202とを備える。踏板202は、フレーム201の上部に固定されている。踏板202の前後左右の端部には、黄色等に着色されたデマケーション203が設けられている。デマケーション203により、乗客がステップ105の中央付近に乗るよう案内する。なお、デマケーション203の態様は、
図2に示す態様に限らない。例えば、踏板202の後(ライザー側)のデマケーション203が設けられていなくてもよいし、踏板202の前後のデマケーション203が設けられていなくてもよい。
【0031】
図3および
図4は、ステップ105の連結部の一例を示す図である。
図3および
図4に示すように、ステップ105は、フレーム201に備えられた図示しない孔を介して、ドライビングチェーン110と連結されている前輪軸301の両端部付近に回動自在に外嵌されたカラー302に、複数のステップ固定ボルト303(例えば、第1のステップ固定ボルト303-1および第2のステップ固定ボルト303-2)で締結される。ステップ固定ボルト303とフレーム201との間には、赤ワッシャ304が挿入される。
【0032】
次に、赤ワッシャ304について具体的に説明する。
【0033】
図5は、赤ワッシャ304の一例を示す図である。第1の態様510は、ステップ固定ボルト303の締結完了前の赤ワッシャ304を示している。第1の態様510では、赤ワッシャ304が備える3枚の舌は、x方向およびy方向に平行な状態(水平)となり、表面は、金属色である。これに対し、第2の態様520は、ステップ固定ボルト303の締結完了後の赤ワッシャ304を示している。作業者は、赤ワッシャ304が備える3枚の舌の内、一枚をz方向に平行な向き(垂直)に折り曲げることで、赤ワッシャ304の裏面に塗装された赤色521を表示する。なお、折り曲げられる舌は、作業者が最も視認し易い舌であることが好ましい。
【0034】
ここで、ステップ固定ボルト303とフレーム201とに挿入されるワッシャは、赤ワッシャ304に限定しない。例えば、ワッシャの裏面は、所定の色(例えば、緑色等、ステップ105の構成部品にない色)であってもよい。また、例えば、ワッシャの舌(折り曲げ部)の数は、3枚に限らず、1枚であてもよいし、2枚以上であってもよい。
【0035】
乗客コンベア確認システム100は、撮影端末120により、赤ワッシャ304の赤色521を検出し、締結状態の良否判定を行う。次に、撮影端末120に係る構成について
図6および
図7を用いて説明する。
【0036】
図6は、撮影端末120に係るハードウェア構成の一例を示す図である。
図6に示すように、乗客コンベア確認システム100は、撮影端末120と、記憶装置610とを備える。撮影端末120と、記憶装置610とは、ネットワーク620を介して通信可能に接続されている。
【0037】
撮影端末120は、撮像機能と情報処理機能とを備える、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等であってもよいし、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の撮像手段と、プロセッサ等の情報処理手段と、を組合わせて実現してもよい。
【0038】
例えば、撮影端末120は、プロセッサ601と、主記憶装置602と、補助記憶装置603と、入力装置604と、出力装置605と、通信装置606と、撮像装置607とを備える。
【0039】
プロセッサ601は、演算処理を行う装置である。プロセッサ601は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等である。
【0040】
主記憶装置602は、プログラム、データ等を記憶する装置である。主記憶装置602は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等である。ROMは、SRAM(Static Random Access Memory)、NVRAM(Non Volatile RAM)、マスクROM(Mask Read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)等である。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。
【0041】
補助記憶装置603は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、SSD(Solid State Drive)、光学式記憶装置等である。光学式記憶装置は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等である。補助記憶装置603に格納されているプログラム、データ等は、主記憶装置602に随時読み込まれる。
【0042】
入力装置604は、ユーザから情報を受付けるユーザインターフェースである。入力装置604は、例えば、キーボード、マウス、カードリーダ、タッチパネル等である。
【0043】
