(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114402
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】マスクおよびマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220729BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021010715
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】519126332
【氏名又は名称】株式会社はちみつクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】田中 義之
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185BA12
2E185BA16
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】
マスク着用時にマスク内側の密閉度を高められるとともにマスク内側の環境を快適に保ち且つ眼鏡のくもり防止をも可能とするシンプルでコンパクトな構造で誰でも容易に着用可能とするマスクおよびこのマスクの製造方法を提供すること。
【解決手段】
口元および鼻を覆う本体部100と、本体部100の両側端部100a,100bに設けられた耳掛け用部120とを有するマスク10に於いて、本体部100の下端部100cに柔軟性を有し折り曲げ自在な厚さ0.1mm~1.0mmのアルミニウム板140を内包するよう設けたことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口元および鼻を覆う本体部と、
この本体部の両側端部に設けられた耳掛け用部とを有するマスクに於いて、
上記本体部の下端部に柔軟性を有し折り曲げ自在な金属部材を内包するよう設けたことを特徴とするマスク。
【請求項2】
上記金属部材は、アルミニウムまたは錫、若しくはアルミニウムおよび錫の少なくともいずれかを含む合金から成り、その厚みが0.1mm~1.0mmであることを特徴とする請求項1記載のマスク。
【請求項3】
上記本体部の上端部に柔軟性を有し折り曲げ自在なノーズフィット用部材を内包するよう設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のマスク。
【請求項4】
口元および鼻を覆うための本体部の下端部側を折り曲げる工程と、
この折り曲げられた部位内に柔軟性を有し折り曲げ自在な金属部材を設置する工程と、
この金属部材を内包するよう上記折り曲げられた部位の一縁部を上記本体部に接続する工程と、
上記本体部の両側端部に耳掛け用部を設ける工程とを具備することを特徴とするマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用状態の改善を図ったマスクおよびマスクの製造方法、特に風邪や花粉、ウィルス等の飛沫対策或いは防寒や保湿等の目的で日常的に使用される家庭用マスクの着用時に、長時間に渡り安全・安心、快適に使用可能とし、また眼鏡のくもり防止をも図ったマスクおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風邪や花粉、細菌やウィルス等の飛沫対策或いは防寒や保湿等の目的で日常的に使用されるマスクは、フェースマスクまたは家庭用マスクとも称され、ガーゼタイプのもの、不織布タイプのもの或いはポリウレタンタイプのもの他種々のものが提供されている。特に近時は、新型コロナウイルス感染症の流行もあり、フィルタ機能や密閉機能を重視した種々のものが提案されている。
【0003】
ここで、高いフィルタ機能や密閉機能を追求すればする程、着用時に於けるマスクの内側の環境のコントロールが難しくなる傾向にある。これは、マスク着用者にとっては、快適さが損なわれることは否めないものである。特に、マスク着用が苦手な者にとっては、息苦しくてとても辛いものである。
【0004】
また、例えば、高齢者や幼少児或いは心肺能力が劣る者や体調が優れない者にとっても、とても辛いものである。場合によっては、過呼吸に陥る虞も否めないものである。
【0005】
他方、マスク着用を苦にしない者であっても、高い気温や高湿度等の状況下にあっては、やはり辛いものである。
【0006】
さらには、マスク着用時、呼気はマスク下部側よりも上部側から排出される傾向にあるので、密閉度を高めれば高める程、眼鏡がくもり易くなるものである。最悪の場合、常にマスクがくもった状態になることもある。
