(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022114407
(43)【公開日】2022-08-05
(54)【発明の名称】テーブルクロス装置
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20220729BHJP
A47G 11/00 20060101ALI20220729BHJP
【FI】
A47B97/00 N
A47B97/00 Z
A47G11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021045221
(22)【出願日】2021-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】521114321
【氏名又は名称】ヘキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米川 心祐
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102CA02
3B102CB02
(57)【要約】
【課題】特許文献1に示すものは、テーブルカバーを屈曲させたり面ファスナーを貼り合わせるなど作業工程が多く着脱に手間がかかり使い勝手が悪いとともに、テーブルカバーは塩化ビニル樹脂のような合成樹脂で剛性を有するように構成されており、収納性が悪いという問題点があった。
【解決手段】テーブルの天板を覆う大きさのクロスと、前記クロスの一端に設けられて前記クロスを前記テーブルに取り付けるテーブル取付手段と、前記テーブル取付手段の配設位置の反対位置となる前記クロスの他端に設けられて前記クロスを巻き取る巻取手段とを備えたことのより、上記課題を解決している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルの天板の上面を覆う大きさのクロスと、前記クロスの一端に設けられて前記クロスを前記テーブルに取り付けるテーブル取付手段と、前記テーブル取付手段の配設位置の反対位置となる前記クロスの他端に設けられて前記クロスを巻き取る巻取手段とを備えたことを特徴とするテーブルクロス装置。
【請求項2】
前記テーブル取付手段は、磁石でできている請求項1に記載のテーブルクロス装置。
【請求項3】
前記テーブル取付手段は、平板状の磁石でできており、前記クロスに着脱自在に取り付けられている請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のテーブルクロス装置。
【請求項4】
前記巻取手段は、前記クロスに張力を与えるよう前記テーブルの端縁から垂れ下がるようになっている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテーブルクロス装置。
【請求項5】
前記クロスは、表面に撥水・撥油性を有するとともに耐熱性を有する綿素材の材料ででできた表面クロスと、抗菌性を有する接着層と、前記表面クロスと同様に表面に抗菌性を有するとともに耐熱性を有する材料ででできた裏面クロスとを少なくとも備えている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のテーブルクロス装置。
【請求項6】
前記巻取手段は、前記テーブルクロスに着脱自在に設けられている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のテーブルクロス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルクロス装置に関するものであり、更に詳しくは、ホテル等の厨房、ウイルス対応の病院、高齢者ホーム、学校、幼稚園、一般家庭などで使用され得るテーブルクロス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、テーブルの天板を覆うテーブルカバーは種々提案されている。特許文献1に示すものは、テーブルカバーを使用することで、テーブルの天板が劣化した場合でもテーブルとして使用可能なテーブルカバーに関するものであり、劣化した天板を覆って通常のきれいなテーブルとしての使用ができるようにしたり、輸送時に表面が破損しないようにテーブルから外すことができるようにしたものであるが、テーブルカバーをテーブルに装着するためにはテーブルカバーの端部を屈曲させたり、面ファスナーを貼り合わせるなど作業工程が多く着脱に手間がかかり使い勝手が悪いとともに、テーブルカバーは塩化ビニル樹脂のような剛性を有する合成樹脂で形成されており、使い勝手が悪いという問題点があった。また、ホテルの厨房において使用される調理台は、ステンレススチール製のものが衛生面で優れているため多用されているが、皿などの磁器をステンレススチール製の調理台の上に直接置くと、磁器の底面が黒くなることがあり、その汚れが食卓のクロスに転写され、皿が汚れていると誤解される可能性があるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、使い勝手及び収納性が優れたテーブルクロス装置であって、皿などの磁器の底面が黒くなるのを防止できるテーブルクロス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のテーブルクロス装置は、テーブルの天板の上面を覆う大きさのクロスと、前記クロスの一端に設けられて前記クロスを前記テーブルに取り付けるテーブル取付手段と、前記テーブル取付手段の配設位置の反対位置となる前記クロスの他端に設けられて前記クロスを巻き取る巻取手段とを備えたことを特徴とする。