出力装置605は、各種の情報を出力(表示出力、音声出力、印字出力等)するユーザインターフェースである。出力装置605は、例えば、各種情報を可視化する表示装置、音声出力装置(スピーカ)、印字装置等である。表示装置は、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等である。
【0044】
通信装置606は、通信媒体を介して他の装置と通信する通信インターフェースである。通信装置606は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、シリアル通信モジュール等である。通信装置606は、通信可能に接続する他の装置から情報を受信する入力装置として機能することもできる。また、通信装置606は、通信可能に接続する他の装置に情報を送信する出力装置として機能することもできる。
【0045】
撮像装置607は、撮像レンズ、撮像素子等を備え、撮像レンズにより結像する光学像を撮像素子により電気信号に変換する装置である。撮像装置607は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等で構成されている。
【0046】
記憶装置610は、データを記憶するHDD、SSD等である。なお、記憶装置610は、撮影端末120に含まれていてもよいし、ネットワーク620を介することなく撮影端末120に接続されていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0047】
図7は、撮影端末120の機能構成の一例を示す図である。撮影端末120は、撮像部710と、前処理部720と、後処理部730とを備える。
【0048】
撮像部710は、撮像装置607における撮像に係る処理を行って映像711を取得する。
【0049】
前処理部720は、検出部721と面積測定部722とを備える。検出部721は、映像711に対して画像処理を行って静止画像723を取得し、静止画像723からステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724を抽出する。また、検出部721は、抽出したボルト抽出画像724から赤ワッシャ304の赤色521を抽出(検出)する。面積測定部722は、検出部721により検出された赤色521の面積(以下、赤色面積)を求める。
【0050】
後処理部730は、判定部731と、出力部732と、ガイド部733とを備える。判定部731は、ステップ固定ボルト303の締結状態の良否判定を行う。例えば、判定部731は、検出部721により赤色521が検出されたステップ固定ボルト303については、適切に取り付けられている(合格)と判定し、検出部721により赤色521が検出されなかったステップ固定ボルト303については、適切に取り付けられていない(不合格)と判定する。出力部732は、出力装置605、記憶装置610が備える保全DB740等に判定部731による判定の結果を出力する。また、出力部732は、適切に取り付けられていないと判定部731により判定されたステップ固定ボルト303を視認可能な位置までステップ105を循環移動するようにエスカレーター101(制御盤103)に指示する。ガイド部733は、ステップ固定ボルト303に対して撮影端末120を一定の距離に案内し、かつ、撮影端末120がステップ固定ボルト303に正対するように案内可能なガイドを、撮影端末120により取得された画像に重ねて出力装置605に表示する。
【0051】
撮影端末120の機能(撮像部710、前処理部720、後処理部730等)は、例えば、プロセッサ601が補助記憶装置603に格納されたプログラムを主記憶装置602に読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。なお、撮影端末120の1つの機能は、複数の機能に分けられていてもよいし、複数の機能は、1つの機能にまとめられていてもよい。また、撮影端末120の機能の一部は、別の機能として設けられてもよいし、他の機能に含められていてもよい。また、撮影端末120の機能の一部は、撮影端末120と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0052】
記憶装置610は、保全DB740を備える。保全DB740は、確認作業の計画を示す情報(作業計画情報)、前処理部720により抽出されたボルト抽出画像724、後処理部730により良否判定された結果等を記憶する。
【0053】
次に、乗客コンベア確認システム100における確認処理について説明する。
【0054】
【0055】
S801では、撮影端末120は、保全DB740から、今回の確認作業の計画を示す情報(作業計画情報)と、確認作業を前回実施したときの赤色面積および良否判定の結果(前回実施情報)とを取得する。
【0056】
S802では、作業責任者は、枠体102の上階床側114で、
図10を用いて後述するガイド1010を利用して、運転状態のエスカレーター101のステップ105を撮影可能なように撮影端末120を固定(設置)する。
【0057】