【0007】
下記特許文献1には、フィルタ機能を有するマスク本体に装着する補助具が開示されている。このものにあっては、フィルタ機能を有するマスク本体の上縁部を、外面器具並びに排気弁箱および排気管から成る排気装置を有する内面器具で挟み、マスク本体上縁部の隙間を外面器具に取り付けられた耳掛け紐を耳に装着することで圧迫して塞ぐこと等により、マスク本体内の呼気を上記排気装置を介して外部へ排出するよう構成したものである。これにより、フィルタ機能を維持しマスク本来の機能を確実にしつつ、呼気で眼鏡がくもることを防止したことを特徴としたものである。
【0008】
下記特許文献2には、マスク上部にフエルトを取り付けて肌への密着度および密閉度を高めて不必要な空気の流通を妨ぐ合成皮革生地を使用したマスクが開示されている。このものにあっては、12ヶ所に直径5mmのハトメ付き空気穴が設けられており、この空気穴を介してのみ息の吸入および排気ができるように構成してある。この構成により、密閉度を高めつつも眼鏡のくもり防止を図れることを特徴としたものである。
【0009】
下記特許文献3には、粘着シールに針金を貼りつけ、これをマスクの上端部側に貼りつけて使用する、眼鏡のくもらない風邪用マスクが開示されている。このものにあっては、針金付き粘着シールをマスクに貼ることにより、着用者個々の鼻の形状にぴったりと密着させることができるようにし、眼鏡のくもりを防止しようとすることを特徴としたものである。
【0010】
下記非特許文献1には、マスク着用時の息苦しさ、即ちマスク内の環境改善を図ったマスク用補助具が開示されている。このものにあっては、本体部分の一端部にステンレス製クリップが取り付けられた口径約1cm、長さ約5cmの透明な塩化ビニル樹脂製のチューブを、マスク内側の中央下端部に取り付けて着用することにより、マスク内の湿気と熱気を排出するようにしたことを特徴としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平2012-228490号公報
【特許文献2】実用新案登録第3060155号公報
【特許文献3】実用新案登録第3068062号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】https://raytrilogy.theshop.co.jp/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示されたものは、マスク本体の内面側と顔面との間に形成される外気よりも大きな圧力を排気弁箱と排気管を介してマスク本体の外部に排出することで、マスク本体のフィルタ機能を維持しつつ、マスク本体内から漏れ出る呼気で眼鏡がくもることを防止できるが、構造が複雑なものである。また、通常使用されている使い捨てマスクの殆どのものに繰り返し使用可能かもしれないが、適切に取り付けて着用する必要があり、利用者はその着用を習熟する必要がある。このため、利用者は、幾分煩わしい作業を強いられるものである。また、高齢者や幼少者にとっては、極めて煩わしい作業を強いられるものである。若しくは、他の人の助けを要するものである。
【0014】
特許文献2に開示されたものは、鼻の上部で眼鏡がマスクの上部を押さえるので、息漏れが少なく眼鏡がくもり難くなるかもしれないが、素材に風通しの悪い合成皮革生地を使用しているので、マスク内の環境は快適とは言い難いものである。また、特殊な素材と構造であるため、実用面や経済面での優位性は見出せないものである。
【0015】
特許文献3に開示されたものは、マスクの上端部側にて鼻およびその周辺を押さえるので、上部側への呼気の漏れが少なくなるかもしれないが、下端部側の密着性の問題が生じるものである。即ち、下端部側に外部と通じる隙間が生じ、マスク本来の機能を損なう虞があるものである。
【0016】
非特許文献1に開示されたものは、本体部分に軽量で柔らかな素材を用いているので、着用するマスクの密閉度を高めると、本体部分が変形して或いは潰れて、通気機能が損なわれてしまう虞があるものである。また、薄目の生地より成るマスク、例えば不織布マスクへの取り付けを想定しているので、利用範囲が限られてしまうものである。さらには、マスク用補助具を取り付けることによる違和感が生じる虞があることは否めないものである。
【0017】
そこで、本発明は上記事情を考慮してなされたもので、上述した不具合を解消し、マスク着用時にマスク内側の密閉度を高められるとともにマスク内側の環境を快適に保ち、且つ眼鏡のくもり防止をも可能とするシンプルでコンパクトな構造で容易に着用可能とするマスクおよびこのマスクの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、生産性および経済性に優れるマスクおよびこのマスクの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために以下の通りの構成とすることを特徴とする。
