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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114374
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】センサを備える装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G08C 15/06 20060101AFI20220729BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20220729BHJP
   G08C 25/04 20060101ALI20220729BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
G08C15/06 H
G08C17/00 Z
G08C25/04
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010672
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】391021684
【氏名又は名称】菱洋エレクトロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】網中 賢介
(72)【発明者】
【氏名】福島 章雄
【テーマコード(参考)】
2F073
5K201
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA03
2F073AB01
2F073BB01
2F073BB07
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC09
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD05
2F073DD07
2F073DE08
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG06
2F073GG08
2F073GG09
5K201BA02
5K201CC01
5K201EB07
5K201ED09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ネットワークの負荷を抑制しながら、センサが感知した情報を管理サーバに集積する手段を提供する。
【解決手段】センサモジュール2400はセンサ2100が感知した内容に関するデータとタイムスタンプとを出力し、ログ管理モジュール2500は出力されるデータ及びタイムスタンプをペアにして記憶し、無線通信モジュール2300は出力されるデータ及びタイムスタンプを管理サーバに送信し、管理サーバから再送信を要求する信号を受信し、前記再送信を要求する信号は時間を指定する情報を含み、データ抽出モジュール2200は前記指定された時間に基づきログ管理モジュールに保存されているデータ及びタイムスタンプを対にして抽出し、無線通信モジュール2300は抽出したデータ及びタイムスタンプを管理サーバに送信するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを備える装置であって、前記装置は、
センサモジュールと、
無線通信モジュールと、
ログ管理モジュールと、
データ抽出モジュールと、
を更に備え、
前記センサモジュールは、前記センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとを出力するように構成され、
前記ログ管理モジュールは、前記出力されるデータ及びタイムスタンプをペアにして記憶するように構成され、
前記無線通信モジュールは、
前記出力されるデータ及びタイムスタンプを、管理サーバに送信し、
前記管理サーバから、再送信を要求する信号を受信する、
ように構成され、
前記再送信を要求する信号は、時間を指定する情報を含み、
前記データ抽出モジュールは、前記指定された時間に基づき、前記ログ管理モジュールに保存されているデータ及びタイムスタンプを対にして抽出するように構成され、
前記無線通信モジュールは、前記抽出したデータ及びタイムスタンプを、管理サーバに送信するように構成される、
装置。
【請求項2】
請求項1の装置であって、前記無線通信モジュールは、LPWA(Low Power Wide Area)の通信規格に基づいて、データの送受信を行うように構成される、装置。
【請求項3】
管理サーバと、複数の請求項1又は2の装置を備えるシステムであって、
前記管理サーバは、第2のログ管理モジュールと、第2の通信モジュールと、再送信要求生成モジュールとを備え、