S803では、作業責任者は、ステップ105の撮影を開始する。この際、前処理部720は、作業責任者より入力装置604を介して入力された情報(ステップ105の総数、撮影を開始したステップ105の番号等)を取得する。
【0058】
S804では、作業責任者は、エスカレーター101を保守モードで1周運転する。
【0059】
S805では、作業責任者は、ステップ105の撮影を終了する。このとき、撮像部710は、エスカレーター101(ステップ105)が1周したときの映像711を前処理部720に送信する。
【0060】
S806では、前処理部720は、映像711を単位時間当たりの静止画像723に分割する。
【0061】
S807では、前処理部720は、複数の静止画像723の各々について、
図11を用いて後述する自動抽出方法により、ステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724をそれぞれ抽出する。
【0062】
S808では、前処理部720は、赤ワッシャ304の折り曲げを検出する。前処理部720は、例えば、ボルト抽出画像724から、ステップ固定ボルト303ごとに、RGB検出等の画像処理技術により赤色画素を抽出し、赤ワッシャ304の赤色521を検出し、赤色面積を求める。なお、前処理部720は、形状による物体マッチング、デマケーション203の切れ目等を用いてステップ105の区切りを検出し、ステップ105の番号をカウントする。前処理部720は、ステップ105の番号を特定することにより、各ステップ固定ボルト303を識別できるので、ステップ固定ボルト303ごとに赤色面積を管理することができる。
【0063】
また、前処理部720は、ステップ105の総数(つまり、全てのステップ105を固定するために必要なステップ固定ボルト303の総数)と、検出した赤ワッシャ304の折り曲げの数とに基づいて、赤ワッシャ304の折り曲げが検出されなかったステップ固定ボルト303の個数(折り曲げなし個数)を計数し、計数した結果を後処理部730に送信する。
【0064】
S809では、後処理部730は、折り曲げなし個数が「0」であるか否かを判定する。後処理部730は、折り曲げなし個数が「0」であると判定した場合、S810に処理を移し、折り曲げなし個数が「0」でないと判定した場合、S812に処理を移す。
【0065】
S810では、後処理部730は、追加確認処理を行う。追加確認処理では、作業計画情報と、前回実施情報と、今回実施情報とに基づいて、全てのステップ固定ボルト303の締付状態について良否判定が行われ、良否判定の結果を示す良否判定結果が生成される。
【0066】
ここで、赤ワッシャ304は、ステップ固定ボルト303の締付け時にステップ固定ボルト303を中心にある程度回転するため、折り曲げ位置が必ずしも同じ位置にはならない。したがって、乗客コンベア確認システム100により検出される赤色面積が変化する。この特徴を踏まえた追加確認処理を行うことで、以下に示す2点を実現可能である。
【0067】
1つ目は、作業計画において取り外しが予定されているステップ105の赤ワッシャ304の赤色面積と、保全DB740に保存された当該ステップ105の赤ワッシャ304の赤色面積とに差分がない場合、作業計画の未実施として管理者への通知、履歴管理等をすることが可能である。なお、履歴管理とは、取り外しおよび取り付けを行ったステップ105を管理したり、取り外しの予定だったが取り外していないステップ105を管理したりすることをいう。
【0068】
2つ目は、作業計画において取り外しが予定されていないステップ105についても同様に比較し、赤色面積に差分がある場合、ステップ固定ボルト303に緩みが生じているとして、作業責任者に対して増し締めの指示を出すことにより、ステップ固定ボルト303の緩みによる脱落を防止可能である。追加確認処理の詳細については、
図9を用いて後述する。
【0069】
S811では、後処理部730は、確認処理が実施されたときの各ステップ固定ボルト303の赤色面積および良否判定結果(今回実施情報)を保全DB740に記憶し、確認処理を終了する。
【0070】
S812では、後処理部730は、エスカレーター101を保守モードで運転し、折り曲げが検出されなかったステップ固定ボルト303(ステップ105)を視認可能な位置(例えば、撮影位置)に停止するように、制御盤103に指示する。なお、後処理部730に代えて作業責任者が指示を行うことで、エスカレーター101を運転し、折り曲げが検出されなかったステップ固定ボルト303を視認可能な位置で停止させてもよい。
【0071】
また、S812では、後処理部730は、赤色521(折り曲げ)が検出できなかった場合、ステップ固定ボルト303が適切に取り付けられていないと判定した結果を出力装置605に表示してもよい。また、S810では、後処理部730は、赤色521を検出できた場合、ステップ固定ボルト303が適切に取り付けられていると判定した結果を出力装置605に表示してもよい。
【0072】
