(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114371
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20220729BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220729BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010666
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
(72)【発明者】
【氏名】小高 淳
(72)【発明者】
【氏名】松永 聖史
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH01
2C002CH02
2C002CH06
(57)【要約】
【課題】高反発なゴルフクラブヘッドの提供。
【解決手段】ゴルフクラブヘッド4は、打撃フェース10aを形成するフェース部10と、クラウン部12と、ソール部14と、ホーゼル部16とを有している。打撃フェース10aは、フェースセンターFcを有している。ソール部14は、フェースセンターFcよりもトウ側に設けられた凸部であって中空であるトウ凸部30を有している。トウ凸部30は、フェースセンターFcよりもヒール側には存在しない。トウ凸部30は、フェース部10に連続して形成されている。トウ凸部30の頂点30aにおける高さH1は、1.5mm以上8mm以下とされてもよい。このゴルフクラブヘッド4は、反発性能に優れる。このゴルフクラブヘッド4では、打撃時におけるトウ凸部30の変形により、反発性能が向上しうる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃フェースを形成するフェース部と、クラウン部と、ソール部と、ホーゼル部とを有しており、
前記打撃フェースが、フェースセンターを有しており、
前記ソール部が、前記フェースセンターよりもトウ側に設けられた凸部であって中空であるトウ凸部を有しており、
前記トウ凸部が、前記フェースセンターよりもヒール側には存在せず、
前記トウ凸部が、前記フェース部に連続して形成されているゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記トウ凸部の頂点の高さが、1.5mm以上8mm以下である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記トウ凸部が、前記打撃フェースの下縁からバック側に25mm以内の領域に設けられている請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記トウ凸部の外面の断面線の最小曲率半径が、10mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記ソール部が、前記トウ凸部よりもヒール側に設けられたヒール溝を更に有しており、
前記ヒール溝が、前記フェースセンターよりもヒール側に位置する部分を有している請求項1から4のいずれか1項の記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記トウ凸部が、そのトウ側において、前記フェースセンターよりも上側の位置まで延在しており、
前記ヘッドの基準状態における平面視において、前記トウ凸部が前記ヘッドの輪郭線を構成していない請求項1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドの性能の一つとして、反発性能がある。高い反発性能により、飛距離が増大しうる。特開2016-47183号公報は、フェース部からバック側に間隔を空けて、中空の凸部が設けられたヘッドを開示する。この凸部は、反発性能を高める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より高反発なヘッドが求められている。また、高反発の領域は広いのが好ましい。一方、反発性能を高めるための構造が、他の性能を犠牲にしないのが好ましい。高反発であり且つ他の性能にも優れたヘッドが好ましい。
【0005】
本開示の目的の一つは、高反発なゴルフクラブヘッドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、ゴルフクラブヘッドは、打撃フェースを形成するフェース部と、クラウン部と、ソール部と、ホーゼル部とを有している。前記打撃フェースが、フェースセンターを有している。前記ソール部が、前記フェースセンターよりもトウ側に設けられた凸部であって中空であるトウ凸部を有している。前記トウ凸部は、前記フェースセンターよりもヒール側には存在しない。前記トウ凸部は、前記フェース部に連続して形成されている。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面として、高反発なゴルフクラブヘッドが提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブを示す。
【
図2】
図2(a)は第1実施形態のヘッドをフェース側から見た正面図であり、
図2(b)は
図2(a)のE1線に沿った断面である。
図2(b)では、ヘッド外面の断面線のみが示されている。
【
図3】
図3は、第1実施形態のヘッドをクラウン側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態のヘッドをソール側から見た底面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態のヘッドをソール側から見た斜視図である。