前記第2の通信モジュールは、前記センサを識別する情報と、前記センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとを受信するように構成され、
前記第2のログ管理モジュールは、前記センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとを記憶するように構成され、
前記再送信要求生成モジュールは、各装置が送信した前記センサが感知した内容に関するデータを解析して、欠損時間を特定し、前記欠損時間を含むデータの再送信を要求する信号を生成し、
前記第2の通信モジュールは、前記生成した信号を、前記装置に送信するように構成される、
システム。
【請求項4】
請求項3のシステムであって、
前記装置のデータ抽出モジュールは、再送信を要求する前記信号に応答して、要求されたデータが存在しないことを示す信号を生成することができるように構成され、
前記管理サーバの第2の通信モジュールが当該信号を受信したときに、前記再送信要求生成モジュールが、それ以降、前記欠損時間を指定するデータの再送信を要求する信号を生成しないように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを備える装置及びシステムに関する。より具体的には、センサ感知したデータを記憶する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、あらゆる物をインターネットに接続する構想(IoT、Internet Of Things)が提唱されている。こうした分野における応用の一形態において、所定の場所に各種センサを設置して、環境を監視する仕組みがある。
【0003】
こうした環境を監視するために、センサを備える装置が屋外などに設置される。そして、センサが感知した情報が、管理サーバ等に送信される。
【0004】
特許文献1では、センサと無線通信手段とを組み合わせた機器を開示している。更に、特許文献1では、前回の無線信号の送信が正しく完了しなかったと認識した場合には、前回送るはずだったデータ(送信を完了できなかったデータ)を再送する処理を行うことを開示している。
【0005】
特許文献2は、センサ装置と、センサ装置からのデータを管理するサーバを備えたシステムが開示されている。当該システムは、計測時刻の同時性を示すタイムスタンプ補正方法を実現することを目的としている。この目的で、パケットの中継装置の受信時刻を利用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-101505号公報
【特許文献2】特開2020-141164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
センサが感知した情報を、ログデータとして管理サーバに集積する際に問題となるのが、送信データの損失である。特に、無線通信の場合には、周囲のノイズ等の影響を受けやすく、送信データの損失が発生しやすい。一方で、無線通信の場合には、ネットワークの容量の制限が厳しいという理由から、データの送受信は最小限にしたいという要求もある。
【0008】
以上の点に鑑み、本発明は、ネットワークの負荷を抑制しながら、センサが感知した情報を管理サーバに集積する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が鋭意検討したところ、管理サーバで記憶されるデータは、完全に揃っている必要はなく、多少のデータ欠損があっても、欠損の時間帯の前後からみて、補填の必要がない場合もある。従って、管理サーバからの要求に応じて、データを再送信する構成にすることで、最小限のネットワーク負荷で、データの補填を行うことができる。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいて完成され、一側面において、以下の発明を包含する。
(発明1)
センサを備える装置であって、前記装置は、
センサモジュールと、
無線通信モジュールと、
ログ管理モジュールと、
データ抽出モジュールと、
を更に備え、
前記センサモジュールは、前記センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとを出力するように構成され、
前記ログ管理モジュールは、前記出力されるデータ及びタイムスタンプをペアにして記憶するように構成され、
前記無線通信モジュールは、
前記出力されるデータ及びタイムスタンプを、管理サーバに送信し、
前記管理サーバから、再送信を要求する信号を受信する、
ように構成され、
前記再送信を要求する信号は、時間を指定する情報を含み、
前記データ抽出モジュールは、前記指定された時間に基づき、前記ログ管理モジュールに保存されているデータ及びタイムスタンプを対にして抽出するように構成され、