S813では、作業責任者は、ステップ固定ボルト303の締結状態を確認し、必要に応じて、赤ワッシャ304を挿入したり、赤ワッシャ304を折り曲げたりする対応を行う。
【0073】
このように、作業責任者は、後処理部730による良否判定の結果を基に、不合格となったステップ105のステップ固定ボルト303を目視確認し、場合によっては締結作業を実施することで、ステップ固定ボルト303の締め忘れを回避することができる。
【0074】
本実施の形態は、上述の処理に限るものではない。例えば、S808において、良否判定の結果をチェックシートに出力することで、作業完了報告書の作成を効率化することが可能となる。さらに、S808において、後処理部730は、ボルト抽出画像724を保全DB740に記憶してもよい。この場合、管理者は、保全DB740に記憶された複数のボルト抽出画像724全てと良否判定の結果とを確認することで履歴管理を行うことができる。
【0075】
図9は、追加確認処理の一例を示す図である。追加確認処理では、全てのステップ105のうちの1つの未処理のステップ105が処理対象として選択され、各ステップ105についてS901~S910の処理が行われる。
【0076】
S901では、後処理部730は、作業計画情報をもとに、処理対象のステップ105が作業計画(計画対象)のステップ105であるか否かを判定する。後処理部730は、処理対象のステップ105が計画対象のステップ105であると判定した場合、S902に処理を移し、処理対象のステップ105が計画対象のステップ105でないと判定した場合、S906に処理を移す。
【0077】
S902では、後処理部730は、前回実施情報と今回実施情報とを用いて、処理対象のステップ105の赤ワッシャ304について、今回の赤色面積と前回の赤色面積との差分を求める。
【0078】
S903では、後処理部730は、差分が「0」であるか否かを判定する。後処理部730は、差分が「0」であると判定(取り外しが行われていないと判定)した場合、S904に処理を移し、差分が「0」でないと判定(取り外しが行われたと判定)した場合、S905に処理を移す。
【0079】
S904では、後処理部730は、作業計画が実施されていないことを示す良否判定結果を生成し、処理対象のステップ105について作業計画が実施されていないことを管理者に通知する。なお、後処理部730は、処理対象のステップ105について作業計画が実施されていないことを出力装置605に表示(作業責任者に通知)してもよい。
【0080】
S905では、後処理部730は、作業計画が実施されたことを示す良否判定結果を生成する。
【0081】
S906では、後処理部730は、前回実施情報と今回実施情報とを用いて、処理対象のステップ105の赤ワッシャ304について、今回の赤色面積と前回の赤色面積との差分を求める。
【0082】
S907では、後処理部730は、差分が「0」であるか否かを判定する。後処理部730は、差分が「0」であると判定(ステップ固定ボルト303に緩みがないと判定)した場合、S908に処理を移し、差分が「0」でないと判定(ステップ固定ボルト303に緩みがあると判定)した場合、S909に処理を移す。
【0083】
S908では、後処理部730は、処理対象のステップ105のステップ固定ボルト303に緩みがないことを示す良否判定結果を生成する。
【0084】
S909では、後処理部730は、処理対象のステップ105のステップ固定ボルト303に緩みがあることを示す良否判定結果を生成する。
【0085】
S910では、後処理部730は、処理対象のステップ105のステップ固定ボルト303の増し締めが必要であることを出力装置605に表示(作業責任者に通知)する。作業責任者は、かかる通知により、処理対象のステップ105のステップ固定ボルト303の増し締めを行う。
【0086】
なお、後処理部730は、今回の確認処理において抽出されたステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724と、保全DB740に蓄積された当該ステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724と、を比較することにより、作業計画の未実施および/またはステップ固定ボルト303の緩みを判定してもよい。また、後処理部730は、S901を行うことなく、S902~S905を行ってもよい。すなわち、後処理部730は、処理対象のステップ105が計画対象のステップ105であるか否かを判定することなく、処理対象のステップ105の赤ワッシャ304について、今回の赤色面積と前回の赤色面積との差分を求め、求めた差分に基づいて、ステップ105の取り付けおよび取り外しが行われたか否かを判定してもよい。
【0087】
図10は、撮影端末120の出力装置605に表示するガイドの一例(ガイド1010)を示す図である。ガイド1010は、垂直方向ガイド1010-1と水平方向ガイド1010-2とが、十字に交差して構成される。
【0088】