【
図6】
図6(a)は第1実施形態のヘッドをトウ側から見た側面図であり、
図6(b)はこのヘッドをヒール側から見た側面図である。
【
図7】
図7(a)は
図2のA-A線に沿った断面図であり、
図7(b)は
図2のB-B線に沿った断面図であり、
図7(c)は
図2のC-C線に沿った断面図である。これらの断面図では、ヘッド外面の断面線のみが示されている。
【
図8】
図8は、
図2のD-D線に沿った断面図である。この断面図では、ヘッド外面の断面線のみが示されている。
【
図9】
図9は、
図7(a)に2点鎖線で示された円内の拡大図である。
【
図10】
図10は、
図2(a)のA-A線に沿った断面図であり、ヘッドの断面(肉厚)を含む断面図である。
【
図11】
図11(a)は、第2実施形態のヘッドをソール側から見た底面図であり、
図11(b)は
図11(a)のA-A線に沿った断面図である。
図11(b)では、ヘッド外面の断面線のみが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本開示が詳細に説明される。
【0010】
本願では、基準状態、基準垂直面、トウ-ヒール方向、フェース-バック方向、上下方向、フェースセンター、縦断面、放射断面、評価断面及び曲率半径が定義される。
【0011】
所定のライ角で接地平面HP上にヘッドが載置された状態が、基準状態とされる。
図12が示すように、この基準状態では、接地平面HPに対して垂直な平面VPに、シャフト軸線Zが含まれている。シャフト軸線Zは、シャフトの中心線である。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0012】
この基準状態では、フェース角が0度とされる。すなわち、上側から見た平面視において、打撃フェースのフェースセンターにおける接線がトウ-ヒール方向に平行とされる。フェースセンター及びトウ-ヒール方向の定義は、後述の通りである。
【0013】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記接地平面HPとの交線NLの方向である(
図12参照)。トウ-ヒール方向におけるトウ側が、単に「トウ側」とも称される。トウ-ヒール方向におけるヒール側が、単に「ヒール側」とも称される。
【0014】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記接地平面HPに対して平行な方向である。フェース-バック方向におけるフェース側が、単に「フェース側」とも称される。フェース-バック方向におけるバック側が、単に「バック側」とも称される。
【0015】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記接地平面HPに対して垂直な方向である。
【0016】
本願において、フェースセンターは次のように決定される。まず、上下方向およびトウ-ヒール方向において、打撃フェースの概ね中央付近の任意の点Prが選択される。次に、この点Prを通り、当該点Prにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pxが決定される。次に、この中点Pxを通り、当該点Pxにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pyが決定される。次に、この中点Pyを通り、当該点Pyにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pxが新たに決定される。次に、この新たな中点Pxを通り、当該点Pxにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pyが新たに決定される。この工程を繰り返して、Px及びPyが順次決定される。この工程の繰り返しの中で、新たな中点Pyとその直前の中点Pyとの間の距離が最初に0.5mm以下となったときの当該新たな位置Py(最後の位置Py)が、フェースセンターである。
【0017】
本願において縦断面とは、トウ-ヒール方向に対して垂直な平面による断面である。縦断面における断面線が、縦断面線とも称される。
【0018】
本願において放射断面が定義される。
図2(a)を参照して、フェースセンターFcを通る水平面X1と、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する縦平面Y1とが設定される。水平面X1は、接地平面HPに平行な平面である。縦平面Y1は、接地平面HPに垂直でフェース-バック方向に平行な平面である。
図2(a)において両矢印Dyで示されるのは、縦平面Y1とフェースセンターFcとのトウ-ヒール方向距離である。
図2(a)において両矢印Dtで示されるのは、ヘッド4において最もトウ側に位置する点からフェースセンターFcまでのトウ-ヒール方向距離である。距離Dyは、距離Dtの50%とされる。水平面X1と縦平面Y1との交線N2が決定される。交線N2を含む断面J1、J2、J3、J4、・・・が、放射断面である。ヘッドのトウ側下部からトウ側上部まで延びるトウ凸部を評価するための断面として、放射断面が設定される。放射断面における断面線が、放射断面線とも称される。
【0019】