前記無線通信モジュールは、前記抽出したデータ及びタイムスタンプを、管理サーバに送信するように構成される、
装置。
(発明2)
発明1の装置であって、前記無線通信モジュールは、LPWA(Low Power Wide Area)の通信規格に基づいて、データの送受信を行うように構成される、装置。
(発明3)
管理サーバと、複数の発明1又は2の装置を備えるシステムであって、
前記管理サーバは、第2のログ管理モジュールと、第2の通信モジュールと、再送信要求生成モジュールとを備え、
前記第2の通信モジュールは、前記センサを識別する情報と、前記センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとを受信するように構成され、
前記第2のログ管理モジュールは、前記センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとを記憶するように構成され、
前記再送信要求生成モジュールは、各装置が送信した前記センサが感知した内容に関するデータを解析して、欠損時間を特定し、前記欠損時間を含むデータの再送信を要求する信号を生成し、
前記第2の通信モジュールは、前記生成した信号を、前記装置に送信するように構成される、
システム。
(発明4)
発明3のシステムであって、
前記装置のデータ抽出モジュールは、再送信を要求する前記信号に応答して、要求されたデータが存在しないことを示す信号を生成することができるように構成され、
前記管理サーバの第2の通信モジュールが当該信号を受信したときに、前記再送信要求生成モジュールが、それ以降、前記欠損時間を指定するデータの再送信を要求する信号を生成しないように構成される、システム。
【発明の効果】
【0011】
一側面において、無線通信モジュールは、管理サーバから、再送信を要求する信号を受信するように構成される。そして、再送信を要求する信号は、時間を指定する情報を含み、データ抽出モジュールは、指定された時間に基づき、ログ管理モジュールに保存されているデータ及びタイムスタンプを対にして抽出するように構成される。更に、無線通信モジュールは、抽出したデータ及びタイムスタンプを、管理サーバに送信するように構成される。
【0012】
これにより、管理サーバが必要とする場合だけデータを再送信することになる。よって、ネットワークの負荷を抑制しながら、センサが感知した情報を管理サーバに集積することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態における本発明のシステムの構成を示す。
図2】一実施形態における本発明の装置の構成を示す。
図3】一実施形態における本発明の管理サーバの構成を示す。
図4】一実施形態における本発明のシステムを用いたフローを示す。
図5】一実施形態における本発明の装置が管理サーバに送信するデータの構造を示す。
図6】一実施形態における本発明のシステムを用いたフローを示す。
図7】一実施形態における本発明の管理サーバの再送信要求生成モジュールが解析した結果のデータの欠損状況(上段のグラフ)、及び、可能性のあるデータの変化(下段の3つのグラフ)を示す。いずれのグラフにおいても、横軸は時間を示し、縦軸はセンサの値を示す。
図8】一実施形態における本発明の装置が管理サーバに送信するデータの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0015】
1.システムの概要
一実施形態において、本発明は、ログを収集するシステムに関する。前記システムの具体例を図1に示す。前記システムは、管理サーバ(1200)と、センサを備える複数の装置(1100)とを備える。複数の装置(1100)と、管理サーバ(1200)は、相互にネットワークで接続される。ネットワークは、無線接続であってもよく、有線接続であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、管理サーバ(1200)と装置(1100)との間には、ゲートウェイ(1300)などを設けてもよい。
【0016】
管理サーバ(1200)は、特定の形態に限定されず、クラウド形態であってもよく、オンプレミス形態であってもよい。また、オンプレミスの管理サーバ(1200)は、当分野で公知の情報処理装置(典型的には、プロセッサ、メモリ、記憶媒体、通信モジュール(例えばネットワークアダプタ等)を備える物)を用いて構成されてもよい。
【0017】
2.装置
図1に示す装置(1100)の構成の概要を図2に示す。装置は、センサ(2100)の他に、センサモジュール(2400)と、無線通信モジュール(2300)と、ログ管理モジュール(2500)と、データ抽出モジュール(2200)とを更に備える。
【0018】