作業責任者は、出力装置605に表示された垂直方向ガイド1010-1と水平方向ガイド1010-2との交点と、対象物であるステップ固定ボルト303を表すボルト画像1020とを重畳するように撮影することで、対象物に対して、一定の距離で正対し、かつ平行して撮影することが可能となる。
【0089】
ガイド1010の構成は、
図10に示す例に限らず、例えば、矩形、円形、複数の点によって構成されてもよい。
【0090】
なお、上述したように、上階床側114の内部に、例えば、固定治具121を図示しないクランプ等で枠体102に固定し、確認作業の都度、固定治具121に撮影端末120を固定することで、対象物に対して常に、一定の距離で正対し、かつ、平行な撮影を実現してもよいし、固定治具121および撮影端末120を常設としてもよい。
【0091】
図11は、ステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724の自動抽出方法の一例を示す図である。
図11は、エスカレーター101を上昇運転させている場合の例を示している。時系列に並べられた静止画像723-1~静止画像723-4において、処理対象のステップ105を表すステップ画像1110と、処理対象のステップ105の一枚前のステップ105を表すステップ画像1120とが徐々にz方向と逆向き(下向き)に移動している。また、静止画像723中央、かつ、y方向行に長い矩形領域を、デマケーション203(デマケーション画像1170)を検出するための検出領域1130とする。
【0092】
静止画像723-1および静止画像723-2においては、処理対象のステップ105に設けられているステップ固定ボルト303を表すボルト画像1140と、処理対象のステップ105に設けられている赤ワッシャ304を表すワッシャ画像1150とは、一枚前のステップ105を表すステップ画像1120により一部または全部が隠れている。よって、撮影端末120は、全てを検出することができない。静止画像723-3においては、撮影端末120は、ボルト画像1140とワッシャ画像1150とを完全に検出できるが、静止画像723-4においては、ステップ画像1110によって再び隠れているので、全てを検出することができない。
【0093】
したがって、撮影端末120は、静止画像723-3から、ステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724を抽出する必要がある。ここで、ステップ固定ボルト303が取り付けられている箇所は、必ず処理対象のステップ105と、一枚前のステップ105との間となる。よって、検出領域1130において、処理対象のステップ105のデマケーション203を表すデマケーション画像1160と、一枚前のステップ105のデマケーション203を表すデマケーション画像1170との両方が検出不可となる画像を抽出することで、ボルト抽出画像724を自動抽出可能である。
【0094】
デマケーション203の検出は、例えば、RGB検出等の色抽出、形状による物体マッチングを用いることができる。
【0095】
ステップ固定ボルト303が写っているボルト抽出画像724の自動抽出方法では、エスカレーター101を上昇運転させ、左右のステップ固定ボルト303が一度に撮影される例を示したが、これに限らない。エスカレーター101を下降運転させて撮影されてもよいし、左右のステップ固定ボルト303のどちらか一方ずつ撮像されてもよい。また、エスカレーター101を上昇運転させた場合と、下降運転させた場合との2パターンで撮影されてもよい。この場合、撮影端末120は、これらの撮影で取得された画像を比較することで、照明等による外乱影響を省け、より判定精度を向上できる。また、判定精度を向上させるため、撮影端末120による撮影時に、対象物から一定の距離で正対させ、平行に撮像するよう案内するガイドを出力装置605に表示してもよい。また、同様に撮影後に抽出した静止画像723に対し、例えば、台形補正等の技術による形状補正、平行になるよう角度補正、初期の画像から複数ポイントの輝度を参照し画像内の明るさを均一とする明暗補正等を用いてもよい。また、本実施の形態では、上階床側114での例を示したが、下階床側115で実施されてもよい。
【0096】
本発明は、上述の内容に限られるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において、材質、形状、構成等を適宜選択したり、組み合わせたり、適宜に変更することができる。
【0097】
(II)付記
上述の実施の形態には、例えば、以下のような内容が含まれる。
【0098】
上述の実施の形態においては、本発明を乗客コンベア確認システムに適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のシステム、装置、方法、プログラムに広く適用することができる。
【0099】
また、上述の実施の形態においては、S809の判定において折り曲げなし個数が「0」である(Yes)と判定したとき、S810(追加確認処理)を行う場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、S810(追加確認処理)を行わないようにしてもよい。