本願のトウ凸部は、縦断面及び放射断面に基づいて評価される。縦平面Y1よりもヒール側では、縦断面が用いられる。縦平面Y1よりもトウ側では、放射断面が用いられる。縦断面及び放射断面が、トウ凸部の評価に用いられる。縦断面及び放射断面が、評価断面とも称される。評価断面における断面線が、評価断面線とも称される。以下において、単に断面線というときは、評価断面線を意味する。評価断面は無数にあるから、断面線も無数に存在する。特定の断面線を指定しない限り、断面線を用いた説明は、あらゆる断面線で成立しうる。
【0020】
曲面の曲率半径は、断面線において測定される。この断面線上の点のそれぞれにおいて、曲率半径が決定される。この曲率半径の決定では、測定点と、その点の両側にそれぞれ0.5mm隔てた点との、3点が特定される。この3点を通る円の半径が、その測定点の曲率半径と定義される。この0.5mmは、当該断面線に沿った道のり距離である。0.5mmは、当該測定点の曲率半径を評価するのに充分なほど微小である。また、測定点から0.5mm離れた2つの点を設定することで、断面線の微分方程式を解くことなく、自由曲線上の各点における曲率半径を決定することができる。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態のヘッド4を含むゴルフクラブ2の全体図である。
図2(a)は、ヘッド4の正面図であり、
図2(b)は
図2(a)のE1線に沿った断面である。
図3は、ヘッド4をクラウン側から見た平面図である。
図4は、ヘッド4をソール側から見た底面図である。
図5は、ヘッド4をソール側から見た斜視図である。
図6(a)はヘッド4をトウ側から見た側面図であり、
図6(b)はヘッド4をヒール側から見た側面図である。
図6(a)及び
図6(b)では、ソール部が上側とされている。
【0022】
図1が示すように、ゴルフクラブ2は、ゴルフクラブヘッド4と、シャフト6と、グリップ8とを含む。シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。ヘッド4は、シャフト6のチップ端部に取り付けられている。グリップ8は、シャフト6のバット端部に取り付けられている。
【0023】
ゴルフクラブ2は、ドライバー(1番ウッド)である。通常、ドライバーのクラブ長さは、43インチ以上48インチ以下である。好ましくは、ゴルフクラブ2は、ウッド型ゴルフクラブ又はハイブリッド型ゴルフクラブである。
【0024】
シャフト6は、管状体である。シャフト6は中空構造を有する。シャフト6の材質は、炭素繊維強化樹脂である。軽量化の観点から、シャフト6の材質として、炭素繊維強化樹脂が好ましい。シャフト6は、いわゆるカーボンシャフトである。好ましくは、シャフト6は、プリプレグシートを硬化させてなる。このプリプレグシートでは、繊維は実質的に一方向に配向している。このように繊維が実質的に一方向に配向したプリプレグは、UDプリプレグとも称される。「UD」とは、ユニディレクションの略である。UDプリプレグ以外のプリプレグが用いられても良い。例えば、プリプレグシートに含まれる繊維が編まれていてもよい。シャフト6は、金属線を含んでいてもよい。シャフト6の材質は限定されず、例えば金属であってもよい。
【0025】
グリップ8は、スイング中においてゴルファーにより握られる部分である。グリップ8の材質として、ゴム組成物及び樹脂組成物が例示される。グリップ8の前記ゴム組成物は、気泡を含んでいてもよい。
【0026】
ヘッド4は中空構造を有する。本実施形態では、ヘッド4は、ウッド型である。ヘッド4は、ハイブリッド型であってもよい。ヘッド4は、アイアン型であってもよい。ヘッド4は、パター型であってもよい。好ましくは、ヘッド4はウッド型又はハイブリッド型であり、より好ましくはウッド型である。ヘッド4の好ましい材質として、金属及び繊維強化プラスチックが例示される。この金属として、チタン合金、純チタン、ステンレス鋼、マレージング鋼及び軟鉄が例示される。繊維強化プラスチックとして、炭素繊維強化プラスチックが例示される。ヘッド4は、金属部分と繊維強化プラスチック部分とを有する複合ヘッドであってもよい。
【0027】
図2(a)から
図6(b)が示すように、ヘッド4は、フェース部10、クラウン部12、ソール部14及びホーゼル部16を有する。フェース部10は、打撃フェース10aを有する。打撃フェース10aは、フェース部10の外面である。打撃フェース10aは、単にフェースとも称される。打撃フェース10aは、上述の通り定義されたフェースセンターFcを有する。ホーゼル部16は、シャフト孔16aを有する。
図3が示すように、ヘッド4は、平面視における外輪郭線CL2を有する。
【0028】
打撃フェース10aの外縁は、次のように定義されうる。
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、ヘッド4の重心CGとスイートスポットSSとを結ぶ直線N1を含む各断面E1、E2、E3・・・が存在する。これらの各断面E1等において、ヘッド外面の断面線の曲率半径rがスイートスポットSS側から打撃フェース10aの外側に向かって初めて200mmとなる位置Feが決定される。この位置Feが、打撃フェース10aの外縁として定義される。なお、スイートスポットSSとは、ヘッド4の重心CGから打撃フェース10aに下ろした垂線の足である。
【0029】
クラウン部12は、クラウン外面12aに、クラウン凸部20を有する。クラウン凸部20は中空である。すなわち、クラウン凸部20は、クラウン外面12aにおいて凸を形成し、且つクラウン内面において凹を形成している。クラウン凸部20は、輪郭線CL20と、上面22と、側壁面24とを有する。ヘッド4の平面図(
図3)において、クラウン凸部20は、略四角形(略台形)である。クラウン凸部20は、フェースセンターFcよりもヒール側に設けられている。