センサ(2100)は、特に限定されず、当分野で公知の任意のセンサであってもよい。センサの例として以下が挙げられる:人感センサ、光センサ、湿度センサ、温度センサ、気圧センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、加速度センサ、音センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、圧力センサ、電流及び/又は電圧センサ、エンコーダ、水分量センサ等。また、センサは1つであってもよく、又は、同一の装置内に複数設けられてもよい。図2では、センサB01とセンサB02の2種類のセンサが備えられている構成が示されている。
【0019】
センサモジュール(2400)は、センサ(2100)が感知した内容に関するデータをセンサ(2100)から受信することができる。また、センサモジュール(2400)は、当該受信したデータと、タイムスタンプとを組み合わせたデータを出力することができる。
【0020】
ログ管理モジュール(2500)は、上記センサモジュール(2400)が出力するデータをログデータとして記憶することができる。より具体的には、ログ管理モジュール(2500)は、センサ(2100)が感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとをペアにして記憶することができる。
【0021】
無線通信モジュール(2300)は、管理サーバ(1200)にデータを送信するように構成される。送信するデータには、上記センサモジュール(2400)が出力するデータも含まれる。また、上記データ以外に、更にセンサの識別情報、及び/又は、装置の識別情報を付加してもよい。無線通信規格は、特に限定されず、Bluetooth(登録商標)、Wifi(登録商標)、LPWAなど、当分野で公知の通信規格を利用することができる。好ましい通信規格はLPWAである。この理由として、装置として設置される場合に、電力を大量に消費するとバッテリ交換などのメンテナンスが発生したり、或いは設置時に電源ケーブルを引くなどの手間が生じたりしてしまう。しかし、LPWAの場合には、低消費電力という特性があるため、こうした手間が生じることを回避できる。更には、LPWAは到達距離が長いため、例えば、工場などの様に広い敷地に設置するのに適している。
【0022】
LPWAは、当分野で公知の規格を含むことができ、例えば、「LoRa」「SIGFOX」「NB-IoT」等が挙げられる。特に好ましいのは、「LoRa」である。この理由として、無料で使用可能であること、消費電流が小さいこと、自営網が自由に作れることなどが挙げられる。
【0023】
また、無線通信モジュール(2300)は、管理サーバ(1200)から、特定の信号を受信するように構成される。受信する信号には、データの再送信を要求する信号が含まれる。再送信を要求する信号には、時間を指定する情報が含まれる。即ち、どの時間帯のデータが欲しいかを指定するための情報が含まれる。また、装置内に複数のセンサ(2100)が備えられている可能性もあるので、好ましくは、再送信を要求する信号には、センサ(2100)を特定するためのセンサ識別情報が含まれる。
【0024】
データ抽出モジュール(2200)は、時間を指定する情報を無線通信モジュール(2300)から受信する。そして、データ抽出モジュール(2200)は、当該情報に基づいて、ログ管理モジュール(2500)に保存されているデータ及びタイムスタンプを対にして抽出する。抽出したデータ及びタイムスタンプの情報は、無線通信モジュール(2300)に送信され、そして、無線通信モジュール(2300)が、管理サーバ(1200)に送信する。なお、時間を指定する情報に基づいて、ログ管理モジュール(2500)に保存されているデータを照会したときに、該当するデータが無い場合には、データ抽出モジュール(2200)は、データが要求されたデータが存在しないことを示す信号を生成することができる。そして、データが要求されたデータが存在しないことを示す信号を、無線通信モジュール(2300)が、管理サーバ(1200)に送信する。
【0025】
以上のような構成の装置(1100)を利用することで、管理サーバ(1200)側からの要求に応答して、必要なデータを提供することができる。また、ログなどの形で、端末側でデータを記憶することで、例えば、現場作業員が、当該装置に、作業用情報処理端末(スマートフォン、タブレット、PC等)をつないでデータを確認することができる。無論、管理サーバ(1200)側にもデータがあるので、現場作業員は、管理サーバ(1200)側からデータを取ることも可能ではある。しかし、管理サーバ(1200)側ではデータの欠損が発生する可能性もあり、また、データが大量になる場合には、管理サーバ(1200)側からネットワークを通して取得するのは負荷がかかる。その点、作業用情報処理端末を装置(1100)に直接つなぐ場合には、時間もかからず、ネットワーク負荷もない。こうした観点から、装置(1100)は、好ましくは、情報処理端末と接続するためのインターフェースモジュールを備えてもよい。接続の規格は特に限定されず、当分野で公知の規格を採用すればよい(例えば、USB等)。