【0019】
(1) 口元および鼻を覆う本体部と、この本体部の両側端部に設けられた耳掛け用部とを有するマスクに於いて、上記本体部の下端部に柔軟性を有し折り曲げ自在な金属部材を内包するように設けた構成としたことを特徴とする。
【0020】
(2) 上記(1)の構成にあって、上記金属部材は、アルミニウムまたは錫、若しくはアルミニウムおよび錫の少なくともいずれかを含む合金から成り、その厚みが0.1mm~1.0mmであるよう構成したことを特徴とする。
【0021】
(3) 上記(1)または(2)の構成にあって、上記本体部の上端部に柔軟性を有し折り曲げ自在なノーズフィット用部材を内包するよう設けた構成としたことを特徴とする。
【0022】
(4) 口元および鼻を覆うための本体部の下端部側を折り曲げる工程と、この折り曲げられた部位内に柔軟性を有し折り曲げ自在な金属部材を設置する工程と、この金属部材を内包するよう上記折り曲げられた部位の一縁部を上記本体部に接続する工程と、上記本体部の両側端部に耳掛け用部を設ける工程とを具備するよう構成したことを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、マスク着用時の密着性・密閉性の向上は勿論、金属部材を調整することで通気を確保でき、マスク内側の環境を快適・衛生的に保ち且つ眼鏡のくもり防止をも実現できるものである。しかも、容易に利用可能なので、使い勝手がよく実用的な効果を奏するものである。
【0024】
また、上記構成によれば、軽量で極めてシンプルでコンパクトな構造なので、生産面および経済面に於いても優位となるものである。
【0025】
さらに、上記構成によれば、マスクの外観形状は従来と変わりがなく見栄えを損なうこともなく、違和感なく利用可能となるものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、容易に利用でき、マスク着用時はマスク内側の密閉度を高められるとともにマスク内側の環境を快適に保ち、且つ眼鏡のくもり止めも可能となるので、使い勝手がよく実用的に有用な効果を奏するものである。
また、本発明は、極めてシンプルでコンパクトな構造なので、生産面は勿論、経済面に於いても優れるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係わるマスクの全体の概略構成を模式的に示す図である。
【
図2】同実施形態に係わり、マスクの本体部および金属部材を模式的に示す平面図である。
【
図3】同実施形態に係わり、マスク製造工程の流れを示すフロー図である。
【
図4】同実施形態に係わり、マスク製造の第1工程を模式的に示す図である。
【
図5】同実施形態に係わり、マスク製造の第2工程を模式的に示す図である。
【
図6】同実施形態に係わり、マスク製造の第3工程を模式的に示す図である。
【
図7】同実施形態に係わり、マスク製造の第4工程を模式的に示す図である。
【
図8】同実施形態に係わり、マスク製造の第5工程を模式的に示す図である。
【
図9】同実施形態に係わり、マスク製造の第6工程を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係わるマスクの組立て前の全体の概略構成を内側(裏面)から模式的に示す平面図である。
【
図11】同実施形態に係わり、マスクの外側(表面)からみた平面図である。
【
図12】同実施形態に係わり、マスク製造工程の流れを示すフロー図である。
【
図13】同実施形態に係わり、マスク製造の第2工程を模式的に示す図である。
【
図14】同実施形態に係わり、マスク製造の第3工程を模式的に示す図である。
【
図15】同実施形態に係わり、マスク製造の第4工程を模式的に示す図である。
【
図16】同実施形態に係わり、マスク製造の第5工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態について、
図1から
図9を参照して説明する。
本実施形態に係わるマスク10は、立体型マスク或いは3D形状マスクと称されるもので、口元および鼻を覆う本体部100と、この本体部100の両側端部100a,100bに設けられた耳掛け用部120,120とを有し、本体部100の下端部100cに柔軟性を有し折り曲げ自在なアルミニウム板140を内包するよう設けたものである。
【0030】