【0100】
また、上述の実施の形態においては、S904では、後処理部730は、処理対象のステップ105について作業計画が実施されていないことを管理者に通知する場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、後処理部730は、上記通知に代えてまたは加えて、エスカレーター101を保守モードで運転し、作業計画が実施されていないステップ105を視認可能な位置(例えば、撮影位置)に停止するように制御盤103に指示するようにしてもよい。
【0101】
また、上述の実施の形態においては、S910では、後処理部730は、処理対象のステップ105のステップ固定ボルト303の増し締めが必要であることを出力装置605に表示(作業責任者に通知)する場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、後処理部730は、上記通知に代えてまたは加えて、エスカレーター101を保守モードで運転し、増し締めが必要であるステップ105を視認可能な位置(例えば、撮影位置)に停止するように制御盤103に指示するようにしてもよい。
【0102】
また、上述の実施の形態においては、撮影端末120は、照明装置を備え、照明装置により対象物に光を照らして撮影が行われてもよい。
【0103】
また、上述の実施の形態において、情報の出力は、ディスプレイへの表示に限るものではない。情報の出力は、スピーカによる音声出力であってもよいし、ファイルへの出力であってもよいし、印刷装置による紙媒体等への印刷であってもよいし、プロジェクタによるスクリーン等への投影であってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0104】
また、上記の説明において、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0105】
上述した実施の形態は、例えば、以下の特徴的な構成を有する。
【0106】
(1)
循環移動するチェーン(例えば、ドライビングチェーン110)に連結可能な複数のステップ(例えば、ステップ105)を備える乗客コンベア(例えば、エスカレーター101、動く歩道、乗客コンベア)において、各ステップを上記チェーンに固定する各ボルト(例えば、ステップ固定ボルト303)の締結状態を確認可能な乗客コンベア確認システム(例えば、乗客コンベア確認システム100)は、一の面(例えば、裏面)が所定の色(例えば、赤色521)に着色された折り曲げ部(例えば、舌)を備えるワッシャ(例えば、赤ワッシャ304)が取り付けられてボルトが締められ、上記一の面が現れるように上記折り曲げ部が折り曲げられる作業が行われた場合、撮影端末(例えば、撮影端末120)により上記各ボルトが撮影された画像(例えば、映像711、静止画像723、ボルト抽出画像724)から、上記各ボルトについて上記所定の色を検出する検出部(例えば、検出部721、撮影端末120、撮影端末120と通信可能に接続されたコンピュータ)と、上記検出部による検出の結果に基づいて、上記各ボルトが適切に取り付けられているか否かを判定する判定部(例えば、判定部731、撮影端末120、撮影端末120と通信可能に接続されたコンピュータ)と、上記判定部により判定された結果を出力する出力部(例えば、出力部732、撮影端末120、撮影端末120と通信可能に接続されたコンピュータ)と、を備える。
【0107】
上記構成では、例えば、取り付けが行われたステップのボルトについて、所定の色を検出できた場合、ボルトが適切に取り付けられていると判定された結果が出力され、所定の色を検出できなかった場合、ボルトが適切に取り付けられていないと判定された結果が出力される。上記構成によれば、例えば、作業責任者は、取り付けが行われたステップのボルトの締結状態の確認を正確かつ容易に行うことができる。
【0108】
(2)
上記乗客コンベア確認システムは、ボルトに対して上記撮影端末を一定の距離に案内し、かつ、上記撮影端末が上記ボルトに正対するように案内可能なガイド(例えば、ガイド1010)を、上記撮影端末により取得された画像に重ねて表示装置(例えば、出力装置605)に表示するガイド部(例えば、ガイド部733、撮影端末120、撮影端末120と通信可能に接続されたコンピュータ)を備える。
【0109】
上記構成によれば、ボルトに対して一定の距離で正対するように案内するためのガイドが撮影端末で取得された画像に重ねて表示されるので、例えば、作業責任者は、ガイドを画像内のボルト画像に合わせることにより、撮影端末を容易かつ適切に設置することができる。
【0110】
(3)
上記ステップの踏板にデマケーションライン(例えば、デマケーション203)が設けられ、上記検出部は、上記各ステップが循環移動しているときに上記撮影端末で取得された映像において、予め定められた範囲にステップの上記デマケーションラインが表示されなくなったとき、上記ステップの次のステップを検出する(例えば、
図11参照)。
【0111】