【0030】
図7(a)は、
図2(a)のA-A線に沿った断面図である。A-A線の位置は、縦平面Y1に一致している。
図7(a)は、放射断面(評価断面)J1での断面図である(
図2(a)参照)。
図7(b)は、
図2(a)のB-B線に沿った断面図である。
図7(c)は、
図2(a)のC-C線に沿った断面図である。
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)では、ヘッドの外面の断面線のみが示されている。
図8は、
図2(a)のD-D線に沿った断面図である。D-D線の位置は、フェースセンターFcの位置である。D-D線の位置は、水平面X1に一致している。
図8は、放射断面(評価断面)J3での断面図である(
図2(a)参照)。
【0031】
ヘッド4は、トウ凸部30を有する。トウ凸部30は、ソール部14に設けられている。トウ凸部30は、中空である。トウ凸部30は、ヘッド4の外側に向かって突出している。トウ凸部30は、ソール外面14aにおいて凸を形成している。トウ凸部30は、ソール内面において凹を形成している。
【0032】
ヘッド4では、ソール部14は、トウ凸部30の全体を有している。ヘッド4は、サイド部(スカート部)を有さない。
図2(a)及び
図8が示すように、ソール部14は、クラウン部12の外周縁まで延びている。ヘッド4のトウ側において、トウ凸部30は、クラウン部12に近い位置まで延びている。
図8にトウ凸部30が記載されていることから明らかなように、トウ凸部30は、フェースセンターFcよりも上側にまで延びている。トウ凸部30は、ヘッド4の平面図における外輪郭線CL2(
図3参照)に達していない。トウ凸部30は、外輪郭線CL2に影響を与えない。
【0033】
なお、ソール部14は、トウ凸部30の一部のみを有していても良い。ヘッド4は、サイド部(スカート部)を有していても良い。ヘッド4がサイド部(スカート部)を有している場合、トウ凸部30は、ソール部14からサイド部(スカート部)にかけて設けられていてもよい。
【0034】
トウ凸部30は、フェースセンターFcよりもトウ側に設けられている。トウ凸部30の全体が、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。トウ凸部30は、フェースセンターFcよりもヒール側には存在しない。
図7(b)が示すように、フェースセンターFcを通る縦断面において、トウ凸部30は存在しない。
図7(c)が示すように、フェースセンターFcよりもヒール側に位置するあらゆる縦断面において、トウ凸部30は存在しない。
【0035】
ソール部14の外面であるソール外面14aは、ソール基面14dを有する。ソール基面14dは、段差無く(滑らかに)連続した曲面及び/又は平面である。ソール基面14dは、トウ凸部30に隣接している。ソール基面14dは、トウ凸部30のバック側の位置からトウ側且つ上側に向かって延在し、ソール外面14aの外縁14cに到達している(
図5参照)。
【0036】
ソール基面14dは、トウ凸部30との境界線32を有する。境界線32は、トウ凸部30のバック側の起点である。トウ凸部30は、境界線32を起点として、打撃フェース10aの外縁Feまで滑らかに連続している。トウ凸部30は、外縁Feにおいて、打撃フェース10aに滑らかに繋がっている。なお、例えば、断面線において、2階微分した値が連続であれば、その曲面は滑らかに連続していると言いうる。
【0037】
図9は、
図7(a)に2点鎖線で示された円内の拡大図である。ヘッド4の外観から境界線32が明確に視認できない場合、境界線32は、断面線に基づき決定されてもよい。
図8及び
図9が示すように、断面線において、ソール基面14dは、直線又は曲線である。ソール基面14dの断面線が曲線である場合、その曲率半径は20mm以上、更には40mm以上、更には60mm以上とされうる。ソール基面14dの断面線が曲線である場合、その曲率半径は、トウ凸部30の断面線の曲率半径よりも大きい。断面線において、境界線32を構成する起点P1は、変曲点、曲率半径微小点又は折れまがりの頂点として認識されうる。曲率半径微小点とは、曲率半径が5mm以下の点と定義することができ、その点が連続して存在する場合は当該存在領域の中点と定義されうる。
【0038】
断面線において、ソール基面14dの仮想延長線L1が定義されうる。
図9が示すように、起点P1のバック側に位置する点P2と、点P2のバック側に位置する点P3とが決定される。起点P1と点P2との間の距離は0.5mmであり、点P2と点P3との距離は0.5mmである。これらの0.5mmは、断面線に沿った道のり距離である。点P1、点P2及び点P3を通る円又は直線が、仮想延長線L1と定義される。
図8及び
図9において、仮想延長線L1が2点鎖線で示されている。
【0039】
トウ凸部30は、仮想延長線L1よりも外側(ヘッド4における外側)に突出している。ヘッド4の外面の断面線と仮想延長線L1との交点P4が存在する。交点P4は、打撃フェース10aの外縁Feを構成する点P5と起点P1との間に位置する。交点P4は、トウ凸部30の終点とみなされうる。換言すれば、交点P4は、フェース側におけるトウ凸部30の起点とみなされうる。ただし、互いに繋がるトウ凸部30と移行部34とは連続した凸曲面を形成しており、トウ凸部30のフェース側の起点P4は、外観上は分からない。
【0040】
断面線において、打撃フェース10aの仮想延長線L2が定義されうる。