さて、本体部100は、中心線A-Aに対して左右対称形状を呈し、最下端(X)から垂直方向上方の最上端(X’)までの寸法をH1とすると、H1=145mmである(
図2参照)。また、最下端(X)の水平方向の寸法(YからY’までの寸法)をW1とすると、W1=220mmである。さらに、最下端(X)から垂直方向上方へh1(h1=20mm)の部位にて(最下端(X)と)水平方向に折り目102が形成され、当該最下端(X)から折り目102までの領域は折り代104となるものである。
【0031】
なお、本体部100の素材としては、ポリウレタンを用いている。しかし、本体部100の素材はこれに限らず、布、不織布、抗ウィルス加工生地等他の素材を用いてもよいことは勿論である。
【0032】
耳掛け用部120は、平型状の紐122に長さ調整可能なアジャスター124が取り付けられたものであり、本体部100の両側端部100a,100bに縫い付けまたは熱圧着により設けられている。なお、耳掛け用部120はこれに限らず、他に伸縮可能な紐等を用いてもよいことは勿論である。
【0033】
アルミニウム板140は、平面形状が角丸長方形を呈し、長手方向(L1)が170mm、短手方向(S1)が10mm、厚さ(T)が0.5mmの柔軟性を有する折り曲げ自在な金属板である。アルミニウム板140の厚さ(T)としては、マスク10の機能を効果的に引き出すには0.5mmが好適である。しかし、厚さ(T)は、これに限らず容易に折り曲げ可能となるような厚さであればよい。本実施形態では、厚さ(T)は0.1mm~1.0mm、特に0.3mm~0.6mmの範囲内であることが好ましい。
【0034】
また、アルミニウム板140の長手方向(L1)の寸法を170mmとしたが、これは本体部100の最下端(X)の水平方向の寸法W1に対して好適なものであって、これに限定される訳ではない。本実施形態では、実用的範囲として、W1:L1=1:0.9~0.5が推奨される。
【0035】
なお、本実施形態では、金属板としてアルミニウム板を用いているが、他に柔軟性を有し容易に折り曲げ自在な例えば錫板でもよい。他にも柔軟性を有し容易に折り曲げ自在な金属板(例えばアルミニウムや錫を含む合金)や針金であってもよことは勿論である。
【0036】
上記構成につき、マスク10の製造方法(第1工程から第6工程)について、以下に述べる。
【0037】
先ず、本体部100の内側(裏面)100dにて、上述した最下端(X)から垂直方向上方へ20mmの部位に折り目102(
図4中、二点鎖線にて示す)を付け、折り代104を設ける(
図3のステップS310)。
【0038】
続いて、折り目102を基軸にして、折り代104を本体部100の内側100dに向かって折り曲げ、本体部100の内側100dと折り代104で形成される空間内にアルミニウム板140をその長手方向の一縁部が折り目102に沿うように置く(
図3のステップS320、
図5参照)。
【0039】
この後、折り代104の一縁部104aおよび両側縁部(104b,104c)を熱圧着する(
図3のステップS330、
図6参照)。すると、アルミニウム板140は、本体部100に内包された状態になる。
【0040】
次に、中心線A-Aを基軸にして本体部100を内側100dの方向に折る(
図3のステップS340、
図6および
図7参照)。
【0041】
そして、非接合状態にある本体部100の中央部位100eを熱圧着により接合する(
図3のステップS350、
図8参照)。
図8中、二点鎖線Bにて示す部位が熱圧着される。
【0042】
最後に、耳掛け用部120を構成する紐122を本体部100の両側端部100a,100bに縫い付けまたは熱圧着により取付ける(
図3のステップS360、
図9参照)。而して、アジャスター124を紐122に取り付ければマスク10が完成する。
【0043】
なお、アルミニウム板140を内包する工程および耳掛け用部120を取付ける工程の順番は、適宜変更してもよいことは勿論である。
【0044】
斯様にして完成したマスク10につき、その作用を以下に説明する。
【0045】
マスク10を使用する場合、アルミニウム板140が内包された部位を口元下方である顎部分に位置するようにして、口全体および鼻(特に鼻孔)が本体部100にて覆われるよう耳掛け用部120を両耳に掛けて着用する。このとき、本体部100の接合された中央部位は、口や鼻の中央部位と合致していることが好ましい。
【0046】
また、アルミニウム板140が内包された部位を顎部位に対して密着するよう折り曲げ調整すると、本体部100の外周縁部が顎並びに口および鼻の周りを密着する状態となる。他方、外周縁部の内側は、適度な密閉空間が形成・保持されるので、口や鼻全体を圧迫することがない。