又、本発明のテーブルクロス装置にあっては、前記テーブル取付手段は、磁石でできているのが望ましい。
又、本発明のテーブルクロス装置にあっては、前記テーブル取付手段は、平板状の磁石でできており、前記クロスに着脱自在に取り付けられているのが望ましい。
又、本発明のテーブルクロス装置にあっては、前記巻取手段は、前記クロスに張力を与えるよう前記テーブルの端縁から垂れ下がるようになっているのが望ましい。
又、本発明のテーブルクロス装置にあっては、前記クロスは、表面に撥水・撥油性を有するとともに耐熱性を有する綿素材の材料ででできた表面クロスと、抗菌性を有する接着層と、前記表面クロスと同様に表面に抗菌性を有するとともに耐熱性を有する材料ででできた裏面クロスとを少なくとも備えているのが望ましい。
又、本発明のテーブルクロス装置にあっては、前記巻取手段は、前記テーブルクロスに着脱自在に設けられているのが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明のテーブルクロス装置は、テーブルの天板の上面を覆う大きさのクロスと、前記クロスの一端に設けられて前記クロスを前記テーブルに取り付けるテーブル取付手段と、前記テーブル取付手段の配設位置の反対位置となる前記クロスの他端に設けられて前記クロスを巻き取る巻取手段とを備えたことを特徴とするものであるから、テーブルにテーブル取付手段を取り付けた後、クロスを巻取手段から引き出してクロスでテーブルを覆うことができるのであり、クロスでテーブルを覆う必要が無くなれば、クロスでテーブルを覆っている状態から巻取手段にクロスを巻き取るだけで直ちに元のクロスでテーブルを覆っていない状態にできるのであり、クロスでテーブルを覆うことと、テーブルからクロスを除去する作業を簡単にできるので使い勝手が良いという効果と、巻取手段に巻き取られたシートは、テーブル上の邪魔になり難いテーブルの端部に載置されたり、収納場所に移動されるので、収納性も優れているという効果がある。更に、このテーブルクロス装置がホテルの厨房に設置されたステンレス製のテーブルに使用される場合は、食器類とステンレス製のテーブルとが直接接触することがないので、食器の底面が黒くなることが無く、お客様に不愉快な印象を与えないという効果がある。
又、請求項2のように、前記テーブル取付手段が磁石でできているものは、テーブル取付手段により、簡単にクロスを磁石がくっつくテーブルに取り付けることができるという効果がある。
又、請求項3のように、、前記テーブル取付手段は、平板状の磁石でできており、前記クロスに着脱自在に取り付けられているものは、必要に応じて磁石をテーブルクロス装置から外すことができ、例えば、洗濯を簡単にできるという効果がある。
又、請求項4のように、前記巻取手段は、前記クロスに張力を与えるよう前記テーブルの端縁から垂れ下がるようになっているものは、巻取手段によりクロスが引っ張られた状態となり、クロスのテーブルへの載置状態が安定しクロスが捲りあがるのを防止することができるという効果がある。
又、請求項5のように、前記クロスは、表面に撥水・撥油性を有するとともに耐熱性を有する綿素材の材料ででできた表面クロスと、抗菌性を有する接着層と、前記表面クロスと同様に表面に抗菌性を有するとともに耐熱性を有する材料ででできた裏面クロスとを少なくとも備えているものは、表面及び裏面と耐熱性・撥水性を有るとともに、抗菌性を有するテーブルクロス装置にすることができるという効果がある。更に、表裏面を逆にして使用することも可能となり、片面が汚れた場合は、他の片面を表面にして使用することもでき、抗菌性を重要視される一般家庭でも使用することが可能となるという効果がある。
又、請求項6のように、前記巻取手段は、前記クロスに着脱自在に設けられているものは、クロスだけの洗濯が可能となり、簡単に洗濯ができるので、例えば一般家庭でも使用することが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
)
【0007】
【
図1】
図1は本発明のテーブルクロス装置の外観を示す斜視図であって、クロスが巻き取られた状態を示す外観斜視図。
【
図2】
図2は同上ののテーブルクロス装置の外観を示す斜視図であって、クロスが前記巻取手段は、前記クロスに張力を与えるよう前記テーブルの端縁から垂れ下がっている状態を示す外観斜視図。
【
図3】
図3は同上のテーブルクロス装置におけるクロスの層構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例の形態を