図9が示すように、外縁Feを構成する点P5の上側に位置する点P6と、点P6の上側に位置する点P7とが決定される。点P5と点P6との間の距離は0.5mmであり、点P6と点P7との距離は0.5mmである。これらの0.5mmは、断面線に沿った道のり距離である。点P5、点P6及び点P7を通る円又は直線が、仮想延長線L2と定義される。打撃フェース10aがロールを有する場合、点P5、点P6及び点P7は通常同一直線上に無い。この場合、仮想延長線L2として、点P5、点P6及び点P7を通る円が採用される。
図8及び
図9において、仮想延長線L2が2点鎖線で示されている。
【0041】
断面線において、トウ凸部30は、頂点30aを有する。頂点30aは、仮想延長線L1から最も離れている点である。すなわち、断面線において、頂点30aは、高さH1が最大である点である。高さH1については、後述される。
【0042】
仮想延長線L1と仮想延長線L2とは、1点で交わる。
図8及び
図9には、この交点P8が示されている。
図9の断面線において、トウ凸部30は、交点P8よりも下側に突出している。
図8の断面線において、トウ凸部30は、交点P8よりもトウ側に突出している。このように、断面線において、トウ凸部30は、交点P8よりも外側(ヘッド4の外側)に突出している。
【0043】
トウ凸部30は、フェース部10に連続して形成されている。トウ凸部30は、フェース部10のバック側に形成されている。トウ凸部30は、フェース部10からバック側に間隔を空けずに設けられている。
図9がよく示すように、トウ凸部30は、滑らかな凸曲面で、打撃フェース10aに繋がっている。
図9が示すように、断面線において、トウ凸部30は、外側に向かって凸の曲線で、打撃フェース10aに繋がっている。
【0044】
フェース部10に連続して形成されたトウ凸部30を設けることで、打撃時の変形における屈曲点を、トウ凸部30の頂点30aに移動させることができる。従来、この屈曲点は、フェース部10とソール部14との境界(角部)に位置していた。この屈曲点をトウ凸部30の頂点に移動させることで、打撃フェース10aの変形領域を広くすることができる。また、打撃フェース10aの変形量が増大しうる。よって、反発性能を向上させることができる。
【0045】
下方に突出するトウ凸部30により、ヘッド重心CGが下方に移動されうる。ソール部14の最前方に位置するトウ凸部30により、ヘッド重心CGが前方に移動されうる。ヘッド重心CGが下方且つ前方に移動することで、ヘッド4の重心が低くなり、スイートスポットが低くなる。
【0046】
ヘッドの外側に突出するトウ凸部30により、ヘッドの質量が外側に分散される。このため、ヘッドの慣性モーメントを大きくすることができる。
【0047】
フェース部10に連続して形成されたトウ凸部30を設けることで、フェース部10とソール部14との境界に、曲率半径が大きく且つ広い凸曲面が形成される。具体的には、後述される移行部34及び凸曲面領域36が形成される。通常、この凸曲面は、インパクト近傍における芝の抵抗を効果的に減少させうる。この凸曲面により、ソール部14の滑りが良好となる。
【0048】
図4及び
図5が示すように、トウ凸部30は、ヒール側の端30hを有する。ヒール側の端30hは、フェースセンターFcよりもトウ側に位置する。トウ凸部30の全体が、フェースセンターFcよりもトウ側に設けられている。フェースセンターFcの下側に、トウ凸部30は存在しない。フェースセンターFcよりもヒール側に、トウ凸部30は存在しない。
【0049】
通常、ゴルファーは、クラブのライ角よりもフラットな状態でアドレスすることが知られている。すなわち、地面とシャフトとの成す角度がクラブのライ角よりも小さい状態で、アドレスがなされる。よって、アドレスでは、通常、ソール部14におけるヒール側のみが接地する。フェースセンターFcよりもトウ側のみにトウ凸部30を設けることで、アドレス時においてトウ凸部30が接地されない。このため、アドレス時にトウ凸部30が邪魔にならず、アドレス時におけるヘッドの姿勢が安定する。
【0050】
フェースセンターFcの位置では、フェース部10の上下方向幅が大きく、フェース部10が撓みやすい。一方、フェースセンターFcよりもトウ側では、フェース部10の上下方向幅が比較的小さい。このトウ側にトウ凸部30を設けることで、フェース部10のトウ側における反発係数をフェースセンターFcでの反発係数に近づけることができる。すなわち、高反発エリアがトウ側に拡大されうる。
【0051】
ホーゼル部16の存在に起因して、スイートスポットSSは、フェースセンターFcよりもヒール側且つ上側となりやすい(
図2(a)参照)。トウ凸部30をソール部14のトウ側のみに設けることで、スイートスポットSSがトウ側且つ下側に移動しうる。トウ凸部30は、スイートスポットSSをフェースセンターFcに近づけるのに寄与しうる。
【0052】
図3及び
図4において符号CPで示されるのは、フェースセンターFcを通り接地平面HPに垂直でフェース-バック方向に平行な平面である。トウ凸部30は、平面CPよりもトウ側に位置する。
【0053】
図4において両矢印W1で示されるのは、トウ凸部30のヒール側の端30hとフェースセンターFcとのトウ-ヒール方向距離である。
図4において両矢印W2で示されるのは、ヘッド4のトウ-ヒール方向幅である。この幅W2の測定におけるヒール側の起点は、上記基準状態において上記接地平面HPからの高さが0.875インチ(22.23mm)の地点とされる。すなわち、上記基準状態において、上記接地平面HPからの高さが0.875インチであり且つ最もヒール側に位置する点が、幅W2のヒール側の起点とされる。
【0054】