【0026】
また、ログなどの形で、装置(1100)側でデータを記憶することで、現在のデータと過去のデータの比較を行うことができる。これによって、異常が発生したことを端末側で検知することができる。こうした観点から、装置(1100)は、好ましくは、異常検知モジュールを備えることができる。異常検知モジュールは、センサモジュール(2400)から送信されたデータと、ログ管理モジュール(2500)によって保存される過去のデータ(例えば、過去の所定期間内のデータの平均値)との比較を行う。そして、両者が、所定の範囲を超えて乖離している場合には、警告メッセージを作成することができる。当該警告メッセージは、無線通信モジュール(2300)等を通して、管理サーバ(1200)に送信されてもよい。
【0027】
3.管理サーバ
図1に示す管理サーバ(1200)の構成の概要を図3に示す。管理サーバは、第2のログ管理モジュール(3100)と、第2の通信モジュール(3200)と、再送信要求生成モジュール(3300)とを備えることができる。
【0028】
第2の通信モジュール(3200)は、上述した装置(1100)、より具体的には無線通信モジュール(2300)から送信された情報を受信するように構成される。受信される情報には、センサ(2100)が感知した内容に関するデータと、タイムスタンプとが含まれる。これらに加えて、受信される情報には、装置の識別情報、及び/又は、センサの識別情報が含まれてもよい。
【0029】
第2のログ管理モジュール(3100)は、第2の通信モジュール(3200)が受信した情報を記憶することができる。具体的には、センサが感知した内容に関するデータと、タイムスタンプと記憶することができる。好ましくは、装置の識別情報、及び/又は、センサの識別情報も記憶することができる。
【0030】
再送信要求生成モジュール(3300)は、第2のログ管理モジュール(3100)が記憶したデータにアクセスすることができる。そして、データを解析し、欠損時間を特定し、データの再送信を要求する信号を生成することができる。再送信を要求する信号は、上述したように、どの時間の情報が必要なのかを示す情報が含まれる。好ましくは、再送信を要求する信号は、装置の識別情報、及び/又は、センサの識別情報も含む。即ち、どの装置のどのセンサの情報が必要なのかを示す情報が含まれる。
【0031】
第2の通信モジュール(3200)は、再送信を要求する信号を装置(1100)に送信することができる。これにより、装置(1100)は、要求された時間のデータを再送信することができる。
【0032】
第2のログ管理モジュール(3100)は、再送信されたデータを記憶することができる。これにより、特定の時間帯の情報の欠損を補填することができる。
【0033】
なお、再送信要求生成モジュール(3300)が、第2の通信モジュール(3200)を通して、要求されたデータが存在しないことを示す信号を受信した場合には、前記再送信要求生成モジュールが、それ以降、前記欠損時間を指定するデータの再送信を要求する信号を生成しないように構成されてもよい。
【0034】
4.ログの送信のフロー
一実施形態において、本発明は、上記システムを用いたログの送信の方法に関する。装置から管理サーバへのログの送信は、データを取得するたびに行ってもよく(リアルタイム送信)、或いは、ある程度データが集積した時点で行ってもよい(定期送信)。
【0035】
図4では、定期送信を例にとって、ログ送信のフローを示す。
【0036】
装置は、サンプリングタイマーを備える。当該タイマーは、センサからデータを取得するタイミングを設定することができる。取得するタイミングは、特に限定されず、例えば、1秒ごと、1分ごと、1時間ごと、12時間ごと、24時間ごとなどのように任意のタイミングを設定すればよい。また、夜間と日中でタイミングを変更してもよい。
【0037】
センサモジュールは、サンプリングタイマーから定期的に出力される(4100)情報をトリガーとして、センサからデータを取得することができる(4200)。また、この時に、サンプリングタイマーからタイムスタンプの情報を得てもよい(4300)。そして、センサモジュールは、センサからのデータとタイムスタンプとを組み合わせたデータを出力することができる。また、ログ管理モジュールは、センサからのデータとタイムスタンプとを組み合わせたデータを記憶することができる(4400)。
【0038】
上述の様にサンプリングタイマーは、定期的にトリガーとなる情報を出力し、そのたびに、センサモジュール等はセンサからのデータに関する処理を繰り返す(例えば、4100~4400)。
【0039】