図1乃至
図3に基づいて説明すると、テーブルクロス装置1は、テーブル2の天板を覆う大きさのクロス3と、クロス3の一端に設けられてクロス3をテーブル2に取り付けるテーブル取付手段4と、テーブル取付手段4の配設位置の反対位置となるクロスの他端に設けられてクロス3を巻き取る巻取手段5とを備えている。クロス3は、ホテルの厨房に設置されたステンレス製のテーブルであると、4メートル50センチメートルの超長尺であり、それに対応した大きさに形成されている。
【0009】
クロス3は、耐熱性を有するとともに撥水性及び撥油性を有する表面クロス3aと、表面クロス3aの裏面に積層されたアクリルコーティング剤層3bと、耐熱性を有する接着剤3cと、抗菌性を有すると主に耐熱性を有する裏面クロス3dとの4層で構成されている。
【0010】
表面クロス3aは、綿製で撥水加工、撥油加工が施されており、盛り付け時や喫食の場合において熱い器や鍋のようなものをクロス3上に置いても表面クロス3aが溶けたりしないように耐熱性も有するように選定している。撥水加工は、飲み物などの液体、撥油加工はソース等の油汚れを簡単に拭き取ることで清潔さを維持することができるようにしている。表面クロス3aは、上記性能を備えていることが望ましく、一例として「nano-wing(双日ファッション株式会社の登録商標)」がある。表面クロス3aは、綿とポリエステルの混紡のものを使用することができる。綿100%のものは耐熱性が優れており、綿とポリエステルの混紡のものは、撥水性に優れており、使用される環境に合わせて選択することができる。表面クロス3aは、殺菌スプレーによる殺菌が可能であるので、アクリルコーティング剤層3b及び接着剤3cによる抗菌は無くても構わないものである。
【0011】
アクリルコーティング剤層3bは、表面クロス3aが撥水・撥油加工がされているために直接接着剤を張るよりは接着強度が増すように設けられており、水性抗菌剤又は白色粉末抗菌剤のような抗菌剤を入れることで、表面クロス3aに抗菌作用が期待できるようにしている。
【0012】
接着剤3cは、ポリウレタン系の接着剤であり、耐熱性を有しており、布地3a及び裏面クロス3dに熱が加わった際、剥離したり溶解したりしないようにしている。接着剤3bに水性抗菌剤又は白色粉末抗菌剤のような抗菌剤を入れることで表面クロス3a及び裏面クロス3dに浸透させることができると、表面クロス3a及び裏面クロス3dに抗菌作用を付与することができるものである。
【0013】
裏面クロス3dは、ポリエステル系のポリウレタンを使用しているが、ポリカーボネート系のポリウレタン、エーテル系のポリウレタンでも使用可能であり、撥水及び撥油の機能を有するウレタンフィルムで構成されており、抗菌加工を施すことで長時間クロス3をテーブル2に敷いてもテーブル2とクロス3間の菌の増殖を防止することができるようにしている。裏面クロス3dに耐熱加工を施すことでクロス3に高温の鍋などを置いた際のクロス3の溶解を防止している。なお、裏面クロス3dも表面クロス3aと同一の材料を使用しても構わないものである。
【0014】
抗菌剤は、「大阪化成株式会社のマルカサイドP(大阪化成株式会社の登録商標)水系抗菌剤、脂肪族エステル系」を使用しているが、「ラサ工業株式会社のラサップ(ラサ工業株式会社の登録商標)白色粉末抗菌剤」等を用いても構わないものであり、配合量は、効果を確認することで決定すれば良いものである。
【0015】
テーブル取付手段4は、異方性の磁石でできており、このテーブルクロス装置がホテルの厨房で使用される場合は、ホテルの厨房に設置されたステンレス製のテーブルに簡単にクロス3を取り付けることができるものであり、最適の吸着力が得られるように平板状の磁石を選択すれば良いものである。最適の吸着力とは、テーブル上に取り付けたクロス3がずれることが無いとともに、ステンレス製のテーブル2から一人でも簡単に外すことができるものである。
【0016】
テーブル取付手段4は、面状ファスナーであっても構わないものであり、平板状の磁石で無くても構わないものであるが、平板状の磁石でできているものは、クロス3の端部に形成された収納部に簡単に着脱でき、クリーニング時は外してクリーニングをすることができるものである。
【0017】
巻取手段5は、棒状に形成されており、クロス3の端部に着脱自在に取り付けられており、クリーニング時は外してクリーニングをすることができるものである。巻取手段5をクロス3の端部に着脱自在に取り付ける構造として、クロス3の端部にクロス3を折り返すことで巻取手段5を収納する収納部を形成すればよい。
【0018】
巻取手段5は、テーブルから垂れ下がるようにクロス3の端部に取り付けられており、巻取手段5の自重によりクロス3にテンションがかかってクロス3の表面に皺が生じることが無いとともに、調理中も張られた状態になっており、テーブル取付手段4の磁石の吸着力、クロス3の材質、重量などを勘案して巻取手段5の重量は決定されるものである。
【符号の説明】
【0019】
1 テーブルクロス装置
2 テーブル
3 クロス
4 テーブル取付手段
5 巻取手段