比(W1/W2)は限定されない。アドレス時におけるヘッド姿勢の安定性の観点から、比(W1/W2)は、0.05以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.15以上がより好ましい。反発性能の向上等、トウ凸部30の効果を高めるには、トウ凸部30は長いほうがよい。この観点から、比(W1/W2)は、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.25以下がより好ましい。
【0055】
図5及び
図6が示すように、トウ凸部30は、トウ側の端30tを有する。トウ側の端30tは、フェースセンターFcよりも上側に位置する。すなわち、トウ凸部30が、トウ側において、フェースセンターFcよりも上側の位置まで延在している。
図3が示すように、トウ凸部30は、ヘッド4の基準状態における平面視(
図3の平面図)において、外輪郭線CL2に達していない。この平面視において、トウ凸部30がヘッド4の輪郭線CL2を構成していない。なお、この平面視は、基準状態のヘッドを接地平面HPに平行な平面に投影した投影像である。
【0056】
上記平面視において、トウ凸部30がヘッド4の輪郭線CL2を構成すると、ヘッドの輪郭線CL2に凹が形成されうる。この凹を有するヘッドは、ゴルフルールに違反しうる。ヘッド4は、ルールに違反しない。
【0057】
図6(a)において両矢印W3で示されるのは、接地平面HPとトウ側の端30tとの上下方向距離である。
図6(a)において両矢印W4で示されるのは、ヘッド4の上下方向幅である。幅W4の測定では、ホーゼル部16は対象外とされる。
【0058】
比(W3/W4)は限定されない。反発性能の向上等、トウ凸部30の効果を高めるには、トウ凸部30は長いほうがよい。この観点から、比(W3/W4)は、0.60以上が好ましく、0.65以上がより好ましく、0.70以上がより好ましい。トウ凸部30が輪郭線CL2(
図3参照)に近づくと、ヘッドの輪郭線CL2に凹が形成されやすくなる。ゴルフルールの観点から、比(W3/W4)は、0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましく、0.85以下がより好ましい。
【0059】
トウ凸部30と打撃フェース10aとは、ヘッド4の外側に向かって凸の曲面で繋がっている。断面線において、フェース外縁点P5から交点P4までの領域は、トウ凸部30と打撃フェース10aとを繋ぐ移行部34でありうる。移行部34は、ヘッドの外側に向かって凸の曲面である。この移行部34の曲率半径は、打撃時における打撃フェース10aの変形に影響する。移行部34の曲率半径を大きくすることで、当該移行部34での屈曲変形が抑制され、打撃時における屈曲の起点をよりバック側の頂点30aに移動させることができる。この結果、打撃時における打撃フェース10aの変形領域を大きくすることができ、反発性能が向上しうる。この観点から、移行部34の曲率半径(移行部34の各点における曲率半径の最小値)は、7mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、9mm以上がより好ましい。この曲率半径が過大であると、打撃フェース10aの外縁Feからソール面までの距離が過大となり、打撃フェース10aの上下幅が過小となりうる。この観点から、移行部34の曲率半径(移行部34の各点における曲率半径の最大値)は、25mm以下が好ましく、23mm以下がより好ましく、20mm以下がより好ましい。
【0060】
移行部34とトウ凸部30とにより、打撃フェース10aの外縁Feからトウ凸部30の頂点30aまで連続した凸曲面が形成されている。断面線において、フェース外縁点P5からトウ凸部30の頂点30aまでの領域は、移行部34とトウ凸部30の一部とで形成された凸曲面領域36である。凸曲面領域36は、ヘッドの外側に向かって凸の曲面である。この凸曲面領域36の曲率半径は、打撃時における打撃フェース10aの変形に影響する。凸曲面領域36の曲率半径を大きくすることで、当該凸曲面領域36での屈曲変形が抑制され、打撃時における屈曲の起点をよりバック側の頂点30aに移動させることができる。この結果、打撃時における打撃フェース10aの変形領域を大きくすることができ、反発性能が向上しうる。この観点から、凸曲面領域36の曲率半径(凸曲面領域36の各点における曲率半径の最小値)は、7mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、9mm以上がより好ましい。この曲率半径が過大であると、打撃フェース10aの外縁Feからソール面までの距離が過大となるか、又は、トウ凸部30の高さが過大となる。この観点から、凸曲面領域36の曲率半径(凸曲面領域36の各点における曲率半径の最大値)は、35mm以下が好ましく、33mm以下がより好ましく、30mm以下がより好ましい。
【0061】
図9において両矢印H1で示されるのは、トウ凸部30の高さである。この高さH1は、仮想延長線L1からの高さである。高さH1は、断面線において測定されうる。高さH1は、仮想延長線L1に下ろした垂線の長さとされうる。
【0062】
打撃フェース10aの変形領域を広くする観点から、頂点30aにおける高さH1は、1.5mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、2.5mm以上がより好ましい。高さH1が過大であると、トウ凸部30の質量が大きくなり、ヘッド4の設計自由度が低下しうる。この観点から、頂点30aにおける高さH1は、8mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましく、4mm以下がより好ましい。
【0063】