また、サンプリングタイマーは、センサからのデータの取得とは別の第2のトリガー情報を、別途定期的に出力する(4500)。この第2のトリガー情報は、管理サーバにデータを送信するタイミングに関連する。また、この時に、無線通信モジュールはサンプリングタイマーからタイムスタンプの情報を得てもよい。管理サーバにデータを送信するタイミングについては特に限定されず、例えば、1秒ごと、1分ごと、1時間ごと、12時間ごと、24時間ごとなどのように任意のタイミングを設定すればよい。ただし、センサからデータを取得するための上述したトリガー(第1のトリガー)情報の頻度よりは少ない。即ち、第1のトリガーに応答して取得されたデータがある程度集積した時点で、管理サーバに送信することができる。
【0040】
第2のトリガー情報に応答して、無線通信モジュールは、管理サーバに送信するためのデータを生成することができる(4600)。データの構造の一例を図5に示す。送信用のデータは、例えば、メッセージID、送信用タイムスタンプ、センサID、及びデータを含む。メッセージIDは、送信するためのデータに割り当てられる一意の識別情報である。送信用タイムスタンプは、データの送信時の時刻を特定する情報である。例えば、上記第2のトリガー情報が出力されたタイミングで無線通信モジュールがタイムスタンプの情報をサンプリングタイマーから得てもよい。センサIDは、センサを特定するためのセンサ識別情報である。データは、センサからのデータである。なお、センサID及びデータは複数セット含んでもよい。図5の場合には、図2に示す装置においてセンサが2つ搭載されていることに対応して、各々の各センサID及びデータ(センサID1、データ1、センサID2、データ2)が、送信用データに含まれている。データ1及びデータ2には、センサから得られたデータと、第1のトリガー情報に対応して得られたタイムスタンプの情報がペアで含まれている。また、必須ではないが、データが終了したことを示す終了フラグをデータ構造の末尾に設定してもよい。
【0041】
データを作成した後は、無線通信モジュールは、管理サーバにデータを送信する(4700)。その後、管理サーバの第2のログ管理モジュールが受信したデータを記憶する(4800)。これにより、管理サーバ側にデータが蓄積される。
【0042】
5.ログの再送信要求のフロー(図6
データ蓄積後は、管理サーバ側の再送信要求生成モジュールが、蓄積したデータの解析を行うことができる。解析を行うタイミングは、定期的に実行される方式であってもよく、或いは、ユーザからの指示等によって実行される方式であってもよい。定期的に実行される方式の場合には、上述したサンプリングタイマーと同様に、タイマーからの定期的なトリガー情報に応答して実行される方式であってもよい。
【0043】
再送信要求生成モジュールは、蓄積データを解析し、センサのデータを時系列でソートしたときに、欠損している時間帯がないかどうかを判定する(6100、6200)。この判定方法は特に限定されず、例えば、他の時間帯は10分ごとにデータが存在するのに、ある特定の時間帯だけ、データ同士の間隔が10分以上空いている箇所があるといった形で判定してもよい。
【0044】
好ましい実施形態において、再送信要求生成モジュールは、更なる判定を実施してもよい。より具体的には、欠損している時間帯がある場合に、当該時間帯のデータを補填する必要があるかどうかの判定を実施してもよい(6300、6400)。当該必要性の判定方法は特に限定されない。例えば、判定の際の必要な要素として、以下のものが挙げられる:センサの種類、欠損している時間帯の間隔の長さ、欠損している時間帯の前後でのセンサのデータの値の差異、過去のデータの傾向。
【0045】
センサの種類に関して、例えば、気温を測定するための温度センサであれば、1日の気温変化について、10分以内に著しく変化することはないため、短い時間間隔の欠損であれば、許容可能となる。一方で、電流計等の場合には、一瞬であっても過電流(例えば、停電後の復電時に流れる電流)があると機器の故障につながるため、ミリ秒単位での計測が必要になる。従って、センサの種類に応じて許容可能な欠損時間などを記憶したデータベースを、管理サーバは別途備えてもよい。そして、当該データベースを利用して、再送信要求生成モジュールが判定してもよい。
【0046】
また、欠損している時間帯の間隔の長さについては、短い時間間隔であれば、当該時間間隔内で、重要な変化が起こる蓋然性が低いため、あえて欠損している時間帯のデータを補填する必要性が低くなる。逆に、長い時間間隔であれば、当該時間間隔内で、重要な変化が起こる蓋然性が高いため、欠損している時間帯のデータを補填する必要性が高くなる。欠損している時間帯の間隔の長短の判定は、絶対的なものではなく、上述の様にセンサ等によって変わってくる相対的なものである。従って、上述の様にデータベース等を設けて、センサごとに判定できるようにするのが好ましい。