上記構成では、踏板に設けられているデマケーションラインが途切れたときに次のステップを検出できるので、例えば、ボルトの検出および所定の色の検出を容易に行うことができるようになる。
【0112】
(4)
上記乗客コンベア確認システムは、上記各ボルトについて、上記検出部により検出された上記所定の色の面積(例えば、赤色面積)を求め、求めた面積を記憶装置(例えば、保全DB740、記憶装置610、補助記憶装置603)に記憶する面積測定部(例えば、面積測定部722、撮影端末120、撮影端末120と通信可能に接続されたコンピュータ)を備え、上記判定部は、取り付けおよび取り外しが計画されていないステップのボルトについて上記面積測定部により今回求められた面積と、上記ボルトについて上記面積測定部により前回求められた面積とに基づいて、上記ボルトに緩みがあるか否かを判定する(例えば、S906およびS907参照)。
【0113】
上記構成では、検出された所定の色の面積が記憶され、今回の面積および前回の面積に基づいて、取り付けおよび取り外しが計画されていないステップのボルトについて、緩みがあるか否かが判定される。上記構成によれば、例えば、作業責任者は、取り付けおよび取り外しが計画されていないステップのボルトについて緩みを把握することができる。
【0114】
(5)
上記乗客コンベア確認システムは、上記各ボルトについて、上記検出部により検出された上記所定の色の面積(例えば、赤色面積)を求め、求めた面積を記憶装置(例えば、保全DB740、記憶装置610、補助記憶装置603)に記憶する面積測定部(例えば、面積測定部722、撮影端末120、撮影端末120と通信可能に接続されたコンピュータ)を備え、上記判定部は、ステップのボルトについて上記面積測定部により今回求められた面積と、上記ボルトについて上記面積測定部により前回求められた面積とに基づいて、上記ステップの取り付けおよび取り外しが行われたか否かを判定する(例えば、S902およびS903参照)。
【0115】
上記構成では、検出された所定の色の面積が記憶され、今回の面積および前回の面積に基づいて、取り付けおよび取り外しが計画されているステップについて、取り付けおよび取り外しが行われたか否かが判定される。上記構成によれば、例えば、管理者は、取り付けおよび取り外しが計画されているステップについて未実施であることを把握することができる。
【0116】
(6)
上記構成では、所定の色が、乗客コンベアの構成部品にない色である赤色であるので、例えば、検出部による所定の色の検出をより正確にすることができ、判定部による判定の精度を向上することができる。
【0117】
(7)
循環移動するチェーン(例えば、ドライビングチェーン110)に連結可能な複数のステップ(例えば、ステップ105)を備える乗客コンベア(例えば、エスカレーター101、動く歩道、乗客コンベア)において、各ステップを上記チェーンに固定する各ボルト(例えば、ステップ固定ボルト303)の締結状態を確認するための乗客コンベア確認方法は、一の面(例えば、裏面)が所定の色(例えば、赤色521)に着色された折り曲げ部(例えば、舌)を備えるワッシャ(例えば、赤ワッシャ304)が取り付けられてボルトが締められ、上記一の面が現れるように上記折り曲げ部が折り曲げられる作業が行われることにより、検出部が、撮影端末(例えば、撮影端末120)により上記各ボルトが撮影された画像(例えば、映像711、静止画像723、ボルト抽出画像724)から、上記各ボルトについて上記所定の色を検出することと(例えば、S808)、判定部が、上記検出部による検出の結果に基づいて、上記各ボルトが適切に取り付けられているか否かを判定することと(例えば、S809参照)、出力部が、適切に取り付けられていないと上記判定部により判定されたボルトを視認可能な位置まで上記複数のステップを循環移動するように上記乗客コンベアに指示することと(例えば、S812参照)、を含む。
【0118】
上記構成では、適切に取り付けられていないボルトを視認可能なようにステップが循環移動されるので、例えば、作業責任者は、適切に取り付けられていないボルトを容易に把握することができる。
【0119】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【0120】
「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という形式におけるリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができると理解されたい。同様に、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」の形式においてリストされた項目は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)または(A、B、およびC)を意味することができる。
【符号の説明】
【0121】
100……乗客コンベア確認システム、120……撮影端末、303……ステップ固定ボルト、304……赤ワッシャ。