図9において両矢印D1で示されるのは、打撃フェース10aの下縁Fe(点P5)からトウ凸部30のバック側の起点P1までの距離である。距離D1は、フェース-バック方向に沿って測定される。反発性能を高める観点から、トウ凸部30はフェース部10から連続して設けられる。この観点から、トウ-ヒール方向の各位置において、距離D1は、25mm以下が好ましく、23mm以下がより好ましく、20mm以下がより好ましい。凸曲面領域36の曲率半径を大きくして反発性能を高める観点から、距離D1は、8mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、12mm以上がより好ましい。
【0064】
フェース-バック方向に沿った断面において、トウ凸部30の外面の最小曲率半径が定まる。換言すれば、
図9の断面線において、トウ凸部30の最小曲率半径が定まる。この最小曲率半径を有する部分は、頂点30a又はその近傍に位置するのが好ましい。頂点30aの近傍は、頂点30aから道のり距離で2mm以内が好ましく、1.5mm以内がより好ましく、1mm以内がより好ましい。この最小曲率半径により、打撃時に当該最小曲率半径を有する部分を屈曲点とすることができ、フェース部10の変形領域を拡げることができる。
【0065】
屈曲性の観点から、トウ凸部30の外面の最小曲率半径は、12mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がより好ましい。ヘッド製造における表面研磨や成形の容易性を考慮すると、この最小曲率半径は、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましく、1mm以上がより好ましい。
【0066】
図10は、
図2(a)のA-A線に沿った断面図である。この断面図は、ヘッド4の肉厚が示された通常の断面図である。
図10が示すように、フェース部10は、フェース外面10aと、フェース内面10bとを有する。フェース外面10aは、打撃フェースである。フェース内面10bは、ヘッド4の内部空間(中空部)に面している。クラウン部12は、クラウン外面12aとクラウン内面12bとを有する。クラウン内面12bは、ヘッド4の内部空間(中空部)に面している。ソール部14は、ソール外面14aとソール内面14bとを有している。ソール内面14bは、ヘッド4の内部空間(中空部)に面している。
【0067】
上述の通り、トウ凸部30は、中空である。トウ凸部30は、ソール外面14aにおいて凸を形成し、且つ、ソール内面14bにおいて凹を形成している。ソール内面14bにおける凹は、ヘッド内面において凹であり、ヘッドの外側に向かって凸であるとも言える。
【0068】
トウ凸部30の内面50とフェース内面10bとは、凹曲面で繋がっている。この凹曲面は、内面移行部54である。内面移行部54は、移行部34の内面である。移行部34と同じ理由で、内面移行部54の曲率半径は、7mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、9mm以上がより好ましい。移行部34と同じ理由で、内面移行部54の曲率半径は、25mm以下が好ましく、23mm以下がより好ましく、20mm以下がより好ましい。
【0069】
前述した凸曲面領域36の内面は、凹曲面領域56である。内面移行部54と内面50とにより、連続した凹曲面が形成されている。凸曲面領域36と同じ理由で、凹曲面領域56の曲率半径は、7mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、9mm以上がより好ましい。凸曲面領域36と同じ理由で、凹曲面領域56の曲率半径は、35mm以下が好ましく、33mm以下がより好ましく、30mm以下がより好ましい。
【0070】
なお、ヘッドの外面と内面との対応は、外面における法線に基づいて決定される。よって例えば、内面移行部54は、移行部34の各点における法線とヘッドの内面との交点の集合である。
【0071】
打撃時における屈曲の起点をバック側にシフトさせる観点から、凸曲面領域36の肉厚は、0.6mm以上が好ましく、0.65mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。トウ凸部30の頂点30a近傍での屈曲性の観点から、各評価断面において、凸曲面領域36の肉厚は、頂点30a近傍での最小肉厚以上とされるのが好ましい。打撃時における屈曲の起点をバック側にシフトさせる観点から、凸曲面領域36の肉厚の最小値が頂点30a近傍における最小肉厚であるのが好ましい。打撃時における屈曲の起点をバック側にシフトさせる観点から、凸曲面領域36の肉厚は頂点30a近傍に近づくにつれて徐々に又は段階的に薄くなるのが好ましい。頂点30a近傍での屈曲性の観点から、頂点30a近傍における最小肉厚は、2.0mm以下が好ましく、1.8mm以下がより好ましく、1.6mm以下がより好ましい。強度の観点から、頂点30a近傍における最小肉厚は、0.6mm以上が好ましく、0.65mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。これらの肉厚は、ヘッドの外面における法線に沿って測定される。頂点30a近傍とは、頂点30aからの距離が2mm以内の領域を意味しうる。この距離(2mm)は、トウ凸部30の外面の断面線に沿った道のり距離である。
【0072】
図11(a)は、第2実施形態のヘッド40をソール側から見た底面図である。
図11(b)は
図11(a)のA-A線に沿った断面図である。
図11(b)ではヘッド外面の断面線のみが示されている。
【0073】