【0047】
さらに、欠損している時間帯の前後でのセンサのデータの値が大きく異なっている場合には、欠損している時間帯における変化も追跡する必要性が高くなる。例えば、図7の上段に示すように、欠損している時間帯の前後で、温度センサの値が大幅に下降している場合には、下降が起こるタイミングを特定する必要があり、欠損している時間帯の終了側の方で発生しているのか(図7の下段左)、開始側の方で発生しているのか(図7の下段右)、急下降しているのか、緩やかに下降しているのか(図7の下段中央)といった情報が必要となる。
【0048】
そして、過去のデータの傾向については、例えば、過去のデータから特定の時間帯では著しい変化が起こり、別の特定の時間帯ではほとんど変化がないといった傾向があることが分かっている場合が挙げられる。欠損している時間帯が、過去のデータの傾向から大きな変化が起こらないことが事前に判明している場合には、データの補填の必要性がないと判定することができる。
【0049】
また、必要性の判定の別の形態としては、ある特定の時間帯において、第1のセンサでの値に変化があった場合、尚且つ、同じ時間帯に第2のセンサの値のデータが欠損している場合が挙げられる。この場合には、第2のセンサが出力する値は、第1のセンサでの値の変化の原因の究明に寄与する可能性があり、データを補填する必要性が高くなる。
【0050】
なお、既に過去に再送信を要求しており、要求されたデータが存在しないことを示す信号を装置側から受信している場合には(例えば、再送信要求をログで管理しておき、該当のログが存在している場合には)、データの補填の必要性なしと判定してもよい。これによって、何度も再送信の要求が発生して通信が徒に増大することを防止することができる。
【0051】
上述した必要性の判定については、データベース及びプログラムを組み合わせて利用することで実現が可能である。
【0052】
欠損している時間帯のデータの補填が必要と判定された場合には、再送信要求生成モジュールは、データの再送信を要求する信号を生成する(6500)。信号の形式は特に限定されないが、例えば、センサの識別情報、及び、欠損している時間を指定する情報を含むことができる。好ましくは、装置の識別情報を更に含んでもよい。時間を指定する情報の形式は特に限定されない。例えば、開始時刻と終了時刻の組み合わせであってもよい。或いは、時刻の情報と前後時間幅の情報とを組み合わせてもよい(例えば、「2020/11/26 9:40:00」と、「±0:10:00」の組み合わせといった、9:40の時間の前後10分)。或いは、開始時刻の情報のみであってもよい。この場合には、初期設定値で、開始時刻からN番目のデータまでを要求するといった形で、予めルールを設定しておけばよい。
【0053】
信号のデータ形式の例を、図8に示す。データは、例えば、メッセージID、送信用タイムスタンプ、センサID、及び開始時刻を含む。メッセージID、送信用タイムスタンプ、センサIDの役割は、図5に示すデータ形式の例と同様であってもよい。開始時刻は、欠損している時間帯の開始時刻である。
【0054】
欠損時間を含むデータの再送信を要求する信号を生成した後は、第2の通信モジュールが当該信号を、欠損時間を含むデータの提供元である装置に送信する(6600)。
【0055】
装置の無線通信モジュールは、データの再送信を要求する信号を受信する。その後、データ抽出モジュールは、データの再送信を要求する信号に含まれる指定された時間に基づき、ログ管理モジュールに保存されているデータ及びタイムスタンプを対にして抽出する(6700)。例えば、図8の場合には、データ抽出モジュールは、開始時刻から最も近いデータを所定の数だけ抽出する。より具体的な例として、データ抽出モジュールは、開始時刻以降のデータであって、且つ、開始時刻「2020/11/26 9:50:00」から最も近いデータを4つ抽出する。無線通信モジュールは、抽出後のデータを管理サーバに送信する(6800)。
【0056】
管理サーバの第2のログ管理モジュールは、抽出後のデータを記憶する(6900)。これにより、管理サーバ側で保存されたデータにおける欠損部分の補填が完了する。
【0057】
以上のような構成及び方法を採用することで、管理サーバ側での必要なデータの欠損を防止することができる。しかも、必要以上にネットワークに負荷がかかるのを回避することができる。この点は、特定の無線通信等のように、データのロスが多いにも関わらず、回線容量が限られているケースにおいて、大きなメリットとなる。
【0058】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に適用することができる。また、特記しない限り、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8