【0047】
このような状態であれば、咳や嚏による飛沫防止を実現できるものである。また、防寒および保湿も実現できるものである。
【0048】
マスク10の着用時に例えば息苦しくなったり或いは不快感を生じた場合は、アルミニウム板140が内包された部位を変形させて本体部100の外部と直接通気可能となるよう密着・密閉状態を一時的に解き、呼気を直接本体部100の外部へ排出させ、外気を導入すればよいものである。これにより、本体部100の内部環境を良好に保てるものである。
【0049】
眼鏡のくもりが気になる場合は、同様にアルミニウム板140が内包された部位を変形させて密着・密閉状態を一時的に解き、呼気を直接本体部100の下端部100cから外部へ排出させるようにすればよいものである。
【0050】
上記実施形態によれば、マスク10の着用時の密着性・密閉性の向上は勿論、アルミニウム板140を変形調整することで通気を確保でき、マスク10の内側の環境を快適・衛生的に保ち且つ眼鏡のくもり防止をも実現できるものである。しかも、誰でも容易に利用可能なので、使い勝手がよく実用的である。
【0051】
また、上記実施形態によれば、軽量で極めてシンプルでコンパクトな構造なので、新たな設備を導入することなく実現でき、生産面および経済面に於いても優位となるものである。
【0052】
さらに、上記実施形態によれば、マスク10の外観形状は従来の立体型マスク或いは3D形状マスクと変わりがないので、見栄えを損なうこともなく、違和感なく利用可能となるものである。
【0053】
なお、本実施形態に於けるマスク10には、本体部100の上端部100fに柔軟性を有し折り曲げ可能なノーズフィット用部材を内包するよう設けて、より密着性・密閉性を高めてもよいことは勿論である。
【0054】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、
図10から
図16を参照して説明する。
本実施形態に係わるマスク20は、口元および鼻を覆う平面形状が長方形で内部にフィルタ不織布を有する四層構造のプリーツ状の本体部200と、この本体部200の短手方向の両側端部200a,200bに設けられた伸縮自在のゴム製の耳掛け用部220,220とを有し、本体部200の下端部200cに柔軟性を有し折り曲げ自在なアルミニウム板240を内包するよう設けたものである。
【0055】
さらに、マスク20には、本体部200の上端部200fに柔軟性を有し折り曲げ自在なノーズフィット用部材260を内包するよう設けたものである。
【0056】
さて、本体部200は、長手方向(W2)が173mm、短手方向(H2)が115mmの面形状が長方形である。そして、最下端(X)から垂直方向上方へh2(h2=20mm)の部位にて(最下端(X)と)水平方向に折り目202が形成され、当該最下端(X)から折り目202までの領域は折り代204となるものである。
【0057】
耳掛け用部220は、伸縮可能な紐であり、本体部200の両側端部200a,200bに縫い付け、接着または熱圧着により設けられている。なお、耳掛け用部220はこれに限らず、他に長さ調整可能なアジャスターが取り付けられた平型状の紐等を用いてもよいことは勿論である。
【0058】
アルミニウム板240は、平面形状が角丸長方形を呈し、長手方向(L2)が140mm、短手方向(S2)が10mm、厚さ(T)が0.5mmの柔軟性を有する折り曲げ自在な金属板である。アルミニウム板240の厚さ(T)としては、マスク20の機能を効果的に引き出すには0.5mmが好適である。しかし、厚さ(T)は、これに限らず容易に折り曲げ可能な厚さであればよい。本実施形態では、厚さ(T)は0.1mm~1.0mm、特に0.3mm~0.6mmの範囲内であることが好ましい。
【0059】
また、アルミニウム板240の長手方向(L2)の寸法を140mmとしたが、これは本体部200の長手方向の寸法W2に対して好適なものであって、これに限定される訳ではない。本実施形態では、実用的範囲として、W2:L2=1:0.9~0.5が推奨される。
【0060】
なお、本実施形態では、金属板としてアルミニウム板を用いているが、他に柔軟性を有する折り曲げ自在な例えば錫板でもよい。他にも柔軟性を有する折り曲げ自在な金属板(アルミニウムや錫を含む合金)や針金であってもよことは勿論である。
【0061】
ノーズフィット用部材260は、折り曲げ自在な柔軟性を有する針金であり、本体部200の上端部200fに内包されている。本実施形態では針金を用いているが、これに限らず柔軟性を有し折り曲げ自在な素材のものであれば、他のものでもよい。形状も平型等であっても構わないものである。
【0062】