ヘッド40は、フェース部10、クラウン部12、ソール部14及びホーゼル部16を有する。フェース部10は、打撃フェース10aを有する。打撃フェース10aは、フェース部10の外面である。打撃フェース10aは、上述の通り定義されたフェースセンターFc(図示されず)を有する。クラウン部12は、クラウン外面12aを構成している。ソール部14は、ソール外面14aを構成している。ソール部14は、トウ凸部30を有する。符号CPで示されるのは、フェースセンターFcを通り接地平面HPに垂直でフェース-バック方向に平行な平面である。トウ凸部30は、平面CPよりもトウ側に位置する。
【0074】
ソール部14は、ヒール溝42を有している。第2実施形態のヘッド40と第1実施形態のヘッド4との相違は、ヒール溝42の有無のみである。
【0075】
ヒール溝42は、トウ凸部30よりもヒール側に設けられている。ヒール溝42は、フェースセンターFcよりもヒール側に位置する部分を有している。ヒール溝42は、フェースセンターFcよりもトウ側の位置から、フェースセンターFcよりもヒール側の位置まで延在している。フェースセンターFcの下側の位置(平面CPの位置)にヒール溝42が存在している。ヒール溝42の全体が、フェースセンターFcよりもヒール側に位置していてもよい。
【0076】
ヒール溝42の外面の縦断面線は、凹を形成している。ヒール溝42は、ソール部14の外面14aに凹を形成し、ソール部14の内面に凸を形成している。ヒール溝42は、打撃時において変形しやすい。トウ凸部30とヒール溝42との組み合わせにより、反発性能が一層向上しうる。アドレス時において、ヒール溝42が設けられた部分は接地しうる。しかし、ヒール溝42は、凸部とは異なり、アドレスにおけるヘッド姿勢の安定性を損なわない。
【0077】
ヒール溝42は、バック側の輪郭線(起点)44を有する。
図11(b)において両矢印D2で示されるのは、打撃フェース10aの下縁Feから輪郭線44までの距離である。距離D2は、フェース-バック方向に沿って測定される。ヒール溝42を変形しやすくして反発性能を高める観点から、トウ-ヒール方向の各位置において、距離D2は、30mm以下が好ましく、28mm以下がより好ましく、25mm以下がより好ましい。距離D2が過小であると、ヘッドの製造方法に制約が生じうる。この観点から、距離D2は、10mm以上が好ましく、12mm以上がより好ましく、14mm以上がより好ましい。
【0078】
ヒール溝42は、フェース側の輪郭線(起点)46を有する。
図11(b)において両矢印D3で示されるのは、打撃フェース10aの下縁Feから輪郭線46までの距離である。距離D3は、フェース-バック方向に沿って測定される。ヒール溝42を変形しやすくして反発性能を高める観点から、トウ-ヒール方向の各位置において、距離D3は、20mm以下が好ましく、18mm以下がより好ましく、15mm以下がより好ましい。距離D3が過小であると、ヘッドの製造方法に制約が生じうる。この観点から、距離D3は、6mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、10mm以上がより好ましい。
【0079】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
打撃フェースを形成するフェース部と、クラウン部と、ソール部と、ホーゼル部とを有しており、
前記打撃フェースが、フェースセンターを有しており、
前記ソール部が、前記フェースセンターよりもトウ側に設けられた凸部であって中空であるトウ凸部を有しており、
前記トウ凸部が、前記フェースセンターよりもヒール側には存在せず、
前記トウ凸部が、前記フェース部に連続して形成されているゴルフクラブヘッド。
[付記2]
前記トウ凸部の頂点の高さが、1.5mm以上8mm以下である付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記3]
前記トウ凸部が、前記打撃フェースの下縁からバック側に25mm以内の領域に設けられている付記1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
前記トウ凸部の外面の断面線の最小曲率半径が、10mm以下である付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記5]
前記ソール部が、前記トウ凸部よりもヒール側に設けられたヒール溝を更に有しており、
前記ヒール溝が、前記フェースセンターよりもヒール側に位置する部分を有している付記1から4のいずれか1項の記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
前記トウ凸部が、そのトウ側において、前記フェースセンターよりも上側の位置まで延在しており、
前記ヘッドの基準状態における平面視において、前記トウ凸部が前記ヘッドの輪郭線を構成していない付記1から5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0080】
2・・・ゴルフクラブ
4、40・・・ヘッド
6・・・シャフト
8・・・グリップ
10・・・フェース部
10a・・・打撃フェース
12・・・クラウン部
12a・・・クラウン外面
14・・・ソール部
14a・・・ソール外面
14d・・・ソール基面
30・・・トウ凸部
32・・・ソール基面とトウ凸部との境界線
42・・・ヒール溝
L1・・・ソール基面の仮想延長線
L2・・・打撃フェースの仮想延長線
Fe・・・打撃フェースの外縁
Z・・・シャフト軸線
CG・・・ヘッド重心
SS・・・スイートスポット