上記構成につき、マスク20の製造方法(第1工程から第5工程)について、以下に述べる。
【0063】
先ず、本体部200の上端部200fにノーズフィット用部材260を内包するよう設ける(
図12のステップS1210参照)。
【0064】
次に、本体部200の内側(裏面)200dにて、上述した最下端(X)から垂直方向上方へ20mmの部位に折り目202を付け(
図13中、二点鎖線にて示す)、折り代204を設ける(
図12のステップS1220、
図13参照)。
【0065】
続いて、折り目202を基軸にして、折り代204を本体部200の内側200dに向かって折り曲げ、本体部200の内側200dと折り代204で形成される空間内にアルミニウム板240をその長手方向の一縁部が折り目202に沿うように置く(
図12のステップS1230、
図14参照)。
【0066】
この後、折り代204の一縁部204aおよび両側縁部(204b,204c)を縫い付け、接着または熱圧着する(
図12のステップS1240、
図15参照)。すると、アルミニウム板240は、本体部200に内包された状態になる。
【0067】
最後に、耳掛け用部220を本体部200の両側端部200a,200bに縫い付け、接着または熱圧着により取付ける(
図12のステップS1250、
図16参照)。而して、マスク20が完成する。
【0068】
なお、ノーズフィット用部材260を内包する工程、アルミニウム板240を内包する工程および耳掛け用部220を取付ける工程の順番は、適宜変更してもよいことは勿論である。
【0069】
斯様にして完成したマスク20につき、その作用を以下に説明する。
【0070】
マスク20を使用する場合、アルミニウム板240が内包された部位を口元下方である顎部分に位置するようにして、口全体および鼻(特に鼻孔)が本体部200にて覆われるよう耳掛け用部220を両耳に掛けて着用する。このとき、本体部200の中央部位は、口や鼻の中央部位と合致していることが好ましい。
【0071】
また、ノーズフィット用部材260を折り曲げ調整して本体部200の上端部200f側が顔面に密着するようにする。そして、アルミニウム板240が内包された部位を顎部位に対して密着するよう折り曲げ調整すると、本体部200の外周縁部が顎並びに口および鼻の周りを密着する状態になる。他方、外周縁部の内側は、適度な密閉空間が形成・保持されるので、口や鼻全体を圧迫することがない。
【0072】
このような状態であれば、咳や嚏による飛沫防止を実現できるものである。また、防寒および保湿も実現できるものである。
【0073】
マスク20の着用時に例えば息苦しくなったり或いは不快感を生じた場合は、アルミニウム板240が内包された部位を変形させて密着・密閉状態を一時的に解き、呼気を直接本体部200の外部へ排出させ、外気を導入すればよいものである。これにより、本体部200の内部環境を良好に保てるものである。
【0074】
眼鏡のくもりが気になる場合は、同様にアルミニウム板240が内包された部位を変形させて密着・密閉状態を一時的に解き、呼気を直接本体部200の下端部200cから外部へ排出させるようにすればよいものである。
【0075】
上記実施形態によれば、マスク20の着用時の密着性・密閉性の向上は勿論、アルミニウム板240を変形調整することで通気を確保でき、マスク20の内側の環境を快適・衛生的に保ち且つ眼鏡のくもり防止をも実現できるものである。しかも、誰でも容易に利用可能なので、使い勝手がよく実用的である。
【0076】
また、上記実施形態によれば、軽量で極めてシンプルでコンパクトな構造なので、新たな設備を導入することなく従来設備で実現でき、生産面および経済面に於いても優位となるものである。
【0077】
さらに、上記実施形態によれば、マスク20の外観形状は従来と変わりがなく見栄えを損なうこともなく、違和感なく利用可能となるものである。
【0078】
なお、マスク着用時のさらなる密閉性向上および良好な内部環境の保持・向上を考慮すると、金属部材やノーズフィット用部材に加え、マスク本体の縦方向(短手方向)に、特にはその中央部位に柔軟性を有する折り曲げ可能な部材を設けてもよいものである。
【0079】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
10,20 …マスク
100,200 …本体部
100a,100b,200a,200b …側端部
100c,200c …下端部
100d,200d …本体部の内側(裏面)
100f,200f …上端部
102,202 …折り目
104,204 …折り代
120,220 …耳掛け用部
140,240 …アルミニウム板(金属部材)
260 …ノーズフィット用部材